JP4097164B2 - 立体形状記述方法 - Google Patents
立体形状記述方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4097164B2 JP4097164B2 JP19753897A JP19753897A JP4097164B2 JP 4097164 B2 JP4097164 B2 JP 4097164B2 JP 19753897 A JP19753897 A JP 19753897A JP 19753897 A JP19753897 A JP 19753897A JP 4097164 B2 JP4097164 B2 JP 4097164B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- point
- dimensional
- interest
- approximate curve
- curve
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Processing Or Creating Images (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は形状記述方法及び特徴点抽出方法に関し、特に、任意の3次元点列を元にその特徴点乃至特徴箇所を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
立体形状を記述する従来技術には、多面体(ポリゴン)近似により当該立体を表現する方法や、ベジエ或いはスプラインといった曲面を組み合わせることにより当該立体の自由曲面部分を表現する方法等が知られている。前者は、例えば3次元物体形状の認識処理の分野で、多面体近似により立体形状を予め記述しておき、そのデータを用いて当該立体と観測された立体との照合を行う場合などに利用されている。また、後者は、例えば立体形状のモデリングの分野などで利用されている。
【0003】
これらの技術を用いて立体形状を記述する場合、そのデータ入力に多大なる労力を要する。このため、記述の対象となる立体のモックアップ等から3次元点列データをサンプリングし、そこから自動的に立体形状モデルを生成する技術が望まれている。
【0004】
ところで、上述した多面体近似によって立体形状を記述しようとする場合は、曲面を忠実に記述しようとすれば多大なデータ量を必要とするといった問題がある。そこで、かかる問題を解決するために、立体形状を凹や凸の滑らかな曲面と平面との組み合わせで表現することが望ましい。
【0005】
このためには、記述の対象となる立体形状の側面に含まれる曲面や平面の領域の各境界線を確定する技術が必要となる。この際、それらの境界線についても、凹もしくは凸の滑らかな曲線と直線との組み合わせで表現することが望ましく、このため、立体形状の側面に含まれる点列を元に、その点列により特定される曲線の各点における曲率や接線方向を正確に算出することが必要となる。
【0006】
こうした曲率を算出する従来の手法としては、k曲率とよばれる手法が知られている。この手法の主な工程は以下のとおりである。
【0007】
工程1.注目点の設定
処理の対象となる立体形状の側面各領域の境界線上にk画素ごとの注目点を設定する。
【0008】
工程2.線分による境界線の近似
注目点どうしを次々に線分で接続して当該境界線を多角形で近似する。
【0009】
工程3.曲率の変化の算出
多角形の各辺の角度の変化からもとの境界線の曲率の変化を計算する。
【0010】
図13はk曲率手法によって曲率を導出する様子を示す図である。ここではある注目点Piとそれに隣接する2つの注目点Pi-k、Pi+kが描かれている。Pi-kからPi、Pi-kからPi+kへ向かうベクトルをそれぞれVi-k、Vi+kとすると、同図に示すようにPiにおける曲率Ckiは内積を用いて、
Cki=cosθ
=Vi-k・Vi+k/|Vi-k||Vi+k| (式1)
となる。同様の計算を各注目点において行うことにより、曲率が大きく変わる屈曲点として見つけることができる。屈曲点とは長方形の頂点のように微分不可能な尖った点で、角点と呼ばれることもある。また、曲率をしきい値処理することにより、境界線の遷移点(すなわち直線と凹もしくは凸の曲線が、法線の滑らかな変化を伴い接する点)を把握することもできる。いずれにせよ、屈曲点や遷移点など境界線上で特徴を有する点(以下「特徴点」という)と、k曲率などの手法を用いずに容易に見つけることのできる分岐点、端点などの特徴点によって境界線を分割し、それらの組み合わせにより、立体形状を記述することができる。また、これら記述に基づいてモデルと観測データの照合により、立体の識別や認識といった処理が可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
画像処理の沿革から見れば、k曲率は計算量を低減する手法としての位置づけが可能である。すなわち、境界線上には参照可能な多数の点があるにも拘らず、注目点Piについてはkだけ隔たった注目点Pi-k、Pi+kのみを考慮して曲率を求めている。したがって、比較的少ない計算量と引き換えに、以下の課題がある。
【0012】
(1)雑音に敏感である。すなわち、注目点の1画素のずれが(式1)によって計算される曲率に大きく影響しうる。この傾向はkが小さいほど強い。このため、k曲率を求める場合、なんらかの形でぼかし処理を行わざるをえない場合が多い。逆にkが大きい場合、ある注目点付近の曲率を遠くの点を参照して求めることになるため、境界線の細部の形状を記述することができない。
【0013】
(2)(1)のために、kの値を変化させながら複数回にわたって曲率を求める手法も存在するが、k曲率の利点である計算量の少なさが失われる。また、kの値をどのように変化させるかについても試行錯誤を要する。
【0014】
(3)雑音に敏感なため、曲率の変化から屈曲点を見つける際、誤差に対するしきい値が低すぎれば無用の屈曲点が多数検出され、境界線が過分割される結果、符号化効率が低下する。逆にしきい値が大きすぎると、境界線の分割数が少なすぎて正しい形状の記述ができない。
【0015】
(4)同様に雑音に対する敏感性のため、屈曲点程度の特徴点は見つけることができても、現実には遷移点を正しく見つけることは非常に困難とされる。特に、境界線が小さな区間で複雑な変化をするとき、遷移点の検出はほとんど不可能である。したがって、実用上k曲率で把握できる特徴点は屈曲点だけといってもよく、この手法の活用には限界がある。
【0016】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、1)微妙なしきい値の設定など試行錯誤に依存する処理を不要としつつ、特徴点の検出率を高めること、2)屈曲点は当然のこと、遷移点や後述の変曲点も正しく検出すること、3)過分割を避けることで符号化効率を高めつつ、復号時に正しい形状が得られる最適な分割をすること、4)分割された境界線の各区間をより正確に近似することで正しい形状の記述をすること、のできる立体形状記述方法を提供することにある。第2の目的は、上記1)〜4)の事項を可能とする特徴点抽出方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するために、第1の発明は、処理対象の立体の側面に含まれる3次元点列を元に該立体の形状を記述する立体形状記述方法であって、前記3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内に位置する近似曲線の所定の幾何情報を算出し、その注目点に対応づける第1の工程と、各注目点に対応づけられた各近似曲線の幾何情報に基づいて前記立体の側面に含まれる3次元点列から特徴箇所を検出する第2の工程と、その特徴箇所に関する情報に基づいて該立体の形状を記述する第3の工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
この発明においては、まず第1の工程により、3次元点列中の各注目点について、その注目点およびその近傍の複数の参照点に対して前記近似曲線が算出される。すなわち、本発明では、注目点Piと注目点Pi-k、Pi+kを互いに無関係な線分で接続する上述のk曲率手法と異なり、注目点と参照点が近似曲線で近似され、そのうえでその近似曲線がその注目点に対応づけられる。なお、ここでいう近似曲線は、曲線のみならず直線を含むものである。
【0019】
つづいて、第2の工程により、各注目点に対応づけられた各近似曲線の幾何情報を手がかりに前記3次元点列中の特徴箇所が検出され、第3の工程によってその特徴箇所に関する情報に基づいて該立体形状上の領域の輪郭形状が記述される。
【0020】
以上の本発明によれば、ある注目点に関する前記近似曲線を決めるとき、その注目点近傍の複数の参照点の位置が計算に反映されるため、雑音耐性が高まり、その注目点付近における境界線の近似精度が高まる。このため、微妙なしきい値の設定も不要となる。見つけ出される特徴点も妥当なものとなり、過分割を避けることができる。分割された境界線の各区間もより正確に近似できるため、良好な形状の記述が可能になる。
【0021】
なお、本明細書でいう「立体の側面に含まれる3次元点列」は、処理対象の立体の側面に「厳密に」含まれるものに限らず、該立体の側面の近傍範囲内に位置するものであってもよく、さらにこれらの両方が混在するものであってもよい。すなわち、ここでいう3次元点列が処理対象の立体の側面に含まれる点を3次元デジタイザ等により計測して得られるものである場合には、それら3次元点列は立体の側面に厳密に「含まれる」ものとはならず、計測誤差により該立体の側面の近傍に位置するものとなる。本発明は、そうした計測誤差等を含む点も立体の側面に含まれるものと同様に取り扱うことができるものである。
【0022】
また、本明細書でいう処理対象の立体の「側面」は、立体形状の輪郭を表すものであり、立方体でいえば左右側面のみならず、正面、背面、上面、底面を含むものであり、さらに例えば球殻でいえば外側面のみならず内側面をも含むものである。
【0023】
(2)第2の発明は、第1の発明において、前記第1の工程は、前記3次元点列の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内に位置する近似平面の幾何情報をさらに算出し、その注目点に対応づけ、前記第2の工程は、各注目点に対応づけられた各近似曲線及び近似平面の幾何情報に基づいて前記立体の側面に含まれる3次元点列から特徴箇所を検出する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、第1の工程で、各注目点について近似平面の幾何情報が算出される。そして、第2の工程では、前述の近似曲線の幾何情報に加えてこの近似平面の幾何情報が、3次元点列の特徴箇所検出に利用される。こうすれば、3次元点列からさらに多様な特徴点を検出することができる。
【0025】
(3)第3の発明は、第1又は2の発明において、前記第3の工程は、前記特徴箇所の間の3次元点列をそれぞれ一本の曲線で近似し、特徴箇所に関する情報の他にこの曲線に関する情報を用いて立体の形状を記述することを特徴とする。
【0026】
すなわち、特徴箇所がそれぞれ点の場合、それらの点の位置と、それらの点を結ぶ曲線の情報、例えば直線、スプライン曲線、ベジェ曲線、円弧、NURBS曲線などを特定するパラメータ情報によって輪郭形状を記述し、さらにそれらの曲線で囲まれた領域に処理対象たる立体の側面の一部としての平面や曲面を対応づけることができる。この結果、形状の記述に必要なデータ量を最適化することができる。
【0027】
なお、本発明の第3の工程は、第2の発明にかかる方法に限定されるものではなく、例えば、特徴箇所の全部または一部の間の3次元点列を一本の曲線で置き換えることもできる。
【0028】
(4)第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明において、前記第1の工程は、各近似曲線と元の3次元点列との誤差を各近似曲線に対応づけられた注目点毎に算出し、ある注目点に関する誤差をその注目点が参照点として利用された他の注目点に関する誤差と比較し、前記ある注目点に関する誤差が前記他の注目点に関する誤差よりも大きい場合、前記ある注目点に対応づけられた近似曲線の幾何情報を前記他の注目点に対応づけられた近似曲線の幾何情報によって置き換える工程、をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
例えば、ある注目点P5に対して参照点をP4とP6とするとき、P4,P5,P6の3点を最もよく近似する曲線がP5に関する近似曲線(AC5と表記する)となる。また、このとき曲線AC5と3点P4〜P6の誤差の合計をE5とする。すなわち、
・近似曲線AC5 :P4〜P6で決定
・合計誤差E5 :近似曲線AC5とP4〜P6の誤差の合計
である。誤差は点と近似曲線の距離、またはその二乗など、いろいろ方法で計算することができる。
【0030】
一方、P5に関する処理の前に行われるP4に関する処理では、
・近似曲線AC4 :P3〜P5で決定
・合計誤差E4 :近似曲線AC4とP3〜P5の誤差の合計
としてP4に関する近似曲線と誤差が求められる。P6についても同様にAC6とE6が定まる。
【0031】
ここでP5についていえば、「P5が参照点として利用された他の注目点」はP4とP6である。従って、P4に対応するE4、P5に対応するE5、P6に対応するE6を比較し、仮にE4が最小であれば、P5における近似曲線であるAC5をAC4に変更する。
【0032】
例えば、処理中の立体形状の上のある領域の形状(3次元点列の軌道)が正方形でP5がその頂点であるとき(すなわち、P4P5=P5P6のとき)、かつ各近似曲線を直線と仮定するとき、AC5はP4,P5,P6のいずれの点も通らず、それらの間を正方形の辺に対して45゜の角度で貫く形になる。
【0033】
一方、P3,P4,P5は正方形の一辺に乗っているため、これらを近似するAC4はP3,P4,P5のすべてを通る(すなわち、AC4は正方形の一辺自身である)。そこで、AC4がP5も通っていることを考慮し、AC5をAC4に変更してしまうのである。
【0034】
この態様によれば、屈曲点における近似曲線をその前後の近似曲線に変更することができる。その結果、屈曲点において無理な近似が行われることを回避してより自然な形状の記述ができる。
【0035】
(5)第5の発明は、第2〜4のいずれかの発明において、前記第2の工程は、前記近似平面の法線ベクトルを、対応する前記近似曲線の湾曲方向に基づく方向を有するよう算出し、法線ベクトルの方向の変化量に基づいて前記3次元点列中の特徴点を検出することを特徴とする。
【0036】
本発明では、近似平面の法線ベクトルを前記近似曲線の湾曲方向に基づく方向を有するよう算出する。すなわち、一般に、平面の法線ベクトルには方向が互いに正反対である二つが存在する。そこで、本発明では、各注目点に対応する法線ベクトルとして、その注目点に対応する近似曲線の湾曲方向に基づく方向を設定することにしている。具体的には、例えば、ある注目点Piに対応する接線ベクトルtiと、その注目点Piに隣に位置する注目点Pi+1に対応する接線ベクトルti+1と、の外積の方向を注目点Piに対応する法線ベクトルniとして設定することができる。
【0037】
そして、各注目点に対応して算出された法線ベクトルの方向の変化量に基づいて前記3次元点列の特徴点を検出する。たとえば、隣り合う注目点にそれぞれ対応する2つの法線ベクトルが所定のしきい値を超える角度差を有する場合に、その隣り合う注目点のいずれか一方を特徴点として検出することができる。すなわち、本発明では、各法線ベクトルが、その法線ベクトルに対応する注目点近傍範囲での前記近似曲線の湾曲方向に基づく方向を有するよう算出しているため、この法線ベクトルの方向の変化を調べることで前記近似曲線の湾曲方向の変化を検出することができる。こうして、本発明によれば、前記3次元点列の変曲点ともいえる特徴点を検出することができる。かかる特徴点(変曲点)は、立体形状の側面に含まれる3次元点列中で幾何的な特徴を持つ点であり、こうした点を把握することにより立体形状の的確な記述が可能になる。
【0038】
(6)第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明において、前記第2の工程は、各近似曲線について、その近似曲線に対応づけられた注目点が遷移点であるとき、その注目点を前記3次元点列中の特徴点として検出することを特徴とする。
【0039】
ここでいう遷移点は、前記近似曲線が直線から曲線に移行するとき、あるいは直線から曲線に移行するときの、当該移行点を意味する。遷移点は3次元点列中の幾何的な特徴を持つ点であり、こうした点を把握することにより立体形状の的確な記述が可能になる。
【0040】
(7)第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明において、前記第2の工程は、各近似曲線について、その近似曲線に対応づけられた注目点が屈曲点であるとき、その注目点を前記3次元点列中の特徴点として検出することを特徴とする。
【0041】
ここでいう屈曲点は、3次元点列の軌道(軌跡)の角部に位置する点であり、本発明ではかかる点を3次元点列中の特徴点として検出することにより、より的確な立体形状の記述を可能とするものである。なお、この屈曲点は、たとえば各近似曲線の接線ベクトルの方向の変化量に基づいて検出することができる。屈曲点は尖った点であり本来は曲率または曲率半径という概念で正確に数値表現することは難しい。こうして接線ベクトルの方向の変化量に基づいて屈曲点を検出すれば、より自然な尺度により屈曲点の探索精度を高めることができる。
【0042】
(8)第8の発明は、第4の発明において、前記第2の工程は、前記第1の工程による前記置換の後、ある注目点に関する誤差が未だ大きいと判断される場合、その注目点近傍を前記3次元点列中の特徴箇所として検出することを特徴とする。
【0043】
前記置換によって未だ誤差が大きい場合、3次元点列がその注目点付近の短い区間で比較的複雑な形状を軌道していると考えられる。以下では、3次元点列のこうした構造を微小構造という。本発明によれば、かかる微小構造を検出することができ、形状記述の際に特殊な処理を施すなどの別途の対応が可能になる。
【0044】
(9)第9の発明は、第4の発明において、前記第1の工程による前記置換の後、ある注目点に関する誤差が未だ大きいと判断される場合、その注目点につき参照点に関する条件を変更した後、前記第1の工程に戻って処理を再実行することを特徴とする。
【0045】
ここで「条件」とは、例えば注目点と参照点の距離、参照点の数などである。第7の発明のところで述べたとおり、問題となる注目点付近には微小構造があると考えられるため、本発明では、例えば注目点に参照点を近づけることにより、微小な区間に対して再度、曲線による近似を行う。この結果、微小構造のさらに正確な記述が可能となる。
【0046】
(10)第10の発明は、3次元点列の中からその特徴点を抽出する特徴点抽出方法であって、3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内を通る近似曲線の、その注目点における接線ベクトルをそれぞれ算出し、それらの接線ベクトルに基づいて3次元点列からその特徴点を抽出することを特徴とする。
【0047】
本発明によれば、ある注目点に関する前記近似曲線の接線ベクトルを算出するとき、その注目点近傍の複数の参照点の位置が計算に反映されるため、雑音耐性を高め、その注目点付近における近似精度を高めることができる。このため、微妙なしきい値の設定も不要とすることができる。見つけ出される特徴点も妥当なものとなり、過分割を避けることができる。分割された境界線の各区間もより正確に近似できるため、良好な形状の記述が可能になる。また、本発明では、こうして算出される接線ベクトルに基づいて、3次元点列から上述の屈曲点などの特徴点を抽出することができる。
【0048】
(11)第11の発明は、第10の発明において、各近似曲線の、当該近似曲線に対応する注目点及びその近傍の所定個数の参照点に対する誤差、をそれぞれ算出し、ある注目点に関する誤差が、その注目点が参照点として利用された他の注目点に関する誤差よりも大きい場合、当該ある注目点に対応する近似曲線の接線ベクトルを、当該他の注目点に対応する近似曲線の接線ベクトルによって置き換える、ことを特徴とする。
【0049】
本発明によれば、前述の屈曲点のように近似曲線の対応付けが良好に行えない場合にも、近似曲線をその前後の近似曲線に変更することにより、無理な近似が行われることを回避することができる。この結果、3次元点列からより正確に特徴点を検出することができる。
【0050】
(12)第12の発明は、3次元点列の中からその特徴点を抽出する特徴点抽出方法であって、3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内を通る近似曲線のその注目点における曲率をそれぞれ算出し、それらの曲率に基づいて3次元点列からその特徴点を抽出することを特徴とする。
【0051】
本発明によれば、ある注目点に関する前記近似曲線の、その注目点における曲率を算出するとき、その注目点近傍の複数の参照点の位置が計算に反映されるため、雑音耐性を高め、その注目点付近における近似精度を高めることができる。このため、微妙なしきい値の設定も不要とすることができる。見つけ出される特徴点も妥当なものとなり、過分割を避けることができる。分割された境界線の各区間もより正確に近似できるため、良好な形状の記述が可能になる。また、本発明では、こうして算出される曲率に基づいて、3次元点列から上述の遷移点などの特徴点を抽出することができる。
【0052】
(13)第13の発明は、各近似曲線の、当該近似曲線に対応する注目点及びその近傍の所定個数の参照点に対する誤差、をそれぞれ算出し、ある注目点に関する誤差が、その注目点が参照点として利用された他の注目点に関する誤差よりも大きい場合、当該ある注目点に対応する近似曲線の曲率を、当該他の注目点に対応する近似曲線の曲率によって置き換える、ことを特徴とする。
【0053】
本発明によれば、前述の屈曲点のように近似曲線の対応付けが良好に行えない場合にも、近似曲線をその前後の近似曲線に変更することにより、無理な近似が行われることを回避することができる。この結果、3次元点列からより正確に特徴点を検出することができる。
【0054】
(14)第14の発明は、3次元点列の中からその特徴点を抽出する特徴点抽出方法であって、3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍に位置する近似平面の法線ベクトルをそれぞれ算出し、それらの法線ベクトルに基づいて3次元点列からその特徴点を抽出することを特徴とする。
【0055】
本発明によれば、ある注目点に関する前記近似平面の法線ベクトルを算出するとき、その注目点近傍の複数の参照点の位置が計算に反映されるため、雑音耐性を高め、その注目点付近における近似精度を高めることができる。このため、微妙なしきい値の設定を不要にすることができる。見つけ出される特徴点も妥当なものとなり、過分割を避けることができる。分割された境界線の各区間もより正確に近似できるため、良好な形状の記述が可能になる。そして、本発明では、こうして算出される法線ベクトルに基づいて、3次元点列からそ特徴点を抽出することができる。
【0056】
(15)第15の発明は、第14の発明において、前記近似平面に対応する注目点及びその参照点の近傍範囲内を通る近似曲線の当該注目点近傍における湾曲方向に基づく方向を有するよう、前記法線ベクトルを算出することを特徴とする。
【0057】
本発明では、近似平面の法線ベクトルを前記近似曲線の湾曲方向に基づく方向を有するよう算出する。すなわち、一般に平面の法線ベクトルには、その方向が互いに正反対の二つものが存在する。そこで、本発明では、各注目点に対応する法線ベクトルとして、その注目点に対応する近似曲線の湾曲方向に基づく方向を設定することにしている。具体的には、例えば、ある注目点Piに対応する接線ベクトルtiと、その注目点Piに隣に位置する注目点Pi+1に対応する接線ベクトルti+1と、の外積の方向を注目点Piに対応する法線ベクトルniとして設定することができる。
【0058】
そして、こうして各注目点に対応して算出された法線ベクトルに基づいて特徴点として検出する。本発明によれば、このように、前記近似曲線の湾曲方向に対応する方向を有するよう各法線ベクトルを算出しているので、その法線ベクトルの方向の変化を調べることにより、前記3次元点列の変曲点ともいえる特徴点を検出することができる。かかる特徴点(変曲点)は、立体形状の側面に含まれる3次元点列中で幾何的な特徴を持つ点であり、こうした点を把握することにより立体形状の的確な記述が可能になる。
【0059】
(16)第16の発明は、第15又は16の発明において、各近似曲線の、当該近似曲線に対応する注目点及びその近傍の所定個数の参照点に対する誤差、をそれぞれ算出し、ある注目点に関する誤差が、その注目点が参照点として利用された他の注目点に関する誤差よりも大きい場合、当該ある注目点に対応する近似平面の法線ベクトルを、当該他の注目点に対応する近似平面の法線ベクトルによって置き換える、ことを特徴とする。
【0060】
本発明によれば、前述の屈曲点のように近似曲線の対応付けが良好に行えない場合にも、近似平面の法線ベクトルをその前後の近似平面の法線ベクトルに変更することにより、無理な近似が行われることを回避することができる。この結果、3次元点列からより正確に特徴点を検出することができる。
【0061】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施形態を適宜図面を参照しながら説明する。
【0062】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる立体形状記述方法の手順を示すフローチャートである。以下、この方法の手順を説明しながら本発明に係る立体形状記述方法及び特徴点抽出方法の実施の形態を説明する。
【0063】
同図に示すごとく、本方法は、近似曲線の算出(S10)、近似平面の算出(S11)、置換処理の実行可否の確認(S12)、置換処理(S14)、参照点の移動可否の確認(S16)、参照点の移動(S18)、特徴点の検出(S20)、形状の記述(S22)、の各処理を含む。以下、各処理の内容を詳述する。
【0064】
A.近似曲線の算出(S10)
この工程では、形状を記述すべき立体の側面に含まれる3次元点列中に注目点をとり、各注目点について、その近傍の参照点を考慮しながら近似曲線を算出する。なお、本実施の形態では、形状を記述すべき立体の側面に含まれる3次元点列は、当該立体から3次元デジタイザ等により計測されたものであり、若干の計測誤差を含みうる。また、ここで算出する近似曲線は、後に注目点の中から特徴点を探すための各注目点における曲率と接線ベクトルを求めるためだけに利用され、最終的に立体形状ないし3次元点列の軌道を記述するものではない。したがって、各近似曲線は各注目点間を実際に接続するのではなく、各注目点に対して一対一に概念的に定まるものである。
【0065】
以下、簡単のために注目点Piの参照点はその注目点前後の4点、Pi-2、Pi-1、Pi+1、Pi+2とし、この参照点の集合をREF(i)と表記する。したがって、ひとつ前の注目点Pi-1については、
REF(i−1)={Pi-3,Pi-2,Pi,Pi+1}
となる。
【0066】
図2は、注目点Piに関する近似曲線の導出方法を示している。同図において、曲線Cは実際の3次元点列の軌道(立体側面に含まれる曲線であって3次元点列はこの曲線に含まれる。)であり、近似曲線がACiである。近似曲線ACiとしてはいろいろな曲線を採用できるが、ここでは3次元空間中の円ないし円弧を考える。
【0067】
同図のOiはACiの点Piにおける曲率中心である。APjはOiからPjを結ぶ直線とACiの交点を表す(j=i−2,i−1,i,i+1,i+2)。曲率半径riはAPiとOi距離であり、注目点Piの曲率は1/riで与えられる。また、注目点Piに対応する近似曲線ACiの点APiにおける接線ベクトルをtiと表記する。
【0068】
ここで、近似曲線の誤差を評価するためにPjとAPjの距離をejと表記し、注目点Piにおける合計誤差Eiを、
Ei=Σej (ただしΣは、j=i−2〜i+2に関する) (式2)
と定義する。本工程では、このEiを最小にするような円をもって注目点Piにおける近似曲線とする。
【0069】
つづいて、この処理をすべての注目点に行い、各注目点に関する近似曲線と合計誤差を計算する。得られた計算結果のイメージは図3に示されている。なお、注目点Piと参照点Pi-2,Pi-1,Pi+1,Pi+2が同一の直線上に乗るときは直線によって近似がなされることになる。また、このその注目点に関する曲率は0となる。
【0070】
なお、本工程では合計誤差を考えたが、これは最大誤差E=max(ej)であってもよい。ノイズによる境界線の急激な変化を無視したい場合は合計誤差、逆に、急激な変化に対しても近似を考慮したい場合は最大誤差を採用する等すればよい。
【0071】
B.近似平面の算出(S11)
この工程では、形状を記述すべき立体の側面に含まれる3次元点列中に注目点をとり、各注目点について、その近傍の参照点を考慮しながら近似曲線を算出する。この近似平面は、後に注目点の中から特徴点を探すため、その法線ベクトルを求めるためのみに利用される。
【0072】
図4は、注目点Piに関する近似平面の導出方法を示している。同図の曲線Cが実際の境界線、この近似平面がPLiである。近似平面PLiとしては平面、
aix+biy+ciz+di=0 (式3)
を与える。同図のOは座標系の原点である。本工程では、注目点又は参照点である各点Pi-2〜Pi+2と上記(式3)との距離の総和が最小となるよう該(式3)のパラメータai,bi,ci,diを決定し、その平面を注目点Piに関する近似平面PLiとする。
【0073】
また、原点Oから該近似平面PLiへ下ろした垂線の足Fiへ向かうベクトルは、近似平面の法線ベクトルと等しくなり、これをniと表記する。ここで、法線ベクトルniは、方向比がai:bi:ciのベクトルとなる。この際、法線ベクトルniはS10で求めた、当該注目点に対応する近似曲線の湾曲方向に応じた方向を持たせる。例えば、図5(a)に示すように、紙面方向に存する視点から見て3次元点列が右回りの走査方向を持ち、それ故近似曲線ACiが右側に湾曲している場合には、当該視点の方向に法線ベクトルniが向くように方向を設定し、同図(b)に示すように紙面方向に存する視点から見て3次元点列が左回りの走査方向を持ち、それ故近似曲線が左側に湾曲している場合には、当該視点とは反対の方向に法線ベクトルniが向くように方向を設定すればよい。具体的には、注目点Pi+1に対応する接線ベクトルti+1と注目点Piに対応する接線ベクトルtiとの外積を、注目点Piに対応する法線ベクトルniとして採用すればよい。
【0074】
なお、前記法線ベクトルniは、後述するように、近似曲線ACiの変曲点を算出するためだけに用いる。したがって、注目点Piと参照点Pi-2,Pi-1,Pi+1,Pi+2が同一の直線上に乗るときは(式3)による近似は行わない。
【0075】
また、以上の近似曲線の算出(S10)と近似平面の算出(S11)とは、互いに処理の順序を逆にしてもよく、また、それらを同時処理することもできる。
【0076】
C.置換処理の実行可否の決定(S12)
つづいて、置換処理を実行すべきかどうかを判定する。置換処理とは、「ある注目点Piの合計誤差Eiを、その注目点Piが参照点として利用された他の注目点Pxの合計誤差Exと比較し、Ei>Exの場合、注目点Piの近似曲線ACiを注目点Pxの近似曲線ACxに変更すること」をいう。「注目点Piが参照点として利用された他の注目点Px」は、集合REF(i)の各要素を意味し、本実施形態では、
x=i−2,i−1,i+1,i+2
である。これらの注目点ではPiも考慮したうえで近似曲線が決められている以上、その近似曲線がPiに対しても有効な可能性があるためである。置換処理の詳細は次の工程で説明する。
【0077】
本工程では、こうした置換処理を行うかどうかを決める。設計によっては必ず行う、または必ず行わない、というような固定的な運用も可能である。また、あるEiについて、
Ei>2Ex
となるようなExが存在する場合のみ、その注目点Piについて置換を行うなどの決め方をしてもよい。いずれの方法をとるにせよ、置換処理を行う場合はS14、行わない場合はS20へ進む。
【0078】
D.置換処理(S14)
注目点Piについて置換処理を行う場合、その点の合計誤差EiとREF(i)に含まれる各点の合計誤差Ei-2,Ei-1,Ei+1,Ei+2が比較される。いま仮に、
Ei-1<Ei
であれば、注目点Piの近似曲線ACiは注目点Pi-1のそれであるACi-1に置き換えられる。Eiよりも小さいものが上記の4つの合計誤差のうち2つ以上存在する場合は、それらのうち最も小さいものに関する近似曲線による置換を行う。
【0079】
この工程の目的は、Piが屈曲点である場合にも良好かつ合理的な近似曲線を得ることにある。図6は本工程による処理の効果を説明する図である。ここでは注目点Piが屈曲点であり、その前後の注目点がそれぞれ異なる直線L1、L2上に乗っているとする。同図では、注目点Piについて置換を行わない場合の近似曲線ACiが描かれている。
【0080】
この図から明らかなように、注目点PiについてはREF(i)の4点が考慮され、かつ上述のS10によって円又は円弧による近似曲線が求められるため、Ei≠0なるEiが生じている。一方、例えば注目点Pi-2については、
REF(i−2)={Pi-4、Pi-3、Pi-1、Pi}
であり、これらがすべてL1に乗っていため、ACi-2がL1そのものとなる。したがって、Ei-2=0である。同様の考察から、注目点Pi-2よりも前の注目点、および注目点Pi+2よりも後の注目点については合計誤差がゼロとなり、Ei-1、Ei、Ei+1のみがゼロでない。そこでこの場合、
・注目点Pi-1の近似曲線ACi-1を近似曲線ACi-2で置換
・注目点Piの近似曲線ACiを近似曲線ACi-2で置換
・注目点Pi+1の近似曲線ACi+1を近似曲線ACi+2で置換
という置換を行う。このことにより、すべての注目点で合計誤差がゼロとなる。
【0081】
特に、屈曲点である注目点PiについてEi=0となることは、後の特徴点の検出(S20)の際に有益である。すなわち、Piにおける接線ベクトルは図6のti1またはti2と表現されるべきところ、もとの近似曲線ACiでは近似の結果、中途半端なtiと表現されている。本工程で置換を行えば注目点Piの前後で接線ベクトルの方向が不連続に変化するため、屈曲点の存在が明確になる。
【0082】
E.参照点の移動可否の確認(S16)
S14による処理により、大半の注目点について合計誤差が小さくなると考えられる。しかし、それでも大きな合計誤差が残る注目点が存在する場合がある。この場合、参照点に関する条件を変更したうえで再度計算を最初からやり直すかどうかを決める。
【0083】
本工程もS12同様、必ず行う、または必ず行わない、という固定的な運用を採用してもよい。あるEiがS14によってE' iになり、
E' i>Ei/2
というように改善効果がさして大きくない場合、参照点を移動してもよい。いずれの方法にせよ、移動を行う場合はS18、行わない場合はS20へ進む。
【0084】
F.参照点の移動(S18)
合計誤差の改善効果が大きくないとき、その理由として注目点と参照点の距離(以下「サンプリング距離」という)が広すぎることが考えられる。すなわち、3次元点列中には微小構造があるにも拘らず、これを比較的大きな区間ごと離散的に近似するため、近似精度の低くなる点が生じるというものである。
【0085】
図7は、L3〜L5の3つの線分からなる微小構造を示している。ここでは線分L5の区間が微小構造で、同図のように注目点間が広い場合、注目点Piにおける合計誤差EiはS14の置換処理を行ってもゼロにならない。なぜなら、Piは線分L3上にもL4上にもないため、それらの線分を近似曲線としても誤差が残り、一方、Pi自身が乗っている線分L5を近似曲線とすれば注目点Pi-2などについて誤差が生じるためである。
【0086】
図8は図7においてサンプリング距離を縮めた状態を示している。同図の場合、各線分に少なくとも5個の注目点が存在するため、S14の置換処理を用いればすべての注目点における合計誤差をゼロにすることができる。本実施形態では、注目点と参照点の合計個数が5個のためである。逆にこのとき、微小構造についても正しい曲率と接線ベクトルを求めることができる状態になり、好都合である。サンプリング距離は例えば1/2に短縮すればよく、それでも改善効果が芳しくなければ、図1のS10,S12,S14を経て再び本工程に到達するため、ここで再度サンプリング距離が1/2に短縮される。この繰り返しにより、微小構造の表現に必要十分なサンプリング距離が決まる。
【0087】
本工程では、サンプリング距離を短縮するとしたが、別の方法も考えられる。例えば、もともと参照点が多かった場合など、参照点の数を減らしてもよい。参照点の数が減れば結果的にトータルのサンプリング距離が減るためである。図8の場合、線分L3上にもともと注目点が3個存在するため、参照点を「注目点の両側1個ずつ」と変更すればサンプリング距離を変えなくても合計誤差をゼロにすることができる。
【0088】
本発明については以下の付加的な処理を行ってもよい。
【0089】
1.微小構造の識別
S14の置換を経ても、ある注目点について、例えば前記合計誤差がゼロにならない場合、或いは合計誤差が所定のしきい値未満(又は以下)とはならない場合等には、その注目点は微小構造に含まれていると考えられる。このため、かかる注目点のデータに微小構造を示すラベル(識別情報)を付与すこともできる。このラベルをつけた後、それ以上の微小構造の追求を中止してもよいし、さらに追求して微小構造に関する詳細な形状情報を得てもよい。前者の場合、後に形状を復号する際に形状に省略があることを知ることができる。後者の場合、ラベルのある箇所の詳細な形状情報を階層構造のような形で記憶しておいてもよい。
【0090】
2.下限値の設定
サンプリング距離の下限値または参照点の個数の下限値を予め設定しておくことが望ましい。これらが小さくなりすぎると、いわゆる過分割状態になるためである。各注目点の合計誤差が許容値以下に収まる前にこれらの下限値に達したら、そこで処理を打ち切るとともに、関連する注目点に上記のラベルを付しておけばよい。
【0091】
G.特徴点の検出(S20)
各注目点に関する近似曲線及び法線ベクトルが判明したので、これらをもとに特徴点を検出する。ここでの検出の対象となる特徴点は、屈曲点、変曲点、遷移点である。
【0092】
図9は、特徴点を検出するために必要な情報を示す図である。同図のごとく、各注目点における、近似曲線の曲率(直線の場合は0となり、その他の場合は+が記される)及び接線ベクトルの方向(以下単に「接線方向」ともいう)、近似平面の法線ベクトルの方向(以下単に「法線方向」ともいう)が特徴点検出のための情報である。また、同図中の最後の欄は、特徴点として検出された注目点に対して特徴点ラベルを付与するために設けられている。特徴点ラベルの種類は、上記3つの特徴点の識別ラベルのほかに微小構造の識別ラベルがあるものとする。 特徴点の検出は以下の方法による。
【0093】
1.屈曲点
接線方向が不連続に変化する点のうち、その変化量が一定の判定値を超える点を屈曲点とする。判定値を小さくとれば形状をより正確に記述することができるがデータ量は増えるため、用途に応じて判定値を変える。
【0094】
2.変曲点
法線方向が不連続に変化する点のうち、その変化量が一定の判定値を越える点を変曲点とする。図10は、この3次元点列中の変曲点を示す図である。同図に示す3次元空間では、黒丸で示す3次元点列が点線で示す軌道上に位置している。そして、その中央部分に位置する点Piが当該軌道の湾曲方向が変わる変曲点となっている。同図に示すように、変曲点Piに対応する法線ベクトルniは紙面手前に向くベクトルであるのに対し、変曲点Pi+1に対応する法線ベクトルni+1は紙面裏側に向くベクトルである。したがって、法線ベクトルniと法線ベクトルni+1とは180度近く角度がずれていることになる。本方法は、各注目点に対応して所定の方向を有するよう算出され法線ベクトルの方向を監視することにより、3次元点列の軌道の変曲点を検出するものである。なお、具体的には、法線ベクトルniと法線ベクトルni+1とがなす角の絶対値が、たとえば140度から180度の場合に、法線ベクトルniに対応する注目点Piを変曲点として検出すればよい。
【0095】
3.遷移点
しばらくゼロであった曲率がゼロ以外(+)に変化するか、またはその反対の振る舞いがあったとき、その曲率の変化点が遷移点である。図9でいえば、注目点Pi+3がそれに当たる。したがって、同図中、最終欄にはその旨を表す特徴点ラベルが与えられている。
【0096】
なお、近似曲線を表す多項式により表現すれば、各変数の二次以上の項の係数がゼロである区間は境界線が直線を表し、ゼロでない区間は曲線を表す。したがって、処理のうえではかかる係数の挙動を監視すれば足る。
【0097】
なお、実際には曲率と接線方向に関する情報は近似曲線から得られるため、これらの情報を別途持たないで近似曲線のみを保持しておいてもよい。その場合、必要なときに適宜曲率等を計算して特徴点を検出すればよい。
【0098】
H.形状の記述(S22)
以上の工程で特徴点が判明する。最後にこの特徴点を用いて形状を記述する。
【0099】
図11はある立体形状を記述した結果を示している。同図のごとく、検出された特徴点の座標が明示されるとともに、それらの特徴点間をそれぞれ接続する曲線が定義されている。この曲線は最終的に形状を近似する曲線(以下「形状記述曲線」という)であり、特徴点の検出に用いた近似曲線ACiとは異なる。なお、ここでは対象となる立体側面のある領域の境界線を記述しているものとして、同図の最後には最初と同じ特徴点P2が便宜的に追加されている。
【0100】
本工程については、当然ながら特徴点の特徴たるゆえんを形状記述曲線に反映することが望ましい。すなわち、例えば変曲点についてはその前後で点列の凹凸が変わるよう、形状曲率曲線を付与すべきである。これは一定の拘束条件のもとで曲線を計算することに等しく、既知の計算方法で実現可能である。
【0101】
図11では、形状記述曲線の例として直線L0と曲線C0,C1が挙げられている。直線L0は点P2とP10を結ぶ直線である。曲線C0の場合は点P10とP35を通ることを拘束条件としたうえで、さらに節点を数点(P15,P22,P28)選び、スプライン、ベジエといったパラメトリック曲線により補間近似すればよい。曲線C1についても同様である。このとき、例えば節点は等間隔に選んでも良いし、或いは形状に応じて近似誤差が小さくなるように利用者が選択できるように設計しても良い。ただし、点P10は上述のように遷移点であるので、曲線C0の決定の際には、直線L0と曲線C0がなめらかに接続されるよう拘束条件を定めて計算することが望ましい。これらの形状記述曲線のほかにも、例えばn個の特徴点についてはn次以上の多項式で近似してもよいし、特徴点をそれぞれ制御点としてスプライン曲線で接続してもよい。
【0102】
以上の結果、任意の立体形状を少ない特徴点と形状記述曲線で表現することができる。本実施形態では、特徴点自体が幾何的な特徴を有するため、これらの特徴点を中心に形状を記述することで、極めて少ないデータで領域の形状を合理的に、かつ直観的に把握可能な方法で記述することができる。本実施形態によれば、注目点における近似曲線をその近傍の参照点を考慮しながら決めるため、従来のk曲率に比べて雑音耐性が大きく改善される。そのため、雑音による影響を排除するために各種しきい値を試行錯誤で決める手続が不要になり、処理の効率化、客観化、再現性の向上が可能になる。
【0103】
なお、本実施形態については、S20で検出した特徴点を立体形状の照合処理に利用することができる。図12は、照合すべき立体形状側面に含まれる閉曲線を示している。同図において、点A〜Eはこの順に、屈曲点、遷移点、遷移点、屈曲点、屈曲点、変曲点である。従来のk曲率手法ではこれらの特徴点のうち屈曲点を見い出すことができた程度であり、その意味では従来の手法によれば同図に示す形状は四隅に屈曲点がある四角形と変わらないと認識されてしまう。しかし、本実施形態によれば形状照合をとるうえで極めて有力な情報になりうる変曲点と遷移点が判明するため、初期照合処理の手間を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る形状記述方法の手順を示すフロー図である。
【図2】 注目点Piに関する近似曲線の導出方法を示す図である。
【図3】 各注目点に関する近似曲線の式と合計誤差の様子を説明する図である。
【図4】 注目点Piに関する近似平面およびその法線ベクトルの導出方法を示す図である。
【図5】 近似平面の法線ベクトルの方向のとり方を説明する図である。
【図6】 置換処理工程による処理の効果を示す図である。
【図7】 3次元点列中の微小構造を示す図である。
【図8】 図7においてサンプリング距離を修正した状態を示す図である。
【図9】 特徴点を検出するために必要な情報を示す図である。
【図10】 本方法により検出される変曲点を示す図である。
【図11】 立体形状を記述した結果の一例を示す図である。
【図12】 本方法を用いた立体形状の照合処理を説明する図である。
【図13】 k曲率手法によって曲率を導出する様子を示す図である。
Claims (9)
- 処理対象の立体の側面に含まれる3次元点列に基づきコンピュータを用いて該立体の形状を記述する立体形状記述方法であって、
近似曲線算出手段が前記3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内に位置する近似曲線を算出し、近似平面算出手段が前記3次元点列の中の各注目点につき、その注目点及びその近傍の所定個数の参照点の位置座標に基づいて、それら注目点及び参照点の近傍範囲内に位置する近似平面を算出し、法線ベクトル算出手段が算出した近似平面に垂直な方向に基づいて注目点の法線ベクトルを算出し、対応付け手段が算出された近似曲線および法線ベクトルを各注目点に対応づけて記憶する第1の工程と、
特徴箇所検出手段が、前記近似曲線の湾曲方向によって前記法線ベクトルの方向を決定し、各注目点に対応づけられた法線ベクトルの変化量を判定するとともに、各注目点に対応づけられた近似曲線の変化量を判定して、前記立体の側面に含まれる3次元点列から特徴箇所を検出する第2の工程と、
形状記述手段が検出された特徴箇所に関する情報を用いて該立体の形状を記述して出力する第3の工程と、
を含むことを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1に記載の立体形状記述方法において、
前記法線ベクトルの方向は、注目点の接線ベクトルと、隣接する参照点の接線ベクトルの外積から決定することを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1または2に記載の立体形状記述方法において、
前記第3の工程は、前記特徴箇所の間の3次元点列をそれぞれ一本の曲線で近似し、特徴箇所に関する情報の他にこの曲線に関する情報を用いて立体の形状を記述することを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の立体形状記述方法において、
前記第1の工程は、各近似曲線と元の3次元点列との誤差を各近似曲線に対応づけられた注目点毎に算出し、ある注目点に関する誤差をその注目点が参照点として利用された他の注目点に関する誤差と比較し、前記ある注目点に関する誤差が前記他の注目点に関する誤差よりも大きい場合、前記ある注目点に対応づけられた近似曲線の幾何情報を前記他の注目点に対応づけられた近似曲線の幾何情報によって置き換える工程、
をさらに含むことを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の立体形状記述方法において、
前記第2の工程は、各近似曲線について、その近似曲線に対応づけられた注目点が変曲点であるとき、その注目点を前記3次元点列中の特徴箇所として検出することを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の立体形状記述方法において、
前記第2の工程は、各近似曲線について、その近似曲線に対応づけられた注目点が遷移点であるとき、その注目点を前記3次元点列中の特徴箇所として検出することを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の立体形状記述方法において、前記第2の工程は、各近似曲線について、その近似曲線に対応づけられた注目点が屈曲点であるとき、その注目点を前記3次元点列中の特徴箇所として検出することを特徴とする立体形状記述方法。
- 請求項4に記載の立体形状記述方法において、
前記第2の工程は、前記第1の工程による前記置換の後、ある注目点に関する誤差が未だ大きいと判断される場合、その注目点近傍を前記3次元点列中の特徴箇所として検出することを特徴とする立体形状記述方法。 - 請求項4に記載の立体形状記述方法において、
前記第1の工程による前記置換の後、ある注目点に関する誤差が未だ大きいと判断される場合、その注目点につき参照点に関する条件を変更した後、前記第1の工程に戻って処理を再実行することを特徴とする立体形状記述方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19753897A JP4097164B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 立体形状記述方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19753897A JP4097164B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 立体形状記述方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1139517A JPH1139517A (ja) | 1999-02-12 |
JP4097164B2 true JP4097164B2 (ja) | 2008-06-11 |
Family
ID=16376148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19753897A Expired - Lifetime JP4097164B2 (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 立体形状記述方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4097164B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3790126B2 (ja) * | 2001-05-30 | 2006-06-28 | 株式会社東芝 | 時空間領域情報処理方法及び時空間領域情報処理システム |
JP4418390B2 (ja) | 2005-03-22 | 2010-02-17 | 三菱重工業株式会社 | 3次元形状処理装置及び曲面生成プログラム並びに方法 |
FR2902556B1 (fr) * | 2006-06-15 | 2008-08-15 | Valeo Vision Sa | Procede de determination d'une distance de visibilite pour un conducteur d'un vehicule. |
-
1997
- 1997-07-23 JP JP19753897A patent/JP4097164B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1139517A (ja) | 1999-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8514224B2 (en) | Three-dimensional modeling apparatus and method using grid structure | |
JP2019153281A (ja) | 道路中の車線境界線を確定するための方法、装置および機器 | |
Aslan et al. | Disconnected skeleton: Shape at its absolute scale | |
EP0977009A1 (en) | Method of discriminating shape errors of free-form curved surface | |
Wu | Recovering parametric geons from multiview range data | |
WO2012011608A1 (en) | Position and orientation measurement apparatus, position and orientation measurement method, and storage medium | |
US11094082B2 (en) | Information processing apparatus, information processing method, robot system, and non-transitory computer-readable storage medium | |
JPH08136220A (ja) | 物品の位置検出方法およびその装置 | |
Fišer et al. | ShipShape: a drawing beautification assistant | |
EP3403811A1 (en) | Shaping processing apparatus, shaping processing system, and program | |
CN111489432A (zh) | 一种基于点云数据的弯管重建及余量计算方法 | |
CN112488127B (zh) | 基于层次b样条的多尺度点云特征点检测与匹配 | |
JPH04243487A (ja) | 三次元立体形状処理方式 | |
CN111582186A (zh) | 基于视觉和触觉的物体边缘识别方法、装置、系统及介质 | |
CN113168729A (zh) | 一种基于局部参考坐标系的3d形状匹配方法及装置 | |
JP5104248B2 (ja) | 物体認識装置およびロボット装置 | |
JP4097164B2 (ja) | 立体形状記述方法 | |
JP3754575B2 (ja) | 形状解析装置及び方法 | |
JPH08285570A (ja) | 形状パラメータ測定方法および装置 | |
JP2662856B2 (ja) | 形状特徴計測装置および方法 | |
JPH10124677A (ja) | 物体の姿勢推定方法および物体の姿勢推定装置 | |
JP3781215B2 (ja) | 画像データの特徴点検出方法 | |
JPH07200735A (ja) | 図形認識装置 | |
JP2573153B2 (ja) | ステレオ画像間対応づけ確信度検出装置および方法 | |
CN113033270B (zh) | 采用辅助轴的3d物体局部表面描述方法、装置及存储介质 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050712 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050907 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050907 |
|
RD14 | Notification of resignation of power of sub attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7434 Effective date: 20050907 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051108 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060106 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060131 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060315 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060418 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080307 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313118 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140321 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |