JP4105983B2 - 高炉鉄皮の補修方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉鉄皮に発生した亀裂等の損傷部分を補修する技術分野に属し、詳しくは減尺を行わずに損傷部分の鉄皮を取り替える方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉の炉壁冷却装置として用いられるステーブは、長期間に渡って使用していると損耗や破損が生じる。そして、このような損耗や破損が生じると、冷却機能の低下を招いて炉体鉄皮への熱負荷を増大させ、やがて鉄皮亀裂の原因になることが知られている。特にステーブとステーブとの間の目地部が先行して損耗し、この部分の鉄皮が損傷しやすい。このような鉄皮の損傷が全体へ進行してしまった場合には高炉の稼動を停止し、改修を行なうこととなるが、損傷部が局部的な状態の場合はこの損傷部分を切り欠いて除去し、その部分を新規の鉄皮と交換する部分補修を行なうことで操業を継続することが行われている。このような鉄皮交換を伴う部分補修に関する従来技術としては、例えば以下のものが開示されている。
【0003】
[従来技術1]
補修を要する鉄皮該当部分を切り去り、予め準備しておいたスタッドを取りつけ、耐火物で成形した鉄皮ブロックを嵌め込み鉄皮縁辺を溶接した後、その上部付近のモルタル圧入口よりモルタルを注入し一体的に固化させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
[従来技術2]
炉壁耐火物の損傷部の鉄皮を切開除去し、切開部と等寸の新鉄皮を挿入溶接して高炉鉄皮を補修する方法において、前記新鉄皮の内側に予め冷却装置を取付け、該新鉄皮を前記切開部に挿入溶接する方法が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
[従来技術3]
補修取替部分の高炉鉄皮に、1若しくは複数個の孔を穿設し、この孔よりモルタルを注入して予め炉内容物の崩出並びに炉内への空気の侵入を阻止した後、前期高炉鉄皮を損傷程度に応じた適当な大きさに切断除去し、次いでこの鉄皮切取開口部に複数のアンカーとモルタル注入孔を有する取替新鉄皮板を前記アンカーが炉内側に入るように嵌合し、然る後この取替新鉄皮板とそのまわりの鉄皮部とを溶接し、最後にこの取替鉄皮板のモルタル注入孔よりモルタルを注入する方法が開示されている(特許文献3参照)。
【0006】
上記従来技術1および2は、ともに減尺操業によって炉内容物のストックラインを損傷部のレベルより下方に低下させてから休風(以下、「減尺休風」という。)し、この休風の間に鉄皮の部分交換を行なう必要がある。仮に減尺を行わない通常の休風(以下、「通常休風」という。)中に損傷部分の鉄皮を切開除去すると、炉内容物が切開部から崩出してしまい作業上危険を伴う問題があるためである。
【0007】
ところが、減尺を行うとストックラインの低下とともに炉頂ガス温度が上昇するので、原料装入装置を保護するために減尺中炉頂に散水し続ける必要がある。このため、鉄皮取替後の再立ち上げ時に炉冷えの原因となる可能性が高かった。また、通常休風の場合は、通常操業から休風に入るまでの時間(以下、「減風時間」という。)と休風終了後通常操業に復帰するまでの時間(以下、「増風時間」という。)は、ともに2時間程度でよいのに対し、減尺休風の場合は、減風時間は約12時間、増風時間は約6時間を必要とする。このため、減尺休風は通常休風に比べ大幅に銑鉄生産量を低下させる原因となっていた。
【0008】
これに対し、上記従来技術3は、鉄皮切開前のモルタル注入によって炉内容物(コークス、鉱石等)を互いに固着させ、鉄皮切取時の炉内容物の崩出を防止するというものであり、この方法によれば通常休風時に鉄皮取替が可能となるため上記問題点は解消できるとも考えられる。
【0009】
しかしながら、本願発明者らの調査により以下の事実が判明した。すなわち、炉内容物中には塊状のコークスや鉱石等から発生した粉がこれら塊状のコークスや鉱石等の隙間を充填した状態の部分が存在し、モルタルはこのような粉の充填部分の内部には浸透して行かない。このため、減尺を行わずに鉄皮切取を行うと、このモルタルが内部に浸透していない粉の充填部分から炉内容物が崩落し、鉄皮切開部から炉外に崩出するおそれがある。特に、炉内容物に大きな荷重が掛かる炉下部においては、このような粉の充填部分からの炉内容物の崩落を防止し得ず、モルタルの注入では減尺なしで鉄皮取替を行うことは現実的には不可能である。かかる事情より上記従来技術3の方法は実用化に至っていないものと考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特公昭51−1203号公報
【特許文献2】
特開昭60−70112号公報
【特許文献3】
特公昭55−34201号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、減尺休風を行うことなく、通常休風中においても安全かつ迅速に鉄皮の部分取替ができる高炉鉄皮の補修方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、鉄皮の炉内側に複数のステーブを有する炉壁構造の高炉において、ステーブとステーブとの間の目地部の鉄皮を取り替える補修方法であって、当該鉄皮の補修取替部分およびその上部近傍に1又は複数個の圧入材注入孔を穿設し、この圧入材注入孔より非水系硬質圧入材を炉内に注入し固化させて炉内容物の崩出を阻止する圧入材注入工程と、前記補修取替部分を切開除去する鉄皮除去工程と、
前記補修取替部分を切開除去した後の鉄皮切開部に、後記冷却装置が嵌合し得るだけの開口部を有する崩出防止板を取り付ける崩出防止板取り付け工程と、前記開口部から、前記非水系硬質圧入材が単独でまたは炉内容物と一体に固化したものの一部を取り除いて後記冷却装置が入る空間部を設ける固化物除去工程と、この空間部に、後記冷却装置の立体形状より少し大きめの型枠を嵌め込む型枠嵌め込み工程と、水冷ジャケット構造の冷却装置であって、前記鉄皮の補修取替部分におけるステーブの損耗状況に応じて立体形状を設定した冷却装置を有し前記鉄皮切開部と等寸の取替新鉄皮を、前記冷却装置が前記型枠内に嵌入するように、前記鉄皮切開部に嵌め込んで溶接する新鉄皮取付工程と、を備えたことを特徴とする高炉鉄皮の補修方法である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、鉄皮の炉内側に複数の冷却盤を有する炉壁構造の高炉において、冷却盤と冷却盤との間の目地部の鉄皮を取り替える補修方法であって、当該鉄皮の補修取替部分およびその上部近傍に1又は複数個の圧入材注入孔を穿設し、この圧入材注入孔より非水系硬質圧入材を炉内に注入し固化させて炉内容物の崩出を阻止する圧入材注入工程と、前記補修取替部分を切開除去する鉄皮除去工程と、前記補修取替部分を切開除去した後の鉄皮切開部に、後記冷却装置が嵌合し得るだけの開口部を有する崩出防止板を取り付ける崩出防止板取り付け工程と、前記開口部から、前記非水系硬質圧入材が単独でまたは炉内容物と一体に固化したものの一部を取り除いて後記冷却装置が入る空間部を設ける固化物除去工程と、この空間部に、後記冷却装置の立体形状より少し大きめの型枠を嵌め込む型枠嵌め込み工程と、水冷ジャケット構造の冷却装置であって、前記鉄皮の補修取替部分における冷却盤の損耗状況に応じて立体形状を設定した冷却装置を有し前記鉄皮切開部と等寸の取替新鉄皮を、前記冷却装置が前記型枠内に嵌入するように、前記鉄皮切開部に嵌め込んで溶接する新鉄皮取付工程と、を備えたことを特徴とする高炉鉄皮の補修方法である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記非水系硬質圧入材が、耐火骨材に液状フェノール樹脂と酸化マグネシウム粉末とを添加してなり、80℃において2h以内で硬化するものである請求項1または2に記載の高炉鉄皮の補修方法である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、減尺を伴わない通常の休風時に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉鉄皮の補修方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明を適用する高炉の炉壁は鉄皮1の炉内側にステーブ2を有するものとする。上記従来技術の欄で述べたように、ステーブ2を冷却装置として用いる高炉の場合、長期間操業を行うとステーブ2とステーブ2との間の目地部3が先行して損耗し、この部分の鉄皮が最も損傷を受けやすく亀裂の発生等が生じやすい。この亀裂が発生等した目地部の部分の鉄皮を取り替える方法について説明する。
【0018】
鉄皮の取替えに先立って高炉の休風を行う必要があるが、休風は減尺を行わない通常休風でよい。
【0019】
[圧入材注入工程]
休風後、図1に示すように、高炉鉄皮の補修取替部分4およびその上部近傍に1又は複数個の圧入材注入孔5を穿設し、この圧入材注入孔5に図示しない配管を介して非水系硬質圧入材(以下、単に「圧入材」ともいう。)Aを炉内に注入するための図示しない圧入機を接続する。鉄皮の切開除去時に炉内容物Bを崩出させないように、補修取替部分4の炉内側前方および炉内側上方に圧入材Aを注入し固化させるためである。
【0020】
圧入材注入孔5は、炉内に目地部3が存在する位置にのみ設けてもよいが、補修取替部分4の面積が広く目地部3の位置だけでは補修取替部分4の炉内側前方および炉内側上方全体に圧入材Aを注入することが困難な場合は、炉内側にステーブ2が存在する位置にもさらに設けてもよい。ステーブ2の存在する位置に圧入材注入孔5を穿設する場合は、ステーブ2内の図示しない冷却水配管を避けてステーブ鋳物を貫通するように穿孔する。目地部3に鉄皮亀裂が生じるまで損傷が進行したような場合は、通常その近辺のステーブ2の炉内側には耐火物は残存していないのでステーブ鋳物を貫通させるだけでよいが、もし耐火物が残存している場合はその耐火物も貫通するように穿孔する。
【0021】
圧入材注入孔5から炉内に注入された圧入材Aは、圧入材注入孔5の前面には炉内容物Bが存在するため、まず炉周方向および炉上下方向に広がった後に、孔5の前面の炉内容物Bを炉の中心方向に押しやるようにその厚みを増す(図2参照)。したがって、補修取替部分4の面積が比較的狭い場合には、圧入材注入孔5は1個のみでよい場合もあるが、補修取替部分4の面積が広い場合には、圧入材Aの上記広がり度合いに応じて圧入材注入孔5は複数個設ける必要がある。
【0022】
圧入材注入孔5の径は、大きすぎるとこの孔5から炉内容物Bが崩出し、小さすぎると注入圧が過大となって圧入材Aを炉内に注入するのが困難となるため、20〜100mmの範囲とするのが好ましい。
【0023】
圧入材Aとして非水系硬質のものを用いることにより、モルタルのような水系泥しょう状のものとは異なって孔4前面に存在する炉内容物Bを炉中心方向へ押し退けて圧入材Aのみが単独で固化するため、炉内容物Bに粉の充填部分が存在しても鉄皮の切開除去時に炉内容物Bの崩出の危険性はない。
【0024】
なお圧入材Aは、炉内注入時に炉内容物B中にできるだけ浸透することなく、炉内容物Bを押し退けることができるように耐火骨材と熱硬化性樹脂とを含有するものが望ましい。
【0025】
また、鉄皮1近傍の炉内はステーブによる水冷によって80〜100℃程度に冷却されている。したがって、休風時間を可能な限り短くするため、圧入材Aは80〜100℃程度の低温においてもできるだけ短時間で硬化するものが望ましい。例えば80℃において2h以内で硬化する圧入材Aとして、アルミナ系またはシリカ−アルミナ系を主体とする耐火骨材と、液状の熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂からなる結合剤とからなる圧入材用材料に、酸化マグネシウム粉末からなる硬化剤を添加してなる圧入材A(特公平7−55862号公報参照)を用いることが推奨される。なお、圧入材用材料への硬化剤の添加は炉内注入直前に行うことが望ましく、例えば圧入材用材料を炉内に注入する配管の途中であってできるだけ高炉の近くに図示しないラインミキサを設け、このラインミキサに硬化剤を別途添加し混合するようにすればよい(特許第262173号公報参照)。これにより、硬化剤の添加までは圧入材用材料の硬化がなく安心して圧入作業ができ、硬化剤の添加後炉内に注入された圧入材Aは炉内温度により急速に熱硬化し短時間で硬化が完了する。
【0026】
1個の圧入材注入孔5からの圧入材Aの注入量は例えば以下のようにして定めればよい。すなわち、事前に高炉から採取した炉内容物を鉄製容器に充填して容器ごと休風時の鉄皮A炉内近傍温度である80℃程度に加熱した後、この容器の側面に設けた圧入材注入孔から圧入材Aを注入して、上下および横方向への広がりと炉中心方向への厚みを測定する(図2参照)。そして、この測定結果に基づいて少なくとも冷却装置7の厚み以上の圧入材Aの厚みが得られる注入量とすればよい。
【0027】
[鉄皮除去工程]
圧入材Aの硬化後、補修取替部分4をガス切断等により鉄皮切断を行う。この切断に際しては、炉内容物Bが万が一にも崩出しないように、切取鉄皮はできるだけ小片として鉄皮1内側の圧入材Aの固化状況を確認しつつ少しずつ取り外すことが望ましい。
【0028】
[固化物除去工程]
鉄皮切断除去後、取替新鉄皮6に取り付けた冷却装置7が入る空間部8を設けるため、鉄皮切開部14から圧入材Aが単独でまたは炉内容物Bと一体に固化したものの一部をブレーカ等により掘削除去する。この掘削作業に先立って、炉内容物Bの崩出防止と必要範囲のみの掘削とを可能とするため、図3に示すように、冷却装置7が嵌合し得るだけの開口部9aを有する崩出防止板9を鉄皮切開部14に取り付けることが好ましい([崩出防止板取り付け工程])。この掘削により冷却装置7が入る空間部8を設けた後、冷却装置7を嵌めるまでの間や嵌める際にこの空間部8の天井部が崩落しないように、図4に示すように、この空間部8に冷却装置7の立体形状より少し大きめの型枠10を嵌めることが望ましい([型枠嵌め込み工程])
【0029】
[新鉄皮取付工程]
しかる後、図5に示すように、水冷ジャケット構造の冷却装置7を有し鉄皮切開部14と等寸の取替新鉄皮6を、冷却装置7が空間部8(型枠10)に嵌入するように、鉄皮切開部14に嵌め込んだのち、取替新鉄皮6の周囲を溶接し鉄皮切開部14に固定する。
【0030】
水冷ジャケット構造の冷却装置7を有する取替新鉄皮6を用いたのは以下の理由による。すなわち、上記従来技術1および3に開示されているように、取替新鉄皮6の内側に耐火物及び/又はモルタルの固化層を形成しても、高炉再稼動後の炉内容物の降下や炉壁近傍の温度変動等によって耐火物やモルタルの損耗が進行し、2〜3ヶ月といった極めて短期間で再度の鉄皮補修が必要となることが経験的に知られている(後述の比較例2参照)。したがって、取替新鉄皮6の内側には耐火物等でなく、水冷ジャケット構造の冷却装置7を設け、恒久的に鉄皮を保護することとしたものである。
【0031】
特に本実施の形態のように、ステーブ2とステーブ2との間の目地部3の鉄皮を取り替える場合は、耐火物が消失した目地部3に冷却装置7が嵌め込まれるので、これと隣接するステーブ2とともに取替新鉄皮6およびその近傍を水冷により保護するため、その部分における以後の鉄皮補修の頻度を大幅に低減できる効果がある。
【0032】
目地部3の耐火物が消失した後、ステーブ2のステーブ鋳物は、目地部3との境界部であってステーブ鋳物内部に冷却水配管の存在しない部分から優先的に損耗することが経験的に知られており、その損耗状況は鉄皮切開前に予測できる(図1(b)参照)。このステーブ鋳物の損耗状況の予測に基づいて、耐火物の消失した目地部3とステーブ鋳物の損耗部分とでできた隙間をできるだけ埋めるように冷却装置7の立体形状を定めればよい(例えば、冷却装置7の取替新鉄皮6に平行な断面形状は炉中心方向で一定とし、この炉中心方向の厚みをステーブ2と同程度の厚みとする立体形状とする。したがってこの場合は取替新鉄皮6に平行な断面形状のみを定めればよい。)。冷却装置7は、高炉再稼動後に冷却装置7の前方および/または上方の圧入材Aが消失することによって直接炉内容物Bの荷重を受けたり、炉内容物Bの降下による磨耗を受けるため、ステーブ2と同様、鋳物構造とすることが好ましい。
【0033】
本実施の形態では休風に際して減尺を行っていないので、取替新鉄皮6溶接後、直ちに通常操業の送風量まで増風でき、極めて短時間で通常操業に復帰できる。通常操業復帰後の操業により、炉内に注入され固化した圧入材Aはやがては損耗して消失してしまうが、上述のように、冷却装置7とステーブ2との協同した働きにより取替新鉄皮4およびその近傍の鉄皮を保護するので、この圧入材Aは鉄皮取替時において炉内容物Bの崩出を防止する機能を有してさえいれば十分である。
【0034】
上記実施の形態では、ステーブによる炉壁冷却構造の部位に対する適用例についてのみ説明したが、これに限られるものではなく、本発明は冷却盤による炉壁冷却構造の部位においても当然に適用できるものである。
【0035】
【実施例】
ステーブ冷却構造を有する内容積4550m3の実機高炉にて、本発明の鉄皮取替方法の有効性を確認する試験を実施した。
【0036】
(比較例1)
下記実施例に先立ち実施例とは別の通常休風(減尺を行わない休風)時において、実施例と同じ高さ位置の鉄皮に対して、非水系硬質圧入材の代わりにモルタルを注入し、モルタル注入完了後2h経過後に鉄皮切開を試みたが、鉄皮切開除去時に粉状の炉内容物が漏出したため鉄皮取替を断念した。
【0037】
(実施例)
鉄皮1の補修取替部分4は、通常操業におけるストックラインから約15m下方で、ステーブ2とステーブ2との間の目地部3近傍の高さ905mm×幅1230mmの範囲である(図1(b)参照)。高炉を減尺を行わずに休風した後、この補修取替部分4の目地部3に4箇所(5a)とこの補修取替部分4の上部近傍2箇所(5b)の計6箇所に内径約40mmの圧入材注入孔5を穿設した。前記補修取替部分4の上部近傍2箇所(5b)は鉄皮1内側にステーブ鋳物が存在する部分であるが、予めステーブ2の設置図面によりステーブ鋳物の内部に水冷配管の存在しない位置を確認しておき、この位置に穿孔した。なお、ステーブ2より炉内側にはすでに耐火物は存在していなかったため、ステーブ鋳物のみを貫通させた。
【0038】
次いで、これらの圧入材注入孔5より非水系硬質圧入材Aを注入した。非水系硬質圧入材Aとしては、耐火原料成分としてのAl23:67質量%、SiO2:5質量%、C:20質量%にノボラック型フェノール樹脂等からなる結合剤等を加えた圧入材用材料に、ヘキサメチレンテトラミン等からなる硬化剤を添加したもの(ハリマセラミック社製AP−17S)を用いた。この非水系硬質圧入材Aは80℃において0.5hで硬化するものである。また本実施例では、炉内に挿入する冷却装置7の厚みを200mmとした(後述)ことから、図2(b)に基づいて圧入材Aの厚みが冷却装置7の厚みより100mm程度厚い300mmとなるように圧入材注入孔5の1箇所当り200kgの圧入材Aを注入した。また、図2(a)に示すように、圧入材注入孔5の1箇所当り200kgの圧入材Aを注入することにより圧入材注入孔5周りの上下左右に1000mm以上広がるため、上記6箇所の圧入材注入孔5からの注入によって補修取替部分4の炉内側全体を圧入材Aで十分に覆うことができる。
【0039】
圧入材Aの注入後直ちに補修取替部分4をガス切断により鉄皮切断を行った。この切断作業は、補修取替部分4全体を一度に切断除去してしまうのではなく、補修取替部分4を十文字に4分割してその分割部分を一つずつ順番に切断除去し、鉄皮1内側の圧入材Aの固化状況を確認しながら行った。この切断除去作業の間に圧入材Aは完全に硬化しており、炉内容物Bが崩出することはなかった。
【0040】
補修取替部分4全体の取り外しが完了した後、この補修取替部分4を除去した後の開口部である鉄皮切開部14に、冷却装置7が嵌合し得るだけの開口部9aを有する鉄製の崩出防止板9を取り付けた(図3参照)。そののち、この崩出防止板9の開口部9aから、固化した圧入材Aおよびこの圧入材Aと炉内容物Bとが一体に固化したものをブレーカにより掘削除去して冷却装置7が入る空間部8を形成した。この掘削によって除去されたものは大部分が実質的に圧入材Aのみが固化したものであり、この掘削により形成された空間部8の奥にもまだ圧入材Aが固化した部分が相当厚み残っていたため、炉内容物Bが崩出することはなかった。
【0041】
空間部8を形成後、この空間部8に天井部が崩落しないように冷却装置7の立体形状より少し大きめの鉄製の型枠10を嵌め込んだ(図4参照)。
【0042】
しかる後、この鉄皮切開部14と等寸の取替新鉄皮6の炉内側に水冷ジャケット構造の冷却装置7を取り付けたものを、この冷却装置7を型枠10内に嵌め込んだのち、取替新鉄皮6の周囲を鉄皮切開部14に溶接し固定した(図5参照)。
【0043】
冷却装置7は、ステーブ鋳物の損耗状況の予測に基づいて予め定めた立体形状に形成した。本実施例では、ステーブ鋳物の損耗部の形状が複雑なため、冷却装置7を2つの冷却ブロック7a,7bに分割して形成した。冷却ブロック7a,7bの厚みはステーブ2の厚みとほぼ同じ200mmとした。そして、それぞれの冷却ブロック7a,7bには冷却水の供給配管11および排出配管12を設け、これらの配管11,12を取替新鉄皮6を貫通させて炉外側に引き出した状態で、冷却ブロック7a,7bを取替新鉄皮6に取り付けた。冷却ブロック7a,7bは銅製鋳物で形成した。
【0044】
取替新鉄皮6の溶接後、直ちに送風を再開し通常操業を継続した。その結果、図6に示すように鉄皮取替部分4の鉄皮温度は補修後2ヶ月を経てもほとんど上昇することがなく、補修後1年以上経過しても同一部分の鉄皮1の損傷は全く見られない。
【0045】
(比較例2)
上記実施例における休風時において、実施例と同じ高さ位置であるが円周方向で異なる位置の鉄皮に対して、鉄皮取替を行わずに上記非水系硬質圧入材Aを目地部3に注入するだけの補修を行った。この補修部分についての鉄皮温度は、図7に示すように補修後1ヶ月を過ぎたあたりから急激に上昇し始めて補修後約1.5ヶ月で赤熱状態となり鉄皮に亀裂が発生し、補修後約2ヶ月で再度の補修が必要となった。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、減尺休風を行うことなく、通常休風中に安全かつ迅速に鉄皮部分の取替ができるようになった。その結果、銑鉄の生産量を大幅に減じる必要がなくなり、高生産性を維持しながら高炉寿命を延長することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る高炉鉄皮の補修取替部分近傍の概略を示す、(a)垂直断面図、および(b)正面図である。
【図2】圧入材注入孔1箇所当りの非水系硬質圧入材の注入量と、(a)圧入材注入孔周りの上下左右方向への圧入材の広がり、および(b)炉中心方向への圧入材の厚み、との関係を示すグラフ図である。
【図3】鉄皮切開部への崩出防止板の取り付け状況を示す斜視図である。
【図4】圧入材掘削除去後の空間部への型枠の取り付け状況を示す斜視図である。
【図5】鉄皮切開部への取替新鉄皮の取り付け状況を示す斜視図である。る。
【図6】実施例の鉄皮補修後における鉄皮温度の経時変化を示すグラフ図である。
【図7】比較例2の鉄皮補修後における鉄皮温度の経時変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…鉄皮
2…ステーブ
3…目地部
4…補修取替部分
5…圧入材注入孔
6…取替新鉄皮
7…冷却装置
7a,7b…冷却ブロック
8…空間部
9…崩出防止板
9a…開口部
10…型枠
11…冷却水供給配管
12…冷却水排出配管
14…鉄皮切開部
A…非水系硬質圧入材
B…炉内容物

Claims (4)

  1. 鉄皮の炉内側に複数のステーブを有する炉壁構造の高炉において、ステーブとステーブとの間の目地部の鉄皮を取り替える補修方法であって、
    当該鉄皮の補修取替部分およびその上部近傍に1又は複数個の圧入材注入孔を穿設し、この圧入材注入孔より非水系硬質圧入材を炉内に注入し固化させて炉内容物の崩出を阻止する圧入材注入工程と、
    前記補修取替部分を切開除去する鉄皮除去工程と、
    前記補修取替部分を切開除去した後の鉄皮切開部に、後記冷却装置が嵌合し得るだけの開口部を有する崩出防止板を取り付ける崩出防止板取り付け工程と、
    前記開口部から、前記非水系硬質圧入材が単独でまたは炉内容物と一体に固化したものの一部を取り除いて後記冷却装置が入る空間部を設ける固化物除去工程と、
    この空間部に、後記冷却装置の立体形状より少し大きめの型枠を嵌め込む型枠嵌め込み工程と、
    水冷ジャケット構造の冷却装置であって、前記鉄皮の補修取替部分におけるステーブの損耗状況に応じて立体形状を設定した冷却装置を有し前記鉄皮切開部と等寸の取替新鉄皮を、前記冷却装置が前記型枠内に嵌入するように、前記鉄皮切開部に嵌め込んで溶接する新鉄皮取付工程と、
    を備えたことを特徴とする高炉鉄皮の補修方法。
  2. 鉄皮の炉内側に複数の冷却盤を有する炉壁構造の高炉において、冷却盤と冷却盤との間の目地部の鉄皮を取り替える補修方法であって、
    当該鉄皮の補修取替部分およびその上部近傍に1又は複数個の圧入材注入孔を穿設し、この圧入材注入孔より非水系硬質圧入材を炉内に注入し固化させて炉内容物の崩出を阻止する圧入材注入工程と、
    前記補修取替部分を切開除去する鉄皮除去工程と、
    前記補修取替部分を切開除去した後の鉄皮切開部に、後記冷却装置が嵌合し得るだけの開口部を有する崩出防止板を取り付ける崩出防止板取り付け工程と、
    前記開口部から、前記非水系硬質圧入材が単独でまたは炉内容物と一体に固化したものの一部を取り除いて後記冷却装置が入る空間部を設ける固化物除去工程と、
    この空間部に、後記冷却装置の立体形状より少し大きめの型枠を嵌め込む型枠嵌め込み工程と、
    水冷ジャケット構造の冷却装置であって、前記鉄皮の補修取替部分における冷却盤の損耗状況に応じて立体形状を設定した冷却装置を有し前記鉄皮切開部と等寸の取替新鉄皮を、前記冷却装置が前記型枠内に嵌入するように、前記鉄皮切開部に嵌め込んで溶接する新鉄皮取付工程と、
    を備えたことを特徴とする高炉鉄皮の補修方法。
  3. 前記非水系硬質圧入材が、耐火骨材に液状フェノール樹脂と酸化マグネシウム粉末とを添加してなり、80℃において2h以内で硬化するものである請求項1または2に記載の高炉鉄皮の補修方法。
  4. 減尺を伴わない通常の休風時に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉鉄皮の補修方法。
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