JP4106707B2 - 走査型電子顕微鏡のヒステリシス補正方法、及び走査型電子顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型電子顕微鏡の対物レンズのヒステリシスのソフトウエアによる補正、及びヒステリシス補正を用いた自動焦点合わせに関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型電子顕微鏡において像観察を行うには、対物レンズの励磁電流を一定の方向に連続的に変化させることにより対物レンズの結像位置を一定の方向に変化させて、複数の結像位置(励磁電流)における合焦状態を表す信号を取得し、この信号に基づいて合焦点における励磁電流を求めるサンプリングを行ってサンプリングした励磁電流を記録しておき、試料を観察する際にこの励磁電流を用いて焦点合わせを行っている。
【0003】
一般に、走査型電子顕微鏡の対物レンズの鉄心は磁気ヒステリシス特性を有している。図7は、磁気ヒステリシス特性を説明するための図である。対物レンズの磁極の鉄心の磁束密度Bは、磁界強度H(励磁電流I)の増減方向により異なる値となる。例えば、磁界強度Hが増加する場合(図7中のU方向)に発生する磁束密度Bと、磁界強度Hが減少する場合(図7中のD方向)に発生する磁束密度Bは、同じ磁界強度H0であってもそれぞれBU,BDとなり異なる値となる。
【0004】
この焦点合わせにおいて、対物レンズの磁極の鉄心の磁気ヒステリシス特性は、対物レンズの結像位置に励磁電流分(ΔI)のずれを生じさせる。図8(a)において、対物レンズの励磁電流に伴って合焦状態を表す信号を取得し、そのピークから合焦点時の励磁電流値を得ることができる。この合焦時において、励磁電流を増加させる方向に変化させる場合(Uで示される方向)の合焦点時の励磁電流はIUとなり、励磁電流を減少させる方向に変化させる場合(Dで示される方向)の合焦点時の励磁電流はIDとなり、励磁電流分(ΔI)のずれが生じる。
【0005】
特許文献1には、ヒステリシス特性を改善する従来技術として、対物レンズの鉄心に磁気ヒステリシスの小さなパーマロイ等の材質を使用するハードウエアによる方策や、対物レンズの励磁電流値を、合焦状態を表す信号のサンプリングの終点位置から、一旦サンプリングの初期位置に戻してから合焦位置に移行させるソフトウエアによるヒステリシス補正の方策が紹介されている。
【0006】
また、対物レンズの磁極の鉄心材料として安価な純鉄を用いる場合もあるが、この場合には磁気特性に影響を与える不純物(特に、Feに対する溶解性が悪いC,S,O,Nなど)が少ない材料が選定される。
【0007】
なお、特許文献1には、励磁電流の増減方向による合焦励磁電流値の差のデータを求めておき、このデータを用いて対物レンズの合焦励磁電流を算出して行うヒステリシス補正が記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、軸対称で中心に電子ビームを通過させるビーム孔を持ち、かつ円錐状で先端を平坦とした第1の磁極と、この第1の磁極に軸方向に対向して配設され、軸と垂直な面内で移動可能な平板磁極からなる第2の磁極とを持つ対物レンズを備え、第1の磁極のビーム孔を通過する電子ビームを集束して、第2の磁極上に搭載した被観察試料に照射し、被観察試料の像を観察する走査型電子顕微鏡のビーム軸ずれ補正において、第2の磁極の移動後、第1の磁極が発生する磁場強度を、観察時の磁場強度よりも大きくし、再び観察時の磁場強度に戻す補正方法が示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−31969号(段落番号0005)
【0010】
【特許文献2】
特開平5−258696号(段落番号0010〜0012)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
対物レンズの鉄心に磁気ヒステリシスの小さなパーマロイを使用する場合には、パーマロイが高価であること、加工に特殊な工程を要することから、安価な走査型電子顕微鏡を提供することができないという問題がある。また、純鉄は安価であるが保磁力が大きいため、ヒステリシスを除くためにはソフトウエアによるヒステリシス補正が不可欠である。
【0012】
しかしながら、従来より行われている通常使用時よりも高い励磁電流まで一旦上げてから目的の励磁電流値に下げるヒステリシス補正では、保磁力の大きな材料を使用した場合には、ソフトウエアによるヒステリシス除去操作を複数回行わなければ収束しないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、対物レンズの磁極に保磁力の大きな材質を使用した場合において、簡易で少ない回数でヒステリシス補正を行うことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従来のソフトウエアによるヒステリシス補正において、複数回のヒステリシス除去操作が必要となる原因として、ヒステリシスループの周波数依存性があることを見いだした。同じ材質の磁性材であっても、磁界強度の変化速度によって磁気特性が変わることが知られている。図7に示すように、励磁磁界の磁界強度Hの変化速度(周波数f1,f2)に応じて、異なるヒステリシスループが形成される。
【0015】
そのため、励磁電流値を変化させる変化速度が異なると、達成される磁束密度Bも異なり、複数回のヒステリシス補正を行って収束させる必要が生じる。
【0016】
この励磁磁界の磁界強度の変化速度による磁気特性の変化は、走査型電子顕微鏡の焦点合わせの精度にも影響することになり、例えば、図8(b)に示すように、変化速度(周波数f1,f2)が異なると、同じ励磁電流であっても焦点の調節状態が異なることになる。
【0017】
そこで、本発明は、ヒステリシス補正において、ヒステリシスループの周波数依存性を考慮し、励磁磁界の磁界強度の変化速度を手動操作時の励磁電流の変化速度に近づけることにより、簡易で少ない回数によるヒステリシス補正を行う。なお、磁界強度は励磁電流に比例して形成されるものとする。
【0018】
本発明の走査型電子顕微鏡のヒステリシス補正方法は、走査型電子顕微鏡の対物レンズのヒステリシスをソフトウエアで自動補正する方法であって、対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させる工程と、所定の励磁電流値から目的の励磁電流値まで下降させる工程とを含み、この下降工程において、励磁電流の変化速度を多段階で変化させる。
【0019】
通常行われるヒステリシス補正では、通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させて磁気飽和させ、その後、目的の励磁電流値まで下降させるという操作において、励磁電流の変化速度はハードウエアに依存するか、もしくは、ソフトウエアが設定する同一の値である。図9は、従来のヒステリシス補正においてソフトウエアが設定する励磁電流を説明する図であり、図9(a)に示す励磁電圧を印加することにより図9(b)に示す励磁電流が対物レンズに供給される。
【0020】
これに対して、測定条件(例えば、加速電圧やワーキングディスタンス(WD))等が変化したとき、手動で励磁電流を制御する場合には、ソフトウエアが設定する変化速度とは異なる低速で行う。そのため、この手動で求めた励磁電流値を用いて制御を行おうとしたとき、従来のソフトウエア補正のようにソフトウエアが定める速い変化速度で行うと、手動時とは異なる変化速度で励磁電流を制御となるため、ヒステリシスループの周波数依存性によりずれが生じることになる。
【0021】
本発明によるヒステリシス補正では、ソフトウエアによる励磁電流制御において、励磁磁界の磁界強度の変化速度を手動操作時の変化速度に近づけることにより、ヒステリシスループの周波数依存性によるずれ量を減少させ、ヒステリシス補正の回数を減少させる。
【0022】
本発明の他の態様は、対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させる工程と、所定の励磁電流値から目的の励磁電流値まで下降させる工程とを含み、下降工程は、予めて求めておいた手動による励磁電流の変化速度に基づいてソフトウエアによる励磁電流の変化速度を定めておき、この変化速度に従って行う。
【0023】
また、本発明の走査型電子顕微鏡の態様では、走査型電子顕微鏡の対物レンズに供給する励磁電流を制御する制御手段を備えた構成とし、制御手段は、対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させ、所定の励磁電流値から目的の励磁電流値まで変化速度を多段階で変化させて下降させる。
【0024】
制御手段は、励磁電流を走査して得られる合焦状態を表す信号がピークとなる励磁電流値を焦点合わせを行う励磁電流値とし、所定の励磁電流値から焦点合わせの励磁電流値まで多段階変化で下降させて自動焦点合わせを行う。
【0025】
励磁電流の多段階変化は、例えば、励磁電流値をステップ状に時間変化させる他に、傾斜状あるいは曲線状に変化させることができる。また、傾斜状に変化させる場合には、傾斜の程度を多段階に設定するようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明のヒステリシス補正を説明するための概略図であり、横軸を励磁電流Iとし、縦軸を磁束密度Bとしている。なお、走査型電子顕微鏡が備える対物レンズの磁極では、磁界強度は供給した励磁電流に比例して形成されるため、ここでは励磁電流により表している。
【0028】
図1励磁電流と磁束密度との関係は、ある測定条件で観察した後、次に異なる測定条件で観察する場合について示している。
【0029】
走査型電子顕微鏡において、試料に電子線を照射する電子線源の加速電圧や、試料と対物レンズとの間のワークディスタンス(WD)等の測定条件を変化させて観察を行う場合には、この測定条件に応じて電子線が集束するように、対物レンズに与える励磁電流を変化させ、焦点合わせを行う必要がある。
【0030】
このとき、従来のヒステリシス補正によって励磁電流を変化されると、変化速度が速いループL2のヒステリシス特性に従って変化する。ここで、磁束密度Bと励磁電流Iとの間の関係が一義的に定まるならば、1回の補正によってヒステリシスを除去することができるが、保磁力の大きな材質を用いた対物レンズでは、磁束密度Bと励磁電流Iとの間の関係が一義的に定まらず、前記したヒステリシスループの周波数依存性によりずれが生じるため、一回では補正することができず何度も行う必要がある。
【0031】
図1において、励磁電流I2から励磁電流I1への励磁電流変化を手動で行う場合、磁束密度はループL2ではなくループL3(図1中の破線)のヒステリシス特性に従って変化する。これは、手動により励磁電流を変化させる場合には、通常のヒステリシス補正で行う励磁電流の変化速度に比べて遅くなり、ヒステリシスループの周波数依存性によりずれが生じるためである。
【0032】
ソフトウエアによるヒステリシス補正において、この手動によるループL3に従って磁束密度を変化させるには、ループL3に近いループL1に従って磁束密度を変化させる必要がある。
【0033】
そこで、本発明では、従来の急速に励磁電流を急激に増減させる補正アルゴリズムに代えて、励磁電流の変化速度を下げ、手動操作に近いヒステリシスループを用いた補正アルゴリズムにより励磁電流を変化させる。これによれば、ヒステリシスループの周波数依存性によるずれの影響を低減させ、励磁電流の増減を何度も行うことなく、少ない回数でヒステリシス補正を行うことができる。
【0034】
手動操作に近いヒステリシスループに従って磁束密度を変化させるために、本発明は段階的に変化する励磁電流を用いる。図2は本発明が用いる励磁電流の一例を説明するために図である。なお、図2では、励磁電流を発生する電圧制御信号を示している。
【0035】
図2(a)に示す第1の形態では、例えば飽和電流等の対物レンズに対して、通常使用する励磁電流よりも大きな励磁電流を発生する制御電圧信号Vsから目的とする励磁電流I1に対応する制御電圧信号V1に向けて、制御電圧信号をステップ状に多段階で下げる。図2(b),(c)に示す第2,3の形態では、前記した制御電圧信号Vsから目的とする制御電圧信号V1に向けて、制御電圧信号を傾斜状に下げる。
【0036】
図2(c)に示す第3の形態では、傾斜を多段階とした制御電圧信号(図2(c−1))により、傾斜を多段階とする励磁電流を形成する(図2(c−2))。なお、この励磁電流の多段階傾斜において、傾斜が変化する励磁電流値を、初期状態における励磁電流I2に設定してもよい。
【0037】
次に、本発明の走査型電子顕微鏡の構成について図3を用いて説明する。
【0038】
図3において、走査型電子顕微鏡1は、電子銃5と、鏡筒2内に配置されたコンデンサレンズ3a,走査コイル3b,対物レンズ3cを含む電子光学系3と、試料室4内に配置された試料ステージ8と、二次電子検出器9と、二次電子検出器の出力画像信号を画像処理する画像処理手段10と、電子銃5及び電子光学系3を駆動する駆動手段12と、画像処理手段10及び駆動手段12を制御する制御手段11とを備える。
【0039】
走査型電子顕微鏡1において、電子銃5から射出された電子ビーム6は、電子光学系3により試料ステージ8上に載置される試料7に照射する。二次電子検出器9は、電子ビームの照射により試料7から発生した二次電子を検出する。検出された二次電子信号は、画像処理手段10により画像信号に変換されてフレームメモリに記録される。この画像信号は焦点状態を表す信号としても用いられる。
【0040】
制御手段11は、駆動手段12を制御して対物レンズ3cの励磁電流を変化させて対物レンズの結像位置を変え、二次電子検出器9が検出する二次電子信号に基づいて、各励磁電流値に対する合焦状態を表す信号を検出する。また、制御手段11は、合焦状態を表す信号から合焦点での励磁電流を求め、この励磁電流を形成する電圧制御信号を駆動手段12に指令する。このとき、制御手段11は、対物レンズ3cに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させ、所定の励磁電流値から目的の励磁電流値まで変化速度を多段階で変化させて下降させる電圧制御信号を形成する。電圧制御信号としては、例えば図2に示した信号形態とすることができる。
【0041】
制御手段11による電圧制御により、対物レンズ3cには図1に示されるループL3に従って励磁電流が付与され、初期励磁電流値I2(図中の▲4▼)から所定の高い励磁電流値Is(例えば、飽和電流値,図中の▲2▼)まで上昇した後、目的とする励磁電流I1(図中の▲3▼)まで下降する。
【0042】
このループL3による励磁は通常のヒステリシスループであるループL2よりも、目的とする励磁電流I1までを手動操作で調節した場合のループL1に近い変化速度となるため、少ない回数でヒステリシス補正を行うことができる。
【0043】
次に、本発明の走査型電子顕微鏡において、本発明の、対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の励磁電流値まで上昇させた後、所定の励磁電流値から目的の励磁電流値まで変化速度を多段階で変化させて下降させるというヒステリシス補正のアルゴリズムを、焦点合わせに適用した操作手順について、図4のフローチャート、及び図5,図6の信号図を用いて説明する。
【0044】
はじめに、加速電圧やワーキングディスタンス等の測定条件を、測定対象や測定目的に応じて設定し(ステップS1)、この測定条件の元で、励磁電流を初期位置から所定の高い励磁電流Isまで上昇させた後(図5中の▲1▼)、終点位置まで走査し(図5中の▲2▼)(ステップS2,ステップS5)、走査中に合焦状態を表す信号を検出する(図5(b)中の走査A)。この合焦状態を表す信号は、例えば、二次電子検出信号を用いることができる(ステップS3)。検出した合焦状態を表す信号が最大となる励磁電流(図5(b)中の励磁電流I1)を検出して記録する。焦点合わせは、この励磁電流I1を対物レンズに与えることにより行う(図5(a)中の▲3▼)(ステップS4)。
【0045】
焦点合わせでは、この励磁電流I1に至る電流の増減の工程に本発明のヒステリシス補正のアルゴリズムを適用する。はじめに、励磁電流を初期位置から所定の高い励磁電流Isまで上昇させた後(図6中の▲4▼)(ステップS6)、励磁電流をマニュアル操作に類似した変化パターンで減少させ、記録しておいた励磁電流I1に設定する(ステップS7)。
【0046】
このステップS7において行う励磁電流I1に向けての減少は、所定の高い励磁電流Isから励磁電流I1まで段階的に遅い変化速度で下降させることで行う。この段階的に遅くする変化速度の変化は、例えば、前記図2で示したようなパターンにより行うことができる。
【0047】
例えば、図6(a)は、図2(b)の励磁電流の変化パターンに従い、所定の高い励磁電流Isから励磁電流I1まで一定の変化速度で励磁電流を減少させる例であり、図6(b)は、図2(c)の励磁電流の変化パターンに従い、所定の高い励磁電流Isから励磁電流I2までは速い変化速度で励磁電流を減少させ(図6中の▲5▼)、励磁電流I2から励磁電流I1までは遅い変化速度で励磁電流を減少させる(図6中の▲6▼)例である。
【0048】
ヒステリシスループの周波数依存性によるずれは、焦点合わせを行う目的の励磁電流値近傍ほど大きく影響し、目的の励磁電流値に対して十分高い励磁電流値の段階ではずれ量は少ない。そのため、前記図6(b)に示す励磁電流の変化パターンによれば、所定の高い励磁電流Isから励磁電流I2までは速い変化速度で励磁電流の減少させることにより、発生するずれ量を少なく抑え、さらに、励磁電流Isから励磁電流I2までの間を速く変化させることにより、高い励磁電流Isから励磁電流I1までの全期間を遅い速度で変化させた場合(例えば、図6(a)の場合)と比較して、トータルの調整時間を短縮することができる。
【0049】
したがって、焦点合わせにおいて、焦点位置に該当する励磁電流に至る電流の増減の工程に本発明のヒステリシス補正のアルゴリズムを適用させ、段階的に励磁電流を変化させて遅い変化速度で下降させ、焦点合わせを行うことにより、ヒステリシスカーブの周波数依存性による影響を低減して、設定した励磁電流I1において十分な合焦状態を得ることができる。
【0050】
本発明の態様によれば、手動操作時に近い励磁電流の変化速度を設定することにより、ソフトウエアによりヒステリシス補正のヒステリシスループを手動操作時のヒステリシスループにほぼ一致させることにより、何度も補正を繰り返すことなく収束させることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、対物レンズの磁極に保磁力の大きな材質を使用した場合において、簡易で少ない回数でヒステリシス補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒステリシス補正を説明するための概略図である。
【図2】本発明が用いる励磁電流の一例を説明するために図である。
【図3】本発明の走査型電子顕微鏡の構成を説明するための概略図である。
【図4】本発明のヒステリシス補正のアルゴリズムを焦点合わせに適用した操作手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明のヒステリシス補正のアルゴリズムを焦点合わせに適用した操作手順を説明するための信号図である。
【図6】本発明のヒステリシス補正のアルゴリズムを焦点合わせに適用した操作手順を説明するための信号図である。
【図7】磁気ヒステリシス特性を説明するための図である。
【図8】磁気ヒステリシス特性を説明するための励磁電流と合焦状態を表す信号図である。
【図9】従来のヒステリシス補正においてソフトウエアが設定する励磁電流を説明する図である。
【符号の説明】
1…走査型電子顕微鏡、2…鏡筒、3…電子光学系、3a…コンデンサレンズ、3b…走査コイル、3c…対物レンズ、4…試料室、5…電子銃、6…電子ビーム、7…試料、8…試料ステージ、9…二次電子検出器、10…画像処理手段、11…制御手段、12…駆動手段。
Claims (4)
- 走査型電子顕微鏡の対物レンズのヒステリシスをソフトウエアで自動補正する方法であって、
前記対物レンズに供給する励磁電流を走査することによって、合焦状態の励磁電流値を検出する検出工程と、
前記対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の高励磁電流値まで上昇させる励磁電流上昇工程と、
前記所定の高励磁電流値から前記検出した合焦点の励磁電流値まで下降させる励磁電流下降工程とを含み、
前記励磁電流下降工程において、励磁電流の変化速度は前記検出工程の走査時の変化速度よりも遅いことを特徴とする、走査型電子顕微鏡のヒステリシス補正方法。 - 前記請求項1に記載のヒステリシス補正方法であって、
前記励磁電流下降工程において、励磁電流の変化速度を多段階に単調減少で変化させることを特徴とする、走査型電子顕微鏡のヒステリシス補正方法。 - 走査型電子顕微鏡の対物レンズに供給する励磁電流を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記対物レンズに供給する励磁電流を走査して、合焦状態の励磁電流値を検出し、
前記対物レンズに供給する励磁電流を通常使用時よりも高い所定の高励磁電流値まで上昇させ、
前記所定の高励磁電流値から前記合焦励磁電流値まで、前記走査時よりも遅い変化速度で下降させることを特徴とする、走査型電子顕微鏡。 - 前記請求項3に記載の走査型電子顕微鏡であって、
前記制御手段は、
励磁電流を走査して得られる信号がピークとなる励磁電流値を合焦状態の励磁電流値として検出し、
励磁電流の変化速度を多段階に単調減少で変化させることを特徴とする、走査型電子顕微鏡。
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