JP4107211B2 - 滅菌液供給装置 - Google Patents
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Description
上記蠕動式ポンプやその他のポンプでは、滅菌液に何等かの吸引圧が作用するが、過酸化水素水などの滅菌液は比較的気泡が生じやすく、送液速度が速いほど気泡が発生しやすかったものである。このように滅菌液に気泡が発生すると計量精度が低下することになる。
そこで、気泡の発生を抑制して滅菌液を送液するようにした従来の装置として、例えば特許文献1が知られている。この特許文献1の装置においては、通気式アキュームレータを設けて、リザーバからアキュームレータへ低速で送液して気泡の発生を防止しつつ、発生した気泡は通気式のアキュームレータで放出するようにしてあり、アキュームレータからは蒸発器との圧力差により送液するように構成している。
そこで、本発明の目的は、気泡の発生を防止して高精度に必要量の滅菌液を計量するとともに、高精度に定量送りできる構成の簡単な滅菌液供給装置とすることである。
滅菌液を収容した容器から滅菌液を吸引して蒸発器に送液する容積式ポンプと、
この容積式ポンプと容器および蒸発器との連通状態を切り換える弁機構と、容器内の滅菌液を加圧する加圧手段を備え、上記容積式ポンプが容器から滅菌液を吸引する際には、上記加圧手段により容器内の滅菌液を加圧するようにしたものである。
したがって、高精度に必要量の滅菌液を計量するとともに、構成が簡単で高精度に定量送りができる滅菌液供給装置を提供することができる。
滅菌液供給装置3によって過酸化水素水Aが蒸発器2へ供給されると、該蒸発器2内で過酸化水素水Aが気化して過酸化水素Bが発生するようになっている。蒸発器2には送風機5を取り付けてあり、蒸発器2で発生した過酸化水素Bは送風機5によって外部へ送り出された後に導管4を介して図示しないアイソレータや滅菌庫へ供給されるようになっている。
圧力室7は内部を密閉可能になっており、図示しない開閉扉を介して圧力室7内に容器6を搬入できるようになっている。
また、圧力室7内は導管12を介して圧縮空気供給機構11と連通しており、導管12を介して圧縮空気供給機構11から圧力室7内に圧縮空気を供給して、圧力室7内を所定圧力に加圧して陽圧に維持するようになっている。
さらに、圧力室7内は別の導管13を介してベロフラムポンプ8のシリンダ8Aと連通させてあり、この導管13の一端13Aは圧力室7内において鉛直下方に向けて支持されている。
容器6内には35%希釈した過酸化水素Aを500ml収容してあり、この容器6のキャップを取り外してから図示しない開閉扉を介して圧力室7に容器6を搬入するとともに、上記導管13の一端13Aを容器6内の過酸化水素水A中に、容器6の底近くまで挿入させるようにしている。なお、本発明における滅菌とは、広義には殺菌を含むものであって、本発明による滅菌液は、滅菌および殺菌機能を有する液を指し、広義には殺菌液を含むものである。
圧力室7とベロフラムポンプ8とを連通させた導管13の途中には、第1電磁開閉弁15を設けてあり、この第1電磁開閉弁15の開閉作動は図示しない制御装置によって制御されるようになっている。制御装置によって第1電磁開閉弁15が閉鎖されると圧力室7とベロフラムポンプ8との連通が阻止され、他方、制御装置によって第1電磁開閉弁15が開放されると圧力室7とベロフラムポンプ8とが連通するようになっている。
導管13における導管16の一端16Aの接続位置には、導管18の一端を接続してあり、その他端は容器6内に連通させている。この導管18の途中には第3電磁開閉弁19を設けており、この第3電磁開閉弁19は過酸化水素水Aの供給動作中は常時閉鎖されており、それに先立って行われるエア抜き操作において開放される。
このベロフラムポンプ8は、シリンダ8Aと、それに摺動自在に嵌合したピストン8Bと、制御装置によって作動を制御されてピストン8Bを進退動させるアクチュエータ8Cとを備えており、シリンダ8Aとピストン8Bの間をベロフラムによりシールしている。本実施例においては、ベロフラムポンプ8で吸引する過酸化水素水Aの量は、1回分の滅菌作業に必要な過酸化水素Bを蒸発器2で発生させるだけの過酸化水素水Aの液量と同一となるように設定している。
このベロフラムポンプ8のアクチュエータ8Cの作動も図示しない制御装置によって制御するようになっている。制御装置は、第1電磁開閉弁15を開放し、かつ第2電磁開閉弁17を閉鎖した状態において、ベロフラムポンプ8のアクチュエータ8Cを作動させてピストン8Bを最も前進した原点位置から所要量だけ後退した移動位置まで移動させて吸引作動を行わせるようになっている。これにより、導管13を介して容器6内の過酸化水素水Aが所定量だけベロフラムポンプ8のシリンダ8A内に吸引されるようになっている。
この後に、制御装置によって第1電磁開閉弁15が閉鎖されるとともに第2電磁開閉弁17が開放されてから、制御装置はベロフラムポンプ8のアクチュエータ8Cを介してピストン8Bを上記移動位置から原点位置へ復帰するように移動させる。これにより、ベロフラムポンプ8のシリンダ8Aから導管13および導管16を介して過酸化水素水Aが蒸発器2内へ送液されるようになっている。
先ず、過酸化水素水Aを収容した容器6からキャップを取り外した後、図示しない開閉扉を開放して圧力室7内に容器6を搬入し、導管18の先端を容器6の開口に位置させるとともに、該容器6内の過酸化水素水A内に導管13の一端13Aを挿入する。
容器6を圧力室7内に位置させたら、蒸発器2へ過酸化水素水Aを供給する
のに先立ち、導管13に存在するエアを抜いて過酸化水素水Aで満たすエア抜き操作を行う。
このエア抜き操作を行うには、開閉扉を閉鎖した状態で圧縮空気供給機構11から圧力室7内へ所定圧力の圧縮空気を供給し、圧力室7内が陽圧となる所定圧力に維持されている状態において、制御装置は第2電磁開閉弁17および第3電磁開閉弁19を閉鎖する一方、第1電磁開閉弁15を開放するとともに、アクチュエータ8Cによりベロフラムポンプ8のピストン8Bを原点位置から所定の移動位置まで移動させる。
このベロフラムポンプ8の吸引動作により、導管13に存在するエアおよび容器6内の過酸化水素水Aがベロフラムポンプ8のシリンダ8A内に吸引される。
これにより導管13内は過酸化水素水Aで満たされた状態となる。このエア
抜き操作におけるベロフラムポンプ8の吸引量は、導管13に存在するエアの容
積量を上回り、導管13内を満たすに充分な量の過酸化水素水Aを容器6内から吸引するよう設定されている。
その後、制御装置は第2電磁開閉弁17を閉鎖した状態で、第1電磁開閉弁15を閉鎖する一方、第3電磁開閉弁19を開放し、アクチュエータ8Cを作動させてベロフラムポンプ8のピストン8Bを原点位置まで移動させて、ベロフラムポンプ8に吸引されたエアおよび過酸化水素水Aを導管18を介して容器6に押
し出す。この際、エアを押し出しやすくするために圧縮空気供給機構11による
圧縮空気の供給を停止させ、圧力室7を大気に開放して減圧するようにしている。
また、ベロフラムポンプ8はシリンダ8B内のエアが確実に押し出されるように、
導管13と接続される入出口が上方を向くように配置されている。これにより、エアは第1電磁開閉弁15以降の導管13および導管18を流通して圧力室7内
に放出され、導管13の全域が過酸化水素水Aで満たされた状態となる。
エア抜き操作が終了したら、再度、圧縮気体供給機構11から圧力室7内へ所定圧力の圧縮空気を供給し、圧力室7内を陽圧となる所定圧力に維持された状態とする。この状態において制御装置は第3電磁開閉弁19を閉鎖するとともに、第2電磁開閉弁17を閉鎖したまま、第1電磁開閉弁15を開放する一方、アクチュエータ8Cによりベロフラムポンプ8のピストン8Bを原点位置から所定の
移動位置まで移動させる。
このベロフラムポンプ8の吸引動作により、容器6内から1回分の使用量に相当する量の過酸化水素水Aが、ベロフラムポンプ8のシリンダ8A内に吸引される。
この吸引動作時の過酸化水素水Aの流量は、例えば120gの使用量に対して720g/分(120g/10秒)となるように設定している。
このようにベロフラムポンプ8によって過酸化水素水Aを吸引する際には、圧力室7内の陽圧の圧縮空気Cによって容器6内の過酸化水素水Aが加圧されているので、ベロフラムポンプ8の吸引動作によって過酸化水素水Aに気泡が発生することを防止することができる。そのため、ベロフラムポンプ8に短時間で過酸化水素水Aを吸引することができる。
そして、ベロフラムポンプ8による必要量の過酸化水素水Aの吸引が完了したら、制御装置は第1電磁開閉弁15を閉鎖する一方、第2電磁開閉弁17を開放させてからアクチュエータ8Cによりピストン8Bを原点位置に向けて移動させる。これにより、導管13および導管16を介してベロフラムポンプ8から蒸発器2へ過酸化水素水Aが吐出される。本実施例では、この時の過酸化水素水Aの流量は、例えば2g/分(120g/60分)としている。つまり、過酸化水素水Aを吸引する場合と比較して極めてゆっくりと過酸化水素水Aを蒸発器2に吐出するようにしている。
このようにして、蒸発器2に過酸化水素水Aを送液するようにしてあり、蒸発器2内ではベロフラムポンプ8から徐々に送液された過酸化水素水Aが滴下され、蒸気化されて過酸化水素Bが発生する。そして、蒸発器2内で発生した過酸化水素Bは、送風機5によって蒸発器2の外部へ排出されて、導管4を介して図示しないアイソレータや滅菌庫へ供給される。
なお、ベロフラムポンプ8のピストン8Bが原点位置に復帰することでシリンダ8A内にあった過酸化水素水Aがすべて吐出されたことになる。これにより、一回分の過酸化水素Bを発生させるために必要な量の過酸化水素水Aが蒸発器2に供給されたことになる。
次に、図2は本発明の第2実施例を示したものである。この第2実施例は、上記第1実施例の構成を前提として、上記ベロフラムポンプ8と並列にもう一台ベロフラムポンプ8’を追加したものである。
第1電磁開閉弁15と容器6との間の導管13を導管21によってベロフラムポンプ8’のシリンダ8A’と連通してあり、この導管21を第4電磁開閉弁15’によって開閉するようにしている。また、第4電磁開閉弁15’とベロフラムポンプ8との間の導管21と上記導管16とを別の導管22によって連通させてあり、この導管22に第5電磁開閉弁17’によって開閉させるようにしている。第4電磁開閉弁15’、第5電磁開閉弁17’、第6電磁開閉弁19’および第2のベロフラムポンプ8’のアクチュエータ8C’の作動も図示しない制御装置によって制御するようにしている。その他の構成は、上記第1実施例のものと同じであり、第1実施例と同一又は相当する部分には同一の符号に「’」を付して示してある。
以上のように複数のベロフラムポンプ8,8’を備える第2実施例の滅菌液供給装置3においては、一方のベロフラムポンプ8が過酸化水素水Aの吸引動作を行っているときには、他方のベロフラムポンプ8’によって過酸化水素水Aを蒸発器2に吐出するようにしている。
このような構成とした第2実施例においては、ベロフラムポンプ8、8’を交互に切り換えて用いることにより大量の過酸化水素水Aを蒸発器2へ連続的に供給することが可能となる。
なお、この第2実施例においては、2台のベロフラムポンプ8、8’を設けているが、必要に応じて3個以上のベロフラムポンプを並列に配置しても良い。
また、上記各実施例においては、容積式ポンプとしてベロフラムポンプを用いているが、ピストン式ポンプやダイアフラムポンプ等、計量室の容積の変化に応じて吸引、吐出を行う構造のポンプであれば他のタイプのポンプを用いても良い。
6…容器 7…圧力室
8…ベロフラムポンプ(容積式ポンプ)
11…圧縮空気供給機構(気体供給手段)
14…加圧手段 A…過酸化水素水(滅菌液)
B…過酸化水素
Claims (3)
- 滅菌に使用する滅菌蒸気を発生させる蒸発器に、滅菌液を供給する滅菌液供給装置において、
滅菌液を収容した容器から滅菌液を吸引して蒸発器に送液する容積式ポンプと、この容積式ポンプと容器および蒸発器との連通状態を切り換える弁機構と、容器内の滅菌液を加圧する加圧手段を備え、上記容積式ポンプが容器から滅菌液を吸引する際には、上記加圧手段により容器内の滅菌液を加圧することを特徴とする滅菌液供給装置。 - 上記加圧手段は、通気可能に開放された容器を収納する圧力室と、この圧力室内に圧縮気体を供給する気体供給手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の滅菌液供給装置。
- 上記容積式ポンプを複数備え、いずれかの容積式ポンプによる蒸発器への送液時に他の容積式ポンプが滅菌液の吸引を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌液供給装置。
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