JP4103318B2 - リップシール構造を有する核融合炉 - Google Patents
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Description
本発明は、真空容器の保守ポートを密封し得るようにしたリップシール構造を有する核融合炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
核融合炉として、従来からトカマク型融合炉が知られており、その一例の概要は図3に示されている。図3中、1は真空容器、2は真空容器1が格納された格納容器、3は真空容器1の保守ポートであり、保守ポート3の外側先端部の詳細は図4に示されている。
【0003】
保守ポート3は矩形状で中空肉厚管状のポート本体4を備え、ポート本体4の中空部先端部にはプラグ5が嵌入されて、ボルト6によりポート本体4に固定し得るようになっている。又、ポート本体4内を密封するために、ポート本体4先端部とプラグ5との間には、リップシール7が設けられている。
【0004】
すなわち、ポート本体4の先端部に形成した段部端面4aには、ポート本体4の軸線方向、すなわち正面から見て額縁状で断面形状は外周側が開口したU字状のリップシールプレート固定部材8が溶接9により固定され、プラグ5の先端部に形成した段部端面5aには、リップシールプレート固定部材8と同様、正面から見て額縁状で且つ断面形状は内周側が開口したU字状のリップシールプレート固定部材10が溶接11により固定されている。
【0005】
リップシールプレート固定部材8,10のポート本体4軸線方向外方には、リップシールプレート固定部材8の内周とリップシールプレート固定部材10の外周との間に形成された矩形環状の隙間12を塞いでポート本体4における内部4bを密封し得るよう、正面形状が額縁状のリップシールプレート13が配設され、溶接14,15によりリップシールプレート固定部材8,10に固定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の真空容器1内部の保守、点検を行う場合には、適宜の工具により、リップシールプレート13外周端部とリップシールプレート固定部材8との溶接14部が除去されるよう、リップシールプレート13とリップシールプレート固定部材8とを切断すると共に、リップシールプレート13内周端部とリップシールプレート固定部材10との溶接15部が除去されるよう、リップシールプレート13とリップシールプレート固定部材10とを切断し、リップシールプレート13を撤去すると共にボルト6等を取外してプラグ5をポート本体4から撤去する。
【0007】
真空容器1の保守、点検が終了した場合には、再びプラグ5をポート本体4に嵌入してボルト6等を締結することによりプラグ5をポート本体4に固定し、予め用意した新たなリップシールプレート13を溶接14,15によりリップシールプレート固定部材8,10に固定する。
【0008】
上述のリップシール構造では、リップシールプレート固定部材8,10は切断し易いよう、その厚さを薄くしてフレキシビリティを持たせているが、溶接9,11,14,15による熱影響や切断時に加わる力によって、リップシールプレート固定部材8,10には変形が生じ、このため、保守、点検後にリップシールプレート13をリップシールプレート固定部材8,10に固定する2回目以降の溶接14,15が困難となる。
【0009】
本発明は上記実情に鑑み、真空容器の保守、点検の際にリップシールプレートを容易且つ迅速に切断し得るようにすると共に、保守、点検終了後におけるリップシールプレートの2回目以降の溶接をも容易且つ確実に行い得るようにしたリップシール構造を有する核融合炉を提供することを目的としてなしたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、真空容器に接続されたポート本体内にプラグを嵌合すると共に、前記ポート本体とプラグとの間の隙間をリップシールプレートにより密封するようにしたリップシール構造を有する核融合炉であって、
前記ポート本体の内周部には、厚肉の第一のリップシールプレート固定部材が取付けられると共に、プラグの外周部には、厚肉の第二のリップシールプレート固定部材が取り付けられ、
前記第一、第二のリップシールプレート固定部材の対向部は、前記ポート本体の軸線方向内側に行くに従い対向部の間の間隔が小さくなるよう階段状に形成されて、各階段状の箇所には、前記ポート本体の軸線方向に対し直交する方向へ向いた段部端面が設けられており、
真空容器の保守、点検毎に、ポート本体の軸線方向に対し直交する方向へ対向する第一及び第二のリップシールプレート固定部材における各段部端面に、ポート本体の軸線方向に位置をずらしてリップシールプレートを溶接し得るよう構成したリップシール構造を有するものである。
【0011】
本発明においては、リップシールプレートは厚肉の第一、第二のリップシールプレート固定部材に形成された段部端面に取付けられているため、真空容器の保守、点検の際にリップシールプレートを正面から容易且つ迅速に切断することができる。
【0012】
又、第一、第二のリップシールプレート固定部材は厚肉であるため熱及び外力により変形する虞がなく、しかも保守、点検終了後におけるリップシールプレートの2回目以降の溶接時には、リップシールプレートをポート本体の軸線方向へ位置をずらして前回とは異なる段部端面に対し行うようにしているため、段部端面のシール残等を考慮する必要がなく、従って、リップシールプレートの2回目以降の溶接も容易且つ確実に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1、2は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
而して、本図示例におけるポート本体4の段部端面4aには、ポート本体4の軸線方向から見た形状が額縁状で且つ断面形状が階段状の厚肉のリップシールプレート固定部材16が固設されていると共に、プラグ5の段部端面5aには、ポート本体4の軸線方向から見た形状が額縁状で且つ断面形状が階段状の厚肉のリップシールプレート固定部材17が固設されており、リップシールプレート固定部材16,17間には隙間12が形成されている。
【0014】
すなわち、リップシールプレート固定部材16の内周部には、ポート本体4の軸線方向外側が大径で内側へ行くに従い順次径が小さくなるよう複数(図1では4)の段部が形成されていると共に各段部には、ポート本体4の軸線に対し直交する方向へ向けて段部端面16a,16b,16cが形成されている。
【0015】
リップシールプレート固定部材17の外周部には、ポート本体4の軸線方向外側が小径で内側へ行くに従い順次径が大きくなるよう複数(図1では4)の段部が、前記リップシールプレート固定部材17側の段部とポート本体4の軸線方向に対し直交する方向へ対向するよう形成されていると共に、各段部には、段部端面16a,16b,16cと平行に段部端面17a,17b,17cが形成されている。
【0016】
而して、リップシールプレート固定部材16,17の各段部端面16aと17a,16bと17b,16cと17cには、正面形状が額縁状のリップシールプレート18を溶接19,20により固着し得るようになっている。なお、図中、21はロボットアーム22に把持された溶接トーチである。
【0017】
上述の保守ポート3は核融合炉の新設時には、リップシールプレート18は段部端面16a,17aに溶接19,20により固着され、プラグ5と協働してポート本体4内部を密接に保持している。
【0018】
上述の真空容器1内部の保守、点検を行う場合には、適宜の切削工具により、リップシールプレート18外周部とリップシールプレート固定部材16の溶接19部をポート本体4の軸線方向外側、すなわち正面から切断すると共に、リップシールプレート18内周部とリップシールプレート固定部材17の溶接15部を同様にポート本体4の軸線方向外側から切断して段部端面16a,17aからリップシールプレート18を撤去し、従来の場合と同様にしてプラグ5をポート本体4内から抜き取り、真空容器1内の保守、点検を行う。
【0019】
真空容器1の保守、点検が終了した場合には、再びプラグ5をポート本体4に嵌入し、従来と同様にしてポート本体4に締結、固定し、外径及び内径がリップシールプレート固定部材16,17における段部端面16a,17aに固定されていたリップシールプレート18の外径及び内径よりも若干小さい予め用意した新たなリップシールプレート18を、溶接19,20によりリップシールプレート固定部材16,17における段部端面16b,17bに固定する(図2参照)。
【0020】
又、次回の真空容器1の保守、点検時には、リップシールプレート18は段部端面16b,17bから撤去され、保守、点検終了時には、外径及び内径が段部端面16b,17bに固定されていたリップシールプレート18よりも小さい新たなリップシールプレート18がリップシールプレート固定部材16,17における段部端面16c,17cに溶接され、固定される。
【0021】
この図示例によれば、リップシールプレート固定部材16,17は厚肉であるため、リップシールプレート18はしっかりとリップシールプレート固定部材16,17に固定されている。このため、真空容器1の保守、点検時にリップシールプレート18を除去する際にその正面から容易且つ迅速に切断することができる。
【0022】
又、リップシールプレート18の固定部を肉厚構造としたことにより、リップシールプレート固定部材16,17は熱及び外力による変形量が小さくなり、更に、リップシールプレート固定部材16,17の断面形状を階段状にしたことにより、リップシールプレート18の取付け位置は保守、点検の度にポート本体4の軸線方向内側に移動させることができる。このため、リップシールプレート18切断後のシール残等を考慮せずに次ぎのリップシールプレート18の溶接を行うことができ、従って、保守、点検終了後におけるリップシールプレートの2回目以降の溶接をも容易且つ確実に行うことができる。
【0023】
なお、本発明のリップシール構造を有する核融合炉においては、保守、点検に従いリップシールプレートをポート本体の軸線方向内側へ移動させて溶接する場合について説明したが、逆にリップシールプレートをポート本体の軸線方向外側へ移動させて溶接するようにしても実施可能なこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のリップシール構造を有する核融合炉によれば、
I)リップシールプレートは厚肉の第一、第二のリップシールプレート固定部材に形成された段部端面に取付けられているため、真空容器の保守、点検の際にリップシールプレートを正面から容易且つ迅速に切断することができる、
II)第一、第二のリップシールプレート固定部材は厚肉であるため熱及び外力により変形する虞がなく、しかも保守、点検終了後におけるリップシールプレートの2回目以降の溶接時には、リップシールプレートをポート本体の軸線方向へ位置をずらして前回とは異なる段部端面に対し行うようにしているため、段部端面のシール残等を考慮する必要がなく、従って、リップシールプレートの2回目以降の溶接も容易且つ確実に行うことができる、
等種々の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリップシール構造を有する核融合炉に適用するリップシール構造の実施の形態の一例の部分拡大断面図である。
【図2】 本発明のリップシール構造を有する核融合炉において、リップシールプレートを最初とは異なる段部端面に溶接した状態を示す部分拡大断面図である。
【図3】 一般的な核融合炉の一例の概要を示す平面図であって、従来のリップシール構造を有する核融合炉や本発明のリップシール構造を有する核融合炉と基本的構成は同様の核融合炉である。
【図4】 従来のリップシール構造の一例の部分断面図で、図3のIV部拡大図である。
【符号の説明】
1 真空容器
4 ポート本体
5 プラグ
12 隙間
16 リップシールプレート固定部材
16a 段部端面
16b 段部端面
16c 段部端面
17 リップシールプレート固定部材
17a 段部端面
17b 段部端面
17c 段部端面
18 リップシールプレート
19 溶接
20 溶接
Claims (1)
- 真空容器に接続されたポート本体内にプラグを嵌合すると共に、前記ポート本体とプラグとの間の隙間をリップシールプレートにより密封するようにしたリップシール構造を有する核融合炉であって、
前記ポート本体の内周部には、厚肉の第一のリップシールプレート固定部材が取付けられると共に、プラグの外周部には、厚肉の第二のリップシールプレート固定部材が取り付けられ、
前記第一、第二のリップシールプレート固定部材の対向部は、前記ポート本体の軸線方向内側に行くに従い対向部の間の間隔が小さくなるよう階段状に形成されて、各階段状の箇所には、前記ポート本体の軸線方向に対し直交する方向へ向いた段部端面が設けられており、
真空容器の保守、点検毎に、ポート本体の軸線方向に対し直交する方向へ対向する第一及び第二のリップシールプレート固定部材における各段部端面に、ポート本体の軸線方向に位置をずらしてリップシールプレートを溶接し得るよう構成したリップシール構造を有することを特徴とする核融合炉。
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