JP4107744B2 - 回転ダンパ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、回転することにより開閉動作する回転蓋や回転扉の回転動作を遅動させる回転ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回転ダンパとしては、一般にグリス等の粘性液体の抵抗を利用したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の回転ダンパでは、粘性液体を利用しているため、ケーシング内に充填された粘性液体が外部へ漏れ出すという不具合があった。かかる不具合を解消するために、Oリング等のシール部材を配設しているが、回転ダンパは、一般に制動力を発揮する際にラジアル荷重を受けるため、シール部材に負担がかかる。このため、シール部材の消耗が早く、耐久性の点でも問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、粘性液体を利用しないで、開閉動作する回転蓋や回転扉の回転動作を遅動させることができる回転ダンパを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の回転ダンパは、ケーシングの軸心に沿って配設される回転軸と、該回転軸とケーシングとの間隙に配設される弾性体と、該回転軸の外周面から一部が突出するように設けられ、該回転軸が回転した際に、少なくとも一定範囲において該弾性体を押圧しつつ回転するローラピンとを有する回転ダンパであって、前記弾性体の内周面に、環状の凹状部と凸状部が軸方向に沿って交互に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の回転ダンパは、請求項1記載の回転ダンパであって、前記ローラピンは、弾発部材により、前記弾性体を押圧する方向に付勢されていることを特徴とする。
請求項3に記載の回転ダンパは、請求項2記載の回転ダンパであって、前記ローラピンは、前記回転軸の回転方向により、該回転軸の外周面からの突出量が変化し得るように設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の回転ダンパは、請求項1〜3のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体は、その内径が、徐々に偏心する形状で形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の回転ダンパは、請求項1〜4のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体が、内周面に凸状部を有するリング部材を組み合わせて構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の回転ダンパは、請求項1〜5のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体が、交換可能であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る回転ダンパ1を示す横断面図であり、図2は回転ダンパ1の縦断面図である。これらの図に示すように、回転ダンパ1は、ケーシング2、回転軸3、ローラピン4、弾性体5及び蓋部材6を有して構成されている。
【0007】
ケーシング2は、上面開口の有底略円筒形に形成され、その内周面2aには、軸方向に沿って、後述する弾性体5に形成される係合突起5aが係合される係合溝2bが対向して刻設されている。
【0008】
蓋部材6は、略中央に貫通形成された軸挿通孔6aを有する略円盤状に形成され、上記したケーシング2の上面開口部2cを閉塞する。
【0009】
回転軸3は、一端3a側が蓋部材6の軸挿通孔6aに挿通され、他端3bがケーシング2の底壁内面の略中央に形成された凹部2dに嵌入され、ケーシング2の軸心に沿って配設されている。回転軸3の外周面には、回転軸3において相対峙する位置に、軸方向に沿って断面略U字状の溝3cが刻設されている。
【0010】
ローラピン4は、細長い断面略円形の棒状体であり、回転軸3に形成された溝3c内に、外周面の一部が、回転軸3の外周面から突出するように配設されている。本実施の形態では、ローラピン4を、回転軸3の溝3c内に何も介在させないで直接配設しているが(図1参照)、このローラピン4は、例えば以下のように配設することもできる。すなわち、図3(a)に示すように、回転軸3の溝3c内に、回転軸3の半径方向に沿って弾発部材であるスプリング7を配設し、ローラピン4を、このスプリング7の一端7aに当接させて配設する。これにより、ローラピン4は、常に、スプリング7によって後述する弾性体5を押圧する方向に付勢されることとなるため、ローラピン4と回転軸3の溝3cとの間に遊びがある場合であっても、より確実にローラピン4によって弾性体5が押圧され、回転ダンパ1が発揮する制動力を安定させることができる。
他方、図3(b)に示すように、回転軸3の溝3cを、断面略L字状になるように刻設し、この溝3cの一方の側面3c’に沿ってスプリング7を配設し、ローラピン4を、このスプリング7の一端7aに当接させて配設することもできる。これにより、ローラピン4は、回転軸3が一方向(図3(b)上、反時計回り方向)に回転する場合には、スプリング7により弾性体5を押圧する方向に付勢されているため、その一部が回転軸3の外周面から突出して、弾性体5を確実に押圧する一方、回転軸3が逆方向(図3(b)上、時計回り方向)に回転する場合には、ローラピン4が弾性体5により押されてスプリング7が収縮し、ローラピン4の一部が回転軸3の外周面から殆ど突出しなくなる。その結果、回転軸3が一方向に回転した場合にのみ制動力を発揮して、逆方向に回転した場合には制動力を発揮しない回転ダンパ1を提供することが可能となる。
なお、弾発部材としては、上記したスプリング7に代えて、回転軸3の溝3c内にゴムを配設し、このゴムにより、ローラピン4が弾性体5を押圧する方向に付勢されるようにしてもよい。
【0011】
弾性体5は、内部に軸受孔5bを有し、その内径が回転軸3の外径よりも幾分大きく形成され、かつ外径がケーシング2の内径とほぼ同一である略円筒形に形成されている。また、弾性体5の外周面には、軸方向に沿って、弾性体5において相対峙する位置に、外方へ突出する係合突起5aが形成されている。弾性体5は、この係合突起5aをケーシング2の係合溝2bに係合させて、ケーシング2と回転軸3との間隙に配設される。より詳しくは、弾性体5の軸受孔5bに、回転軸3の他端3b側が挿通されると共に、回転軸3の溝3c内に配設されたローラピン4が、弾性体5の軸受孔5bの内周面に接して配置され、かつ弾性体5の係合突起5aを、ケーシング2の内周面2aに形成された係合溝2bに係合させて、ケーシング2内に配設される。このため、弾性体5は、回転軸3が回転した場合でも、ケーシング2内で回転することがない。なお、弾性体5は、ゴム、合成樹脂等から形成することができるが、素材として耐摩耗性の良いものを選択することが好ましい。本実施の形態では、ウレタンゴムを採用している。
【0012】
上記のように構成される回転ダンパ1は、回転軸3の一端3a側を制動対象となる回転蓋等の軸体(図示せず)に連結し、ケーシング2を所定の位置に配設して使用される。回転蓋等を開閉する場合には、その閉成動作又は開放動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸3が回転する。この際、回転軸3の外周面に刻設された溝3c内に配設されたローラピン4が、該溝3a内で、回転軸3回りの弾性体5を押圧しつつ回転する。これにより、弾性体5に抵抗力が生じて、回転軸3の回転速度を遅動させる力が働く。その結果、閉成方向又は開放方向に回転する回転蓋等に所定の制動力が付与され、回転蓋等の回転動作が緩慢となり、回転蓋等はゆっくりとした速度で開閉するようになる。
【0013】
なお、上記した実施の形態に係る弾性体5は、内径が外径と同心円に形成され、その半径方向の肉厚(t1(図2参照))が、ほぼ均一に形成されている。このため、回転ダンパ1は、常に一定の制動力を発揮し、かつ、その制動力を二方向(図1上、時計回り方向及び反時計回り方向)に発揮するよう作用する。
一方、これに代えて、弾性体5を、その内径が、徐々に偏心する形状で形成して、回転ダンパ1の発揮する制動力を可変とし、かつ、その制動力を一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)に発揮するよう作用させることもできる。
【0014】
具体的には、弾性体5が以下のように形成されたものを用いる。すなわち、図4に示すように、制動対象となる回転蓋等が該回転蓋等の支持体に対して所定の角度、例えば、約120°の角度に開放している場合に、回転軸3の溝3c内に配設されたローラピン4が、少なくとも一定の範囲において弾性体5に接するように、例えば、配置される位置(A点)においては、弾性体5の半径方向の肉厚(t2)を、ローラピン4の外周面の一部が弾性体5にわずかに接触するか又は接触しない程度に薄く形成する。そして、かかる肉厚を、制動力発揮方向(図4上、矢印方向)に向かうに従って徐々に厚くしていき、回転蓋等が該回転蓋等の支持体に対して、0°の角度、すなわち、完全に閉じた場合に、回転軸3の溝3c内に配設されたローラピン4が配置される位置(B点)においては、弾性体5の半径方向の肉厚(t3)を、ローラピン4が弾性体5を所定の圧力で押圧する程度に厚く形成する。この弾性体5によれば、回転軸3が制動力発揮方向(矢印方向)に回転するに従って、ローラピン4が弾性体5を次第に強い圧力で押圧していくため、回転蓋等は、閉じていくに従って、次第に大きな制動力が付与され、その回転速度が減速されつつ閉じるようになる。
【0015】
なお、上記した実施の形態では、弾性体5の肉厚を部位によって変化させることにより、ローラピン4による弾性体5の押圧力を変化させているが、かかる押圧力を変化させる場合には、弾性体5の内径が、徐々に偏心する形状で形成されていればよく、かかる条件を満たす限り、弾性体5の肉厚は、例えば一定であってもよい。
【0016】
また、弾性体5として、その内周面に軸方向に沿って環状の凹状部5dと凸状部5cとが交互に形成されたものを用いることもできる(図5参照)。このように凹状部5dと凸状部5cが形成されることにより、弾性体5が変形しやすくなる。従って、この凹状部5dと凸状部5cの数又は幅を変更することにより、種々の制動力を発揮する回転ダンパ1を提供することができる。
【0017】
なお、本実施の形態では、凸状部5cが断面略台形に形成されているが、この形状に限定されるものではなく、種々の形状に工夫することができることはもちろんである。また、加工を容易にするため、図6に示すように、略中央に円周に沿った凸状部5cを有するリング部材を複数組み合わせて用いることもできる。さらに、この分割タイプのものでは、凸状部5cの幅が広いもの又は狭いものを適宜組み合わせて用いることで、回転ダンパ1の発揮する制動力を微調節することも可能となる。
【0018】
また、弾性体5は、取り外しができ、交換可能であることが好ましい。上記したように、制動対象となる回転蓋等の重量等に対応して、弾性体5を交換することにより、回転ダンパ1の発揮する制動力を調節可能とするためである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の回転ダンパは、ケーシングの軸心に沿って配設される回転軸と、該回転軸とケーシングとの間隙に配設される弾性体と、該回転軸の外周面から一部が突出するように設けられ、該回転軸が回転した際に、少なくとも一定範囲において該弾性体を押圧しつつ回転するローラピンとを有して構成されている。これにより、粘性液体を利用しないで、開閉動作する回転蓋や回転扉の回転動作を遅動させることができる。従って、粘性液体を利用した場合のオイル漏れ等の種々の不具合が解消され、また、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る回転ダンパを示す横断面図である。
【図2】同実施の形態に係る回転ダンパを示す縦断面図である。
【図3】ローラピンの配設手段の例を示す横断面図である。
【図4】弾性体を示す平面図である。
【図5】弾性体を示す縦断面図である。
【図6】弾性体を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 回転ダンパ
2 ケーシング
3 回転軸
4 ローラピン
5 弾性体
6 蓋部材
7 スプリング
Claims (6)
- ケーシングの軸心に沿って配設される回転軸と、
該回転軸とケーシングとの間隙に配設される弾性体と、
該回転軸の外周面から一部が突出するように設けられ、該回転軸が回転した際に、少なくとも一定範囲において該弾性体を押圧しつつ回転するローラピンと
を有する回転ダンパであって、
前記弾性体の内周面に、環状の凹状部と凸状部が軸方向に沿って交互に形成されていることを特徴とする回転ダンパ。 - 請求項1記載の回転ダンパであって、前記ローラピンは、弾発部材により、前記弾性体を押圧する方向に付勢されていることを特徴とする回転ダンパ。
- 請求項2記載の回転ダンパであって、前記ローラピンは、前記回転軸の回転方向により、該回転軸の外周面からの突出量が変化し得るように設けられていることを特徴とする回転ダンパ。
- 請求項1〜3のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体は、その内径が、徐々に偏心する形状で形成されていることを特徴とする回転ダンパ。
- 請求項1〜4のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体が、内周面に凸状部を有するリング部材を組み合わせて構成されていることを特徴とする回転ダンパ。
- 請求項1〜5のいずれか1に記載の回転ダンパであって、前記弾性体が、交換可能であることを特徴とする回転ダンパ。
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JP00050299A JP4107744B2 (ja) | 1999-01-05 | 1999-01-05 | 回転ダンパ |
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JP00050299A JP4107744B2 (ja) | 1999-01-05 | 1999-01-05 | 回転ダンパ |
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JP00050299A Expired - Lifetime JP4107744B2 (ja) | 1999-01-05 | 1999-01-05 | 回転ダンパ |
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1999
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