JP4100128B2 - 車両ステアリング用伸縮軸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した摺動荷重を実現すると共に、ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達できる車両ステアリング用伸縮軸に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に、一般的な自動車の操舵機構部を示す。図中のaとbが伸縮軸である。伸縮軸aは、雄軸と雌軸とをスプライン嵌合したものであるが、このような伸縮軸aには自動車が走行する際に発生する軸方向の変位を吸収し、ステアリングホイール上にその変位や振動を伝えない性能が要求される。このような性能は、車体がサブフレーム構造となっていて、操舵機構上部を固定する部位cとステアリングラックdが固定されているフレームeが別体となっておりその間がゴムなどの弾性体fを介して締結固定されている構造の場合に要求されることが一般的である。また、その他のケースとして操舵軸継手gをピニオンシャフトhに締結する際に作業者が、伸縮軸をいったん縮めてからピニオンシャフトhに嵌合させ締結させるため伸縮機能が必要とされる場合がある。さらに、操舵機構の上部にある伸縮軸bも、雄軸と雌軸とをスプライン嵌合したものであるが、このような伸縮軸bには、運転者が自動車を運転するのに最適なポジションを得るためにステアリングホイールiの位置を軸方向に移動し、その位置を調整する機能が要求されるため、軸方向に伸縮する機能が要求される。前述のすべての場合において、伸縮軸にはスプライン部のガタ音を低減することと、ステアリングホイール上のガタ感を低減することと、軸方向摺動動作時における摺動抵抗を低減することが要求される。
【0003】
このようなことから、特許文献1では、雄軸の外周面と雌軸の内周面に形成した複数組の軸方向溝の間に、複数組のトルク伝達部材(円柱体)が嵌合してある。
【0004】
各組のトルク伝達部材(円柱体)は、軸方向に並列した複数個のニードルローラからなっている。
【0005】
これにより、トルク非伝達時(摺動時)には、雄軸と雌軸の間のガタ付きを防止することができ、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時には、雄軸と雌軸は、その回転方向のガタ付きを防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0006】
さらに、ニードルローラの回転方向(周方向)のガタ付きを防止するため、樹脂製の調整部材(保持器)が設けてある。
【0007】
【特許文献1】
欧州特許出願公開EP1078843A1号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1では、ステアリング用シャフトに求められる、ニードルローラの回転方向(周方向)のガタ付きを防止するため、樹脂製の調整部材(保持器)が設けてある。この樹脂製の調整部材(保持器)により、雄軸、雌軸、ニードルローラ間における微小な隙間を調整することができる。
【0009】
しかしながら、樹脂製の調整部材(保持器)では、耐摩耗性に問題があり、長期間にわたってガタつきのない性能を維持することが困難である。そのため、摩耗が生じると、ステアリングシャフトにガタ付きを感じるといったことがある。
【0010】
また、上記特許文献1の伸縮軸は、テレスコピック用として使われるので、軸方向に相対移動をすることが求められ、雄軸・雌軸間で相対移動をするからには、摺動部には隙間を持たざるを得ないという構造上の問題点を抱えている。
【0011】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、安定した摺動荷重を実現すると共に、回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達でき、しかも、コンパクト化を図りつつ、部品点数を削減し、組立作業を容易して製造コストを低減することができる車両ステアリング用伸縮軸を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る車両ステアリング用伸縮軸は、車両のステアリングシャフトに組込み、雄軸と雌軸をトルク伝達可能に且つ軸方向に相対移動可能に嵌合した車両ステアリング用伸縮軸において、
前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面とに設けられた第1介装部と、該第1介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には前記雌軸に対して摺動する円柱体からなる第1トルク伝達部材と、前記第1介装部において前記第1トルク伝達部材と前記雄軸との間に前記第1トルク伝達部材に隣接して配置され、回転の際には前記第1トルク伝達部材を拘束し、非回転の際には前記雌軸に対して前記第1トルク伝達部材を予圧する板バネと、からなる第1のトルク伝達装置と、
前記雄軸の外周面に前記第1のトルク伝達装置と周方向に所定の間隔で形成された軸方向溝と該軸方向溝に対向して前記雌軸の内周面に形成された軸方向溝とで構成された第2介装部と、該第2介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には前記雌軸に形成された前記軸方向溝に対して摺動し、回転の際には前記雄軸に形成された前記軸方向溝および前記雌軸に形成された前記軸方向溝に接触してトルクを伝達する円柱体からなる第2トルク伝達部材とからなる第2のトルク伝達装置と、を具備することを特徴とする。
【0013】
このように、本発明の請求項1によれば、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、第1及び第2トルク伝達部材を雌軸に対してガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。
【0014】
トルク伝達時、弾性体により、第1及び第2トルク伝達部材を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0016】
このように、請求項1によれば、第1及び第2トルク伝達部材は、夫々、円柱体からなり、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、円柱体を雌軸に対してガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸との間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、円柱体を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0017】
さらに、請求項2に係る車両ステアリング用伸縮軸は、前記円柱体の表面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする。
【0018】
このように、請求項2によれば、更に摺動荷重を低くしたい場合は、第1及び第2トルク伝達部材である円柱体(ニードルローラ)の表面に、固体潤滑皮膜を形成する。摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0019】
さらに、請求項3に係る車両ステアリング用伸縮軸は、雌軸の内周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする
このように、請求項3によれば、雌軸の内周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0020】
さらに、請求項4に係る車両ステアリング用伸縮軸は、車両のステアリングシャフトに組込み、雄軸と雌軸をトルク伝達可能に且つ相対移動可能に嵌合した車両ステアリング用伸縮軸において、
前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面とに設けられた介装部と、該介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には摺動する円柱体からなるトルク伝達部材と、前記介装部において前記トルク伝達部材と前記雄軸との間に前記トルク伝達部材に隣接して配置され、回転の際には前記トルク伝達部材を拘束し、非回転の際には前記雌軸に対して前記トルク伝達部材を予圧する板バネと、からなる第1のトルク伝達装置と、
前記雌軸の内周面と前記雄軸の外周面との一方に形成した軸方向溝と、該軸方向溝に嵌合するように、前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面との他方に形成し、前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には摺動し、回転の際にはトルクを伝達する軸方向突条部と、からなる第2のトルク伝達装置と、を具備することを特徴とする。
【0021】
このように、請求項4によれば、雌軸の内周面と雄軸の外周面との一方に形成した軸方向溝と、該軸方向溝に嵌合するように、雄軸の外周面と雌軸の内周面との他方に形成し、雄軸と雌軸との軸方向相対移動の際には摺動し、回転の際にはトルクを伝達する軸方向突条部と、からなる第2のトルク伝達装置を備えている。
【0022】
従って、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、トルク伝達部材と軸方向突条部をガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、トルク伝達部材と軸方向突条部を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0023】
また、雄軸の外周面と雌軸の内周面との他方には、トルクを伝達する軸方向突条部が設けてあるため、上述した請求項1乃至4における第2トルク伝達部材を廃止することができ、部品点数を削減し、組立作業を容易して製造コストを低減することができる。
【0025】
このように、請求項4によれば、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、円柱体と軸方向突条部をガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、円柱体と軸方向突条部を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0026】
さらに、請求項5に係る車両ステアリング用伸縮軸は、前記円柱体の表面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする。
【0027】
このように、請求項5によれば、円柱体の表面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0028】
さらに、請求項6に係る車両ステアリング用伸縮軸は、前記雌軸の内周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする。
【0029】
このように、請求項6によれば、雌軸の内周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0030】
さらに、請求項7に係る車両ステアリング用伸縮軸は、前記雄軸の外周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする。
【0031】
このように、請求項7によれば、雄軸の外周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸を図面を参照しつつ説明する。
【0033】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の縦断面図である。図2は、図1のX−X線に沿った横断面図である。
【0034】
図1に示すように、車両ステアリング用伸縮軸(以後、伸縮軸と記す)は、相互に回転不能に且つ摺動自在に嵌合した雄軸1と雌軸2とからなる。
【0035】
図2に示すように、雄軸1の外周面には、周方向に120度間隔で等配した3個の軸方向溝3が延在して形成してある。また、この雄軸1の外周面には、これら3個の軸方向溝3の周方向の間であって、周方向に120度間隔で等配した3個の略円弧状の軸方向溝4が延在して形成してある。
【0036】
雌軸2の内周面には、周方向に120度間隔で等配した3個の略円弧状の軸方向溝5が延在して形成してある。また、この雌軸2の内周面には、これら3個の軸方向溝5の周方向の間であって、周方向に120度間隔で等配した3個の略円弧状の軸方向溝6が延在して形成してある。
【0037】
軸方向溝3,5は、後述する3組の第1円柱体7のための3組の第1介装部を構成しており、軸方向溝4,6は、後述する3組の第2円柱体8のための3組の第2介装部を構成している。これら3組の軸方向溝3,5(第1介装部)と、3組の軸方向溝4,6(第2介装部)とは、周方向に交互に配置してあり、周方向に60度間隔で等配してある。
【0038】
第1トルク伝達装置は、雄軸1の3個の軸方向溝3と、雌軸2の3個の軸方向溝5との間に、予圧用の波形形状の3個の弾性体(板バネ)9を介して、雄軸1と雌軸2との軸方向相対移動の際には転動し、回転の際には板バネ9に拘束されてトルクを伝達する3組の第1トルク伝達部材(第1円柱体)7が転動自在に介装して構成されている。
【0039】
第2トルク伝達装置は、雄軸1の3個の軸方向溝4と、雌軸2の3個の軸方向溝6との間に、夫々、雄軸1と雌軸2との軸方向相対移動を許し、回転の際にはトルクを伝達するための3組の第2トルク伝達部材(第2円柱体)8が摺動自在に介装して構成されている。
【0040】
板バネ9は、トルク非伝達時には、第1円柱体7と第2円柱体8を雌軸2に対してガタ付きのない程度に予圧する一方、トルク伝達時には、弾性変形して第1円柱体7を雄軸1と雌軸2の間で周方向に拘束する働きをするようになっている。なお、第1円柱体7と第2円柱体8は、ニードルローラであってもよい。
【0041】
また、軸方向に伸縮運動をする際には、板バネ9によって予圧を受けているニードルローラ7と雌軸の溝5との間で積極的に摺動が発生する。さらに、トルクが負荷されると、板バネ9がたわみ、雄軸1の軸方向溝4とニードルローラ8と雌軸2の軸方向溝6との間で徐々にトルクを受けるようになる。
【0042】
このように、板バネ9の予圧機構により、ニードルローラ7,8を介して3箇所均等に予圧をかけることにより、従来のスプライン構造が根本的に解決できないでいる微小な隙間によるガタを防止することができる。予圧をかける構造で配慮しなければいけないことは、(1)円周上に均等に予圧をかけること、(2)ガタ(フリープレイ)をなくし、ステアリングの操舵感を損なわないように最低限必要な予圧荷重を与えること、(3)十分な耐久性を有すること、である。
【0043】
本実施の形態は、3箇所均等に予圧を必要なだけかけることができ、低入力トルクに対してガタつきを防止できる。しかも、入力トルクが増大した際には、他のニードルローラ8(板バネ9の予圧機構のない箇所)がトルクによる負荷を受けるため、より高い捩り剛性を発生することができる。
【0044】
板バネ9のたわみ量は、雄軸1の軸方向溝4とニードルローラ8と雌軸6との間の微小隙間分だけで、入力トルクが増大しても板バネ9に掛かる負荷、たわみ量は大きく変わらない。よって、板バネ9の性能を長期にわたって保つことができる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、トルク伝達部材としてニードルローラ7,8を採用しているが、これは、ニードルローラ7,8が大量生産品で、低コストで採用できること。熱処理、研磨加工してあるため低摺動荷重を実現するとともに高い耐久性(耐摩耗性が高い)を有していること。数ミクロン単位での直径サイズの選択が可能であり、すきま管理が非常に容易であることが挙げられる。
【0046】
従来のスプライン構造では、トルク伝達+摺動により雄軸と雌軸の接触面が摩耗し、隙間の増加がガタつきの増大となりステアリング操舵感の悪化につながっていた。
【0047】
本実施の形態の場合、トルク伝達部材(ニードルローラ7,8)又は軸方向溝5,6が摩耗をしたとしても、板バネ9に予圧をかけているため、雄軸1の軸方向溝3−板バネ9−ニードルローラ7−雌軸2の軸方向溝5間に、隙間は発生しないため、ガタ付きは起こらない。したがって、長期にわたりガタ付きのないトルク伝達特性と低摺動特性を維持することができる。
【0048】
図3は、図1のY−Y線に沿った横断面図である。図4は、連結部により連結した弾性体(板バネ)の斜視図である。図5は、図1の矢印Aの矢視図である。
【0049】
図1に示すように、雄軸1の端部には、小径部1aが形成してある。この小径部1aには、ニードルローラ8の軸方向の移動を規制するストッパープレート10が設けてある。このストッパープレート10は、軸方向予圧用弾性体11と、この軸方向予圧用弾性体11を挟持する1組の平板12,13とからなる。
【0050】
すなわち、本実施の形態では、ストッパープレート10は、小径部1aに、平板13、軸方向予圧用弾性体11、平板12の順に嵌合し、小径部1aに堅固に固定してある。
【0051】
本実施の形態では、雄軸1の小径部1aに、周方向溝31が形成してあり、この周方向溝31に、止め輪32が嵌合してある。これにより、ストッパープレート10が軸方向に固定してある。なお、ストッパープレート10の固定方法は、止め輪32に限らず、加締め、螺合手段、プッシュナット等であってもよい。
【0052】
これにより、ストッパープレート10は、平板13をニードルローラ8に当接させて、軸方向予圧用弾性体11により、ニードルローラ8を軸方向に動かないように適度に予圧できるようになっている。
【0053】
軸方向予圧用弾性体11は、ゴム、樹脂、または鋼板製の板バネなどからできている。軸方向予圧用弾性体11と平板12,13とは、別体でも良いが、組立てやすさを考えて、一体成形品であることが好ましい。
【0054】
例えば、軸方向予圧用弾性体11がゴムであれば、平板12,13に加硫成形するなどして作れば、一体化ができるので、組立てやすく低コストな製品をつくることができる。
【0055】
また、軸方向予圧用弾性体11を樹脂でつくる場合には、波型の形状としたものを、平板12,13と一体成形することで一体化することができ、同様のメリットが得られる。
【0056】
さらに、平板12,13は、鋼板、樹脂、または鋼板に樹脂皮膜を形成したものを使用する。
【0057】
また、雄軸1の軸方向溝3,4は、軸方向に略直角であって、ニードルローラ7やニードルローラ8に当接する軸方向直角面14,15を有している。
【0058】
以上のように、ニードルローラ8の一側は、雄軸1の小径部1aに設けたストッパープレート10により、軸方向の移動が規制してある一方、ニードルローラ8の他側は、軸方向直角面15に当接して、軸方向の移動が規制してある。
【0059】
また、ストッパープレート10は、平板13をニードルローラ8に当接させて、軸方向予圧用弾性体11により、ニードルローラ8を軸方向に動かないように適度に予圧している。
【0060】
従って、ニードルローラ8を適度に予圧して、軸方向に隙間なく固定することができ、雄軸1と雌軸2が相互に摺動する際、ニードルローラ8を軸方向に移動させることがなく、「コツコツ」といった不快な異音の発生を確実に防止することができる。
【0061】
また、雄軸1の軸方向溝3,4は、軸方向に略直角であって、ニードルローラ7,8に当接する軸方向直角面14,15を有していることから、この軸方向直角面15により、別途の部材を設けることなく、ニードルローラ7,8の軸方向の移動を規制することができる。そのため、部品点数を削減して、製造コストの低減を図ることができ、しかも、別途の部材を用いていないことから、軽量・コンパクト化が可能である。
【0062】
次に、本実施の形態では、図1、図3、及び図4に示すように、3組のニードルローラ7を予圧するための3個の板バネ9は、リング状の連結部20によって連結してある。
【0063】
すなわち、図1に示すように、雄軸1の端部の小径部1aには、その段差の環状面21が形成してある。小径部1aに、リング状の連結部20が嵌合してあり、この段差の環状面21に沿って、リング状の連結部20が配置してある。
【0064】
段差の環状面21は、雄軸1の軸方向に面する軸方向環状面であれば、その形状等は問わない。
【0065】
リング状の連結部20は、その周縁の3箇所で、3個の板バネ9の軸方向端部に連結してある。即ち、図4に示すように、リング状の連結部20は、軸方向に延在した3個の板バネ9と一体的に構成してある。
【0066】
従って、ニードルローラ7,8を複合させた構造でありながら、転動面である3個の板バネ9を一体化して、実質上の部品点数を3個から1個に減らすことができ、部品点数を削減し、組立性を向上させて、組立時間を短縮して、製造コストを低減することができる。
【0067】
また、リング状の連結部20は、従来のような周方向に延びる円弧状の連結部でないことから、雌軸2を径方向に拡径することなく、コンパクト化を図ることができる。
【0068】
さらに、リング状の連結部20に、雄軸1の端部に形成した小径部1aが貫通してある。従って、3個の板バネ9の組み込み時、雄軸1の端部の小径部1aは、リング状の連結部20に通挿することにより、この組み込み時のガイドの役割を果たすことから、組み込み作業を容易にでき、組み込み時間を短縮して、製造コストの低減を図ることができる。
【0069】
さらに、リング状の連結部20は、ストッパープレート10の平板13と、段差の環状面21との間の軸方向隙間に配置してある。この軸方向隙間は、例えば、約0.3〜2.0mmである。
【0070】
この軸方向隙間の存在により、リング状の連結部20は、3個の板バネ9がトルク入力により変形した際にも、これら板バネ9の動きを拘束しないようになっている。
【0071】
さらに、図3及び図4に示すように、各板バネ9の断面形状は、雄軸1の軸方向溝3の形状とほぼ平行な直線形状に形成してあり、中心部分の平面部に、リング状の連結部20の周縁箇所が連結してある。各板バネ9の両端部は、中心側から外側に向けて折り返して形成してある。
【0072】
さらに、リング状の連結部20に、雄軸1の端部に形成した小径部1aが貫通してある。雄軸1の小径部1aと、リング状の連結部20との間には、径方向隙間が形成してある。この径方向隙間は、例えば、0.2〜1.0mmである。上記の軸方向隙間と同様に、この径方向隙間の存在により、リング状の連結部20は、3個の板バネ9がトルク入力により変形した際にも、これら板バネ9の動きを拘束しないようになっている。
【0073】
次に、図1及び図6に示すように、本実施の形態では、雌軸2の6個の軸方向溝5,6に、径方向に隙間を介して、雄軸1の外周面に6個の軸方向溝3,4と軸方向に同軸に形成した6個の略円弧状の突起部40が嵌合してある。
【0074】
従って、ニードルローラ7,8が何らかの原因によって雄軸1から脱落し又は破損した場合等には、雌軸2の軸方向溝5,6に、雄軸1の突起部40が嵌合し、これにより、雄軸1と雌軸2とは、トルクを伝達することができ、フェイルセーフ機能の役割を果たすことができる。
【0075】
また、この際、図6に示すように、軸方向溝5,6と、突起部40との間には、隙間が設けてあるため、運転者は、ステアリングホイール上に大きなガタ付きを感じることができ、ステアリング系の故障等を察知することができる。
【0076】
さらに、図1に示すように、雄軸1の突起部40は、雄軸1の軸方向溝3,4と軸方向に同軸に形成してあり、ニードルローラ7,8とも軸方向に同軸であることから、ニードルローラ7,8の軸方向の移動を規制するストッパーの役割も果たし、ニードルローラ7,8の抜けの可能性を減少して、フェイルセーフ機能をより一層向上することができる。
【0077】
さらに、雄軸1の突起部40は、雄軸1の軸方向溝3,4と軸方向に同軸に形成してあり、ニードルローラ7,8とも軸方向に同軸であることから、雄軸1と雌軸2の径方向寸法を小さくして、コンパクト化を図ることができる。
【0078】
また、雄軸1の突起部40は、上記のように、ニードルローラ7,8と軸方向に同軸であり、その上、ニードルローラ7,8の周方向における組数と、突起部40の周方向における個数とが同一に設定してあることから、ニードルローラ7,8の軸方向の移動を規制するストッパーの役割を確実に果たすことができ、ニードルローラ7,8の抜けの可能性をより一層減少することができる。
【0079】
さらに、雌軸2の端部は、その内方に向けて変形した内方変形部41を有している。この内方変形部41は、具体的には、雌軸2の端部を加締めて形成してある。
【0080】
これにより、雄軸1を雌軸2から抜ける方向に相対移動させた時、雌軸2の端部に形成した内方変形部41(例えば、加締め部)に、雄軸1の突起部40が係止(干渉)する。これにより、雄軸1は、雌軸2からむやみに分離できない構造になっている。
【0081】
(第2実施の形態)
次に、図7は、本発明の第2実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【0082】
本実施の形態では、第1実施の形態に対し、更に摺動荷重を低くしたい場合には、トルク伝達部材であるニードルローラ7,8の表面に固体潤滑皮膜50を形成する。摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜50を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0083】
固体潤滑皮膜の形成方法としては、(1)二硫化モリブデンの紛体をバインダー中に分散子混合し、それを吹きつけ、または、浸漬後に焼き付けて皮膜を形成する方法、(2)PTFE(四フッ化エチレン)の紛体をバインダー中に分散子混合し、それを吹きつけ、または、浸漬後に焼き付けて皮膜を形成する方法がある。
【0084】
また、図8は、本発明の第2実施の形態の第1変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【0085】
本変形例では、ニードルローラ7,8の表面に、固体潤滑皮膜50を形成すると共に、雌軸2の内周面には、固体潤滑皮膜80が形成してある。
【0086】
摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば、摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜80を形成して、摩擦係数を小さくすることで、更なる低摺動荷重を実現することができる。固体潤滑皮膜の形成方法は、上述した場合と同様である。
【0087】
さらに、図9は、本発明の第2実施の形態の第2変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【0088】
本変形例では、ニードルローラ7,8に、固体潤滑皮膜50を形成することなく、雌軸2の内周面にのみ、固体潤滑皮膜80が形成してある。
【0089】
摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば、摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜80を形成して、摩擦係数を小さくすることで、更なる低摺動荷重を実現することができる。固体潤滑皮膜の形成方法は、上述した場合と同様である。
【0090】
(第3実施の形態)
図10は、本発明の第3実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の縦断面図である。図11は、図10のX−X線に沿った横断面図である。
【0091】
本実施の形態では、第1実施の形態に対し、板バネ9による予圧の掛かっていない箇所のニードルローラ8を廃止し、その代わりに、雄軸1に軸方向突条部60が一体的に形成してある。
【0092】
このように、ニードルローラ8を3箇所廃止できるため、部品点数削減効果により、コストダウンが可能である。
【0093】
雄軸1の軸方向突条部60と、雌軸2の軸方向溝6との凹凸形状は、トルクの伝達が可能であれば、いかなる形状であってもよいい。例えば、セレーション、スプライン形状でもよい。
【0094】
なお、軸方向突条部は、必ずしも雄軸に設ける必要がなく、雄軸1の外周面には、軸方向溝を形成して、雌軸2の内周面に、軸方向突条部が形成してあってもよい。
【0095】
また、軸方向突条部60を含む雄軸1の表面には、固体潤滑皮膜70を形成する。摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜70を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。固体潤滑皮膜の形成方法は、上述した場合と同様である。なお、予圧を受けているニードルローラ7には、固体潤滑皮膜は形成していない。
【0096】
さらに、図10に示すように、軸方向のストッパー部品として、ストッパープレート10が小径部1aの端部1bに加締め固定してある。ストッパープレート10には、特に弾性体ははさみこまれていないが、ニードルローラ7,8を軸方向に隙間なく確実に固定できれば、図10に示す構造であっても良い。
【0097】
(第4実施の形態)
次に、図12は、本発明の第4実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【0098】
本実施の形態では、第3実施の形態に対し、更に摺動荷重を低くしたい場合には、トルク伝達部材であるニードルローラ7,8の表面に固体潤滑皮膜50を形成する。摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜50を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。固体潤滑皮膜の形成方法は、上述した場合と同様である。
【0099】
また、図13は、本発明の第4実施の形態の第1変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【0100】
本変形例では、雄軸1の表面に、固体潤滑皮膜70を形成することなく、雌軸2の内周面にのみ、固体潤滑皮膜80が形成してある。
【0101】
摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば、摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜80を形成して、摩擦係数を小さくすることで、更なる低摺動荷重を実現することができる。固体潤滑皮膜の形成方法は、上述した場合と同様である。
【0102】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によれば、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、第1及び第2トルク伝達部材を雌軸に対してガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。
【0104】
トルク伝達時、弾性体により、第1及び第2トルク伝達部材を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0105】
また、請求項1によれば、第1及び第2トルク伝達部材は、夫々、円柱体からなり、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、円柱体を雌軸に対してガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸との間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、円柱体を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0106】
さらに、請求項2によれば、更に摺動荷重を低くしたい場合は、第1及び第2トルク伝達部材である円柱体(ニードルローラ)の表面に、固体潤滑皮膜を形成する。摺動荷重は、摩擦係数に負荷された荷重を乗じたものであるため、摩擦係数を低くすることができれば摺動荷重を低くすることができる。よって、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0107】
さらに、請求項3によれば、雌軸の内周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0108】
さらに、請求項4によれば、雌軸の内周面と雄軸の外周面との一方に形成した軸方向溝と、該軸方向溝に嵌合するように、雄軸の外周面と雌軸の内周面との他方に形成し、雄軸と雌軸との軸方向相対移動の際には摺動し、回転の際にはトルクを伝達する軸方向突条部と、からなる第2のトルク伝達装置を備えている。
【0109】
従って、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、トルク伝達部材と軸方向突条部をガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、トルク伝達部材と軸方向突条部を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0110】
また、雄軸の外周面と雌軸の内周面との他方には、トルクを伝達する軸方向突条部が設けてあるため、上述した請求項1乃至3における第2トルク伝達部材を廃止することができ、部品点数を削減し、組立作業を容易して製造コストを低減することができる。
【0111】
さらに、請求項4によれば、トルク非伝達時(軸方向相対移動時)には、弾性体により、円柱体と軸方向突条部をガタ付きのない程度に径方向及び周方向に予圧しているため、雄軸と雌軸の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄軸と雌軸は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。また、トルク伝達時、弾性体により、円柱体と軸方向突条部を周方向に拘束できるようになっているため、雄軸と雌軸の間の回転方向ガタ付きを確実に防止して、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0112】
さらに、請求項5によれば、円柱体の表面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0113】
さらに、請求項6によれば、雌軸の内周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【0114】
さらに、請求項7によれば、雄軸の外周面に、固体潤滑皮膜を形成して、摩擦係数を小さくすることで更なる低摺動荷重を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の縦断面図である。
【図2】図1のX−X線に沿った横断面図である。
【図3】図1のY−Y線に沿った横断面図である。
【図4】連結部により連結した弾性体(板バネ)の斜視図である。
【図5】図1の矢印Aの矢視図である。
【図6】図1のZ−Z線に沿った横断面図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【図8】本発明の第2実施の形態の第1変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【図9】本発明の第2実施の形態の第2変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の縦断面図である。
【図11】図10のX−X線に沿った横断面図である。
【図12】本発明の第4実施の形態に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【図13】本発明の第4実施の形態の第1変形例に係る車両ステアリング用伸縮軸の横断面図である。
【図14】一般的な自動車の操舵機構部の側面図である。
【符号の説明】
1 雄軸
1a 小径部
1b 加締め部
2 雌軸
3,4 軸方向溝(第1介装部)
5,6 軸方向溝(第2介装部)
7 第1円柱体(ニードルローラ、第1トルク伝達部材)
8 第2円柱体(ニードルローラ、第2トルク伝達部材)
9 弾性体(板バネ)
10 ストッパープレート
11 軸方向予圧用弾性体
12,13 平板
14,15 軸方向直角面
20 リング状の連結部
21 段差の環状面(軸方向環状面)
31 周方向溝
32 止め輪
40 突起部
41 内方変形部(加締め部)
50 固体潤滑皮膜
60 軸方向突状部
70 固体潤滑皮膜
80 固体潤滑皮膜
Claims (7)
- 車両のステアリングシャフトに組込み、雄軸と雌軸をトルク伝達可能に且つ軸方向に相対移動可能に嵌合した車両ステアリング用伸縮軸において、
前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面とに設けられた第1介装部と、該第1介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には前記雌軸に対して摺動する円柱体からなる第1トルク伝達部材と、前記第1介装部において前記第1トルク伝達部材と前記雄軸との間に前記第1トルク伝達部材に隣接して配置され、回転の際には前記第1トルク伝達部材を拘束し、非回転の際には前記雌軸に対して前記第1トルク伝達部材を予圧する板バネと、からなる第1のトルク伝達装置と、
前記雄軸の外周面に前記第1のトルク伝達装置と周方向に所定の間隔で形成された軸方向溝と該軸方向溝に対向して前記雌軸の内周面に形成された軸方向溝とで構成された第2介装部と、該第2介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には前記雌軸に形成された前記軸方向溝に対して摺動し、回転の際には前記雄軸に形成された前記軸方向溝および前記雌軸に形成された前記軸方向溝に接触してトルクを伝達する円柱体からなる第2トルク伝達部材とからなる第2のトルク伝達装置と、を具備することを特徴とする車両ステアリング用伸縮軸。 - 前記円柱体の表面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする請求項1に記載の車両ステアリング用伸縮軸。
- 前記雌軸の内周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の車両ステアリング用伸縮軸。
- 車両のステアリングシャフトに組込み、雄軸と雌軸をトルク伝達可能に且つ相対移動可能に嵌合した車両ステアリング用伸縮軸において、
前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面とに設けられた介装部と、該介装部に配置され前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には摺動する円柱体からなるトルク伝達部材と、前記介装部において前記トルク伝達部材と前記雄軸との間に前記トルク伝達部材に隣接して配置され、回転の際には前記トルク伝達部材を拘束し、非回転の際には前記雌軸に対して前記トルク伝達部材を予圧する板バネと、からなる第1のトルク伝達装置と、
前記雌軸の内周面と前記雄軸の外周面との一方に形成した軸方向溝と、該軸方向溝に嵌合するように、前記雄軸の外周面と前記雌軸の内周面との他方に形成し、前記雄軸と前記雌軸との軸方向相対移動の際には摺動し、回転の際にはトルクを伝達する軸方向突条部と、からなる第2のトルク伝達装置と、を具備することを特徴とする車両ステアリング用伸縮軸。 - 前記円柱体の表面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする請求項4に記載の車両ステアリング用伸縮軸。
- 前記雌軸の内周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載の車両ステアリング用伸縮軸。
- 前記雄軸の外周面には、低摩擦の固体潤滑皮膜が形成してあることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の車両ステアリング用伸縮軸。
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