JP4099077B2 - 熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置及び熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂よりなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させることにより熱膨張済みマイクロカプセルを製造する製造装置及び熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂を用いた微小発泡体は、断熱材、クッション材、スポンジ又は電気絶縁体等の用途に用いられている。このような微小発泡体を製造する方法としては、通常、熱可塑性樹脂よりなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを作製し、この熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを得る方法が用いられている。
【0003】
熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させる際には、予め、熱膨張性マイクロカプセルを水等の液状媒体に分散させてなるスラリーを作製し、該スラリーを加熱する方法が採られている。しかし、この方法では、加熱膨張した後に得られた熱膨張済みマイクロカプセル同士が合着し、凝集してしまうことがあるという問題があった。
【0004】
これに対して、特許文献1には、熱膨張性マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂に、タルク、シリカ等の表面遮断被覆材を混合しておき、該表面遮断被覆材を熱可塑性樹脂マイクロカプセル表面に存在させておくことにより、発泡後の熱膨張済みマイクロカプセル同士の合着を抑制する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、予め表面遮断被覆材を熱可塑性樹脂に混合する工程が必要であり、プロセスが煩雑とならざるを得なかった。また、着色された熱膨張済みマイクロカプセルを得たい場合には、通常熱可塑性樹脂に着色剤を添加するところ、表面遮断被覆材を用いると着色剤よる着色効果が充分に得られないことがあるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、発泡後に熱膨張済みマイクロカプセルを含有しているスラリーを、2枚の回転砥石の間隙に連続的に通過させ、凝集している熱膨張済みマイクロカプセル同士を分離する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、熱膨張済みマイクロカプセルを得た後に回転砥石を用いた分離工程を実施しなければならず、工程が複雑にならざるを得なかった。また、2枚の回転砥石の間隙を熱膨張済みマイクロカプセル含有スラリーが通過する際に、得られた熱膨張済みマイクロカプセルが回転砥石との接触により損傷を受けるという問題もあった。更に、2枚の回転砥石の間隙に熱膨張済みマイクロカプセル含有スラリーを導いたとしても、この方法では合着している熱膨張済みマイクロカプセル同士を確実に分離し、スラリー中に分散させることは困難であった。
【0006】
一方、このような熱膨張済みマイクロカプセル同士の合着の問題とは別に、加熱膨張により得られた熱膨張済みマイクロカプセルの粒子径が極めて不均一であるという問題もあった。即ち、得られる熱膨張済みマイクロカプセルの粒子径は、発泡剤による膨張の程度により決まるものであるが、同一ロット内であっても、全く膨張しておらず粒子径の小さいままのものから、膨張しすぎて熱可塑性樹脂よりなるシェルが破壊されてしまったものまで、種々の粒子径の熱膨張済みマイクロカプセルが混合した状態であり、ロット間の差異も極めて大きかった。更に、特定の粒子径を有する熱膨張済みマイクロカプセルを得ようとしても、その条件出しが極めて困難であり、結局は複数ロットの中から目的の粒子径に比較的近いものを選択するしかなく、極めて効率が悪いという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特公平5−81615号公報
【特許文献2】
特開昭62−201231号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、煩雑な工程及び付加的な装置をさほど必要とすることなく、熱膨張性マイクロカプセルの加熱膨張により得られた熱膨張済みマイクロカプセルの合着を確実に抑制し、かつ、均一な粒子径の熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置及び熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明1は、熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを製造する製造装置であって、前記熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを混合したスラリーを供給するスラリー供給手段と、前記スラリーを搬送するスラリー搬送手段と、高温気体供給手段と、スタティックミキサ要素を備えており、前記スラリー搬送手段により搬送されたスラリーを前記高温気体供給手段から高温気体を供給することにより加熱しながら前記スタティックミキサ要素により混合する加熱混合手段と、空気圧式の背圧弁を備えており、前記加熱混合手段の下流の配管に設けられ該配管に加わる圧力変動を吸収する圧力調整手段とが互いにインライン接続されている熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置である。
【0010】
本発明2は、熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを製造する方法であって、前記熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを混合してスラリーを調整する工程と、前記スラリーに高温気体を供給することにより加熱しながらスタティックミキサ要素により混合する加熱混合工程と、空気圧式の背圧弁により加熱混合工程後の前記スラリーの圧力を調整する圧力調整工程とを有する熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明1の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置及び本発明2の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法においては、熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを製造する。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
上記発泡剤とては特に限定されず、例えば、ヘキサンやペンタン等の液体炭化水素等が挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0013】
図1は、本発明1の一実施形態に係る熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置の概略構成図である。このような本発明1の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置を用いることにより、本発明2の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を実施することができる。
本実施形態の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置は、スラリー供給手段1と、スラリー搬送手段2と、高温気体供給手段3と、加熱混合手段4と、圧力調整手段5とが互いにインライン接続されている。
【0014】
スラリー供給手段1においては、熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを混合したスラリーが供給される。
上記スラリーを構成するための液状媒体としては特に限定されず、水の他、熱可塑性樹脂マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂を変質させるものでない限り、適宜の水溶液又は有機溶媒等を用いることができる。
上記スラリーを作製する方法としては特に限定されず、例えば、熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを攪拌機を用いて混合する等の従来公知の方法を用いることができる。
【0015】
スラリー供給手段1から供給されたスラリーは、スラリー搬送手段2によって
第1の流路12を搬送される。
スラリー搬送手段2としては特に限定されず、例えば、従来公知のポンプ等を用いることができる。
第1の流路12においては、スラリー供給手段1の下流やスラリー搬送手段2の下流にスラリー流量を調整する目的で流量調整弁8a、8bが配置されていてもよい。
【0016】
スラリー搬送手段2によって搬送されたスラリーは、加熱混合手段4において加熱しながら混合される。なお、加熱混合手段及びこの下流に設置される圧力調整手段は、1組であってもよく、複数であってもよい。複数の加熱混合手段と圧力調整手段の組み合わせを備える場合には、各々の加熱条件及び圧力条件を調整することにより、スラリー複数種の熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合にも対応が可能になる。また、加熱混合手段及び圧力調整手段から排出されたスラリーを、再度同じ加熱混合手段及び圧力調整手段に注入するための再注入経路を備えていてもよい。このように再注入経路を備える場合には、スラリーを循環させることによりより確実に熱膨張した熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる。
本実施形態においては、加熱混合手段4と圧力調整手段5とは、4a、5aと4b、5bとのそれぞれ2組が用いられる。
【0017】
加熱混合手段4は、スタティックミキサ要素を備える。
スタティックミキサ要素を備えた加熱混合手段としては、例えば、特登第1485351号、実登第2122168号の分散混合装置、分散混合器等を用いることができる。
図2に本発明の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置に好適に適用される分散混合器を示した。この分散混合器(混練用ラインミキサ)の上流部は高温気体注入部400であり、管端部からはスラリー、管周部からは高温気体が注入される。高温気体は高温気体供給手段3から第2の流路13を通って圧力調整弁9を経てヘッダ402に供給され、さらに複数の開閉弁403を介して高温気体注入部400においてラインミキサ管内に注入される。開閉弁403らはそれぞれ、制御弁405(ソレノイドバルブ駆動回路)によって開閉弁403らがそれぞれ備えるノズルが移動されることにより開閉し、ラインミキサ管内への高温気体の供給を制御する。ラインミキサ管内において高温気体注入部400の下流にはスタティックミキサ要素が複数固定されたスタティックミキサ部401が設けられ、スタティックミキサ部においてスラリーと高温気体の加熱混合が行われる。また、ポンプ404を駆動制御するポンプ駆動手段406、ポンプ駆動手段の作動状態に基づいて制御弁405らを駆動制御する制御弁駆動手段407が付設されている。
上記高温気体としては特に限定されないが、例えば、スチーム等が好適に用いられる。
【0018】
なお、加熱混合手段4においては、スタティックミキサ要素はその形状や数を自由に選択できることが好ましい。スタティックミキサ要素の形状や数を選択することにより、加熱混合条件を自由に調整することができ、得られる熱膨張済みマイクロカプセルの粒子径を調整することができる。
【0019】
加熱混合手段4により加熱混合されたスラリーは、その下流の配管に設けられた圧力調整手段5により圧力が調整される。圧力調整手段5は加熱混合手段4の下流に必ず設けられるものであり、加熱混合手段4を複数備える場合には各々の加熱混合手段4の下流に設けられていることが好ましい。
圧力調整手段5は、空気圧式の背圧弁を備える。空気圧式の背圧弁は、動作がスムーズであり、空気シリンダ部がダンパ作用を発揮して、配管の圧力変動を迅速に緩和することができる。図3に、空気圧式の背圧弁からなる圧力調整手段5の一例を示した。この圧力調整手段5は、空気が導入されたシリンダ室51、シリンダ室51内に配されたピストン52、ピストン52の先端に形成されたシート54、バルブボディ側に形成されたシート座部53、シリンダ室51に接続するフィルタ付き減圧弁を備えている。この圧力調整手段5において、図中左側から供給されるスラリーの圧力が高まると、シリンダ室51の背圧に抗してピストン52が図中右側に移動し、図中左側から供給されたスラリーが図中上側に放出され、系の圧力が低下し、ピストン52は初期位置に復帰する。また、シリンダ室51の図中右側には不図示のリミットスイッチが配置され、ピストン52が図中右側に所定以上移動した場合、系の圧力を緊急に開放する。
【0020】
加熱混合手段4により加熱混合され圧力調整手段5により圧力が調整されたスラリーは、更に、インライン型冷却ミキサーからなる冷却手段6により冷却されることが好ましい。
インライン型冷却ミキサーからなる冷却手段6の1例の断面図を図4に示した。インライン型加熱ミキサー6は、略円筒状の本体60と、本体60の外側面から側方に突出するように設けられたスラリー導入部61を有する。本体60とスラリー導入部61は、図示のように一体に構成されてもよく、あるいは別部材で構成され、ボルト等により連結されていてもよい。
【0021】
本体60の一方端面60aに冷媒出口60bが開口しており、他方端面60cに冷媒出口60dが開口している。冷媒は、冷媒入口60bから冷媒出口60dに向かうように、冷媒入口60bと冷媒出口60bとを結ぶ冷媒流路60e内を搬送される。
本実施形態では、冷媒流路60eは、冷媒入口60bから冷媒出口60dに向かってその径が徐々に大きくなるように構成されている。上記のような冷媒流路60eを形成するために、一方端から他方端に向かって径が大きくなるように構成された筒状部材60fが本体60内に挿入されている。筒状部材60fの内側空間により上記冷媒流路60eが形成されている。
【0022】
筒状部材60fと本体60との間には、加熱混合手段4により加熱混合され圧力調整手段5により圧力が調整されたスラリーが供給される空間60gが設けられており、該空間60gから冷媒流路60eに向かって延びるように、複数の射出ノズル部60hが設けられている。射出ノズル部60hの一端が空間60gに開口しており、他端が冷媒流路60eに開口している。射出ノズル部60hは、図示のように、冷媒流路60eにおける冷媒搬送方向と交叉する方向に延ばされており、かつスラリーが冷媒を前方に搬送されることを補助するように、射出ノズル部60hの冷媒流路60eに開口している部分が空間60gに開口している部分よりも前方に位置するように設けられている。
【0023】
また、上記射出ノズル部60hは、図4では、冷媒流路60eに沿って複数配置されているが、筒状60fの周方向においても複数配置されている。
他方、スラリー導入部61は、上述した空間60gに連なっており、スラリー導入部61から、加熱混合手段4により加熱混合され圧力調整手段5により圧力が調整されたスラリーが導入され、上記射出ノズル部60hから冷媒流路60e内に射出される。
【0024】
射出ノズル部60hが上記のように構成されているため、冷媒流路60e内を冷媒が搬送される際に、射出ノズル部60hから射出されたスラリーにより、冷媒に乱流が生じる。それによって熱膨張済みマイクロカプセルが速やかに冷却される。加えて、上記乱流により熱膨張済みマイクロカプセル同士が攪拌され、熱膨張済みマイクロカプセル同士の合着が確実に抑制される。
【0025】
インライン型冷却ミキサー6においては、冷媒流路の入口に、第3の流路14から冷媒が供給される。第3の流路14の上流側には、ポンプ10及び流量調整弁9cが配置されている。ポンプ10は、冷媒タンク11から冷媒をインライン型冷却ミキサー6の冷媒入口に搬送するために設けられている。すなわち、ポンプ10は、冷媒の搬送手段を構成している。
【0026】
本実施形態では、1つのインライン型冷却ミキサー6のみが用いられているが、複数用いてもよく、それによって熱膨張済みマイクロカプセルの冷却をより確実に行うことができ、かつ熱膨張済みマイクロカプセル同士の合着をより確実に抑制することができる。
【0027】
インライン型冷却ミキサーからなる冷却手段6から、上記のようにして合着あるいは凝集していない熱膨張済みマイクロカプセルを含んだスラリーが排出される。冷却手段6の後段には脱水装置7が配置されている。脱水装置7において、液状媒体が除去され、熱膨張済みマイクロカプセルが得られる。
【0028】
脱水装置7としては、特に限定されないが、例えば、熱膨張済みマイクロカプセルよりも小さな開孔を有するメッシュ71と、メッシュ71を回転する回転駆動源により構成される。その場合には、メッシュ71上に熱膨張済みマイクロカプセル含有スラリーが流下され、スラリー中の液体媒体がメッシュ71の下方に流下し、熱膨張済みマイクロカプセルがメッシュ71上に残存する。回転駆動によりメッシュ71が回転されることにより、熱膨張済みマイクロカプセルに付着していた液状媒体が飛散される。
もっとも、脱水装置7については、熱膨張済みマイクロカプセルを変質させないものである限り特に限定されず、加熱乾燥装置などをも有するものであってもよく、あるいは加熱乾燥装置のみを用いて構成されてもよい。
【0029】
本発明1の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置又は本発明2の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を用いれば、加熱混合手段において、加熱発泡させるための高温気体がスラリーに乱流を与えるように加圧注入されると同時に、スタティックミキサ要素により充分に攪拌される。このような攪拌により、熱膨張済みマイクロカプセル同士、熱膨張済みマイクロカプセルと熱膨張性マイクロカプセル又は熱膨張性マイクロカプセル同士の凝集が確実に抑制されると同時に、熱膨張性マイクロカプセルが極めて均一に加熱されて発泡剤が揮発することにより熱膨張性マイクロカプセルが膨張し、均一に膨張した熱膨張済みマイクロカプセルが得られる。また、このような加熱混合手段に圧力調整手段を組み合わせて圧力の調整を行うことにより、より一層条件を均質化することができ、より均一な発泡体を得ることができる。更に、加熱混合手段のスタティックミキサ要素を選択することにより加熱発泡条件を容易にかつ自由に変更できることから、得られる発泡体の粒子径を調整することも可能になる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
図2に示した加熱混合手段4と、図3に示した圧力調整手段5と、図4に示した冷却手段6を用い、図1に示した製造装置を構成した。
【0032】
熱膨張性マイクロカプセルとして、熱可塑性樹脂よりなるシェル内に液状炭化水素からなる発泡剤が16重量%収納されている、平均粒径が22μmの熱膨張性マイクロカプセルを用意した。この熱膨張性マイクロカプセルと水とを、15:85の割合(重量比)で混合し、熱膨張性マイクロカプセル含有スラリーを調製した。
【0033】
上記スラリーをスラリー供給手段1内から供給し、スラリー搬送手段2により第1の流路12にスラリーを搬送した。第1の加熱混合手段4aにおいては、高温気体供給手段3から供給した200℃の温度の水蒸気を圧力調整弁9aを調整することにより、1.5〜8kg/cm2で、スラリー内に射出しスラリー内を120〜160℃まで加熱した。
【0034】
また、第2の加熱混合手段4bにおいては、圧力調整弁9bを調整することにより200℃の温度の水蒸気を1.5〜8kg/cm2として射出ノズルからスラリー内に射出しスラリー内を120〜160℃まで加熱した。
【0035】
冷却手段においては、5〜30℃の温度の水を冷媒として、ポンプ10により一定の流量で搬送するとともに、熱膨張済みマイクロカプセル含有スラリーをインライン型冷却ミキサー内において冷媒としての水に射出した。
最後に脱水装置7において熱膨張済みマイクロカプセルを水から分離し、乾燥させることにより熱膨張済みマイクロカプセルを得た。
【0036】
得られた熱膨張済みマイクロカプセルを目視にて観察したところ、熱膨張済みマイクロカプセルの合着は殆ど認められなかった。更に、得られた熱膨張済みマイクロカプセルについて粒度分布計を用いて調べたところ、平均粒子径が55μm、CV値が22.5%であり、単一の極めて均一な分布であることがわかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、煩雑な工程及び付加的な装置をさほど必要とすることなく、熱膨張性マイクロカプセルの加熱膨張により得られた熱膨張済みマイクロカプセルの合着を確実に抑制し、かつ、均一な粒子径の熱膨張済みマイクロカプセルを得ることができる熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置及び該製造装置を用いる熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明1の一実施形態に係る熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明1の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置に好適に適用される分散混合器を示す模式図である。
【図3】空気圧式の背圧弁からなる圧力調整手段の一例を示す模式図である。
【図4】インライン型冷却ミキサーからなる冷却手段の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 スラリー供給手段
2 スラリー搬送手段
3 高温気体供給手段
4(4a、4b) 加熱混合手段
400 高温気体注入部
401 スタティックミキサ部
402 ヘッダ
403 開閉弁
404 ポンプ
405 制御弁
406 ポンプ駆動手段
407 制御弁駆動手段
5(5a、5b) 圧力調整手段
51 シリンダ室
52 ピストン
53 シート座部
54 シート
6 冷却手段
60 ミキサ本体
61 スラリー導入部
7 脱水装置
71 メッシュ
8(8a、8b、8c) 流量調整弁
9(9a、9b、9c) 圧力調整弁
10 ポンプ
11 冷媒タンク
12 第1の流路
13(13a、13b) 第2の流路
14 第3の流路
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを製造する製造装置であって、
前記熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを混合したスラリーを供給するスラリー供給手段と、
前記スラリーを搬送するスラリー搬送手段と、
高温気体供給手段と、
スタティックミキサ要素を備えており、前記スラリー搬送手段により搬送されたスラリーを前記高温気体供給手段から高温気体を供給することにより加熱しながら前記スタティックミキサ要素により混合する加熱混合手段と、
空気圧式の背圧弁を備えており、前記加熱混合手段の下流の配管に設けられ該配管に加わる圧力変動を吸収する圧力調整手段とが互いにインライン接続されている
ことを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。 - 加熱混合手段と圧力調整手段との組み合わせを複数備えることを特徴とする請求項1記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。
- 更に、加熱混合手段及び圧力調整手段から排出されたスラリーを、再度前記加熱混合手段及び圧力調整手段に注入するための再注入経路を備えることを特徴とする請求項1記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。
- 加熱混合手段及び圧力調整手段よりも下流に、更に、冷媒入口及び冷媒出口を有し、冷媒入口と冷媒出口との間が冷媒流路を構成しており、冷媒流路の壁面に開口しており、かつ冷媒流路と交叉する方向に延びている複数の射出ノズル部を有するインライン型冷却ミキサーからなる冷却手段が配置されており、
前記加熱混合手段及び圧力調整手段から排出されたスラリーが前記インライン型冷却ミキサーの前記射出ノズル部に供給されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。 - 冷却手段は、インライン型冷却ミキサーを複数備えることを特徴とする請求項4記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造装置。
- 熱可塑性樹脂からなるシェル内に揮発性液体からなる発泡剤が収納されている熱膨張性マイクロカプセルを加熱により膨張させて熱膨張済みマイクロカプセルを製造する方法であって、
前記熱膨張性マイクロカプセルと液状媒体とを混合してスラリーを調整する工程と、
前記スラリーに高温気体を供給することにより加熱しながらスタティックミキサ要素により混合する加熱混合工程と、
空気圧式の背圧弁により加熱混合工程後の前記スラリーの圧力を調整する圧力調整工程とを有する
ことを特徴とする熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。 - 加熱混合工程と圧力調整工程とが複数回行われることを特徴とする請求項6記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
- 加熱混合工程と圧力調整工程が終了したスラリーを循環して再度加熱混合工程と圧力調整工程を行うことを特徴とする請求項6記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
- 更に、加熱混合工程と圧力調整工程が終了したスラリーを、インライン型冷却ミキサー内を搬送されている発泡剤の発泡温度よりも低い温度の冷媒に冷媒搬送方向と交叉する方向に加圧注入する冷却工程を有することを特徴とする請求項6、7又は8記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
- 冷却工程を複数回行うことを特徴とする請求項9記載の熱膨張済みマイクロカプセルの製造方法。
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