JP2960284B2 - 電池セパレータおよびその製造方法 - Google Patents

電池セパレータおよびその製造方法

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JP2960284B2 JP5156206A JP15620693A JP2960284B2 JP 2960284 B2 JP2960284 B2 JP 2960284B2 JP 5156206 A JP5156206 A JP 5156206A JP 15620693 A JP15620693 A JP 15620693A JP 2960284 B2 JP2960284 B2 JP 2960284B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Cell Separators (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電池のセパレータ、特に
水素を吸藏および放出することができる電極を負極に備
えたニッケル−水素アルカリ蓄電池用のセパレータに好
適な電池セパレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】殊にニッケル−水素電池用のセパレータ
は、耐アルカリ性、均整な厚さと十分な保液性を必要と
することから、従来からポリオレフィン系繊維を原料と
して湿式抄造法により作られた所定厚さの湿式不織布が
汎用されている。しかしながら従来の湿式不織布製の電
池セパレータは、引裂き抵抗と柔軟性に乏しく、巻回時
の均整な湾曲性が得られないため巻回時に折り目が生じ
るという難点がある。
【0003】この難点を改善することを目的として、例
えば特開平3−230473号公報にみられるように、
粗目の基布の少なくとも片面に短繊維よりなる湿式繊維
ウェブを積層して抄紙し、得られた湿式不織布を水流処
理して基布に短繊維を交絡させてなる電池セパレータが
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら基布に短
繊維を交絡させてなる上記電池セパレータは、引っ張り
強力に優れ、巻回性がよく、また厚みの変動率が少ない
とう長所を有しているが、基布がセパレータの厚さに占
める割合が大きいため、基布を有しない同じ厚さの湿式
不織布に比べて保液率および吸液速度が劣る。
【0005】このようなことから業界においては、耐ア
ルカリ性に優れ、基布の介装がなくても巻回時の張力に
耐え、しかも保液率が大きく、負極から発生する水素ガ
スの適度な通過性(通気度)を具備したニッケル−水素
電池用のセパレータが強く要望されていた。本発明はか
かる要望に対応し、特にニッケル−水素電池用に好適な
セパレータを提供することを目的としてなされたもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン重合体とエチレンビニルアルコール共重合体とからな
る分割型複合繊維の短繊維に熱接着性複合繊維を混合
し、さらにこの分割型複合繊維の分割後の極細繊維およ
び混合した熱接着性複合繊維よりもデニールの大きい合
成繊維の短繊維を混合して湿式抄造し、得られた湿式不
織布を高圧水流処理して熱カレンダー仕上げすることに
よって上記目的に適合した電池セパレータとなした。
【0007】即ち本発明の電池セパレータは、熱接着性
複合繊維が20〜30重量%と、繊維断面においてポリ
オレフィン重合体(A成分)とエチレンビニルアルコー
ル共重合体(B成分)とが交互に隣接して配置されてな
る長さ5〜15mmの分割型複合繊維が60〜80重量
%と、この分割型複合繊維の分割後の極細繊維および上
記熱接着性複合繊維よりもデニールの大きい長さ5〜1
5mmの合成繊維が20〜10重量%が混合されて湿式
抄紙され、抄紙乾燥後高圧水流処理が施されて上記分割
型複合繊維が分割されて繊維間交絡されたのち熱カレン
ダー処理が施されて所定の厚さに仕上げられてなり、仕
上がり厚さが0.15〜0.21mmにおいて、縦方向
の抗張力が6.0kg/15mm以上、保液率が380
%以上であることを特徴としているものである。
【0008】また製造方法にあっては、熱接着性複合繊
維を20〜30重量%、繊維断面においてポリオレフィ
ン重合体(A成分)とエチレンビニルアルコール共重合
体(B成分)とが交互に隣接して配置されてなる長さ5
〜15mmの分割型複合繊維を60〜80重量%、上記
熱接着性複合繊維および上記分割型複合繊維の分割後の
極細繊維よりもデニールの大きい長さ5〜15mmの合
成繊維を10〜20重量%とを混合して湿式抄紙し、得
られた湿式不織布を加熱処理し上記熱接着性複合繊維の
低融点成分を溶融して繊維間接合を行い、次いでこの湿
式不織布を高圧水流処理を施して上記分割型複合繊維の
極細化分割を行うとともに繊維間交絡させ、しかるのち
熱カレンダー処理して所望の厚さに仕上げることを特徴
としているものである。
【0009】上記熱接着性複合繊維としては、高融点重
合体が芯成分であり低融点重合体が鞘成分の芯鞘型複合
繊維、例えばポリプロピレンが芯成分、高密度ポリエチ
レンが鞘成分(芯鞘容積比率50:50)の芯鞘型複合
繊維(繊度1.0〜1.5デニール、繊維長5〜10m
m)を挙げることができる。
【0010】上記した分割型複合繊維のA成分に用いる
ポリオレフィン重合体としては、ポリプロピレン、ポリ
エチレンが挙げられ、B成分のエチレンビニルアルコー
ル共重合体は、紡糸性と親水性を考慮するとエチレン含
有量が20〜45%のものが好ましい。
【0011】またA成分とB成分とからなる分割型複合
繊維は、その繊維断面においてA、B成分が交互に隣接
しておりその構成単位は長さ方向に連続し、全構成単位
の一部は必ず繊維表面に露出している断面形状を有して
いて、A、B両成分の複合比率は電池セパレータの耐久
性と親水性のバランスを考慮して決定するとよい。紡糸
工程の紡糸の容易性と電解液に対する親和性の点からA
成分:B成分が30:70〜70:30程度が望まし
い。
【0012】図1〜図3は分割型複合繊維の代表的な断
面形状を示している。分割後のA、B成分の繊維の太さ
は、0.2〜0.5デニール程度がよく、0.2デニー
ルよりも繊細になると耐久性が急激に低下し、また0.
5デニールよりも太くなると保液性が低下することにな
る。
【0013】上記熱接着性複合繊維と分割型複合繊維に
混合される繊度の大きい合成繊維としては、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなど汎用
の合成繊維が適用できるが、電池セパレータの耐久性と
保液空隙を確保する上において繊度が2〜8デニールの
やや剛性で高強度のポリプロピレン、例えば高強力ポリ
プロピレン繊維[商品名:PNHC(大和紡績株式会社
製)]が好適である。
【0014】
【作用】熱接着性複合繊維は、上記した混合繊維でもっ
て湿式不織布となし、次いでその低融点成分の融点以上
の温度で熱処理することにより低融点成分が溶融され、
湿式不織布の強度を増加させて形態を安定させる。
【0015】分割型複合繊維は、抄造時のパルパーやミ
キサーによる叩解力を受けて不完全に分割され、さらに
抄紙後の水流処理により分割されA成分とB成分の極細
繊維に分離されて熱接着性複合繊維および混合合成繊維
と共に交絡され、微細な繊維間空隙を形成してB成分の
親水性との相乗作用によって電解液の保持容量を増大さ
せ、耐アルカリ性のA成分は不織布、即ち電池セパレー
タの耐久性を向上させる。
【0016】混合した少量の繊度の大きい合成繊維は、
上記の水流処理によってランダムな方向に交絡され、水
流処理による不織布の厚さの減少を抑制するとともに補
強作用をなし、不織布に十分な空隙を保持させて保液率
を高め、また引っ張り強度を向上させて巻回時の破断を
防止する。
【0017】さらに上記した電池セパレータの基材とな
る不織布の形成に湿式抄紙法を採用することによって、
乾式法に比べて不織布の繊維密度を均整化することがで
き、得られるセパレータの通気度が全面に亙って均等化
する。そして熱接着性複合繊維による繊維乾接合によっ
て不織布の強度を増加させて形態を安定化し、ロール巻
時や取り扱い時における繊維の乱れを防止して均整な繊
維密度を保持した状態で高圧水流処理装置に供給するこ
とができる。
【0018】
【実施例】
「実施例1」 芯成分がポリプロピレン、鞘成分が高密
度ポリエチレン(芯鞘容積比率50:50)、繊度が
1.5デニール、繊維長10mmの芯鞘型熱接着性複合
繊維(以下A繊維という)を45重量%と、図1に示し
ているように、繊維断面においてポリオレフィン重合体
をA成分(1) 、エチレンビニルアルコール共重合体をB
成分(2) とし、A成分(1) とB成分(2) とが交互に隣接
して放射状に配置されてなる容積比率が50:50、長
さが5mmの分割型複合繊維(以下B繊維という)を4
5重量%と、繊度が2デニール、繊維長が6mm、強度
が9g/デニールのポリプロピレン繊維(以下C繊維と
いう)を10重量%とをパルパーでもって混合し、湿式
抄紙して坪量70.5gの湿式不織布となした。
【0019】次いでこの湿式不織布を130℃の熱風に
て加熱処理し、上記A繊維のポリエチレン成分を溶融し
て繊維間接合を行った。
【0020】次いでこの湿式不織布の表裏に高圧柱状水
流処理(背圧130kg/cm2 )を施して上記分割型
複合繊維の極細化分割(分割後の繊度が0.19デニー
ル)を行うとともに繊維間交絡させ、しかるのち熱カレ
ンダー処理して所望の厚さの電池セパレータ用の不織布
となした。仕上がり厚さは0.18mmであった。
【0021】「実施例2」 上記A繊維、B繊維および
C繊維の混合割合を30:60:10となし、実施例1
と同様に湿式抄紙し、熱処理、高圧水流処理および熱カ
レンダー処理を行って、厚さ0.17mmの電池セパレ
ータ用の不織布となした。
【0022】「実施例3」 上記A繊維、B繊維および
C繊維の混合割合を20:60:20となし、実施例1
と同様に湿式抄紙し、熱処理、高圧水流処理および熱カ
レンダー処理を行って、厚さ0.19mmの電池セパレ
ータ用の不織布となした。
【0023】「比較例1」 上記B繊維のみを湿式抄紙
し、得られた湿式不織布の表裏に高圧柱状水流処理(背
圧130kg/cm2 )を施して上記分割型複合繊維の
極細化分割(分割後の繊度が0.19デニール)を行う
とともに繊維間交絡させ、しかるのち熱カレンダー処理
して厚さ0.21mmの電池セパレータ用の不織布とな
した。
【0024】「比較例2」 上記A繊維を20重量%、
B繊維を80重量%を混合し、実施例1と同様に湿式抄
紙し、熱処理、高圧水流処理および熱カレンダー処理を
行って、厚さ0.21mmの電池セパレータ用の不織布
となした。
【0025】「比較例3」 図1に示しているように、
繊維断面においてポリオレフィン重合体(A成分)とエ
チレンビニルアルコール共重合体(B成分)とが交互に
隣接して配置されてなる繊度が3デニール、長さが51
mmの分割型複合繊維(以下D繊維という)を準備し、
このD繊維でもってクロスレイヤー法により目付け75
g/m2 のウェブを作成し、次いで180℃の熱カレン
ダーローラを通してエチレンビニルアルコール共重合体
をゲル化しながら圧着させ、厚さ0.21mmの電池セ
パレータ用不織布となした。
【0026】「比較例4」 上記比較例3のウェブを高
圧水流法によって繊維の分割処理(分割後の繊度は平均
0.19デニール)および交絡処理を施し、乾燥後カレ
ンダーローラ処理して厚さ0.21mmの電池セパレー
タ用不織布となした。
【0027】「比較例5」芯成分がポリプロピレン、鞘
成分が高密度ポリエチレン(芯鞘容積比率50:5
0)、繊度が1.5デニール、繊維長51mmの芯鞘型
熱接着性複合繊維を40重量%と、上記D繊維を60重
量%とを混合して目付け72.9g/m2 のウェブとな
した。このウェブを熱風加工機(140℃)で処理して
高密度ポリエチレンの溶融により繊維間接着させ、高密
度ポリエチレンが軟化状態にある間にカレンダーローラ
処理して厚さ0.22mmの電池セパレータ用不織布と
なした。
【0028】上記実施例1〜3、比較例1〜5の不織布
でもって電池セパレータとなし、また別に従来から使用
されていたアルカリ電池用のセパレータ(抄紙品)を入
手し、それぞれのセパレータの性能および物性を比較し
た。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】なお吸液速度および保液率は次のようにし
て測定した。 吸液速度:試料幅方向より25×250mmの試験片3
枚を採取し、水分平衡状態にする。次に試験片を20℃
に保った比重1.30のKOH溶液を入れた水槽上の一
定の高さに支えた水平棒にピンで止める。試験片の下端
を一線に揃えて水平棒を下ろし、試験片の下端が5mm
だけ液中に漬かるように垂直に立て、毛細管現象により
KOH溶液が上昇した高さを30分後に測定した。 保液率:試料幅方向より、図×に示すような形状の試験
片(202.5 cm2)3枚を採取し、水分平衡状態の重量
(W)を1mgまで測定する。次に比重1.30のKO
H溶液中に試験片を広げて浸たし、1時間吸収させたの
ち液中から引き上げて10分後の試験片の重量(W1)
を測定し、次式により保液率を算出した。 保液率(%)=(W−W1)/W×100
【0031】
【発明の効果】このように本発明の電池セパレータは、
不織布基材が湿式抄紙法によって形成されているから繊
維密度が均整であり、また水流処理によって繊維間交絡
が促進し熱接着性複合繊維の接合力と相まって抗張力が
向上し、ニッケル−水素電池のセパレータとしての巻回
時の張力に耐える。そのうえ分割型複合繊維のA成分と
B成分とが分割されて極細化され、A成分による耐久性
とB成分による保液性が効果的に作用し、さらに繊度の
大きい合成繊維の混入によって不織布がペーパーライク
化することがなく、保液率が著しく良好となり、また適
度な通気性を確保してニッケル−水素電池のセパレータ
として好適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた分割型複合繊維の断面
拡大図である。
【図2】本発明に適用できる分割型複合繊維の他の例の
繊維断面拡大図である。
【図3】本発明に適用できる分割型複合繊維の他の例の
繊維断面拡大図である。
【符号の説明】 1.A成分 2.B成分

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱接着性複合繊維が20〜30重量%
    と、繊維断面においてポリオレフィン重合体(A成分)
    とエチレンビニルアルコール共重合体(B成分)とが交
    互に隣接して配置されてなる長さ5〜15mmの分割型
    複合繊維が60〜80重量%と、上記熱接着性複合繊維
    および上記分割型複合繊維の分割後の極細繊維よりもデ
    ニールの大きい長さ5〜15mmの合成繊維が10〜2
    0重量%が混合されて湿式抄紙され、抄紙乾燥後高圧水
    流処理が施されて上記分割型複合繊維が分割されて繊維
    間交絡されたのち熱カレンダー処理が施されて所定の厚
    さに仕上げられてなり、仕上がり厚さが0.15〜0.
    21mmにおいて、縦方向の抗張力が6.0kg/15
    mm以上、保液率が380%以上であることを特徴とす
    る電池セパレータ。
  2. 【請求項2】 熱接着性複合繊維を20〜30重量%、
    繊維断面においてポリオレフィン重合体(A成分)とエ
    チレンビニルアルコール共重合体(B成分)とが交互に
    隣接して配置されてなる長さ5〜15mmの分割型複合
    繊維を60〜80重量%、上記熱接着性複合繊維および
    上記分割型複合繊維の分割後の極細繊維よりもデニール
    の大きい長さ5〜15mmの合成繊維を10〜20重量
    %とを混合して湿式抄紙し、得られた湿式不織布を加熱
    処理し上記熱接着性複合繊維の低融点成分を溶融して繊
    維間接合を行い、次いでこの湿式不織布を高圧水流処理
    を施して上記分割型複合繊維の分割極細化を行うととも
    に繊維間交絡させ、しかるのち熱カレンダー処理して所
    望の厚さに仕上げることを特徴とする電池セパレータの
    製造方法。
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