JP4103054B2 - アルミニウムのフラックスろう接方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金になる部品のろう接方法、更に詳細には、これらの部品のフラックスを用いたろう接方法にかかわるものである。
本発明は、このようなろう接方法に好適に用いうる雰囲気炉にもかかるものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄や銅とそれらの合金の多くは、水素や一酸化炭素を含む還元性のガスを雰囲気として用いる炉内で高温にさらされると還元されるので、かかる雰囲気炉内でそれらのろう接を行えばフラックスを必要としない。一方、アルミニウムやその合金は極めて低い酸素分圧下でも還元されないので、上記した如き還元性の雰囲気炉内で加熱してもろう接することができない。従って、アルミニウムやその合金のろう接は、雰囲気によらずにフラックスを使用して行われてきた。即ち、これらの今迄のろう接方法を要約すると、鉄や銅とそれらの合金の炉内ろう接には還元性雰囲気を用いフラックスは不要であるが、アルミニウムやその合金のろう接にはフラックスを必要とし還元性雰囲気は無用であると言うことになる。ところが、近来、フラックスを用いたアルミニウムやその合金のろう接にも高純度の窒素ガス等の不活性雰囲気を使用することが有用、あるいは必須となってきた。
【0003】
これは、フッ化アルミニウム、テトラフルオロアルミニウム酸カリウム、フッ化ナトリウム等のフッ素化合物や、フッ素化合物を含むアルカリ金属塩化物で構成され融点が500〜550℃のフラックスは、アルミニウムのろう接に多用されているが、近時これらの水に溶けにくいフラックスの使用量を最低限に止めることにより、ろう接後の水洗いの用水量を低減したり、水洗工程を廃止するなどの改善が公害対策として進められていることに原因する。公害対策のためばかりでなく、フラックスの使用量を少なくすることは経済的であり、ろう接したアルミニウム製品へのフラックスの残査の付着が少なくなって美麗なろう接製品を得ることができ、更にまた炉がフラックスで浸食されるのを防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、フラックスの使用料を最低限に止めるためにろう接なされるアルミニウム部品に薄く塗付されたフラックスは、高温で容易に酸化してしまう。上述した種類のフラックスの酸化物は1,000℃以上の融点を有するので、一般に用いられているAl−Si系のろう材の融点が500〜630℃であり、加熱温度が580〜660℃のアルミニウムやその合金のろう接では、このように酸化してしまうフラックスは全く役に立たず、ろう接されるアルミニウムやその合金の二次酸化をも招いてしまう。
【0005】
そこで、上述した通りに、フラックスを用いたアルミニウムやその合金のろう接でも、フラックスの酸化を防ぐために不活性雰囲気下での加熱が必須となってきた。
このために、高純度の窒素ガスを満した気密構造の金属マッフルを炉中に内装し、金属マッフル中の不活性雰囲気下でアルミニウムやその合金をフラックスを用いてろう接することが広く実用化された。この金属マッフルは、フラックスの酸化を防ぐための雰囲気を外乱から保護すると共に、金属マッフルとこのマッフルが内装された炉の内壁との間に設けられた電気抵抗発熱体を飛散するフラックスから保護して、フラックスによる電気的な障害が発熱体に生じるのを防ぐ役割をもなす。
【0006】
一方、このような金属マッフルは、アルミニウムのフラックスろう接が広く実用化されるのに従ってその量産規模の拡大と高効率化が求められてきたために、長大化して長さが10メートル以上にもなり、これを分割して継いでも一本が相当に長大になった。このような長大なマッフルの取扱は多大な労役を要するものとなった。更には、マッフルの底部にマッフルが干渉して穿孔ができ不具合が生じれば、かかる長大な金属マッフルの取り外しと交換に多くの費用と時間と労役が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、金属マッフルを用いることなく、アルミニウムやその合金のフラックスろう接を窒素等の雰囲気下で炉内で連続して行う方法と、そのための雰囲気炉を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、ろう接されるためにろう材とフラックスとを施したアルミニウムやその合金部品の組立体、特にそのフラックスの酸化を防ぐために用いられる不活性雰囲気と大気との遮断を、炉内壁内の空間内に装備される従来の気密型の金属マッフルによって行うものでなく、断熱材を介して炉内壁の外方にあって炉殻を構成する金属外壁を気密な構造にすることによって行って、炉内壁内の空間内に直接に導入され、この空間を満たす雰囲気を大気から保護するものである。
【0009】
尚、炉殻をなす金属外壁と炉内壁とを貫通して炉内壁内に向けて取り付けられる機器、例えば雰囲気ガス導入管、温度計、発熱体、雰囲気監視計等も外気に対して気密な構造とする。また、前記した種類のフラックスの成分中の無機塩は、高温で酸化物系耐火物をも著しく浸食するので、この種の浸食に対して強い炭素質耐火材をもって炉内壁を構築することが好ましい。更にまた、炉内壁の底部を構成する炉床を炉の長手方向を横切る方向で分割しておけば、炉の長手方向でこの分割された炉床板を押し出し、もしくは引き出して炉床を点検し、その必要な部分を交換することが容易である。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明の一実施態様を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の方法を実施するために好適な連続式雰囲気炉の要部の説明的な断面図で、符号1はろう接が行われる炉内の空間を作る断面が矩形状で、炉の長手方向にのびるトンネル状の炉内壁である。この炉内壁は炭素質耐火材である純黒鉛を焼結した板でつくられている。この炉内壁1の一部であってその底部をなす炉床1′は、炉の長手方向を横切る方向で所望の枚数に分割されて敷設されている。
【0011】
断熱材2を介して炉内壁1の外方にあって炉殻を構成する鋼板2′は外気に対して気密につくられている。符号3は炉内壁内にある発熱部4をそれぞれ有する一対の電気抵抗発熱体で、炉殻をなす鋼板2′を貫通するその外方端は気密ボックス6によって外気に対して気密に保たれる。発熱体3の発熱部4は、飛散するフラックスによって絶縁障害を起こさぬようにセラミックのスリーブ5で保護されている。セラミックスの代わりに、フラックスに対して耐蝕性をもつその他の金属材料等で発熱部4を保護してもよい。
【0012】
符号7は、炉の長手方向で炉内壁内の空間を循環して、ろう接されるアルミニウム部品を搬送するコンベヤーで、好適には炭素質耐火材でつくる。例えば、実公平7−29046号に記載される種類のエンドレス・コンベヤーを用いる。
【0013】
図中に図示されていないが、炉殻をなす金属外壁の鋼板2′と炉内壁1とを貫通して炉内壁内に向けて取り付けられた機器、即ち、雰囲気ガス導入管、温度計、雰囲気監視計も、発熱体3と同様に外気に対して気密な構造とした。
【0014】
上記した構造になる連続式雰囲気炉の炉内壁1がつくる空間(幅650mm、長さ6,000mm、実効高さ180mm)中に、その中央上部に設けられた雰囲気導入管(図示せず)より毎時33mの高純度の窒素ガスを直接に送った。と共に、発熱体3とその他の前記した機器の気密ボックス6内にも窒素ガスを送っておいた。炉内壁内の空間がつくる加熱室を発熱体3によって600℃に保った。
【0015】
この炉内空間中に、コンベヤー7に乗せて、ろう接されるアルミニウム部品の組立体を毎時60個ずつ連続して送った。このアルミニウム部品組立体には、1個につき60gのフッ素化合物を含むアルカリ金属塩化物になる融点が547℃のフラックスを付着させておき、Al−Si系で融点が590℃のブレージングシートを被覆しておいた。
【0016】
炉内空間中へ送られた窒素ガスは、炉の長手方向の両端の入口と出口より徐々に外気に流れるが、炉内壁1の空間中への外気の進入は全くなく、炉内雰囲気は常時酸素量25〜55ppmに保たれた。
ろう接は長時間にわたって良好に行われた。
【0017】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、上述した通りに金属マッフルを用いないでも、アルミニウムやその合金のフラックスろう接が所望の雰囲気下で連続して行いうるので誠に経済的である。また、本発明の方法を実施するために用いられる連続式雰囲気炉の炉内雰囲気を外気から遮断するために気密手段は、高温にさらされしかもフラックスによって浸食される惧れのある炉室内にはなくて炉殻上にあるので、それを構成するための材料の選択とその構造が比較的に自由であり、且つその保守も容易である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の方法を実施するために好適な連続式雰囲気炉の一例の要部を示す説明的な断面図である。
【符号の説明】
1−炉内壁
1′−炉内壁の一部をなす炉床
2−炉殻断熱材
2′−炉殻の気密な鋼板外壁
3−発熱体
4−発熱体の炉内にある発熱部
5−発熱部の保護スリーブ
6−気密ボックス
7−コンベヤー

Claims (1)

  1. フラックスを用いてアルミニウム及びその合金のろう接を炉内雰囲気下で連続して加熱して行う方法において、該加熱を純黒鉛を焼結した板で構成された炉内壁に囲まれて炉の長手方向にのびる空間がつくる炉内に導入される窒素ガス雰囲気下で加熱温度580〜660℃で行い、該雰囲気を外気から保護するために断熱材を介して該炉内壁の外方にあって炉殻をなす金属外壁を大気に対して気密にし、上記金属外壁と炉内壁を貫通して炉内に設けられた発熱体の発熱部をフッ化アルミニウム、テトラフルオロアルミニウム酸カリウム、フッ化ナトリウムのうちの少なくとも1種のフッ素化合物あるいは該フッ素化合物を含むアルカリ金属塩化物から選ばれるアルミニウム又はその合金のろう接用フラックスに対して耐蝕性を持つ金属またはセラミックにより保護し、上記発熱体を取り付けた上記金属外壁の外側に設けた気密ボックス内には窒素ガスを送入することを特徴とするアルミニウム及びその合金のフラックスろう接方法。
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