以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るビデオマイクロスコープの全体図である。
このビデオマイクロスコープは、装置本体1に内蔵する光源、例えばハロゲンランプ10で発生させて、不図示のフィルタを介した照明光を、さらに光ファイバーのようなライトガイド7を介してプローブ6に送っている。プローブ6には、照明ヘッド2、対物レンズ3が取り付けられていて、その対物レンズ3の周囲には多数の光ファイバーからなる不図示の導光部材が円筒上に配置されている。装置本体1からプローブ6に送られてくる照明光は、導光部材に入射して対物レンズ3の先端に取り付けられている照明ヘッド2によって集光する。この集光点に観察対象の観察又は検査部位を配置させる。
対物レンズ3に入射した観察光の結像位置には撮像素子、例えば、CCDカメラヘッド4が配置されていて、このCCDカメラヘッド4で受光した像の光電変換信号が信号ケーブル5を介して装置本体1のCCU8に伝送される。プローブ6からの光電変換信号をCCU8で外部出力用信号に変換してモニタ9に表示させるように構成されている。
観察者は、装置本体1に取り付けられ、後述するように構成された操作スイッチ15で、観察対象に応じた観察条件を設定する。操作スイッチ15から入力された観察条件をCPU12が読み取ると、CPU12には観察者から指定された観察条件となるように装置内部の条件設定を行う。
ここで、操作スイッチ15の一例である映像調整を行う代表的な例について説明する。操作スイッチ15として、図示しないゲイン調整スイッチと、ホワイトバランス調整スイッチと、フリーズスイッチを備えており、これらの機能は次の通りである。
ゲイン調整スイッチは、ダイアル式スイッチ又はプッシュ式スイッチのいずれかからなり、オートモードとマニュアルモードの切り替えが可能になっており、オートモードを選択した場合にはどんな被写体の明るさに対しても、同じ明るさの映像出力信号になるように自動調整され、またマニュアルモードを選択した場合には、ユーザの好みの明るさに調整されるように、映像を観察しながらスイッチを調整するもので、この切り替えを行うときや、マニュアルモードでの調整ときにはスイッチ操作が必要となる。
ホワイトバランス調整スイッチは、オートモードとマニュアルモードの切り替えを行う切り替えスイッチを備えると共に、赤色(R)及び青色(B)の調整を行うための色バランス調整用つまみを備えている。ホワイトバランス調整スイッチは、オートモードを選択すると、観察している被写体の一部の情報を基に色のバランス(R、B)の映像出力の値が調整され、またマニュアルモードを選択すると、ユーザの好みの色合いになるように、観察者が映像を観察しながらバランス調整を行うものである。なお、オートモードとマニュアルモードの切り替えを行う際には、切り替えスイッチの操作が必要であり、またマニュアルモードでの調整ときには切り替えスイッチの操作が必要である。
フリーズスイッチは、観察画像を静止画として一時記憶させる際に操作するスイッチである。CPU12は、装置全体の動作管理を行っており、その中の一つにハロゲンランプ10への無駄な電力の供給を抑制する機能が含まれている。CPU12は輝度検出部13及び合焦検出部14からの信号と操作スイッチ15の使用状況とを監視して無駄な電力消費をなくすための自動制御を行う。
ビデオマイクロスコープを用いた場合の観察では、観察中は観察対象の観察部位に対物レンズ3の焦点を合わせた状態となっているので、モニタ9上に表示される観察画像は合焦画像となる。しかも、合焦画像は外部出力用映像信号の明るさすなわち輝度成分信号が高いものとなる。さらに、使用中は観察条件の設定の他に種々の操作を行うので、操作スイッチ15から設定などの信号が頻繁に入力される。反対に観察者がモニタ9上に表示される観察画像を注視していないような場合には、ヘッド部を観察部位からずらしている場合が多いことから、合焦範囲からずれたぼけた画像となり、輝度成分の低い外部出力用映像信号となる。また、未使用ときにはスイッチ等の設定はほとんど行われない状況となる。
このような未使用の条件を画像情報の解析、スイッチ使用状態から判断し、ハロゲンランプ10へ無駄に供給される電力を自動的に抑制する。この実施の形態では、プローブで取り込んでいる観察画像が合焦範囲からずれたぼけた画像の輝度成分となっているか否か検出する輝度検出部13を備えている。CCU8において光電変換信号から明るさを示す輝度成分に分離した信号を輝度検出部13に入力し、輝度検出部13で輝度がある一定レベルを越えたかどうかの判断を行い、その結果をCPU12に知らせている。
輝度検出部13の具体的な処理回路を図2に示す。信号電圧蓄積部31にて輝度信号の輝度信号成分を示す電圧レベルを蓄え、電圧比較部33にて基準電圧発生部32からの設定基準電圧と蓄積された輝度信号成分の電圧レベルとを比較して輝度信号成分が基準電圧値を越えているかどうかの判定を行う。図3(a)に示すような輝度信号であれば、その輝度信号成分を示す蓄積電圧レベルは同図(b)に示すようなものとなる。電圧比較部33は、図3(c)に示すように輝度信号成分(蓄積電圧レベル)が基準電圧値を越えている場合は明るいと判断してハイレベルの検出信号を出力し、輝度信号成分(蓄積電圧レベル)が基準電圧値を越えていない場合は暗いと判断してローレベルの検出信号を出力する。
また実施の形態では、プローブで取り込んでいる観察画像が合焦画像となっているか否か判断するために合焦検出部14を備えている。観察対象の観察画像が合焦している場合は、その画像データはコントラストが高く、周囲の画像の輝度の差が大きいものとなる。CCU8において光電変換信号から明るさを示す輝度成分に分離した輝度信号を合焦検出部14に入力し、合焦検出部14でコントラストの高低を検出して、その結果をCPU12に知らせている。
合焦検出部14の具体的な処理回路を図4に示す。映像の輝度信号の信号変化分つまり微分成分を信号変化検出部41にて検出し、信号電圧蓄積部42にて輝度の微分信号を蓄えて合焦判断するためのコントラストの総和情報を得る。そして、基準電圧発生部43からの設定基準電圧に対して電圧比較部44にてコントラストの総和値と比較を行い、観察対象のコントラストがどれだけあるかを判定する。
図5(a)に示すような輝度変化を持った輝度信号を微分することにより、同図(b)に示すように輝度変化だけを取り出した微分信号が得られる。この微分信号の信号レベルを蓄積した蓄積電圧レベル(同図(c))が輝度差を示すことになる。従って、電圧比較部44で画像のトータルコントラストが基準電圧値を越えている場合は出力としてハイレベルの検出信号を出力し、基準電圧値を越えていない場合は出力としてローレベルの検出信号を出力する。
また実施の形態では、未使用の状態を判定するために操作スイッチ15を押した頻度等をCPU12で管理し、使用中かどうかを前のスイッチ操作結果に基づき判定する。ある一定時間以上、スイッチ操作がなければ未使用状態と判定することができる。
以上の3つの判定結果をCPU12にて総合的に解析して使用状態か否かを判断する。CPU12による上記3つの判定結果を使用しての未使用状態である判断アルゴリズムを図6に示している。例えば、「状態1」の場合、ある一定時間合焦範囲から外れた状態が継続し、かつ画像の輝度データが低く、かつスイッチの操作の未使用状態が継続しているときを、「未使用状態」と判断し、ランプ電源供給制御部11に信号を送り、ハロゲンランプ10を減光する制御を行う。同図に示す判定結果の組み合わせ以外の場合は使用中と判断し、ハロゲンランプ10の減光等の制御は行わない。
このような実施の形態によれば、合焦範囲からずれてぼけた画像の輝度成分となっているか否か輝度検出部18で検出し、観察画像が合焦画像となっているか否か合焦検出部14で判断してそれぞれCPU12に通知し、さらに操作スイッチ15を押した頻度等から未使用の状態をCPU12が判定して、これらの条件から「未使用状態」であると判断できるときにはハロゲンランプ10を減光する制御を行うようにしたので、ハロゲンランプ10による無駄な電力消費を防ぐことができる。これは、バッテリー内蔵で動作できる移動可能なビデオマイクロスコープの技術にも反映することができ、十分な長時間観察を可能にすることにもつながる。
しかも、「未使用状態」の判断条件に内視鏡技術のような画像の「動き」「赤色成分」を使用していないので、「動き」「赤色成分」を使用するときのような不具合がなく、「未使用状態」の判断を正確にし、かつ適用範囲を拡大することにもつながる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態における輝度検出部13及び合焦検出部14の処理を画像処理にて行うようにしたものである。
図7は第2の実施の形態に係るビデオマイクロスコープの全体構成図である。なお、図1に示すビデオマイクロスコープと同一部分には同一符号を付している。
図7において、2点鎖線で囲む部分は第1の実施の形態で説明した輝度検出部13及び合焦検出部14と同等の機能を画像処理で実現するようにした部分である。すなわち、CCU8からの分離された映像信号をA/D変換器21にてアナログ−デジタル変換して、そのデジタル信号をメモリ制御部25による書き込み制御の下でメモリ22へ画像データ(デジタル)として記録する。観察画像を静止画として表示する場合は、メモリ22に記録された画像データ(デジタル)をメモリ制御部25による読み出し制御の下で静止画として読出し、D/A変換器23で映像信号(アナログ)に変換してから表示切替え部24でメモリ22からの画像データを選択してモニタ9に表示する。また動画として表示する場合は、表示切替え部24にてCCU8からの映像信号(アナログ)が直接入力されるように選択してモニタ9に表示する。メモリ制御部25による書き込み/読み出しの制御をビデオレートで行うことにより動画として表示可能である。
この実施の形態において、未使用状態の検知はメモリ22に格納された画像データ(デジタル)をCPU12が画像処理による解析を行うことにより行われる。輝度成分信号をある一定時間間隔でメモリ22に取り込み、その画像データから合焦状態か否かの検出を行う。例えば、画像データの2次元の周波数成分を解析し、高周波成分が多く含まれる場合は合焦していると判断する。この解析は、CPU12にてメモリ制御部25を介して読み取った画像データを高速フーリェ変換して周波数成分に展開することにより行われる。高周波成分が一定頻度レベルを越えているか判断し、越えていれば合焦状態であると判断し、越えていなければ非合焦状態であると判断する。
(第3の実施の形態)
図7に示す構成のビデオマイクロスコープにおいて、メモリ22に記憶した画像データの代表的なラインデータを用いてCPU12でコントラストを算出する。例えば、図8に示すようにX方向及びY方向の各縦横1ライン毎に隣接画像データの差の絶対値の総和を次式から求めて、その総和から合焦判断を行う。
CXはあるYk ラインの横方向の合焦判定値、CYはあるXk ラインの縦方向の合焦判定値、nは画素数である。CX+CYの値より、ある判断レベルを越えているかにより合焦状態か判別することができる。
輝度値の判断法は、CPU12にてメモリ制御部25を介してデータを読み取り、全画素の輝度データの加算を行って、その総和が基準値より越えているかで明るさ状態を判断する。
このような実施の形態によれば、非常に簡単で、かつ高速な判断が可能になる。駆動供給源にバッテリーを利用する場合には、この実施の形態を示す方法を用いることでより効果的に省電力化を図ることができる。このような効果が得られるのは、次のような理由に基づいている。すなわち、第3の実施の形態の場合では、第2の実施の形態に対して図8に示すように縦と横に電位2本のライン分のデータでよいので、処理(計算)に係る時間が短くなり、メモリの容量が小さくてすみ、その結果、構成が簡単になる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、表示画像をフリーズしたときの無駄な電力の消費を抑えるようにしたビデオマイクロスコープの例である。
図9は第4の実施の形態に係るビデオマイクロスコープの全体構成図である。このビデオマイクロスコープは、プローブ51、装置本体52、及びモニタ53から構成されている。プローブ51には、対物レンズ62及び照明ヘッド63が設けられている。また、プローブ51の内部にはCCDカメラヘッド64が設けられ、さらに例えば光ファイバーからなるライトガイド65の先端部が挿入されている。
CCDカメラヘッド64は、複数の受光素子を配列したCCD等からなり、対物レンズ62を通して入射する像を撮像し、その光電変換信号aを出力する機能を有している。ライトガイド65の基端部は、装置本体52に配置したハロゲンランプ72と光学的に接続されている。
又、プローブ51には静止画像を指示するスイッチとしてのフリーズスイッチ66が設けられている。このフリーズスイッチ66はモーメンタリースイッチで構成されていて、押している間「1」レベルの信号bを出力し、押されていない間「0」レベルの信号bを出力するようになっている。
一方、装置本体52にはプローブ51の撮像動作を制御し、かつこのプローブ51からの光電変換信号aを受けて画像データ(デジタル)処理機能を有するCCU73が設けられている。具体的には、CCDカメラヘッド64に対してCCD駆動信号cを送出し、このカメラヘッド64からCCD出力である光電変換信号aを受ける。そして、この光電変換信号aから画像データ(デジタル)dを生成して出力端子から送出する。
装置本体52にはスイッチ信号検出回路75が設けられている。スイッチ信号検出回路75は、プローブ51のフリーズスイッチ66から「1」レベルの信号bを受けると、その信号の状態の変化を検出して出力端子から検出信号eを送出するように構成されている。このような回路構成にしておくことによって、プローブ51のフリーズスイッチ66を押した後、観察者が手を放しても検出信号eの状態は保持されるため、観察者はプローブ51を観察対象から離し、撮影を中断してモニタ53に写し出している静止画像により観察対象を観察することができる。
図10に図9のスイッチ信号検出回路75の具体的な回路構成を示す。スイッチ信号検出回路75は、3つのフリップフロップ(以下、「FF」と呼ぶ)97、78、80と一つのANDゲート79とで構成されている。FF97、78、80は共通のクロック信号CLKで駆動されている。このクロック信号は数MHzを使用することができる。FF80はイネーブル端子を持っており、このイネーブル端子ENが「1」レベルのときはクロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して入力端子Dの状態をラッチし出力端子Q及び反転出力端子から出力することができる。イネーブル端子ENが「0」レベルのときはクロック信号CLK及び入力端子Dの状態が変化しても出力端子Q及び反転出力端子の状態は変化しないようになっている。FF80の出力信号eが「1」レベルのときはフリーズ状態にあり、「0」レベルのときはフリーズ解除の状態にある。フリーズスイッチ66を繰り返し押すことによってフリーズ、フリーズ解除を繰り返す。図14にスイッチ信号検出回路75の動作としてフリーズを含んだタイムチャートを示しており、図15にスイッチ信号検出回路75の動作としてフリーズ解除を含んだタイムチャートを示している。
メモリ回路74は、スイッチ信号検出回路75から出力される信号eを受けたときに画像信号(デジタル)dから1フレーム分の静止画像データを作成し、この静止画像データを外部出力用映像信号fに切換え、モニタ53に送る静止画像切換え部の機能を有する。
図11にメモリ回路74の構成を示す。コントロール回路81はスイッチ信号検出回路75の出力信号eの状態がフリーズ状態になったことを検出すると、A/Dコンバータ82の画像データ(デジタル)gを取り込む。A/Dコンバータ82はCCU73の出力信号である画像信号dを取り込み、画像データ(デジタル)gとして出力している。A/Dコンバータ82の画像データ(デジタル)gを取り込んだコントロール回路81は1フレーム分の画像データを作成して画像メモリ83に記憶し、それとともに切換えスイッチ85の入力端子をX端子に切換え換え信号iを出力する。D/Aコンバータ84は画像メモリ83から出力される画像データjをアナログ信号に変換する。
また、点灯制御回路71はハロゲンランプ72と接続されている。点灯制御回路71の構成を図12に示す。同図に示すように、CPU86でスイッチ信号検出回路75から出力される信号eの状態を読み、フリーズ解除状態であればD/Aコンバータ87に所定の電圧データを出力する。電圧データのデータビット長は8ビットとする。また、信号eがフリーズ状態であればD/Aコンバータ87に対してハロゲンランプ72の電圧が低くなるような電圧データを出力する。このときの電圧の落とし方としては、0Vでない所定の電圧まで短時間のうちに低下させるか、長時間を掛けて緩やかに低下させる。又は0Vまで短時間で低下させるか、長時間を掛けて緩やかに0Vまで低下させる等の方法が考えられる。電圧の落とし方は、CPU86のプログラミングによって自由に設定できる。D/Aコンバータ87はCPU86から8ビットの電圧データをアナログ変換して点灯回路88に送出する。点灯回路88は不図示のオペアンプやトランジスタ、トランスなどで構成されており、D/Aコンバータ87のデータに基づき、ハロゲンランプ72に印加する電圧を決定する。
回転制御回路76はファン77と接続されている。回転制御回路76の構成を図13に示す。CPU91はスイッチ信号検出回路75から出力される信号eの状態を読み、フリーズ解除状態であればD/Aコンバータ92に所定の電圧データを出力する。なお、電圧データのデータビット長は8ビットとする。CPU91が読んだ信号eの状態がフリーズ状態であれば、D/Aコンバータ92に対してファン77の回転数を低くするような電圧データを出力する。このときの電圧は点灯制御回路71によって決定される電圧によるハロゲンランプ72の発熱量に対応した冷却能力に見合った分となる。この印加電圧データはCPU91のプログラミングによって自由に設定できる。D/Aコンバータ92はCPU91からの8ビット長の電圧データをアナログ信号に変換してモータードライバ93に送出する。モータードライバ93は不図示のトランジスタブリッジ、ダイオード等で構成されており、D/Aコンバータ92のデータに基づき、ファン77に印加する電圧を決定する。
以上のように構成されたビデオマイクロスコープの具体的な動作内容について以下に説明する。観察対象を照明するために点灯制御回路71からハロゲンランプ72に所定電圧を印加してハロゲンランプ72を点灯させる。ハロゲンランプ72から照射された光はライトガイド65を伝播してプローブ51に到達し、照明ヘッド63から外部に照射される。これにより観察対象は光で照射される。
一方、CCU73はCCDカメラヘッド64に対してCCD駆動信号cを送出して撮像動作を制御して、CCDカメラヘッド64は観察対象を撮像してその光電変換信号aを出力する。この光電変換信号aは装置本体のCCU73に送られる。
CCU73はCCDカメラヘッド64から送られてくる光電変換信号aを信号処理して画像データ(デジタル)dを出力する。メモリ回路74では、フリーズ状態ではないのでCCU73より出力された画像データ(デジタル)dは切換えスイッチ85のY接点を通り外部出力用映像信号(アナログ)fとしてモニタ53に送出される。その結果、モニタ53には観察対象の原画像が映し出される。
ここで、プローブ51のフリーズスイッチ66が押されたものとする。フリーズスイッチ66が押されると、フリーズスイッチ66からスイッチ信号検出回路75に「1」レベルの信号bが送出され、この「1」レベルの信号bの入力を受けてスイッチ信号検出回路75から「1」レベルのフリーズ信号eが送出される。メモリ回路74では、コントロール回路81がフリーズ信号eが「1」レベルとなったことを検知する切換スイッチ85をX接点側に切換えて切換え信号iを切換スイッチ85へ出力する。これと同時に、コントロール回路81がA/Dコンバータ82から画像データ(デジタル)を取り込んで1フレーム分の画像データを作成し、画像メモリ83に記憶する。これにより、画像メモリ83に記憶された画像データが随時読み出され、D/Aコンバータ84によりアナログ化されたメモリ出力映像信号kが切換えスイッチ85のX端子を通してモニタ53に送られる。
点灯制御回路71では、CPU86がスイッチ信号検出回路75から「1」レベルのフリーズ信号eを受けると、予め設定されたランプ電圧を低くするための8ビットの電圧データをD/Aコンバータ87に送出する。D/Aコンバータ87はCPU86から送出された8ビット電圧データに対応したアナログデータを点灯回路88に送出する。点灯回路88はD/Aコンバータ87から送出されたアナログデータに基づきランプ電圧を低下させる。
図16にランプ電圧を低下させる場合の電圧制御の状態を示している。同図に示すように、ランプ電圧を時間を掛けて低下させ、且つ電圧を0Vにしていないのは、短時間でフリーズ、フリーズ解除を繰り返すとすれば、すなわちハロゲンランプ72を短時間にON→OFF→ONさせるとハロゲンランプ72に大きな負担がかかるためである。さらに、消灯状態にあるハロゲンランプ72を再点灯させると大きな突入電流が流れ、点灯回路に悪影響を及ぼすので最小限のランプ電圧で点灯させているためである。
回転制御回路76では、CPU91がスイッチ信号検出回路75から「1」レベルのフリーズ信号eを受けると、予め設定されたファン77の回転数を低くたるための8ビットの電圧データをD/Aコンバータ92に送出する。D/Aコンバータ92はCPU91から送出された8ビット電圧データに対応したアナログデータをモータードライバ93に送出する。モータードライバ93はD/Aコンバータ92から送出されたアナログデータに基づきファン77の回転数を低下させるよう印加電圧を下げる。このとき、ファン77の回転数はハロゲンランプ72の印加電圧による発熱量に対して必要にして充分な風量になるようにする。
図17にファン77の回転数を低下する場合の電圧制御の状態を示している。同図に示すように、印加電圧を時間を掛けて低下させ、且つ電圧を0Vにしていないのは、ランプ電圧と同様の理由からである。
フリーズ状態になっている間、ハロゲンランプ72、ファン77はこの低消費電力状態を維持する。再び、フリーズスイッチ66が押されると、スイッチ信号検出回路75は今度はフリーズ解除状態を示す「0」レベルの信号eを出力する。
メモリ回路74は、「0」レベルの信号eを受けてコントロール回路81が切換えスイッチ85をY接点側に切換えて切換え信号iを出力させる。これによって、メモリ回路74から外部出力用映像信号(アナログ)fが出力され、モニタ53に送られる。そして、モニタ53には観察対象の原画像が映し出される。
点灯制御回路71のCPU86はスイッチ信号検出回路75から「0」レベルのフリーズ解除信号eを受けると、ランプ電圧を元の状態に戻すために上述したプロセスでランプ電圧を上昇させる。この場合、すぐにランプ電圧を上昇させて観察対象に光を照射させなければならないので短時間で元の電圧に戻すようにCPU86にプログラム設定しておく。
回転制御回路76についても点灯制御回路71と全く同様なシーケンスでファン77の回転数を上昇させる。このような実施の形態によれば、フリーズ状態からフリーズ解除状態になったときにハロゲンランプ72の印加電圧を低下させ、またファン77の回転数を低下させるのでフリーズときの無駄な電力の消費を押さえることができ、ハロゲンランプ72及びファン77の寿命も延ばすことができる。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、モニタに表示している画像をフリーズしたとき、又は記録媒体に記録された画像データをモニタに表示しているときに、CCU、ファン、ハロゲンランプへの電源供給を停止又は低減させるものである。
図18は第5の実施の形態に係るビデオマイクロスコープの全体構成図である。CPU101は装置本体52′の各ユニットに対して各種動作を行わせるためのコマンドを出力するメインのCPUである。CPU101が各ユニットに対して出力するコマンドは次のようになっている。スイッチ信号検出回路75からフリーズ信号eが入力された際に、後述する記録再生部102によって記録媒体103に記録してある画像データを表示する場合、すなわちモニタ53に静止画像を表示する場合は、点灯制御回路71、回転制御回路76、CCU73に対してコマンド「1」を送出し、また、メモリ回路74′に対しては信号mを出力する。信号mはモニタ53に何を表示するかに応じて内容が変わる。フリーズ状態でなくかつ記録媒体103に記録されている画像データを再生していない場合は、信号mは「0」となる。すなわち、プローブ51で撮像された観察対象の拡大像の画像データをメモリ回路74′を通してそのままモニタ53に映し出す場合である。ヘッド部51のフリーズスイッチ66が押されることによってスイッチ信号検出回路75の出力eが「1」になった場合は、メモリ回路74′に出力する信号mを「1」にする。さらに、操作スイッチ104が操作されて記録媒体103に記録されている画像データを記録再生部102にて再生する場合、又は、メモリ回路74′の画像メモリに落とした画像データを記録再生部102を使って記録媒体103に記録する場合は、メモリ回路74′な対する信号mは「2」となる。
図19にメモリ回路74′の回路構成を示している。メモリ回路74′の基本的な構成は、前述した図11に示したメモリ回路74と同じである。ここでは、コントロール回路81′にフリーズ信号eではなくCCU101から信号mを入力している。画像メモリ83′に作成した画像データを記録再生部102が記録媒体103へ記録し、記録媒体103に記録した画像データ又は他の画像データを記録再生部102が読み出して画像メモリ83′に入力できるようにしている。
コントロール回路81´は、メインCPU101からのコマンドmが「0」の場合にメモリ回路74′にある切り替えスイッチ85をY側に切換えベル「1」の切り替え信号iを出力する。信号mが「1」の場合はビデオデコーダ82′を通った画像データgを取り込む。ビデオデコーダ82′はCCU73の出力信号である映像信号dを取り込み画像データgとして出力するものであり、本実施形態では16ビットとする。ビデオデコーダ82′の画像データgを取り込んだコントロール回路81は1フレーム分の画像データを作成して画像メモリ83′に記憶して、それとともに切り替えスイッチ85の入力端子をX側に切り替える切り替え信号iを出力する。信号mが「2」の場合は、記録再生部102に画像メモリ83′の制御を渡し、切り替えスイッチ85をX側に切り替える切り替え信号iを出力する。ビデオエンコーダ84′は画像メモリ83′から出力される画像データjをアナログ信号に変換する。
従って、メモリ回路74′はCPU101からの信号mの内容によって異なった動作をする。まず、信号mが「0」の場合は、CCU73が送出するヘッド部51からの観察対象の拡大像の映像信号dをそのままモニタ53に映し出す。信号mが「1」の場合はスイッチ信号検出回路75から送出される信号eが「1」すなわちヘッド部51のフリーズスイッチ66が押されフリーズ状態なので映像信号dから1フレーム分の画像データを作成しモニタ53に映し出す。信号mが「2」の場合は操作スイッチ104を操作して記録再生部102を用いて記録媒体103に記録されている映像信号をモニタ53に表示する。
記録再生部102は、不図示のCPU、メモリコントローラ、画像圧縮・伸張IC、データインターフェースIC等で構成されており、操作スイッチ104を操作することでCPU101を介して記録媒体103に記録されている画像データをメモリ回路74′の画像メモリ83′に転送してモニタ53に表示させたり、逆にメモリ回路74′にある画像メモリ83′の画像データを取り込んで記録媒体103に記録することができる。この記録媒体は例えばPCカード等が使用できる。
以上のように構成されたビデオマイクロスコープの作用について述べる。ハロゲンランプ72の光をライトガイド65を伝搬してプローブ51に導き、照明ヘッド63から外部に照射することにより観察対象を照射する。
一方、CCU73はCCDカメラヘッド64に対してCCD駆動信号cを送出して撮像動作を開始させる。CCDカメラヘッド64が観察対象を撮像した光電変換信号aは本体部52′のCCU73に送られる。CCU73は光電変換信号aを受けて信号処理し映像信号dを出力する。
現在、フリーズ状態もしくは記録媒体103に記録されている画像データを表示していない状態であれば、CCU73より出力された映像信号はメモリ回路74′にあるコントロール回路81′のi信号によって切り替えスイッチ85のY接点側に切り替えられ外部出力用映像信号fとしてモニタ53に観察対象の原画像が映し出される。
ここで、ヘッド部51のフリーズスイッチ66が押されフリーズ状態に入った場合、又は操作スイッチ104からの操作入力によって記録媒体103に記録されている画像データを再生しようとする場合は、CPU101の信号mが「1」、「2」になる。CPU101が信号1を「1」にしてハロゲンランプ72の点灯制御回路71、ファン77の回転制御回路76及びCCU73へ消費電力を低減するように指示する。
CPU101から消費電力を低減するように指示された点灯制御回路71や回転制御回路76は、例えば図16、図17で示されるような方法で電圧を低下していく。図16、図17ではフリーズ開始ときの電圧の印可方法を示しているが、記録媒体103に記録されている画像データを表示する際も全く同様のシーケンスをとる。
CCU73はCPU101から出力される信号lが「1」になると、CCU73に内蔵された不図示の電源部によってCCU73の電源供給を停止する。メモリ回路74′の画像メモリ83′の画像データを記録再生部102によって記録媒体103へ書き込むときも同じ動作となる。
プローブ51のフリーズスイッチ66が押されフリーズが解除されたとき、記録媒体103に記録されている画像データの表示を終了したとき、もしくはメモリ回路74′の画像メモリ83′から記録媒体103への画像データの書き込みが終了すると、CPU101が出力する信号mが「0」になり、信号lが「0」になる。これによって点灯制御回路71、回転制御回路76は元の印可電圧まで電圧を回復させ、CCU73の不図示の電源部は電源供給を再開し通常動作に戻る。
このような実施の形態によれば、フリーズ状態や記録媒体103に記録してある画像データを表示しているときはランプ電圧やファンの回転数を低下させ、さらにはCCUへの電源供給を停止するので、バッテリー駆動ときの無駄な電力の消費を防ぐと共に、ハロゲンランプの寿命を延ばすこともできる。
なお、CCU73とモニタ53のテレビ信号方式においては、白黒、NTSC、PAL、SECAMの信号方式でもよい。また、より高帯域の映像が撮像できるハイビジョン方式にすれば高い解像度の画像が得られることは言うまでもない。
前述の実施の形態では光源にハロゲンランプを使用したが、本発明で適用できる光源は、これに限られたものではなく、例えば発光ダイオード(LED)や蛍光灯でも減光や消灯に適用することができる。
以上、実施の形態に基づいて発明を説明したが、本明細書には以下の発明を含む。
(1)光源に電力を供給して観察対象を照明する光を発生し、その照明光で照明された観察対象の像を拡大光学系を介して取り込み、その観察対象の像を映像信号に変換してモニタに表示させるビデオマイクロスコープにおいて、前記拡大光学系から取り込まれた観察対象の映像信号をA/D変換して画像データに変換するA/D変換部と、前記画像データが記憶されるメモリと、このメモリへの画像データの書き込み及び読み出しを制御するメモリ制御手段と、前記メモリから読み出された画像データを画像処理して前記観察対象の像が合焦状態にあるか否か判断する合焦判別手段と、設定条件などを入力する操作部の操作状況を監視して使用状況下にあるか否か判断する操作監視手段と、合焦判別結果と使用状況判別結果の少なくとも2つの判別結果から未使用状態であると判断した場合は光源を減光又は消灯するように光源供給電力を制御する光源制御手段とを具備する。
(2)合焦判別手段を、観察画像が合焦範囲からずれたぼけた画像の輝度成分となっているか否かを検出する輝度検出回路を含んで構成する。
(3)映像信号から明るさを示す輝度成分に分離した信号を入力して輝度がある一定レベルを越えたどうか判断し、輝度が所定レベルを越えていれば合焦状態であると判別し、それ以外では非合焦状態であると判別する。
(4)合焦判別手段を、映像信号から分離した輝度信号の信号変化分つまり微分成分を検出する信号変化検出回路を含んで構成する。
(5)輝度の微分信号を蓄積して合焦判断するためのコントラストの総和情報を得、設定基準電圧とコントラストの総和値とを比較して、観察対象のコントラストが所定値を越えていれば合焦状態と判別し、それ以外であれば非合焦状態であると判別する。
(6)合焦判定手段を、輝度検出回路と信号変化検出回路を同時に含んで構成する。
(7)合焦状態か否かの検出を行うための画像データの画像処理として、画像データの2次元の周波数成分を解析する画像処理を使用する。高周波成分が多く含まれる場合は合焦状態にあると判断する。画像データの2次元の周波数成分の解析には、高速フーリェ変換を利用することができる。
(8)合焦状態か否かの検出を行うための画像データの画像処理として、メモリに記憶した画像データの代表的なラインデータを用いてコントラストを求めるような画像処理を使用する。X方向及びY方向の各縦横1ライン毎に隣接画素データの差の絶対値の総和を求めて、その総和から合焦判断を行う。
1…装置本体、2…照明ヘッド、3…対物レンズ、4…CCDカメラヘッド、6…プローブ、8…CCU、9…モニタ、10…ハロゲンランプ、11…光源電源供給制御部、12…CPU、13…輝度検出部、14…合焦検出部、15…操作スイッチ。