JP4105038B2 - ゴルフクラブのハンドルグリップ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常のゴム製グリップの滑らかな外面を有するが、粘着性及び緩衝性のあるポリウレタン・フェルトのゴルフクラブハンドルグリップに関する。
【０００２】
【従来の技術】
本発明者の米国特許第５，７９７，８１３号に開示されるようなグリップガある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
この米国特許に開示されたゴルフクラブは、通常のゴム製ゴルフクラブグリップに比較すると優秀な結果をもたらすが、ゴルファーの中には、本発明者の米国特許第５，７９７，８１３号に開示されるような、重なり合う凹状補強用縁の間の間隙に起因する断続的な表面をもつグリップではなく、通常のゴム製ゴルフクラブグリップの滑らかな外面を有するグリップを好む人もいる。本発明は、このようなグリップを有し、しかも上記米国特許に開示された利点をもつゴルフのハンドルグリップを提供することを課題とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するため、下面がフェルト層の上面に結合されたポリウレタン層を含む可撓性のあるストリップと、前記ポリウレタン層の第１側縁上に熱形成された凹状補強表面と、前記ポリウレタン層の第２側縁上に形成された加熱圧縮高密度化領域とを備え、前記第１側縁の前記フェルト層が前記フェルト層の下側から傾斜し、前記ストリップの前記第２側縁が前記フェルト層及び前記ポリウレタン層に沿って傾斜し、前記フェルト層の下側上に接着剤と、下層のスリーブとを備え、前記ストリップが前記スリーブのまわりに螺旋状に巻き付けられ、前記ストリップの第２側縁の下側が前記ストリップの前記第１側縁の上面に沿って重なり合い、かつ接着剤により固定され、前記第２側縁が、そのような縁が凹状補強表面の最も内側に当接する先のとがったそぎ端まで先細になり、この接合部で薄い継ぎ目を設け、滑らかな外面のグリップをもたらすことを特徴とするゴルフクラブグリップ及びその製造方法を提供する。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明のこれら及び他の特徴は、本発明の原理を例示する目的で示される添付の図面と関連して、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
図面を参照すると、本発明を具現化する好ましいゴルフクラブハンドルグリップＧは細長い弾性ストリップＳを利用し、該ストリップは、ゴルフクラブＣのハンドルに入れ子式に重ね合わせられ接着させられた下層のスリーブのまわりに、又はむきだしのゴルフクラブのハンドルに、螺旋状にまきつけられている（図２６）。ストリップＳはストリップブランクＳＢから形成され、接着剤３４が備わった内方に向いている表面３２を有し全体的に３０で示されるフェルト層を含む。フェルト層は当業者に知られるウール、ナイロン、ポリエステルのような材料で作ることができる。フェルト層３０の上面をポリウレタン層３６の下面に結合して、一体的なストリップブランクＳＢを形成する。ポリウレタン層３６は、本発明者の特許第５，７９７，８１３号に記載されるような通常の方法で形成することができ、通常のゴム製ゴルフクラブグリップに比較すると、ゴルフクラブをもつゴルファーの手に緩衝された握りを与える一方、使用者の手とグリップとの間に高められた粘着性を与えることにより、使用者がゴルフクラブをよりしっかりと握れるように凝固することが好ましい。フェルト層３０はポリウレタン層３６に強度を与え、かつ互いに結合したポリウレタンとフェルトストリップとをゴルフクラブハンドルの下層部又はむきだしのハンドルに取り付けるための手段として役立つ。フェルト層の接着剤３４は、通常の両面テープＴにより支持され、該接着剤は、最初は、保護紙急速剥離カバー３９で覆われている。所望であれば、ストリップＳのポリウレタン層に摩擦を高めるパターン４０を形成してもよい。代替的に、垂直方向に延びる孔のような他のパターンをポリウレタン層に形成してもよい。
【０００６】
より具体的には、図１は、ストリップＳの中に構成されたポリウレタン・フェルトのストリップブランクＳＢの切欠平面図である。図２において、加熱ダイＤがストリップブランクの上面に対して押し付けられて、図３に示される摩擦を高めるパターン４０を形成する。図４は、図３の線４‐４に沿って倍尺されたストリップブランクＳＢの縦断面図である。図５は、通常の加熱プラテン４２がポリウレタン層３６の第１側縁４４の上面４３に対して押し付けられて、ストリップブランクのそのような第１側縁に沿って、内方に延びる凹状補強表面４６が形成されているところを示す縦断面図である。ストリップブランクの下面は、基部プレート４２ａに当接する。図６は、凹状補強面４６が一対の通常の加熱ローラ４７を用いて形成されている図５と同様の図である。
【０００７】
図７において、図６のストリップブランクが反転されて、フェルト層３０がポリウレタン層の上に配設された。図５の加熱プラテン４２は、熱を、ストリップブランクＳＢの第２側縁４８のフェルト層を通してポリウレタン層３６に加えて、そのような第２側縁上に圧縮高密度化領域４９を形成し、該ストリップブランクは滑らかな上面を有する基部プレート４３ａにより支持される。この様式において熱をポリウレタン層に加えることは、ポリウレタン３６の外（下）面上にマーキングを生成することなく、該ポリウレタン層の第２側縁の密度を高め、したがって該第２側縁を圧縮し強化するように働く。図８において、加熱ローラ５０を用いて、熱がポリウレタン層３６の第２側縁４８に加えられているのが示される。図７及び図８の両方に関して、圧縮高密度化領域４９を形成するために、ポリウレタン層の第２側縁４８に加えられる温度は、補強用側縁の表面４６を形成する図５及び図６におけるポリウレタン層の第１側縁４４に加えられる温度より高いことが理解されるであろう。一例として、圧縮高密度化領域４９を形成するためには、熱は、フェルト層を通してポリウレタン層に伝達されなければならないため、図７及び図８の作動において用いられる温度は、摂氏おおよそ２５０ないし２６０度である一方、図６又は図７の作動において加えられる温度は、摂氏約２００度である。
【０００８】
ここで図９を参照すると、ストリップブランクＳＢの第１及び第２の側縁の両方に凹状補強表面４６及び圧縮高密度化領域４９を熱形成した後、該ストリップブランクを反転し、該第１及び第２の側縁をスカイビングし、フェルト層３０の内面（下側）に対して傾斜する表面が形成された。そのようなスカイビングは、一対の通常の動力駆動式回転ナイフ５２及び５３を用いて行うことができる。ナイフは同様の構成であり、傾斜した回転可能シャフト５４及び５５の上端で支持される。スカイビング作動中、ストリップブランクＳＢは、上方及び下方の駆動ローラ５６及び５７のそれぞれの間で圧縮される。そのようなスカイビング後のストリップブランクの一般的な外観が図１０に示される。第１側縁４４は傾斜表面５８を有し、第２側縁４８は傾斜側縁５９を有する。これらの傾斜側縁の幅は、等しくても異なってもよい。ストリップブランクの側縁がスカイビングされた後、両面テープＴが通常の方法において、フェルト層３０の下側に適用される。
【０００９】
ここで図１１を参照すると、ストリップブランクＳＢの端部は、次に切断されて、前縁６０及び後縁６２を構成する。その結果もたらされるストリップを、次に、図１４ないし図１７に示されるように、弾性のある下層のスリーブＵのまわりに螺旋状に巻き付けるように準備する。下層のスリーブＵは、天然ゴム又は合成ゴム又はプラスチックのような弾性材料で形成される。スリーブＵは、その上端に一体のキャップ６を含み、該スリーブの下端には一体のニップル６５が形成される。下層のスリーブの上部分には溝６６が形成され、キャップ６４の下側には周方向に延び上方に延びるスロット６８が形成される。溝６４及びスロット６８は、後述される方法において、弾性ストリップＳの上端又は突合せ端を受ける。下方ニップル６５には、さらに、上方に延びるスロット７０が形成される。
【００１０】
ここで図１２、図１８ないし図２１を参照すると、弾性ストリップＳの上縁又は前縁６０をニップルキャップ６４の周方向のスロット６８内に固定するために、テープＴの保護カバー３８が接着剤３４からはがされる。ストリップの上縁は、次に、図１９に示されるように、キャップのスロット６８の範囲の中に手で押し込まれる。キャップ６４の下の前縁６０の先のとがった端部６９が溝６６内に配設される。ストリップＳの残部は、次に、下層のスリーブＵの外面に沿って下向きに螺旋状に巻き付けられる。ストリップが、その下縁又は後縁６２が、ニップルの溝７０の下部分と水平方向に整合して配設される位置まで螺旋状に巻き付けられたとき、該ストリップの下縁を該溝の中に入れるために、該溝の外側に形成された周囲リップ７３を一時的に拡張させることによって、該後縁の先のとがった下端部分７２を該溝の範囲の中に手で押し込む。リップ７３がその元の位置に戻ったとき、該リップは、図２２ないし図２４に示されるように、ストリップＳの下端をニップルの上部分に固定的に保持する。この構成により、ストリップＳの上端は、キャップのスロット６８内にロックされていることによりほどけが防止され、そのようなストリップの下端は、ニップルのリップ７３によりほどけが防止される。
【００１１】
ストリップＳを下層部Ｕのまわりに螺旋状に巻き付けることは、下層のスリーブが通常の方法においてマンドレルＭの上に位置させられたときに行うことができる。ストリップが下層部Ｕの上に固定された後、スリーブとストリップの組み合わせをマンドレルから移動させて、ゴルフクラブのシャフトのハンドル部分の上に滑らせてグリップとして利用すことができる。
ここで図２５を参照すると、ストリップＳを下層のスリーブのまわりに巻き付ける際、該ストリップＳの第２縁４８の圧縮高密度化領域４９が該ストリップの第１側縁の凹状補強表面４６に重なり合う。傾斜した第２側縁４８の上端は、該側縁４８の圧縮高密度化領域４９が、凹状補強表面４６の最も内側の部分に当接する先のとがったそぎ端まで半径方向外向きに及び上向きに先細になるため、接着剤３４は、重なり合った側縁の距離全体に延びることがわかる。したがって、この接合部に薄い継ぎ目が設けられる。この継ぎ目の幅は０．５ｍｍを超えないことが好ましいが、０．５ｍｍより少ないことが好ましい。この構成は、滑らかな外面のグリップＧをもたらし、これは一部のゴルファーに好まれる通常のゴム製ゴルフクラブグリップの滑らかな外面の手触りに似たものである。しかしながら、本発明者のグリップは、本発明者の特許第５，７９７，８１３号に示される種類の粘着性と緩衝特性を提供する。これらの特性を、通常のゴム製ゴルフグリップは提供しない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による、互いに結合したポリウレタン及びフェルト層のパネルから切られたストリップブランクの平面図である。
【図２】熱により組み込まれた摩擦を高めるパターンを、どのように、そのようなストリップブランクの上面に与えるのかを示す側面図である。
【図３】その上面に摩擦を高めるパターンが形成された後のストリップブランクの平面図である。
【図４】図３の線４−４に沿った側面を倍尺で示す図である。
【図５】加熱プラテンにより、加熱圧縮された半径方向内方に延びる補強用縁表面が、ストリップブランクの第１側縁上に形成されているところを示す断面図である。
【図６】加熱ローラにより、加熱圧縮された内方に延びる補強用第１側縁が形成されているところを示す図５と同様の断面図である。
【図７】加熱プラテンを用いて、圧縮高密度化領域４９がストリップブランクの第２側縁上に形成されているところを示す断面図である。
【図８】図７の加熱プラテンの代わりに加熱ローラを示す図７と同様の断面図である。
【図９】スカイビングされているストリップブランクの第１及び第２側縁を示す断面図である。
【図１０】スカイビング作動後のストリップブランクを示す縦断面図である。
【図１１】ストリップブランクの先細になった前縁及び後縁が、該ブランクの端部から切断された後の該ストリップブランクの切欠平面図である。
【図１２】フェルト層の表面に適用された接着剤からはがされている両面接着テープの保護ストリップを示す平面図である。
【図１３】図１２の線１３−１３に沿った縦断面を倍尺で示す図である。
【図１４】図１１のストリップがまわりに螺旋状に巻き付けられた弾性のある下層のスリーブの斜視図である。
【図１５】図１４の線１５−１５に沿った縦断面を倍尺で示す図である。
【図１６】下層のスリーブの上部分の切欠拡大断面図である。
【図１７】図１６の線１７−１７に沿って取った水平断面図である。
【図１８】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図１９】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図２０】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図２１】図２０の線２１−２１に沿った縦断面を倍尺で示す図である。
【図２２】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図２３】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図２４】ストリップが下層のスリーブに螺旋状に巻き付けられ、かつ固定されているところを示す側面図である。
【図２５】図２０の線２５−２５に沿った縦断面を倍尺で示す図である。
【図２６】本発明のゴルフクラブハンドルグリップが提供されたゴルフクラブの斜視図である。
【符号の説明】
Ｓ ストリップ
ＳＢ ストリップブランク
３６ ポリウレタン層
３０ フェルト層
４６ 凹状補強表面
４９ 圧縮高密度化領域
３４ 接着剤
Ｕ 下層のスリーブ
６４ キャップ
６５ ニップル
６６ 溝
７０ スロット
７３ リップ

Claims (6)

1. ゴルフグリップであって、
   その下面がフェルト層の上面に結合されたポリウレタン層を含む可撓性のあるストリップと、
   前記ポリウレタン層の第１側縁上に熱形成された凹状補強表面と、
   前記ポリウレタン層の第２側縁上に形成された加熱圧縮高密度化領域と、
   を備え、
   前記第１側縁の前記フェルト層が前記フェルト層の下側から傾斜し、
   前記ストリップの前記第２側縁が前記フェルト層の下側から傾斜し、
   前記フェルト層の下側上に接着剤と、
   下層のスリーブと、
   を備え、
   前記ストリップが前記スリーブのまわりに螺旋状に巻き付けられ、前記ストリップの第２側縁の下側が前記ストリップの前記第１側縁の上面に沿って重なり合い、かつ接着剤により固定されて前記ストリップの前記第１及び第２側縁の間に接合部を形成する、
   ことを特徴とするゴルフクラブグリップ。
2. 前記接合部における前記重なり合った側縁がゴルフグリップの外面に現れる継ぎ目を形成し、前記継ぎ目の幅が０．５ｍｍを超えないことを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブグリップ。
3. 前記下層のスリーブが、周方向のスロットが形成されたキャップと、上方に向いた溝が形成されたニップルとを含み、前記ニップルの溝の外側部分が可撓性のあるリップにより構成され、
   前記ストリップの上部分が前記キャップのスロット内にしっかりと配設され、前記ストリップの下部分が前記可撓性のあるリップにより前記ニップルの溝にしっかりと保持される、
   ことを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のゴルフクラブグリップ。
4. ゴルフクラブハンドルグリップを作るための方法であって、
   フェルト層に結合されたポリウレタン層を有するストリップを準備し、
   前記ポリウレタン層の第１側縁上を加熱圧縮して凹状補強表面を形成し、
   前記ストリップの前記第２側縁で、熱を、前記フェルト層の外面を通して前記ポリウレタン層に与えて、該ポリウレタン層に圧縮高密度化領域を形成し、
   前記フェルト層の前記下側から前記ストリップの前記第１側縁をスカイビングし、
   前記ストリップの前記下側から前記ストリップの前記第２側縁のフェルト層をスカイビングし、
   接着剤を前記フェルト層の下側全体に適用し、
   下層のスリーブを準備し、
   前記ストリップを前記スリーブのまわりに螺旋状に巻き付け、前記ストリップの前記第２側縁を前記ストリップの前記第１側縁の上面に重ね合わせ、かつ、接着剤により係合させて、接合部を前記第１及び第２側縁の間に、前記下層のスリーブの長さに沿って構成する、
   ステップを含むことを特徴とする方法。
5. 前記接合部における前記重なり合った側縁がゴルフグリップの外面に現れる継ぎ目を形成し、前記継ぎ目の幅が０．５ｍｍを超えないことを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 前記下層のスリーブが、周方向のスロットが形成されたキャップと、上方に向いた溝が形成されたニップルとを含み、前記ニップルの溝の外側部分が可撓性のあるリップにより構成され、前記方法が、
   前記ストリップの上部分を前記キャップのスロット内に配置し、
   前記ストリップの下部分を前記ニップルの溝にしっかりと保持する、
   ことを特徴とする請求項４又は請求項５に記載の方法。

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