JP4099984B2 - 異常陰影検出装置および画像出力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は被写体から得られた医用画像信号を処理することにより異常陰影の候補を検出する異常陰影検出装置、および、その処理された画像を出力する画像出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
読影医の負担軽減、異常陰影の見落とし減少を目的とし、肺癌や乳癌などの異常陰影候補を検出するコンピュータ診断支援(Computer-Aided Diagnosis:CAD)が開発されてきた。乳癌の場合は、二大所見といわれる腫瘤陰影と微小石灰化を検出することが広く報告されている。
【0003】
以下に、乳癌の二大所見の検出に関する論文を示す。
(1)腫瘤陰影:
腫瘤陰影に関しては、
・左右乳房を比較することによって検出する方法(Med.Phys.,vol.21.No.3,pp.445−452)、
・アイリスフィルタを用いて検出する方法(信学論(D−II),Vol.J75−D−11,no.3,pp.663−670,1992)、
・Quoitフィルタを用いて検出する方法(信学論(D−II),Vol.J76−D−11,no.3,pp.279−287,1993)、
・分割した乳房領域の画素値のヒストグラムに基づく2値化をして検出する方法(JAMIT Frontier 講演論文集,pp.84−85,1995)、
・方向性のある多数のラプラシアンフィルタの最小出力をとる最小方向差分フィルタ(信学論(D−II),Vol.J76−D−11,no.2,pp.241−249,1993)、
などが挙げられる。
【0004】
(2)微小石灰化クラスタ:
微小石灰化クラスタに関しては、
・乳房領域から石灰化の疑いがある領域を局部化し、陰影像の光学濃度差や境界濃度差の標準偏差値等から偽陽性候補を削除する方法(IEEE Trans Biomed Eng BME−26(4):213−219,1979)、
・ラプラシアンフィルタ処理を行なった画像を用いて検出する方法(信学論(D−II),Vol.J71−D−11,no.10,pp.1994−2001,1988)、
・乳腺等の背景パターンの影響を抑えるためにモルフォロジー解析した画像を使用する検出方法(信学論(D−II),Vol.J71−D−11,no.7,pp.1170−1176,1992)、
などが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような場合、従来の画像を用いて異常陰影を検出する場合、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきにくく、検出が困難であったり、誤って正常組織を異常陰影と判断してしまうことがあった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別をつきやすい状態にして、検出を容易にできる異常陰影検出装置、および、画像出力装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決する本発明は以下のようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、被写体から得られた医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成する多重周波数処理手段と、該多重周波数処理手段で得られる処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する異常陰影検出手段と、前記医用画像信号がマンモグラムの場合に乳腺の退縮状態に応じて前記医用画像信号を分類する分類手段と、を有し、前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域を決定し、複数の差分画像の中から選択して加算処理を行う、ことを特徴とする異常陰影検出装置である。
【0008】
この発明では、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成し、さらに、この処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する際に、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施すようにしている。
【0009】
このように病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施すことで、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
また、この発明では、医用画像信号がマンモグラムの場合、分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域を決定しており、この処理により分類された結果に応じて適した多重周波数処理が可能になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。たとえば、厚い乳腺が広く広がっている画像に対しては、厚い乳腺内に異常陰影が存在する可能性が強いため、コントラストが付きにくいとし、強調度を大きくしたり、乳腺が殆ど脂肪組織に置き換わっているような画像では、コントラストがつきやすいため、強調度を抑えることにより、検出率の向上が図れる。
【0010】
(2)請求項2記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理、または、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理、の少なくとも一方の処理を施す、ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置である。
【0011】
この発明では、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成し、さらに、この処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する際に、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施すようにしている。
【0012】
このように病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施すことで、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0013】
(3)請求項3記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施すと共に、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施す、ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置である。
【0014】
この発明では、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成し、さらに、この処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する際に、前記変換処理として、▲1▼病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理と、▲2▼病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理と、を施すようにしている。
【0015】
このように、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施し、さらに、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施すことで、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0016】
(4)請求項4記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、処理する複数の周波数帯域に含まれる低周波の周波数成分を抑制する処理を施す、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の異常陰影検出装置である。
【0017】
この発明では、上記(1)〜(3)において、多重周波数処理手段の変換処理として、処理する複数の周波数帯域に含まれる低周波の周波数成分を抑制する処理を施すようにしている。
【0018】
なお、背景トレンドの影響が強い部位では、病変が存在する位置によって特徴が変化するため背景トレンドの抑制が極めて重要な課題である。そのような場合に、背景トレンドが含まれる低周波成分を抑制することで、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0019】
(5)請求項5記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、低周波成分と高周波成分とを抑制し、その中間の周波数成分を強調する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異常陰影検出装置である。
【0020】
この発明では、上記(1)〜(3)において、低周波成分とは、背景トレンドが含まれるような周波数成分をさし、高周波成分とは、ノイズなどが含まれるような高周波成分をさしている。そして、異常陰影はこの間の周波数帯域に存在するため、異常陰影以外の周波数成分を抑制し、異常陰影が存在する可能性がある周波数成分を強調することにより、異常陰影検出処理の性能向上につながる。
【0021】
(6)請求項6記載の発明は、前記医用画像信号がマンモグラムもしくは胸部単純X線画像であって、検出目的の異常陰影が腫瘤陰影の場合、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、0.016lp/mmより低周波成分と0.1lp/mmより高周波成分とを抑制する処理を施す、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異常陰影検出装置である。
【0022】
この発明では、上記(1)〜(5)において、医用画像信号がマンモグラムもしくは胸部単純X線画像であって腫瘤を検出する場合、多重周波数処理手段で、0.016lp/mmより低周波成分、0.1lp/mmより高周波成分とを抑制する処理を施しており、この処理により直径5mm〜30mmに相当する腫瘤の成分が画像中で浮き立ち、検出が容易になる。
【0023】
(7)請求項7記載の発明は、被写体部位または異常陰影の種類の少なくとも一方に基づいて、前記多重周波数処理手段における抑制または強調する周波数帯域が決定される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異常陰影検出装置である。
【0024】
この発明では、上記(1)〜(5)において、被写体部位または異常陰影の種類の少なくとも一方に基づいて、多重周波数処理における抑制または強調する周波数帯域が決定されるので、検出目的に応じた画像を作成することができるようになり、決定に用いた被写体部位あるいは異常陰影の種類に適した多重周波数処理が可能になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0025】
(8)請求項8記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、前記医用画像信号の濃度もしくは画素値のすくなくとも一方に依存した処理を施す、ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置である。
【0026】
この発明では、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成し、さらに、この処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する際に、多重周波数処理手段は、医用画像信号の濃度もしくは画素値のすくなくとも一方に依存した変換処理を施すようにしている。
【0027】
このように医用画像信号の濃度もしくは画素値のすくなくとも一方に依存した変換処理を施すことで、異常陰影が出現する可能性が高い濃度あるいは画素値のみを強調することや、比較的コントラストがつきやすい濃度あるいは画素値を抑制し、コントラストがつきにくい濃度あるいは画素値を強調することにより、どの濃度域の病変も同様な基準で検出することが可能であるため、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0028】
(9)請求項9記載の発明は、前記医用画像信号がマンモグラムの場合、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、低周波成分を所有する非鮮鋭画像信号の、低濃度、もしくは、低画素値の強調度を抑制する処理を施す、ことを特徴とする請求項8記載の異常陰影検出装置である。
【0029】
この発明では、上記(8)において、多重周波数処理手段の変換処理として、処理する複数の周波数帯域に含まれる低周波の周波数成分の信号の、低濃度あるいは低画素値の強調度を抑制する処理を施すようにしている。
【0030】
なお、マンモグラムではスキンラインに近い高濃度部分(高画素値)の背景トレンドが強い。このような場合に、低濃度(低画素値)の低周波部分の強調度を抑制することにより、過補正を防ぎ、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0031】
(10)請求項10記載の発明は、前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する濃度、もしくは、抑制または強調する画素値を決定する、ことを特徴とする請求項8記載の異常陰影検出装置である。
【0032】
この発明では、上記(8)において、医用画像信号がマンモグラムの場合、分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する濃度、もしくは、抑制または強調する画素値を決定しており、この処理により分類された結果に応じて適した多重周波数処理が可能になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0033】
たとえば、厚い乳腺が広く広がっている画像に対しては、厚い乳腺内に異常陰影が存在する可能性が強いため、コントラストが付きにくいとし、強調度を大きくしたり、乳腺が殆ど脂肪組織に置き換わっているような画像では、コントラストがつきやすいため、強調度を抑えることにより、検出率の向上が図れる。
【0034】
(11)請求項11記載の発明は、被写体から得られた医用画像信号、もしくは、前記多重周波数処理手段で処理することにより得られる前記処理済画像信号の少なくとも一方を表示する表示装置を有し、前記異常陰影検出手段によって検出された異常陰影の候補を、前記医用画像信号もしくは前記処理済画像信号の表示に重ねた状態、または、前記医用画像信号もしくは前記処理済画像信号の表示に重ねない状態、のすくなくとも一方の状態で表示する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の異常陰影検出装置である。
【0035】
この発明では、検出された異常陰影の候補を、医用画像信号もしくは処理済画像信号の表示に重ねた状態、または、医用画像信号もしくは処理済画像信号の表示に重ねない状態、の一方または両方の状態で表示するようにしているため、表示された画像によって異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0036】
(12)請求項12記載の発明は、被写体から得られた医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成する多重周波数処理手段と、該多重周波数処理手段で得られる処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する異常陰影検出手段と、前記医用画像信号がマンモグラムの場合に乳腺の退縮状態に応じて前記医用画像信号を分類する分類手段と、前記多重周波数処理手段で変換処理された処理済画像信号に基づいた画像を出力する画像出力手段と、を有し、前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域を決定し、複数の差分画像の中から選択して加算処理を行い、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施す処理、あるいは、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理、の少なくとも一方の処理を施し、前記画像出力手段は、前記多重周波数処理手段で変換処理された処理済画像信号に基づいた画像を出力する、ことを特徴とする画像出力装置である。
【0037】
この発明では、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成して画像出力する際に、前記変換処理として、▲1▼病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理と、▲2▼病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理と、の少なくとも一方を施すようにしている。
【0038】
このように、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施し、または/そして、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施し、そのような処理の結果の画像をCRTディスプレイに表示したり、フィルムに出力することによって、病変を強調した画像を提示することができ、診断性能の向上が期待できる。
【0039】
(13)請求項13記載の発明は、前記病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理は、背景トレンドに相当する低周波成分とノイズに相当する高周波成分とを同時に抑制する処理である、ことを特徴とする請求項12記載の画像出力装置である。
【0040】
以上の(12)においては、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理としては、背景トレンドに相当する低周波成分とノイズに相当する高周波成分とを同時に抑制する処理であることが好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図2は本発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【0042】
この図2において、101は放射線画像を医用画像信号として入力する画像データ入力手段、102は該画像データ入力手段101の出力を記憶する画像データ記憶手段、103は医用画像信号を分類する分類手段、104は分類結果に応じて医用画像信号に対する処理特性を決定する処理特性決定手段である。
【0043】
105は決定された処理特性に応じて、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成する多重周波数処理手段である。106は多重周波数処理手段105からの処理済画像信号から異常陰影候補を検出する処理を行う異常陰影検出手段である。107は画像データ記憶手段102に記憶された医用画像信号,多重周波数処理手段105で処理された処理済画像信号,異常陰影検出手段106で検出された異常陰影を用いて、異常陰影の候補を、処理済画像信号の表示に重ねた状態、もしくは、処理済画像信号の表示に重ねない状態、のすくなくとも一方の状態で表示するための画像を出力する制御を行なう画像出力制御手段である。108は画像出力制御手段107で生成された画像を表示する画像表示手段、109は画像出力制御手段107で生成された画像をプリントアウトする画像プリント手段である。
【0044】
画像表示手段108としては、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイなどが用いられ、画像プリント手段109としては、例えばフィルムへ出力を行なうプリンタや、紙へ出力を行なうプリンタが用いられる。
【0045】
以上のように構成された異常陰影検出装置100の動作を説明すれば、以下の通りである。なお、ここで、図1のフローチャートを参照する。
〈(1)入力〉
放射線画像の撮影は、X線フィルムを用いて行なわれる。これらのX線写真を図2に示す異常陰影検出装置100に入力するためには、レーザディジタイザを用いている。これは、フィルム上をレーザビームで走査し、透過した光量を測定し、その値をアナログディジタル変換することによりディジタル画像データとしての医用画像信号を画像データ入力手段101に入力する(図1S1)。
【0046】
画像の入力には、CCD等の光センサを用いる装置を使用することも可能である。また、フィルムを読み取るのではなく、特開昭55−12429号公報に記載されているような、蓄積性蛍光体を用いたディジタル画像を直接出力することのできる撮影装置を接続することも可能である。この場合には、フィルムが不要になり、コストダウンを図ることができる。
【0047】
また、2次元的に配列された複数の検出素子によりX線画像を撮像して電気信号として出力するフラットパネルディテクタ(FPD)から得たX線画像を入力することもできる。例えば、特開平6−342098号公報に記載されているように、照射されたX線の強度に応じた電荷を生成する光導電層と、生成された電荷を2次元的に配列された複数のコンデンサに蓄積する方式が用いられる。
【0048】
また、特開平9−90048号公報に記載されているように、X線を増感紙等の蛍光体層に吸収させて蛍光を発生させ、その蛍光の強度を画素毎に設けたフォトダイオード等の光検出器で検出する方式も用いられる。蛍光の検知手段としては他にCCDやC−MOSセンサを用いる方法もある。また、X線の照射により可視光を発するX線シンチレータと、レンズアレイ及び各々のレンズに対応するエリアセンサとを組み合わせた構成も用いられる。
【0049】
前記の種々の構成によりディジタルX線画像を得る際には、撮影部位や診断目的にもよるが、例えばマンモグラム(乳房のX線画像)に対しては、画像の実効画素サイズが200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが更に好ましい。この発明の画像診断支援装置の性能を最大限に発揮させるためには、例えば実効画素サイズ50μm程度で入力した画像データを記憶し、表示する構成が好ましい。
【0050】
後述する異常陰影検出手段106において異常陰影候補検出のための解析に使用する画像データの画素サイズは入力された画像の画素サイズと等しくする必要はなく、例えば入力画像の実効画素サイズを50μmとし、異常陰影候補検出に使用する画像データは、入力画像を間引き処理して実効画素サイズ100μmに変換したものを使用してもよい。また、画像の階調数は10ビット以上が好ましく、12ビット以上が特に好ましい。また、単純X線画像に限る必要はなく、CTやMRI等の撮影装置から得られた画像データを入力する構成をとることも可能である。
【0051】
画像データ入力手段に入力された医用画像信号は、入力された画像データが必要に応じて圧縮を施されて、画像データ記憶手段102に格納される。ここで、データ圧縮としては公知のJPEG、DPCM、ウェーブレット圧縮等の各種の手法を用いた可逆圧縮又は非可逆圧縮が用いられる。可逆圧縮はデータ圧縮に伴う診断情報の劣化が無いため好ましい。
【0052】
小規模な診断では、データ量はさほど多くないので、医用画像信号を圧縮せずに画像データ記憶手段102としての磁気ディスク等に格納することもできる。この場合、光磁気ディスクに比べて、データの格納、読み出しは非常に高速にできるようになる。画像の読影時には、高速なサイクルタイムが必要であるため、必要なデータを半導体メモリに格納することも行なわれる。
【0053】
〈(2)分類〉
分類手段103で分類処理に使用する陰影候補検出のための解析に使用する医用画像信号の画素サイズは入力された画像の画素サイズと等しくする必要はなく、例えば入力画像の実効画素サイズを50μmとし、陰影候補検出に使用する医用画像信号は、入力画像を間引き処理して実効画素サイズ100μmに変換したものを使用してもよい。また、画像の階調数は10ビット以上が好ましく、12ビット以上が特に好ましい。また、単純X線画像に限る必要はなく、CTやMRI等の撮影装置から得られた医用画像信号を入力する構成をとることも可能である。
【0054】
画像データ記憶手段102に格納された画像は順次読み出され、分類手段103によって画像処理が行なわれつつ分類される(図1S2)。分類手段103は、画像データ記憶手段102に記憶された医用画像信号を読み出して、階調処理、周波数処理、ダイナミックレンジ圧縮処理、マルチ周波数処理等の処理を行なってから乳腺などを分類する。階調処理としては、例えば特公平6−44796号公報、特公平5−69347号公報に記載されている。また、周波数強調処理は、特公昭62−62373号公報、特公昭62−62376号公報に記載されている。また、ダイナミックレンジ圧縮処理は、特許登録第266318号公報に記載されている。更に、マルチ周波数処理は、特開平10−75395号公報に記載されている。この場合において、分類手段103は、乳腺の状態に応じて画像処理を変える処理を行なう。
【0055】
乳腺の分類の方法としては、例えば胸筋の濃度を基準として乳腺を分類し、乳腺領域の変動をヒストグラム化し、乳房における乳腺の割合がどれくらいであるかを判断することが行われる。このように乳房に占める乳腺の割合を求めて、複数段階に分類しておくようにする。
【0056】
乳腺の実質濃度に基づく分類例としては、一例として、以下のように分類することが可能である。
▲1▼脂肪性であり、乳腺は退縮して、乳房はほぼ完全に脂肪に置き換えられている。病変が撮影範囲に入っておれば、検出は容易である(図3(a))。
▲2▼は乳腺散在を示しており、脂肪に置き換えられた乳房内に乳腺実質が散在している。病変の検出は比較的容易である(図3(b))。
▲3▼は不均一濃度を示しており、乳腺実質内に脂肪が混在し、不均一な濃度を呈している。病変が正常乳腺に隠される危険性がある(図3(c))。
▲4▼は若い女性に多く、乳房のほぼ全面にわたり、乳腺が存在している。加齢と共に、乳腺は退縮し、(a)に示すように乳腺は殆ど見られないようになる(図3(d))。
【0057】
そして、この分類手段103での分類結果を利用し、処理特性決定手段104が、分類ごとに、後述する多重周波数処理手段105における処理の際の周波数特性を決定する(図1S3)。これにより、乳腺退縮の程度などの分類に応じて適切な画像になるように処理することができ、画像診断を支援することができる。
【0058】
〈(3)多重周波数処理〉
図4において、105aは原画像信号から非鮮鋭画像信号を作成する非鮮鋭画像信号作成部、105bは非鮮鋭画像信号作成部105aで作成された非鮮鋭画像信号に変換処理を加える変換処理部、105cは原画像信号と変換処理後の画像信号との差分及び非鮮鋭画像信号と変換処理後の画像信号と間の差分をとる差分処理部、105dは該差分処理部105cで得られた差分画像信号を加算する加算処理部である。
【0059】
なお、非鮮鋭画像信号作成部105a、変換処理部105b、差分処理部105c及び加算処理部105dとしては、ハードウェアでもソフトウェアでも実現することができる。
【0060】
すなわち、多重周波数処理手段105では、以上の処理特性決定手段104で決定された特性に基づき、非鮮鋭画像作成部105aが作成した非鮮鋭画像に対して、変換処理部105bが複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施す。そして、差分処理部105cは、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分を生成し、該差分によって得られる差分画像信号を加算処理部105dが加算することによって、多重周波数処理を実行して処理済画像信号を生成する。
【0061】
このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
非鮮鋭画像信号作成部105aは、原画像信号に対して例えばピラミッドアルゴリズムを用いて非鮮鋭画像信号を作成する。非鮮鋭画像信号作成部105aからは、周波数特性の異なる複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号が得られる。変換処理部105bは、得られた非鮮鋭画像信号に対して画像信号変換処理を行なう。この画像信号変換処理としては、公知のあらゆる画像信号変換処理技術を用いることができる。
【0062】
差分処理部105cは、このようにして得られた変換画像信号と原画像信号及び、非鮮鋭画像信号と変換画像信号との差分を求める。ここで、得られる差分画像信号は、隣り合う周波数帯域の非鮮鋭画像信号あるいは原画像信号と変換後の非鮮鋭画像信号の差分である。次に、加算処理部105dは差分処理部105cで得られた差分信号を加算して高周波成分信号を求める。このようにして得られた高周波成分信号を原画像信号に加算することにより、処理済み画像信号が得られる。
【0063】
なお、この多重周波数処理手段105が実行する多重周波数処理としては、本実施の形態例においては、以下の(a)〜(j)のようなものがある。
(a)病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施す。この処理により、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0064】
(b)病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施す。この処理により、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0065】
(c)病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施すと共に、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施す。この処理により、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0066】
(d)上記(a)〜(c)において、処理する複数の周波数帯域に含まれる低周波の周波数成分を抑制する処理を施す。この処理により、背景トレンドの影響が強い部位では、病変が存在する位置によって特徴が変化するため背景トレンドの抑制が極めて重要な課題である。そのような場合に、背景トレンドが含まれる低周波成分を抑制することで、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0067】
(e)上記(a)〜(c)において、前記変換処理として、低周波成分と高周波成分とを抑制し、その中間の周波数成分を強調する。ここで、低周波成分とは、背景トレンドが含まれるような周波数成分をさし、高周波成分とは、ノイズなどが含まれるような高周波成分をさしている。そして、この処理によれば、異常陰影はこの間の周波数帯域に存在するため、異常陰影以外の周波数成分を抑制し、異常陰影が存在する可能性がある周波数成分を強調することにより、異常陰影検出処理の性能向上につながる。
【0068】
(f)上記(a)〜(e)において、医用画像信号がマンモグラムもしくは胸部単純X線画像であって、検出目的の異常陰影が腫瘤陰影の場合、0.016lp/mmより低周波成分と0.1lp/mmより高周波成分とを抑制する処理を施す。この処理により、直径5mm〜30mmに相当する腫瘤の成分が画像中で浮き立ち、検出が容易になる。
【0069】
(g)上記(a)〜(e)において、被写体部位または異常陰影の種類の少なくとも一方に基づいて、抑制または強調する周波数帯域を決定して、処理を施す。この処理により、検出目的に応じた画像を作成することができるようになり、決定に用いた被写体部位あるいは異常陰影の種類に適した多重周波数処理が可能になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
(h)医用画像信号の濃度もしくは画素値のすくなくとも一方に依存した処理を施す。この処理により、異常陰影が出現する可能性が高い濃度あるいは画素値のみを強調することや、や比較的コントラストがつきやすい濃度あるいは画素値を抑制し、コントラストがつきにくい濃度あるいは画素値を強調することにより、どの濃度域の病変も同様な基準で検出することが可能であるため、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別がつきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0070】
(i)上記(g)において、医用画像信号がマンモグラムの場合、低周波成分を所有する非鮮鋭画像信号の、低濃度、もしくは、低画素値の強調度を抑制する処理を施す。この処理により、マンモグラムではスキンラインに近い高濃度部分(高画素値)の背景トレンドが強い。このような場合に、低濃度(低画素値)の低周波部分の強調度を抑制することにより、過補正を防ぎ、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別が一層つきやすい状態になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0071】
(j)上記(a)〜(c)または(g)において、医用画像信号がマンモグラムの場合、分類手段103での乳腺の退縮状態に関する分類結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域、抑制または強調する濃度、もしくは、抑制または強調する画素値を決定して、処理を施す。この処理により、分類された結果に応じて適した多重周波数処理が可能になり、異常陰影の候補の検出が容易になる。たとえば、厚い乳腺が広く広がっている画像に対しては、厚い乳腺内に異常陰影が存在する可能性が強いため、コントラストが付きにくいとし、強調度を大きくしたり、乳腺が殆ど脂肪組織に置き換わっているような画像では、コントラストがつきやすいため、強調度を抑えることにより、検出率の向上が図れる。
【0072】
なお、図5は多重周波数処理手段105における多重周波数処理の周波数特性の一例を示す特性図である。ここで、横軸は空間周波数、縦軸はレスポンス(強調あるいは抑制の度合い)を示す。ここで横軸の単位であるcyle/mmは、lp/mmと同義である。高い周波数から順に▲1▼〜▲6▼の周波数帯が存在しており、たとえば、▲1▼〜▲5▼を組み合わせて▲4▼あるいは▲5▼付近の周波数帯を強調したものが▲7▼の特性であり、▲1▼〜▲6▼を組み合わせて▲4▼〜▲6▼(特に▲5▼)付近の周波数帯を強調したものが▲8▼の特性である。
【0073】
以上のような多重周波数処理を施した様子の一例を図6に示す。ここで、図6(a)は医用画像信号をそのまま表示した例であり、図6(b)は上記図6(a)の点A−点B間の破線部分のプロファイルを示し、図6(c)は多重周波数処理により変換された処理済画像信号による画像を示し、図6(d)は上記図6(c)の点C−点D間の破線部分のプロファイルを示している。
【0074】
この図6からも明らかなように、本実施の形態例の多重周波数処理によれば、図6(d)▲1▼部分にあるように腫瘤陰影の特徴が強調されていることが証明されている。
【0075】
〈(4)異常陰影検出〉
多重周波数処理手段105によって多重周波数処理が行なわれた処理済画像信号について、異常陰影検出手段106によって異常陰影候補の検出がなされる(図1S5)。すなわち、異常陰影候補を検出するコンピュータ診断支援(Computer-Aided Diagnosis:CAD)が実行される。
【0076】
異常陰影検出手段106は、多重周波数処理手段105で処理された処理済画像信号を解析することにより、例えば図7に示すような微小石灰化クラスタ及び腫瘤陰影の検出を行なう。図7は本発明の一実施例におけるディスプレイ上に表示した表示画面中のメイン画像の一例を中間調画像の写真で示す図である。
【0077】
図7の(a)に微小石灰化クラスタの例を示す。微小石灰化が集まって(クラスタ化して)存在すると、そこが初期の癌である可能性が高いため、早期の乳癌を見つけるために重要な所見の一つである。マンモグラム上では、略円錐構造をもった小さく白い陰影として表示される。また、(b)に示す腫瘤陰影は、ある程度の大きさをもった塊、マンモグラム上ではガウス分布に近い白っぽく丸い陰影として表示される。
【0078】
〈(5)結果表示〉
画像出力制御手段107は、画像表示手段108に画像表示(図1S6)する際、あるいは、画像プリント手段109でプリント出力する際に、
▲1▼異常陰影検出手段106によって検出された異常陰影の候補を、処理済画像信号の表示に重ねた状態での表示、
▲2▼異常陰影検出手段106によって検出された異常陰影の候補を、処理済画像信号の表示に重ねない状態での表示、
▲3▼異常陰影検出手段106によって検出された異常陰影の候補を処理済画像信号の表示に重ねた状態の表示と、異常陰影検出手段106によって検出された異常陰影の候補を処理済画像信号の表示に重ねない状態の表示の両方による表示、
のいずれかで表示することが望ましい。
▲4▼以上の▲1▼〜▲3▼において、処理済画像信号による画像と、医用画像信号による画像のいずれか一方または両方を選択できるようにして、異常陰影の候補と重ねた状態の表示をする、ことも望ましい。
【0079】
この発明では、検出された異常陰影の候補を、処理済画像信号(あるいは医用画像信号)の表示に重ねた状態、もしくは、処理済画像信号(あるいは医用画像信号)の表示に重ねない状態、の一方または両方の状態で表示するようにしているため、表示された画像によって異常陰影の候補の検出が容易になる。
【0080】
なお、結果の表示として、画像上の異常陰影の箇所に矢印、四角(□)、三角(△)等を書いてもよいし(図8参照)画像上の異常陰影の箇所の輪郭線等を書いてもよいし(図9参照)、異常陰影検出手段106が検出した異常陰影の形状をそのまま出力してもよい。
【0081】
また、処理済画像信号の表示に異常陰影の候補を重ねない場合には、処理済画像信号の表示外に被写体のシューマを作成し、実際の被写体とおおまかに位置が合う場所に異常陰影の候補の結果を出力するようにしてもよい。
【0082】
また、例えば、画像表示手段108に表示されている画像に対して、読影者が異常陰影であるとして表示されている矢印等の印をマウスでクリックすると、異常陰影検出手段106が異常と判断した主な指標を表示する。或いは、CADが異常陰影であると出力した結果毎に指標をリスト表示してもよい。
【0083】
なお、以上の説明は、異常陰影検出装置としての実施の形態例であったが、フィルム出力あるいはCRT表示を行う画像出力装置の実施の形態例に適用することも可能である。
【0084】
すなわち、画像出力装置の実施の形態例としては、被写体からの医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成して画像出力する際に、前記変換処理として、(a)病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理と、(b)病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理と、の少なくとも一方を施し、そのような変換処理を施した処理済画像信号に基づいた画像を出力する、ように構成する。
【0085】
このように、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施し、または/そして、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施し、そのような処理の結果の画像をCRTディスプレイに表示したり、フィルムに出力することによって、病変を強調した画像を提示することができ、診断性能の向上が期待できる。
【0086】
なお、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理としては、背景トレンドに相当する低周波成分とノイズに相当する高周波成分とを同時に抑制する処理であることが好ましい。
【0087】
このような画像出力装置によれば、たとえばマンモグラムの場合、目的の病変が腫瘤陰影の場合、背景トレンドに相当する低周波成分、ノイズや乳腺などに相当する高周波成分、との間の中間周波成分に腫瘤陰影が存在する可能性が高く、低周波成分と高周波成分とを同時に抑制し、中間周波成分を強調する周波数特性の設計が病変の強調に有効である。病変の強調がなされたこの画像を読影に提示することにより、読影性能の向上が期待できる。なお、この場合の画像出力装置とは、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、あるいは、フィルム出力装置などが該当する。
【0088】
なお、上述の実施の形態例は本発明の一例であり、この構成に限られるものではない。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、検出目的としている異常陰影と正常組織との区別をつきやすい状態にして、検出を容易にできる異常陰影検出装置および画像出力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態例を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態例の様子をディスプレイ上に表示した表示画面を中間調画像の写真で示す説明図である。
【図7】検出画像例を示す図で、本発明の一実施例におけるディスプレイ上に表示した表示画面中のメイン画像の一例を中間調画像の写真で示す図である。
【図8】本発明の一実施例におけるディスプレイ上に表示した表示画面中の一例を中間調画像の写真で示す図である。
【図9】本発明の一実施例におけるディスプレイ上に表示した表示画面中の一例を中間調画像の写真で示す図である。
【符号の説明】
101 画像データ入力手段
102 画像データ記憶手段
103 分類手段
104 処理特性決定手段
105 多重周波数処理手段
106 異常陰影検出手段
107 画像出力制御手段
108 画像表示手段
109 画像プリント手段
Claims (13)
- 被写体から得られた医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成する多重周波数処理手段と、
該多重周波数処理手段で得られる処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する異常陰影検出手段と、
前記医用画像信号がマンモグラムの場合に乳腺の退縮状態に応じて前記医用画像信号を分類する分類手段と、
を有し、
前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域を決定し、複数の差分画像の中から選択して加算処理を行う、
ことを特徴とする異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理、または、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理、の少なくとも一方の処理を施す、
ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施すと共に、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理を施す、
ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、処理する複数の周波数帯域に含まれる低周波の周波数成分を抑制する処理を施す、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、低周波成分と高周波成分とを抑制し、その中間の周波数成分を強調する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異常陰影検出装置。 - 前記医用画像信号がマンモグラムもしくは胸部単純X線画像であって、検出目的の異常陰影が腫瘤陰影の場合、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、0.016lp/mmより低周波成分と0.1lp/mmより高周波成分とを抑制する処理を施す、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異常陰影検出装置。 - 被写体部位または異常陰影の種類の少なくとも一方に基づいて、前記多重周波数処理手段における抑制または強調する周波数帯域が決定される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、前記医用画像信号の濃度もしくは画素値のすくなくとも一方に依存した処理を施す、
ことを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置。 - 前記医用画像信号がマンモグラムの場合、前記多重周波数処理手段は、前記変換処理として、低周波成分を所有する非鮮鋭画像信号の、低濃度、もしくは、低画素値の強調度を抑制する処理を施す、
ことを特徴とする請求項8記載の異常陰影検出装置。 - 前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する濃度、もしくは、抑制または強調する画素値を決定する、
ことを特徴とする請求項8記載の異常陰影検出装置。 - 被写体から得られた医用画像信号、もしくは、前記多重周波数処理手段で処理することにより得られる前記処理済画像信号の少なくとも一方を表示する表示装置を有し、
前記異常陰影検出手段によって検出された異常陰影の候補を、前記医用画像信号もしくは前記処理済画像信号の表示に重ねた状態、または、前記医用画像信号もしくは前記処理済画像信号の表示に重ねない状態、のすくなくとも一方の状態で表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の異常陰影検出装置。 - 被写体から得られた医用画像信号に対して、複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号に変換処理を施し、前記非鮮鋭画像と前記変換処理後の画像信号の差分によって得られる差分画像信号を加算することにより処理済画像信号を生成する多重周波数処理手段と、
該多重周波数処理手段で得られる処理済画像信号を用いて異常陰影を検出する異常陰影検出手段と、
前記医用画像信号がマンモグラムの場合に乳腺の退縮状態に応じて前記医用画像信号を分類する分類手段と、
前記多重周波数処理手段で変換処理された処理済画像信号に基づいた画像を出力する画像出力手段と、
を有し、
前記多重周波数処理手段は、前記分類手段で分類された結果に応じて、抑制または強調する周波数帯域を決定し、複数の差分画像の中から選択して加算処理を行い、前記変換処理として、病変を含む周波数帯域の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を強調する処理を施す処理、あるいは、病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理、の少なくとも一方の処理を施し、
前記画像出力手段は、前記多重周波数処理手段で変換処理された処理済画像信号に基づいた画像を出力する、
ことを特徴とする画像出力装置。 - 前記病変を含む周波数帯域以外の周波数成分を所有する非鮮鋭画像信号を抑制する処理は、背景トレンドに相当する低周波成分とノイズに相当する高周波成分とを同時に抑制する処理である、
ことを特徴とする請求項12記載の画像出力装置。
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