JP4107725B2 - 自動2輪車の前輪懸架装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は揺動自在のフロントアームを備えた形式の自動2輪車の前輪懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような形式の自動2輪車の一例として、特開昭63−53189号がある。この自動2輪車は、前輪を左右から挟むフォーク状部材に対して左右一対をなすパイプ部材の各下端部を摺動自在に嵌合し、各上端部を予め車体フレームへ連結されているステアリングヘッドへ固定するとともに、ステアリングヘッド近傍の車体フレーム前端部とフォーク状部材間に回転ヒンジを介してショックアブソーバを介装し、かつフォーク状部材を左右一対で設けられかつ揺動自在になっているフロントアームの各前端部へ回動自在に連結してある。
【0003】
フロントアームの各後端部は、エンジンの前方へ配設された車体フレームの一部に対してそれぞれ回動自在に連結されるとともに、ステアリングヘッドも車体フレームの前端部へ回動自在に取付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造の場合、フロントアームが比較的短いので、トレール変化が大きくなる。また、ショックアブソーバをステアリングヘッド近傍の車体フレーム前端部とフォーク状部材間に設けるため、ショックアブソーバの配設が前輪とエンジンに挟まれた狭い範囲に限定されるので、レイアウトの自由度が小さくなる。さらに、前輪の衝撃荷重がステアリングヘッド近傍やフロントアームを介してエンジン前方の車体フレームへ加わるので、ショックアブソーバやフロントアームを取付ける車体フレーム部分を補強する必要があり、車体フレームの前端部における重量が増加する。
【0005】
その結果、車体フレーム前部における重量増加並びに車体前部へのショックアブソーバの配置とも相まってマスが分散することになり、マスの集中という車体設計上の基本条件に反することになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願における自動2輪車の前輪懸架装置に係る第1の発明は、エンジンとこれを支持する車体フレームとからなる車体と、この車体に一部を揺動自在に支持されかつ前端側が車体の前方へ延出するフロントアームと、このフロントアームを介して支持された前輪と、前端部が車体へ揺動自在に支持されたリヤアームと、このリヤアームの後端部へ支持された後輪とを備える自動2輪車において、前記フロントアームの後端部を車体重心より後方へ延出させるとともに、フロントアームの後端部と車体との間に前輪側の緩衝部材を連結させたことを特徴とする。
【0007】
ここで、車体とは車体フレームとエンジンのいずれか一方もしくは双方の一体化構造に対する総称を意味する。また、緩衝部材とは、クッションスプリングとダンパーを一体化したユニット状をなしている緩衝器の他に、クッションスプリングとダンパーを分離した形式のものも含み、この分離形式の場合は、クッションスプリングとダンパーの少なくともいずれか一方のみであってもよい。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、フロントアーム後端部に連結される前輪側の緩衝部材を後輪懸架装置の緩衝部材近傍に配置したことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記フロントアームとリヤアームの車体に対する各支持部を共通軸にしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
第1の発明によれば、フロントアームの後端部を車体の重心より後方へ配置したので、従来のようにエンジン前方の車体フレームへ支持させる場合と比べてフロントアームを遥かに長くでき、トレール変化を可及的に少なくできる。
【0012】
また、このフロントアームの後端部を車体重心よりも後方へ配置し、かつここでフロントアームの後端部と車体を前輪側の緩衝部材で連結することにより、フロントアームの後端部及び緩衝部材を車体中心部分の比較的大きな空間内へ配置可能になるので、レイアウトの自由度が大きくなり、かつフロントアームや緩衝装置の少なくとも一部をなす緩衝部材を車体フレーム前部へ取付けないため、車体フレーム前部側におけるフロントアーム取付のための補強構造を無用にして、この部分における重量増加を抑制できる。
【0013】
このため、揺動自在のフロントアームを備える形式の前輪懸架装置を採用しても、車体中央部へのマスの集中を図ることができ、車体の基本的な設計条件を満足させることができる。
【0014】
さらに、フロントアーム後端部に連結する緩衝部材をエンジン後方へ配置したので、一般的にエンジンと重なる位置にある車体重心よりフロントアーム後端部が後方となる。このため、前記第1発明の諸効果を享受できるとともに、比較的重量のある緩衝部材をエンジン後方へ配置することにより、車体中央部に対するマスの集中をより強くでき、かつ操舵時の回動中心へ大きな荷重が加わらないため、操舵荷重を軽減できる。
【0015】
第2の発明によれば、前輪懸架装置側の緩衝部材をエンジン後方へ配置することにより、後輪懸架装置の緩衝部材近傍に配置するため、車体中央部に対するマスの集中を極めて強くでき、操舵荷重をより軽減できる。
【0016】
第3の発明によれば、車体に対するフロントアームとリヤアームの各支持部を共通軸にしたので、部品点数を削減し、構造を簡単にできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1乃至図10に基づいて一実施例を説明する。図1は実施例に係る自動2輪車の車体前側要部における側面図、図2はこの自動2輪車全体の外観側面図、図3はその平面図、図4はフロントフォークの正面図、図5は上部ジョイントの拡大断面図、図6は下部ジョイントの拡大断面図、図7はフロントアームのピボット部構造を示す断面図、図8はフロントアーム後部側における分解斜視図、図9はセンターフレーム後部における取付構造を示す分解斜視図、図10はフロントアームにおけるピボット部の最適範囲を示す概略図である。
【0018】
まず、図2に基づいて自動2輪車全体の概要を説明する。前輪1はフロントフォーク2の下端部に支持され、フロントフォーク2の上端部はハンドル3が取付けられたステアリングヘッド4へ摺動自在に支持されるとともに、このステアリングヘッド4は車体フレーム5の上端部に設けられた上側ホルダ部6aに対して上部ジョイントAにより連結され、後述するキャスター軸線Cの回りに回動自在並びに前後方向へ揺動自在になっている。
【0019】
ステアリングヘッド4は、詳細を後述するが、テレスコピック式フロントフォークを採用した従来の自動2輪車において左右のフロントフォークの各上端部を連結するために使用されるトップブリッジに相当する部材である。但し、従来のトップブリッジと比べて遥かに小型化されている。
【0020】
上側ホルダ部6aは車体フレーム5の上端部に設けられたボックス状部6の上端部と一体に形成されて前方へ突出している部分であり、前記従来のテレスコピック式フロントフォークを採用した自動2輪車においてトップブリッジ連結用に設けられるヘッドパイプに相当する部分であるが、このヘッドパイプと比べれば、遥かに小型化されている。なお、上側ホルダ部6aはボックス状部6と別体に形成し、後加工で取付け一体化することもできる。
【0021】
車体フレーム5はボックス状部6の前側部分から車体中心に沿って下方へ延びるダウンフレーム7と、ボックス状部6の後部左右から下方へ延びる左右一対のセンターフレーム8及びダウンフレーム7とセンターフレーム8を連結する補強フレーム9、センターフレーム8の中間部から左右一対で後方へ延出するシートレール10、このシートレール10の後部とセンターフレーム8の下端部に取付けられたステップホルダ11とを結ぶリヤステイ12とで構成されている。ステップホルダ11とリヤステー12はそれぞれ左右一対で設けられている。
【0022】
ボックス状部6は、上側ホルダ部6aを頂点とし、ダウンフレーム7及びセンターフレーム8の各接続部から上側ホルダ部6aへ向う線を3つの稜線とする、略三角錐形状になっている。また、ダウンフレーム7及びセンターフレーム8もそれぞれ、側面視又は平面視で見たときこれらの稜線の延長線に沿って配設されるため、ボックス状部6、ダウンフレーム7及びセンターフレーム8で構成される車体フレーム前部全体が略三角錐形状部をなし、ダウンフレーム7及びセンターフレーム8並びに上側ホルダ部6aへ集合するそれぞれの延長部が三つの稜線部に相当している。。
【0023】
車体フレーム5の下部にはエンジン13が支持されている。エンジン13のシリンダ部14はダウンフレーム7とセンターフレーム8及び補強フレーム9の間に囲まれて配設され、ダウンフレーム7はシリンダ部14の前方を車体中心CT(図3)に沿って上下方向へ配設され、左右のセンターフレーム8はシリンダ部14の後方を車体中心CTの左右に分かれて上下方向へ配設されかつ下へ向って互いに左右方向へ拡開するように配設されている。
【0024】
クランクケース15は、前部がマウントブラケット16を介してダウンフレーム7の下端部と連結され、後部もステー17を介してセンターフレーム8の下端部と連結されている(詳細後述)。
【0025】
フロントフォーク2は、その中間部で前輪1の外部すなわち本実施例では前輪1の上方部分において、前輪懸架装置を構成するフロントアーム18と下部ジョイントBでキャスター軸線Cの回りに回動自在かつフロントフォーク2を前後方向並びにフロントアーム18の前端側を上下方向へそれぞれ揺動自在になるように連結されている。
【0026】
フロントフォーク2はハンドル3を左右へ回動操作することにより、上部ジョイントAB間を結ぶキャスター軸線C(図2)の回りに回動して前輪1を転舵自在であり、上部ジョイントA及び下部ジョイントBはそれぞれ車体中心CT上に設けられている(図3)。
【0027】
フロントアーム18は、下部ジョイントBから後方へ延びて中間部がシリンダ部14後方のクランクケース15上部で揺動自在に支持され、さらにその後端部はクランクケース15の後方に配置された前輪懸架装置の緩衝器19の上端部と連結されている。
【0028】
さらに、クランクケース15の後端部には後輪懸架装置を構成するリヤアーム20の前端部がピボット21で揺動自在に連結されている。リヤアーム20の後端部には後輪22が支持され、そのドリブンスプロケット23とクランクケース15のドライブスプロケット24とにチェーン25が巻回されている。
【0029】
また、リヤアーム20の中間部とクランクケース15との間に後輪懸架装置の緩衝器26が配設されている。緩衝器19及び26はクッションスプリングと油圧ダンパを組み合わせたて一体化した公知のユニット型緩衝装置である。
【0030】
図中の符号27は燃料タンク、28はシート、29aは気化器、29bはエアクリーナである。
【0031】
次に、前輪懸架装置の構造を詳細に説明する。フロントフォーク2は本願発明における伸縮部材を構成し、図4にも明らかなように、前輪1の左右を挟み前輪車軸1aを介して前輪1を下端部で支持する左右一対のボトムパイプ30と、これらの各上端部を前輪1の外側(上方)で連結するボトムブリッジ31と、このボトムブリッジ31から上方へ延びるステムパイプ32とを備えている。なお、ボトムパイプ30は必ずしもフォーク形状をなす必要はなく、左右いずれか側のみとする片持式の部材であってもよい。
【0032】
ステムパイプ32は、ボトムブリッジ31の車幅方向中央部に下端部を取付けられ、車体中心に沿って上方へ延びる1本のパイプ状部材であり、フロントフォーク2は前輪1の外側すなわち本実施例では上側において、左右一対のボトムパイプ30から1本のステムパイプ32へ変化している。ステムパイプ32の上端部側は、ステアリングヘッド4を構成するガイドパイプ33へ嵌合し、前輪1の上下動に応じてガイドパイプ33内を上下方向へ摺動自在になっている。ステムパイプ32とガイドパイプ33は、本願発明における伸縮部材の伸縮部を構成している。
【0033】
相対的に伸縮動するステムパイプ32とガイドパイプ33の間はリンク機構により連結されている。すなわち、ボトムブリッジ31の前端部とガイドパイプ33の前側下端部間は、連結軸34で連結された一対のリンク35,36で連結されている。リンク35の上端部はガイドパイプ33の前部表面に一体形成された突起37に連結軸37aで取付けられ,リンク36の下端部はボトムブリッジ31の前部中央に一体形成された突起38に連結軸38aで取付けられている。
【0034】
図5は上部ジョイントAの構造を詳細に示す図であり、上部ジョイントAはステアリングヘッド4の上端部と上側ホルダ部6aとをピロー式ジョイントで連結する構造になっている。
【0035】
この図に明らかなように、ステアリングヘッド4の上部にはボス40が設けられ、ここに外周面が曲面をなすピローボール41がボルト42で取付けられている。ピローボール41はアウターリング43の内周側へ嵌合され、さらにアウターリング43は上側ホルダ部6aの軸受穴44内へ収容されてサークリップ45で抜け止めされるとともに、上方を蓋46で閉じられている。
【0036】
アウターリング43の内周面は、ピローボール41の外周面を摺動自在にする凹曲面をなすため、ガイドパイプ33はピローボール41を介して、回動自在に連結されている。
【0037】
また、ステアリングヘッド4におけるガイドパイプ33の上端部前側には、ハンドルホルダ47が一体に設けられ(図4参照)、ここにハンドル3がハンドルブラケット48で取付けられている。ハンドルブラケット48はハンドルホルダ47へボルト止めされる。
【0038】
一方、下部ジョイントBも上部ジョイントAと同様な構造をなしている。すなわち、図1及び図3に示すように、ボトムブリッジ31の車幅方向中央部後ろ側にはボス50が後方へ突出して設けられ、ここにフロントアーム18を構成するアーム前部18aの前端部である下側ホルダ部51が下部ジョイントBにより連結されている。
【0039】
この下部ジョイントBは、上部ジョイントAと同じピローボール式である。図6はこのジョイント構造を示す図3の6−6線に沿う断面図である。この図において、アーム前部18aの下側ホルダ部51には上下へ貫通して形成された軸受穴44aが設けられ、これに予めボトムブリッジ31のボス50へボルト42aで取付けられたピローボール41aが下方から嵌合され、下側でサークリップ45aにより抜け止めされている。図中の符号43aはアウターリング、46aは軸受穴44aの上部開口を覆う蓋である。なお、各構成部品の構造は上部ジョイントAと同様であるから詳細説明を省略する。
【0040】
フロントアーム18は、図3に示すように、平面視が前方へ突の略V字状をなし、下側ホルダ部51から左右へ拡開しながらダウンフレーム7並びにシリンダ部14の各側方を通って後方へ延びる左右一対のアーム前部18aと、その各後端部52の上部から略水平に屈曲して車体幅方向を相手側へ向って一体に突出する連結アーム53a,53bと、これら各連結アーム53a、53bの端部へ一体に形成された連結部56a、56b及びこれら各連結部56a、56bと取付一体化された支持アーム57からなる。
【0041】
図7は、連結アーム53a,53b部分のクランクケース15並びに支持アーム57に対する取付構造を示す図3の7−7線相当断面図、図8はこの取付構造における分解斜視図である。これらの図に示すように、アーム前部18aの各後端部52で、連結アーム53a,53bの基部下方には、取付穴52a、52bが形成され、これらの穴をクランクケース15と一体に形成されて上方へ突出しているボス54a、54bの各軸受け穴54c、54dと一致させ、結合軸55で相互に連結されている。
【0042】
この結合軸55は長尺のボルトであり、その一端に外周面がネジ部をなす頭部55aが形成され、取付穴52b内でナット55bにより調節自在に固定されるアジャスターをなすとともに、他端は取付穴52aを貫通してナット55cで締結される。
【0043】
符号55dは結合軸55の中間部周囲に外嵌されるカラー、55eはボス54aの軸受け穴54c内へ嵌合されたボールベアリング、55fはその抜け止めをなすサークリップ、55gはカラーである。同様に、符号55hはボス54bの軸受け穴54d内へ嵌合されたニードルベアリング、55jはカラー、55kはその周囲へ外嵌されるダストシールである。
【0044】
連結部56a、56bは、車幅方向において緩衝器19と緩衝器26を並設するため,平面視で車体中心より車体左側寄り位置に設けられており、連結アーム53a、53bの各対向端部において側面視略扇形をなし(図8)、一方の連結部56aにナット部56cが、他方の連結部56bにボルト通し穴56dが設けられている。ボルト通し穴56dの内径はボルト57cの頭部外径よりも微少寸法だけ大きくなっている。
【0045】
左右一対をなす支持アーム57は、前後方向へ長く配設され、後端部間に緩衝器19の上端部へ設けられている軸受けボス部58を左右から挟むことのできる間隔をもって平行し、この間隔に等しい長さのカラー57aが一方の支持アーム57の前端部に形成されている。このカラー57aの取付けられている部分並びに他方の支持アーム57の前端部対向位置にはボルト通し穴57b(図7)が設けられている。
【0046】
そこで、左右の連結部56a、56b間に一対の支持アーム57の各前端部を入れ、カラー57aにより所定間隔を保つとともに、カラー57a、各ボルト通し穴57b及び同56dを一致させてボルト57cを通してナット部56cへ締結すれば、左右の支持アーム57の各前端部が、左右の連結部56a、56bとカラー57aを介して所定間隔で連結され、左右の支持アーム57が結合軸55を中心にしてフロントアーム18と一体回動するようになる。
【0047】
左右の支持アーム57の各後端部は、緩衝器19の軸受けボス部58を左右から挟み、それぞれに形成されているボルト通し穴57d及び5eをボス部58の穴と一致させて、ボルト59及びナット59aで締結されることによりボス部58と回動自在に連結されている。
【0048】
なお、緩衝器19の下端部に設けられた取付部60はクランクケース15の後端部下部から一体に設けられて後方へ延出するブラケット61へ軸62で回動自在に連結されている(図1)。
【0049】
したがって、前輪1の上下動は、ボトムパイプ30を経て、フロントアーム前部18aへ伝達されることにより、結合軸55を中心とするフロントアーム18の回動を生じ、さらにこのフロントアーム18と一体に回動する支持アーム57から緩衝器19へ伝達されて緩衝される。
【0050】
このとき、フロントアーム18は従来の一般的なピボット位置に相当するダウンフレーム7を越え、さらにシリンダ部14の側方を越えて、シリンダ部14後方のクランクケース15上へ中間部を支持され、その後部側は連結部56a、56b及び支持アーム57を介してクランクケース15の後方まで延びているので、フロントアーム18の長さは従来と比べて著しく長くなる。
【0051】
なお、結合軸55はフロントアーム18のピボット部回動中心をなすピボットボルトであり、車体重心G(図2)より後方に位置し、本実施例では車幅方向へ長く配設されたクランク軸15aとリヤアーム20のピボット21との間に位置している。
【0052】
一方、後輪懸架装置の緩衝器26はその上端部の連結部63が、平面視で車体右側寄り位置に前後方向へ配設された支持アーム64の後端部へボルト65によって支持されている(図3)。支持アーム64は側面視で前下がりに設けられ、その前端部は左右のセンターフレーム8間に設けられ、支持アーム57の下方を交差しているクロスパイプ66へ溶接されている。このクロスパイプ66の左右両端はそれぞれセンターフレーム8へ溶接されている。但し、クランクケース15へ支持させることもできる。
【0053】
ステップホルダ11はボルト70でセンターフレーム8の下端部へ取付けられ、かつピボット21と同軸上でボルト71によりランクケース15へ取付けられている。ステップホルダ11の中間部にはリヤステー12の前端部がボルト72で取付けられている。
【0054】
また、ステップホルダ11の後端部にはステップ73が設けられ、その近傍にはリンク式のチェンジペダル74が軸75で回動自在に取付けられている。
【0055】
図9は、センターフレーム8をクランクケース15のステー17へ連結する構造を詳細に示すための斜視図である。この図に明らかなように、ステー17に設けられた各ボルト通し穴17aは、それぞれ左右のセンターフレーム8に貫通して設けられたカラー8a並びに左右のステー17間に配置される長尺のカラー78とそれぞれ一致され、一方側から通された長尺ボルト77と他方側のナット76で締結一体化され、ステー17を介してこれと一体のクランクケースへ強固に取付けられている。
【0056】
次に、本実施例の作用を説明する。図1に示すように、このフロントフォーク2は、上部ジョイントA、下部ジョイントB及びアーム前部18aのクランクケース15に対する揺動支点となる結合軸55の3点を自由節とし、上部ジョイントAB間のガイドパイプ33とステムパイプ32を伸縮自在のリンクとするリンク機構を構成する。
【0057】
そこで前輪1が上下動すると、その動きはこれと一体に上下動するボトムパイプ30に追随して上下方向へ揺動するフロントアーム18を介して緩衝器19に伝達されることにより緩衝される。
【0058】
このとき、ステムパイプ32の上部はガイドパイプ33に案内されて上下へ摺動し、かつ上下方向へ揺動するフロントアーム18の下側ホルダ部51によりフロントフォーク2は上部ジョイントAを中心に前後方向へ揺動するので、図2に示すように、キャスター軸線Cによって決まるキャスター角θを変化させ、これに伴って、キャスター軸線Cの地面との交点と前輪1の接地点間の距離であるトレールTも変化する。
【0059】
しかしながら、フロントアーム18の長さは従来と比べて著しく長くなっているので、その揺動に伴うフロントフォーク2の前後方向への揺動量は著しく少なくなり、、その結果、キャスター角θの変化が少なくなり、前輪1のトレールTの変化も小さくなる。
【0060】
また、上部ジョイントA及び下部ジョイントBが車体中心上に設けられているので、前輪1の上下動に伴う、ボトムパイプ30の上下動、これに追随するアーム前部18aの結合軸55を中心とする上下方向の揺動、並びにフロントフォーク2の上部ジョイントAを中心とする前後方向の揺動は、それぞれ車体中心と平行になり、キャスター軸線Cは常時車体中心CT(図3)上にある。
【0061】
したがって、ハンドル3を左右へ回動させると、フロントフォーク2はキャスター軸線Cの回りに回動し、前輪1を自由に転舵させることができる。しかも、転舵時の回動中心がピローボールで構成されるため、操舵荷重を軽減できる。
【0062】
そのうえ、ガイドパイプ33は単にステムパイプ32の上部における摺動をガイドするだけであり、前輪1側からの衝撃荷重やこじり等の加わるおそれが少ないので、必要以上に剛性アップしなくて済み、小型・軽量化できる。この点は上側ホルダ部6aも同様であり、従来の自動2輪車に採用されているヘッドパイプと比べて著しく小型・軽量化している。
【0063】
また、フロントアーム18をクランクケース15へ支持させたので、ダウンフレーム7や上側ホルダ部6a等の車体フレーム側へ前輪1側の衝撃荷重が加わらず、これらの車体フレーム側における特別な支持構造を不要にでき、かつ補強構造を不要にできるので、車体フレーム5の重量化並びに複雑化を回避し、フロントアーム18の支持構造を簡単にできる。
【0064】
さらに、フロントアーム18のピボット位置(55)を車体重心Gよりも後方に配置し、支持アーム57や重量物である緩衝器19をクランクケース15の後方で車体の略中央部へ配置し、かつ重量物である緩衝器19と同26を左右方向へ並設してほぼ同じ位置へ配設することにより、略車体中心へマスの集中を図ることができ、自動2輪車における車体設計の基本的要請を満足させることができる。
【0065】
同時に、本来緩衝器26のために予め確保されている空間を利用して緩衝器19等を並設配置するので、これらの部品の配設スペース確保が容易になり、レイアウトの自由度が大きくなる。
【0066】
しかも、一方の緩衝器19を略直立状に配設し、他方の緩衝器26を大きく寝かせて配設することにより、この空間を有効に利用して並設を可能にすることができ、かつ各緩衝器19、26の上部に対する支持部の位置をほぼ一致させることができる。
【0067】
そのうえ、クランクケース15に対するピボット部が設けられるアーム前部18aの後端部52と緩衝器19とを、連結部56a、56b及び支持アーム57を介して連結したので、レバー比を自由に設定でき、懸架装置におけるクッション特性の選択範囲を大幅に拡大できる。
【0068】
なお、フロントアーム18のピボット位置(55)は一定の範囲で任意に設定できる。図10はフロントアーム18におけるピボット位置(55)の最適範囲を交差する斜線により示す概略図であり、この範囲Dは車体重心Gとリヤアーム20のピボット21との間である。
【0069】
フロントアーム18のピボット位置(55)がこの範囲D内にあれば、アンチダイブ効果、レイアウトの自由度向上、配設スペースの確保、マスの集中等、いずれの効果も奏することができる。なお、クランク軸15a(図1参照)とリヤアーム20のピボット21との間に位置すれば特に好ましい配置となる。
【0070】
図11は第2実施例の概要を示す図であり、この例では、フロントアーム18とリヤアーム20を共通軸であるピボット21によりクランクケース15へ連結している。このようにすれば、フロントアーム18及びリヤアーム20の車体側に対する各連結は、従来別々にピボット部を設け、それぞれにベアリングを必要としていたところ、ピボット部を共用化し、ベアリングの使用を削減できるので、フロントアーム18及びリヤアーム20の各連結構造を簡略化し、かつ部品点数を削減でき、その結果、コストダウンも可能になる。
【0071】
但し、フロントアーム18、リヤアーム20の連結相手はクランクケース15に限定されず、図12の第3実施例に示すようにセンターフレーム8等の車体フレーム5へピボット21を共通軸にして取付けることもできる。但し、フロントアーム18とリヤアーム20を共通軸でなく別々の軸で車体フレーム5側へ連結することも当然に可能である。
【0072】
なお、これらの実施例では、緩衝器19や同26を省略してあるが、これらを第1実施例のように設けることができる。この場合、緩衝器19の下端部をクランクケース15でなくリヤステー12等の車体フレーム5側へ支持させることもでき、また緩衝器26の上端部をクランクケース15及びシートレール10やリヤステー12等の車体フレーム5側へ支持させることもできる。さらに、緩衝器19をより前方の適宜位置に配設することもできる。
【0073】
図13に示す第4実施例では、緩衝器として、ダンパーとクッションスプリングが別体になった構造を採用している。この例ではフロントアーム18と車体フレーム5の間にフロントダンパー80を介装し、フロントアーム18の後端部はリンク81を介して下リンクレバー82の一端へ連結される。下リンクレバー82の他端は車体の略中央部へ上下方向に配設された大型のフロントクッションスプリング83の下端部へ当接される。
【0074】
フロントクッションスプリング83の上には略同軸でリヤクッションスプリング84を重ね、その上端部へ上リンクレバー85の一端部を当接し、上リンクレバー85の他端はリンク86をを介してリヤアーム20の前部と連結される。
【0075】
フロントクッションスプリング83及びリヤクッションスプリング84はリヤアーム20の前部側において上下方向へ配設され、側面視でリヤアーム20と交差状をなす。
【0076】
リヤアーム20の中間部はリヤダンパ87を介して車体フレーム5側へ連結される。なお、図中の符号、P1はフロントアーム18の中間部に設けられるピボットであり、P2,P3は各リンクレバーの回動支軸であり、いずれも車体フレーム5又はエンジンに対して各部材を回動自在に支持するようになっている。
【0077】
このようにすると、ダンパー80、87よりも一般的に重量の大きなフロントクッションスプリング83及びリヤクッションスプリング84を各ダンパーと分離して車体中心部へ配設できるため、やはりマスの集中を図ることができる。
【0078】
なお、フロントクッションスプリング83とリヤクッションスプリング84の特性をほぼ同じにできる場合には、単一のバネとして構成し、さらに部品点数を削減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係る車体要部側面図
【図2】 その平面図
【図3】 第1実施例に係る自動2輪車の全体側面図
【図4】 フロントフォークの正面図
【図5】 上部ジョイントの構造を示す拡大断面図
【図6】 下部ジョイントの構造を示す拡大断面図
【図7】 フロントアームのピボット部構造を示す断面図
【図8】 フロントアーム後部側における分解斜視図
【図9】 センターフレーム後部における取付構造を示す分解斜視図
【図10】フロントアームの最適ピボット範囲を示す概略図
【図11】第2実施例に係る概略図
【図12】第3実施例に係る同様図
【図13】第4実施例に係る同様図
【符号の説明】
1:前輪、2:フロントフォーク、3:ハンドル、4:ステアリングヘッド、5:車体フレーム、6a:上側ホルダ部、7:ダウンフレーム、8:センターフレーム、10:シートレール、13:エンジン、14:シリンダ部、15:クランクケース、18:フロントアーム、19:緩衝器、20:リヤアーム、21:ピボット、26:緩衝器、30:ボトムパイプ、31:ボトムブリッジ、32:ステムパイプ、33:ガイドパイプ、56:連結部、57:支持アーム
Claims (3)
- エンジンとこれを支持する車体フレームとからなる車体と、この車体に一部を揺動自在に支持されかつ前端側が車体の前方へ延出するフロントアームと、このフロントアームを介して支持された前輪と、前端部が車体へ揺動自在に支持されたリヤアームと、このリヤアームの後端部へ支持された後輪とを備える自動2輪車において、
前輪側の緩衝部材を前記エンジンの後方へ配置し、
前記フロントアームの後端部を車体重心より後方へ延出させるとともに、
フロントアームの後端部と車体との間に前輪側の緩衝部材を連結させたことを特徴とする自動2輪車の前輪懸架装置。 - フロントアーム後端部に連結される前輪側の緩衝部材を後輪懸架装置の緩衝部材近傍に配置したことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の前輪懸架装置。
- 前記フロントアームとリヤアームの車体に対する各支持部を共通軸にしたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の前輪懸架装置。
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