JP4097147B2 - イオンビーム照射装置及び当該装置用絶縁スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、所定の電圧を与えたグリッドを介することによって、室内部で発生させたプラズマより所定の方向にイオンビームを引き出し且つ照射するイオンビーム照射装置に関する。より具体的には、引き出されたイオンビームを用いて、例えば被加工物の表面に対して加工を施すミリング装置、膜中にイオンを注入するイオン注入装置、膜形成を行うイオンビーム成膜装置等、及びこれら装置においてグリッドを固定する際にスペーサとして用いられるに絶縁部材に関する。
例えば、イオンビームを用いるミリング装置は、室内で発生させたプラズマをイオン源とし、直流電圧が印加された複数枚のグリッドを用いてイオン源よりイオンを引き出すと共にこれを所定方向に加速し、加速されたイオンを用いてミリングを行うものである。通常、個々のグリッドは、イオンを通過させるための孔部を有すると共に、引き出されるイオンのエネルギー或いはその分布の最適化を図るために各々異なる直流電圧が印加されている。なお、ここで述べるミリングとは、被加工物の表面に加速されたイオンを衝突させ、スパッタリング現象を生じさせて当該表面に微細加工を施す工法をさす(特許文献1参照)。
これらグリッドの間には、その接触を防止すると共にその間隔を一定に保つことを目的として、通常絶縁体からなる絶縁スペーサが配置されている。ここで、引き出されたイオンビームを用いてイオンミリング等を行った場合、被加工物の表面は、このイオンビームによってスパッタリングされる。また、グリッドを介して室外部にイオンを引き出す際に、グリッドによって加速されるイオン全てが室外部に至るわけではなく、その一部がグリッド等にぶつかってこれをスパッタリングする場合がある。このようなスパッタリングによって被加工物表面或いはグリッド等から叩き出された物質は、装置内部に再付着する。
この再付着物が導電性の場合、例えば先の絶縁スペーサの絶縁性が再付着物の増加に伴って低下し、最終的にグリッド同士が短絡するといった事態も生じ得る。このような事態が生じることを防止するために、絶縁スペーサに対してある程度の再付着が進行した状態で再付着膜を除去する操作を行う、或いはこれを新たなものと交換する操作を行うことが必要となる。このため、例えばミリング操作によって金属膜に加工を施す場合には、この金属の再付着により絶縁性が急速に劣化することから、かなり短い周期でこれら短絡防止の操作を行う必要がある。特許文献2には、このような操作を行う間隔を延長するために、絶縁スペーサとして、断面がテーパ状に形成された円周状突起を設けることでその表面積を増大させたものが開示されている。
特開2000−113849号公報 特開2000−301353号公報
再付着膜の除去操作は、通常ブラスト処理或いは酸洗等のケミカル処理によって行われる。これら操作においては、再付着膜の除去時に絶縁スペーサ自体の表面に対しても当該処理が為されてしまい、その表面部分が欠落、除去されてしまう。従って、これら処理を経ることによって、絶縁スペーサはその外形寸法が小さく変化してしまう。このため当該処理によって絶縁スペーサの厚さが薄くなりグリッドの間隔が狭まることが考えられる。
また、特許文献2に開示する絶縁スペーサは、当該スペーサの交換頻度を下げる上で効果的と考えられる。しかしながら、円周状の突起を設け、この突起を形成する傾斜面にてグリッドと接触してグリッドの位置決めをするこのような絶縁スペーサにおいては、絶縁スペーサの外形寸法の変化に伴ってグリッド間の間隔が変化してしまう。このように各々のグリッドの間隔が変化すると、引き出されたイオンの持つエネルギーの大きさが変化し、例えばイオンミリングの速度が変化する等の影響が生じることが考えられる。これは、装置状態を定常的に管理することが困難となることであり、このような状況は当該イオンビーム照射装置を生産設備として用いる場合等において改善されることが必要となる。
また、イオンビーム照射装置においては、装置可動時に時間の経過と共にビームの照射条件が変わることが知られている。これは、プラズマから受ける熱等によってグリッド間隔が時間の経過と共に変化し、イオンビームの照射を行うにつれて引き出されるイオンの持つエネルギーがグリッド間隔に応じて異なることによる。通常装置の停止によりこのような変化はものと状態に概ね戻るが、回復し得なかった微量の変化は装置の可動回数の増加と共に累積し、イオンビーム中におけるイオンのエネルギー分布が経時的に変化することとなる。従って、装置可動時には、常にイオンビームの状態を把握し、これをフィードバックしてエネルギー分布を調整しなければ好適なミリング等の操作を行えなくなる恐れがあった。
本発明は、上述した要請等に鑑みて為されたものであり、再付着膜の除去操作等を施した場合であっても、グリッド間隔を一定に保つことが可能な絶縁スペーサを提供することを目的としている。また、本発明は、当該絶縁スペーサを用いることによって、その交換等に起因する装置可動状況の変化を抑えたイオンビーム照射装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るイオンビーム照射装置は、プラズマを内部に生成するプラズマ生成室と、プラズマ生成室と接続される処理室とからなり、プラズマ生成室から処理室にプラズマ中のイオンを引き出すためにプラズマ生成室と処理室室との間に各々多数の小孔を有する複数のグリッドが配置されたイオンビーム照射装置であって、複数のグリッド各々の間に配置されてグリッド各々が電気的に接触することを防止する絶縁スペーサを更に有し、絶縁スペーサは平行な上下端面と上下端面に貫通する貫通孔を有する円盤形状からなり、貫通孔はグリッド小孔と同じ或いは僅かに大きい内径を有し、且つ円板形状の外径は絶縁スペーサを固定する小孔と隣接する他の小孔を通過するイオンに対して絶縁スペーサが影響を与えない大きさであることを特徴としている。
なお、上述の絶縁スペーサにおいて、絶縁スペーサの軸方向断面において前記イオンビームの引き出し方向とは垂直な方向に形成される凹部として示される溝部が、絶縁スペーサの側面周囲を周回するように形成されていることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、例えばイオンミリング装置を構築する場合には、上述したイオンビーム照射装置と、前記イオンビーム照射装置より引き出されるイオンが導入される処理室と、前記処理室内に配置されて前記引き出されたイオンが照射される位置に被加工物を保持するホルダとを有する構成とすることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るイオンビーム照射装置用絶縁スペーサは、プラズマを内部に生成するプラズマ生成室と、プラズマ生成室と接続される処理室とからなり、プラズマ生成室から処理室にプラズマ中のイオンを引き出すためにプラズマ生成室と処理室室との間に、各々多数の小孔を有する複数のグリッドが配置されたイオンビーム照射装置において、複数のグリッド各々の間に配置されてグリッド各々が電気的に接触することを防止するために用いられる絶縁スペーサであって、平行な上下端面と上下端面に貫通する貫通孔を有する円盤形状からなり、貫通孔はグリッド小孔と同じ或いは僅かに大きい内径を有し、且つ円板形状の外径は絶縁スペーサを固定する小孔と隣接する他の小孔を通過するイオンに対して絶縁スペーサが影響を与えない大きさであることを特徴としている。
なお、上述の絶縁スペーサにおいては、断面において前記イオンビームの引き出し方向とは垂直な方向に形成される凹部として示される溝部が、前記絶縁スペーサ側面上において前記絶縁スペーサ周囲を周回するように形成されていることが好ましい。
本発明によれば、絶縁スペーサの形状を円盤状とし、その両端面にて個々のグリッドと当接すると共にその側面に膜が再付着する構成としている。この両端面を各々平行な平坦面とすることにより、これら各々と当接するグリッド間隔を一定に保つことが可能となる。また、当該絶縁スペーサにおいては、側面に対する端面の比率を大きくしている。例えばブラスト処理によって付着膜を除去する場合、端面において処理が必要な領域は膜が付着する外周端近傍であり、端面が広い場合には中央部分にはブラスト処理を行う必要が無い。従って、本発明に係る絶縁スペーサにおいては、その端面の大部分にはブラスト処理を施す必要が無く、側面の再付着膜を除去した場合であっても、端面においてその除去操作の影響が生じない。
また、本発明に係る絶縁スペーサは、グリッドに設けられた小孔の一つ及び固定装置を用いて、且つその周囲の小孔に対して絶縁スペーサが影響を及ぼすことなく、グリッド間に固定することが可能である。従って、グリッドの任意の部分に固定することが可能であり、グリッドにおけるイオン引き出し領域の任意の部分に当該絶縁スペーサを配置して、グリッド各々の間隔を常に一定に保つことが可能となる。更には、イオンビームを用いてミリング等の操作を行った際に、そのミリング速度の分布に応じて、グリッド上の適当な位置に絶縁スペーサを配置して、ミリング速度の均一化即ち引き出されたイオンビームの加速度の均一化を容易に図ることが可能となる。
本発明の実施の形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る絶縁スペーサを用いたイオンビーム照射装置をイオンソースとするイオンミリング装置1の概略構成を示す図である。当該装置1は、プラズマ生成室3と処理室5の二室から構成される。本実施の形態においては、プラズマ生成室3には、ガス供給系7を介して、プラズマ生成に供せられるガスとして、例えばアルゴンガスが供給される。プラズマの発生方法としては、カウフマン型、バケット型、IPC型、ECR型等の種々の形式からなる構成を用いた方式が例示されるが、これらの何れを用いることとしても良い。本実施の形態としては、イオンビーム中に不純物元素が混入する可能性が比較的低く、且つ装置構成が簡略なICP型の構成を用いたものによりプラズマを発生させることとしている。処理室5は、排気系9と接続されており、この排気系9によってその内部に存在するガス等を排気することで、プラズマ生成室3及び処理室5の内部を所定の操作圧力に保っている。
処理室5の内部には、被加工物13を支持するホルダ11が配置されている。図中、被加工物13はプラズマ生成室と正対して保持されているが、ホルダ11はプラズマ生成室3に対する方向を変更可能となっている。プラズマ生成室3と処理室5との間には第一、第二及び第三のグリッド15、16、17が、この順序にてプラズマ生成室3側より配置されている。第一のグリッド15を正面から見た状態を図2に示す。グリッド15は、円板状の部材15aに対して複数の小孔15bを形成することによって得られる。第二及び第三のグリッド16、17も同様の構造を有している。これらグリッドは、装置固定時においては、個々のグリッドにおける小孔が各々プラズマ生成室3から処理室5に向かう方向に整列するように配置される。
第一及び第三のグリッド15、17には正電圧が印加され、加速電圧として用いられる。第二のグリッドには負電圧が印加され、減速電圧として用いられる。プラズマ生成室3内部に発生したプラズマ中のアルゴンイオンは、これらグリッドに形成された小孔を通過することによって、所定の方向性を有するイオンビームとして被加工物13の表面に照射される。なお、イオンビームにおける第三のグリッド17の下流側には不図示のニュートライザが配置されており、イオンビームの中性化が図られている。
図3は、第一乃至第三のグリッド15、16、17を所定の間隔に固定し、且つこれらグリッド間に絶縁スペーサを固定する固定装置の概略構成を示している。固定装置20は、絶縁スペーサ21、絶縁部材23、絶縁キャップ25、ネジ棒27、及び溝付き座金29から構成される。絶縁スペーサ21は、例えばアルミナ等の絶縁材料からなる各々平行な端面を有した円盤状の部材であり、上下端面に貫通する所定の径を有する貫通孔21aをその中央部に有している。円板の厚さは、各グリッドの間隔に対応している。絶縁部材23は、略円筒状の部材であり、外径が絶縁スペーサ21の貫通孔21aに挿通可能な大きさを有する軸部23aと、一端部に形成された外径が拡大された拡径部23bとから構成されている。また、絶縁部材23は、その軸方向に貫通する通し孔21cを有している。なお、本実施の形態においては、グリッド15のプラズマ生成室側面(グリッド16対抗面とは異なる面)に絶縁スペーサ21が配置されている。しかしながら、固定装置の小型化を図る場合には、当該スペーサ21を省くこととしても良い。
第一乃至第三のグリッド15、16、17には絶縁スペーサにおける貫通孔21aと略同じ径を有する孔15c、16c、17cがそれぞれ形成されている。グリッド固定時、グリッド及び複数の絶縁スペーサは交互に並べて配置され、絶縁部材23が貫通孔21a及び孔15c、16c、17cを貫通してこれらの位置決めが為される。また、プラズマ生成室3に近接する第一のグリッド15におけるプラズマ生成室側の面表面にも絶縁スペーサ21が配置される。この状態にある絶縁部材23の通し孔23cをネジ棒27が貫通し、ネジ棒27の両端部に溝付き座金29を挟んで絶縁キャップ25が固定されることにより、グリッド及び複数の絶縁スペーサが挟持、固定される。なお、本実施の形態においては、絶縁キャップ25表面を減圧空間中にさらすこととしているが、その表面に金属性のキャップを更に被せ、スパッタリングによる導電性膜の再付着から絶縁キャップ等を保護し、絶縁不良の発生の防止を更に図ることとしても良い。このような固定装置を用いることにより、グリッド間に絶縁部材を挟み込むことが可能となる。同時に、絶縁スペーサの厚さを適宜変更することにより、グリッド間の間隔を変更することが可能となる。また、グリッド間の間隔を制御すると同時に、絶縁スペーサ21の材質を石英、マシナブルセラミックス、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の誘電率の異なる絶縁材料とすることにより、グリッド間の静電容量も任意に設定することが可能となる。
本実施の形態においては、絶縁スペーサ21の円盤上下面に貫通する貫通孔の所定の径は、グリッドの小孔と略同一或いは僅かに大きく設定されている。この構成とすることで、絶縁部材23による絶縁スペーサ21の固定が容易に行える。また、円盤形状の上下面の大きさは、グリッド小孔よりも大きいと同時に隣接する小孔を引き出されるイオンビームに対して影響を与えないように、隣接する小孔の端部から所定の距離はなれるように設定されている。イオンビームの引き出し方向からグリッドを見た状態を図4に示す。図中、中央の小孔15bに固定部材が取り付けられる。溝付き座金29及び絶縁スペーサ21は、その端部が周囲の小孔15bと所定距離Lだけ離れるように設定されている。従って、グリッドにおける小孔形成位置の如何なる部分にも、当該固定装置及び当該装置を用いて絶縁スペーサを配置することが可能である。
絶縁スペーサ21は、その上下面(円板端面)が各々平行な平坦面とされており、個々のグリッドをこの平坦面に密着させて固定装置をグリッドに固定することで、グリッド同士の間隔を常に一定に保つことが可能となる。また、これら平坦面は円板形状側面に対して充分な広さを有し、側面に再付着した膜を例えばブラスト処理等によって除去する場合であっても、この平坦面に変形等のダメージを与えることなく当該処理を行うことが可能である。従って、再付着膜の除去操作を行った後であっても、当該処理の前後においてグリッド同士の間隔は一定に保たれる。
なお、図5に示すように、絶縁スペーサ21の側面に対して、その周囲を周回するように溝部21bを設けることとしても良い。溝部21bの底面には膜の再付着等が容易には起こり得ない。従って、当該構成とすることにより、再付着膜によって絶縁スペーサにおける絶縁性の劣化に要する時間が延長され、再付着膜の除去操作の頻度、或いは絶縁スペーサの交換頻度を低減する効果が得られる。
また、本実施の形態においては、固定装置として、絶縁部材23、ネジ棒27、絶縁キャップ25及び溝付き座金29からなる構成要素を用いて、絶縁スペーサ21とグリッド15〜17を固定するものを示した。しかしながら、本発明における固定装置の構成はこの実施形態に限られず、絶縁部材23の端部にねじ切りを施し、これに絶縁材料からなるナット等を螺合させることで、絶縁スペーサ等を固定することとしても良い。
次に、本発明に係るイオンビーム照射装置を用いたミリング装置を実際に使用して得られて結果について説明する。当該ミリング装置の基本的な構成は、実施の形態として上述した構成に加えて、更に被加工物の搬送系等の構成が含まれる。しかしながら、その他の構成は本発明とは直接的なかかわりが無く、又本発明に関連する主たる構成は上述したものと特に異なるところが無いことから、ここでの説明は省略する。本実施例において、被加工物13としては、6インチ径のシリコンウエハ上に形成されたアルミナ膜を対象としている。ミリングの結果は、光学干渉式の測定装置によって、ミリング前後におけるアルミナ膜の偏差量を測定して得ている。
ミリング時において、被加工物13は、イオンビームに対して角度ゼロ度、即ちイオンビームを垂直に受ける向きに配置されている。ミリング時の処理圧力は1.33E-2Paとし、プラズマソースとしてアルゴンガスを10〜20sccmの流量にてプラズマ生成室内に導入し、これをICPによって放電させて用いている。加速用のグリッドには700Vの電圧を印加して加速電流が1100mA流れるようにし、中間の減速用グリッドには-400Vの電圧を印加することとしている。
本実施例においては、まず本発明に係る固定装置を配置しない状態にてイオンミリングによるアルミナの除去状況を求めることとした。その結果、6インチの被加工領域において、ミリング速度が4〜6%のばらつきを有することが確認された。続いて、グリッドにおける、当該被加工領域内のミリング速度の遅い領域に対応する部分に固定装置(絶縁スペーサ)を配置し、個々のグリッドにおける間隔の適正化及び安定化を図る。
その後、この状態における装置を用いて、再度イオンミリングを行い、ミリング速度のばらつきを求めた。その結果、ミリング速度のばらつきが1.0〜3.0%まで改善されることが確認された。また、ミリング速度の平均値は固定装置の配置前後においてほぼ同じ値が得られている。従来のばらつき改善方法によれば、ミリング速度の遅い部分にその他の部分のミリング速度を合わせていたことから、ミリング速度の大幅な低減があった。しかし本発明によれば、ミリング速度が変わることなくそのばらつきが改善されており、プラズマ中のイオンが効率よくミリングに供されていることも確認された。
実際に、150mmφのシリコンウエハ上に形成されたアルミナ膜に対してイオンミリング処理を施した場合に関して、これまでの構成によるイオンミリング速度の分布と本発明を用いた場合のイオンミリング速度の分布について光学干渉計により得られた結果について、その具体例を表1及び図6に示す。
Figure 0004097147

表1に示す数値はオングストロームであり、任意の15点について所定時間のイオンミリング操作によってミリングされた量を光学干渉計によって測定した結果を示している。図6は、この測定点を更に増加させ、得られたミリング量の相違を等高線として示したものである。図6によれば、ウエハ中央部にミリング量の特異点が存在していたものが、本発明を適用することにより、特異点が消失したことがわかる。また、ミリング量のばらつき自体が減少していることもわかる。
以下に示す表2は、イオンビームの照射方向に対するホルダの支持角度を変化させた場合について、従来構成による場合と、本発明を適用した場合に関してのミリング速度と、そのばらつきの程度を示している。
Figure 0004097147

表2によれば、本発明の適用により、支持角度の変化に拘わらずミリング量の均一化が図られていることが理解される。また、本発明を適用した場合であっても、従来構成の場合と比較して、ミリング速度はほぼ同一の値を示すこと
が確認された。
本発明の実施の形態及び実施例においては、本発明を用いたものとしてイオンミリング装置を例示して説明している。しかしながら、本発明の適用装置はこれに限定されず、イオン注入装置、イオンビーム蒸着装置、イオンビームスパッタ装置、CVD装置等、種々の真空を用いる装置が想定される。また、被加工物としてはアルミナ膜を例示したが、セラミック膜、金属膜、有機膜等、種々の膜を加工対象とすることも可能である。
本発明の一実施形態に係るイオンビーム照射装置の概略構成を示す図である。 図1に示すイオンミリング装置におけるグリッドの正面図である。 本発明の一実施形態に係る絶縁スペーサを用いた固定装置の構成を示す断面概略図である。 固定装置を配置した際のグリッド小孔との位置関係を示す図である。 図3に示した絶縁スペーサの変形例を示す図である。 本発明を適用した場合と従来構成とにおけるミリング速度のばらつきの程度を比較する図である。
符号の説明
1:イオンミリング装置、 3:プラズマ生成室、 5:処理室、 7:ガス導入系、 9:真空排気系、 11:ホルダ、 13:被加工物、 15、16、17:グリッド、 20:固定装置、 21:絶縁スペーサ、 23:絶縁部材、 25:絶縁キャップ、 27:ネジ棒、 29:溝付き座金

Claims (5)

  1. プラズマを内部に生成するプラズマ生成室と、前記プラズマ生成室と接続される処理室とからなり、前記プラズマ生成室から前記処理室に前記プラズマ中のイオンを引き出すために、前記プラズマ生成室と前記処理室との間に、各々多数の前記イオンが通過する小孔を有する複数のグリッドが配置されたイオンビーム照射装置であって、
    前記複数のグリッド各々の間に配置されて前記グリッド各々が電気的に接触することを防止する絶縁スペーサを更に有し、
    前記絶縁スペーサは、平行な上下端面と前記上下端面に貫通する貫通孔を有する円盤形状からなり、前記貫通孔はグリッド小孔と同じ或いは僅かに大きい内径を有し、且つ前記円盤形状の外径は前記絶縁スペーサを固定する前記小孔と隣接する他の小孔を通過する前記イオンに対して前記絶縁スペーサが影響を与えない大きさであり、
    前記絶縁スペーサは、前記グリッドにおけるイオン引き出し領域の任意の部分であり且つ前記小孔の形成位置であって、且つ引き出された前記イオンによって加工される被加工物の加工領域内において前記加工速度が遅い領域に対応して配置されることを特徴とするイオンビーム照射装置。
  2. 前記絶縁スペーサにおいて、前記絶縁スペーサの軸方向断面において前記イオンビームの引き出し方向とは垂直な方向に形成される凹部として示される溝部が、前記絶縁スペーサの側面周囲を周回するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のイオンビーム照射装置。
  3. 請求項1或いは2いずれかに記載のイオンビーム照射装置と、前記イオンビーム照射装置より引き出されるイオンが導入される処理室と、前記処理室内に配置されて前記引き出されたイオンが照射される位置に被加工物を保持するホルダとを有することを特徴とするイオンミリング装置。
  4. プラズマを内部に生成するプラズマ生成室と、前記プラズマ生成室と接続される処理室とからなり、前記プラズマ生成室から前記処理室に前記プラズマ中のイオンを引き出すために、前記プラズマ生成室と前記処理室室との間に、各々多数の前記イオンが通過する小孔を有する複数のグリッドが配置されたイオンビーム照射装置において、前記複数のグリッド各々の間に配置されて前記グリッド各々が電気的に接触することを防止するために用いられる絶縁スペーサであって、
    平行な上下端面と前記上下端面に貫通する貫通孔を有する円盤形状からなり、前記貫通孔はグリッド小孔と同じ或いは僅かに大きい内径を有し、且つ前記円盤形状の外径は前記絶縁スペーサを固定する前記小孔と隣接する他の小孔を通過する前記イオンに対して前記絶縁スペーサが影響を与えない大きさであり、
    前記絶縁スペーサが固定される領域は、前記グリッドにおけるイオン引き出し領域の任意の部分であり且つ前記小孔の形成位置であって、且つ引き出された前記イオンによって加工される被加工物の加工領域内において前記加工速度が遅い領域に対応することを特徴とする絶縁スペーサ。
  5. 断面において前記イオンビームの引き出し方向とは垂直な方向に形成される凹部として示される溝部が、前記絶縁スペーサ側面上において前記絶縁スペーサ周囲を周回するように形成されていることを特徴とする請求項4記載のイオンビーム照射装置用絶縁スペーサ。
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