JP4099090B2 - 電源装置、及び電源装置の運転方法 - Google Patents

電源装置、及び電源装置の運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電源装置の技術にかかり、特に、昇降圧型の電源装置を用い、負荷を充電する場合の電源装置とその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5の符号102は一般的な昇降圧型の電源装置を示しており、符号130は、その電源装置102に直流電圧を供給する電源用回路ブロックを示している。
【0003】
この電源装置102は、制御回路110と、降圧用回路ブロック104と、チョークコイル105と、昇圧用回路ブロック106とを有している。
【0004】
電源用回路ブロック130の高電圧側の端子を入力端子136とし、接地電位側の端子を接地端子137とすると、入力端子136と、電源装置102全体の出力端子138との間には、降圧用回路ブロック104とチョークコイル105と昇圧用回路ブロック106とが、入力端子136から見てこの順序で接続されている。
【0005】
電源装置102の接地端子は電気的には電源用回路ブロック130の接地端子と同じであるから、同じ符号137を付す。
【0006】
出力端子138と接地端子137の間には負荷134が接続されており、出力端子138に出力電圧Voutが現れると、負荷134には出力電圧Voutが印加される。
【0007】
出力端子138から負荷134に供給される電流を出力電流Ioutとすると、出力電圧Voutと出力電流Ioutは不図示のセンサーによって検出され、検出結果は制御回路110に入力されており、その検出結果に基いて、降圧用及び昇圧用回路ブロック104、106は、制御回路110によって制御されている。
【0008】
降圧用回路ブロック104が動作する場合、昇圧用回路ブロック106はチョークコイル105と出力端子138とを直結する。そして、電源用回路ブロック130が出力し、入力端子136に印加されている直流の入力電圧Vinは、降圧用回路ブロック104内のトランジスタとチョークコイル105の動作によって降圧され、出力端子138から出力される。
【0009】
逆に、昇圧用回路ブロック106が動作する場合、降圧用回路ブロック104は入力端子136とチョークコイル105とを直結し、圧用回路ブロック10内のトランジスタとチョークコイル105の動作によって、入力端子136の入力電圧Vinは昇圧して出力される。
【0010】
負荷134が放電した二次電池であって、負荷134を充電する場合、先ず、出力端子138の電圧が入力電圧Vinよりも小さい間、降圧用回路ブロック104の動作によって負荷134を充電し、出力端子138の出力電圧Voutが入力電圧Vin付近まで上昇すると、動作が降圧ブロック104から昇圧ブロック106に切り換わり、昇圧ブロック106によって負荷134が充電され、出力電圧Voutは入力電圧Vinを超えて上昇する。
【0011】
負荷134を充電する出力電流Ioutは定電流になっており、出力端子138の出力電圧Voutは直線的に上昇する。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−42550号公報
【特許文献2】
特開平5−328712号公報
【特許文献3】
実開平6−70486号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら降圧用回路ブロック104と昇圧用回路ブロック106の動作が切り替わる際、動作が不安定になるという問題がある。
【0013】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、出力電圧Voutを安定して制御できる電源装置の運転方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、チョークコイルと降圧用スイッチング素子と昇圧用スイッチング素子とを有し、直流電圧源の高電圧側の端子と低電圧側の端子のいずれか一方を入力端子とし、他方を接地端子としたときに、前記チョークコイルの第一の端子は、前記降圧用スイッチング素子によって前記入力端子に接続され、前記チョークコイルの第二の端子は、前記昇圧用スイッチング素子によって前記接地端子に接続された電源装置を運転し、前記電源装置の出力端子に接続された二次電池を充電する電源装置の運転方法であって、前記入力端子に入力される入力電圧と前記接地端子の電圧との間の電圧である第一の基準電圧と、前記第一の基準電圧と同極性で、前記入力電圧よりも絶対値が大きな第二の基準電圧を設定しておき、前記出力端子に現われる出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい場合は、前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第一の基準電圧に達するまでの間、前記昇圧用スイッチング素子を遮断状態に置いて前記降圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記入力電圧を降圧して前記出力電圧として出力し、前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間は、前記降圧用スイッチング素子を、その両端に電圧降下が生じる五極管動作させて前記入力電圧を降圧した電圧を前記第一の端子に印加しながら前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧して前記出力電圧として出力し、前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第二の基準電圧に達した後、前記降圧用スイッチング素子を、両端の電圧降下が可及的に小さくなる三極管動作の状態に置いて前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧させて前記出力電圧として出力する電源装置の運転方法である。
請求項2記載の発明は、前記五極管動作では、前記第一の端子の電圧が定電圧になるように、前記降圧用スイッチング素子の両端に生じる電圧降下の大きさを制御する請求項1記載の電源装置の運転方法である。
請求項3記載の発明は、前記出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい間と、前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間と、前記第二の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧の絶対値よりも大きな絶対値の目標電圧に達するまでの間、前記出力端子からそれぞれ定電流を出力し、前記二次電池を定電流充電する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の電源装置の運転方法である。
請求項4記載の発明は、チョークコイルと降圧用スイッチング素子と昇圧用スイッチング素子とを有し、直流電圧源の高電圧側の端子と低電圧側の端子のいずれか一方を入力端子とし、他方を接地端子としたときに、前記チョークコイルの第一の端子は、前記降圧用スイッチング素子によって前記入力端子に接続され、前記チョークコイルの第二の端子は、前記昇圧用スイッチング素子によって前記接地端子に接続された電源装置であって、該電源装置は、出力端子の電圧を検出する電圧センサーと、前記電圧センサーの検出結果が入力され、前記検出結果に基づいて前記降圧用スイッチング素子と前記昇圧用スイッチング素子の動作を制御する制御回路を有し、前記制御回路には、前記入力端子に入力される入力電圧と前記接地端子の電圧との間の電圧である第一の基準電圧と、前記第一の基準電圧と同極性で、前記入力電圧よりも絶対値が大きな第二の基準電圧が設定され、前記制御回路は、前記出力端子に現われる出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい場合には、前記昇圧用スイッチング素子を遮断状態に置いて前記降圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記入力端子の電圧を降圧した電圧を前記出力端子に出力し、前記出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値以上であって、前記第二の基準電圧の絶対値未満では、前記降圧用スイッチング素子を、その両端に電圧降下が生じる五極管動作させて前記入力端子の電圧を降圧した電圧を前記第一の端子に印加しながら前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧して前記出力電圧として出力し、前記出力電圧の絶対値が前記第二の基準電圧以上では、前記降圧用スイッチング素子を、両端の電圧降下が可及的に小さくなる三極管動作の状態に置い て前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧させて前記出力端子から出力するように構成された電源装置である。
請求項5記載の発明は、前記制御回路は前記第一の端子の電圧が定電圧になるように、前記五極管動作の前記降圧用スイッチング素子の両端に生じる電圧降下の大きさを制御するように構成された請求項4記載の電源装置である。
請求項6記載の発明は前記出力端子から出力される出力電流を検出する電流センサーを有し、前記制御回路には、前記電流センサーの検出結果が入力され、前記出力端子の電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい間と、前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間と、前記第二の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧の絶対値よりも大きな絶対値の目標電圧に達するまでの間、前記出力電流をそれぞれ定電流に制御する請求項4又は請求項5のいずれか1項記載の電源装置である。
【0015】
本発明は上記のように構成されており、降圧用整流素子と昇圧用整流素子を設け、降圧用又は昇圧用スイッチング素子が導通すると、チョークコイルにエネルギーが蓄積され、降圧用又は昇圧用スイッチング素子が遮断すると、チョークコイルに蓄積されたエネルギーにより、降圧用又は昇圧用整流素子を介して負荷に電流が供給されるように構成されている。
【0016】
そして、降圧用スイッチング素子がスイッチング動作すると、入力電圧は降圧して出力され(降圧工程)、昇圧用スイッチング素子がスイッチング動作すると、入力電圧は昇圧して出力される(昇圧工程)ようになっている。
【0017】
降圧工程では、昇圧用スイッチング素子は開放状態(遮断状態)に置かれ、昇圧工程では、降圧用スイッチング素子は、導通抵抗が可及的に小さい三極管動作に置かれる。また、スイッチング動作中の導通状態は三極管動作であり、できるだけ高効率に電圧変換するようになっている。
【0018】
降圧工程から昇圧工程に切り替わる間に、降圧用スイッチを五極管動作させ、第一の端子の電圧の絶対値を、入力電圧の電圧の絶対値よりも小さくし、昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させると、第一の端子の電圧が昇圧して出力端子から出力される(降昇圧工程)。
【0019】
従って、負荷を充電する際、降圧工程から降昇圧工程を経て昇圧工程に移行するので、出力端子の電圧が入力端子の電圧と略等しくなったときの不安定動作は除かれる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1の符号2と、図2の符号3は、本発明に用いることができる電源装置であり、同じ部材には同じ符号を付すと、電源装置2、3は、制御回路10と、降圧用回路ブロック4と、チョークコイル5と、昇圧用回路ブロック6とを有している。
【0021】
これら電源装置2、3は、両方とも、電源用回路ブロック30から供給される直流電圧を昇降圧変換し、負荷34に供給するように構成されているが、図1の電源装置2は、入力電圧Vinと出力電圧Voutが正電圧である電源装置であり、図2の電源装置3は、負電圧の電源装置である。
【0022】
各回路ブロック30、4、6の内部構成を説明すると、電源用回路ブロック30は、商用電源を整流平滑し、直流電圧を生成する直流電圧源31と、直流電圧源31に対して並列接続された入力コンデンサ32とを有しており、入力コンデンサ32により、直流電圧源31が出力する直流電圧からリップル成分が除去され、リップル成分の少ない直流電圧が入力端子36と接地端子37の間に印加されるように構成されている。電源装置2、3の接地端子は、電源用回路ブロック30の接地端子と電気的に同じ場所なので、同じ符号37を付す。
【0023】
降圧用回路ブロック4は、降圧用スイッチング素子11と降圧用整流素子12とを有している。
【0024】
コイル5の一端を第一の端子として符号51で示すと、第一の端子51は、降圧用スイッチング素子11によって入力端子36に接続され、降圧用整流素子12によって接地端子37に接続されている。
【0025】
降圧用整流素子12の接続の向き(極性)は、降圧用スイッチング素子11が導通したときに逆バイアスされる向きであり、正電圧出力の電源装置2では、第一の端子51が降圧用整流素子12のカソード側に接続され、接地端子37がアノード側に接続されている。負電圧出力の電源装置3では、それとは反対である。
【0026】
次に、昇圧用回路ブロック6は、昇圧用スイッチング素子21と昇圧用整流素子22と出力コンデンサ33とを有している。
【0027】
コイル5の、第一の端子51とは反対側の端子を第二の端子52とすると、第二の端子52は、昇圧用整流素子22によって出力端子38に接続されており、昇圧用スイッチ素子21によって接地端子37に接続されている。
【0028】
出力コンデンサ33は、出力端子38と接地端子37の間に接続されており、昇圧用スイッチング素子21が導通すると、第二の端子52は接地端子37に接続される。
【0029】
この状態では、昇圧用整流素子22の両端に出力コンデンサ33に充電された電圧が印加される。
【0030】
昇圧用整流素子22の極性は、出力コンデンサ33の電圧が印加されるときに逆バイアスとなる極性で接続されており、正電圧出力の電源装置2の場合、降圧用整流素子22のアノード側が第二の端子52に接続され、カソード側が出力端子38に接続されている。負電圧出力の電源装置3の場合、それとは反対である。
【0031】
入力電圧Vinの絶対値が出力コンデンサ33の電圧、即ち、出力端子38の電圧の絶対値よりも大きい場合、昇圧用スイッチング素子21が開放状態(遮断状態)であり、降圧用スイッチング素子11が導通すると、入力端子36は、降圧用スイッチング素子11と、チョークコイル5と、昇圧用整流素子52とを介して出力端子38に接続され、昇圧用整流素子22は順バイアスされ、電源用回路ブロック30から、負荷34及び出力コンデンサ33に電流が供給される。
【0032】
このとき、降圧用スイッチング素子11がスイッチング動作をしていると、導通状態から遮断状態に転じたときに、チョークコイル5に起電力が生じ、それによって降圧用整流素子12と昇圧用整流素子22とが順バイアスされ、チョークコイル5に蓄積されたエネルギーが出力電流Ioutとなって、負荷34及び出力コンデンサ33に供給される。
【0033】
降圧用スイッチング素子11が上記のようにスイッチング動作を行う期間を降圧工程と呼ぶと、降圧工程では入力電圧Vinは降圧され、入力電圧Vinよりも絶対値の小さな電圧が出力電圧Voutとなる。
【0034】
逆に、入力電圧Vinの絶対値が出力電圧Voutの絶対値よりも小さい状態で、電源用回路ブロック30から負荷34及び出力コンデンサ33に電流を供給する場合は、降圧用スイッチング素子11は可及的に導通抵抗が小さい三極管動作で導通状態を維持し、第一の端子51に入力電圧Vinと略等しい電圧が印加される状態で昇圧用スイッチング素子21がスイッチング動作する。
【0035】
これを説明すると、先ず、昇圧用スイッチング素子21が導通すると、第二の端子52が接地端子37に接続され、チョークコイル5に電流が流れ、次に、昇圧用スイッチング素子21が導通から遮断に転じると、チョークコイル5に起電力が生じ、その電圧によって昇圧用整流素子22が順バイアスされ、チョークコイル5に蓄積されたエネルギーが出力電流Ioutとなって、出力端子38から出力されるる。
【0036】
昇圧用スイッチング素子21が上記のようなスイッチング動作を行う工程を昇圧工程と呼び、この昇圧工程では、入力電圧Vinは昇圧され、出力電圧Voutは入力電圧Vinよりも絶対値が大きくなる。
【0037】
この電源装置2、3では、制御回路10に、出力端子38に現れる出力電圧Voutと、入力端子36の入力電圧Vinと、第一の端子51の電圧V1の大きさが入力され、また、不図示の電流センサにより、出力端子38から負荷34に供給される出力電流Ioutの大きさと、チョークコイル5に流れる電流の大きさが検出され、制御回路に入力されている。
【0038】
また、制御回路10内には、入力電圧Vinと接地端子37の間の電圧である第一の基準電圧Vref1と、第一の基準電圧Vref1と同極性で、入力電圧Vinよりも絶対値の大きな電圧である第二の基準電圧Vref2とが設定されており、後述する降昇圧工程で、出力電圧Voutと入力電圧Vinの大小関係を判別し、第一の端子51の電圧V1を制御するように構成されている。
【0039】
この電源装置2、3の運転方法を説明すると、負荷34が未充電の二次電池であり、出力端子38の電位が接地電位に近い場合、先ず、降圧工程によって入力電圧Vinを降下させ、負荷34を充電する。このとき、測定された出力電流Ioutの値から降圧用スイッチング素子11のデューティを制御し、負荷34には定電流を供給する。定電流が供給されることにより、出力電圧Voutの絶対値は直線的に大きくなる。
【0040】
出力端子38の電圧Voutの絶対値が大きくなり、第一の基準電圧Vref1に達すると、降圧用スイッチング素子11のスイッチング動作を終了させ、導通抵抗が制御可能な五極動作に切り換える。この状態で降圧用スイッチング素子11に電流が流れると、降圧用スイッチング素子11の両端に電圧降下が生じる。
【0041】
その電圧降下の大きさは、制御回路10によって制御されており、入力電圧Vinの変動や、流れる電流量の変動による電圧変動分が打ち消され、第一の端子51の電圧V1が予め設定された設定電圧Vcを維持するようにされている。
【0042】
設定電圧Vcは一定電圧であり、第一の基準電圧Vref1と接地電位(接地端子37の電圧)の間の電圧に設定されている。また、絶対値は、このときの出力端子38の出力電圧Vout、即ち、第一の基準電圧Vref1の絶対値以下の値が採用されている。従って、出力電圧Voutが正電圧の電源装置2では、ゼロV(接地電位)≦Vc≦Vref1であり、負電圧の場合、ゼロV(接地電位)≧Vc≧Vref1である。
【0043】
第一の端子51の電圧V1は、チョークコイルと昇圧用回路ブロック6とで構成される昇圧回路の入力電圧となっているから、昇圧用回路ブロック6は動作可能となり、制御回路10が昇圧用スイッチング素子21をスイッチング動作させると、第一の端子V1の電圧は昇圧され、出力端子37の出力電圧Voutとなる。
【0044】
このとき、出力電流Ioutの測定値から昇圧用スイッチ素子21のデューティを制御し、出力電流Ioutを定電流に制御し、負荷34を定電流充電する。
【0045】
負荷34の充電に従い、出力電圧Voutの絶対値が増大し、入力電圧Vinの絶対値よりも大きくなると、降圧用スイッチング素子11が五極管動作から三極管動作に移行し、その両端の電圧降下がゼロとなっても昇圧用回路ブロック6は動作可能な状態になる。
【0046】
ここでは、出力電圧Voutが増大し、その絶対値が入力電圧Vinの絶対値を超え、第二の基準電圧Vref2に達したときに、降圧用スイッチング素子11が五極管動作から三極管動作に移行するように設定されており、降圧用スイッチング素子11が三極管動作に移行した後は、昇圧用スイッチング素子21のスイッチング動作による昇圧工程で、負荷34に定電流が供給される。最終的に、出力電圧Voutの絶対値が、第二の基準電圧Vref2の絶対値を超えて大きくなり、目標電圧Vendに達すると充電作業は終了する。
【0047】
図3は、正電圧出力の電源装置2の場合の、出力電圧Voutと第一の端子51の電圧V1の変化を示すグラフである。Vsatは降圧用スイッチング素子11の三極管動作時の導通電圧である。降圧用スイッチング素子11と昇圧用スイッチング素子21に同種類の素子を用いた場合、両方のスイッチング素子11、21のVsatは略等しくなる。
【0048】
また、符号VFは降圧用整流素子12の順方向導通電圧であり、昇圧用整流素子22が同種類の素子であれば両者のVFは等しい。
【0049】
出力電圧Voutが第一の基準電圧Vref1に達する時刻t1までは、第一の端子51の電圧V1はVin−Vsatと−VFの間で振動している。時刻t1の経過後、出力電圧Voutが第二の基準電圧Vref2に達する時刻t2までの間は、設定電圧VCが維持される。時刻t2の経過後は、Vin−Vsatとなる。
【0050】
図4のグラフは従来技術の運転方法の場合であり、出力電圧Voutが入力電圧Vinに達するまでは降圧動作し、入力電圧Vinを超えると昇圧動作に移行している。この場合、出力電圧Voutが入力電圧Vinに近い時刻taの付近で不安定になる。
【0051】
本発明では、時刻taに相当する時刻では、第一の端子51の電圧V1が入力電圧Vinよりも低い設定電圧Vcにされており、しかも、その設定電圧Vcは一定電圧に制御されているから、動作が不安定になることはない。
【0052】
なお、本発明で用いた降圧用スイッチング素子11は、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタ、IGBT等の半導体素子等のトランジスタであり、導通抵抗を可及的に小さくできる三極管動作と、導通抵抗が可変の五極管動作ができるようになっている。
【0053】
また、本発明の昇圧用スイッチング素子11は、三極管動作ができればよく、五極管動作可能なトランジスタの他、三極管動作のみができるリレー素子のような素子を用いることもできる。
【0054】
また、降圧用及び昇圧用整流素子12、22は、pn接合ダイオードやショットキーダイオードの他、MOSトランジスタを用い、それに逆方向に電流を流す場合も含まれる。
【0055】
【発明の効果】
動作が安定な電源を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正電圧出力の昇降圧型の電源装置の回路図
【図2】負電圧出力の昇降圧型の電源装置の回路図
【図3】本発明の運転方法を説明するためのグラフ
【図4】従来の運転方法を説明するためのグラフ
【図5】従来の昇降圧型電源装置の回路ブロック図
【符号の説明】
2、3……電源装置
5……チョークコイル
10……制御回路
11……降圧用スイッチング素子
21……昇圧用スイッチング素子
30……直流電圧源
36……入力端子
37……接地端子
51……第一の端子
52……第二の端子

Claims (6)

  1. チョークコイルと降圧用スイッチング素子と昇圧用スイッチング素子とを有し、直流電圧源の高電圧側の端子と低電圧側の端子のいずれか一方を入力端子とし、他方を接地端子としたときに、前記チョークコイルの第一の端子は、前記降圧用スイッチング素子によって前記入力端子に接続され、前記チョークコイルの第二の端子は、前記昇圧用スイッチング素子によって前記接地端子に接続された電源装置を運転し、前記電源装置の出力端子に接続された二次電池を充電する電源装置の運転方法であって、
    前記入力端子に入力される入力電圧と前記接地端子の電圧との間の電圧である第一の基準電圧と、前記第一の基準電圧と同極性で、前記入力電圧よりも絶対値が大きな第二の基準電圧を設定しておき、
    前記出力端子に現われる出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい場合は、前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第一の基準電圧に達するまでの間、前記昇圧用スイッチング素子を遮断状態に置いて前記降圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記入力電圧を降圧して前記出力電圧として出力し、
    前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間は、前記降圧用スイッチング素子を、その両端に電圧降下が生じる五極管動作させて前記入力電圧を降圧した電圧を前記第一の端子に印加しながら前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧して前記出力電圧として出力し、
    前記出力電圧の絶対値が大きくなって前記第二の基準電圧に達した後、前記降圧用スイッチング素子を、両端の電圧降下が可及的に小さくなる三極管動作の状態に置いて前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧させて前記出力電圧として出力する電源装置の運転方法。
  2. 前記五極管動作では、前記第一の端子の電圧が定電圧になるように、前記降圧用スイッチング素子の両端に生じる電圧降下の大きさを制御する請求項1記載の電源装置の運転方法。
  3. 前記出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい間と、前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間と、前記第二の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧の絶対値よりも大きな絶対値の目標電圧に達するまでの間、前記出力端子からそれぞれ定電流を出力し、前記二次電池を定電流充電する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の電源装置の運転方法。
  4. チョークコイルと降圧用スイッチング素子と昇圧用スイッチング素子とを有し、直流電圧源の高電圧側の端子と低電圧側の端子のいずれか一方を入力端子とし、他方を接地端子としたときに、前記チョークコイルの第一の端子は、前記降圧用スイッチング素子によって前記入力端子に接続され、前記チョークコイルの第二の端子は、前記昇圧用スイッチング素子によって前記接地端子に接続された電源装置であって、
    該電源装置は、出力端子の電圧を検出する電圧センサーと、
    前記電圧センサーの検出結果が入力され、前記検出結果に基づいて前記降圧用スイッチング素子と前記昇圧用スイッチング素子の動作を制御する制御回路を有し、
    前記制御回路には、前記入力端子に入力される入力電圧と前記接地端子の電圧との間の電圧である第一の基準電圧と、前記第一の基準電圧と同極性で、前記入力電圧よりも絶対値が大きな第二の基準電圧が設定され、
    前記制御回路は、前記出力端子に現われる出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい場合には、前記昇圧用スイッチング素子を遮断状態に置いて前記降圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記入力端子の電圧を降圧した電圧を前記出力端子に出力し、
    前記出力電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値以上であって、前記第二の基準電圧の絶対値未満では、前記降圧用スイッチング素子を、その両端に電圧降下が生じる五極管動作させて前記入力端子の電圧を降圧した電圧を前記第一の端子に印加しながら前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧して前記出力電圧として出力し、
    前記出力電圧の絶対値が前記第二の基準電圧以上では、前記降圧用スイッチング素子を、両端の電圧降下が可及的に小さくなる三極管動作の状態に置いて前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング動作させ、前記第一の端子の電圧を昇圧させて前記出力端子から出力するように構成された電源装置。
  5. 前記制御回路は前記第一の端子の電圧が定電圧になるように、前記五極管動作の前記降圧用スイッチング素子の両端に生じる電圧降下の大きさを制御するように構成された請求項4記載の電源装置。
  6. 前記出力端子から出力される出力電流を検出する電流センサーを有し、
    前記制御回路には、前記電流センサーの検出結果が入力され、
    前記出力端子の電圧の絶対値が前記第一の基準電圧の絶対値よりも小さい間と、前記第一の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧に達するまでの間と、前記第二の基準電圧に達した後、前記第二の基準電圧の絶対値よりも大きな絶対値の目標電圧に達するまでの間、前記出力電流をそれぞれ定電流に制御する請求項4又は請求項5のいずれか1項記載の電源装置。
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