JP4097267B2 - サンドブラスト用マスク装置 - Google Patents

Description

この発明は、例えば自動車の窓ガラスのような平滑な刻印対象面に、刻印を施すためのサンドブラスト装置に使用されるマスク装置に関するものである。

自動車の窓ガラスに刻印を施すためのサンドブラスト装置に使用される従来のマスク装置を図７に示す。マスク装置２１は、サンドブラスト装置におけるノズル３１を包囲する外筒３２の先端に取り付けられるもので、刻印すべき形状に対応する形状の開口を備えた円盤状の金属製マスク本体２２と、このマスク本体２２の外周縁を外筒３２の先端に固定するための固定リング２３とからなる。刻印対象であるガラス板Ｇは、搬送装置３４でサンドブラスト装置上に搬送され、位置決め台座３３の上に置かれる。このときマスク本体２２とガラス板Ｇの刻印面との間に所定の微小間隔が形成されるように、予め外筒３２と台座３３の相対位置が調整される。ノズル３１から研磨材が噴射され、マスク本体２２の開口を介してガラス板Ｇに衝突した研磨材によって刻印が形成される。
刻印される文字等の「ボケ」を防ぐためにはガラス板Ｇとマスク本体２２とを極力接近させ強固に位置固定をするのが好都合である。その一方、研磨材の粒子や硬いゴミがマスク本体２２とガラス板Ｇとの間に介在している状態でガラス板Ｇとマスク本体２２を強固に位置固定しようとすると、研磨材の粒子や硬いゴミがガラス板Ｇに傷をつけてしまうという不具合がある。この不都合を解消するためにマスク本体２２とガラス板Ｇの刻印面との間に所定の微小間隔が形成されるが、この微小な位置調整や徹底した清掃には手間とコストを要する、難点がある。
上記のような従来の技術を開示する特許文献、非特許文献は、出願人の調査の限りにおいて存在しない。
なお、石碑に銘文を刻印するためのサンドブラスト機が特許文献１に記載されている。このサンドブラスト機においては、厚さ約１〜２mmのゴム板に、石碑の銘文に刻印すべき所望の文字等輪郭を切り抜いた開口を有するゴム板を石碑に位置決めして重ね合わせて固定する。サンドブラスト機から送られた高圧の研磨粉は、噴射ホースを通って、ノズルチップの先端部から噴射される。石碑の表面では、ゴム板で保護されていない部分、すなわち、ゴム板の切り抜かれた開口部分に対応する部分だけが、高圧の研磨粉によって削り取られる。そして、研磨粉およびこの研磨粉によって発生した石粉は、集塵ブラシによって、その内部に留まり、排出口に接続された集塵ホースで吸引され、集塵装置に集塵される。
マスク本体として、特許文献１に記載されるような柔軟なゴム板を用いれば、その柔軟な変形により、ガラスの傷付きをある程度防止できるが、研磨材により摩耗されやすく頻繁な交換を要する難点がある。
特開平１１−１９８０４２号公報

この発明は、上記従来のサンドブラスト装置用のマスク装置の問題点を解消し、マスク本体とガラス板の刻印面との間に微小間隔を形成するための位置調整を不要として手間とコストを削減でき、マスク本体とガラス板との間の研磨材粒子や硬いゴミによってガラス板に傷をつけることのないマスク装置を提供することを課題としている。

この発明においては、上記課題を解決するため、刻印すべき形状に対応する形状の開口２ｄを備えた円盤状金属製のマスク本体２と、このマスク本体２の外周縁に離脱可能に内周縁部が嵌合しかつ外周縁部がサンドブラスト装置の外筒３２の先端に固定される環状の弾性支持部材３とを具備させてマスク装置１を構成する。弾性支持部材３には、マスク本体２がノズル３１の軸線方向に変位できるように当該マスク本体２を弾性的に支持するための環状弾性部３ｃと、マスク本体２の刻印対象面に対向する面よりわずかに刻印対象面側に膨出し、刻印対象面に押し当てたときに、刻印対象面とマスク本体２との間に所要の微小間隔Ｓを形成する環状の当接部３ｅとを具備させる。

この発明においては、環状の当接部を刻印対象面に当接させることにより、刻印対象面とマスク本体との間に所要の微小間隔が自動的に形成されるから、微小間隔を形成するための位置調整が不要で手間とコストを削減でき、またマスク本体とガラス板との間に研磨材粒子や硬いゴミが介在していても、弾性支持部材の弾性によってマスク本体が容易に変位するから、ガラス板に傷をつけることがない等の効果を有する。

図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図１はサンドブラスト用マスク装置の断面図、図２はサンドブラスト用マスク装置の平面図、図３（ａ）はマスク本体の平面図、（ｂ）は弾性支持部材の平面図、図４はサンドブラスト用マスク装置の一部の拡大断面図、図５、図６はサンドブラスト用マスク装置の使用状態の断面図である。

図において、ガラス板Ｇのような平滑な刻印対象面に刻印を施すためのサンドブラスト装置は、研磨材を噴射するノズル３１と、このノズル３１を包囲する外筒３２と、この外筒３２の内側においてノズル３１を包囲する内筒３５とを有する。外筒３２と内筒３５との間の空間３６は、研磨材を回収する空間となる。マスク装置１は、外筒３２の先端にノズル３１を覆うように取り付けられる。

マスク装置１は、円盤状で金属製のマスク本体２と、このマスク本体２を外筒３２に支持するための弾性支持部材３とを具備する。マスク本体２は、円形平板状の主体部２ａと、主体部２ａの周縁から環状の段部２ｂを介して扁平円錐状に広がるフランジ部２ｃを備える。主体部２ａには、刻印すべき形状に対応する形状の切り抜き開口２ｄが形成されている。

弾性支持部材３は、ゴム又は弾性合成樹脂製の環状体で、マスク本体２のフランジ部２ｃに嵌合する環状の係合部３ａと、サンドブラスト装置の外筒３２の先端に固定される環状の固定部３ｂと、係合部３ａと固定部３ｂとの間に位置する環状の弾性部３ｃとを具備する。係合部３ａは、マスク本体２のフランジ部２ｃにスナップ係合する環状の係合凹部３ｄと、使用時にガラス板Ｇの刻印面に接する環状の当接部３ｅとを有する。固定部３ｂは、押さえリング４により外筒３２の先端に固定される。環状弾性部３ｃは、マスク本体２がノズル３１の軸線方向に容易に変位できるように、弾性支持部材３に弾性を付与するためのもので、内周縁の係合部３ａと外周縁の固定部３ｂに対してガラス板Ｇと反対側へ膨出するように断面Ｕ字状に湾曲している。当接部３ｅは、マスク本体２のガラス板Ｇに対向する面よりわずかにガラス板Ｇ側に膨出しており、ガラス板Ｇに押し当てたときに、ガラス板Ｇとマスク本体２との間に所要の微小間隔Ｓが形成される。

図４に示すように、係合部３ａの係合凹部３ｄには、円周方向に所定の相互間隔を置いて、放射状に伸びる通気溝３ｆが形成される。通気溝３ｆは、弾性支持部材３とマスク本体２との嵌合時に、マスク本体２の外周縁との間に空間３６へ連通する通気路を形成する。サンドブラスト噴流によりマスク本体２とガラス板Ｇとの間の微小間隔Ｓに正圧が生じる。この正圧により、マスク本体２とガラス板Ｇとの間に進入した研磨材が通気溝３ｆを介して空間３６へ排出、回収される。通気溝の３ｆ途上には、研磨材が図４の矢印のように空間３６へ排出されるのを許容するが、逆流を阻止するための弁３ｇが形成されている。

図２、図３に示すように、弾性支持部材３の内周縁部には、当該弾性支持部材３の中心に対する回転角度を示す目盛３ｈが表示される。また、マスク本体２の弾性支持部材３の内周縁部に近い位置には、目盛３ｈと合致させてマスク本体２と弾性支持部材３との相対回転角度を知るための目印２ｅが形成されている。これと反対に、目印を弾性支持部材３の内周縁部に、目盛をマスク本体２に形成することもできる。

ガラス板Ｇにサンドブラストによる刻印を施す場合には、図５に示すように、搬送装置３４でサンドブラスト装置上にガラス板Ｇを搬送し、位置決め台座３３の上に置く。このとき、ガラス板Ｇは弾性支持部材３の当接面３ｅに接してやや下方へ弾性支持部材３を撓ませる。マスク本体２とガラス板Ｇの刻印面との間には、マスク本体２と弾性支持部材３の当接面３ｅとのギャップに相当する所定の微小間隔Ｓが自動的に形成される。ノズル３１から研磨材が噴射され、マスク本体２の開口２ｄを介してガラス板Ｇに衝突した研磨材によって刻印が形成される。開口２ｄからマスク本体２とガラス板Ｇとの間に進入した研磨材は、サンドブラスト噴流による正圧で、図４の矢印のように通気溝３ｆを介して空間３６へ排出され回収される。研磨材の逆流は、通気溝の３ｆの途上の弁３ｇによって阻止される。

ガラス板Ｇを位置決め台座３３の上に置くとき、図６に誇張して示すように、ガラス板Ｇとマスク本体２との間に固い異物Ｆが介在した場合、弾性支持部材３が弾性的に下方へ変位することにより、異物Ｆが強くガラス板Ｇに押しつけられて傷つけられるのを防止する。

マスク本体２と弾性支持部材３との相対回転角度位置は、目盛３ｈと目印２ｄを合致させることにより、正確迅速に設定することができる。

この発明は、自動車用窓ガラスに商標や識別記号等を刻印するためのサンドブラスト装置のマスク装置として適用することができる。

サンドブラスト用マスク装置の断面図である。 サンドブラスト用マスク装置の平面図である。 （ａ）はマスク本体の平面図、（ｂ）は弾性支持部材の平面図である。 サンドブラスト用マスク装置の一部の拡大断面図である。 サンドブラスト用マスク装置の使用状態の断面図である。 サンドブラスト用マスク装置の使用状態の断面図である。 従来のサンドブラスト用マスク装置の使用状態の断面図である。

符号の説明

１ マスク装置
２ マスク本体
２ａ 主体部
２ｂ 段部
２ｃ フランジ部
２ｄ 開口
２ｅ 目印
３ 弾性支持部材
３ａ 係合部
３ｂ 固定部
３ｃ 環状弾性部
３ｄ 係合凹部
３ｅ 当接部
３ｆ 通気溝
３ｇ 弁
３ｈ 目盛
４ 固定リング
３１ ノズル
３２ 外筒
３３ 位置決め台座
３４ 搬送装置
３５ 内筒
３６ 空間
Ｇ ガラス板
Ｆ 異物
Ｓ 間隔

Claims (7)

1. 平滑な刻印対象面に刻印を施すためのサンドブラスト装置におけるノズルを包囲する外筒の先端に取り付けられるマスク装置であって、
   刻印すべき形状に対応する形状の開口を備えた円盤状金属製のマスク本体と、このマスク本体の外周縁に離脱可能に内周縁部が嵌合しかつ外周縁部が前記サンドブラスト装置の外筒の先端に固定される環状の弾性支持部材とを具備し、
   前記弾性支持部材は、前記マスク本体が前記ノズルの軸線方向に変位できるように当該マスク本体を弾性的に支持するための環状弾性部と、前記マスク本体の前記刻印対象面に対向する面よりわずかに刻印対象面側に膨出し、前記刻印対象面に押し当てたときに、刻印対象面とマスク本体との間に所要の微小間隔を形成するための環状の当接部とを具備することを特徴とするサンドブラスト用マスク装置。
2. 前記弾性支持部材の前記当接部が前記内周縁部に形成され、内周縁部と前記外周縁部との間に、内周縁部を前記マスク本体と共に刻印対象面と反対側へ比較的容易に変位させるための前記環状弾性部が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のサンドブラスト用マスク装置。
3. 前記弾性支持部材の前記環状弾性部が、前記内周縁部と前記外周縁部に対して前記刻印対象面と反対側へ膨出するように断面Ｕ字状に湾曲していることを特徴とする請求項１に記載のサンドブラスト用マスク装置。
4. 前記弾性支持部材の前記内周縁部に、前記マスク本体の外周縁との嵌合時に当該外周縁との間に前記サンドブラスト装置の外筒の内側へ連通する通気路を形成する通気溝が設けられ、
   マスク本体と前記刻印対象面との間に進入した研磨材が、通気溝を介して外筒の内側に排出されるように構成されていることを特徴とする請求項１に記載のサンドブラスト用マスク装置。
5. 前記弾性支持部材の通気溝の途上に、前記研磨材が外筒の内側へ排出されるのを許容するが、逆流を阻止するための弁が形成されていることを特徴とする請求項４に記載のサンドブラスト用マスク装置。
6. 前記弾性支持部材の内周縁部に、当該弾性支持部材の中心に対する回転角度を示す目盛が表示され、
   前記マスク本体の前記弾性支持部材の内周縁部に近い位置に、弾性支持部材の目盛と合致させてマスク本体と弾性支持部材との相対回転角度を知るための目印が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のサンドブラスト用マスク装置。
7. 前記マスク本体の前記弾性支持部材の内周縁部に近い位置に、環状に、当該マスク本体の中心に対する回転角度を示す目盛が表示され、
   弾性支持部材の内周縁部に、前記目盛と合致させてマスク本体と弾性支持部材との相対回転角度を知るための目印が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のサンドブラスト用マスク装置。

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