JP4104085B2 - 定着ベルト、定着ローラ、それらの製造方法、加熱定着装置及び画像形成方法 - Google Patents

定着ベルト、定着ローラ、それらの製造方法、加熱定着装置及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は定着ベルト、定着ローラ、それらの製造方法、加熱定着装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録はインクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録材料に付着させ、画像、文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有している。
【0003】
また、近年の技術進歩により、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが注目されている。
【0004】
顔料は溶媒に不溶であり、色素分子は粒子を形成して溶媒に分散した状態で着色に寄与しているので、例え、表面の分子が光化学反応等により破壊されたとしてもその下部に新たな色素分子層があるので見かけ上の着色力低下が小さく、画像保存性に優れるという特徴がある。
【0005】
しかしながら、画像定着処理後も顔料粒子に起因する散乱光、反射光の影響により光沢性のある画像を得ることが困難であるという問題点があった。
【0006】
特開平11−208097号においては、最外層が熱可塑性樹脂層である記録材料に分散剤を含有しない顔料インクにより記録後、顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させる技術が開示されている。顔料インクは記録材料表面に付着後顔料粒子は熱可塑性樹脂層表面に存在し、溶媒成分は記録材料を構成する各層に吸収される。続いて顔料粒子を熱可塑性樹脂層中に移動させることによって、顔料インク特有の印字部の未印字部に対する浮き上がりが解消され、平滑性向上に起因する光沢向上効果が確認された。
【0007】
しかしながら、顔料インクの熱可塑性樹脂層中への埋め込みが中途半端な場合、印字部、未印字部に画像状の凹凸が発生し、光沢差が生じやすくなり、また、逆に顔料インクの埋め込みが十分に行われた場合、画像表面の平滑性は向上し、印字部と未印字部の光沢差は解消されるが、光沢度については充分な特性が得られないという問題点があった。
【0008】
また、特開2000−103044号には、記録材料上に吐出されたインクを乾燥させる乾燥手段として、加熱ローラと該加熱ローラに対向配置している加圧ローラが開示されているが、この技術では、確かにインクの盛り上がりが平坦になり、従来の画像形成装置に比べ、インクに光沢がでるものの、充分な光沢とはいえず、また、加熱ローラと顔料インクとの剥離性も不十分であるという問題点があった。
【0009】
特開2000−1512号には、特定の記録用紙及びインクを用いなくても、光沢度の高い画像を出力する為に、インクを用いて被印刷物に画像を形成する画像形成部と、この画像形成部によって画像が形成された被印刷物を加圧する為の加圧部とを備えている画像出力装置が開示されている。
【0010】
この画像出力装置には、定着装置として表面にフッ素コーティングされたシリコンゴムが開示されているが、形成された画像の光沢は充分ではなく、また、ローラと顔料インクとの剥離性も不十分であるという問題点があった。
【0011】
電子写真複写機あるいは電子写真式プリンター等、電子写真プロセスを利用した画像形成装置においては、感光体表面から複写紙などの被転写物に転写されたトナー像を被転写物に固定する必要がある。このトナー像を固定する方法として、互いに圧接回転している加熱ロールと加圧ロールとの間に複写紙を通過させ、複写紙上のトナー像を熱融着し、固定する方法が広く採用されている。
【0012】
この方法においては、定着ロールと複写紙とはロールの曲率により接触巾が小さいため、複写紙は定着ロールから短時間で分離され、複写紙上のトナーは高温のままロール表面から離れてしまい、とくに、フルカラー用トナーは低融点であるのでオフセットしやすく、トナー表面は荒れた状態になっているので、トナー像の鏡面化が十分ではなく、光沢性のある画像が得るのが難しいという問題点があった。
【0013】
また、従来、オフセット防止のために定着ロール表面にシリコーンオイルを塗布することが行われているが、シリコーンオイルを塗布するための装置が必要になる等、装置的に複雑となるという問題点がある。さらに、原稿をOHPフィルムにコピーする場合には、該フィルムがシリコーンオイルにて汚染されるという点も指摘されている。
【0014】
そこで、特開平5−265337号には、少なくとも基材とその表面に形成された離型性層とからなる定着ベルトにおいて、該離型性層がシリコーンレジンからなることを特徴とする定着ベルトが開示されている。
【0015】
また、特開2000−112271号には、定着部材の基体(基材)より最も離隔した最外面(離型性層に相当する)に硬化性変性シリコーン樹脂を含有する表面層を設ける定着ベルトが開示されている。
【0016】
しかしながら、上記の定着ベルトはフルカラーのトナー画像の光沢性向上等には効果があるが、インクジェット記録画像の光沢度の向上効果は不十分であり、また、定着ベルト上の離型性層の膜剥がれが起こりやすいなどの問題点があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着後の画像の光沢が良好であり、加熱定着時に定着部材の膜剥がれがない定着ベルト、定着ローラ、それらの製造方法、加熱定着装置及び画像形成方法を提供する事である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜25によって達成された。
【0019】
1.加熱手段と加圧手段との間を記録材料と、基材上に少なくとも離型性層を有する定着ベルトの該離型性層を有する面とを対向させながら通過させ、定着を行う定着ベルトにおいて、前記離型性層がシリコーン樹脂からなり、且つ、前記離型性層と該基材とに各々隣接するように50質量%〜100質量%のブチラール樹脂を含有する接着性改良層が設けられていることを特徴とする定着ベルト。
【0020】
2.離型性層が、硬化型シリコーンを接着性改良層が設けられた基材上にディップ塗布後、該硬化型シリコーンを加熱硬化させて形成されたシリコーン樹脂を含有することを特徴とする前記1に記載の定着ベルト。
【0021】
3.基材がシームレスニッケルベルトであることを特徴とする前記1または2に記載の定着ベルト。
【0025】
4.接着性改良層が、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の定着ベルト。
【0026】
5.接着性改良層が、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の定着ベルト。
【0027】
6.接着性改良層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の定着ベルト。
【0028】
7.前記1〜のいずれか1項に記載の定着ベルトを製造するに当たり、接着性改良層と離型性層が、各々ディップ塗布により塗設されることを特徴とする定着ベルトの製造方法。
【0029】
8.離型性層塗設後、下記のエージング処理Aを行う工程、次いで、下記のエージング処理Bを行う工程を有することを特徴とする前記に記載の定着ベルトの製造方法。
エージング処理A:温度範囲が25℃〜100℃、相対湿度が50%RH〜95%RHの範囲で経時保存する処理を表す。
エージング処理B:温度範囲が40℃〜200℃、相対湿度が50%RH未満で経時保存する処理を表す。
【0030】
9.前記またはに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする定着ベルト。
【0031】
10.加熱手段と加圧手段との間を記録材料と、基材上に少なくとも離型性層を有する定着ローラの該離型性層を有する面とを対向させながら通過させ、定着を行う定着ローラにおいて、前記離型性層がシリコーン樹脂からなり、且つ、前記離型性層と該基材とに各々隣接するように50質量%〜100質量%のブチラール樹脂を含有する接着性改良層が設けられていることを特徴とする定着ローラ。
【0032】
11.離型性層が、硬化型シリコーンを接着性改良層が設けられた基材上にディップ塗布後、該硬化型シリコーンを加熱硬化させて形成されたシリコーン樹脂を含有することを特徴とする前記10に記載の定着ローラ。
【0037】
12.接着性改良層がシランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする前記10または11に記載の定着ローラ。
【0038】
13.接着性改良層が、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする前記1012のいずれか1項に記載の定着ローラ。
【0039】
14.接着性改良層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする前記1013のいずれか1項に記載の定着ローラ。
【0040】
15.前記1014のいずれか1項に記載の定着ローラを製造するに当たり、接着性改良層と離型性層が、各々ディップ塗布により塗設されることを特徴とする定着ローラの製造方法。
【0041】
16.離型性層塗設後、下記のエージング処理Aを行う工程、次いで、下記のエージング処理Bを行う工程を有することを特徴とする前記15に記載の定着ローラの製造方法。
エージング処理A:温度範囲が25℃〜100℃、相対湿度が50%RH〜95%RHの範囲で経時保存する処理を表す。
エージング処理B:温度範囲が40℃〜200℃、相対湿度が50%RH未満で経時保存する処理を表す。
【0042】
17.前記15または16に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする定着ローラ。
【0043】
18.前記1〜及びのいずれか1項に記載の定着ベルトまたは前記1014及び17のいずれか1項に記載の定着ローラを有することを特徴とするインクジェット記録材料用加熱定着装置。
【0044】
19.インクを噴射して印字が行われた記録材料を前記1〜及びのいずれか1項に記載の定着ベルトまたは前記10〜14及び17のいずれか1項に記載の定着ローラを用いて定着処理することを特徴とするインクジェット記録材料用加熱定着装置。
【0045】
20.インクが顔料インクであることを特徴とする前記19に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置。
【0046】
21.記録材料が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接した無機微粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴とする前記1820のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置。
【0047】
22.インクを噴射して印字が行われた記録材料を前記1821のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置を用いて定着処理することを特徴とする画像形成方法。
【0048】
23.インクが顔料インクであることを特徴とする前記22に記載の画像形成方法。
【0049】
24.記録材料が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接した無機微粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴とする前記22または23に記載の画像形成方法。
【0050】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、請求項1〜及び11に係る定着ベルトについて、図1を用いて説明し、請求項1219及び22に係る定着ローラについては、図2を用いて説明する。
【0052】
図1は、本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図である。図1において、搬送ローラ対21から送り出された記録材料1は記録ヘッド3によりインクジェット記録が行われ、カッタ61により適宜切断され、第1のローラ対〜第2のローラ対まで、たわみを有する状態で搬送され、次いで、加熱定着手段4に送られ、内部に発熱体43を有する加熱ローラ41と加圧ローラ42との間に定着ベルト44と共に通過することにより、加熱定着処理が行われる。
【0053】
図2は、本発明で用いられるインクジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図である。図2において、搬送ローラ対21から送り出された記録材料1は記録ヘッド3によりインクジェット記録が行われ、カッタ61により適宜切断され、第1のローラ対〜第2のローラ対まで、たわみを有する状態で搬送され、次いで、加熱定着手段4に送られ、内部に発熱体43を有する加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過することにより、加熱定着処理が行われる。
【0054】
上記記載の加熱ローラの表面には、図示していないが、離型性層が設けられており、前記離型性層中には本発明に係るシリコーン樹脂が含有されている。
【0055】
上記記載の定着ベルトまたは定着ローラが前記記録材料1と接する面には、図示していないが、離型性層が設けられており、前記離型性層中には本発明に係るシリコーン樹脂が含有されている。
【0056】
本発明に記載の効果、即ち、画像形成後の画像の光沢が良好であり、定着時に定着ベルトや定着ローラに設けられている離型性層の膜剥がれがなく、且つ、定着時のオフセット発生を低減するためには、請求項1または13に記載のように、加熱手段と加圧手段との間を記録材料と、基材上に少なくとも離型性層を有する定着ベルトまたは定着ローラの該離型性層を有する面とを対向させながら通過させ、定着を行う定着ベルトまたは定着ローラにおいて、前記離型性層がシリコーン樹脂を含有し、且つ、前記離型性層と該基材とに各々隣接するように接着性改良層が設けることによって達成できることを見出した。
【0057】
《離型性層》
本発明に係る離型性層について説明する。
【0058】
本発明に係る離型性層は、シリコーン樹脂を含有している。本発明に係るシリコーン樹脂は、従来公知のシリコーン樹脂を用いることができるが、本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、離型性層の剥離力が30g/5cm以上を満たすようなものが好ましく用いられる。
【0059】
本発明に係るシリコーン樹脂としては、例えば、下記に示すような溶剤付加型シリコーンまたは縮合硬化型のシリコーン等のような硬化型シリコーンを用いて作製されたシリコーン樹脂が好ましく、中でも溶媒付加型シリコーンを用いて作製されたシリコーン樹脂が好ましい。
【0060】
上記記載の溶剤付加型シリコーンは、両末端、あるいは、両末端及び鎖中に、ビニル基を有する直鎖状メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させて得られる。
【0061】
溶剤付加型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−887、KS−779H、KS−778、KS−835、X−62−2456、X−62−2494、X−62−2461、KS−3650、KS−3655、KS−3600、KS−847、KS−770、KS−770L、KS−776A、KS−856、KS−775、KS−830、KS−830E、KS−839、X−62−2404、X−62−2405、KS−3702、X−62−2232、KS−3503、KS−3502、KS−3703、KS−5508等が挙げられる。
【0062】
縮合硬化型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−881、KS−882、KS−883、X−62−9490、X−62−9028等のシリコーンが好ましく用いられる。
【0063】
本発明に係る離型性層の表面接触角は、100度〜120度であることが好ましく、更に好ましくは、105度から115度である。ここで、表面接触角は、純水に対する接触角の測定であり、例えば、自動接触角計DAC−VZ(協和界面科学社製)を用い、液適法(純水約15μlを測定面に静かに垂らし、接触してから0.5秒後の接触角を測定する)にて測定した。
【0064】
本発明に係る離型性層の表面粗さ(定義については後述する)は、0.2μm以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.1μm以下である。
【0065】
本発明に係る離型性層の厚さは、1μm〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは、10μm〜30μmである。
【0066】
また、本発明の定着ベルト、本発明の定着ローラに係る離型性層は、その剥離力が30g/5cm以上になるように調整することが好ましく、更に好ましくは、30g/5cm〜1000g/5cmの範囲に調製することであり、特に好ましくは、50g/5cm〜600g/5cmである。
【0067】
ここで、離型性層の剥離力は下記に記載の方法により測定される。
(離型性層の剥離力測定方法)
図1に示すような定着ベルトの場合には、定着ベルトの離型性層に、図2に示すような定着ローラの場合には、加熱ローラまたは加圧ローラの離型性層に、粘着テープ(ニットーポリエステルテープNo.31B(日東電工(株)製))を貼合し、加圧ローラの圧力値を2kgに設定した状態で、加圧ローラ1回転分の圧着操作を行い、その後、室温下、定着ベルトまたは定着ローラを20時間放置後、上記粘着テープを角度180度、0.3m/分の速度条件下、市販の引っ張り試験機を用い、剥離力を測定した。
【0068】
但し、定着ローラの加熱ローラと加圧ローラのどちらにも離型性層が設けられている場合には、記録材料と接する側の離型性層の剥離力を測定した。
【0069】
《接着性改良層》
本発明に係る接着性改良層について説明する。
【0070】
本発明の定着ベルト、定着ローラは、加熱定着時に定着部材の膜剥がれを効果的に防止する観点から、各々、基材と離型性層とに各々隣接するように接着性改良層が設けられることが必須である。
【0071】
本発明に係る接着性改良層は、基材と離型性層との接着性向上の観点から、水酸基、カルボキシル基、前記一般式(a)で表される基及び前記一般式(b)で表される基からなる群から選択される少なくとも一つの反応性基を有する化合物を含有することが好ましい。
【0072】
(反応性基を有する化合物)
反応性基を有する化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、本発明においては、ポリビニルアルコール樹脂(例えば、PVA−124、224,424(いずれも、クラレ製))、ブチラール樹脂(例えば、3000K(電気化学工業社製))、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンおよびポリブタジエン系などのオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、ブチラール樹脂が好ましく用いられる。
【0073】
上記の反応性基を有する化合物の接着性改良層中での含有量は、1質量%〜100質量%が好ましく、更に好ましくは、50質量%〜100質量%である。また、本発明に係る接着性改良層が、反応性基を有する樹脂(1種類の樹脂でもよく、複数の樹脂の混合物でもよい)から構成されている場合、樹脂を構成する全繰り返し単位中、前記反応性基を有する繰り返し単位の含有比率が20%以下であることが好ましいが、更に好ましくは、1%〜20%である。
【0074】
(カップリング剤、イソシアネート化合物)
本発明に係る接着性改良層は、接着性効果を更に好ましく発揮する観点から、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネート化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することが好ましいが、更に好ましくは、チタンカップリング剤またはイソシアネート化合物を含有することであり、特に好ましく用いられるのは、チタンカップリング剤である。
【0075】
チタンカップリング剤としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
【0076】
また、イソプロポキシ基を有するモノアルコキシ型、オキシ酢酸残基あるいはエチレングリコール残基を有するキレート型、テトラアルキルチタネートに亜リン酸エステルを付加させたコーディネート型が挙げられる。
【0077】
モノアルコキシ型としては、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデジルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート等がある。
【0078】
また、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート(TOG:日本曹達(株)製)、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシチタン・トリ−i−ステアレート等が挙げられる。
【0079】
キレート型としては、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0080】
コーディネート型としては、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等がある。
【0081】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、KBM503(信越化学工業(株)製)、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
【0082】
イソシアネート化合物としては、例えば、以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0083】
一般式
O=C=N−L−(N=C=O)v
式中、vは0、1または2であり、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはアラルキル基を部分構造として有する2価の連結基を表す。
【0084】
これらの基は、更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例は、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基等が挙げられる。
【0085】
製造元から入手できる特定のイソシアネート化合物の例を以下に示すが、本発明は、これらに限定されない。
【0086】
IC−1 デスモデュ(Desmodur)N100、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−2 デスモデュN3300、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−3 モンデュー(Mondur)TD−80、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−4 モンデューM、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−5 モンデューMRS、モーベイ社、ポリマーイソシアネート
IC−6 デスモデュW、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−7 パピ(Papi)27、ダウ社、ポリマーイソシアネート
IC−8 イソシアネートT1890、ヒュルス(Huels)、脂肪族イソシアネート
IC−9 オクタデシルイソシアネート、アルドリッヒ社、脂肪族イソシアネート
更に、コロネート2030、コロネート2255、コロネート2513、コロネート2507、コロネートL、コロネートHL、コロネートHK、コロネートHX、コロネート341、コロネートMX、コロネート2067、以上日本ポリウレタン社製、タケネートD103H、タケネートD204EA、タケネートD−172N、タケネートD−170N、以上武田薬品製、スミジュールん3200、スミジュール44V−20、スミジュールIL、以上住友バイエルウレタン社製等が挙げられる。
【0087】
また、本発明においては、アルミニウムカップリング剤、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等も用いることが出来る。
【0088】
上記記載のカップリング剤、イソシアネート化合物等の接着性改良層中の含有量としては、1質量%〜99質量%が好ましく、更に好ましくは、1質量%〜50質量%である。
【0089】
(接着性改良層の膜厚)
本発明に係る接着性改良層の膜厚は、1μm〜300μmに調整することが好ましく、更に好ましくは、1μm〜100μmであり、特に好ましくは、1μm〜50μmである。
【0090】
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、シリコン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABSゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等が挙げられる。
【0091】
また、これらの高分子化合物を互いに共重合体させたランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体なども挙げられる。
【0092】
中でも、好ましくは、ビニル基を有するモノマーが重合されたスチレン−アクリル樹脂が挙げられる。このスチレン−アクリル樹脂に用いられる好ましいモノマーを挙げれば、スチレンとアクリレート類(アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート)、アクリロニトリルがあげられ、これらのモノマーを主成分にした熱可塑性樹脂が好ましい。この熱可塑性樹脂には、スチレン−アクリルの他に、酢酸ビニルを共重合させて、酢酸ビニルの一部、または全部をビニルアルコールに導いた熱可塑性樹脂、重合後ウレタン変性、シリコン変性、ポリビニルアルコール変性などの変性処理したものも、好ましく用いられる。
【0093】
本発明に係る熱可塑性樹脂としては、特定の重量平均分子量、特定の分子量分布を有する樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂の分子量、分子量分布は、後述するゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、ポリスチレン換算の分子量として測定される。本発明においては東ソー社製、HLC−8220GPC(カラム:TSKゲルSuperHM−M)をもちいた。
【0094】
本発明に記載の効果を得る観点から、熱可塑性樹脂の分子量としては、重量平均分子量が50,000〜2,000,000の範囲のものが好ましく、且つ、分子量分布としては、重量平均分子量/数平均分子量の値が4.0以上であることが好ましいが、更に好ましくは、重量平均分子量/数平均分子量の値は4.0〜15.0である。
【0095】
上記記載の分子量、分子量分布を有する熱可塑性樹脂は、複数の分子量分布を有する樹脂を混合する、あるいは、従来公知の合成方法を参照して、合成することが出来る。高分子量の樹脂を合成後その反応液中にモノマーを加えて、さらに重合させるブロック重合、あるいはグラフト重合など公知の方法を用いて得る事が出来る。
【0096】
また、熱可塑性樹脂はガラス転移点が30℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃が好ましい。これらの例としては、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、シリコーン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABSゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体、アクリル変性フッ素樹脂等が挙げられる。
【0097】
また、これらの高分子化合物を互いに共重合体させたランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体なども挙げられる。
【0098】
好ましくは、ビニル基を有するモノマーが重合された熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましいモノマーを挙げれば、アクリロニトリル、スチレン、アクリレート類(アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート)、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ブタジエン、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられ、これらのモノマーを2つ以上組み合わせた共重合体が好ましい。また、共重合体に組み込まれた酢酸ビニルをケン化し、酢酸ビニルの一部、または全部をビニルアルコールに導いた熱可塑性樹脂、ポリウレタン、シリコーン−アクリル共重合体などが好ましく用いられる。
【0099】
また、ポリエステル、ポリウレタン樹脂も用いる事が出来る。
本発明において用いる熱可塑性樹脂は適度に架橋されている事が必要である。架橋剤を有する熱可塑性樹脂を製造するには、公知のさまざまな方法、例えばスチレン、アクリル酸エステルなどのラジカル重合により高分子を得る場合は、ジビニルベンゼン、トリメタノールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどの2官能以上の架橋剤を適量加えた後、重合すれば良い。
【0100】
ポリエステル、ポリウレタンなどの縮合性高分子の場合は、ポリエステル、ポリウレタンの製造時に、トリメチロールプロパンなどの3官能以上のアルコール類、3官能以上のイソシアネートを用いて、縮合反応を行えば良い。
【0101】
本発明においては、記録媒体上に画像を形成した後、圧力又は熱による処理を行うことによりインク顔料が圧力又は熱により軟化した熱可塑性樹脂中に埋め込まれた状態となることでインクが記録媒体にしっかりと定着(固着)され本発明の効果が得られると考えられる。
【0102】
(樹脂のフロー軟化点)
本発明に係る接着性改良層に含有される少なくとも1種の樹脂が、フロー軟化点が130℃以上であることが好ましく、更に好ましくは、130℃〜400℃の範囲であり、特の好ましくは、130℃〜300℃の範囲である。前記の樹脂としては、上記記載の反応性基を有する化合物として用いられている樹脂、上記記載の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0103】
ここで、本発明に係るフロー軟化点は、高架式フローテスタCFT−500(島津製作所製)を用いて測定した。
【0104】
《基材》
本発明に係る定着ベルトに用いられるベルト部材用の基材や本発明に係る定着ローラの加熱ローラ、加圧ローラに用いられる各々の基材について説明する。
【0105】
本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、ベルト部材に用いられる基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、加熱ローラ、加圧ローラの基材としては、ニッケルが好ましい。また、基材の厚さは、10μm〜100μmであることが好ましい。
【0106】
また、基材の材料としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。
【0107】
本発明に係る定着ベルトの基材の表面粗さは、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.08μm以下である。更に、ヤング率は、50kN/mm2以上であることが好ましく、更に好ましくは、50kN/mm2〜300kN/mm2である。
【0108】
《表面粗さ》
ここで、上記の離型性層の表面粗さや、定着ベルトや定着ローラの基材の表面粗さの測定について説明する。
【0109】
本発明においては、以下の方法に従い平均面粗さRaを測定した。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)として、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用した。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。測定領域2μm角を、1(or2)視野、走査周波数1Hzで測定した。また、得られた三次元データを最小二乗近似することにより、試料のわずかの傾きを補正し、基準面を求めた。
【0110】
表面粗さの解析は、解析ソフトSPIwin(ver.2.05D2、セイコーインスツルメント社製)の「解析」メニューより表面粗さ解析を呼び出し、得られた三次元データより平均面粗さを求めた。
【0111】
測定により表された測定面はZ=F(X,Y)で表す。(X,Y)の範囲は(0,0)〜(Xmax,Ymax)となる。それを粗さ解析の対象となる指定面*とすると、表面積S0は次式で求められる。
【0112】
0=Xmax・Ymax
指定面内のZデータの平均値をZ0とするとき、Z=Z0となる平面を基準面とするときZ0は次式で求められる。
【0113】
【数1】
Figure 0004104085
【0114】
別途JIS B601で中心線平均粗さ(Ra)は粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線の方向をX軸、縦倍率の方向(X軸に垂直)をY軸とし、粗さ曲線をY=F(X)とした時、
【0115】
【数2】
Figure 0004104085
【0116】
で与えられる値と定義される。
本発明においては、この中心線平均粗さRaを、測定面に対して適応できるように三次元に拡張したものを本発明に係る表面粗さ(平均粗さRaともいう)と定義し、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値として表現し、次式を適用して得られた値を用いた。
【0117】
【数3】
Figure 0004104085
【0118】
本発明に係る定着ベルト、定着ローラの製造方法について説明する。
本発明に係る定着ベルト、定着ローラの製造においては、記録材料と接触する側の定着ベルトや定着ローラの面に、ディップ塗布方式、バーコート方式、ブレード塗布方式、エアナイフ方式、スライド塗布装置やカーテン塗布等により接着性改良層を塗布し乾燥の後、前記接着性改良層の上に、溶媒付加型シリコーンや溶剤縮合型シリコーンなどの硬化型シリコーンをディップ塗布後、加熱硬化する工程を経て離型性層が形成されることが好ましい。
【0119】
中でも好ましいのは、接着性改良層、離型性層の各々をディップ塗布方式で塗布することである。ディップ塗布を行う場合の塗布液の粘度としては、0.01Pa・s〜0.5Pa/sの範囲に調整することが好ましい。
【0120】
また、本発明においては、前記離型性層の塗設後、エージング処理Aを行う工程、次いで、エージング処理Bを行う工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【0121】
ここで、エージング処理Aは、例えば、離型性層塗布後の定着ベルトまたは定着ローラを水中に浸積する、蒸気を噴霧する、加温高湿下に経時保存することを表す。加温高湿下とは、温度範囲が25℃〜100℃、高湿とは、相対湿度が50%RH以上、好ましくは、50%RH〜95%RHの範囲を表す。
【0122】
また、エージング処理Bは、前記エージング処理Aの後に定着ベルトまたは定着ローラを高温低湿下に処理することを表すが、高温とは、40℃〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、40℃〜150℃の範囲であり、低湿とは、相対湿度が50%RH未満を表す。
【0123】
本発明に係る記録材料(記録媒体ともいう)について説明する。
記録材料は顔料インクを受容し、画像形成することができれば特に制約はないが、強度の観点から支持体上にインク吸収層を有するものが好ましい。
【0124】
支持体としては、従来からインクジェット記録材料に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0125】
支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録用紙であってもよい。また、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0126】
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPまたはLDPの比率は、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0127】
上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0128】
原紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0129】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0130】
原紙の坪量は、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0131】
原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0132】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できる高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤を使用できる。
【0133】
原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0134】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0135】
特に、インク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0136】
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
【0137】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側のポリエチレン層が20μm〜40μm、バック層側が10μm〜30μmの範囲である。
【0138】
更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以下の特性を有していることが好ましい。
【0139】
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgであることが好ましい
2.引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1MPa
4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面平均粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高さが10μm以下であることが好ましい
6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい
7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい
9.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が、50〜300cm2/100である支持体が好ましい
10.中紙の含水率:中紙に対して、通常、2〜100質量%、好ましくは2〜6質量%
記録材料のインク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがある。
【0140】
膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
【0141】
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0142】
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録材料のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0143】
本発明で用いられる空隙型インク吸収層について説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
【0144】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0145】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0146】
固体微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0147】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0148】
微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0149】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0150】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0151】
親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0152】
本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0153】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0154】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0155】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0156】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0157】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、同63−3079799号に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0158】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0159】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0160】
色材受容層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0161】
また、色材受容層に用いられる無機微粒子と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0162】
色材受容層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0163】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0164】
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0165】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオール有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0166】
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0167】
本発明においては、インク吸収層の表層に熱可塑性樹脂を含む層を設けることは、本発明の目的を達成する上で好ましい。
【0168】
熱可塑性樹脂を含む層は、熱可塑性樹脂のみからなる層であっても、必要に応じて水溶性バインダー等を添加したものであってもよい。熱可塑性樹脂は、インク透過性の観点から微粒子状が好ましい。
【0169】
熱可塑性樹脂あるいは微粒子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。熱可塑性樹脂あるいは微粒子は、モノマー組成及び、粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良い。
【0170】
熱可塑性樹脂あるいは微粒子を選択するに際し、インク受容性、加熱及び加圧による定着後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0171】
インク受容性については、熱可塑性微粒子の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また10μmを越えると、支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録材料の被膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性樹微粒子径としては好ましくは0.05μm〜10μm、より好ましくは0.1μm〜5μmである。さらに好ましくは、0.1μm〜1μmである。
【0172】
また、熱可塑性樹脂あるいは微粒子の選択の基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録材料製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしまう。
【0173】
また、Tgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェット記録後溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50℃〜150℃である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50℃〜150℃のものが好ましい。
【0174】
熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは好ましく用いることができる形態である。
【0175】
また、用いる熱可塑性微粒子は臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好ましく、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好ましい。
【0176】
水溶性バインダーとしては、熱可塑性微粒子の1〜10%の範囲でポリビニルアルコールや、ポリビニルピロリドンを用いることができる。
【0177】
本発明に係る記録材料としては、支持体上にインク吸収層を有し、表層が少なくとも無機顔料と熱可塑性微粒子とを含むようなものが好ましく用いられる。
【0178】
特に、好ましい理由として以下の点をあげることができる。
(a)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化がおこりにくく、高速印字適性を有している
(b)画像表面強度が強い
(c)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい
(d)インク吸収層の塗布生産性に優れている
(e)筆記性に優れている
この場合、表層の熱可塑性微粒子と無機顔料の固形分質量比としては、熱可塑性微粒子および無機顔料および他の添加剤などにより個々に決めるのが好ましく、特に制約はないが、熱可塑性微粒子/無機顔料が2/8から8/2の範囲で選ぶのが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、4/6〜6/4が更に好ましい。
【0179】
次に、本発明に用いられる着色剤について説明する。
本発明に使用可能な着色剤としては、従来公知のものを特に制限無く使用でき、水溶性染料、水分散性染料、水分散性顔料、溶剤溶解性染料、溶剤分散性染料、溶剤分散性顔料など何れも使用可能であるが、中でも本発明において好ましく用いられるのは、溶剤分散性顔料である。
【0180】
これらは単独あるいは複数種類を併用しても良い。これらの中で特に好ましい着色剤は、分散性染料又は分散性顔料の分散粒子である。以下に代表的着色剤を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0181】
<直接染料>
C.I.ダイレクトイエロー1、4、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、100、110、120、132、142、144;
C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、47、48、51、62、63、75、79、80、81、83、89、90、94、95、99、220、224、227、243;
C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、71、76、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、163、165、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、236、237;
C.I.ダイレクトブラック2、3、7、17、19、22、32、38、51、56、62、71、74、75、77、105、108、112、117、154
<酸性染料>
C.I.アシッドイエロー2、3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、99;
C.I.アシッドオレンジ56、64;
C.I.アシッドレッド1、8、14、18、26、32、37、42、52、57、72、74、80、87、115、119、131、133、134、143、154、186、249、254、256;
C.I.アシッドバイオレット11、34、75;
C.I.アシッドブルー1、7、9、29、87、126、138、171、1
75、183、234、236、249;
C.I.アシッドグリーン9、12、19、27、41;
C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、48、52、58、60、94、107、109、110、119、131、155
<反応性染料>
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17、37、42、76、95、168、175;
C.I.リアクティブレッド2、6、11、21、22、23、24、33、45、111、112、114、180、218、226、228、235;
C.I.リアクティブブルー7、14、15、18、19、21、25、38、49、72、77、176、203、220、230、235;
C.I.リアクティブオレンジ5、12、13、35、95;
C.I.リアクティブブラウン7、11、33、37、46;
C.I.リアクティブグリーン8、19;
C.I.リアクティブバイオレット2、4、6、8、21、22、25;
C.I.リアクティブブラック5、8、31、39
<塩基性染料>
C.I.ベーシックイエロー11、14、21、32;
C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13;
C.I.ベーシックバイオレット3、7、14;
C.I.ベーシックブルー3、9、24、25
本発明に用いられるインク用の染料としては、この他にキレート染料及びいわゆる銀色素漂白法感光材料(例えばチバガイギー製チバクローム)に用いられるアゾ染料を挙げることが出来る。
【0182】
キレート染料に関しては例えば英国特許1,077,484号の記載を参考にすることが出来る。
【0183】
銀色素漂白法感光材料アゾ染料に関しては、例えば英国特許第1,039,458号、同1,004,957号、同1,077,628号、米国特許第2,612,448号の記載を参考にすることが出来る。
【0184】
本発明のインクに用いる水溶性染料の含有量は、インク全質量に対して、1〜15質量%であるのが好ましい。
【0185】
本発明に好ましく用いられる分散染料としては、例えば
C.I.Disperse Yellow3、4、5、7、9、13、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224;
C.I.Disperse Orange1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142;
C.I.Disperse Red1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328;
C.I.Disperse Violet1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77;
C.I.Disperse Green9;
C.I.Disperse Brown1、2、4、9、13、19;
C.I.Disperse Blue3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333;
C.I.Disperse Black1、3、10、24;
等が挙げられる。
【0186】
本発明に用いられる着色剤としては、良好な光沢度を得る観点から顔料を用いることが好ましい。また、例えば、顔料インク中に用いられる顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラック等を好ましく用いることができる。
【0187】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0188】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0189】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0190】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0191】
その他にも、例えば、カーボンブラック顔料(C.I.Pigment Black7);C.I.Pigment Yellow12、13、14、16、17、73、74、75、83、108、109、110、180、182;C.I.Pigment Red5、7、12、112、123、168、184、202;C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、16、22、60;C.I.Vat Blue4、60;等が挙げられる。
【0192】
以上の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には以下の顔料を単独或いは併用して用いることが好ましく、例えば
C.I.Pigment Red209、224、177、194;
C.I.Pigment Orange43;
C.I.Vat Violet3;
C.I.Pigment Violet19、23、37;
C.I.Pigment Green36、7;
C.I.Pigment Blue15:6;
等が用いられる。
【0193】
本発明で用いられる顔料及び分散染料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。
【0194】
分散剤として界面活性剤が用いられる。本発明に用いられる界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。非イオン活性剤としては、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0195】
また、例えば、上記の着色剤をインクジェット用インクとして用いる場合には、インク吐出後のインク液滴のメディア中への浸透を加速するために界面活性剤を使用することが好ましく、そのような界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるものではなく、上記の分散剤として使用する界面活性剤と同様のものが用いられる。
【0196】
本発明においては電気伝導度調節剤を用いることもでき、電気伝導度調節剤としては、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミンなどの水溶性アミンがある。
【0197】
本発明に用いられるインクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0198】
本発明に用いられるインクは水と水溶性有機溶媒を主な液媒体成分とする。水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜4のアルキルアルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ケトンあるいはケトアルコール類(例えばアセトン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ポリアルキレングリコール類(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等)、グリセリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類(エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等)等が挙げられる。
【0199】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルは好ましいものである。
【0200】
インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインク全質量に対して質量%で10〜70%、好ましくは30〜65%、特に40〜60%が好ましい。
【0201】
本発明に用いられるインクジェット用インクは、被転写媒体との接着及び被転写媒体上での画像強度を高める目的で、熱可塑性樹脂粒子を添加することが好ましい。また着色剤の分散粒子を樹脂コートする事が特に好ましい。着色剤との組み合わせとしては、熱可塑性樹脂粒子は、溶解染料系、分散染料系、分散顔料系に何れも好適に使用でき、樹脂コートは、分散染料系、分散顔料系に特に好適に使用できる。熱可塑性樹脂粒子としては、常温での液物性安定のために融点が30℃以上が好ましく、より好ましくは40℃以上である。熱可塑性樹脂としては、後述する転写層に用いるものを挙げることができる。樹脂コートに用いられる粒子のコート剤としては、融点が40℃以上の従来公知の熱可塑性樹脂が特に制限無く使用でき、より好ましくは、融点50℃以上であり、熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、スチレン系、スチレン−アクリル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリブタジエン、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体オレフィン系及びアミノ基、アミド基、カルボキシル基、水酸基等の親水性官能基を有するモノマー等の単独重合または共重合樹脂エマルジョン、マイクロエマルジョン、内部3次元架橋した有機微粒子、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等の天然・合成ワックスエマルジョン、ラテックス、コロイド溶液、懸濁液等を挙げることができる。
【0202】
画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を特に好ましく用いることができる。
【0203】
これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0204】
顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0205】
本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0206】
顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮して選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像の形成方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態にあることと関連していると推測している。高速処理を目的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。このとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が存在すると推測している。
【0207】
顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0208】
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0209】
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5質量%〜60質量%であり、好ましくは10質量%〜35質量%である。
【0210】
インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0211】
特に、熱可塑性微粒子を添加することは、本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子については、上記の記録材料表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0212】
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
【0213】
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、30mN/m〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0214】
インク中の顔料固形分濃度は、0.1質量%〜10質量%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0215】
本発明の加熱定着装置について説明する。
本発明に記載の効果、即ち、定着後において良好な光沢度を示す画像を得るために、本発明に係る加熱定着装置は、本発明に係る定着ベルトを少なくとも一つその構成成分として有することが特徴である。
【0216】
また、加熱定着処理には、本発明の効果が十分発揮されるだけのエネルギーを画像に与えれば良いが、加熱する温度としては、特に顔料画像の場合、画像を平滑化しうる温度であればよく、60℃〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは80℃〜160℃の範囲である。
【0217】
加熱は、プリンター内蔵の加熱機で行っても、別に設けた加熱機で行っても良い。加熱手段としては、定着ベルトを用いる場合も加熱ローラを用いることが、ムラの発生をなくし、小スペースで、連続処理が出来るので好ましい。また、これらの装置は、電子写真の加熱定着機を転用することができ、コスト的にも有利である。
【0218】
加熱ローラとしては、中空状のローラを構成成分として有し、駆動手段により回転するが、その中空部分に熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されることが好ましい。
【0219】
また、ローラは、熱伝導性の高い材料が好ましく、特には金属ローラが好ましいが中でもニッケルが好ましく用いられる。
【0220】
定着ベルトを用いる場合の記録材料の搬送速度は、1mm/秒〜100mm/秒の範囲が好ましく、更に好ましくは、10mm/秒〜50mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0221】
より高い質感、光沢を得るために、加熱と同時、あるいはその直後に加圧することが好ましい。加圧する圧力としては、皮膜化が促進されるため9.8×104Pa〜4.9×106Paの範囲が好ましい。
【0222】
本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、画像の定着処理時に本発明の加熱定着装置を用いることが特徴であり、本発明においては、例えば、インクジェット顔料画像を形成する場合には、市販されているプリンターのように記録材料収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録材料収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであると、インクジェット写真を商用利用する場合に有用である。
【0223】
記録ヘッドは、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式のいずれでもよいが、顔料インクでの安定性の観点からピエゾ方式が好ましい。
【0224】
印字後に何らかの処理により、後述するC値を向上させることが好ましい。その処理としては、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱するなどがあり、さらにこれらの処理を組み合わせたり、複数回行っても良い。
【0225】
また、本発明の画像形成方法は、記録材料に顔料インクを印字した後、前記記録材料を本発明の加熱定着装置により加熱定着処理することが特徴であるが、この画像形成方法においては、顔料と熱可塑性樹脂とが混在、もしくは近傍に存在する顔料画像を加熱定着処理することが好ましく、この場合、熱可塑性樹脂を部分的、もしくは完全に溶融し、さらに皮膜化することが好ましい。
【0226】
顔料画像に熱可塑性樹脂を共存させる方法としては、1)熱可塑性樹脂、好ましくは熱可塑性微粒子を含有する記録材料を用いる、2)印字前もしくは印字後に記録材料に熱可塑性樹脂を供給する、3)顔料インク中に熱可塑性樹脂を共存させたインクを用いる方法が挙げられる。
【0227】
本発明においては、C値と呼ばれる像鮮明度が60以上であることが好ましい。ここで、C値とは、JIS K7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定した値をC値とし、写像性の尺度として定義される。
【0228】
本発明でいう写像性とは、皮膜表面に対面する物体の像を移す皮膜表面の性能を表し、入射画像が画像表面において、どれだけ正確に反射、あるいは投影されるかを示す値である。入射画像に対して正確な反射画像を与えるほど、写像性は高くなり、結果としてC値は大きくなる。このC値は、鏡面光沢度と表面の平滑性を併せた効果を示すものであり、反射度が高くなるほど、また平滑性が高くなるほど、C値は大きくなる。
【0229】
C値の異なる様々なインクジェット顔料画像を検討したところ、C値の上昇に伴い、光沢感が得られ、銀塩写真に近似の画像を得ることができることを見い出した。さらに、驚くべきことに、C値の上昇に伴い、顔料インク特有のブロンジング現象が抑制されることが判明した。さらに、C値の上昇に伴い、耐水性や酸性ガス耐性といった画像保存性も向上することを見い出した。
【0230】
C値が60以上ある顔料画像は、本発明の目的とする効果を得ることができるが、好ましくは70〜90、さらに好ましくは75〜90である。
【0231】
本発明で規定するC値を60以上とする方法としては、特に制限はないが、例えば、インク顔料を記録材料に印字した後、画像を加熱あるいは加圧、あるいは加熱、加圧を両方行う、あるいは、溶媒や可塑剤を付与し、さらに加熱する、あるいは、熱可塑性樹脂成分を画像に供給してから加熱するなどの方法を適宜選択、組み合わせたり、あるいはそれらの処理を複数回行うことにより達成することができる。
【0232】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0233】
実施例1
《定着ベルトの製造》
(定着ベルト試料1の製造)
(離型性層塗布用組成物1の調製:5リットル分)
剥離紙用離型剤KS830E(信越化学工業(株)製) 1250g
硬化用触媒CAT−PL−50T(信越化学工業(株)製) 12.5ml
トルエン 3750ml
上記の素材を混合、撹拌し、離型性層塗布用組成物1とした。
【0234】
この液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに入れ、市販のディップ型塗布機にシームレスニッケル電鋳ベルト(直径65mm、長さ240mm、肉厚40μm:日東工業(株)製)をセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。次に引き上げ速度を毎秒15mmに設定して塗布を行った。室温で5分おいたあと、100℃のオーブンで1時間加熱し、図1に示すような、離型性層を有する定着ベルト試料1を製造した。
【0235】
(定着ベルト試料2の製造)
定着ベルト試料1の作製時に用いるベルト基材(シームレスニッケル電鋳ベルト)上に弾性層(市販のシリコンゴムを含有する層)を設け、前記弾性層上に下記の接着性改良層塗布用組成物を用いて、接着性改良層を塗設、次いで、離型性層を塗設して、定着ベルト試料2を作製した。
【0236】
(接着性改良層塗布用組成物の調製:5リットル分)
デンカブチラール6000C(電気化学工業(株)製) 5g
酢酸エチル 4500ml
n−ブタノール 500ml
上記の素材を混合、3時間撹拌し、デンカブチラールを完全溶解させた。
【0237】
(弾性層上への接着性改良層の塗布)
得られた接着性改良層塗布用組成物を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに接着層塗布液5リットル分を入れ、市販のディップ型塗布機に前記弾性層を有するシームレスニッケル電鋳ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。
【0238】
次に、引き上げ速度を毎秒15mmに設定して塗布を行った。室温で5分おいたあと、100℃オーブン内で30分加熱し、接着性改良層を塗設した。
【0239】
(離型性層の塗設)
上記の接着性改良層の上に、前記離型性層塗布用組成物1を用い、定着ベルト試料1と同様にして離型性層を塗設し、定着ベルト試料2を製造した。
【0240】
(定着ベルト試料3の製造)
定着ベルト試料2の製造において、前記弾性層を設けない以外は同様にして、定着ベルト試料3を製造した。
【0241】
得られた定着ベルト試料1〜3の各々を下記のように評価した。
《定着ベルトの評価》
定着ベルトの評価は、ベルト単独での評価として、膜剥がれ評価を行い、定着ベルトを用いての画像評価は、後述するようにインクジェット記録材料、インクジェット用インキを作製し、インクジェットプリンタに表1に記載の定着ベルトを図1のような構成で配置して、定着画像の写像性(C値)を評価した。
【0242】
(膜剥がれ評価:接着力試験)
上記で得られた定着ベルト試料1〜3の膜剥がれ評価は、JIS K 6854(1977)に記載の方法に準じて行った。
【0243】
膜剥がれの状態は目視で行い、下記のようにランク評価した。
○:膜面に変化がない
×:膜剥がれが起きている
上記で得られた定着ベルト試料1〜3を用いて定着画像を評価するに当たり、下記に記載のようにインクジェット記録材料、インクジェット用インクを各々調製した。
【0244】
《インクジェット記録材料の作製》
下記の処方で各々の分散液を調製した後、それら分散液を用いてインクジェット記録材料を作製した。
【0245】
〈シリカ分散液−1の調製〉
1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げてシリカ分散液−1を調製した。
【0246】
〈シリカ分散液−2の調製〉
カチオンポリマー(P−1)を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、シリカ分散液−1の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。
【0247】
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
【0248】
【化1】
Figure 0004104085
【0249】
〈シリカ塗布液の調製〉
ついで上記のようにして得られたシリカ分散液−2を使用して、下記のシリカ塗布液を調製した。
【0250】
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
(1)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液:6ml
(2)ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液:185ml
(3)純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0251】
〈熱可塑性微粒子塗布液の調製〉
ポリビニルアルコールをノニオン系乳化剤として用いて乳化重合したスチレン−アクリル系ラテックスポリマー(Tg78℃、平均粒径250nm、固形分濃度40%)を、6%硝酸水溶液でpH4.7に調整し、スチレン−アクリル系の熱可塑性微粒子塗布液を調製した。
【0252】
〈複合微粒子塗布液の調製〉
熱可塑性微粒子塗布液とシリカ塗布液を固形分質量比率が2/1になるようにして複合微粒子塗布液を調製した。
【0253】
(インクジェット記録材料1の作製)
厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中に8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックスポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、ポリエチレンコート紙側からシリカ塗布液、複合微粒子塗布液を、湿潤膜厚がそれぞれ120μm、120μmに成るように同時塗布し、約7℃に一度冷却した後、20℃〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、インクジェット記録材料1を作製した。
【0254】
《インクジェット用インクの調製》
以下の様にしてインク組成物を調製した。
【0255】
(イエロー顔料分散液)
C.I.ピグメントイエロー74 95g
デモールC(花王(株)製) 65g
エチレングリコール 100g
イオン交換水 120g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イエロー顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は122nmであった。尚、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000により行った。
【0256】
(マゼンタ顔料分散液)
C.I.ピグメントレッド122 105g
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)60g
グリセリン 100g
イオン交換水 130g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は85nmであった。
【0257】
(シアン顔料分散液)
C.I.ピグメントブルー15:3 100g
デモールC 68g
ジエチレングリコール 100g
イオン交換水 125g
を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径は105nmであった。
【0258】
〈イエローインクの調製〉
イエロー顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
グリセリン 72g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させイエローインクを調製した。pHは8.2であった。
【0259】
〈シアンインクの調製〉
シアン顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
グリセリン 72g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させシアンインクを調製した。pHは8.3であった。
【0260】
〈マゼンタインクの調製〉
マゼンタ顔料分散液 113g
エチレングリコール 100g
1,2−ヘキサンジオール 100g
ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させマゼンタインクを調製した。pHは8.5であった。
【0261】
〈ブラックインクの調製〉
Hostfine Black T 167g
(クラリアント(株)製、平均粒子径50nm)
1,2−ヘキサンジオール 150g
エチレングリコール 220g
ジエチレングリコール 90g
レベノールWX(花王(株)製) 3g
プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g
これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機を二度通過させブラックインクを調製した。pHは8.6であった。
【0262】
(画像試料1〜3の作製)
上記で得られた定着ベルト試料1〜3を図1に記載の加熱定着装置付きのインクジェットプリンタにセットし、インクジェット用インクを用いてインクジェット記録材料1に黒ベタ画像の印字を行った後、装置内の定着装置により加熱定着処理を行い、画像試料1〜3を、各々得た。ここで、定着ベルトに熱を付与する加熱ローラの温度は、120℃に設定した。
【0263】
(光沢度評価)
画像試料1〜3の各々の光沢度は、写像性測定機ICM−IDP(スガ試験機械(株)製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定した。評価の基準としては、60以上を実用可とした。
【0264】
得られた結果を表1に示す。
【0265】
【表1】
Figure 0004104085
【0266】
表1から、比較の試料1、2に比べて、本発明の試料3は定着ベルトの膜剥がれもなく、且つ、光沢度(C値)も良好なことが明らかである。更に詳細に説明すると、ニッケル基材に離型性層を直接塗設した定着ベルト試料1は、離型性層の膜剥がれが顕著であり、また、ニッケル基材と離型性層の間に弾性層と接着層を設けた定着ベルト試料2は離型性層の膜剥がれは見られないが、光沢度(C値)が実用レベルには達しないことが判った。
【0267】
以上から、ニッケル基材と離型性層の間に接着層を設けた本発明の定着ベルト試料3のみが、離型性層の膜剥がれもなく、且つ、充分な光沢度を示すことが判る。
【0268】
実施例2
(定着ベルト試料4の製造)
実施例1の定着ベルト試料3の製造において、接着性改良層塗布用組成物をハードコートシリコーン用プライマー(PC−7A、信越化学工業(株)製)とした以外は同様にして定着ベルト試料4を製造した。
【0269】
(定着ベルト試料5の製造)
定着ベルト試料4の製造において、接着性改良層塗布用組成物をハードコートシリコーン用プライマー(PC−7A、信越化学工業(株)製)5リットルに代え、更にシランカップリング剤(KBM503、信越化学工業(株)製)を1g加えた以外は、同様にして定着ベルト試料5を製造した。
【0270】
(定着ベルト試料6の製造)
定着ベルト試料4の製造において、接着性改良層塗布用組成物をハードコートシリコーン用プライマー(PC−7A、信越化学工業(株)製)5リットルに代え、更にチタンカップリング剤(TOG、日本曹達(株)製)を1g加えた以外は同様にして定着ベルト試料6を製造した。
【0271】
(定着ベルト試料7〜9の製造)
実施例1の定着ベルト試料3の製造時に用いる接着性改良層塗布用組成物において、デンカブチラール6000C(電気化学工業(株)製)を下記の部材に置き換えた以外は同様にして定着ベルト試料7〜9を、各々製造した。
【0272】
定着ベルト試料7:PVA224(クラレ(株)製)
定着ベルト試料8:エスレックBL−1(積水化学工業(株)製)
定着ベルト試料9:デンカブチラール3000K(電気化学工業(株)製)
《定着ベルトの評価》
得られた定着ベルト試料4〜9、実施例1に記載の定着ベルト試料1、3の各々について、ベルト単独での評価として、膜剥がれ試験(強制劣化試験)、膜厚均一性評価を行った。
【0273】
(膜剥がれ試験:強制劣化試験(加速試験ともいう))
定着ベルトを2cm×5cmの大きさに短冊状に切ったものと、同じ大きさに切った熱可塑性樹脂粒子層メディアの画像形成面に顔料インクを付与したものを、該インクを該ベルトの離型性層と該メディアの画像形成面とで挟み込む形で張り合わせ、2kg/10cm2の圧力をかけた状態で120℃のオーブンに3昼夜設置した。その後、試料を取り出し、室温まで冷却した後に粘着テープ(ニットーポリエステルテープ No.31B(日東電工(株)製))を離型性と粘着部間に空気が入らないように貼り付け、180°の角度で剥離を行った。
【0274】
評価は目視で行い、下記のようにランク付けを行った。
◎:接着層と離型性層との間で全く剥離が見られない
○:接着層と離型性層との間で数カ所剥離が見られた(実用可)
×:接着層と離型性層との間で剥離している個所が多数(5個所以上)
(膜厚均一性評価)
定着ベルトを塗布後、ベルトを塗布方向に短冊状に切り、塗布方向に関する膜厚の変動をマイクロメーターで測定した。測定は複数のベルトから無作為に10サンプル切り出し、その平均で評価し、下記のようにランク評価した。
【0275】
◎:塗布上端と下端の膜厚差が2μm未満
○:塗布上端と下端の膜厚差が2μm以上5μm未満
△:塗布上端と下端の膜厚差が5μm以上10μm未満
×:塗布上端と下端の膜厚差が10μm以上
得られた結果を表2に示す。
【0276】
【表2】
Figure 0004104085
【0277】
表2から、比較に比べて本発明の試料は膜厚均一性に優れ、且つ、膜剥がれが顕著に低減していることが明らかである。
【0278】
実施例3
(曲げ伸ばし評価)
実施例1に記載の定着ベルト試料3、実施例2に記載の定着ベルト試料7〜9を各々図1に記載のような定着装置に設置し、ベルトの回転速度を750m/時間に設定し、加熱をせず空運転を行った。空運転を100時間行ったあとで、ベルトの膜面を肉眼で観察し、ベルトの曲げ伸ばしによる膜面のひび割れを評価した。
【0279】
また、曲げ伸ばし耐性評価は下記のようにランク評価した。
◎:ベルト円周方向1cmあたりのヒビの発生が3本未満
○:ベルト円周方向1cmあたりのヒビの発生が3本以上10本未満
△:ベルト円周方向1cmあたりのヒビの発生が10本以上20本未満
×:ベルト円周方向1cmあたりのヒビの発生が20本以上
得られた結果を表3に示す。
【0280】
【表3】
Figure 0004104085
【0281】
表3から、接着性改良層を構成する樹脂(ポリビニルブチラール)の繰り返し単位中、水酸基を有する繰り返し単位の組成比が20%以下であり、且つ、樹脂のフロー軟化点が130℃以下に調整された、定着ベルト試料9、3は、その範囲外の試料に比べて、定着ベルトの曲げ伸ばし耐性が向上することが判る。
【0282】
実施例4
(定着ベルト試料10の製造)
実施例1に記載の定着ベルト試料3の製造において、接着性改良層塗布用組成物に接着性改良層用添加剤としてシランカップリング剤(KBM503、信越化学工業(株)製)1gを添加した以外は、同様にして定着ベルト試料10を作製した。
【0283】
(定着ベルト試料11〜20の製造)
定着ベルト試料10の製造時に用いる接着性改良層添加剤の種類、接着性改良層の膜厚を表4に記載の様になるように塗布速度を調整した以外は同様にして定着ベルト試料11〜20を製造した。
【0284】
得られた定着ベルト試料10〜20、実施例1に記載の定着ベルト試料3の各々を下記の、ブラッシング(定着ベルト試料各々の離型性層塗設後の膜面の白濁の有無)、光沢度(C値)評価、及び、ロングラン耐久性を評価した。
【0285】
(ブラッシング評価)
離型性層塗設後の定着ベルトの膜面の白濁の度合いを目視評価し、下記のようにランク評価した。
【0286】
○:ブラッシング無し
△:ブラッシングがやや有り、ニッケル基材の金属光沢に曇りがある
×:ブラッシングが強く、ニッケル基材の金属光沢が全くない
(光沢度評価)
光沢度評価は、実施例1に記載と同様に評価した。
【0287】
(ロングラン耐久性評価)
定着ベルト試料10〜20、定着ベルト試料3の各々を図1に記載のような加熱定着装置付きのインクジェットプリンタにセットし、実施例1に記載のインクジェット用インクを用い、実施例1に記載のインクジェット記録材料に通常の写真画像の印字を行ったあと、装置内の定着装置で加熱定着処理を行った。ベルトの温度は120℃に設定した。圧力は3.14MPaとした。定着速度はベルトの回転速度を25m/時間として行った。
【0288】
定着操作は連続的に行い、印字後遅くとも5分以内に定着を行った。
50枚定着ごとに膜面を観察し、5mm角以上の膜剥がれが発生した時点の定着枚数を記録した。
【0289】
得られた結果を表4に示す。
【0290】
【表4】
Figure 0004104085
【0291】
表4から、接着性改良層に添加剤として、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、イソシアネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン工業(株)製)の少なくとも1種を添加し、且つ、接着性改良層の膜厚を1μm、3μm、次いで、10μmと膜厚を増加させることにより、ロングラン耐久性が向上し、且つ、光沢度(C値)も良好な画像が得られることが判った。また、接着性改良層への添加剤として、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、イソシアネート化合物の添加が好ましいことが判るが、更に好ましい効果が得られるのは、チタンカップリング剤、シランカップリング剤であり、最も良好な効果が得られるのは、チタンカップリング剤であることが明らかである。
【0292】
実施例5
(定着ベルト試料21、22の製造)
実施例4の定着ベルト試料10、11の製造において、接着性改良層用添加剤として、熱可塑性樹脂レジトップ2205、2206(フェノール樹脂:群栄化学工業(株)製)を、各々1gずつ加えた以外は同様にして定着ベルト試料21、22を製造した。
【0293】
得られた定着ベルト試料21、22及び実施例4に記載の定着ベルト10、11の4本の定着ベルトについて、実施例4に記載と同様にして、ロングラン耐久性を評価した。得られた結果を表5に示す。
【0294】
【表5】
Figure 0004104085
【0295】
表5から、接着性改良層に熱可塑性樹脂を添加した定着ベルト試料21、22は添加していない定着ベルト試料10、11に比べて、ロングラン耐久性が更に向上していることがわかる。
【0296】
【発明の効果】
本発明により、定着後の画像の光沢が良好であり、加熱定着時に定着部材の膜剥がれがない定着ベルト、定着ローラ、それらの製造方法、加熱定着装置及び画像形成方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いられるインクジェット記録装置の他の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1 記録材料
2 記録材料の搬送手段
21 搬送ローラ対
3 記録ヘッド
34 記録材料保持部
4 加熱定着手段
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
43 発熱体
44 定着ベルト
45 下部ベルト
46 従動ローラ
5 温度センサ
6 記録材料の切断手段
61、62 カッタ
7 たるみ形成手段
71 第1のローラ対
72 第2のローラ対

Claims (24)

  1. 加熱手段と加圧手段との間を記録材料と、基材上に少なくとも離型性層を有する定着ベルトの該離型性層を有する面とを対向させながら通過させ、定着を行う定着ベルトにおいて、前記離型性層がシリコーン樹脂からなり、且つ、前記離型性層と該基材とに各々隣接するように50質量%〜100質量%のブチラール樹脂を含有する接着性改良層が設けられていることを特徴とする定着ベルト。
  2. 離型性層が、硬化型シリコーンを接着性改良層が設けられた基材上にディップ塗布後、該硬化型シリコーンを加熱硬化させて形成されたシリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 基材がシームレスニッケルベルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の定着ベルト。
  4. 接着性改良層が、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着ベルト。
  5. 接着性改良層が、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着ベルト。
  6. 接着性改良層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着ベルト。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着ベルトを製造するに当たり、接着性改良層と離型性層が、各々ディップ塗布により塗設されることを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  8. 離型性層塗設後、下記のエージング処理Aを行う工程、次いで、下記のエージング処理Bを行う工程を有することを特徴とする請求項7に記載の定着ベルトの製造方法。
    エージング処理A:温度範囲が25℃〜100℃、相対湿度が50%RH〜95%RHの範囲で経時保存する処理を表す。
    エージング処理B:温度範囲が40℃〜200℃、相対湿度が50%RH未満で経時保存する処理を表す。
  9. 請求項7または8に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする定着ベルト。
  10. 加熱手段と加圧手段との間を記録材料と、基材上に少なくとも離型性層を有する定着ローラの該離型性層を有する面とを対向させながら通過させ、定着を行う定着ローラにおいて、前記離型性層がシリコーン樹脂からなり、且つ、前記離型性層と該基材とに各々隣接するように50質量%〜100質量%のブチラール樹脂を含有する接着性改良層が設けられていることを特徴とする定着ローラ。
  11. 離型性層が、硬化型シリコーンを接着性改良層が設けられた基材上にディップ塗布後、該硬化型シリコーンを加熱硬化させて形成されたシリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項10に記載の定着ローラ。
  12. 接着性改良層がシランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする請求項10または11に記載の定着ローラ。
  13. 接着性改良層が、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の定着ローラ。
  14. 接着性改良層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の定着ローラ。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の定着ローラを製造するに当たり、接着性改良層と離型性層が、各々ディップ塗布により塗設されることを特徴とする定着ローラの製造方法。
  16. 離型性層塗設後、下記のエージング処理Aを行う工程、次いで、下記のエージング処理Bを行う工程を有することを特徴とする請求項15に記載の定着ロー ラの製造方法。
    エージング処理A:温度範囲が25℃〜100℃、相対湿度が50%RH〜95%RHの範囲で経時保存する処理を表す。
    エージング処理B:温度範囲が40℃〜200℃、相対湿度が50%RH未満で経時保存する処理を表す。
  17. 請求項15または16に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする定着ローラ。
  18. 請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の定着ベルトまたは請求項10〜14及び17のいずれか1項に記載の定着ローラを有することを特徴とするインクジェット記録材料用加熱定着装置。
  19. インクを噴射して印字が行われた記録材料を請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の定着ベルトまたは請求項10〜14及び17のいずれか1項に記載の定着ローラを用いて定着処理することを特徴とするインクジェット記録材料用加熱定着装置。
  20. インクが顔料インクであることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置。
  21. 記録材料が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接した無機微粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置。
  22. インクを噴射して印字が行われた記録材料を請求項18〜21のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料用加熱定着装置を用いて定着処理することを特徴とする画像形成方法。
  23. インクが顔料インクであることを特徴とする請求項22に記載の画像形成方法。
  24. 記録材料が熱可塑性樹脂粒子を含有する表層と、該表層に隣接した無機微粒子を含有するインク吸収層とを有することを特徴とする請求項22または23に記載の画像形成方法。
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