JP4098990B2 - 小型簡易電気泳動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は生体試料などの性質を調べるために、試料を設置した担体の両端に電圧を印加して試料を分離および解析する電気泳動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動装置では、少なくとも試料が移動する担体の両端面と電極を緩衝液に浸し、緩衝液を介して電極から担体に電圧を印加する。このうち、試料が移動する担体全体を緩衝液中に水平に設置する方式(サブマリン方式)のものは扱いが容易で、広く用いられている。
【0003】
これはたとえば図6で示す様な具体的な例として示すことができる。
中央が凸状の泳動槽62の両端に電極66が設けられ、凸状の担体据え置き部69には、試料の泳動を行う担体65が置かれ、その担体65および電気泳動用電気出力を担体65へ加えるための緩衝液68が担体65を覆うように充填されている。
このような状態において、電源回路67より電極66の対へ、直流、脈流、交流などの電気出力が加えられる様な構成である。
【0004】
しかしながら、この方法では緩衝液を流れる電流(例えば図6の63)が大きく、多量のジュール熱が発生するため、試料が移動する担体65の温度が上昇して性質が変化し、正確な結果が得られなくなる可能性がある。
ジュール熱の発生を抑制するためには、試料が移動する担体に印加する電圧を低下させて消費電力を削減するという手段があるが、それに合わせて試料の移動速度も低下するため、泳動に要する時間が長くなるなど別の問題が発生する。
又、緩衝液が温度上昇により蒸発すると、蓋が曇ってしまうため、使用中に内部の様子が観察できなくなるという問題がある。蓋に穴を開ければ、少なくともその穴から内部の様子を観察することは可能になるが、より安全に気を遣う必要があるだけでなく、緩衝液が蒸発して装置外部に逃げてしまうために、緩衝液の濃度が変化して泳動に影響を及ぼす可能性もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、試料が移動する担体に印加する電圧を低下させる以外の方法でジュール熱の発生を抑制し、かつ試料が移動する担体および緩衝液から効率よく放熱させて温度上昇を防ぐことにより、より正確かつ高速な電気泳動を可能にすることである。
以上に加え、泳動の様子を観察しやすく、しかも安全性の高い構造を有する電気泳動装置を実現することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気泳動装置は、緩衝液を注入し内部に試料が移動する担体を設置する構造をもつ泳動槽本体と、泳動槽本体内部に備えつけられた2本の電極と、電極に電圧を供給する電源と、泳動槽本体側に一部が突出し泳動槽内の緩衝液または試料が移動する担体表面に接触する構造をもつ泳動槽の蓋と、試料が移動する担体および緩衝液を冷却するためのファンを構成要素とする。
本発明の電気泳動装置は、必要に応じて熱伝導率の高い金属などの薄板を設置またはあらかじめ組み込むことが可能である。
また、泳動用電源を泳動槽本体と一体化し、泳動槽容積も大幅に削減することにより、全体サイズは従来の製品と比較して、大幅に小型化されている。
【0007】
より分説する。
本発明における主に担体へ通電する構成とは、 電極間で形成される導電路中、担体を通過する部位において、担体以外の導電路を実質遮断するような構成を示すものであり、
例えば、上述のような、電気的絶縁性を有する泳動槽中の担体据え置き部分と、同じく電気的絶縁性を有する蓋の接触部分で、挟み込むことで、緩衝液を遮断し、担体のみに電気的経路を形成するような構成を示すものである。
この場合、担体の泳動面に近い部分を冷却することで、泳動軌跡の歪曲を補正できる。
近い部分とは、例えば泳動面が上方向であれば、蓋の上の担体が接触する部位であり、この部分に冷却液、冷媒、保冷ゲル、氷、等を据え置く等して、冷却し、その温度を、4℃〜常温程度にすることが好ましいがこれに限るものではない。
又、この様な冷却剤を使用する他、ペルチェ素子等を利用した電気的冷却、風冷、水を循環させる水冷等の手段を用いても良い。
【0008】
本発明は、電極→緩衝液→担体→緩衝液→電極といった電気的経路で担体のみに通電する構成を示すものであるが、緩衝液を完全に遮断しなくても、その部分で電気的インピーダンスが、担体のインピーダンスよりもより十分に高ければ多少介在しても良い場合がある。
【0009】
更に本発明は、電極をより担体に近付けることで、緩衝液における電気的損失をより低く押さえ、単位長当たりの電場を大きくすることで実質的な試料に対する電気泳動力を有効に発揮させることを実現する。
その距離は、例えば、一つの電極と、担体の端部とを接触するに等しいほど近接させる距離から、図5で示す電極間の距離(L)を150mm以下にすることが例示されるが、試料の性質等により、変わることもあり適宜選択される値でもある。
【0010】
更に本発明では、担体を間接的に冷却するための手段を具備する。
即ち、泳動槽の担体据え置き部を外部から冷却する手段であって、冷却ファンを、担体据え置き部周辺に配置して、泳動槽を冷却するといったものである。
冷却の仕方は、ファンによる風冷の他、ペルチェ素子による冷却、各種冷媒を用いた冷却等間接的冷却であって、好ましくは制御可能な冷却手段が用いられる。
【0011】
又は本発明は、少なくとも担体近傍の冷却効率をあげるために、放熱性の高い熱伝導率の高い部材を担体据え置き部位に装着する。
この部材は、例えばセラミック材料、金属材料、半導体材料等が例示され、又その形状は、平板の他、より放熱効率を上げるべく表面積を上げるため、格子状、櫛歯状その他の形体が示される。
その大きさは、担体据え置き部に相当する部位における程度が例示される。
尚、このような材質、形状、大きさは、冷却手段の種類などで変わるものであり、適宜選択され、これらに示すものに限られない。
本発明では、主に試料の電気泳動による移動距離の測定が行われるが、この移動距離を測定できるための目安として外部より光学的検出が可能な符号が、担体据え置き部、その他周辺に付されたものであってもよい。
ここで符号とは、相対的あるいは絶対的な移動情報を備えた符号であって例えば距離を数字、英文字等で表した目盛り等が示される。
この符号は、少なくとも電気泳動時に外部より、観察、検出できることが好ましいことから、その他構成部材を透光性とすることや、赤外線等を照射した際、これに特異的に反応する素材で符号を形成し、目視はできないが赤外線では、確認できるような構成であってもよく、少なくとも光学的に観察可能であれば、符号は、適宜選択され得る。
【0012】
【作用】
まず温度上昇の抑制について説明する。
本発明の電気泳動装置では、泳動槽の蓋の一部が泳動槽本体側に突出した構造をもち、試料が移動する担体表面あるいは泳動槽内の緩衝液に接触していることにより、従来の技術では試料が移動する担体上方の緩衝液を流れていた大電流がカットされるため、電流は試料が移動する担体を流れるものにほぼ限定される。したがって消費電力は大幅に削減され、試料が移動する担体および緩衝液の温度上昇を抑制することができる。蓋が緩衝液に接触する構造では、浮力を受けても蓋が動かないよう固定する必要があるが、本発明の電気泳動装置では、蓋と泳動槽本体にそれぞれ突起状または溝状の構造物を設置し、それらのかみ合わせにより容易に蓋を固定できるようにする。
【0013】
また本発明の電気泳動装置では、泳動槽本体に設置された冷却ファンにより、試料が移動する担体および緩衝液が恒常的に冷却されるため、やはり温度上昇が抑制される。
さらに本発明の電気泳動装置では、泳動槽本体に熱伝導率の高い金属などの薄板を設置できるまたはあらかじめ設置しておくことにより、試料が移動する担体および緩衝液からの放熱効率が高められ、やはり温度上昇が抑制される。
【0014】
また従来の技術では、試料が移動する担体を移動度の目安となる目盛り付きの専用トレイに乗せて設置するが、本発明の電気泳動装置では、担体を設置する泳動槽本体の指定位置に目盛りを付与しておくことにより、トレイを使わずにゲルのみを設置した場合にも試料の移動度が判定できるようにする。トレイを排除することにより、冷却ファンおよび放熱用薄板による冷却効率をさらに向上させることができる。
以上の作用により、試料が移動する担体の温度上昇や温度勾配の発生に伴う困難を回避できる。
【0015】
次に泳動時間の短縮については、本発明の電気泳動装置では、蓋で緩衝液経路を遮断することにより、試料が移動する担体部分の電気的インピーダンスが高くなり、印加される電圧も高くなることから、担体に印加する電圧を高めることが可能になり、泳動時間を短縮することができる。さらに本発明の電気泳動装置は、泳動槽が従来のものよりも大幅に小型化しているため、緩衝液量や消費電力の削減だけでなく、電極間距離の短縮により従来の電圧でも高電界が得られ、より高速な泳動が可能となる。
又、小型化のために緩衝液量を削減すると、一般的には緩衝液のイオン調整能力の低下が早くなり、泳動に影響を及ぼすことがあるが、本発明の電気泳動装置では不要な電流を削減しているため、緩衝液の能力が長時間維持でき、このような問題点を回避できる。
【0016】
次に、内部の状況を観察する方法については、本発明の電気泳動装置では、泳動槽の蓋の一部が泳動槽本体側に突出した構造をもち、試料が移動する担体表面または泳動槽本体の緩衝液に接触していることにより、少なくとも接触部分は緩衝液の蒸発で曇ることがないため、内部の状況を終始はっきりと観察することが可能である。レーザー光などによる光学的測定を行う場合にも、泳動槽の蓋と試料が近接しているため、都合が良い。
【0017】
次に安全性については、本発明の電気泳動装置は、蓋に内部観察用の穴を空ける必要がなく、泳動中は外界と遮断されているため、不注意による感電の恐れはない。また泳動用電源を通電させる構造物が蓋に設置されており、蓋を泳動槽本体に固定しない限り電圧は印加されないため、さらに安全性は高くなっている。泳動用電源は泳動槽本体内部に組み込まれているため、緩衝液などの液体に誤って接触する事故も発生しない。
装置の小型化については、泳動槽容積の縮小に加え、泳動用電源を泳動槽本体内部に一体化して組み込むことにより、一層の小型化を実現している。
【0018】
【実施例】
図1に本発明の電気泳動装置の一例の概観を示す。
図1において、蓋1は泳動槽本体4に固定するための突起2と、泳動用電源9のマグネットスイッチ11を通電するためのマグネット10を有し、泳動槽本体4側に突出した突出部3をもつ構造をしている。
なお、蓋が自重により緩衝液中に沈む場合には、突起2は必要でなく、蓋を担体上に乗せるだけでよい。この場合、任意の厚さの担体に対して特別な構造を用意することなく所望の効果を期待できるので、都合が良い。
突出部3は、試料が移動する担体6の表面をちょうど覆う形状の面になっている。
【0019】
図1において、蓋1は、内部を目視可能な透光性を有するもので形成される事が好ましく、その透光光部分は、担体据え置き部分のみであってもよい。
蓋1には、泳動槽本体4方向に突出した突出部3を持ち、その突出した部位は蓋1を、泳動槽本体4に装着固定した状態で、担体6を据え置き部5に一致するように形成されている。
突出部3は、例えば、図示するように担体の面積に一様に接触するような面積と形状を有する他、担体縁部のみを押圧すべく、縁部に相当する輪郭の全て又は一部のみ突出してもよい。
とくに、担体の体積が温度に応じて敏感に変化する場合には、担体の上面を一様に覆うと、担体内で応力の歪みが生じ、泳動に影響する可能性がある。この場合には、突出部3は担体の一部のみと接触する方がよい。
【0020】
突出部3は、担体6を担体据え置き部5に押圧して固定する為の構成にしても良い。
緩衝液17を、担体の側面等、緩衝液がバイパス的に電流を流さないように、これを阻止する様な構成にしても良い。
更に少なくとも担体6において電極と対抗する面18と緩衝液17のみが接触した状態とさせるような、形状であって、担体の縁部以外の部分で、担体6への通電に支障があるような緩衝液との接触が避けられるような構成であっても良い。
又突出部3は、担体6と近接するような状態であって、緩衝液を多少介在させた状態で配置させても良い。すなわち、介在する緩衝液の量を少なくすることで、インピーダンスを高くして、実質担体のみへの通電とする場合もある。
突起2は、少なくとも、蓋部1の裏側側面に合計4ケ所付設されており、その形状は、直方体であるが、数量、形態に限らず泳動槽本体4の側面に設けられた係止部8と係合するような構成を有すれば良い。
係止部8は、泳動槽本体4の側面に、突起2と係止状態を構成するために必要な部位に付設されている。
【0021】
更に係止部8は、蓋1が、泳動槽の表面に平行に移動して装着結合されるべく、各々、蓋1がスライドして来る方向に開口した、L字構成を有する様に形成されている。
尚、この形状も、蓋1が、スライド的に移動して、突起2と係止部8が係合結合し、係合した状態で特に上部方向に容易に離脱しない様な結合力を発揮する様な組み合わせ構造をとればこれに限るものでは無い。
【0022】
更に蓋部1の下面には、蓋1と、泳動槽本体4がスライド的に結合した際、磁力によって電気的接続がオンオフするマグネットスイッチ11の上面若しくは近傍に到達する部位にマグネット10が装着されている。
6は、担体であり、幅は、泳動槽本体4の担体据え置き部5の幅と、長さに略等しい程度に形成されると共に、その厚さは、蓋1が、泳動槽本体4と係合した際、突出部3と、泳動槽本体4における担体据え置き部5と間でできる距離に略相当することが好ましい。
泳動槽本体4は、電極12が、両側底部に配置されている。
電極12は、白金、等を線状に加工したものが使用される。
泳動槽本体4は、担体据え置き部5が、電極12を配置した部分よりも高い所に形成されている。
【0023】
尚、この高さは、蓋1が装着された際、蓋1の突出部3との間で形成される空間に、担体が配置される様な調整がされていても良い。
担体据え置き部5の形状は、担体6が置かれた際、担体と、担体据え置き部の底面及び側面が密着関係を形成することが好ましく、そのような関係に基づいた形状が適宜選択される。
又この密着関係は、担体6の電極と対向する面18が、緩衝液17と接触する以外の周辺部分のみが密着するような形状であっても良い。
【0024】
泳動を行う場合には、まず泳動槽本体4に緩衝液17を適量注入する。
次に、試料が泳動する担体6を、泳動槽本体4の台状の担体据え置き部5に設置する。 試料が泳動する担体6には、試料を滴下するなどして設置する窪み7をあらかじめ形成しておき、泳動槽本体4に設置後、試料を窪み7に設置する。
次に、蓋1の突出部3を泳動槽本体4の緩衝液中に静かに沈め、ゆっくりと水平方向にスライドさせながら泳動槽本体4の側面に設置された係止部8と蓋1の突起2をかみ合わせて固定する。
この様に緩衝液は、担体表面から泳動槽左右の部分方向に押し出され、この部分の緩衝液の量が多少増えることになることから、この部分の空間は多少大きめにとっておくことが好ましい。
【0025】
図2は、蓋1を泳動槽本体4に装着した状態を示す。
泳動時、突出部3と担体6が接続した状態であることから、泳動状態が明確に観察可能な状態が形成される。 例えば矢印方向から観察することで、目盛り15を目視して、試料の泳動度を正確に測定できる
【0026】
蓋1を泳動槽本体4にスライドさせて装着する場合の動作を図3で説明する。
最初図3(a)で示すように、蓋1を泳動槽4の上にのせる。
その次に矢印で示す方向に蓋を摺動させる。
図3(b)で示すように、蓋1に設置された突起2と泳動槽4本体の係止部8を係止させる。
蓋1の突出部3は、緩衝液17中に沈み込んだ状態で担体6を固定することができる。緩衝液17に沈み込むとは、即ち、担体表面の緩衝液17が蓋1の突出部3により排除された状態も意味する。尚、緩衝液の量により、沈み込む必要が無い場合もあり得る。
更に、この摺動により、図3(b)で示すようにマグネット10が、マグネットスイッチ11に接近する。マグネットスイッチ11は、このマグネット10の磁力に起因して、電気的スイッチを駆動させる。
この場合、非接触的にスイッチが動作する場合もあれば、接触してスイッチング動作がされる場合もある。
【0027】
又、マグネット10の位置は、非接触で、スイッチを駆動させる程度の磁力を有するものであれば蓋1の裏側に限らず、表側にあっても良い。
この場合は、マグネット10のみを動かすだけで、緊急避難的なマグネットスイッチ11の駆動がはかれる場合もある。
この場合のマグネットスイッチ11は、一例であり、その他、赤外線センサー、静電気センサ、等他の非接触的なスイッチを使用することも可能である。
泳動用電源9は、主に、商用AC電源(場合によっては電池)を利用し、これを数百ボルトから数十ボルトの範囲で増幅、減衰等の出力調整した交流出力、半波整流出力、全波整流出力、その他の整流出力、直流出力等を行うものである。
又、商用電源の交流出力をトランス等を介さず、単に半端整流、全波整流変換を行ってこれを電気出力として使用しても良い。
【0028】
更に図4のように、蓋固定用の構造を工夫することにより、蓋1の突出部3が緩衝液17に沈み込む深さを変化させることも可能である。
図4では、図4(a)で示す状態から、蓋1を摺動させて、図4(b)で示す状態にすることにより、突起2と係止部81が係合される構成を示すものである。
このような構成により、突出部3が担体6に接触しないが、担体6と突出部3との間の緩衝液17の量を調整できる。
又、試料が移動する担体6の厚さを変更することができ、様々なタイプの担体が使用可能となる。
即ち、図1で示した係止部を多段状に形成し、各隙間に、突起2を挿入する様な形で係止させる係止部81とすることで、突出部3と、担体据え置き部5の距離を調整可能とするのである。
他方、図4(c)で示すように、蓋1を上方から下方へ摺動させる様な構成も取り得る。
この場合は、泳動槽本体4に設けられた鋸波状の係止部82と、この係止部82のそれぞれ一つ一つに係止する三角形状の突起部83との組み合わせ構成が一例として示される。
なお、蓋1には異物混入防止用凸部(図5(H))が形成されており、蓋1の位置が上下に変動した場合、生じる蓋1と泳動槽間にできる隙間から異物が入らず安全であり、緩衝液が蒸発して外部に逃げることも防ぐようになっている。この異物混入防止用凸部Hの上下幅は、少なくとも蓋1が動作時の上限位置にあるときでもカバーできるように決められる。
又この様な異物混入防止用凸部Hは、泳動槽の内側に内側用凸部HIとして設けられても良く、この場合、泳動時に水蒸気化した緩衝液の水分が、蓋の内側に結露となって付着し、内側用凸部HIに沿って再び泳動槽内の緩衝液へ戻るので、外部へ漏れることがない。
このとき、蓋1のマグネット10が、泳動槽本体4に設置された泳動用電源9のマグネットスイッチ11に接近、接触し、泳動用電源9が通電する。
これにより、泳動槽本体4に設置された電極12から緩衝液を介して試料が泳動する担体6に電圧が印加され、試料の電気泳動が開始する。
泳動用電源9の通電と同時に、或いは、担体の温度が上昇した場合これを検出して泳動槽本体4に設置された冷却ファン13も動作を開始し、試料が泳動する担体6および緩衝液を効果的に冷却することができる。
【0029】
さらに、蓋の凹部3に水などの液体や冷媒を注入することにより 試料が泳動する担体6および緩衝液を冷却することができる。 これには、蓋1が緩衝液中に沈み込んだ状態で安定させる効果がある一方で、試料の泳動軌跡の歪みを是正することも可能としている。その際の冷却による担体の温度を、4℃から室温程度の範囲を目的とした冷却が行われれば、特に液体、冷媒に限ることなく、その他の手段を用いても良い。又この場合、サーモスタット等の温度センサを使用したフィードバック機構を組み込み温度制御を行うものであっても良い。又、この冷却は、試料が担体上を泳動する部位におおよそ接近した部位が好ましくその意味で、蓋凹部でなくても良い場合もある。
又、台状の担体据え置き部5の裏側には放熱用薄板14が設置され、試料が移動する担体の温度上昇を抑制する。泳動槽本体4に試料が移動する担体6のみを設置した場合でも、台状の担体据え置き部5に付与された目盛り15により、試料の移動度を測定することができる。
目盛り15は、担体据え置き部5の表面に付されたものである場合や、その側面に付された場合もある。又、蓋1の突出部3に付される場合もある。
この場合は、少なくとも担体上の試料の移動を目視できる程度の透明性が、蓋1の突出部3、担体6にあることが好ましい。また、目視できなくても、赤外線、その他光学的手段を用いて、電気光学的検出ができればよい。
【0030】
図5は本発明の動作を説明するために一部を断面で示した概略的な図である。
蓋1の突出部3が試料が移動する担体6に接触しているため、泳動中に流れる
電流は試料が移動する担体6を流れる電流16に発熱量が大幅に削減されることに加え、緩衝液17の能力が長時間 持続する。これにより、緩衝液量を削減して、装置を小型化できる。又、蓋1の突出部3が緩衝液中に沈み込んで緩衝液部41,42を形成しているため、緩衝液が蒸発しても蓋1の突出部3は曇ることがなく、終始明確に泳動の様子を観察することが可能である。
更に本発明は、蓋を図1等のように凹上にせず、平らな蓋として、その分泳動槽の担体据え置き部自体の突出度を大きくし、平らな蓋と、突出度の大きい泳動槽で、担体を挟み込むことができる構成であっても良い場合もある。
【0031】
【発明の効果】
本発明の電気泳動装置では、泳動槽本体側に一部が突出した構造をもつ蓋によって泳動中に流れる電流を大幅に削減し、ジュール熱の発生を抑制でき、長時間の泳動にも耐えられる。又、泳動槽本体に設置された冷却用ファンおよび蓋の凹部に注入された冷却液および熱伝導率の高い薄板により試料が移動する担体および緩衝液を効率よく冷却できる。以上の効果により、試料が移動する担体の温度上昇を抑制し、正確な泳動結果を得ることができる。
【0032】
又、蓋が緩衝液又は試料が移動する担体に接触することにより、緩衝液の蒸発で蓋が曇ることがなく、泳動の様子を明確に観察することが可能である。
本発明の電気泳動装置は、従来のものよりも容積を大幅に削減し、電極間距離を短縮することおよび、蓋を担体に接触させ担体部の電気的インピーダンスを高めることによって、従来の電圧でも高電界を印加することが可能であり、
高速な泳動が可能である。又、試料が移動する担体および緩衝液の温度が上昇しにくいため、電圧を高めて泳動を高速化することも可能である。容積の削減に加え、泳動用電源を泳動槽本体と一体化することにより、装置全体も大幅に小型化され、利便性が向上している。
【0033】
安全性については、本発明の電気泳動装置は蓋に内部観察用の穴を空ける必要がなく、又蓋を泳動槽本体に固定しなければ電源が通電しないため、非常に安全な構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の実施例を説明するための図。
【図3】本発明の実施例を説明するための図。
【図4】本発明の実施例を説明するための図。
【図5】本発明の実施例を説明するための図。
【図6】従来例を示す図。
【符号の説明】
1 蓋
2 突起
3 突出部
4 泳動槽本体
5 担体据え置き部
6 担体
7 窪み
8 係止部
9 泳動用電源
10 マグネット
11 マグネットスイッチ
12 電極
13 冷却ファン
14 放熱用薄板
15 目盛り
16 電流
17 緩衝液
18 電極と対向する面
Claims (6)
- 泳動槽の中央が両側底部に比べて高い位置に形成される担体据え置き部(5)を有する電気泳動槽(4)、前記担体据え置き部(5)に据え置かれた担体(6)表面と接触する突出部(3)を備えた泳動用の蓋(1)、前記蓋(1)の突出部(3)が、前記担体据え置き部(5)上の担体(6)を挟むことで、前記担体(6)の両縁部と接触した緩衝液部(41)(42)が形成されてなる小型簡易電気泳動装置。
- 前記緩衝液部(41)(42)の液面が、前記担体(6)よりも高い部位にある請求項1に記載の小型簡易電気泳動装置。
- 前記電気泳動槽(4)が、サブマリン式電気泳動装置用の電気泳動槽と同型であり、且つ電気泳動槽(4)内の電極(12)(12’)間の距離 L が150(mm)以下である請求項1に記載の小型簡易電気泳動装置。
- 電気泳動槽(4)内の電極(12)(12’)に電気泳動出力を行うための電源(9)が前記泳動槽(4)と一体形成されてなる請求項1に記載の小型簡易電気泳動装置。
- 泳動槽(4)本体の担体据え置き部(5)の部位であって裏側に熱伝導率の高い部材(14)を設置してなる請求項1に記載の小型簡易電気泳動装置。
- 前記蓋部(1)には異物混入防止用の凸部(H)及び内側凸部(HI)が形成されている請求項1に記載の小型簡易電気泳動装置。
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