図1にはコンバインの全体側面が、図2及び図3にはコンバインの全体平面が示されており、このコンバインは、機体フレーム1に左右一対のクローラ式走行装置2を装備し、機体フレーム1の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を昇降揺動可能かつ左右揺動可能に連結し、機体フレーム1における刈取搬送部3の後方箇所に、刈取搬送部3からの刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施す脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1における脱穀装置4の右側方箇所に、脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5を配備し、機体フレーム1における刈取搬送部3の右側方箇所に搭乗運転部6を形成して構成されている。
図1〜5に示すように、刈取搬送部3は、機体の走行に伴って植立穀稈を分草する複数の分草具7、分草後の植立穀稈を引き起こす複数の引起装置8、引き起こされた植立穀稈の株元側を切断するバリカン形の刈取装置9、刈取穀稈の株元側を後方に向けて掻き込み搬送する複数のパッカー10、刈取穀稈の穂先側を後方に向けて掻き込み搬送する複数の掻込ベルト11、及び、掻き込み搬送された刈取穀稈を起立姿勢から横倒れ姿勢に向けて姿勢変更しながら後方の脱穀装置4に向けて搬送する穀稈搬送装置12、などを刈取フレーム13に装備して構成されている。
図1〜3及び図6〜13に示すように、刈取フレーム13は、その左右向きの円筒状に形成された昇降支点フレーム部14の左端部位が、機体フレーム1に立設した支柱15の上端部に回動可能に支持され、かつ、昇降支点フレーム部14の右端部位が、機体フレーム1に装備した載置台16と、その載置台16に設けたホルダ17との間に回動可能に支持され、機体フレーム1と刈取フレーム13とにわたって架設した油圧式のリフトシリンダ18の作動で、その左右向きの昇降支点フレーム部14を支点にして昇降揺動する。つまり、リフトシリンダ18の作動で刈取搬送部3を昇降揺動させることができ、その昇降揺動で刈り高さ調節などを行える。
図6〜10に示すように、支柱15は、その軸心周りに回動可能な状態で機体フレーム1の左前端部に立設されており、刈取搬送部3を左右揺動操作する際の支点となる。支柱15の上部には、左方に配置された操作部19の回動操作で、刈取フレーム13の下降揺動を規制しない退避位置〔図10の(イ)参照〕と、刈取フレーム13の下降揺動を規制する作用位置〔図10の(ロ)参照〕とに切り換えられる下降規制部材20が装備されている。下降規制部材20は、通常状態が退避位置に切り換えられた状態であり、作用位置に切り換えられた状態では刈取フレーム13を所定の下降位置で受け止め保持する状態となり、この保持状態では、刈取搬送部3が地上から近い高さ位置で浮上している。
図6〜8及び図11に示すように、ホルダ17は、載置台16との間に昇降支点フレーム部14を支持する支持位置と、昇降支点フレーム部14の支持を解除する解除位置とにわたって揺動操作可能で、その遊端部を載置台16にロックピン21で固定することで支持位置に保持できる。
図1、図12及び図13に示すように、リフトシリンダ18は、その一端部の刈取フレーム13に対する連結及び連結解除を、連結ピン22の操作で簡単に行えるように構成されている。
図1、図5及び図14に示すように、脱穀装置4は、横倒れ姿勢に姿勢変更された刈取穀稈の穂先側を、その前壁23に形成された受入口24から受け入れ、かつ、横倒れ姿勢に姿勢変更された刈取穀稈の株元側を、その左側部に配備された搬送突起付きの無端回動チェーンからなる縦回し式のフィードチェーン25と、そのフィードチェーン25の挟持搬送領域に対向配備された挟持レール26との間に挟持するとともに、そのフィードチェーン25の駆動により後方に向けて搬送し、その搬送で扱胴27と受網28との間に案内された刈取穀稈の穂先側に対して、扱胴27の駆動による脱穀処理を施し、その脱穀処理で得られた処理物に対して、揺動選別板29の駆動による篩い選別や、唐箕30の駆動で発生する選別風による風力選別などの選別処理を施し、その選別処理で得られた単粒化穀粒は、回収して穀粒タンク5に供給搬送し、未単粒化穀粒などは、回収して単粒化処理を施した後に揺動選別板29へ還元搬送し、ワラ屑などの塵埃は機外に排出するように構成されている。
尚、挟持レール26は、フィードチェーン25との間で適切な挟持力が得られるように、図外の押しバネによってフィードチェーン25に向けて付勢されている。
図5に示すように、このコンバインは、エンジン31からの動力を静油圧式無段変速装置32に伝達し、静油圧式無段変速装置32による変速後の動力を、ミッションケース33に内蔵した走行伝動系(図示せず)を介して左右のクローラ式走行装置2に伝達し、刈取搬送部3には、静油圧式無段変速装置32による変速後の動力をベルトテンション式の刈取クラッチ34を介して伝達し、脱穀装置4には、エンジン31からの動力をベルトテンション式の脱穀クラッチ35を介して伝達するように構成されている。
刈取搬送部3は、刈取クラッチ34を介して伝達された動力を、刈取フレーム13に内蔵された第1作業伝動系36を介して、引起装置8や刈取装置9などに分配供給するように構成され、又、脱穀装置4は、脱穀クラッチ35を介して伝達された動力を、第2作業伝動系37を介して、フィードチェーン25や扱胴27などに分配供給するように構成されている。
上記の構成から、静油圧式無段変速装置32による車速の変速に同調して、刈取搬送部3における穀稈搬送装置12などの駆動速度が変速されることになり、これによって、刈取搬送部3の穀稈搬送装置12では、車速の変化に比例して増減する単位時間当たりの収穫作物量にかかわらず、刈取穀稈を適当な層厚で一連搬送することができ、搬送する穀稈量の大幅な低下に起因した刈取穀稈の搬送姿勢の乱れや、搬送する穀稈量の大幅な増加に起因した刈取穀稈の詰まりなどが生じ難くなり、それらに起因した搬送不良などが効果的に抑制されることから、穀稈搬送装置12での穀稈搬送性能が向上する。又、静油圧式無段変速装置32による車速の変速にかかわらず、脱穀装置4のフィードチェーン25や扱胴27などを、脱穀処理を行うのに適した所定速度で定速駆動することができ、結果、高い脱穀性能を確保できる。
図1〜4に示すように、穀稈搬送装置12は、刈取穀稈の株元側を挟持搬送する挟持搬送機構38と、その上方に位置して刈取穀稈の穂先側を係止搬送する係止搬送機構39とを備え、挟持搬送機構38は、左右に配備された搬送突起付きの第1無端搬送チェーン40、対応する第1無端搬送チェーン40の挟持搬送領域に対向配備された第1挟持杆41、右側の第1無端搬送チェーン40の搬送終端部から左後上方に向けて延出する状態に配備された搬送突起付きの第2無端搬送チェーン42、その第2無端搬送チェーン42の挟持搬送領域に対向配備された第2挟持杆43、第2無端搬送チェーン42の搬送終端部から後方に向けて延出する状態に配備された搬送突起付きの第3無端搬送チェーン44、及び、その第3無端搬送チェーン44の挟持搬送領域に対向配備された第3挟持杆45、などを備えて構成され、各無端搬送チェーン40,42,44の駆動により、その搬送始端側では、各パッカー10で掻き込み搬送された刈取穀稈の株元側を、左右の第1無端搬送チェーン40と第1挟持杆41との間に挟持して後上方の左右中央側に向けて寄せ集め搬送し、その搬送終端側では、寄せ集め搬送された刈取穀稈の株元側を、第2無端搬送チェーン42と第2挟持杆43との間に挟持して左後上方に向けて搬送し、その左後上方まで搬送された刈取穀稈の株元側を、第3無端搬送チェーン44と第3挟持杆45との間に挟持して後方のフィードチェーン25に向けて搬送する。
尚、第1〜3の各挟持杆41,43,45は、対応する第1〜3の各無端搬送チェーン40,42,44との間で適切な挟持力が得られるように、図外の押しバネによって対応する第1〜3の各無端搬送チェーン40,42,44に向けて付勢されている。
図1〜6及び図14に示すように、挟持搬送機構38の搬送終端部である第3無端搬送チェーン44とフィードチェーン25の搬送始端部との間には、第3無端搬送チェーン44からフィードチェーン25への刈取穀稈の株元側の受け渡しを中継する縦回し式の補助搬送装置46が装備されている。
補助搬送装置46は、第3無端搬送チェーン44の搬送終端左横側方に配置された前側従動ローラ47、フィードチェーン25の搬送始端右横側方に配置された後側従動ローラ48、後側従動ローラ48の下方に配置された駆動スプロケット49、前側従動ローラ48と駆動スプロケット49との間に配置されたテンションローラ50、及び、それらにわたって回し掛けられた搬送突起付きの無端搬送チェーン51、などを備えて構成され、その無端搬送チェーン51における搬送始端側の搬送領域が、第3無端搬送チェーン44における搬送終端側の搬送領域と搬送方向で重なり合う状態に、又、その無端搬送チェーン51の搬送終端位置P1が、フィードチェーン25の搬送始端位置P2と、それら無端搬送チェーン51及びフィードチェーン25の搬送方向及び高さ方向で一致し、かつ、その搬送領域での搬送軌跡K1と、フィードチェーン25の搬送始端側での搬送軌跡K2とが略一直線上に位置する状態となるように、刈取フレーム13から延設された支持フレーム52に、支持プレート53などを介して支持されている。
無端搬送チェーン51の搬送終端位置P1は、その搬送軌跡K1が、無端搬送チェーン51及びフィードチェーン25の非搬送領域を隠す脱穀装置4のサイドカバー54に隠れる位置であり、又、フィードチェーン25の搬送始端位置P2は、その搬送軌跡K2がサイドカバー54から現れる位置であり、かつ、それらの位置P1,P2は、無端搬送チェーン51の搬送終端側を後側従動ローラ48を介して支持する搬送終端側の支軸55と、その支軸55よりも搬送方向下手側でフィードチェーン25の搬送始端部を従動スプロケット56を介して支持する搬送始端側の支軸57との間で、無端搬送チェーン51の搬送軌跡K1と、フィードチェーン25の搬送軌跡K2とが交差する位置に設定されている。補助搬送装置46の搬送軌跡K1は、無端搬送チェーン51の駆動時にその搬送突起58の先端によって形成されるものであり、又、フィードチェーン25の搬送軌跡K2は、フィードチェーン25の駆動時にその搬送突起59の先端によって形成されるものである。
補助搬送装置46の駆動スプロケット49は、刈取フレーム13の昇降支点フレーム部14から左方に向けて延出された第1作業伝動系36の第1出力軸60に、補助搬送装置46の左横側方に隣接配備されたチェーン式伝動機構61(伝動機構に相当)や、そのチェーン式伝動機構61の左横側方に隣接配備されたギヤ式伝動機構62(伝動機構に相当)などを介して連動連結されている。
つまり、補助搬送装置46の駆動速度も、刈取搬送部3の穀稈搬送装置12などとともに静油圧式無段変速装置32による車速の変速に同調して変速される。
そして、補助搬送装置46は、脱穀装置4のフィードチェーン25が車速の変化にかかわらず所定速度Aで定速駆動されるのに対し、その無端搬送チェーン51が速度0〜Bの範囲で車速の変速に同調して変速されるように構成され、又、穀稈搬送装置12は、その挟持搬送機構38の第3無端搬送チェーン44が速度0〜Cの範囲で車速の変速に同調して変速されるように構成され、それらの駆動速度A(定速),B(最速),C(最速)の関係が、A<B≒Cで、かつ、速度Bと速度Cの速度差が1パーセント以内となるように設定されている。
この構成から、穀稈搬送装置12によって起立姿勢から横倒れ姿勢に向けて姿勢変更しながら搬送された刈取穀稈を脱穀装置4に供給する際には、先ず、穀稈搬送装置12の挟持搬送機構38によって挟持搬送された刈取穀稈の株元側が、速度差の殆どない挟持搬送機構38の第3無端搬送チェーン44と補助搬送装置46の無端搬送チェーン51とで2点支持された安定性の高い状態で、穀稈搬送装置12による搬送で得られた横倒れに近い姿勢から脱穀装置4への供給に適した横倒れ姿勢への若干の刈取穀稈の姿勢変更を行いながら、挟持搬送機構38から補助搬送装置46に受け渡され、次に、その補助搬送装置46から、挟持搬送機構38との間よりも速度差が大きくなることがあるものの、刈取穀稈の搬送姿勢が同じ姿勢(脱穀装置4への供給に適した安定性の高い横倒れ姿勢)に設定されたフィードチェーン25に受け渡されることになる。
要するに、穀稈搬送装置12の挟持搬送機構38からフィードチェーン25への刈取穀稈の受け渡しを直接行うように構成した場合には、その受け渡し箇所において、穀稈搬送装置12による横倒れに近い姿勢から脱穀装置4への供給に適した横倒れ姿勢への刈取穀稈の姿勢変更と、搬送速度の大幅な変更とが同時に行われることがあり、その結果、その受け渡し箇所において、刈取穀稈の搬送姿勢が乱れ易くなり、その搬送姿勢の乱れに起因した搬送不良や脱落を招き易くなるのであるが、上記のように補助搬送装置46を配備すれば、刈取穀稈の受け渡し箇所において、刈取穀稈の姿勢変更と搬送速度の大幅な変更とが同時に行われることを回避でき、結果、その受け渡し箇所での刈取穀稈の搬送姿勢の乱れを抑制できる。
又、刈取穀稈の姿勢が変更される穀稈搬送装置12の挟持搬送機構38から補助搬送装置46への刈取穀稈の受け渡し時には、速度差の殆どない挟持搬送機構38の第3無端搬送チェーン44と補助搬送装置46の無端搬送チェーン51とで2点支持された安定性の高い状態であることから、刈取穀稈の姿勢変更に起因して刈取穀稈の搬送姿勢が乱れることを効果的に抑制できる。
更に、速度差が比較的大きくなることのある補助搬送装置46とフィードチェーン25との間では、補助搬送装置46の搬送終端位置P1とフィードチェーン25の搬送始端位置P2とを、補助搬送装置46の無端搬送チェーン51を回動可能に支持する搬送終端側の支軸55と、フィードチェーン25を回動可能に支持する搬送始端側の支軸57との間で、無端搬送チェーン51の搬送軌跡K1と、フィードチェーン25の搬送軌跡K2とが交差する位置に設定して、補助搬送装置46及びフィードチェーン25の搬送方向及び高さ方向で一致させるようにしたことで、刈取穀稈は、無端搬送チェーン51の搬送突起58によってフィードチェーン25側に押し出されて、無端搬送チェーン51による搬送が終了するのに伴って、フィードチェーン25の搬送突起59によってフィードチェーン25側に掻き取られて、フィードチェーン25による搬送が開始されるようになることから、補助搬送装置46とフィードチェーン25とで刈取穀稈を両持ちすることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れをより確実に回避でき、又、その乱れを回避するために補助搬送装置46とフィードチェーン25との間に搬送方向に距離を隔てることに起因した刈取穀稈に対する搬送力の低下を防止できる。
しかも、これらの搬送姿勢の乱れや搬送力の低下を回避する上において、補助搬送装置46とフィードチェーン25との間に落差を設けるのではなく、補助搬送装置46の搬送領域での搬送軌跡K1とフィードチェーン25の搬送始端部での搬送軌跡K2とを略一直線上に位置させることから、落差に起因した刈取穀稈の搬送姿勢の乱れを回避できるとともに、補助搬送装置46からフィードチェーン25への刈取穀稈の受け渡し搬送をスムーズかつ美麗に行える。
その上、挟持搬送機構38の第3無端搬送チェーン44及び補助搬送装置46の無端搬送チェーン51とフィードチェーン25との駆動速度の関係を、第3無端搬送チェーン44及び無端搬送チェーン51の最速状態では、それらの駆動速度がフィードチェーン25の駆動速度よりも速くなるようにしたことで、第3無端搬送チェーン44及び無端搬送チェーン51の変速範囲内の速度でフィードチェーン25が駆動されることから、刈取穀稈の受け渡しが行われる無端搬送チェーン51とフィードチェーン25との間での速度差を軽減でき、その速度差に起因した刈取穀稈の搬送姿勢の乱れを抑制できる。
その結果、刈取穀稈を起立姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更しながら脱穀装置4に向けて搬送する供給搬送を、刈取穀稈の搬送姿勢の乱れや搬送力の低下などに起因した刈取穀稈の搬送不良や脱落を効果的に招き難くしながらスムーズかつ美麗に行える。
図2、図3、図5〜8及び図14に示すように、チェーン式伝動機構61は、第1出力軸60と一体回転する第1スプロケット63、その後方に配備された第2スプロケット64、それらのスプロケット63,64にわたって回し掛けられた伝動チェーン65、及び、その伝動チェーン65を緊張させるテンション金具66、などを備えて構成されている。
図5及び図14に示すように、ギヤ式伝動機構62は、第1伝動軸67を介してチェーン式伝動機構61の第2スプロケット64と一体回転する第1ギヤ68、この第1ギヤ68に噛合するとともに第2伝動軸69を介して補助搬送装置46の駆動スプロケット49と一体回転する第2ギヤ70、及び、それらのギヤ68,70を外囲するギヤーケース71、などを備えて構成されている。
以上の構成から、支柱15を支点にして刈取搬送部3を左右揺動させる際には、先ず、下降規制部材20を作用位置に切り換えて刈取搬送部3を所定の下降位置に保持し、次に、連結ピン22による刈取フレーム13とリフトシリンダ18との連結を解除した後、ロックピン21による載置台16に対するホルダ17の固定を解除すればよく、これらの操作を行うだけで、刈取搬送部3を、搭乗運転部6の左横側方に隣接して脱穀装置4の前方に位置する作業位置と、搭乗運転部6の左横側方と脱穀装置4の前方とを大きく開放するメンテナンス位置とにわたって左右揺動させることができ、又、穀稈搬送装置12の挟持搬送機構38からフィードチェーン25への刈取穀稈の受け渡しを良好にするために刈取搬送部3と脱穀装置4との間に配備された補助搬送装置46を、フィードチェーン25の搬送始端部に近接する作業位置と、フィードチェーン25と補助搬送装置46との間を大きく開放するメンテナンス位置とにわたって刈取搬送部3とともに一体揺動させることができ、これによって、刈取搬送部3、脱穀装置4、及び搭乗運転部6に対するメンテナンスをそれらの間からも容易に行えるとともに、刈取搬送部3と脱穀装置4との間や刈取搬送部3と搭乗運転部6との間に配備された伝動系や操作系などに対するメンテナンスも容易に行えるようになり、更に、フィードチェーン25や補助搬送装置46に対するメンテナンスをそれらの間からも容易に行える。
図4、図6及び図14に示すように、挟持搬送機構38から補助搬送装置46への刈取穀稈の受け渡しを行う受け渡し箇所には、刈取穀稈の株元側を挟持搬送機構38から補助搬送装置46に案内するガイド杆72と、刈取穀稈の株元側を補助搬送装置46に向けて押さえ付ける押さえ板73とが配備されている。ガイド杆72は、刈取フレーム13から無端搬送チェーン51に向けて上下揺動可能に延出された丸鋼材からなり、その延出端側が補助搬送装置46の無端搬送チェーン51によって受け止め支持され、引きバネ74によって走行時の振動などに起因した跳ね上がりが防止されている。押さえ板73は、ガイド杆72から補助搬送装置46に向けて延設された板バネからなり、ガイド杆72と一体揺動し、かつ、その弾性で刈取穀稈の株元側を補助搬送装置46に向けて押さえ付ける。
つまり、ガイド杆72は、刈取搬送部3に対して上下揺動可能で、かつ、その延出端側が補助搬送装置46で受け止め支持されることから、刈取搬送部3の昇降揺動による刈り高さ調節にかかわらず適切な案内姿勢に維持されるようになり、結果、刈り高さ調節にかかわらず、ガイド杆72による刈取穀稈株元側の挟持搬送機構38から補助搬送装置46への案内を良好に行える。
そして、その刈り高さ調節にかかわらず適切な案内姿勢に維持されるガイド杆72から押さえ板73を延出することから、押さえ板73は、刈取搬送部3の昇降揺動による刈り高さ調節にかかわらず適切な押さえ付け姿勢に維持されるようになり、結果、刈り高さ調節にかかわらず、押さえ板73の弾性による刈取穀稈の株元側に対する押さえ付け力が略一定となり、その押さえ付け力が弱くなり過ぎることに起因した補助搬送装置46での刈取穀稈の搬送姿勢の乱れや、その押さえ付け力が強くなり過ぎることに起因した補助搬送装置46での刈取穀稈の詰まりなどを防止できる。
図4及び図14挟持搬送機構38には、その第3無端搬送チェーン44から補助搬送装置46の無端搬送チェーン51に受け渡される刈取穀稈の株元側を、挟持搬送機構38及び補助搬送装置46の左側方箇所で下方から受け止め支持する第1支持杆75が装備されており、この第1支持杆75による受け止め支持で、挟持搬送機構38から補助搬送装置46に受け渡される刈取穀稈の穂先側の浮き上がりを防止でき、その浮き上がりに起因した刈取穀稈の位置ずれや脱落を回避できる。
図4及び図6に示すように、補助搬送装置46には、その無端搬送チェーン51からフィードチェーン25に受け渡される刈取穀稈の株元側を、補助搬送装置46及びフィードチェーン25の左側方箇所で下方から受け止め支持する第2支持杆76が装備されており、この第2支持杆76による受け止め支持で、補助搬送装置46からフィードチェーン25に受け渡される刈取穀稈の穂先側の浮き上がりを防止でき、その浮き上がりに起因した刈取穀稈の位置ずれや脱落を回避できる。
図4に示すように、穀稈搬送装置12の係止搬送機構39は、右端に配備された掻込ベルト11の上方から脱穀装置4の受入口24の近くまで延出する状態に配備された右側係止搬送帯77や、右端に配備された掻込ベルト11の上方から右側係止搬送帯77の中間部に向けて延出する状態に配備された左側係止搬送帯78、などを備えて構成され、各係止搬送帯77,78の駆動により、その搬送始端側では、各掻込ベルト11で掻き込み搬送された刈取穀稈の穂先側に、右側係止搬送帯77の搬送始端側又は左側係止搬送帯78が係止して後方の左右中央側に向けて掻き寄せ搬送し、その搬送終端側では、掻き寄せ搬送された刈取穀稈の穂先側に右側係止搬送帯77の搬送終端側が係止して、その穂先側を穀稈搬送装置12の上方から右側方に徐々に変位させながら後方の脱穀装置4の受入口24に向けて搬送する。
尚、各係止搬送帯77,78は、無端回動チェーン79に複数の係止爪80を一定間隔を隔てる状態に並設して構成されている。
〔別実施例〕
以下、本発明の別実施例を列記する。
〔1〕コンバインとしては、静油圧式無段変速装置32の代わりに例えばベルト式無段変速装置などを装備したものであってもよい。
〔2〕コンバインとしては、刈取搬送部3を機体フレーム1に着脱可能に連結したものであってもよい。
〔3〕補助搬送装置46を、その無端搬送チェーン51が、穀稈搬送装置12における挟持搬送機構38の第3無端搬送チェーン44と同じ速度で駆動されるように構成してもよい。
〔4〕補助搬送装置46の駆動速度B(最速)と挟持搬送機構38の駆動速度(最速)との差が1パーセントよりも大きくなるように設定してもよい。
〔5〕補助搬送装置46を、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに車速の変速に略同調して変速されるように構成してもよい。例えば、補助搬送装置46を、車速が所定の微速領域内である場合には、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに、車速の変速にかかわらず所定の低速で定速駆動され、車速が所定の微速領域を超えている場合には、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに車速の変速に同調して変速されるように構成すれば、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに低速になり過ぎることに起因して招く虞のある切断不良や搬送不良などを未然に回避できる。又、補助搬送装置46を、車速が所定の高速以下である場合には、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに車速の変速に同調して変速され、車速が所定の高速を超える場合には、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに車速の変速にかかわらず所定の高速で定速駆動されるように構成すれば、刈取搬送部3の刈取装置9や穀稈搬送装置12などとともに高速になり過ぎることに起因して招く虞のある激しい騒音の発生などを未然に回避できる。
〔6〕補助搬送装置46を、脱穀装置4側からの動力で駆動するように構成してもよい。
〔7〕補助搬送装置46を、その搬送終端側の支軸55が、フィードチェーン25の搬送始端部を支持する支軸57よりも穀稈搬送方向の下手側に位置する状態、又は、そのフィードチェーン25の支軸57と穀稈搬送方向で一致する状態に構成してもよい。
〔8〕補助搬送装置46の搬送終端位置P1とフィードチェーン25の搬送始端位置P2とを、補助搬送装置46の搬送終端側の支軸55とフィードチェーン25の搬送始端部を支持する支軸57との間以外の位置で、補助搬送装置46の搬送軌跡K1とフィードチェーン25の搬送軌跡K2とが交差する位置に設定してもよく、又、補助搬送装置46の搬送領域での搬送軌跡K1と、フィードチェーン25の搬送始端側での搬送軌跡K2とが接合する位置に設定してもよい。
〔9〕補助搬送装置46の搬送領域での搬送軌跡K1とフィードチェーン25の搬送始端側での搬送軌跡K2とが一直線上に位置するように構成してもよい。