JP4106898B2 - モータのロック信号出力回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却ファンなどのモータがロックした場合に、コントローラ側(システム側)でロックを検知できるようにするモータのロック信号出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にパソコンやカーナビゲーション、その他の電子機器においては、CPUなどの電子部品の温度上昇を抑えるための冷却ファンを装備している。この冷却ファンは、機体に表出するように設けることが多く、このような場合、外部から冷却ファンのモータ部に異物が入り込んでモータのロータがロックすることがあり、機器の電子部品の冷却ができなくなって電子部品が正常に動作しなくなったり、あるいは電子部品が熱破壊するという問題がある。
【0003】
このようなことから、機器にはモータにおけるロータのロックを検出し、システム側において自動的にモータの電源を切断したり、あるいは安全制御回路を作動させるなどのモータロック安全手段が施されている。
【0004】
従来、前記モータロック安全手段としては、たとえば図5の従来のモータのロック信号出力回路の概略回路図に示すようにモータのドライバIC1とモータの回転を検出するホール効果素子などのロータ位置検出部品2を用い、モータの回転時は回転数に比例した回転パルス信号(たとえば2パルス/1回転FG信号)を出力させ、モータのロック時は一定電圧を出力させ、システム側においてモータのロックを検出できるようにしている。なお、図中の3はモータ巻線である。また、図示していないが、ドライバICにモータのロックを検出する専用回路を組み込み、ドライバICそのものがモータのロック時にロック信号を出力するものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のモータの回転とロックに応じて回転パルス信号と一定電圧を出力させ、これをシステム側で検出させる安全手段では、モータがロックしたときは、回転検出部品2とロータの磁極の位置関係によってHigh電圧もしくはLow電圧の一定電圧となるが、どちらの電圧になるか決まらないので、システム側においてロックの検出としては使用しにくい。また、ドライバICそのものがモータロック時にロック信号を出力し、これをシステム側で検出する安全手段では、専用のモータドライバICを必要とし、コストが高く、また、選択できるICが少ないという課題がある。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決し、簡単な回路構成で且つモータの特性を損なわずにモータのロータが回転したとき、パルスの回転信号を出力し、モータのロータがロックしたとき、ロータの位置によらず、モータのロック信号を出力できるモータのロック信号出力回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明は、モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、抵抗の順に接続して構成された微分回路と、微分回路のコンデンサと抵抗との接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果型トランジスタ(以下、FETという)と、を有し、ロータの回転時にパルスの回転信号を出力しロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することにより、簡単な回路構成で且つモータの特性を損なわずに、モータのロータが回転したときにスシテム側で回転信号を検出でき、モータのロータがロックしたときにシステム側で簡易にロックを検出できるモータのロック信号出力回路とする。
【0008】
本発明によれば、コンデンサと抵抗とFETまたはコンデンサとダイオードとFETを用いた簡単な構成の回路で、パルス信号である回転信号と一定電圧であるロック信号を確実に識別して出力することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、モータ駆動用ドライバICとロータ位置検出部品をもち、ロック信号を出力するロック信号出力回路を備えたモータ駆動回路とロータを回転させるための一相以上のモータ巻線とを有するモータにおいて、ロック信号出力回路は、モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、抵抗の順に接続して構成された微分回路と、微分回路のコンデンサと抵抗との接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果型トランジスタと、を有し、ロータの回転時にパルスの回転信号を出力しロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することを特徴とするモータのロック信号出力回路であり、モータの回転時とロック時に応じてパルス信号である回転信号と一定電圧であるロック信号を確実に識別して出力するという作用を有する。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、モータ駆動用ドライバICとロータ位置検出部品をもち、ロック信号を出力するロック信号出力回路を備えたモータ駆動回路とロータを回転させるための一相以上のモータ巻線とを有するモータにおいて、ロック信号出力回路は、モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、ダイオードの順に接続され構成された微分回路と、微分回路のコンデンサとダイオードとの接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果トランジスタと、を有し、ダイオードがグランドからコンデンサの方向へ順方向となるように接続されてコンデンサとダイオードとの接続点から出力される電圧のLow電圧がGNDレベルより所定の電圧だけ低い電圧で固定され、ロータの回転時にパルスの回転信号を出力しロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することを特徴とするモータのロック信号出力回路であり、同じくモータの回転時とロック時に応じてパルス信号である回転信号と一定電圧であるロック信号を確実に識別して出力するという作用を有する。
さらに、回転時においてFETへの入力電圧のHigh電圧はより高いHigh電圧となるので、FETは低電圧駆動のものでなくてもよく、低コストのFETが利用できるという作用を有する。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1記載のモータのロック信号出力回路の発明に加え、電解効果トランジスタの入力部に抵抗を有する構成にすることで、スイッチングスピードを調節することができるなどの効果を有する。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2記載のモータのロック信号出力回路の発明に加え、電解効果トランジスタの入力部に抵抗を有する構成にすることで、スイッチングスピードを調節することができるなどの効果を有する。
【0012】
さらに本発明の請求項5に記載の発明は、ロック時に出力される一定電圧のロック信号は、モータの電源とは別の電源からプルアップ抵抗を介して供給される電圧固定出力であることにより、モータのロック時は、システム側にモータの電源電圧とは異なるHigh固定出力を出力できるという作用がある。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載のモータのロック信号出力回路において、モータを、冷却ファンモータとしたものであり、ノート型パソコン、カーナビゲータ機器などのCPUの冷却装置に組み込んでも有効であるという作用を有する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のモータのロック信号出力回路の回路図、図2は、同モータのロック信号出力回路における各部の電圧波形図である。なお、これらの図において、前記従来の技術と同じ構成部材には従来の技術と同じ符号を付与している。
【0015】
図1に示すように、この実施の形態1のモータのロック信号出力回路は、ファンモータ回路4内に、モータのロータ位置を検出するホール効果素子などの回転検出部品2と、回転検出部品2の信号に同期させてモータ巻線3を転流(スイッチング)するドライバIC1を備え、さらにモータからの信号を受ける回転信号・ロック信号出力回路5を備えている。この回転信号・ロック信号出力回路5は、信号入力側となるコンデンサC1と、このコンデンサC1と直列で、かつ、回路上のグランドに接続された抵抗R3と、前記コンデンサC1と抵抗R3の接続点(B)を入力端子に接続したスイッチング素子であるFET6により構成されている。なお、前記コンデンサC1と抵抗R3は微分回路を構成している。図中のR1とR2はホール効果素子などよりなるロータ位置検出部品2の電流制限抵抗、R4はプルアップ抵抗である。
【0016】
上記構成において、モータの回転時はロータの回転数に比例した回転パルス信号(たとえば2パルス/1回転FG信号)を出力させ、モータのロック時はロータの磁極の位置によらず、一定電圧を出力させ、システム側においてモータのロックを検知できる。
【0017】
図2の本発明の実施の形態1のモータのロック信号出力回路における各部の電圧波形図を参照して回路動作を詳しく説明すると、モータの回転時に、モータの信号出力側の(A)点には、図2の(a)のようにドライバIC1からのモータ巻線3のスイッチング電圧波形が現れる。ただし、ドライバIC1の中で電圧ロスがあるため,LowはGNDよりも高く、HighはVcc1より少し低くなる。
【0018】
同じくモータの回転時に、コンデンサC1と抵抗R3の接続点(B)は、(A)点の電圧波形がコンデンサC1と抵抗R3の微分回路により微分されて図2の(b)のような電圧波形となる。
【0019】
Vcc1はモータの電源電圧で、ここでは冷却ファンモータを想定して、モータを5.0Vで駆動しているとする。
【0020】
FET6は、ゲートON電圧が1.0V程度の低電圧駆動のものとし、このようなFETを使用することにより、(B)点のような電圧波形でも十分にFET6をONさせることができる。これによりFET6の出力側の(C)点の電圧波形は図2の(c)のようになる。
【0021】
つぎにモータのロック時は、(B)点の電圧は、抵抗R3により落とされてGNDレベルとなり、FET6はOFFしたままとなる。これにより(C)点は図2の(d)のようにHigh固定出力となる。
【0022】
このようにして、モータの回転時とロック時を、パルス信号出力とHigh固定出力として出力することができる。なお、スイッチング素子は電圧駆動型で、かつ、低い電圧でもONするFETを用いているが、電流駆動型のトランジスタとしてもよい。また、この実施の形態1ではロック時はHigh固定出力として出力しているが、反転回路を付してLow固定出力としてもよい。
【0023】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2のモータのロック信号出力回路の回路図、図4は、本発明の実施の形態2のモータのロック信号出力回路における各部の電圧波形図である。なお、これらの図において、前記図1と同じ構成部材には図1と同じ符号を付与している。
【0024】
図3に示すように、この実施の形態2のモータのロック信号出力回路は、ファンモータ回路4内に、モータのロータの位置を検出するホール効果素子などのロータ位置検出部品2と、回転検出部品2の信号に同期させてモータ巻線3を転流(スイッチング)するドライバIC1を備え、さらにモータからの信号を受ける回転信号・ロック信号出力回路5を備えている。この回転信号・ロック信号出力回路5は、信号入力側となるコンデンサC1と、このコンデンサC1と直列で、かつ、回路上のグランドに接続されたダイオードD1と、前記コンデンサC1とダイオードD1の接続点(B)を入力端子に接続したFET6により構成されている。すなわち、この実施の形態2においては、実施の形態1における回転信号・ロック信号出力回路5における抵抗R3をダイオードD1に換えた構成となっている。
【0025】
上記構成において、モータの回転時はロータの回転数に比例した回転パルス信号(たとえば2パルス/1回転FG信号)を出力させ、モータのロック時はロータの磁極の位置によらず、一定電圧を出力させ、システム側においてモータのロックを検知できる。
【0026】
図4を参照して回路動作を詳しく説明すると、モータの回転時に、モータの信号出力側の(A)点には、図4の(a)のようにドライバIC1からのモータ巻線3のスイッチング電圧波形が現れる。ただし、ドライバIC1の中で電圧ロスがあるため,LowはGNDよりも高く、HighはVcc1より少し低くなる。
【0027】
同じくモータの回転時に、コンデンサC1とダイオードD1は(A)点の電圧波形のAC成分のみを通過させる。そしてコンデンサC1とダイオードD1の接続点(B)は、図4の(b)のような電圧波形となる。ただし、ダイオードD1によりLow電圧はGNDレベルより0.7V程度低い電圧で固定される。また、(B)点の電圧波形の振幅は、前記実施の形態1の場合の振幅と同じであるので、High電圧が前記実施の形態1の場合よりも高くなる。
【0028】
ここでFET6は、(B)点の電圧でONし、FET6の出力側の(C)点の電圧波形は図4の(c)のようになる。
【0029】
つぎにモータのロック時は、(B)点の電圧は、ダイオードD1により落とされてGNDレベルとなり、FET6はOFFしたままとなる。これにより(C)点は図4の(d)のようにHigh固定出力となる。
【0030】
このようにして、モータの回転時とロック時を、パルス信号出力とHigh固定出力として検出することができる。この実施の形態2においては、前記のようにHigh電圧が高くなるので、FETは低電圧駆動のものでなくてもよく、したがってFETのコストが安くできる。
【0031】
なお、スイッチング素子は電圧駆動型で、かつ、低い電圧でもONするFETを用いているが、電流駆動型のトランジスタとしてもよい。この実施の形態2ではロック時はHigh固定出力として検出しているが、このものもさらに反転回路を付してLow固定出力としてもよい。
【0032】
また、実施の形態1、2では単相全波駆動方式のモータを実施例としているが、本発明は、2相半波駆動方式、2相半波駆動方式、3相全波駆動方式、いずれの駆動方式でも構成することができる。また、モータ巻線のスイッチング波形をインバータ等を用いて波形整形し、モータ巻線でなく波形整形された後の回路にコンデンサを接続してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかように、本発明はモータ駆動用ドライバICとロータ位置検出部品をもち、ロック信号を出力するロック信号出力回路を備えたモータ駆動回路とロータを回転させるための一相以上のモータ巻線とを有するモータにおいて、ロック信号出力回路は、モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、抵抗の順に接続して構成された微分回路と、微分回路のコンデンサと抵抗との接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果型トランジスタと、を有し、ロータの回転時にパルスの回転信号を出力しロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することを特徴とするので、モータの回転時とロック時に応じてパルス信号である回転信号と一定でHigh電圧であるロック信号を簡単な回路で確実に識別して出力することができ、また、ドライバICも簡単な構成にできてICの損失が少なく、モータの特性を損なわないものとなり、モータのロック信号出力回路として回路構成の上から使い勝ってのよいものにすることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のモータのロック信号出力回路の回路図
【図2】本発明の実施の形態1のモータのロック信号出力回路における各部の電圧波形図
【図3】本発明の実施の形態2のモータのロック信号出力回路の回路図
【図4】本発明の実施の形態2のモータのロック信号出力回路における各部の電圧波形図
【図5】従来のモータのロック信号出力回路の概略回路図
【符号の説明】
1 ドライバIC
2 回転検出部品
3 モータ巻線
4 ファンモータ回路
5 回転信号・ロック信号出力回路
6 FET
C1 コンデンサ
R1 電流制限抵抗
R2 電流制限抵抗
R3 抵抗
R4 プルアップ抵抗
D1 ダイオード
Claims (6)
- モータ駆動用ドライバICとロータ位置検出部品をもち、ロック信号を出力するロック信号出力回路を備えたモータ駆動回路とロータを回転させるための一相以上のモータ巻線とを有するモータにおいて、前記ロック信号出力回路は、前記モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、抵抗の順に接続して構成された微分回路と、前記微分回路の前記コンデンサと前記抵抗との接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果型トランジスタと、を有し、前記ロータの回転時にパルスの回転信号を出力し前記ロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することを特徴とするモータのロック信号出力回路。
- モータ駆動用ドライバICとロータ位置検出部品をもち、ロック信号を出力するロック信号出力回路を備えたモータ駆動回路とロータを回転させるための一相以上のモータ巻線とを有するモータにおいて、前記ロック信号出力回路は、前記モータ巻線の一つの相からグランドの方向へ直列にコンデンサ、ダイオードの順に接続して構成された微分回路と、前記微分回路の前記コンデンサと前記ダイオードとの接続点から出力される電圧が入力端子に入力されて駆動する電解効果型トランジスタと、を有し、前記ダイオードが前記グランドから前記コンデンサの方向へ順方向となるように接続されて前記コンデンサと前記ダイオードとの接続点から出力される電圧のLow電圧がGNDレベルより所定の電圧だけ低い電圧で固定され、前記ロータの回転時にパルスの回転信号を出力し前記ロータのロック時に一定電圧のロック信号を出力することを特徴とするモータのロック信号出力回路。
- 前記微分回路の前記コンデンサと前記抵抗との接続点は、前記電解効果トランジスタの入力端子に抵抗を介して接続されることを特徴とする請求項1記載のモータのロック信号出力回路。
- 前記微分回路の前記コンデンサと前記ダイオードとの接続点は、前記電解効果トランジスタの入力端子に抵抗を介して接続されることを特徴とする請求項2記載のモータのロック信号出力回路。
- ロック時に出力される一定電圧のロック信号は、前記モータの電源とは別の電源からプルアップ抵抗を介して供給される電圧固定出力であることを特徴とする請求項1または2記載のモータのロック信号出力回路。
- 前記モータは、冷却ファンモータであることを特徴とする請求項1または2記載のモータのロック信号出力回路。
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