JP4102632B2 - スルホン化解離又は粉砕物及びその不織シート状物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スルホン化解離又は粉砕物及びその不織シート状物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シート状物のスルホン化方法としては、特許文献1や特許文献2などがみられる。これらの方法の場合は、濃硫酸、発煙硫酸中にシート状物や不織布を含浸させスルホン化させる方法であり、この方法では強酸によるシートの部分的な劣化や、強度の大幅な低下が起こることが知られている。また、スルホン化されたシート状物の長さ方向幅方向においてスルホン酸基の導入率が一定でなく均一な加工に供するのは非常に困難である。
【0003】
特許文献1や特許文献3には、イオン交換膜作成におけるスルホン酸基の導入方法に関するものが開示されているが、上記のシート状物とスルホン化加工と同様の現象が見られ、強酸によるシートの部分的な劣化や、強度の大幅な低下が起こったりするため均一な加工が難しい。また、イオン交換樹脂等の製造に用いられている球状樹脂化合物のスルホン酸基導入法では、球状樹脂の表面にしかスルホン酸基が導入されず、スルホン酸基導入時のスルホン化制御がかなり難しく、イオン交換容量を上げるため内部まで導入しようとすると、スルホン化球状樹脂を壊してしまう恐れがあり必ずしも好ましい方法とは言えない。
【0004】
繊維のスルホン酸基の導入方法については、紡糸後の糸に対して行う方法が考えられるが、処理中に糸の切断、スルホン化後の糸強度の低下により糸が切れてしまい、安定して巻き取れなくなるなど問題点がある。この打開策として特許文献4等には、紡糸前にスルホン酸基を導入させる方法、が見られるがバッチ式の反応層中でのスルホン化処理で、反応溶媒に有機溶剤を用いるなど実際の生産となるとコスト高となってしまう。
一方、特許文献5や特許文献6では、スルホン酸基を持つラテックス樹脂の報告が見られ、繊維やシート状物のスルホン酸基導入という面では糸切れやシートの部分的な劣化、強度低下等は起こらないが、この樹脂の場合ゴム状物を基本骨格としているため空気中で時間経過により酸化劣化を起こしやすいという欠点を持っている。
【0005】
【特許文献1】
特公昭61−2100号公報
【特許文献2】
特許2000842号明細書
【特許文献3】
特公昭63−7575号公報
【特許文献4】
特許1696909号明細書
【特許文献5】
特開平11−263815号公報
【特許文献6】
特開平11−35629号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述した従来技術の問題を解決しようとするものであり、親水基であるスルホン酸基を持った繊維やシート状物を作る場合、その中に均一にスルホン酸基が存在し、機械的強度が高く、また工業的に安定した生産性を発現できるスルホン化解離又は粉砕物及びそれを用いて作られた繊維又は不織シート状物を提供するものである。これらは、分離膜、イオン交換膜、セパレータなどの隔離膜用途また親水性シート状物の原料として有効である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の手段により達成することが出来る。
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリマーシート状物をスルホン化処理した後、機械的処理によって離解又は粉砕することにより得られるスルホン化解離又は粉砕物であって、イオン交換容量が0.005〜1.5ミリ当量/gの範囲であり、カナディアンフリーネス値が100〜650mlの範囲であり、BET法により求められる比表面積が0.09m 2 /g以上であることを特徴とするスルホン化解離又は粉砕物であり、また、このスルホン化解離又は粉砕物を1〜100wt%含有してなる不織シート状物である。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマーシート状物とは、編織物、不織布、フィルム、微多孔膜等がげられるが、生産性及び取り扱い性から不織布が最も好適なシート状物である。
【0008】
本発明に用いる熱可塑性ポリマーシート状物を構成する熱可塑性樹脂は、以下のようなものを使用することが出来る。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコールなどのポリオレフィン系樹脂やその共重合樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂やその共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂やその共重合樹脂、アラミド系樹脂その共重合樹脂などが適用可能であるが、耐薬品性が高く疎水性ポリマーであるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレリン系ポリマーが最も好ましい。しかし、本発明はここに記載したポリマーに限定されるものではない。
【0009】
熱可塑性ポリマーシート状物の最も好適な態様である不織布の製造方法としては、乾式法、湿式法などや、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など溶融紡糸法を用いて直接不織布化する方法、短繊維でシートを作り熱エンボス等で熱圧着させる方法、低融点の繊維を混合しそれを溶かし繊維間を融着させ強力を持たせるサーマルボンド法、化学的に繊維間を接着させる方法、高圧水流で繊維を3次元的に絡ませるスパンレース法、これらの方法を複合化して用いる方法などが挙げられるが、特に不織布化する方法には制限を受けない。本発明のスルホン化処理が均一に行われる為にはメルトブロー法、フラッシュ紡糸法などの非常に微細なポリマー繊維から成る不織布が、本発明の好適な熱可塑性ポリマーシート状物として用いられる。
【0010】
本発明において、熱可塑性ポリマーシート状物を構成する繊維の直径は、0.1〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜30μm、より好ましくは0.1〜20μmであり、最も好ましくは0.1〜10μmである。0.1μm未満であるとシートの強度が弱いばかりでなく、スルホン化処理の際に部分的にシートの切断が起きたり、穴が開いたりする。また50μmを超えて大きくなるとシート自体の表面積が小さくなってしまいスルホン酸基の導入量が低下する。また、スルホン酸基の導入は繊維の表面上にしか起こらず繊維内部と表面でスルホン化度に差が出てしまうこととなり、離解した場合にスルホン酸基導入量にバラツキが生じやすい。
熱可塑性ポリマーシート状物の厚みは、10μm〜2mmであり、より好ましくは30μm〜500μmである。厚みが10μm以下であると、スルホン化の際にシートが弱く、穴が開いたり破れたりするので好ましくなく、2mmを超えて大きくなるとスルホン化が内部まで行われないため離解した場合にスルホン酸基導入量にバラツキが生じやすい。
【0011】
熱可塑性ポリマーシート状物のスルホン化方法は、濃度90%以上の濃硫酸や熱濃硫酸、発煙硫酸、ハロゲン化スルホン酸等に含浸させスルホン化する湿式法、発煙硫酸ガス中やSO3 ガス、発煙硫酸、ハロゲン化硫酸中でスルホン化する乾式スルホン化法などを用いるが、スルホン酸基の導入できる方法であればその方法は問わない。種々のスルホン化法を用いて処理した後は、希硫酸による洗浄後、水洗した方が好ましく、そのまま用いることが出来ればそれでも良い。さらに親水性が必要とする用途に用いる場合は、水洗後アルカリ溶液による中和洗浄を行う方が好ましい。アルカリ溶液の洗浄により、スルホン酸からスルホン酸塩となりさらに親水性が増加する。アルカリ溶液の洗浄は、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの水溶液で行うことが好ましい。
【0012】
スルホン酸基の導入量は、イオン交換容量により表され0.005〜1.5ミリ当量/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1.0ミリ当量/gであり、更に好ましくは0.1〜0.5ミリ当量/gである。0.005ミリ当量/g未満であると親水性が乏しいのはもちろんのこと、スルホン酸基の導入されたシート状物を離解する場合に均一に離解されないことがあり好ましくない。また1.5ミリ当量/gを超えて大きくなると、親水性はかなり高くなるもののスルホン化処理が進みすぎるためシートの強度が極端に低下し処理中に切断が起こる恐れがあり好ましくない。
【0013】
次に熱可塑性ポリマーシート状物をスルホン化処理後離解するのであるがその方法としては、パルパー、リファイナー、ビーター、ミキサーなどの叩解機や解綿機、ミル等の粉砕機等の離解機を使用する。この場合、離解されたスルホン化解離又は粉砕物の定量手段としてJIS−P−8121−1976「パルプの濾水抵抗試験方法;カナダ標準形」:カナディアンフリーネス値(以下CSF値と略す)及びBET法による比表面積の値を用い表すことが出来る。CSF値については100〜650mlとなる様な範囲が好ましく、より好ましくは150〜600mlの範囲である。CSF値が100ml未満であると微粉体となる為、吸湿しやすく塊を形成しシート作成時のトラブル原因となり、また混抄する場合均一に分散しなくなるため好ましくない。CSF値が650mlを越える場合では、スルホン化解離又は粉砕物が大きい又はスルホン化された繊維が大きいことを意味し、スルホン化度が表面と内部で大きな差となっている可能があるため好ましくない。
【0014】
この離解物を表す方法として、BET法による比表面積の値を用いることも出来る。本発明でのこの値としては、0.09m2 /g以上が好ましい。より好ましくは0.5m2 /g以上である。0.09m2 /g未満であると、比表面積が小さく、このことはスルホン化解離又は粉砕物が大きいと言うことを意味し、スルホン化度が表面と内部で大きな差となっている可能性が有るため好ましくない。
本発明において、スルホン化解離又は粉砕物から不織シート状を得る場合、最も好適には湿式法による方法を選択できる。この場合、スルホン化物単独、或いは少なくとも1種の他の異なる短繊維と共に水中に均一に分散させスラリーとして、各種の抄紙機用いることでシートを形成させ、乾燥、バインダー含浸、熱圧着、一定量の熱融着繊維を混抄して熱処理にて繊維間を固定する、高圧水流等の処理により繊維同士を交絡せしめる。或いはこれらのいくつかの組み合わせ等により本発明の不織シート状物を得ることが出来る。スルホン化解離又は粉砕物の混抄量としては1〜100wt%含む物であり、好ましくは10wt%〜100wt%、より好ましくは20wt%〜100wt%である。混抄量が1wt%未満であると親水性が発現できない場合があるため好ましくない。
【0015】
本発明のスルホン化解離又は粉砕物を利用してスパンボンド法による直接不織布を得ることも、繊維又は紙、膜や微多孔膜などのフィルム状物を作ることも出来る。その場合、スルホン化された熱可塑性ポリマーシート状物を直接用いる方法や叩解機等の離解機や粉砕機を用いて離解・粉砕したものを用いる方法がある。また、本発明のスルホン化解離又は粉砕物を溶融後、サイズの決められた紡口より押し出し繊維とすることができる。繊維とした場合の形状はどの様な形でも良く繊維断面の大きさも問わない。繊維の例を挙げるならば、本発明のスルホン化解離又は粉砕物のみからなる繊維、低融点のポリマーと組み合わせた芯鞘型、分割型繊維や他のポリマーと組み合わせた芯鞘型、分割型繊維、溶融する場合に1種以上の他の繊維と同時に溶融し繊維状にした繊維の中または表面に均一または不均一に本発明のスルホン化解離又は粉砕物が点在するブレンド型の繊維などを作ることが出来る。
【0016】
本発明のスルホン化解離又は粉砕物は親水性を持っているため疎水性のポリマーと組み合わせることで親水性と疎水性の微妙な調節が可能となり、目的にあった性能を発現することが出来る。上記の様な繊維を作る方法としては、合成繊維を紡糸する場合に一般的に用いられる紡糸方法で行うことが出来る。フィルム状物の場合は、スルホン化された熱可塑性ポリマーシート状物を直接用いる方法や離解・粉砕されたものを溶融又は溶媒を用いて溶解する方法により紙、膜や微多孔膜などのフィルム状物を作ることが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが下記の記載の方法により何ら制限されるものではない。実施例中、測定値は以下の方法によって測定したものである。
1)引張強度
JIS−L−1096;ストリップ法に準じ、シート状物及び不織布の縦(進行)方向/横(幅)方向について測定した。
2)液体の保持
10cm×10cmの正方形にカットした試験片を3枚採取し、平衡水分に至らせた状態の重量(W1)を1mgまで測定する。次に31wt%濃度の水酸化カリウム水溶液中に1時間以上広げて浸した後、液中から引き上げて正方形の1片を上にして10分間吊した後の試験片重量(W2)を測定し、保液率(%)の〔(W2−W1)/W1〕×100を算出し保液性を評価する。
【0018】
3)イオン交換容量
10cm×10cmの正方形にカットした試験片を2枚採取し、1モル/lのHCl水溶液に1昼夜浸漬し、試験片を取り出し水洗、乾燥させ重量(W)を1mgまで測定する。0.1モル/lのNaOH水溶液を20ml加え、100mlに希釈した後、残存している水酸基を0.1モル/lのHCl水溶液(力価f)で指示薬にフェノールフタレンを用いて滴定し、滴定量(V)を求めた。イオン交換容量は(0.1×f×V)/Wにより求めた。
4)カナディアンフリーネス値
JIS−P−8121−1976「パルプの濾水抵抗試験方法;カナダ標準形」を用いて測定した。
【0019】
5)比表面積
以下の測定機器を用い多点BET法により測定した。
測定機器:島津製作所製、micromertics Gemini236 0を用いた。
6)平均繊維径
サンプルの任意の10ヶ所について、電子顕微鏡により倍率3500倍で10枚写真撮影を行った。1枚の写真につき、任意の10本の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真について行った。合計100本の繊維径測定値を求め、平均値を計算した。
【0020】
【実施例1】
メルトブロー法を用いて作られた目付40g/m2 、平均繊維径2μmのポリプロピレン不織布を乾燥SO3 ガス中雰囲気下60℃中で1分間スルホン化処理を行ない、水洗、アルカリ水溶液による中和を行った。この不織布をミキサーで30秒処理を行い離解させ、スルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物のイオン交換容量は0.2ミリ当量/gであり、CSF値は600ml、比表面積は0.7m2 /gであった。
【0021】
次に、繊維長10mm、繊維直径約10μmのポリプロピレン繊維(大和紡(株)製)40%、繊維長15mm、繊維直径約15μmの熱融着繊維ESC(チッソ(株)製、芯部:ポリプロピレン、鞘部:ポリエチレン)30%、上記スルホン化解離又は粉砕物30%を水中に分散し、1%濃度のスラリー溶液に調整した。このスラリー溶液から傾斜型長網抄紙機により55g/m2 の混抄シートを80メッシュの金網上に乗せ、ノズル径0.15mmのノズルから圧力4.0MPaの水を噴射させて混抄シートに衝突させることにより上記繊維群を交絡させた。更に同じ操作を6回行ったのち、シートの表と裏を逆転させて同じ処理を繰り返した。得られた交絡シートをピンテンター乾燥機を用いて温度150℃で乾燥させると同時に交絡シート間のESCの鞘部(融点130℃)を溶解せしめた。得られた不織シート状物は、目付55g/m2 、厚み0.37mm、引張強度(縦/横)20/11N/cmで有り、イオン交換容量0.09ミリ当量/gで従来のポリエチレン、ポリプロピレンからなる不織布に比べて同等の強度と高い親水性を持っていた。耐薬品性が有り親水性に優れることからイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0022】
【実施例2】
実施例1と同様の操作でスルホン化解離又は粉砕物を得た。次に、繊維長15mm、繊維直径約15μmの熱融着繊維ESC30%、上記スルホン化解離又は粉砕物70%を水中に分散し1%濃度のスラリー溶液に調整した。このスラリー溶液から傾斜型長網抄紙機により55g/m2 の混抄シートを80メッシュの金網上に乗せ、ノズル径0.15mmのノズルから圧力4.0MPaの水を噴射させて混抄シートに衝突させることにより上記繊維群を交絡させた。更に同じ操作を6回行ったのち、シートの表と裏を逆転させて同じ処理を繰り返した。得られた交絡シートをピンテンター乾燥機を用いて温度150℃で乾燥させると同時に交絡シート間のESCの鞘部(融点130℃)を溶解せしめた。得られた不織シート状物は、目付55g/m2 、厚み0.37mm、引張強度(縦/横)19/9N/cmで有り、イオン交換容量0.10ミリ当量/gで従来のポリエチレン、ポリプロピレンからなる不織布に比べて同等の強度と高い親水性を持っていた。耐薬品性が有り親水性に優れることからイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0023】
【実施例3】
実施例1と同様の操作でスルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物を水中に分散し1%濃度のスラリー溶液に調整した。このスラリー溶液から傾斜型長網抄紙機により30g/m2 の混抄シートを得、ドラム型乾燥機を用いて温度150℃で乾燥させた。このままでも親水性シートとしては十分であるが、縦横のシートの安定性を更に保たせるために100℃に加熱した1対のフラットロールからなる熱圧着装置により部分的に熱圧着した。得られた不織シート状物は、目付30g/m2 、厚み0.20mm、引張強度(縦/横)9/6N/cmで有り、イオン交換容量0.08ミリ当量/gで従来のポリエチレン、ポリプロピレンからなるシート状物や不織布に比べて同等の強度と高い親水性を持っていた。耐薬品性が有り親水性に優れることからイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0024】
【実施例4】
スパンボンド法を用いて作られた目付65g/m2 、平均繊維径20μmのポリプロピレン不織布を乾燥SO3 ガス中雰囲気下60℃中で5minスルホン化処理を行ない、水洗、アルカリ水溶液による中和を行った。この不織布をギロチンカッターで長さ方向に10mm間隔で切断し、更にミキサーで2min間処理を行い離解させ、スルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物のイオン交換容量は0.19ミリ当量/gであり、CSF値は690ml、比表面積は0.11m2 /gであった。
実施例1と同様の操作で不織シート状物を作成した。得られた不織シート状物は、目付55g/m2 、厚み0.38mm、引張強度(縦/横)24/9N/cmで有り、イオン交換容量0.10ミリ当量/gで従来のポリエチレン、ポリプロピレンからなる不織布に比べて同等の強度と高い親水性を持っていた。耐薬品性が有り親水性に優れることからイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0025】
【実施例5】
フラッシュ紡糸法を用いて作られた目付60g/m2 、平均繊維径0.2μmのポリエチレン不織布を乾燥SO3 ガス中雰囲気下60℃中で1分間スルホン化処理を行ない、水洗、アルカリ水溶液による中和を行った。更にこの不織布をミキサーで3分間処理を行い離解させ、スルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物は、パルプ状であり、イオン交換容量は0.21ミリ当量/gであり、CSF値は500ml、比表面積は5.1m2 /gであった。実施例1と同様の操作で不織シート状物を作成した。得られた不織シート状物は、目付58g/m2 、厚み0.36mm、引張強度(縦/横)24/8N/cmで有り、イオン交換容量0.10ミリ当量/gで従来のポリエチレン、ポリプロピレンからなる不織布に比べて同等の強度と高い親水性を持っていた。耐薬品性が有り親水性に優れることからイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0026】
【実施例6】
実施例1と同様の操作でスルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物を用いてメルトブロー法により極細繊維を作成した。上記スルホン化解離又は粉砕物を280℃で溶融し、溶融ポリマーに1mmピッチで1500個1列に並んだ0.3mmφのオリフィス下60cmに位置せしめた移動する補助面に連続的に集積し、目付40g/m2 になる様にランダムウエブとし、この後100℃に加熱した1対のフラットロール熱圧着装置により部分的に熱圧着し巻き取った。得られた不織シート状物は、目付41g/m2 、厚み0.31mm、引張強度(縦/横)6/3N/cmで有り、この不織シート状物は、目付斑や玉状物が無く良好で、イオン交換容量0.06ミリ当量/gで有り、良好な親水性を示し、イオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0027】
【実施例7】
実施例1と同様の操作でスルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物を用いてスパンボンド法により不織シート状物を作成した。上記スルホン化解離又は粉砕物を280℃で溶融し、エジェクターで吸引しながら紡糸を行った。紡糸後移動する多孔質帯状体に目付50g/m2 となるように堆積させてウエブを作成した。このウエブを120℃に加熱した1対のロールからなる熱圧着装置により部分的に熱圧着し不織シート状物を得た。目付49g/m2 、平均繊維径15μm、厚み0.36mm、引張強度(縦/横)22/8N/cmであった。この不織シート状物は、目付斑や玉状にフィラメントが固まっている部分が無く良好で、イオン交換容量0.06ミリ当量/gであり、良好な親水性を示しイオン交換膜や電池セパレータなどの用途に有効である。
【0028】
【比較例1】
実施例1と同じ不織布を用い、同様の操作でスルホン化処理を行った。ただし処理時間を15秒とした。その後、水洗、アルカリ溶液による中和を行った。この不織布をミキサーで処理しようとしたがスクリューに繊維が絡み、うまく離解出来なかった。この不織布のイオン交換容量は、0.002ミリ当量/gであった。
イオン交換容量が本発明の範囲を外れるため、離解出来ず親水性も劣るものであった。
【0029】
【比較例2】
実施例1と同じ不織布を用い、同様の操作でスルホン化処理を行った。ただし処理時間を10分間とした。スルホン化加工後不織布を見ると穴が点在していた。その後、水洗、アルカリ中和中に不織布が破けてしまい、巻き取ることが出来なかった。この不織布の一部をミキサーで処理し、スルホン化解離又は粉砕物を得た。このスルホン化解離又は粉砕物のイオン交換容量は、2.1ミリ当量/gであった。本発明の範囲よりもイオン交換容量が大きいため親水性は大きいが、スルホン化中に不織布に穴が開いてしまうため安定的に均一なスルホン化シートを作成することが出来なかった。
【0030】
【比較例3】
繊維長10mm、繊維直径約10μmのポリプロピレン繊維(大和紡(株)製)40%、繊維長15mm、繊維直径約15μmの熱融着繊維ESC(チッソ(株)製、芯部:ポリプロピレン、鞘部:ポリエチレン)30%、繊維長6mm、繊維直径約21μmの親水性分割繊維DF−2(大和紡(株)製、ポリプロピレン/ポリビニルアルコール共重合体複合分割糸、分割度16分割)30%を水中に分散し1%濃度のスラリー溶液に調整した。このスラリー溶液から傾斜型長網抄紙機により55g/m2 の混抄シートを80メッシュの金網上に乗せ、ノズル径0.15mmのノズルから圧力4.0MPaの水を噴射させて混抄シートに衝突させることにより上記繊維群を交絡させた。更に同じ操作を6回行ったのち、シートの表と裏を逆転させて同じ処理を繰り返した。得られた交絡シートをピンテンター乾燥機を用いて温度150℃で乾燥させると同時に交絡シート間のESCの鞘部(融点130℃)を溶解せしめた。得られた不織布は、目付55g/m2 、厚み0.37mm、引張強度22/14N/cm、イオン交換容量0.001ミリ当量/gであった。親水性繊維を混抄しているにもかかわらず親水性に劣るものであった。
【0031】
【比較例4】
市販のポリプロピレンポリマーを用いてメルトブロー法により極細繊維を作成した。上記スルホン化解離又は粉砕物を280℃で溶融し、溶融ポリマーに1mmピッチで1500個1列に並んだ0.3mmφのオリフィス下60cmに位置せしめた移動する補助面に連続的に集積し、目付40g/m2 になる様にランダムウエブとし、この後100℃に加熱した1対のロール熱圧着装置により部分的に熱圧着し巻き取った。得られた不織布は、目付40g/m2 、平均繊維径1.8μm、厚み0.31mm、引張強度(縦/横)6/3N/cmで有り、このシートは、目付斑や玉状物が無く良好であったが、用いたポリマーが疎水性のため親水性はほとんどない。
【0032】
【表1】
Figure 0004102632
【0033】
【発明の効果】
本発明のスルホン化解離又は粉砕物を原料としたシート状物、不織布は、従来のスルホン化されたシート状物や不織布と比べ親水性が保持されるだけでなく、従来問題であった引張強度の低下やシートの部分劣化が無くなり、スルホン酸基の導入量の調整が容易となり、親水性のバラツキの少ない均一なシート作成が可能となった。
また、本発明品を用いて作られる繊維、不織シート状物、不織布は親水性基が均一分散し、親水性のバランス調整が容易なことから、その用途としては、吸水剤、吸水シート、耐薬品性シート、イオン交換繊維やイオン交換膜等の原料や製品、電池セパレータ等のセパレータ、隔離膜用途、親水性樹脂等の原料として有用である。

Claims (3)

  1. 熱可塑性ポリマーシート状物をスルホン化処理した後、機械的処理によって離解又は粉砕することにより得られるスルホン化解離又は粉砕物であって、イオン交換容量が0.005〜1.5ミリ当量/gの範囲であり、カナディアンフリーネス値が100〜650mlの範囲であり、BET法により求められる比表面積が0.09m 2 /g以上であることを特徴とするスルホン化解離又は粉砕物。
  2. 請求項1に記載のスルホン化解離又は粉砕物を1〜100wt%含有して成ることを特徴とする不織シート状物。
  3. 請求項1に記載のスルホン化解離又は粉砕物1〜100wt%を水中に分散させて湿式法にて得ることを特徴とする不織シート状物の製造方法。
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