JP4098055B2 - 鋳造用上ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳造設備において用いられる上ノズルに係り、特に溶融金属容器の底部に挿着して使用する鋳造用上ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば連続鋳造において、取鍋やタンディッシュ等の溶融金属容器の底部には、図1に要部の断面図を示すように、溶融金属容器1の底部にノズル受け煉瓦2が組み込まれ、このノズル受け煉瓦2の下方から上ノズル3が挿入されてモルタル等の接着材により固定されるようになっている。
【0003】
一方、溶融金属容器1の下面に固着の支持金具4にスライドバルブ5の図示ないケースが取り付けられ、このスライドバルブ5のボトムプレート6の孔6aの周囲上面に穿設された環状突部6b内に上ノズル3の下端の小径部3aが嵌合して支持される。
【0004】
そしてスライドバルブ5のスライドプレート7の孔7aの下部には下部ノズル8を介してロングノズル9(または浸漬ノズル)が図示しない保持機構により支持されるものである。
【0005】
このような溶融金属容器1に用いられる上ノズル3は、中心に上下に貫通するノズル孔3bを有し、上方の外周面は先細となるテーパーを有するテーパー面部3cとされ、基端は円筒部3dとされており、前記テーパー面部3cは前記ノズル受け煉瓦2の内孔2aのテーパー孔部2bに整合し、前記円筒部3dは溶融金属容器1の底部の円筒状の内孔1aに嵌合され、モルタル等の接着材を介在して固着されるようになっている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−99271号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかして上記のような溶融金属容器においては、操業によりプレート6、7および上ノズル3に損傷をきたしたときスライドバルブ5を取り外しまたは開放して損傷したプレート6、7および上ノズル3を除去し、新たなプレート6、7および上ノズル3と交換することが必要となる。
【0008】
このとき図6に示すように溶融金属容器1の底部のノズル受け煉瓦2の内孔2aの深部(円筒状孔部2c)に地金S等が付着していると、上ノズル3を挿入したとき上ノズル3の上端部周縁が地金Sに当たって所定の位置に挿着することができない。特に上ノズル3の先端部が溶損した場合に溶融金属が流入する入口である円筒状孔部2cの内面に付着しやすい。
【0009】
そのため上ノズル3の挿着に先き立って付着している地金Sを除去することが必要となるが、地金Sがノズル受け煉瓦2の内孔2aの奥まった箇所に付着していたり、ノズル受け煉瓦2に浸潤しているような場合はこれを除去することは熱間作業であることと相俟って容易な作業ではなく、かつ長時間を要するものであった。
【0010】
本発明はこれに鑑み、ノズル受け煉瓦の内孔深部に地金等の付着物が存在していてもこれを除去することなく上ノズルを所定の位置に容易に挿着することができるようにすることを課題としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として本発明は、溶融金属容器の底部に設けられるノズル受け煉瓦の内孔に挿着して溶融金属を流出させるための上ノズルにおいて、前記ノズル受け煉瓦の内孔のテーパー孔部に整合する上絞りテーパー面部の先端部周方向に少なくとも1条の打ち欠き用凹溝を形成し、前記ノズル受け煉瓦の内孔深部に付着物が存在するとき前記打ち欠き用凹溝部分でそれより先端側を欠除して挿着するようにしたことを特徴とする。
【0012】
前記打ち欠き用凹部は、上ノズルのテーパー面部の先端領域に直接形成するほか、上ノズルのテーパー面部の先端にリング状耐火物を取り付け、このリング状耐火物の外周面に打ち欠き用凹溝を形成し、リング状耐火物を打ち欠き用とするようにしてもよい。
【0013】
いずれにおいても、ノズル受け煉瓦の内孔深部に地金等の付着物が存在していて上ノズルを所定の位置に挿着することができないときは、前記打ち欠き用凹溝部分でそれより先端側を打ち欠くことにより付着物を除去することなく上ノズルを所定の位置へ挿着することができる。
【0014】
これにより、熱間において付着物を除去する必要をなくし、熱間重筋作業を軽減することができ、上ノズルの交換作業を容易にすることができる。
【0015】
なお前記打ち欠き用凹溝は、上ノズルのサイズ等に応じてその数を選択することができ、好ましくは3〜5条程度とされる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照し、図6と共通する部分にはこれと同一符号を用いて説明する。
【0017】
図2は本願請求項1に対応する鋳造用上ノズル10の一実施形態の断面図を示すもので、テーパー面部10aの先絞りの先端部に連接されノズル受け煉瓦2の内孔2aの円筒状孔部2cに嵌合する円筒状部10bの外周面周方向に複数条(図では3条)の打ち欠き用凹溝111,112,113が所定の間隔をおいて形成されている。
【0018】
図3は本願請求項2に対応する鋳造用上ノズル10の一実施形態の断面図を示すもので、テーパー面部10aの先端にノズル受け煉瓦2の内孔2aの円筒状孔部2cに嵌合する円筒状部10bを構成するリング状耐火物12が取り付けられ、このリング状耐火物12の外周面周方向に複数条の打ち欠き用凹溝111,112,113が等間隔に形成されている。
【0019】
このリング状耐火物12の取り付けには、上ノズル10から容易には離脱しないよう凹凸13による圧嵌め、鋳込み等により強固に固着してもよいが、一般的にはモルタル等により接合される。。
【0020】
前記打ち欠き用凹溝111〜113の設置数は、上ノズル10のサイズに応じて適宜選択することができる。
【0021】
ノズル受け煉瓦2の内孔2aの内周面に付着する地金等の付着物Sは、その内孔2aの深部で溶融金属の入口部分である円筒状孔部2cの内周面に付着しやすい。
【0022】
図6に示すようにノズル受け煉瓦2の円筒状孔部2cの内周面に地金等の付着物Sが付着している場合は、上ノズル10の挿着時にその付着物Sが障害となる先端部分を図4に図3の上ノズル10を例にとって示すようにその位置の打ち欠き用凹溝(112を例示)の部分で先端側をハンマー等で打ち欠いて除去し、図5のようにノズル受け煉瓦2の内孔2aに下方から挿入すれば、付着物Sの存在に拘らずに上ノズル10を所定の位置へ挿着することができる。
【0023】
挿入される上ノズル10はモルタル等の接着材を介してノズル受け煉瓦2に固定される。
【0024】
図2に示した上ノズル10の場合も上記と同様にして使用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ノズル受け煉瓦の内孔の深部に地金等の付着物が残存していても、それに合わせて上ノズルの先端部分を打ち欠き用凹溝を基準として欠除することにより上ノズルを所定の位置に挿着することができ、これによりノズル受け煉瓦の内孔の清掃時間が短縮されるので上ノズルの挿着に要する作業時間も大幅に短縮することができると同時に、付着物除去のための熱間重筋作業からも解放され、生産性の向上に大きく寄与することができる。
【0026】
また上ノズルをノズル受け煉瓦にきっちりとセットすることができるので、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による上ノズルの使用箇所である溶融金属容器の底部構造例を示す断面図。
【図2】本発明による上ノズルの一実施形態を示す断面図。
【図3】同、他の実施形態を示す断面図。
【図4】図3の上ノズルの先端を欠除した状態を示す断面図。
【図5】付着物が存在するノズル受け煉瓦へ図4の上ノズルを挿着した状態を示す断面図。
【図6】従来の不具合いを示す説明図。
【符号の説明】
1 溶融金属容器
2 ノズル受け煉瓦
2a 内孔
2b テーパー孔部
2c 円筒状孔部
3、10 上ノズル
3a、10a テーパー面部
5 スライドバルブ
6 ボトムプレート
7 スライドプレート
111、112、113 打ち欠き用凹溝
12 リング状耐火物
Claims (2)
- 溶融金属容器の底部に設けられるノズル受け煉瓦の内孔に挿着して溶融金属を流出させるための上ノズルにおいて、前記ノズル受け煉瓦の内孔のテーパー孔部に整合する上絞りテーパー面部の先端部周方向に少なくとも1条の打ち欠き用凹溝を形成し、前記ノズル受け煉瓦の内孔深部に付着物が存在するとき前記打ち欠き用凹溝部分でそれより先端側を欠除して挿着するようにしたことを特徴とする鋳造用上ノズル。
- 溶融金属容器の底部に設けられるノズル受け煉瓦の内孔に挿着して溶融金属を流出させるための上ノズルにおいて、前記ノズル受け煉瓦の内孔のテーパー孔部に整合する上絞りテーパー面部の先端にリング状耐火物を取り付け、このリング状耐火物の外周面周方向に少なくとも1条の打ち欠き用凹溝を形成し、前記ノズル受け煉瓦の内孔深部に付着物が存在するとき前記打ち欠き用凹溝部分でリング状耐火物の先端側を欠除して挿着するようにしたことを特徴とする鋳造用ノズル。
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