JP4100181B2 - 多気筒内燃機関回転変動判別装置 - Google Patents

多気筒内燃機関回転変動判別装置 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多気筒内燃機関における回転変動判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒内燃機関において基準以上の回転変動が生じた場合には気筒間での燃料噴射量を補正することにより基準以下に回転変動を抑制する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この技術では、燃料噴射量の補正により失火が検出されるようになると、あるいは機関負荷が失火を生じやすくなると、回転変動が噴射状態により引き起こされることを考慮して、前記補正に制限を加えるている。この燃料噴射量の補正制限により回転変動を抑制している。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−241630号公報(第9−10頁、第5図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、失火の検出により、燃料噴射弁による燃料霧化状態の気筒間ばらつきの発生を考慮した制御を実行している。しかし、回転変動は、燃料噴射量や霧化状態の気筒間ばらつきのみにより生じるものではなく、吸気バルブや吸気ポートを通過する際の空気流量のばらつきによっても生じる。
【0005】
例えば経時により吸気バルブや吸気ポートにデポジットが付着した場合、あるいは経時により吸気バルブのリフト誤差が生じた場合などでは、気筒間で吸入空気量に差が生じて、吸気バルブや吸気ポートに起因した回転変動を引き起こす。
【0006】
前記従来技術では、吸気バルブや吸気ポートに起因した回転変動か、燃料噴射に起因した回転変動かは判別することができず、吸気バルブや吸気ポートに起因した場合にも燃料噴射量の補正を実行することになる。このことにより空燃比が不適切な燃焼状態となって、回転変動を十分に抑制できなかったり排気エミッションを悪化させるおそれがある。
【0007】
本発明は、吸気バルブや吸気ポートに起因する回転変動と燃料噴射に起因する回転変動とを判別できる多気筒内燃機関回転変動判別装置及びこの判別に基づいて対策を実行する多気筒内燃機関回転変動判別装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置は、吸気バルブのバルブリフト量を可変とする多気筒内燃機関における回転変動判別装置であって、内燃機関の回転変動を検出する機関回転変動検出手段と、前記バルブリフト量の変更に伴って前記回転変動検出手段にて検出される内燃機関の回転変動に生じた変化に基づいて、多気筒内燃機関回転変動因子を判別する機関回転変動判別手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この多気筒内燃機関は吸気バルブのバルブリフト量が可変であることにより、機関回転変動検出手段は、異なるバルブリフト量にて内燃機関の回転変動を検出することができる。
【0010】
吸気バルブや吸気ポートを通過する空気流量のばらつきは、バルブリフト量が小さい側では、回転変動要因として大きな割合を占めるようになる。しかしバルブリフト量が大きい側では、回転変動要因としての割合は小さいものとなる。
【0011】
一方、燃料噴射弁による燃料噴射量や霧化のばらつきなどは、バルブリフト量が小さい側でも大きい側でも回転変動要因として占める割合に大きな差は生じない。
【0012】
このように、吸気バルブや吸気ポートに起因する回転変動と、燃料噴射に起因する回転変動とは、バルブリフト量の違いに対して異なる挙動を示す。このため機関回転変動判別手段は、バルブリフト量の変更に伴って生じた、内燃機関の回転変動変化によって、吸気バルブや吸気ポートに起因する回転変動と、燃料噴射に起因する回転変動とを判別できる。
【0013】
請求項2に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1において、前記多気筒内燃機関は、吸気バルブのバルブリフト量の調節により、燃焼室内への吸入空気量を調節する吸入空気量調節手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
このように各燃焼室への吸入空気量が、吸気バルブのバルブリフト量により調節される多気筒内燃機関においては、吸入空気量調節手段の駆動により吸気バルブのバルブリフト量が変更される。このバルブリフト量の変更を利用して、機関回転変動判別手段は、バルブリフト量の変更に伴って生じた内燃機関の回転変動変化に基づいて多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0015】
請求項3に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1又は2において、前記機関回転変動判別手段は、前記バルブリフト量が基準範囲に存在する場合に処理を開始することを特徴とする。
【0016】
機関回転変動判別手段の処理は、基準範囲、例えばバルブリフト量が軽負荷に属する小リフト量の或る範囲にバルブリフト量が入った時に、開始されるようにしても良い。
【0017】
このことにより、多気筒内燃機関回転変動因子を判別するに適切なバルブリフト量にて判別処理を開始でき、高精度な判別を行うことができる。
請求項4に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項2において、前記機関回転変動判別手段は、前記バルブリフト量が基準範囲に入った場合に、前記吸入空気量調節手段により少なくとも2種類のバルブリフト量を実現させて、各バルブリフト量にて前記回転変動検出手段にて検出された内燃機関の回転変動を比較することで、多気筒内燃機関回転変動因子を判別することを特徴とする。
【0018】
機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が基準範囲に入った場合に、吸入空気量調節手段を機能させて、少なくとも2種類のバルブリフト量を実現させるようにしても良い。このように機関回転変動判別手段が吸入空気量調節手段を機能させることにより、迅速に異なるバルブリフト量が実現でき、各バルブリフト量にて内燃機関の回転変動を比較することで、早期に多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0019】
請求項5に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項4において、前記多気筒内燃機関は、前記吸入空気量調節手段と同じ吸気経路において燃焼室内への吸入空気量を調節するスロットルバルブを備え、前記機関回転変動判別手段は、前記吸入空気量調節手段により少なくとも2種類のバルブリフト量を実現する場合には、前記スロットルバルブの開度調節により、燃焼室内への吸入空気量を機関運転の要求量に対応させることを特徴とする。
【0020】
機関回転変動判別手段が吸入空気量調節手段を機能させる場合には、機関運転の要求量に応じて決定されていた吸気バルブのバルブリフト量は、要求量に対応しなくなる。このため吸入空気量の過不足を招き、機関回転数などの内燃機関の運転状態が変化することになる。
【0021】
ここでは同一吸気経路に別途設けられたスロットルバルブにより、吸入空気量を機関運転の要求量に対応したものとすることができる。このため、多気筒内燃機関回転変動因子を判別するためにバルブリフト量を変更しても、内燃機関の運転状態変更を抑制することができ、高精度に多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0022】
請求項6に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定することを特徴とする。
【0023】
吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着は、バルブリフト量が小さくて吸入空気量が少ない時には大きく吸入空気量誤差に影響し、バルブリフト量が大きくて吸入空気量が多い時には吸入空気量誤差への影響は相対的に小さくなる。しかし、燃料噴射における誤差はバルブリフト量の大きさにはほとんど影響されない。
【0024】
したがって機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定することができる。
【0025】
請求項7に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判定することを特徴とする。
【0026】
吸気バルブにおけるリフト誤差は、バルブリフト量が小さくて吸入空気量が少ない時には大きく吸入空気量誤差に影響し、バルブリフト量が大きくて吸入空気量が多い時には吸入空気量誤差への影響は相対的に小さくなる。しかし、燃料噴射における誤差はバルブリフト量の大きさにはほとんど影響されない。
【0027】
したがって機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判定することができる。
【0028】
請求項8に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくならない場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着及び吸気バルブにおけるリフト誤差以外に起因する回転変動であると判定することを特徴とする。
【0029】
前記請求項6,7にて述べたごとく、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着、あるいは吸気バルブにおけるリフト誤差であれば、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動は小さくなる。しかしこのような挙動を内燃機関が示さない場合、すなわち、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動が小さくならない場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着及び吸気バルブにおけるリフト誤差以外に起因する回転変動であると判定することができる。
【0030】
請求項9に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくならない場合には、燃料噴射に起因する回転変動であると判定することを特徴とする。
【0031】
より具体的には、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動が小さくならない場合には燃料噴射に起因する回転変動であると判定することができる。
【0032】
請求項10に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項6において、前記機関回転変動判別手段が吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定した場合には、内燃機関の運転状態を一時的にデポジット除去運転に変更することを特徴とするデポジット除去手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
このように機関回転変動判別手段が吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定した場合には、デポジット除去手段にて内燃機関の運転状態を一時的にデポジット除去運転に変更することで、デポジットを除去するようにしても良い。
【0034】
請求項11に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項10において、多気筒内燃機関の各気筒に配置された燃料噴射弁は燃焼室内に燃料を噴射するものであり、前記デポジット除去手段は、燃焼室内の燃焼前の混合気を吸気ポート側へ逆流させることでデポジットを洗浄することを特徴とする。
【0035】
多気筒内燃機関の燃料噴射弁が燃焼室内に燃料を噴射するものであれば、デポジット除去運転としては、燃焼室内の燃焼前の混合気を吸気ポート側へ逆流させてデポジットを洗浄する運転モードとしても良い。例えば吸気行程末期において燃料を燃焼室内に噴射する状態に切り換えることにより、ピストン上昇時に、未だ完全に閉じていない吸気バルブと吸気ポートとの間隙から燃焼室内の混合気が吸気ポート側へ吹き返される。この時の吹き返しにより運ばれてきた燃料にてデポジットが洗浄除去される。
【0036】
請求項12に記載の多気筒内燃機関回転変動判別装置では、請求項10又は11において、前記機関回転変動判別手段は、前記デポジット除去手段によりデポジット除去運転を実行しても、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判定することを特徴とする。
【0037】
このようにデポジット除去手段によるデポジット除去運転がなされても、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて回転変動が小さくなる現象が継続している場合には、デポジットでなく、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判断できる。したがって機関回転変動判別手段は、デポジット除去運転終了後に再度バルブリフト量の違いに応じた回転変動を判定することにより、多気筒内燃機関回転変動因子を詳細に判別することが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された内燃機関としてのガソリンエンジン(以下「エンジン」と略す)2及びその制御系統の概略構成を表すブロック図である。図2はエンジン2の縦断面図(図1のA−A断面)を示している。
【0039】
エンジン2は、直列4気筒の内燃機関であり、車両走行用として自動車車両に搭載されているものである。このエンジン2は、シリンダブロック4、シリンダブロック4内で往復動するピストン6およびシリンダブロック4上に取り付けられたシリンダヘッド8等を備えている。シリンダブロック4には4つの気筒2aが形成され、各気筒2aには、シリンダブロック4、ピストン6およびシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10が形成されている。
【0040】
そして各燃焼室10には、それぞれ2つの吸気バルブ12a,12b及び2つの排気バルブ16a,16bが配置されている。この内、吸気バルブ12a,12bは各吸気ポート14a,14bを開閉し、排気バルブ16a,16bは各排気ポート18a,18bを開閉するように配置されている。
【0041】
シリンダヘッド8において各気筒2aの吸気ポート14a,14bの間には、燃料噴射弁20が取り付けられており、各燃焼室10に対して機関運転上必要とされる要求量に応じた量の燃料を直接噴射している。
【0042】
各気筒2aの吸気ポート14a,14bは吸気マニホールド30内に形成された吸気通路30aを介してサージタンク32に接続されている。サージタンク32は吸気ダクト40を介してエアクリーナ42に連結されている。尚、吸気ダクト40内にはスロットルバルブ44が配置されている。このスロットルバルブ44は、通常のエンジン運転時には全開状態にされており、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が調節されることにより、各燃焼室10内への吸入空気量が調節される。
【0043】
すなわち、アクセルペダル46の操作やアイドル回転数制御時の目標回転数NEtに応じた吸入空気量制御は、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を調節することによりなされる。この吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量の調節は、吸気カムシャフト48に設けられた吸気カム50とローラロッカーアーム52との間に存在する後述する仲介駆動機構100を駆動することにより行われる。
【0044】
尚、各気筒2aの排気ポート18a,18bを開閉している排気バルブ16a,16bは、排気カムシャフト54に設けられた排気カム56の回転により、ローラロッカーアーム58を介して一定のバルブリフト量で開閉されている。各気筒2aの排気ポート18a,18bは排気マニホルド60に連結されている。このことにより排気は、触媒コンバータ62及びマフラーを介して外部に排出されている。
【0045】
電子制御ユニット(以下「ECU」と称する)64は、双方向性バスを介して相互に接続されたRAM、ROM、CPU、入力ポートおよび出力ポートを備えて、デジタルコンピュータとして構成されている。このECU64には、アクセル開度センサ46aからのアクセルペダル46の踏み込み量(以下「アクセル開度ACCP」と称する)を表す信号、スロットル開度センサ44aからスロットルバルブ44の開度(以下「スロットル開度TA」と称する)を表す信号が入力されている。更にECU64には、エンジン回転数センサ66からのエンジン2の回転数NEに対応した信号、吸気カムシャフト48の回転から基準クランク角を決定する基準クランク角センサ68からの基準クランク角毎に生じる基準クランク角G2信号が入力されている。更にECU64には、シリンダブロック4に設けられた冷却水温センサ70からの冷却水温THW信号、シリンダヘッド8に設けられたスライドアクチュエータ112の駆動量を検出するシャフト位置センサ112aからのシャフト位置Sp信号が入力されている。更にECU64には、吸気ダクト40に設けられた吸入空気量センサ72からの吸入空気量GA信号、排気マニホルド60に設けられた空燃比センサ74からの空燃比Af信号、及びその他のセンサ類からの各種信号が入力されている。
【0046】
そしてECU64は、上述した各種信号、メモリーに記憶しているデータ及びこれらを用いた演算結果に基づいて、制御上要求されるタイミングで要求量の燃料を燃料噴射弁20から各燃焼室10内に噴射し、点火プラグによる点火制御を実行している。更にECU64は、後述するごとくオイルコントロールバルブ(以下、「OCV」と略す)104を介してスライドアクチュエータ112を油圧駆動し、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を調節することで吸入空気量を制御している。更にECU64は、スロットルモータ44bを駆動して、エンジン2の始動時にスロットルバルブ44を全開にし、エンジン2の停止時にスロットルバルブ44を全閉にする制御を実行している。更にECU64は、後述する回転変動判別時には吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量の変更に連動して、スロットルモータ44bを駆動してスロットルバルブ44の開度を制御することにより吸入空気量を調節している。
【0047】
ここで可変動弁機構について説明する。図3は吸気カムシャフト48および排気カムシャフト54を中心としたシリンダヘッド8の要部を示す平面図である。図2にも示したごとく、可変動弁機構は、吸気カム50を含む吸気カムシャフト48、仲介駆動機構100、及びローラロッカーアーム52にて構成されている。尚、排気バルブ16a,16b側については、仲介駆動機構が設けられておらず、排気カム56が直接ローラロッカーアーム58を駆動しているので可変動弁機構としては構成されていない。
【0048】
仲介駆動機構100は、気筒2a毎に1つ、ここでは4気筒であるので合計4つ備えられている。これらの4つの仲介駆動機構100は、同一の構成であり、図3に示したごとく1本の支持パイプ130と支持パイプ130内部に配置された1本のコントロールシャフト132にて連結されている。
【0049】
ここで1つの仲介駆動機構100を図4の斜視図及び図5の部分破断斜視図に示す。仲介駆動機構100は、中央に設けられた入力部122、図示左に設けられた第1揺動カム124及び図示右に設けられた第2揺動カム126を備えている。これら入力部122のハウジング122aおよび揺動カム124,126の各ハウジング124a,126aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0050】
入力部122のハウジング122aは内部に軸方向に空間を形成し、この空間の内周面には軸方向に右ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン122bを形成している。また外周面は2つのアーム122c,122dが平行に突出して形成されている。これらアーム122c,122dの先端には、シャフト122eが掛け渡されている。このシャフト122eはハウジング122aの軸方向と平行にされておりローラ122fが回転可能に取り付けられている。
【0051】
第1揺動カム124のハウジング124a及び第2揺動カム126のハウジング126aは、それぞれ内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には軸方向に左ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン124b,126bを形成している。この内部空間は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部124c,126cにて端部が覆われている。また外周面は略三角形状のノーズ124d,126dが突出して形成されている。このノーズ124d,126dの一辺は凹状に湾曲するカム面124e,126eを形成している。
【0052】
これら第1揺動カム124および第2揺動カム126は、軸受部124c,126cを外側にして入力部122の両端から各端面を同軸上で接触させるように配置され、全体が図4に示したごとく内部空間を有する略円柱状となる。
【0053】
入力部122および2つ揺動カム124,126から構成される内部空間には、スライダギア128が配置されている。スライダギア128は略円柱状をなし、外周面中央には右ネジの螺旋状に形成された入力用ヘリカルスプライン128aが形成されている。この入力用ヘリカルスプライン128aの左側端部には小径部128bを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第1出力用ヘリカルスプライン128cが形成されている。又、入力用ヘリカルスプライン128aの右側端部には小径部128dを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第2出力用ヘリカルスプライン128eが形成されている。
【0054】
スライダギア128の内部には中心軸方向に貫通孔が形成されている。そして一方の小径部128dには貫通孔を外周面に開放するための長孔128gが形成されている。この長孔128gは周方向に長く形成されている。
【0055】
スライダギア128の中心にある貫通孔内には支持パイプ130が周方向に摺動可能に配置されている。この支持パイプ130は、図3に示したごとく、すべての仲介駆動機構100に共通の1本が設けられている。なお支持パイプ130にはスライダギア128の各長孔128gに対向する位置に、軸方向に長く形成された長孔130aが設けられている。
【0056】
更に、支持パイプ130内には軸方向に摺動可能にコントロールシャフト132が貫通している。このコントロールシャフト132も支持パイプ130と同様にすべての仲介駆動機構100に共通の1本が設けられている。尚、コントロールシャフト132には各仲介駆動機構100に対応する位置に係止ピン132aが形成されている。この係止ピン132aは、支持パイプ130の軸方向の長孔130aを貫通すると共に、スライダギア128に形成された周方向の長孔128g内にも先端が挿入されている。
【0057】
コントロールシャフト132の係止ピン132aは、支持パイプ130がシリンダヘッド8に対して固定されていても、支持パイプ130に形成された軸方向の長孔130aにより軸方向に移動できる。このためコントロールシャフト132の軸方向移動時には、係止ピン132aが周方向の長孔128gに係合することでスライダギア128を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギア128自体は、周方向の長孔128gにて係止ピン132aに係止していることにより、係止ピン132aにて軸方向の位置は決定されるが、軸周りについては揺動可能となっている。
【0058】
スライダギア128の内で、入力用ヘリカルスプライン128aは入力部122内部のヘリカルスプライン122bに噛み合わされている。また第1出力用ヘリカルスプライン128cは第1揺動カム124内部のヘリカルスプライン124bに噛み合わされ、第2出力用ヘリカルスプライン128eは第2揺動カム126内部のヘリカルスプライン126bに噛み合わされている。
【0059】
このように構成された各仲介駆動機構100は、図3に示したごとく、揺動カム124,126の軸受部124c,126c側にて、シリンダヘッド8に形成された立壁部136,138に挟まれて、軸周りには揺動可能であるが軸方向に移動するのが阻止されている。この立壁部136,138には、軸受部124c,126cの中心孔に対応した位置に孔が形成され、支持パイプ130を貫通させ、かつ固定している。したがって支持パイプ130はシリンダヘッド8に対しては固定されて軸方向に移動したり回転したりすることはない。
【0060】
又、支持パイプ130内のコントロールシャフト132は支持パイプ130内を軸方向に摺動可能に貫通し、一端側にてスライドアクチュエータ112のピストン112bに連結されている。このスライドアクチュエータ112は、ECU64により、アクセルペダル46の操作やエンジン2の運転状態に応じてOCV104を介する油圧制御によりを駆動されている。
【0061】
尚、スライドアクチュエータ112は、ピストン112b、シリンダ112c及びスプリング112dの組み合わせにより構成されている。前述したごとくピストン112bにコントロールシャフト132の一端が取り付けられていることにより、シリンダ112c内にピストン112bを挟んで構成された各油圧室への作動油圧の供給排出をOCV104が実行することで、コントロールシャフト132が軸方向に駆動される。
【0062】
又、スプリング112dはピストン112bを介してコントロールシャフト132を図3において右側へ付勢している。このことにより少なくともエンジン始動時においてコントロールシャフト132に発生しているバルブリフト量を小さくする方向(図示左方向)の軸力に対抗し、始動時にコントロールシャフト132が図示左方向に移動するのを阻止している。このことによりスライドアクチュエータ112に対する作動油圧が不十分な始動時において、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を大きくして、各気筒2aへの吸入空気量を確保する機能を果たしている。
【0063】
OCV104は電磁ソレノイド式4ポート3位置切替弁であり、電磁ソレノイドの消磁状態(以下、「低リフト駆動状態」と称する)では(図3に示した状態)、駆動量が減少する図示左方向にコントロールシャフト132を移動させるようにオイルポンプPから高圧の作動油が供給される。このことにより仲介駆動機構120は吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を小さくするので、吸入空気量は小さくなるように調節される。
【0064】
又、電磁ソレノイドが100%励磁された状態(以下、「高リフト駆動状態」と称する)では、駆動量が増加する図示右方向にコントロールシャフト132を移動させるようにオイルポンプPから高圧の作動油が供給される。このことにより仲介駆動機構120は吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を大きくするので、吸入空気量は大きくなるように調節される。
【0065】
更に電磁ソレノイドへの給電を中程度の状態(以下、「中立状態」と称する)に制御すると、各油圧室の作動油の供給排出は停止し、各油圧室は密封される。このことによりコントロールシャフト132の軸方向移動は停止して吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が維持される。
【0066】
各仲介駆動機構100の入力部122に設けられているローラ122fは、図2に示したごとく吸気カム50に接触している。このため各仲介駆動機構100の入力部122は、吸気カム50のカム面のプロフィールに応じて支持パイプ130の軸周りで揺動する。尚、ローラ122fを支持しているアーム122c,122dにはローラ122fを吸気カム50方向へ付勢する圧縮状スプリング122gがシリンダヘッド8との間に設けられている。このため、ローラ122fは常に吸気カム50のカム面に接触している。
【0067】
一方、揺動カム124,126は、それぞれベース円部分(ノーズ124d,126dを除いた部分)で2つのローラロッカーアーム52の各中央に設けられた各ローラ52aに接触している。このローラロッカーアーム52は、シリンダヘッド8の中央側の基端部52cでアジャスタ52bにて揺動可能に支持され、シリンダヘッド8の外側の先端部52dにて各吸気バルブ12a,12bのステムエンド12cにそれぞれ接触している。
【0068】
上述した構成により、運転者がアクセルペダル46の踏み込み量を調節すると、ECU64に対してアクセル開度センサ46aから出力されるアクセル開度ACCPが変化する。ECU64は、アクセル開度ACCPに応じてOCV104を介してスライドアクチュエータ112を駆動し、コントロールシャフト132によりスライダギア128を軸方向へ移動させる。このことにより入力部122のローラ122fと揺動カム124,126のノーズ124d,126dとの位相差が調節される。すなわち、運転者はアクセルペダル46の踏み込み状態により、図6,7に示すごとく吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を連続的に可変とすることができる。尚、図6,7では第2揺動カム126が吸気バルブ12aを駆動する状態を示しているが、第1揺動カム124が吸気バルブ12bを駆動する状態についても同じである。
【0069】
ここで図6はアクセルペダル46を踏み込んでいない状態、すなわち踏み込み量「0」の場合を示している。図6(A)は吸気行程以外の行程状態にあり、吸気カム50のベース円部分(ノーズ50aを除いた部分)が、仲介駆動機構100における入力部122のローラ122fに接触している。この時、揺動カム124,126のノーズ124d,126dはローラロッカーアーム52のローラ52aには接触しておらず、ノーズ124d,126dから離れたベース円部分がローラ52aに接触している。このため吸気バルブ12a,12bは閉弁状態にある。
【0070】
吸気行程となり吸気カムシャフト48の回転により吸気カム50のノーズ50aが入力部122のローラ122fを押し下げる。すると、仲介駆動機構100内では入力部122からスライダギア128を介して揺動カム124,126に揺動が伝達されて、揺動カム124,126はノーズ124d,126dを押し下げるように揺動する。
【0071】
上述したごとく図6(A)の状態では、ローラロッカーアーム52のローラ52aは、ノーズ124d,126dからかなり離れた揺動カム124,126のベース円部分に接触している。このため揺動カム124,126が揺動を開始しても、しばらくはローラロッカーアーム52のローラ52aはノーズ124d,126dに設けられた湾曲状のカム面124e,126eに接触することなくベース円部分に接触した状態を継続する。その後、湾曲状のカム面124e,126eがローラ52aに接触を開始して、図6(B)に示すごとくローラロッカーアーム52のローラ52aを押し下げる。このことにより、ローラロッカーアーム52は基端部52cを中心に揺動する。しかしローラロッカーアーム52のローラ52aが当初、ノーズ124d,126dから離れている分、カム面124e,126eの使用範囲は少ない。このためローラロッカーアーム52の揺動角度は小さく、ローラロッカーアーム52の先端部52dによるステムエンド12cの押し下げ量、すなわちバルブリフト量はかなり少ない。こうして吸気バルブ12a,12bは最低限のバルブリフト量にて吸気ポート14a,14bを開放状態にする。
【0072】
図7はアクセルペダル46を最大に踏み込んでいる状態、すなわち踏み込み量が最大値の場合を示している。図7(A)は吸気行程以外の行程状態にあり、吸気カム50のベース円部分(ノーズ50aを除いた部分)が、仲介駆動機構100における入力部122のローラ122fに接触している。この時、揺動カム124,126のノーズ124d,126dはローラロッカーアーム52のローラ52aには接触しておらず、ノーズ124d,126dに隣接したベース円部分がローラ52aに接触している。このため吸気バルブ12a,12bは閉弁状態にある。
【0073】
吸気行程となって吸気カムシャフト48の回転により吸気カム50のノーズ50aが入力部122のローラ122fを押し下げると、仲介駆動機構100内では入力部122からスライダギア128を介して揺動カム124,126に揺動が伝達される。このことにより揺動カム124,126はノーズ124d,126dを押し下げるように揺動する。この揺動開始時にノーズ124d,126dに設けられた湾曲状のカム面124e,126eが直ちにローラロッカーアーム52のローラ52aに接触する。したがって図7(B)に示すごとく、カム面124e,126eのほぼ全範囲を使用してローラロッカーアーム52のローラ52aを押し下げる。このことによりローラロッカーアーム52は基端部52c側を中心に大きく揺動し、ローラロッカーアーム52の先端部52dは大きくステムエンド12cを押し下げる。こうして吸気バルブ12a,12bは最大のバルブリフト量にて吸気ポート14a,14bを開放状態にする。
【0074】
このようにして運転者によるアクセルペダル46の操作時に図8のグラフに示す最小と最大とのバルブリフト量の間で吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が無段階に連続的に調節される。尚、アクセル開度ACCPとバルブリフト量との対応は成層燃焼モード時と均質燃焼モード時とで切り換えられる。又、このバルブリフト量の無段階連続調節は、運転者によるアクセルペダル46の操作時以外にも、アイドル回転数制御時の吸気量制御時等においても実行される。
【0075】
次に上述のごとく吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が無段階に連続的に調節されている状態においてECU64にて行われる回転変動判別処理について説明する。
【0076】
回転変動判別処理について図9〜17のフローチャートにて説明する。各処理は実行が開始されると、終了設定まで短時間周期で繰り返し実行される処理である。
【0077】
ECU64の起動により、まず回転変動判別処理A(図9)が開始される。回転変動判別処理A(図9)では、まず現在の吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量inliftが安定状態にて基準バルブリフト量LIFTL未満か否かが判定される(S102)。現在のバルブリフト量inliftは、シャフト位置センサ112aにより検出されたシャフト位置Spに基づいて図18に示すマップから算出されるものである。基準バルブリフト量LIFTLは、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量の基準範囲の上限を設定するための値である。この基準バルブリフト量LIFTLの大きさは、デポジットの堆積が回転変動を明確に生じさせる基準範囲を規定できるように、予め実験により定められている。ここで安定状態とはバルブリフト量inliftが急激に変化している時でなく、バルブリフト量inliftの変化が緩慢あるいはバルブリフト量inliftが一定であり、以下に述べる回転変動判別処理にて回転変動判別が安定した状態で実行できる状態を示している。
【0078】
ステップS102の判定にて、inlift≧LIFTLであったり、安定状態でなかった場合は(S102で「NO」)、デポジット堆積を判定する運転状態にないとして、このまま一旦本処理を終了する。
【0079】
一方、安定状態であってinlift<LIFTLである場合には(S102で「YES」)、次に気筒番号カウンタnに「1」を設定する(S104)。そして気筒番号カウンタnが「4」を越えているか否かが判定される(S106)。ここで最初はn=1であることから(S106で「NO」)、回転変動反映値dlt[n]が回転変動判定値THLVLを越えているか否かが判定される(S108)。
【0080】
回転変動反映値dlt[n]は、第n気筒の回転変動反映値を示し、エンジン2は4気筒であるので、後述するごとくECU64により別途算出されている#1〜#4回転変動反映値dln[1]〜dlt[4]の内のいずれかである。尚、最初は「n=1」であるので、#1回転変動反映値dln[1]を表す。
【0081】
又、回転変動判定値THLVLは、前述した#1〜#4回転変動反映値dln[1]〜dlt[4]の値に基づいて、該当気筒において回転変動が生じていることを判定するための判定値である。
【0082】
回転変動反映値dln[1]〜dln[4]の算出について説明する。エンジン2は、第1気筒(以下「#1気筒」で表す)→第3気筒(以下「#3気筒」で表す)→第4気筒(以下「#4気筒」で表す)→第2気筒(以下「#2気筒」で表す)の順番で点火される。そしてECU64にては、点火ATDC(ここでは#1気筒の点火ATDCを表す)0°CA(クランク角)〜30°CA、180°CA〜210°CA、360°CA〜390°CA、540°CA〜570°CAの各30°CAをクランク軸が回転するに要した時間が測定されている。
【0083】
このように測定されている30°CA回転時間に基づいて、#1回転変動反映値dln[1]は、点火ATDC180°CA〜210°CAまで回転するに要した時間から、点火ATDC0°CA〜30°CAまで回転するに要した時間を差し引いた値として繰り返し設定されている。同様にして#2回転変動反映値dln[2]は、点火ATDC0°CA〜30°CAまで回転するに要した時間から、点火ATDC540°CA〜570°CAまで回転するに要した時間を差し引いた値として繰り返し設定されている。#3回転変動反映値dln[3]は、点火ATDC360°CA〜390°CAまで回転するに要した時間から、点火ATDC180°CA〜210°CAまで回転するに要した時間を差し引いた値として繰り返し設定されている。#4回転変動反映値dln[4]は、点火ATDC540°CA〜570°CAまで回転するに要した時間から、点火ATDC360°CA〜390°CAまで回転するに要した時間を差し引いた値として繰り返し設定されている。
【0084】
回転変動判別処理A(図9)のステップS108では、最初はn=1であることから#1回転変動反映値dlt[1]が回転変動判定値THLVLを越えているか否かが判定されることになる。dlt[n]≦THLVLであれば(S108で「NO」)、回転変動が生じていないとして、低リフト時判定フラグextdepo[n]は「OFF」に設定される(S110)。
【0085】
一方、#1気筒の吸気バルブ12a,12bあるいは吸気ポート14a,14bにデポジットが堆積することで、低バルブリフト時(inlift<LIFTL)に他の気筒に比較して#1気筒に対する吸入空気量が低下した場合を考える。この場合には、#1気筒での燃焼状態は、点火ATDC0°CA〜30°CAまで回転するに要した時間よりも、その後の点火ATDC180°CA〜210°CAまで回転するに要した時間に大きく反映する。すなわち点火ATDC180°CA〜210°CAまで回転するに要した時間は、より長い時間となり、dlt[n]>THLVLとなる(S108で「YES」)。このため回転変動が生じているとして、低リフト時判定フラグextdepo[n]は「ON」に設定される(S112)。
【0086】
ステップS110又はステップS112の処理が終了すると、次に気筒番号カウンタnがインクリメントされる(S114)。すなわち「n=2」となる。そして再度、「n>4」か否かが判定される(S106)。
【0087】
ここで「n=2」となっているので(S106で「NO」)、再度、#2気筒についてdlt[2]>THLVLとなっていれば(S108で「YES」)、extdepo[2]=「ON」と設定される(S112)。又、dlt[2]≦THLVLとなっていれば(S108で「NO」)、extdepo[2]=「OFF」と設定される(S110)。
【0088】
そして次に気筒番号カウンタnのインクリメントにより(S114)、「n=3」となる。したがって、再度、#3気筒についてdlt[3]>THLVLであれば(S108で「YES」)、extdepo[3]=「ON」と設定し(S112)、dlt[3]≦THLVLであれば(S108で「NO」)、extdepo[3]=「OFF」と設定される(S110)。
【0089】
そして次に気筒番号カウンタnのインクリメントにより(S114)、「n=4」となるので、再度、#4気筒についても、前述したごとく、dlt[4]の判定により(S108)、extdepo[4]=「ON」(S112)、又はextdepo[4]=「OFF」(S110)に設定される。
【0090】
そして気筒番号カウンタnのインクリメントにより(S114)、「n=5」となるので(S106で「YES」)、図10に示す回転変動判別処理Bの開始設定がなされ、本回転変動判別処理A(図9)の終了設定がなされる(S116)。こうして本回転変動判別処理A(図9)は終了し、代わりに回転変動判別処理B(図10)が開始される。
【0091】
回転変動判別処理B(図10)について説明する。本処理が開始されると、まず前記ステップS116(図9)にて開始設定されてから最初の処理か否かが判定される(S202)。最初であれば(S202で「YES」)、現在のバルブリフト量inliftをバルブリフト量保持値inliftoに格納する(S204)。次に現在のスロットル開度TAの目標値tangltをスロットル開度保持値tangltoに格納する(S206)。そして図11に示すバルブリフト量漸増処理の開始設定を行う(S208)。こうして一旦本処理を終了する。
【0092】
次の制御周期では、最初ではないので(S202で「NO」)、次にバルブリフト量漸増処理(図11)の処理が完了したか否かが判定される(S210)。バルブリフト量漸増処理(図11)の処理が完了しない限り(S210で「NO」)、回転変動判別処理B(図10)にては実質的な処理は実行されない。
【0093】
ここでステップS208にて実行開始されるバルブリフト量漸増処理(図11)について説明する。本処理が開始されると、まずステップS208にて開始設定されてから最初の処理か否かが判定される(S302)。最初であれば(S302で「YES」)、現在の吸入空気量GAが吸入空気量保持値gaoに格納される(S304)。
【0094】
そしてバルブリフト量inliftが、リフトアップ目標値inliftup以上か否かが判定される(S306)。このリフトアップ目標値inliftupは、現在のエンジン回転数NEとエンジン負荷とに基づいてマップから求められている吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を増大するための目標値である。このリフトアップ目標値inliftupのマップ値は、回転変動へのデポジットの影響がほとんど無視できる程度のバルブリフト量inliftとなるように、予め実験により設定されている。尚、エンジン負荷は例えばアクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとに基づいてマップから算出される。
【0095】
ここで当初はinlift<inliftupであるので(S306で「NO」)、次式1に示すごとくバルブリフト量inliftが漸増される(S308)。
【0096】
【数1】
inlift ← inlift + DLLIFT … [式1]
ここで吸気バルブリフトアップ量DLLIFTは、バルブリフト量inliftをステップS308の実行毎に漸増させるための増加幅を表す値である。尚、実際には前記式1にて算出された新たなバルブリフト量inliftとなるように、OCV104が駆動されることで、ステップS308の実行毎に吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量inliftは吸気バルブリフトアップ量DLLIFTずつ漸増することになる。こうして一旦本処理を終了する。
【0097】
次の制御周期では、最初ではないので(S302で「NO」)、現在の吸入空気量GAが吸入空気量保持値gaoより大きいか否かが判定される(S312)。前回の制御周期にてバルブリフト量inliftが漸増されているので、GA>gaoとなっていることから(S312にて「YES」)、次に次式2に示すごとく、スロットル開度目標値tangltが漸減される(S314)。
【0098】
【数2】
tanglt ← tanglt − DTA … [式2]
ここでスロットルバルブ開度ダウン量DTAは、ステップS314の実行毎にスロットル開度目標値tangltを漸減させるための減少幅を表す値である。このことで前記式2にて算出された新たなスロットル開度目標値tangltとなるように、スロットルモータ44bが駆動されることで、ステップS314の実行毎にスロットル開度TAはスロットルバルブ開度ダウン量DTAずつ漸減することになる。こうして一旦本処理を終了する。
【0099】
次の制御周期では、ステップS302にて「NO」と判定された後、GA>gaoの状態が継続していれば(S312にて「YES」)、前記式2によるスロットル開度目標値tangltの漸減処理(S314)が繰り返される。
【0100】
一旦、バルブリフト量inliftが大きくされたことで増加した吸入空気量GAが、スロットル開度目標値tangltの漸減処理(S314)が繰り返されることにより吸入空気量保持値gao以下となると(S312で「NO」)、次にinlift≧inliftupか否かが判定される(S306)。この時もinlift<inliftupであれば(S306で「NO」)、前記式1のごとくバルブリフト量inliftが漸増されて(S308)、本処理を一旦終了する。
【0101】
したがって再度漸増したバルブリフト量inliftに対して、前述したごとくGA≦gao(S312で「NO」)となるまで、スロットル開度TAが小さくされる処理(S314)が繰り返される。そして、GA≦gao(S312で「NO」)となった時点で、まだinlift<inliftupであれば(S306で「NO」)、バルブリフト量inliftが漸増されて(S308)、前述した処理が繰り返される。
【0102】
そしてGA≦gao(S312で「NO」)となった時点でinlift≧inliftupとなっていれば(S306で「YES」)、本バルブリフト量漸増処理(図11)の終了設定がなされて(S310)、終了する。
【0103】
このようにバルブリフト量漸増処理(図11)が完了することにより前記回転変動判別処理B(図10)においては、ステップS210にて「YES」と判定されるようになる。したがって次に気筒番号カウンタnに「1」を設定する(S212)。そして気筒番号カウンタnが「4」を越えているか否かが判定される(S214)。ここで最初はn=1であることから(S214で「NO」)、まず前記回転変動判別処理A(図9)にて設定した低リフト時判定フラグextdepo[n]が「ON」か否かが判定される(S216)。
【0104】
extdepo[n]=「OFF」であれば(S216で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして、n≦4であれば(S214で「NO」)、再度、extdepo[n]=「ON」か否かが判定される(S216)。
【0105】
以後、extdepo[2]、extdepo[3]、extdepo[4]が全て「OFF」であれば、ステップS228にてn=5にインクリメントされた後、ステップS214にて「YES」と判定される。そして図12に示す回転変動判別処理Cの開始が設定され本回転変動判別処理B(図10)の終了が設定されて(S230)、終了する。
【0106】
一方、extdepo[n]=「ON」であれば(S216で「YES」)、次に前述したバルブリフト量漸増処理(図11)によりリフトアップ目標値inliftup以上となったバルブリフト状態での回転変動反映値dlt[n]が回転変動判定値THLVLを越えているか否かが判定される(S218)。
【0107】
dlt[n]≦THLVLであれば(S218で「NO」)、デポジット付着フラグexdepo[n]に「ON」を設定する(S226)。すなわち低リフト時判定フラグextdepo[n]=「ON」であるにもかかわらず、高リフト時の回転変動反映値dlt[n]が回転変動判定値THLVL以下となっている。このため、燃料噴射弁20における燃料噴射誤差ではなく、吸気バルブ12a,12bや吸気ポート14a,14bにデポジットが堆積していることが判明するので、exdepo[n]=「ON」と設定する。
【0108】
一方、dlt[n]>THLVLであれば(S218で「YES」)、低リフト時判定フラグextdepo[n]を「OFF」に設定し(S220)、デポジット付着フラグexdepo[n]に「OFF」を設定する(S222)。そして、燃料起因回転変動フラグexinj[n]に「ON」を設定する(S224)。
【0109】
ステップS226又はステップS224の次には、気筒番号カウンタnがインクリメントされて、n≦4である限り(S214で「NO」)、前述した処理が繰り返される。そしてステップS228にてn=5にインクリメントされた後、ステップS214にて「YES」と判定されると、図12に示す回転変動判別処理Cの開始が設定され本回転変動判別処理B(図10)の終了が設定されて(S230)、終了する。
【0110】
回転変動判別処理C(図12)について説明する。本処理が開始されると、まず最初か否かが判定される(S402)。最初であれば(S402で「YES」)、図13に示すバルブリフト量復帰処理の開始設定がなされて(S404)、一旦本処理を終了する。
【0111】
次の制御周期では、最初ではないので(S402で「NO」)、次にバルブリフト量復帰処理(図13)の処理が完了したか否かが判定される(S406)。バルブリフト量復帰処理(図13)の処理が完了しない限り(S406で「NO」)、回転変動判別処理C(図12)にては実質的な処理は実行されない。
【0112】
ここでステップS404にて実行開始されるバルブリフト量復帰処理(図13)について説明する。本処理が開始されると、まずステップS404にて開始設定されてから最初の処理か否かが判定される(S502)。最初であれば(S502で「YES」)、現在の吸入空気量GAが吸入空気量保持値gaoに格納される(S504)。
【0113】
そしてバルブリフト量inliftが、バルブリフト量保持値inlifto以下か否かが判定される(S506)。このバルブリフト量保持値inliftoは、回転変動判別処理B(図10)のステップS204にてバルブリフト量漸増直前に記憶されたバルブリフト量である。
【0114】
ここで当初はinlift>inliftoであるので(S506で「NO」)、次式3に示すごとくバルブリフト量inliftが漸減される(S508)。
【0115】
【数3】
inlift ← inlift − DLLIFT … [式3]
ここで値DLLIFTは、前記バルブリフト量漸増処理(図11)のステップS308にてバルブリフト量inliftを漸増させるために用いられた吸気バルブリフトアップ量DLLIFTと同じである。尚、吸気バルブリフトアップ量DLLIFTと異なる値を用いてバルブリフト量inliftを漸減しても良い。
【0116】
このことにより前記式3にて算出された新たなバルブリフト量inliftとなるように、OCV104が駆動されることで、ステップS508の実行毎にバルブリフト量inliftは値DLLIFTずつ減少することになる。こうして一旦本処理を終了する。
【0117】
次の制御周期では、最初でないので(S502で「NO」)、現在の吸入空気量GAが吸入空気量保持値gao未満か否かが判定される(S516)。前回の制御周期にてバルブリフト量inliftが漸減されているので、GA<gaoとなっていることから(S516にて「YES」)、次に次式4に示すごとく、スロットル開度目標値tangltが漸増される(S518)。
【0118】
【数4】
tanglt ← tanglt + DTA … [式4]
ここで値DTAは、前記バルブリフト量漸増処理(図11)のステップS314のスロットルバルブ開度ダウン量DTAと同じ値である。尚、スロットルバルブ開度ダウン量DTAとは異なる値を用いても良い。
【0119】
このことで前記式4にて算出された新たなスロットル開度目標値tangltとなるように、スロットルモータ44bが駆動されることで、ステップS518の実行毎にスロットル開度TAは値DTAずつ増加することになる。こうして一旦本処理を終了する。
【0120】
次の制御周期では、ステップS502にて「NO」と判定された後、GA<gaoの状態が継続していれば(S516にて「YES」)、前記式4によるスロットル開度目標値tangltの漸増処理(S518)が繰り返される。
【0121】
制御周期毎にスロットル開度目標値tangltの漸増処理(S518)が繰り返されることにより、一旦、バルブリフト量inliftが小さくされたことにより減少した吸入空気量GAが吸入空気量保持値gao以上となる(S516で「NO」)。すると次にinlift≦inliftoか否かが判定される(S506)。ここで、まだinlift>inliftoであれば(S506で「NO」)、前記式3のごとくバルブリフト量inliftが漸減されて(S508)、本処理を一旦終了する。
【0122】
したがって再度漸減したバルブリフト量inliftに対して、前述したごとくGA≧gao(S516で「NO」)となるまで、スロットル開度TAが大きくされる処理(S518)が繰り返される。そして、GA≧gao(S516で「NO」)となった時点で、まだinlift>inliftoであれば(S506で「NO」)、バルブリフト量inliftが漸減されて(S508)、前述した処理が繰り返される。
【0123】
そしてGA≧gao(S516で「NO」)となった時点でinlift≦inliftoとなっていれば(S506で「YES」)、バルブリフト量inliftにはバルブリフト量保持値inliftoが設定される(S510)。そしてスロットル開度目標値tangltにはスロットル開度保持値tangltoが設定される(S512)。そして本バルブリフト量復帰処理(図13)の終了設定がなされて(S514)、終了する。
【0124】
このことにより回転変動判別処理C(図12)においては、ステップS406にて「YES」と判定されるようになる。そして次に4気筒の全てのデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]が「OFF」か否かが判定される(S408)。
【0125】
ここでデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]が全て「OFF」であれば(S408で「YES」)、次に4気筒の全ての燃料起因回転変動フラグexinj[1]〜exinj[4]が「OFF」か否かが判定される(S410)。
【0126】
燃料起因回転変動フラグexinj[1]〜exinj[4]が全て「OFF」であれば(S410で「YES」)、前述した回転変動判別処理A(図9)の開始設定がなされ本回転変動判別処理C(図12)の終了設定がなされる(S420)。こうして回転変動判別処理C(図12)が終了し、回転変動判別処理A(図9)の処理が再開されて、最初の状態に戻ることになる。
【0127】
一方、デポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]の1つでも「ON」であれば(S408で「NO」)、デポジット付着状態であると判定できるので、回転変動判別処理C(図12)の開始後、デポジット除去処理が未実行であるか否かが判定される(S413)。最初は未実行であることから(S413で「YES」)、デポジット除去処理の実行開始が設定される(S414)。
【0128】
このデポジット除去処理はECU64により次のように行われる。すなわち燃料噴射時期を一時的に吸気行程の終期に設定する。この吸気行程の終期は、ピストン6がBDCに一旦降下してから上昇し始めた状態となるタイミングであり、吸気バルブ12a,12bの閉弁直前のタイミングにて燃料が噴射されることになる。このことにより各燃焼室10内を流動する混合気の一部が、いまだ開放している吸気バルブ12a,12bと吸気ポート14a,14bとの間隙に吹き返し、そして反転して燃焼室10に押し戻されるように流動することになる。このような混合気の流れにより、吸気バルブ12a,12bや吸気ポート14a,14bに付着しているデポジットが洗浄されて除去される。このような燃料噴射タイミングの変更が、予め決められたエンジン累積回転数のカウント完了まで実行されと、デポジット除去処理は完了し、通常時の燃料噴射時期に戻される。
【0129】
ステップS414にてデポジット除去処理が開始設定されれば、次にデポジット除去処理が完了したか否かが判定される(S416)。デポジット除去処理が完了していなければ(S416で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0130】
そして以後の制御周期では、デポジット除去処理が完了しない限り、ステップS402で「NO」、ステップS406で「YES」、ステップS408で「NO」と判定された後、デポジット除去処理実行中であるので(S413で「NO」、S416で「NO」)、このまま一旦本処理を終了することになる。
【0131】
そしてデポジット除去処理が完了すると(S416で「YES」)、次に4気筒全てのデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]に「OFF」を設定する(S418)。
【0132】
次に前述した回転変動判別処理A(図9)の開始設定がなされ本回転変動判別処理C(図12)の終了設定がなされる(S420)。こうして回転変動判別処理C(図12)を終了すると、回転変動判別処理A(図9)の処理が再開されて元の状態に戻る。
【0133】
一方、デポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]は全て「OFF」であるが(S408で「YES」)、燃料起因回転変動フラグexinj[1]〜exinj[4]の1つでも「ON」が存在した場合には(S410で「NO」)、ステップS412の処理が行われる。ステップS412では、図14に示す回転変動判別処理Dが開始設定され、本回転変動判別処理C(図12)が終了設定される。
【0134】
次に回転変動判別処理D(図14)について説明する。まず最初か否かが判定される(S602)。最初であれば(S602で「YES」)、気筒番号カウンタnに「1」が設定される(S604)。
【0135】
そして燃料起因回転変動フラグexinj[n]が「ON」か否かが判定される(S606)。exinj[n]=「OFF」であれば(S606で「NO」)、気筒番号カウンタn=4か否かが判定される(S624)。そして「n≠4」であれば(S624で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして(S626)、一旦本処理を終了する。
【0136】
一方、exinj[n]=「ON」であれば(S606で「YES」)、#n気筒の燃料噴射量qcal[n]が回転変動判別処理Dにおいて未増加であるか否かが判定される(S608)。最初は未増加であるので(S608で「YES」)、回転変動反映値dlt[n]を変動保持値odlt[n]に設定する(S610)。そして#n気筒の燃料噴射量qcal[n]を次式5に示すごとく一時的に増加させる(S612)。
【0137】
【数5】
qcal[n] ← qcal[n] + DQ1 … [式5]
第1燃料噴射増減量DQ1は燃料噴射に起因した燃焼状態判定用に設定されている燃料噴射量増減量である。
【0138】
次に新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されたか否かが判定される(S614)。未だ算出されていなければ(S614で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0139】
次の制御周期では、ステップS602で「NO」、ステップS606で「YES」、そしてステップS608では、既に#n気筒の燃料噴射量qcal[n]は増加されたので「NO」と判定されて、ステップS614の判定がなされる。しかし新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されていない間は(S614で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0140】
そして新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されると(S614で「YES」)、次にこの回転変動反映値dlt[n]が変動保持値odlt[n]より小さいか否かが判定される(S616)。
【0141】
odlt[n]>dlt[n]であれば(S616で「YES」)、#n気筒の燃料噴射弁20は、指令よりも少ない燃料を噴射するリーン異常であるとしてリーン異常フラグexinjlean[n]に「ON」を設定する(S618)。
【0142】
一方、odlt[n]≦dlt[n]であれば(S616で「NO」)、#n気筒の燃料噴射弁20はリーン異常ではないとしてリーン異常フラグexinjlean[n]に「OFF」を設定する(S620)。
【0143】
ステップS618又はステップS620の次には、次式6により#n気筒の燃料噴射量qcal[n]を元に戻す(S622)。
【0144】
【数6】
qcal[n] ← qcal[n] − DQ1 … [式6]
そして気筒番号カウンタn=4か否かが判定される(S624)。ここで「n<4」であれば(S624で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして(S626)、一旦本処理を終了する。
【0145】
そして次の制御周期では、新たな気筒に対する判別処理が、上述したごとく実行される。
このことにより#1〜#4までの全ての気筒について上述した処理が実行されるとn=4となるので(S624で「YES」)、図15,16,17に示す回転変動判別処理Eが開始設定され、本回転変動判別処理D(図14)が終了設定される(S628)。こうして本処理を終了する。
【0146】
次に回転変動判別処理E(図15,16,17)について説明する。本処理が開始されると、まず最初か否かが判定される(S702)。最初であれば(S702で「YES」)、気筒番号カウンタnに「1」が設定される(S704)。
【0147】
そして燃料起因回転変動フラグexinj[n]が「ON」か否かが判定される(S706)。exinj[n]=「OFF」であれば(S706で「NO」)、気筒番号カウンタn=4か否かが判定される(S724)。そして「n≠4」であれば(S724で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして(S726)、一旦本処理を終了する。
【0148】
一方、exinj[n]=「ON」であれば(S706で「YES」)、リーン異常フラグexinjlean[n]が「OFF」か否かが判定される(S708)。ここでexinjlean[n]が「OFF」であれば(S708で「YES」)、#n気筒の燃料噴射弁20は、指令よりも燃料噴射量が過剰なリッチ異常であると判定されるので、次に#n気筒の燃料噴射量qcal[n]が回転変動判別処理Eにおいて未減少か否かが判定される(S709)。最初は未減少であるので(S709で「YES」)、回転変動反映値dlt[n]を変動保持値odlt[n]に設定する(S710)。そして#nの燃料噴射量qcal[n]を次式7に示すごとく減少させる(S712)。
【0149】
【数7】
qcal[n] ← qcal[n] − DQ2 … [式7]
第2燃料噴射増減量DQ2は、リッチ異常である#n気筒の燃料噴射量を抑制するために設定された燃料噴射量減量補正値であり、第1燃料噴射増減量DQ1に対しては、DQ2<DQ1の関係にある。
【0150】
そして新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されたか否かが判定される(S714)。未だ算出されていなければ(S714で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0151】
次の制御周期では、ステップS702で「NO」、ステップS706で「YES」、ステップS708で「YES」、そしてステップS709では、既に#n気筒の燃料噴射量qcal[n]は減少されたので「NO」と判定されて、ステップS714の判定がなされる。しかし新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されていない間は(S714で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0152】
そして新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されると(S714で「YES」)、次にこの回転変動反映値dlt[n]が変動保持値odlt[n]より小さいか否かが判定される(S716)。
【0153】
odlt[n]>dlt[n]であれば(S716で「YES」)、次に回転変動反映値dlt[n]が燃料補正用回転変動レベルTLLVL以下か否かが判定される(S718)。ここで燃料補正用回転変動レベルTLLVLは、燃料減量補正により回転変動が低下したことを判定するためのレベルである。
【0154】
dlt[n]>TLLVLであれば(S718で「NO」)、qcal[n]の減少完了フラグを「OFF」にして(S719)、すなわち前記ステップS709にて「YES」と判定されるようにして、本処理を一旦終了する。
【0155】
次の制御周期では、ステップS702で「NO」、ステップS706で「YES」、ステップS708で「YES」、そしてステップS709では、直前の制御周期のステップS719にて#n気筒の燃料噴射量qcal[n]は未減少状態と判定されるように設定されたので、「YES」と判定される。したがって新たに回転変動反映値dlt[n]を変動保持値odlt[n]に設定し(S710)、#nの燃料噴射量qcal[n]を前記式7に示したごとく減少させる(S712)。
【0156】
そして次に新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されていなければ(S714で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0157】
新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されると(S714で「YES」)、前述したodlt[n]>dlt[n]か否かの判定(S716)が行われ、「YES」であればdlt[n]≦TLLVLの判定(S718)が行われる。そして再度dlt[n]>TLLVLであれば(S718で「NO」)、前記ステップS709にて「YES」と判定されるようにして(S719)、本処理を一旦終了する。
【0158】
以後、ステップS716にて「NO」又はステップS718にて「YES」と判定されるまで、燃料噴射量qcal[n]を第2燃料噴射増減量DQ2分ずつ減少する処理(S712)が繰り返される。
【0159】
この結果、回転変動が逆転あるいは変化しなくなってodlt[n]≦dlt[n]となると(S716で「NO」)、燃料噴射量qcal[n]が次式8に示すごとく、第2燃料噴射増減量DQ2分、1回増加されて値が戻される(S720)。
【0160】
【数8】
qcal[n] ← qcal[n] + DQ2 … [式8]
そして燃料起因回転変動フラグexinj[n]に「OFF」が設定される(S722)。
【0161】
又、dlt[n]≦TLLVLとなった場合には(S718で「YES」)、直ちに燃料起因回転変動フラグexinj[n]に「OFF」が設定される(S722)。
【0162】
そして、n=4か否かが判定される(S724)。ここで、まだn<4であれば(S724で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして(S726)、一旦本処理を終了する。
【0163】
このようにして燃料噴射量qcal[n]が減少された場合には、該当する#n気筒の燃料噴射弁20における、以後の燃料噴射においては、基準燃料量に対して、前記減少分の補正がなされるようになる。
【0164】
一方、exinjlean[n]=「ON」の場合(S708で「NO」)を説明する。この場合には、#n気筒の燃料噴射量qcal[n]が回転変動判別処理Eにおいて未増加か否かが判定される(S729)。
【0165】
最初は未増加であるので(S729で「YES」)、回転変動反映値dlt[n]を変動保持値odlt[n]に設定する(S730)。そして#n気筒の燃料噴射量qcal[n]を次式9に示すごとく増加させる(S732)。
【0166】
【数9】
qcal[n] ← qcal[n] + DQ2 … [式9]
第2燃料噴射増減量DQ2は、前記式7と同じものを用いているが、ここではリーン異常の#n気筒について燃料噴射量を増加するために用いている。DQ2<DQ1であれば前記式7とは異なる値でも良い。
【0167】
そして新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されたか否かが判定される(S734)。未だ算出されていなければ(S734で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0168】
次の制御周期では、ステップS702で「NO」、ステップS706で「YES」、ステップS708で「NO」、そしてステップS729では、既に#nの燃料噴射量qcal[n]は増加されたので「NO」と判定されて、ステップS734の判定がなされる。しかし、新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されていない間は(S734で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0169】
そして新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されると(S734で「YES」)、次にこの回転変動反映値dlt[n]が変動保持値odlt[n]より小さいか否かが判定される(S736)。
【0170】
odlt[n]>dlt[n]であれば(S736で「YES」)、次に回転変動反映値dlt[n]が燃料補正用回転変動レベルTLLVL以下か否かが判定される(S738)。ここで燃料補正用回転変動レベルTLLVLは、前記ステップS718と同様に用いられるものであり、ステップS718と同一の値を用いても良いし、異なる値を用いても良い。
【0171】
dlt[n]>TLLVLであれば(S738で「NO」)、qcal[n]の増加完了フラグを「OFF」にして(S739)、すなわち前記ステップS729にて「YES」と判定されるようにして、本処理を一旦終了する。
【0172】
次の制御周期では、ステップS702で「NO」、ステップS706で「YES」、ステップS708で「NO」、そしてステップS729では、直前の制御周期のステップS739にて#n気筒の燃料噴射量qcal[n]は未増加状態と判定されるように設定されたので「YES」と判定される。したがって新たに、回転変動反映値dlt[n]を変動保持値odlt[n]に設定し(S730)、#n気筒の燃料噴射量qcal[n]を前記式9に示したごとく増加させる(S732)。
【0173】
そして次に新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されていなければ(S734で「NO」)、一旦本処理を終了する。
【0174】
新たな燃料噴射量qcal[n]での燃焼による回転変動反映値dlt[n]が算出されると(S734で「YES」)、前述したodlt[n]>dlt[n]か否かの判定(S736)が行われ、「YES」であればdlt[n]≦TLLVLの判定(S738)が行われる。そして再度dlt[n]>TLLVLであれば(S738で「NO」)、前記ステップS729にて「YES」と判定されるようにして(S739)、本処理を一旦終了する。
【0175】
以後、ステップS736にて「NO」又はステップS738にて「YES」と判定されるまで、燃料噴射量qcal[n]を第2燃料噴射増減量DQ2分ずつ増加する処理(S732)が繰り返される。
【0176】
この結果、回転変動が逆転あるいは変化しなくなってodlt[n]≦dlt[n]となると(S736で「NO」)、燃料噴射量qcal[n]が次式10に示すごとく、第2燃料噴射増減量DQ2分、1回減少されて値が戻される(S740)。
【0177】
【数10】
qcal[n] ← qcal[n] − DQ2 … [式10]
そして燃料起因回転変動フラグexinj[n]に「OFF」が設定される(S722)。
【0178】
又、dlt[n]≦TLLVLとなった場合には(S738で「YES」)、直ちに燃料起因回転変動フラグexinj[n]に「OFF」が設定される(S722)。
【0179】
そして、n=4か否かが判定される(S724)。ここで、まだn<4であれば(S724で「NO」)、気筒番号カウンタnをインクリメントして(S726)、一旦本処理を終了する。
【0180】
次の制御周期以降は、新たな#n気筒について上述した処理が実行される。そして#4気筒の処理が終了して「n=4」となれば(S724で「YES」)、図9にて説明した回転変動判別処理Aが開始設定され、本回転変動判別処理E(図15,16,17)が終了設定される(S728)。こうして本処理を終了する。
【0181】
このようにして燃料噴射量qcal[n]が増加された場合には、該当する#n気筒の燃料噴射弁20における、以後の燃料噴射においては、基準燃料量に対して、前記増加分の補正がなされるようになる。
【0182】
以後、前述したごとく回転変動判別処理A(図9)の処理が再開され、元の状態に戻る。
上述した実施の形態1において、回転変動反映値dlt[1]〜dlt[4]を算出する処理が機関回転変動検出手段としての処理に相当する。回転変動判別処理A〜回転変動判別処理C(図9,10,12)、バルブリフト漸増処理(図11)及びバルブリフト量復帰処理(図13)が機関回転変動判別手段としての処理に相当する。吸気カム50を含む吸気カムシャフト48、仲介駆動機構100及びローラロッカーアーム52からなる可変動弁機構が吸入空気量調節手段に相当する。ステップS414にて実行設定されるデポジット除去処理がデポジット除去手段としての処理に相当する。
【0183】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).吸気バルブ12a,12bと吸気ポート14a,14bとの間を通過する吸入空気流量の気筒間のばらつきは、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が小さい側では、エンジン回転変動要因として大きな割合を占める。しかし、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が大きい側では、エンジン回転変動要因としての割合は小さいものとなる。
【0184】
一方、気筒間の燃料噴射量や霧化のばらつき等の燃料噴射に起因するエンジン回転変動は、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量が小さい側でも大きい側でも回転変動要因として占める割合に大きな差は生じない。
【0185】
このように、吸気バルブ12a,12bと吸気ポート14a,14bとの間を通過する空気流量のばらつきに起因するエンジン回転変動と、燃料噴射に起因するエンジン回転変動とは、吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量の違いに対して異なる挙動を示す。このため前述した回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cの処理により、吸気バルブ12a,12bと吸気ポート14a,14bとの間を通過する吸入空気流量の気筒間のばらつきに起因するエンジン回転変動と、燃料噴射弁20による燃料噴射量や霧化のばらつきに起因するエンジン回転変動とを判別できる。
【0186】
(ロ).本実施の形態では、吸入空気量の調節のために、可変動弁機構により吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量を制御している。回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cでは、この可変動弁機構による吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量変更を利用することで、このバルブリフト量の変更に伴って生じたエンジン2の回転変動変化に基づいて多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0187】
(ハ).回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cの処理は、バルブリフト量が基準範囲(軽負荷の範囲)に存在すると判定された場合(図9:S102で「YES」)に開始されている。
【0188】
このことにより多気筒内燃機関回転変動因子を判別するに適切なバルブリフト量にて判別処理を開始でき、高精度な判別を行うことができる。
(ニ).バルブリフト量が基準範囲に入ると、回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cでは、可変動弁機構を駆動して2種類のバルブリフト量を実現させている。このことで迅速に異なるバルブリフト量が実現でき、各バルブリフト量にてエンジンの回転変動を比較することで、早期に多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0189】
(ホ).回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cの処理では、判別処理のために可変動弁機構を駆動してバルブリフト量を増加変更させた場合には、スロットルバルブ44を閉じ側に変化させることにより、吸入空気量を機関運転の要求量に対応したものとしている。このため多気筒内燃機関回転変動因子を判別するためにバルブリフト量を変更しても、エンジン2の運転状態変更を抑制することができ、高精度に多気筒内燃機関回転変動因子を判別することができる。
【0190】
(ヘ).(イ)に述べたごとくの多気筒内燃機関回転変動因子の判別ができることにより、デポジット付着時にはデポジット除去処理を実行して、燃焼室10内の燃焼前の混合気を吸気ポート14a,14bへ逆流させてデポジットを洗浄させることができる。このことでデポジット付着に起因するエンジン回転変動を解消させることができる。
【0191】
(ト).回転変動判別処理A〜回転変動判別処理Cが終了した後は、燃料噴射状態に誤差がある燃料噴射弁20について、回転変動判別処理D及び回転変動判別処理Eにより、誤差を解消するのに適切な燃料噴射量を求めている。このことにより、以後の燃料噴射においてはリッチ異常の燃料噴射弁20の場合には燃料噴射量を減量させ、リーン異常の燃料噴射弁20の場合には燃料噴射量を増量させるようにしている。
【0192】
したがって燃料噴射弁20間の燃料噴射状態誤差においても適切に補正されることにより、エンジン回転変動を抑制するようにできる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、回転変動判別処理C(図12)の代わりに、図19,20に示す回転変動判別処理Cを実行する。これ以外の構成は前記実施の形態1と同じである。尚、図19,20においては、前記図12と同一の処理については、同一のステップ番号で示している。
【0193】
この回転変動判別処理C(図19,20)が前記図12と異なるのは、4気筒の全てのデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]が「OFF」でなかった場合(S408で「NO」)である。すなわち少なくとも1つのデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]が「ON」であった場合には、図20の処理が実行される点である。
【0194】
図20では、まず今回の回転変動判別処理C(図19,20)の実行設定による最初の処理か否かが判定される(S802)。最初であれば(S802で「YES」)、次に前回のデポジット除去処理実行完了からの経過時間Tcが基準時間Tdp以上か否かが判定される(S804)。
【0195】
ここで基準時間Tdpは再度、デポジットが堆積する最短の時間が設定されている。したがって、ここでTc≧Tdpであれば(S804で「YES」)、再度、デポジットが堆積したためにデポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]の1つ以上が「ON」になったものと考えられる。このため次にデポジット除去回数カウンタCdcに「0」を設定してステップS413のデポジット除去処理未実行か否かの判定に移る。そして次の制御周期ではステップS802で「NO」と判定されるので、直ちにステップS413の処理に移動するようになる。
【0196】
一方、Tc<Tdpであった場合には(S804で「NO」)、直前に行われたデポジット除去処理では、デポジットが除去できなかったか、あるいは可変動弁機構においてリフト誤差が生じたためにデポジット除去処理が機能しなかったと考えられる。このためデポジット除去回数カウンタCdcをインクリメントし(S808)、次にこのデポジット除去回数カウンタCdcがリフト量異常判定値Ceに達したか否かが判定される(S810)。リフト量異常判定値Ceとしては、通常2以上の値が設定されているが、Ce=1としても良い。
【0197】
Cdc<Ceの場合には(S810で「NO」)、ステップS413の処理に移動する。そして次の制御周期ではステップS802で「NO」と判定されるので、直ちにステップS413の処理に移動するようになる。
【0198】
Tc<Tdpの状態で回転変動判別処理C(図19,20)の実行設定が繰り返されることで、デポジット除去回数カウンタCdcが増加し、Cdc=Ceとなった場合には(S810で「YES」)、デポジット除去処理を繰り返してもデポジットが除去できないことを示している。このためデポジット付着ではなく、可変動弁機構によるリフト誤差が生じていると判断する(S812)。そして次に車両の表示装置への警告表示とECU内のバックアップRAMへの警告データ記憶とを実行して(S814)、ステップS413の処理に移動する。
【0199】
上述した構成において、回転変動判別処理A〜回転変動判別処理C(図9,10,19,20)、バルブリフト漸増処理(図11)及びバルブリフト量復帰処理(図13)が機関回転変動判別手段としての処理に相当する。
【0200】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1と同じ効果を生じる。
(ロ).デポジット除去処理を繰り返してもデポジットが除去できない場合には、可変動弁機構による吸気バルブ12a,12bのリフト誤差が生じていると判別することができる。このように多気筒内燃機関回転変動因子を、更に詳細に判別することが可能となる。そして、このようなリフト誤差が判別されると、車両の表示装置に警告表示やメモリ記憶を行っているので、運転者やメンテナンス作業者に適切な処置を実行させることが可能となる。
【0201】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1において、デポジット付着フラグexdepo[1]〜exdepo[4]が1つでも「ON」であった場合に(S408で「NO」)、デポジット除去処理を実行させずに単にデポジット付着有りを判別したことのみで終了し、再度回転変動判別処理Aを再開させても良い。又、この場合、exdepo[1]〜exdepo[4]が1つでも「ON」である状態を、吸気バルブにおけるリフト誤差であると判別しても良い。あるいはデポジット付着とリフト誤差とのいずれかであると判別しても良い。
【0202】
(b).前記実施の形態1においては、燃料起因回転変動フラグexinj[1]〜exinj[4]が1つでも「ON」であった場合に(S410で「NO」)、回転変動判別処理D,Eを実行させずに単に燃料噴射誤差有りを判別したことのみで終了しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としてのエンジン及びその制御系統の概略構成を表すブロック図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】シリンダヘッドの要部の平面図。
【図4】仲介駆動機構の斜視図。
【図5】仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図6】仲介駆動機構による吸気バルブのバルブリフト量調節を示す説明図。
【図7】仲介駆動機構による吸気バルブのバルブリフト量調節を示す説明図。
【図8】仲介駆動機構による吸気バルブのバルブリフト量変化を示すグラフ。
【図9】実施の形態1のECUが実行する回転変動判別処理Aのフローチャート。
【図10】同じく回転変動判別処理Bのフローチャート。
【図11】同じくバルブリフト量漸増処理のフローチャート。
【図12】同じく回転変動判別処理Cのフローチャート。
【図13】同じくバルブリフト量復帰処理のフローチャート。
【図14】同じく回転変動判別処理Dのフローチャート。
【図15】同じく回転変動判別処理Eのフローチャート。
【図16】同じく回転変動判別処理Eのフローチャート。
【図17】同じく回転変動判別処理Eのフローチャート。
【図18】シャフト位置Spからバルブリフト量inliftを求めるためのマップの説明図。
【図19】実施の形態2のECUが実行する回転変動判別処理Cのフローチャート。
【図20】同じく回転変動判別処理Cのフローチャート。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…気筒、4…シリンダブロック、6…ピストン、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、12a,12b…吸気バルブ、12c…ステムエンド、14a,14b…吸気ポート、16a,16b…排気バルブ、18a,18b…排気ポート、20…燃料噴射弁、30…吸気マニホールド、30a…吸気通路、32…サージタンク、40…吸気ダクト、42…エアクリーナ、44…スロットルバルブ、44a…スロットル開度センサ、44b…スロットルモータ、46…アクセルペダル、46a…アクセル開度センサ、48…吸気カムシャフト、50…吸気カム、50a…ノーズ、52…ローラロッカーアーム、52a…ローラ、52b…アジャスタ、52c…基端部、52d…先端部、54…排気カムシャフト、56…排気カム、58…ローラロッカーアーム、60…排気マニホルド、62…触媒コンバータ、64…ECU、66…エンジン回転数センサ、68…基準クランク角センサ、70…冷却水温センサ、72…吸入空気量センサ、74…空燃比センサ、100…仲介駆動機構、104…OCV、112…スライドアクチュエータ、112a…シャフト位置センサ、120…仲介駆動機構、122…入力部、124…第1揺動カム、126…第2揺動カム、132…コントロールシャフト、P…オイルポンプ。

Claims (12)

  1. 吸気バルブのバルブリフト量を可変とする多気筒内燃機関における回転変動判別装置であって、
    内燃機関の回転変動を検出する機関回転変動検出手段と、
    前記バルブリフト量の変更に伴って前記回転変動検出手段にて検出される内燃機関の回転変動に生じた変化に基づいて、多気筒内燃機関回転変動因子を判別する機関回転変動判別手段と、
    を備えたことを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  2. 請求項1において、前記多気筒内燃機関は、吸気バルブのバルブリフト量の調節により、燃焼室内への吸入空気量を調節する吸入空気量調節手段を備えたことを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  3. 請求項1又は2において、前記機関回転変動判別手段は、前記バルブリフト量が基準範囲に存在する場合に処理を開始することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  4. 請求項2において、前記機関回転変動判別手段は、前記バルブリフト量が基準範囲に入った場合に、前記吸入空気量調節手段により少なくとも2種類のバルブリフト量を実現させて、各バルブリフト量にて前記回転変動検出手段にて検出された内燃機関の回転変動を比較することで、多気筒内燃機関回転変動因子を判別することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  5. 請求項4において、前記多気筒内燃機関は、前記吸入空気量調節手段と同じ吸気経路において燃焼室内への吸入空気量を調節するスロットルバルブを備え、
    前記機関回転変動判別手段は、前記吸入空気量調節手段により少なくとも2種類のバルブリフト量を実現する場合には、前記スロットルバルブの開度調節により、燃焼室内への吸入空気量を機関運転の要求量に対応させることを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判定することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくならない場合には、吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着及び吸気バルブにおけるリフト誤差以外に起因する回転変動であると判定することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記機関回転変動判別手段は、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくならない場合には、燃料噴射に起因する回転変動であると判定することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  10. 請求項6において、前記機関回転変動判別手段が吸気バルブ又は吸気ポートにおけるデポジット付着が存在すると判定した場合には、内燃機関の運転状態を一時的にデポジット除去運転に変更することを特徴とするデポジット除去手段を備えたことを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  11. 請求項10において、多気筒内燃機関の各気筒に配置された燃料噴射弁は燃焼室内に燃料を噴射するものであり、前記デポジット除去手段は、燃焼室内の燃焼前の混合気を吸気ポート側へ逆流させることでデポジットを洗浄することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
  12. 請求項10又は11において、前記機関回転変動判別手段は、前記デポジット除去手段によりデポジット除去運転を実行しても、バルブリフト量が小さい側よりも大きい側にて前記機関回転変動検出手段にて検出された回転変動が小さくなる場合には、吸気バルブにおけるリフト誤差が存在すると判定することを特徴とする多気筒内燃機関回転変動判別装置。
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