JP4099607B2 - 周辺処理装置、その制御方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

周辺処理装置、その制御方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホストから送信されるコマンドやデータに基づいて動作する周辺処理装置、その制御方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周辺処理装置の1つとして、パーソナルチェック(単票用紙)に付されたMICR文字を読み取り可能なMICRリーダが知られている。このMICRリーダの読み取り結果からパーソナルチェックの有効・無効の判断を行なうことができる。パーソナルチェックは、MICRリーダの読み取り結果からその有効性が判断されると、オペレータによって周辺処理装置の1つであるプリンタにセットされ、裏書きが施される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
MICRリーダで読み取られたMICR文字は、予めROMなどに記録されている読み取りフォントに基づいて、所定の文字あるいは記号として認識されるようになっている。従来のMICRリーダにおいて、その読み取りフォントは1種類であり、種類の異なるものに対しては、複数のMICRリーダを用意して使い分ける必要がある。そこで、複数の読み取りフォントを搭載しておき、ホスト側から読み取りフォントの指定を行なうようにすることが考えられる。このように読み取りフォントの指定を行なえるようにすれば、フォントの異なるパーソナルチェックを取り扱うことが可能となる。
【0004】
しかしながら、取り扱われるパーソナルチェックの状況は店舗や地域等により様々である。例えば、フォントについては、読取可能なフォントのうち、所定のフォントを一度セットしておけばそれで良いケースもあれば、パーソナルチェック毎にフォントを選択するケースもある。あるいは、ほとんどの場合、フォントの変更は不要であるが、稀に異なるフォントを読み取らなくてはならないケース等がある。
【0005】
また、MICRリーダの機能とプリンタの機能を複合的に備えた複合装置(以後において、本願明細書ではこのような複合装置をプリンタと称する。)が検討されており、このようなプリンタでは、パーソナルチェックの読取処理と、チェックに裏書きする処理が連続的に行なうことができる。しかしながら、複数の処理を実行可能な装置であるために、MICR文字が読み取れないときの処理などに選択する余地があり、そのときの動作もプリンタの設置されている環境あるいはオペレータによって様々である。また、その時のジョブ毎に動作の設定を変える必要が生じることもある。
【0006】
処理中の動作を変えるには、プリンタに対し、ホストからその処理を実行する実行コマンドに先立って、設定内容を変更する設定コマンドを送り、動作の設定を変更した後にその処理を実行するコマンドを送り、更に、設定をもとに戻すためには設定内容を変更する設定コマンドを再度送る必要がある。従って、パーソナルチェック毎に動作条件を変更するジョブを処理するにはホストとプリンタとの間の通信量が増えて時間がかかり、また、ホストから複数のコマンドを送るためにホスト側の処理負担が増加する。
【0007】
実行コマンド毎に動作内容を指定することも可能であるが、実行する度に動作内容を含んだデータ量の多いコマンドを送る必要があるので、ホストとプリンタとの間の通信量が増加し、処理速度は低下する。また、ホスト側も処理を実行する毎に全ての動作の内容を設定する必要があり、処理負荷が高くなる。このように、MICRリーダとしての機能を内蔵した複合的な機能を備えたプリンタのような多機能型の周辺処理装置においては、その処理過程における動作内容に選択性を持たせて、都合により動作を行なわせるようにすることができるが、ホストと周辺処理装置との間の通信量が増加したり、ホストの処理負荷が増加するために、処理速度が低下する傾向にある。
【0008】
一方、動作内容を変更できるにも係わらず、一旦設定してしまうと、処理を実行するときに、その動作内容を変更できないようでは、フレキシビリティーがなく、周辺処理装置の持っている機能を生かしきることができない。また、オペレータの労力を軽減する効果も少なく、設置された環境(ジョブ内容も含めて)に最適な動作を行なう周辺処理装置を提供することもできない。
【0009】
そこで、本発明においては、通信量を増加したり、処理速度を低下させることなく、動作内容を変更できる周辺処理装置の機能をフレキシブルに発揮できる周辺処理装置、その制御方法を提供することを目的としている。そして、処理速度が速く、しかも、各々の処理における動作を最適に設定できる周辺処理装置、その制御方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、周辺処理装置にホストから送信されるコマンドとして、動作の指定を行なう実行コマンド(第1の実行コマンド)と、動作の指定を行なわない実行コマンド(第2の実行コマンド)を設け、これら2種類の実行コマンドによって、動作の変更が必要なときのみその動作を変更できるようにして、処理速度の低下を防止すると共に処理毎にフレキシブルな対応がとれるようにしている。
【0011】
すなわち、本発明の周辺処理装置は、ホスト装置と接続可能な周辺処理装置であって、
単票用紙に付された磁気パターンを読取可能な読取機構と単票用紙を搬送可能な搬送機構と単票用紙に印刷可能な印刷機構とを備えた処理機構と該処理機構を含めた前記周辺処理装置の各部を制御可能な制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記読取機構で読み取った磁気パターンを認識可能な認識部と、
前記各部の動作のうち、前記読取機構、搬送機構又は認識部の可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンド又は前記可変動作の指定を行なわずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを前記ホスト装置から受信可能な受信部と、
前記受信部において前記第1の実行コマンドが受信されたときは、該第1のコマンドで指定された前記可変動作で前記各部の処理動作を制御し、前記受信部において前記第2のコマンドが受信されたときは、設定済みの前記可変動作で前記各部の処理動作を制御可能なコマンド実行部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の周辺処理装置の制御方法は、ホスト装置と接続可能な、単票用紙に付された磁気パターンを読取可能な読取機構と単票用紙を搬送可能な搬送機構と単票用紙に印刷可能な印刷機構とを備えた処理機構と、前記読取機構で読み取った磁気パターンを認識可能な認識部を備え少なくとも該処理機構を制御可能な制御装置とを有する周辺処理装置の制御方法であって、
前記処理機構を含む前記周辺処理装置の各部の動作のうち、前記読取機構、搬送機構又は認識部の可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンドを前記ホスト装置から受信する第1の受信工程と、
前記可変動作の指定を行なわずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを前記ホスト装置から受信する第2の受信工程と、
前記第1の実行コマンドを受信したときは、該第1の実行コマンドで設定された前記可変動作で前記各部の処理動作を制御する第1のコマンド実行工程と、
前記第2の実行コマンドを受信したときは、設定済みの前記可変動作で前記各部の処理動作を制御する第2のコマンド実行工程とを有し、
前記コマンド実行工程は、単票用紙に付された磁気パターンを読み取る読取工程と、前記読取工程で読み取った磁気パターンを認識する認識工程と、単票用紙を搬送する搬送工程と、単票用紙に印刷する印刷工程とを備えており、
前記可変動作は、前記読取工程、搬送工程又は認識工程における動作であることを特徴としている。
【0013】
本発明の周辺処理装置あるいはその制御方法では、受信部あるいは受信工程において、処理機構を含む周辺処理装置の各部の可変動作の指示と共に処理機構を含む周辺処理装置の各部の処理動作の実行を指示する第1の実行コマンドをホスト装置から受信すると、コマンド実行部あるいはコマンド実行工程において、第1の実行コマンドで指示された可変動作で処理機構を含む周辺処理装置の各部の動作が制御される。従って、個々の処理動作毎に可変動作をフレキシブルに選択できる。一方、受信部又は受信工程において可変動作の指定を伴わずに処理機構を含む周辺処理装置の各部の処理動作の実行を指示する第2の実行コマンドをホスト装置から受信すると、設定済みの可変動作により処理機構を含む周辺処理装置の各部における処理動作が実行される。従って、設定状態で処理機構を含む周辺処理装置の各部における処理動作を実行するときは、ホストから周辺処理装置の制御装置にその処理動作を指示するコマンドを送れば良いので通信量は少なくても良く、処理速度の低下を防止できる。
また、上述したMICRリーダ機能を含んだ複合装置であるプリンタに対して本発明を適用することができる。すなわち、処理機構に、単票用紙に付された磁気パターンを読取可能な読取機構と、単票用紙を搬送可能な搬送機構と、単票用紙に印刷可能な印刷機構とが設けられ、制御装置に、読取機構で読み取った磁気パターンを認識可能な認識部が設けられている周辺処理装置に対して適用できる。この場合、可変動作の対象としては、読取機構、搬送機構又は認識部の動作とすることができる
【0014】
このように本発明の周辺処理装置あるいは制御方法においては、条件を一時的に変える場合は、ホストから周辺処理装置の制御装置にその条件を指定する実行コマンドを送れば良いので、いちいち設定内容を変更する必要がなく、ホストと周辺処理装置で交換するコマンドの量を低減でき、処理速度を向上できる。また、設定内容を変更していないので、実行コマンド処理の前後で周辺装置の状態に変化のない安定した動作が可能となる。
【0015】
一方、設定条件を変更しないときは、ホストから周辺処理装置の制御装置に実行コマンドだけを送れば良いので、そのときの処理速度の低下も防止できる。従って、可変動作できる周辺処理装置の機能を各処理毎にフレキシブルに設定し処理速度の低下を防止できると共に、条件が一定の場合は、処理毎に条件を設定しなくても良いので、更に処理速度の向上を図ることができる。
【0016】
このような第1及び第2の実行コマンドを設けることによってホスト側の処理負荷も低減できる。すなわち、処理機構を含む周辺処理装置の各部の動作のうち、変更可能な可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンド及び可変動作の指定を行わずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを周辺処理装置の制御装置に送信可能な出力部を有することを特徴とするホスト装置を提供できる。このようなホスト装置であれば、可変動作の変更が必要なときだけ第1の実行コマンドを周辺処理装置の制御装置に送り、その他のときはデータ量の少ない第2の実行コマンドを周辺処理装置の制御装置に送れば良いので、実行コマンド用のデータを作成したり、その実行コマンドを周辺処理装置と交換する処理時間を短縮することができる。
【0017】
更に、周辺処理装置で設定される可変動作を変更できる設定コマンドを設けて、ホストから周辺処理装置に送信しその周辺処理装置の側で受信して、設定済みの条件を変更できるようにしておくことが望ましい。設定コマンドにより周辺処理装置のデフォルトの可変動作を変更できるので、第1の実行コマンドが送信される頻度を少なくすることができる。従って、それぞれの処理に適した動作を更に速くすることができる周辺処理装置及び制御方法を提供できる。
【0019】
また、第1の実行コマンドによって、可変動作として認識部で読み取るフォントの種類を指定できるようにすることが望ましい。このようにすれば、1台の複合装置でフォントの異なる磁気パターンが付された単票用紙を取り扱うことが可能となり、オペレータにかかる負担を大幅に軽減できる。
【0020】
更に、第1の実行コマンドによって、認識部における動作で認識不可能文字を検出したときの読取動作及び認識動作を指定できるようにすることが望ましい。このようにすれば、認識動作において認識不可能文字が発生したら読取動作及び認識動作を終了させたり、認識不可能文字が発生したときに、その文字を特定の記号に置換して最後まで読取動作及び認識動作を行わせたりするなどといった複数の動作の内から、オペレータの意図などに応じた動作を行なわせることができる。
【0021】
このような周辺処理装置の場合には、第1の実行コマンドによって、可変動作として読取機構における読取範囲を指定できるようにしておくことが望ましい。読取範囲を指定できれば、そのときの取り扱う単票用紙の状態に則して読取範囲を限定することにより、読取機構における動作(読取動作)及び認識部における動作(認識動作)を短時間で行なうことができる。また、読取範囲を全範囲に指定すれば、全ての磁気パターンを確実に読み取ることができる。
【0022】
また、第1の実行コマンドによって、認識動作後の搬送機構における動作(搬送動作)を指定できるようにすることが望ましく、このようにすれば、認識動作が終了した後に、単票用紙を搬出させる、あるいは裏書きさせる位置に待避させるなどの動作が可能となり、オペレータの意図により応じた動作を行なわせることができる。
【0023】
更に、上記の複合装置の場合、搬送機構は前後方向に単票用紙を送れるので、認識動作が正常に終了しないときに単票用紙を自動的にMICR文字の先頭から読めるようにセットし直して読取動作及び認識動作を繰り返すオートリトライ動作を行うことができる。このオートリトライ動作を、第1の実行コマンドによって指定できれば、認識処理が正常に終了しないとき、例えば、認識不可能文字があったときには、単票用紙をセットし直して再び読取動作及び認識動作を行わせるという動作が可能となる。
【0024】
更にまた、第1の実行コマンドによって、上述したそれぞれの動作を一括して指定できるようにすることも可能である。このようにすれば、より多彩な動作を行なわせることができる。また、第1の実行コマンドによって、印刷機構における動作の設定を指定できるようにすることも可能である。
【0025】
上述した周辺処理装置の制御方法は、上記の機能を周辺処理装置の制御装置に実現させる制御プログラムとして記録媒体であるROMなどに記録して提供可能である。
【0026】
一方、ホスト装置から第1及び第2の実行コマンドを送信する機能はドライバプログラムとして適当なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を適用した印刷装置を説明する。図1に、周辺処理装置として、MICRリーダの機能とプリンタの機能が一体化された周辺処理装置(以下、プリンタ)の外観を示してある。また、図2に、プリンタの概略構成を紙経路に沿って模式的に示してある。
【0028】
本例のプリンタ1は、店舗の支払いに使用される個人使用可能な小切手として、銀行で発行される単票用紙(パーソナルチェック、以下、チェックという。)6を取扱できるようになっている。チェック6は、その表面に、使用者の口座番号、チェック紙の通し番号などが磁気パターンの1つであるMICR文字6aで印刷されたものである。MICR文字6aとして印刷された各データは、MICR文字6aをMICRヘッド(磁気ヘッド)でサーチすることにより得られる文字波形を解析することによって判別される。
【0029】
本例のプリンタ1は、上面がドキュメントテーブル3になったほぼ直方体状のベース部2と、ドキュメントテーブル3のほぼ中央部分に取り付けられた上部カバー4を有し、これらによって手前のチェック6の挿入口7から後方の排出口8に至る紙経路5が構成されている。挿入口7に対しては、チェック6を紙経路5に沿った方向(X方向)と紙経路5に直交する方向(Y方向)のそれぞれの方向から挿入できるようになっている。本例のプリンタ1には、ドキュメントテーブル3の図面に向かって右側にはローカル操作を行うための操作パネル9aが設けられ、また、ベース部2に電源スイッチ9bが設けられている。
【0030】
本例のプリンタ1においては、ベース部2と上部カバー4によって構成された紙経路5には、挿入側から排紙側に向けて、チェック6を紙経路5に沿った方向に紙送り可能な紙送りローラ11などを備えた紙送り機構(搬送機構)10、チェック6に裏書きを行うことが可能な印刷ヘッド13を備えた印刷機構12及びチェック6に付されたMICR文字6aを読取可能なMICRヘッド15を備えたMICR読取機構14がこの順序で配列されている。これらの各機構10、12及び14は制御装置20によって制御されるようになっている。このように本例のプリンタ1は、MICR読取機構14と印刷機構12を備えた複合型の処理装置である。
【0031】
制御装置20は、CPU21を中心に構成されており、このCPU21には、各機構10、12及び14などを制御するための制御プログラムや各種の動作パラメータなどが記録されたROM22と、それらの動作パラメータを一時的に格納するための動作パラメータ格納領域23aが確保され、また、MICR文字6aを読み取ることにより得られるMICRデータ、このMICRデータの認識結果及びホストから送信される印刷データの一時記憶領域などが確保されるRAM23と、パソコンなどのホスト30あるいはPOSなどの機器とインターフェースケーブル31あるいは赤外線インターフェースなどによって接続されたインターフェース24とが接続されている。このインターフェース24を介してホストとの間でコマンド、制御情報、印刷データを送受信できるようになっている。また、CPU21には、紙送り機構10を制御可能な紙送り制御回路25、印刷機構12を制御可能な印刷制御回路26及びMICR読取機構14を制御可能なMICR制御回路27が接続されており、各機構10、12及び14がそれぞれの制御回路25、26及び27を介してCPU21によって制御される。
【0032】
プリンタ1は、ホスト30と接続され、ホスト30上で稼働するアプリケーションプログラムから制御される。また、ホスト30となるパソコンやPOSは、フロッピーディスク32やCD−ROMなどの移動式の記録媒体を介して供給された制御プログラムをプリンタ1に供給することも可能である。更に、ホスト30となるパソコンにインターネットなどのコンピュータネットワーク33と交信する機能を設け、ネットワーク経由で供給される制御プログラムを受信してハードディスク34などの内蔵型の記録装置に一旦記録した後、その制御プログラムをプリンタ1に供給することも可能である。勿論、LANドライバをプリンタ1に搭載し、プリンタ1をネットワークに直に接続して、制御プログラムなどをネットワーク経由でプリンタ1に供給することも可能である。
【0033】
このような本例のプリンタ1における基本的な動作は次の通りである。挿入口7にチェック6が挿入されると、チェック6が紙送り機構10によって、MICR文字6aの後端部分がMICRヘッド15の上に配置する読取位置Rまで紙送りされる。その後、紙送り機構10によって逆方向(挿入口7の方向)に送られながら、そこに付されているMICR文字6aがMICRヘッド15によって読み込まれる。MICR文字6aが全て読み込まれると、裏書きされるべき部分が印刷ヘッド12の上に位置する印刷位置Pまで搬送される。本例のプリンタ1では、MICRヘッド15で得られた文字波形が全て所定の文字として認識されると、インターフェース24を介してその認識結果(認識文字列)がホスト30に送信される。ホスト30側でその認識結果に基づきチェック6の有効性が確認されると、ホスト30からプリンタ1に対してチェック6の裏書きを開始するためのコマンドや印刷データが送信される。プリンタ1では、このコマンドや印刷データに基づきチェック6に裏書きを施す。そして、裏書きが終了した後は、紙送り機構10によって排紙口8からチェック6が排出される。すなわち、チェック6が紙送り機構10によって排出位置Hまで紙送りされる。また、MICRヘッド15で読み込まれたデータの全てが文字として認識されない場合や、パソコン30側でチェック6の有効性が確認できない場合は、印刷位置Pに保持されているチェック6が紙送り機構10によって強制的に排出位置Hに搬送される。
【0034】
本例のプリンタ1においては、上述した基本的な動作を、パソコン30のホストなどから送信される動作設定コマンドを受信することによって変更することができる。すなわち、紙送り機構10における搬送動作、印刷機構12における印刷動作及びMICR読取機構14における読取動作などの設定を変更することができるようになっている。また、変更された各動作の設定(動作パラメータ)が使用されるか否かはホスト30から送信されてくる実行コマンドによって決定されるようになっている。
【0035】
図3に制御装置20の概略の機能ブロック図を示してある。この図に示すように、本例の制御装置20は、各処理機構及び各部を稼働してチェック6の処理を実行するための実行コマンドφ1や、各処理機構及び各部の所定の動作を変更する動作設定コマンドφ2などのホスト30から送信される各種のコマンドφ3を受信可能なコマンド受信部41と、MICR読取機構14のMICRヘッド15で読み取ったMICR文字6aを認識可能な認識部42と、各種のコマンドφ3を実行可能なコマンド実行部43と、認識部42の認識結果をホスト30に送信可能なデータ送信部44とを有している。また、コマンド受信部41で受信されたコマンドを解析するコマンド解析部48と、各種の動作を行わせるための動作パラメータ(設定)が格納されている動作パラメータ格納部50とを有している。更に、紙送り機構10、印刷機構12及びMICR読取機構14を、それぞれ制御可能な紙送り機構制御部47、印刷機構制御部46及び読取機構制御部45を有している。更にまた、認識部42における認識結果が格納される認識結果格納部51を有している。
【0036】
認識部42は、コマンド実行部43の制御のもとに、MICRヘッド15によって読み取られたMICR文字6aを所定の読取フォントに基づき解析でき、また、認識不可能文字があるとその文字を所定の記号、例えば、”?”に置き換えることができる。この認識部42における認識動作では、動作パラメータ格納部50の動作パラメータで指示されている読取フォントが用いられる。
【0037】
データ送信部44は、コマンド実行部43の制御のもとに、認識部42の認識結果をホスト30に送信できるようになっており、本例では、認識動作の終了状態に応じて第1及び第2の送信データを送信できる。第1の送信データは”ヘッダー+読取ステータス+認識文字列+NUL”であり、第2の送信データは”ヘッダー+読取ステータス+NUL”である。なお、ヘッダーは認識結果の送信データであることを示すデータであり、読取ステータスは認識部42における認識動作が正常終了あるいは異常終了したか否かを示すデータである。また、認識文字列は認識部42における認識結果であり、”NUL”は送信データの終端を示す終端記号である。認識動作が正常終了であると判断されると第1の送信データが送信され、認識動作が異常終了であると判断されると第2の送信データが送信される。第2の送信データが送信される場合は次の2通りである。なお、送信データに含まれる読取ステータスは図4(A)及び(B)に示す通りである。
【0038】
第2の送信データが送信される場合:
1.MICR読取機構14でMICR文字6aを読み取ったときに、文字波形が得られなかったとき。
【0039】
2.認識部42の認識動作が認識不可能文字を”?”に置き換えるように設定されており、その認識不可能文字が所定の個数(本例では、3個)より多いとき。
【0040】
本例では、ホスト30は、プリンタ1との間でコマンドなどのデータ交換が可能なドライバ37を有している。このドライバ37には、実行コマンドφ1として、紙送り機構10、MICR読取機構14及び認識部42の動作のうち、変更可能な可変動作の指定と共にそれらの稼働を指示する第1の実行コマンドφ11及び可変動作の指定を行なわずにそれらの稼働を指示する第2の実行コマンドφ12を生成する実行コマンド生成部38と、可変動作の設定を変更する各種の動作設定コマンドφ2を生成する動作設定コマンド生成部39とが備わっている。動作設定コマンド生成部39では、動作設定コマンドφ2として、例えば、チェック6の読取動作の設定を変更するための第1の設定コマンドφ21、チェック6の読取動作の一括指定を行なうための第2の設定コマンドφ22が生成される。なお、本例では、これらの動作設定コマンドφ21、φ22によって変更可能な動作が可変動作である。
【0041】
制御装置20において、コマンド実行部43は、第1の実行コマンドφ11で指定された可変動作で紙送り機構制御部47、印刷機構制御部46及び読取機構制御部45を介してそれぞれの機構10、12及び14を制御できるようになっている。また、コマンド実行部43は、第1の実行コマンドφ11で指定された可変動作で認識部42及びデータ送信部44も制御可能である。このコマンド実行部43は、第2の実行コマンドφ12が入力された場合は、動作パラメータ格納部50に既に設定されている可変動作で各機構10、12及び14、更には、認識部42及びデータ送信部44を制御できるようになっている。更に、コマンド実行部43は、動作設定コマンドφ2、すなわち、第1又は第2の設定コマンドφ21、φ22が入力されると、これらのコマンドに基づき動作パラメータ格納部50に設定されている可変動作の設定を更新し、可変動作の内容を変更できるようになっている。
【0042】
本例では、第1の設定コマンドφ21として、”FS d m n”が用意されている。”FS d”はチェック6の読取動作を選択するコマンドであることを示すデータであり、”m”は読取動作の種類を指定するためのデータである。また、”n”は”m”で指定された読取動作の設定を変更するためのデータである。すなわち、第1の設定コマンドφ21では、”m” 及び”n”の組み合わせによって所定の動作(可変動作)の設定を
変更できる。その可変動作の例を図5(A)及び(B)に示してある。この図に示すように、コマンド実行部43によって動作パラメータ格納部50の可変動作の設定を次のように変更できるようになっている。
【0043】
A.m=0の場合は、読み取りフォントの指定が変更される。具体的には、
n=0であると、認識部42における認識動作の読取フォントがE13Bに設定される。
【0044】
n=1であると、認識部42における認識動作の読取フォントがCMC7に設定される。
【0045】
B.m=1の場合は、認識動作における認識不可能文字の処理方法の指定が変更される。具体的には、
n=0であると、認識部42における認識動作で認識不可能文字が検出されたときにMICR読取機構14による読取動作が中止されるように設定される。
【0046】
n=1であると、認識部42における認識動作で認識不可能文字が検出されると、その認識不可能文字を所定の記号、例えば、”?”に置き換えながら認識動作及びMICR読取機構14による読取動作が継続されるように設定される。
【0047】
C.m=2の場合は、認識動作における読取範囲の指定が変更される。具体的には、
n=0であると、MICR読取機構14による読取動作における読取範囲を制限せずに、MICR文字6aの全ての印刷範囲が読取範囲として設定される。
【0048】
”n”を所定の文字コードとすると、その文字コードが認識部42で認識された時点で読取動作及び認識動作を終了するように設定できる。すなわち、MICR文字6aを読みはじめてから所定の文字を読み取るまでの範囲が読取範囲となり、実質的に読取範囲が狭くなる。
D.m=3の場合は、認識動作後の動作の指定が変更される。具体的には、
n=0であると、認識部42における認識動作が正常終了したときに、紙送り機構10でチェック6を印刷位置Pまで紙送りし、その位置Pに待機させるように設定される。また、認識不可能文字を”?”に置換して認識動作を継続するように設定され、且つ、認識結果がホスト30に送信される場合もチェック6を印刷位置Pに待避させる。
【0049】
n=1が指定されると、認識部42での認識結果に関係なく紙送り機構10でチェック6を排出位置Hに紙送りされるように設定される。
【0050】
E.m=4の場合は、オートリトライ動作の指定が変更される。具体的には、
n=0が指定されると、認識部42の認識結果に関係なく、オートリトライ動作が行われないように設定される。
【0051】
n=1が指定されると、認識部42の認識処理において認識不可能文字が発生したならオートリトライ動作が行われるように設定される。なお、“n”はその回数を指定するためのデータである。
【0052】
本例では、第2の設定コマンドφ22として、”FS e m n1 n2”が用意されている。”FS e”はチェック6の読取動作を一括して変更することができるコマンドであることを示すデータである。”m”は読取動作の種類の指定及び変更を一括して行うためのデータであり、本例では、例えば、1バイトのデータである。図6に示すように、”m”の各ビットには読取動作の種類が割り当てられており、そのビット値を”0”あるいは”1”に変更することにより、可変動作の設定を変更できるようになっている。“n1”は、“m”のビット2で「読み取り範囲を指定する」を指定したときの読み取り範囲を決定する所定の文字コードを指定する。なお、“m”のビット2の指定が「読み取り範囲を指定しない」のとき“n1”は省略可能である。“n2”は、“m”のビット4で「オートリトライを指定する」を指定したときのオートリトライ回数を指定する。なお、“m”のビット4の指定が「オートリトライを指定しない」のとき“n2”は省略可能である。
【0053】
本例では、実行コマンドφ1として、”FS a 0 m n1 n2”が用意されている。”FS a 0”は実行コマンドであることを示すデータである。”m n1 n2”は、可変動作の指定の有無を示すデータであり、“m n1 n2”の構成は第2の設定コマンドφ22のパラメータと同様である。本例では、m=0である実行コマンド(第2の実行コマンド)φ12がコマンド実行部43で実行されると、動作パラメータ格納部50の可変動作の設定が有効とされ、この設定に基づき、チェック6の読取処理が開始される。この場合、“n1 n2”は省略可能であり第2の実行コマンドφ12に含まれない。また、”m”が零でない実行コマンド(第1の実行コマンド)φ11がコマンド実行部43で実行されると、動作パラメータ格納部50の可変動作の設定より、第1の実行コマンドφ11で指定される可変動作の設定、すなわち、上記の”m n1 n2”の値に基づいてチェック6の読取処理が開始されるようになっている。このために、本例では、”m n1 n2”には、チェック6の読取処理における可変動作、すなわち、各種の設定コマンドφ21、φ22によって変更可能な可変動作の設定(動作パラメータ)が割り当てられている。なお、本例では、パラメータmの値を変えることにより、第1及び第2の実行コマンドφ11及びφ12を構成しているが、別個独立の第1及び第2の実行コマンドを設けても良いのは勿論である。
【0054】
このように本例においては、第1の実行コマンドφ11によって、MICR読取機構14における読取範囲の設定を一時的に変更できる。従って、読取範囲を限定することにより、読取動作や認識動作の時間を短くできるので、チェック6の処理時間を短縮できる。また、読取範囲としてMICR文字6aが記録されている全範囲を指定することにより、MICR文字6aの全てを確実に読み取ることができる。また、第1の実行コマンドφ11によって、認識部42で読み取るフォントを一時的に変更できるので、フォントの異なるMICR文字6aが記録された個々のチェック6を1台のプリンタで取り扱うことが可能となり、フォントに応じてプリンタを使い分ける必要がない。従って、オペレータにかかる負担を大幅に軽減できる。更に、第1の実行コマンドφ11によって、認識部42における動作で認識不可能文字を検出したときの読取動作及び認識動作を一時的に変更できる。すなわち、認識部42で認識不可能文字を検出した時点で読取動作を及び認識動作を中止し、又は、認識不可能文字を特定の記号に変換して最後まで読取動作及び認識動作を行なわせるように指定できる。また、第1の実行コマンドφ11によって、認識動作後の搬送機構における搬送動作を指定して、認識動作が終了した後に、単票用紙を搬出させる、あるいは裏書きさせる位置に待避させるなどの動作を一時的に変更することができる。更に、第1の実行コマンドφ11によって、読取動作及び認識動作をやり直すオートリトライ動作を一時的に変更できる。このため、認識処理が正常に終了しないとき、例えば、認識不可能文字があったときには、チェック6をセットし直して再び読取動作及び認識動作を行わせるという動作が可能となる。従って、多彩な動作を認識処理の結果に応じて変更でき、オペレータの意図に則した動作が行なえる。また、このような可変動作の指定は第1の実行コマンドφ11をホスト30からプリンタ1に1回送信するだけで行なうことができるので、データ交換の頻度の点で優れている。
【0055】
次に、チェック6の読取処理を開始する際のホスト30及びプリンタ1の処理を説明する。図7及び図8には、それぞれ、ホスト30及びプリンタ1の処理のフローチャートを示してある。
【0056】
図7に示すように、ホスト30においては、まず、ステップST1で実行コマンドφ1を送信するタイミングになると、ステップST2でプリンタ1の動作設定を変更する必要があるか否かが判断される。プリンタ1の可変動作の設定を変更する必要がなければ、ステップST3で実行コマンドφ1のパラメータ”m”が零になった第2の実行コマンドφ12が実行コマンド生成部38で生成され、ステップST5でこのコマンドφ12がドライバ37から出力される。また、ステップST2において、例えば、認識部42の認識動作(可変動作)における読み取りフォントの設定を変更するなどの必要があれば、ステップST4において、実行コマンドφ1のパラメータ”m”に読み取りフォントを指定するデータがセットされた第1の実行コマンドφ11が実行コマンド生成部38で生成され、このコマンドφ11がステップST5でドライバ37から出力される。なお、本例においては、プリンタ1の動作パラメータ格納部50の可変動作の設定(プリンタ1に予め設定しておく可変動作の設定)を変更する場合は、上述した各種の設定コマンドφ21、φ22を動作設定コマンド生成部39で生成して出力すれば良い。
【0057】
図8に示すように、プリンタ1では、ステップST11において、コマンド受信部41で所定のコマンドφ3が受信されると、コマンド解析部48でそのコマンドφ3の種類が解析される。そして、ステップST12において、解析結果が動作設定コマンドφ2(第1又は第2の設定コマンドφ21、φ22)であれば、ステップST13でその動作設定コマンドφ2に基づき、動作パラメータ格納部50の可変動作の設定が変更される。また、ステップST14で解析結果が実行コマンドφ1であれば、ステップST15で実行コマンドφ1のパラメータ”m”が零であるか否かが判断される。すなわち、第2の実行コマンドφ12であるか否かが判断される。第2の実行コマンドφ12であれば、ステップST18でコマンド実行部43がその第2の実行コマンドφ12に従った処理を実行する。すなわち、動作パラメータ格納部50に設定済みの可変動作の設定(動作パラメータ)に基づき、チェック6の読取処理が開始される。
【0058】
ステップST15において、第1の実行コマンドφ11であれば、ステップST17でこの第1の実行コマンドφ11で指定される可変動作でチェック6の読み取り処理が開始される。なお、コマンド受信部41で受信されたコマンドが実行コマンドφ1又は動作設定コマンドφ2でなければ、ステップST16でその他のコマンドに従った処理が行なわれる。
【0059】
図9及び図10に本例のプリンタ1におけるチェック6の処理動作(ステップST17あるいはステップST18)をフローチャートを用いて示してある。以下では、図2、図9及び図10に基づきチェック6の処理動作を説明する。なお、各可変動作の内容は、上述した第1の実行コマンドφ11と動作設定コマンドφ2(第1又は第2の設定コマンドφ21、φ22)によって決定される。
【0060】
本例のプリンタ1では、チェック6を挿入口7にセットすると、そのチェック6を自動的に読取位置Rまで紙送りされ、そこに保持される。この状態で、上述した実行コマンドφ1が受信されると、ステップST31において、動作パラメータ格納部50のこの動作パラメータに基づき紙送り機構10及びMICR読取機構14が動作し、MICR読取機構14でチェック6のMICR文字6aが読み取られる。
【0061】
次に、ステップST32において、MICR読取機構14から文字波形が得られているか否かが判断され、文字波形が得られていれば、ステップST33において、認識部42によって、読み取りフォント(E13BあるいはCMC7)に基づきその文字波形が解析され、所定の文字として認識される。この認識結果は認識結果格納部51に格納される。そして、ステップST34において、その認識動作において認識不可能文字が検出されると、ステップST35で認識動作が異常終了したと判断され、データ送信部44からホスト30に送信されるデータの読取ステータスが異常終了に設定される。
【0062】
次に、ステップST36において、オートリトライ動作の回数が設定されていれば、上述した読取動作からの処理が再び行われる。オートリトライ動作で全ての文字を解析できれば、上述した読取ステータスが正常終了に設定され、ステップST39においてデータ送信部44からホスト30に第1の送信データ、すなわち、”ヘッダー+読取ステータス(正常終了)+認識結果(解析文字列)+NUL”がホスト30に送信される。なお、ステップST32で全く文字波形が得られなければ、ステップST40においてデータ送信部44からホスト30には第2の送信データ”ヘッダー+読取ステータス(異常終了)+NUL”がホスト30に送信される。
【0063】
設定されている回数のオートリトライ動作を行っても認識不可能文字があるときは、ステップST37において認識部42における認識動作が認識不可能文字を”?”に置換するように設定されているか否かが判断される。このステップST37で認識不可能文字の置換する処理が無効とされている場合は、認識不可能文字を検出した時点で、MICR読取機構14による読取動作及び認識部42による認識動作が強制的に中止される。そして、このときは、ステップST40でデータ送信部44からホスト30に第2の送信データである”ヘッダー+読取ステータス(異常終了)+NUL”がホスト30に送信される。
【0064】
ステップST37において、認識部42で認識不可能文字を”?”に置き換え、読取動作及び認識動作を継続するように設定されていれば、ステップST38において認識部42で認識不可能文字を”?”に置き換えながら読取動作及び認識動作が継続される。そして、ステップST38で認識動作中にその置換された文字(?)がN個以上になれば、本例では、その文字(?)が4個以上になれば、ステップST40でホスト30に第2の送信データである”ヘッダー+読取ステータス(異常終了)+NUL”が送信される。ステップST38で認識動作で認識不可能文字が3個以下であれば、ステップST39において、データ送信部44から第1の送信データ”ヘッダー+読取ステータス(異常終了)+認識文字列(?を含む認識文字列)+NUL”がホスト30に送信される。
【0065】
このように認識部42の認識動作が終了あるいは強制的に中止されると、ステップST41で紙送り機構10によるチェック6の搬送動作が行われる。この搬送動作では、読取ステータスに関係なくチェック6が排出されるように設定されていれば、認識部42における認識結果に関係なく、チェック6が排出位置Hまで紙送りされて装置外部に排出される。また、読取ステータスに応じてチェック6の待機位置が定まるように設定されていれば、チェック6が印刷位置Pに紙送りされ、この位置に待機される。そして、ステップST42でホストから指示に従った処理が行われる。例えば、ホスト30から印刷、すなわち、チェック6に裏書きを実行させるための実行コマンド及び印刷データが送信されると、そのコマンド及びデータに従って裏書きが施される。
【0066】
このように本例のプリンタ1では、第1の実行コマンドφ11を受信すると、コマンド実行部43で第1の実行コマンドφ11のパラメータ“m n1 n2”で指定された可変動作を、動作パラメータ格納部50に既に設定されている可変動作(設定済みの可変動作)より優先して実行する。従って、個々のチェック6を処理する毎にMICR読取機構14における読取動作や搬送機構10における搬送動作などの可変動作をフレキシブルに選択できる。また、可変動作の条件を一時的に変える場合は、その条件を指定する実行コマンド(第1の実行コマンドφ11)を送るのみで良い。すなわち、可変動作を変更してチェック6を処理する場合、可変動作の設定値(動作パラメータ格納部50に設定されている動作パラメータ)を変更するために設定コマンドを送信し、その後、実行コマンドを送信し、更に実行コマンドの処理終了後に可変動作の設定値を元に戻すために設定コマンドを送信するといった手間のかかる処理が不要であり、ホスト30とプリンタ1の間で交換するコマンドを低減でき、処理速度の向上を図ることができる。また、本例のプリンタ1では、動作パラメータ格納部50に設定済みの可変動作の設定を変更できる動作設定コマンドφ2を処理できるので、第1の実行コマンドφ11が送信される頻度を少なくすることができ、それぞれの処理に適した動作を更に速くすることができる。
【0067】
一方、本例のプリンタ1においては、可変動作の指定を行なわずに可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドφ12を受信すると、動作パラメータ格納部50に設定済みの可変動作を実行する。従って、動作パラメータ50に設定済みの可変動作、すなわち、デフォルトの可変動作を実行するときは、その処理を実行するコマンド(第2の実行コマンド)を送れば良い。この第2の実行コマンドφ12には可変動作を指定するデータを入れなくても良いので、このコマンドのデータ量は少ない。このため、動作パラメータ50に設定されている可変動作を実行する場合は、データ通信量を少なくでき、処理速度が低下する弊害を回避できる。従って、可変動作できるプリンタの機能をフレキシブルに設定し処理速度の低下を防止できると共に、可変動作の条件が一定の場合は、それを変更する必要がないので、更に処理速度の向上を図ることができる。また、ホスト30では、プリンタ1において可変動作の変更が必要なときだけ第1の実行コマンドφ11を送り、その他のときは可変動作の指定を行なわず、処理を実行させる機能を持つデータ量の少ない第2の実行コマンドφ12を送出すれば良いので、実行コマンド用のデータを作成したり、その実行コマンドをプリンタ1と交換する処理時間を短縮できる。
【0068】
また、本実施形態においては、MICRリーダの機能とプリンタの機能を複合的に備えた複合装置であるプリンタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホストから送信されるコマンドやデータに基づいて動作する周辺処理装置に適用できる。
【0069】
なお、上述した方法は、プリンタのアプリケーションプログラムなどのソフトウェアとして実現でき、ROM22などに記録して提供可能である。また、ホスト30からプリンタ1に供給してプリンタ1のハードディスクなどの内蔵型の記録媒体に記録することによっても使用できる。勿論、ネットワークを介してプリンタ1でそのプログラムをダウンロードすることによって使用することも可能である。
【0070】
また、ホスト30に実行コマンドφ1や動作設定コマンドφ2を出力する機構は、図7の各ステップを実行させるドライバプログラムをホスト30のハードディスクなどに記録することにより実現できる。また、そのドライバプログラムは、ネットワークを介して提供可能であり、また、CD−ROM等の記録媒体に記録して提供可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の周辺処理装置及び制御方法では、可変動作をあらかじめ周辺処理装置に設定するための設定コマンドと、動作の指定を行なう第1の実行コマンドと、動作の指定を行なわない第2の実行コマンドを設け、これら2種類の実行コマンドによって、動作の変更が必要なときのみその動作を確実に変更できるようにしている。すなわち、処理機構及び周辺処理装置の各部の可変動作の指示と共にその可変動作の実行を指示する第1の実行コマンドをホストから受信すると、その第1の実行コマンドで指示された可変動作を設定済みの可変動作より優先する。このため、個々の処理毎に可変動作を柔軟に選択できる。一方、可変動作の指定を伴わずに処理機構及び周辺処理装置の各部の可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドをホストから受信すると、設定済みの可変動作が行なわれる。従って、設定状態で処理を実行するときには、ホストはその処理を実行するコマンドを周辺処理装置に送るだけで良いので、ホストと周辺処理装置の間のデータ通信量を少なくでき、処理速度の低下を防止できる。
【0072】
このように本発明の周辺処理装置及び制御方法においては、処理毎に条件を変える場合は、ホストはその条件を指定する実行コマンドを送れば良く、周辺処理装置に保存されている設定内容を変更する必要がない。このため、ホストと周辺処理装置で交換するコマンドの量を低減でき、処理速度を向上できる。一方、設定条件を変更しないときは、ホストは実行コマンドだけを送れば良いので、そのときの処理速度の低下も防止できる。従って、可変動作できる周辺処理装置の機能を各処理毎にフレキシブルに設定し処理速度の低下を防止できると共に、条件が一定の場合は、処理毎に条件を設定しなくても良いので、更に処理速度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】 図1に示すプリンタの概略構成を模式的に示す図である。
【図3】 図2に示す制御装置の概略の機能を示すブロック図である。
【図4】 データ送信部から送信されるデータに含まれる読取ステータスを示す図である。
【図5】 第1の設定コマンドの機能を説明するための図である。
【図6】 第2の設定コマンドの機能を説明するための図である。
【図7】 ホストにおけるコマンドを送信するときの処理のフローチャートである。
【図8】 プリンタにおけるコマンドを受信したときの処理のフローチャートである。
【図9】 プリンタにおける認識動作までの処理を示すフローチャートである。
【図10】 認識動作後の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・プリンタ
6・・チェック
6a・・MICR文字
10・・紙送り機構(搬送機能)
12・・印刷機構
14・・MICR読取機構
20・・制御装置
30・・ホスト
37・・ドライバ
38・・実行コマンド生成部
39・・動作設定コマンド生成部
41・・コマンド受信部
42・・認識部
43・・コマンド実行部
44・・データ送信部
50・・動作パラメータ格納部50
φ1・・実行コマンド
φ2・・動作設定コマンド
φ11・・第1の実行コマンド
φ12・・第2の実行コマンド

Claims (12)

  1. ホスト装置と接続可能な周辺処理装置であって、
    単票用紙に付された磁気パターンを読取可能な読取機構と単票用紙を搬送可能な搬送機構と単票用紙に印刷可能な印刷機構とを備えた処理機構と該処理機構を含めた前記周辺処理装置の各部を制御可能な制御装置とを有し、
    前記制御装置は、前記読取機構で読み取った磁気パターンを認識可能な認識部と、
    前記各部の動作のうち、前記読取機構、搬送機構又は認識部の可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンド又は前記可変動作の指定を行なわずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを前記ホスト装置から受信可能な受信部と、
    前記受信部において前記第1の実行コマンドが受信されたときは、該第1のコマンドで指定された前記可変動作で前記各部の処理動作を制御し、前記受信部において前記第2のコマンドが受信されたときは、設定済みの前記可変動作で前記各部の処理動作を制御可能なコマンド実行部とを備えていることを特徴とする周辺処理装置。
  2. 請求項1において、前記受信部は、更に、前記可変動作を変更する設定コマンドを前記ホスト装置から受信可能であり、前記コマンド実行部は、前記設定コマンドにより前記可変動作の設定を変更可能であることを特徴とする周辺処理装置。
  3. 請求項2において、前記第1の実行コマンド又は設定コマンドは、前記可変動作として、前記認識部で読み取るフォントの種類、前記認識部で認識不可能文字を検出したときの前記読取機構及び認識部の動作、前記読取機構における読取範囲、前記認識部の動作の後の前記搬送機構における動作又は前記読取機構及び認識部で実行可能なオートリトライ動作を指定可能であることを特徴とする周辺処理装置。
  4. 請求項2または3において、前記第1の実行コマンド又は設定コマンドは、前記読取機構、搬送機構又は認識部の動作を一括して指定可能であることを特徴とする周辺処理装置。
  5. 処理機構と少なくとも該処理機構を制御可能な制御装置とを有する請求項1から4の何れかに記載の周辺処理装置を接続可能なホスト装置であって、
    前記処理機構を含む前記周辺処理装置の各部の動作のうち、前記読取機構、搬送機構又は認識部の可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンド又は前記可変動作の指定を行わずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを前記制御装置に送信可能な出力部を有することを特徴とするホスト装置。
  6. 請求項において、前記出力部は、更に、前記制御装置に対して前記可変動作の設定を変更する設定コマンドの送信も可能であることを特徴とするホスト装置。
  7. ホスト装置と接続可能な、単票用紙に付された磁気パターンを読取可能な読取機構と単票用紙を搬送可能な搬送機構と単票用紙に印刷可能な印刷機構とを備えた処理機構と、前記読取機構で読み取った磁気パターンを認識可能な認識部を備え少なくとも該処理機構を制御可能な制御装置とを有する周辺処理装置の制御方法であって、
    前記処理機構を含む前記周辺処理装置の各部の動作のうち、前記読取機構、搬送機構又は認識部の可変動作の指定と共に前記可変動作の実行を指示する第1の実行コマンドを前記ホスト装置から受信する第1の受信工程と、
    前記可変動作の指定を行なわずに前記可変動作の実行を指示する第2の実行コマンドを前記ホスト装置から受信する第2の受信工程と、
    前記第1の実行コマンドを受信したときは、該第1の実行コマンドで設定された前記可変動作で前記各部の処理動作を制御する第1のコマンド実行工程と、
    前記第2の実行コマンドを受信したときは、設定済みの前記可変動作で前記各部の処理動作を制御する第2のコマンド実行工程とを有し、
    前記コマンド実行工程は、単票用紙に付された磁気パターンを読み取る読取工程と、前記読取工程で読み取った磁気パターンを認識する認識工程と、単票用紙を搬送する搬送工程と、単票用紙に印刷する印刷工程とを備えており、
    前記可変動作は、前記読取工程、搬送工程又は認識工程における動作であることを特徴とする周辺処理装置の制御方法。
  8. 請求項において、更に、前記可変動作を変更する設定コマンドを前記ホスト装置から受信する第3の受信工程と、前記設定コマンドにより前記可変動作の設定を変更する第3のコマンド実行工程とを有することを特徴とする周辺処理装置の制御方法。
  9. 請求項において、前記第1の実行コマンド又は設定コマンドは、前記可変動作として、前記認識部で読み取るフォントの種類、前記認識部で認識不可能文字を検出したときの前記読取機構及び認識部の動作、前記読取機構における読取範囲、前記認識部の動作の後の前記搬送機構における動作又は前記読取機構及び認識部で実行可能なオートリトライ動作を指定可能であることを特徴とする周辺処理装置の制御方法。
  10. 請求項8または9の何れかにおいて、前記第1の実行コマンド又は設定コマンドは、前記可変動作として、前記読取工程、搬送工程又は認識工程における動作を一括して指定可能であることを特徴とする周辺処理装置の制御方法。
  11. 請求項10の何れか1項の周辺処理装置の制御方法の各工程を前記制御装置に実行させるための制御プログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  12. 請求項またはのホスト装置の出力部の送信機能を前記ホスト装置に実現させるためのドライバプログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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