JP4096801B2 - 簡易型ステレオ発音実現方法、ステレオ発音システム及び楽音発生制御システム - Google Patents

簡易型ステレオ発音実現方法、ステレオ発音システム及び楽音発生制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡易型ステレオ発音実現方法、ステレオ発音システム及び楽音発生制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、広く普及しているステレオスピーカシステムは、受聴者の前方に所定の間隔をおいて設置される左右のスピーカによって構成されるのが一般的である。受聴者は、これら1対のスピーカをそれぞれ左右前方に見る位置より、スピーカから出力されるステレオ音等を鑑賞する。しかしながら、かかるスピーカシステムにおいては、受聴者は上記の如く1対のスピーカをそれぞれ左右前方に見る位置で聞かなければ良好なステレオ音等を得ることができない。いいかえると、受聴者が移動していずれか一方のスピーカに近づいた場合や、左右のスピーカが同じ方向に重なったりする位置では良好なステレオ音等を得ることができない。また、受聴者が多い場合には、該スピーカシステムを取り囲むように受聴者が配置されるが、この場合にはごく一部の受聴者しか良好なステレオ音等を聴取することができないという問題がある。
【0003】
かかる問題を解消すべく、例えば図9及び図10に示すスピーカシステムが提案されている。
図9に示すスピーカシステムは、ステレオ音源(図示略)のLチャネルを出力するスピーカL1〜L8と、ステレオ音源のRチャネルを出力するスピーカR1〜R8とを備え、これら各スピーカは円周上に交互に配置されている。スピーカR1〜R8は、円の中心から各スピーカを結ぶ直線と角度θ(θ=57°)をなして右回りに向き、スピーカL1〜L8は、同じ角度θをなして左回りに向いている。そして、対向して隣り合うスピーカの放射角度は90°をなしている。
かかるスピーカシステムによれば、多数の受聴者に臨場感あるステレオ音等を提供することができる(例えば、特許文献1参照)。
また、図10に示すスピーカシステムは、複数のスピーカが放射状に配設されてなるものである。各スピーカには左チャネルの音声出力信号と右チャネルの音声出力信号等が適宜供給され、各スピーカからはこれら各信号に対応した音声等が出力される。このスピーカシステムによれば、所定の方向で正しい音像低位を得ることができるだけでなく、例えば所定の方向とは逆の方向からでも再生音を聞くことができると共に、音源の背面側から聞いているような効果を得ることができる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、上記スピーカシステムは、1つの音源を再生するものであり、複数の音源を再生することを想定したものではない。従って、例えば電子楽器のアンサンブルなど、複数の音源を再生する必要がある場合には、スピーカの前段において複数の音源をミキシングし、これを上述のスピーカシステムによって再生していた。
【0005】
図11に示すスピーカシステムは、図10に示すスピーカシステムに改良を加えて複数の音源を再生できるようにしたものである。
このスピーカシステムは、各スピーカが多数の受聴者の中央に略円形状に配置されている点で図10に示すスピーカシステムと共通するが、ステレオ音等を受聴者に提供可能とした点において相違する。詳述すると、このスピーカシステムには、第1スピーカSP1〜第10スピーカSP10によって構成され、これら各スピーカSPは様々な方向に向けて2つ(1対)ずつ配置されている。各スピーカは、それぞれ対応するステレオ音源に接続されており、第1スピーカSP1は第1ステレオ音源のLチャネルに接続される一方、第2スピーカSP2は第1ステレオ音源のRチャネルに接続され、第3スピーカSP3は第2ステレオ音源のLチャネルに接続される一方、第4スピーカSP4は第2ステレオ音源のRチャネルに接続され、・・・、第10スピーカは第5音源のRチャネルに接続されている。
【0006】
図11のスピーカシステムによれば、様々な方向に向けて配置された1対のスピーカSPが対応するステレオ音源のLチャネル及びRチャネルにそれぞれ接続されているため、多数の受聴者に臨場感あるステレオ音等を提供することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−211495号公報(第2頁、第1図及び第2図)
【特許文献2】
特開平9−271095号公報(第2、第3頁、第1図及び第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スピーカの前段において音源のミキシングを行って再生する方法では、それぞれの音源の明瞭度が悪くなり、上記図11等に示すスピーカシステムにおいては、各方向に向けて2つずつスピーカを配置しなければならないため多数のスピーカが必要となり、製造コスト等があがってしまうという問題がある。
さらに、多数のスピーカを筐体内に納める必要があるため、筐体は大型化してしまい、持ち運び等に不便であるという問題もある。
【0009】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、スピーカの数を抑えつつも多数の受聴者に対して臨場感あるステレオ音等を提供することができる簡易型ステレオ発音実現方法及びステレオ発音システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上説明した課題を解決するため、本発明は、複数のステレオ音源とこのステレオ音源の数の2倍よりも少ない数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、各スピーカを配置する配置過程と、配置したスピーカの少なくとも1台以上のスピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程とを備えたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、複数のスピーカを略一定の間隔等で配置した後、少なくとも1台以上のスピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力する。
ここで、従来、ステレオ発音を実現するためには、ステレオ音源の数の2倍のスピーカを用意する必要があったが、上記のように構成することで該ステレオ発音に必要なスピーカの数を減らすことが可能となる。
【0012】
例えば、2台のステレオ音源を用いてステレオ発音を実現する場合、従来においては、計4台のスピーカ(Lチャネルスピーカ2台、Rチャネルスピーカ2台)が必要であったが、上記のように、少なくとも1台のスピーカに異なる音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力することにより、当該スピーカは一方の音源のRチャネルスピーカの役割と他方の音源のLチャネルスピーカの役割とを兼ねることとなり、結果として必要なスピーカの数を減らすことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、複数のステレオ音源とこのステレオ音源の数の2倍よりも少ない数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、各スピーカを配置する配置過程と、配置したスピーカの少なくとも2台以上のスピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程とを備え、前記ミキシング出力過程にあっては、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングを行うことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、例えば図3に示すように、複数のスピーカを略一定の間隔で略直線上に配置した後、配置した少なくとも2台以上のスピーカ(図3では、第2スピーカ及び第3スピーカ)に対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力する。このミキシングの際には、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるされるようにミキシングを行う。
【0015】
図3を例に説明すると、第2ステレオ音源のRチャネル出力は第2スピーカから出力され、第2ステレオ音源のLチャネル出力は第3スピーカから出力される。ここで、第2スピーカは、第2ステレオ音源のRチャネルスピーカの役割と第1ステレオ音源のLチャネルスピーカの役割とを兼ねる一方、第3スピーカは、第2ステレオ音源のLチャネルスピーカの役割と第3ステレオ音源のRチャネルスピーカの役割とを兼ねる。この結果、上記と同様、ステレオ発音に必要なスピーカの数を減らすことが可能となる。
【0016】
また、本発明は、複数のステレオ音源とこれと同数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、各スピーカを略円形に配置する配置過程と、配置した各スピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程とを備え、前記ミキシング出力過程にあっては、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングを行うことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、例えば図1に示すように、複数のスピーカを略一定の間隔で略円形に配置した後、配置したスピーカ(図1では、第1スピーカ〜第5スピーカ)に対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力する。このミキシングの際には、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングを行う。図1を例に説明すると、第1ステレオ音源のRチャネル出力は第1スピーカから出力される一方、第1ステレオ音源のLチャネル出力はこの第1スピーカに隣接する第5スピーカから出力される。
【0018】
同様に、第2ステレオ音源のRチャネル出力は第2スピーカから出力される一方、第2ステレオ音源のLチャネル出力は第1スピーカから出力され、・・・第5ステレオ音源のRチャネル出力は第5スピーカから出力される一方、第5ステレオ音源のLチャネル出力は第4スピーカから出力される。ここで、各スピーカは、いずれも異なる2台のステレオ音源のうちのいずれか一方のステレオ音源のLチャネルスピーカと他方のステレオ音源のRチャネルスピーカを兼ねる。この結果、上記と同様、ステレオ発音に必要なスピーカの数を減らすことが可能となる。
【0019】
また、本発明は、複数のステレオ音源と同数のスピーカと、それぞれ異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして各スピーカへ出力するミキシング装置とを備えたステレオ発音システムであって、前記各スピーカは、略円形に配置され、前記ミキシング装置は、前記各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるように前記ミキシングを行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、nが2以上の自然数である第1〜第nステレオ音源、第1〜第nミキシング手段、第1〜第nスピーカを備えたステレオ発音システムであって、第1〜第nスピーカは、1〜nの順序で略円形に配置され、kを1以上(n−1)以下の自然数とした場合、第kミキシング手段は、第kステレオ音源のRチャネル出力と第(k+1)ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第kスピーカに出力し、第nミキシング手段は、第nステレオ音源のRチャネル出力と第1ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第nスピーカに出力することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、操作者の操作により生じた当該操作端末の運動を検出して運動情報を生成する生成手段と、前記運動情報を送信する送信手段とを具備する操作者携帯可能な操作端末と、前記運動情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記運動情報に基づいてステレオ音を発音するステレオ発音システムとを具備する楽音発生装置とを備えた楽音発生制御システムであって、前記ステレオ発音システムは、複数のステレオ音源と、前記ステレオ音源と同数のスピーカと、それぞれ異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして各スピーカへ出力するミキシング装置とを具備し、前記各スピーカは、略円形に配置され、前記ミキシング装置は、前記各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるように前記ミキシングを行うことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、3台以上のスピーカを1台のステレオ音源のLチャネル若しくはRチャネルに接続してステレオ発音を実現させる方法であって、前記各スピーカを略一定の間隔で配置する配置過程と、となりあうスピーカの間で前記ステレオ音源に接続されるチャネルが異なるように前記各スピーカを接続する接続過程とを具備することを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、3台以上のスピーカを1台のステレオ音源のLチャネル若しくはRチャネルのいずれかに接続してステレオ発音を実現する際、各スピーカを略一定の間隔で配置すると共に、となりあうスピーカの間でステレオ音源に接続されるチャネルが異なるように前記各スピーカを接続するため、各スピーカの間(図8における地点P1〜P6参照)に配置される受聴者は、自己から見て前方に位置する一対のスピーカによってステレオ発音を受聴することが可能となる。
【0024】
ここで、従来においては受聴者の方向毎にLチャネルスピーカ及びRチャネルスピーカからなる1対のスピーカを必要とするが(図10参照)、上記構成によれば必要なスピーカの数を減らすことが可能となる。
ここで、前記配置過程にあっては、前記各スピーカを受聴者の移動路に沿って略一定の間隔で配置することが望ましい。
【0025】
また、本発明は、2n(n≧2)台以上のスピーカを1台のステレオ音源のLチャネル若しくはRチャネルに接続してステレオ発音を実現させる方法であって、前記各スピーカを略一定の間隔で略円形に配置する過程と、となりあうスピーカの間で前記ステレオ音源に接続されるチャネルが異なるように前記各スピーカを接続する過程とを具備することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0027】
A.本実施形態
図1は、本実施形態に係るステレオ発音システム100の概念図であり、図2は、ステレオ発音システム100の構成を示す図である。
図2に示すように、ステレオ発音システム100は、ステレオ音源装置200に接続されているミキシング装置300と、ミキシング装置300によってミキシングされた後の出力をステレオ発音するスピーカシステム400とを備えている。
【0028】
ステレオ音源装置200、ミキシング装置300、スピーカシステム400は、それぞれ第1〜第5のステレオ音源210、第1〜第5ミキサ310、第1〜第5スピーカ410によって構成されている。このように、本実施形態に係るステレオ発音システム100においては、ステレオ音源とミキサとスピーカとがそれぞれ同数設けられている。
図1に示すように、第1〜第5スピーカ410は、1〜5の順番で反時計回りに略円形配置されており、各スピーカ410はそれぞれ対応する第1〜第5ミキサ310に接続されている。なお、第1〜第5スピーカによって構成されたスピーカシステムは、筐体に収容されている。また、図1では各ステレオ音源210及びミキサ310を筐体の外に設置している場合を示しているが、これらを筐体内に設置しても良い。
【0029】
第1ミキサ310は、第1ステレオ音源210のRチャネルと第2ステレオ音源210のLチャネルとに接続され、第1ステレオ音源210のRチャネル出力(図1では音源1Rと表記;以下同様)と第2ステレオ音源210のLチャネル出力(音源2L)とをミキシングして第1スピーカ410に出力する。すなわち、第1スピーカ410は、第1ステレオ音源210のRチャネルスピーカと第2ステレオ音源210のLチャネルスピーカとを兼ねている。
【0030】
第2ミキサ310は、第2ステレオ音源210のRチャネルと第3ステレオ音源210のLチャネルとに接続され、第2ステレオ音源210のRチャネル出力(音源2R)と第3ステレオ音源210のLチャネル出力(音源3L)とをミキシングして第2スピーカ410に出力する。すなわち、第2スピーカ410は、第2ステレオ音源210のRチャネルスピーカと第3ステレオ音源210のLチャネルスピーカとを兼ねている。
【0031】
第3〜第5ミキサ310についても、上述した第2ミキサ310等と同様な接続が行われている(図1参照)。この結果、第3スピーカ410は、第3ステレオ音源210のRチャネルスピーカと第4ステレオ音源210のLチャネルスピーカとを兼ねることになり、第4スピーカ410は、第4ステレオ音源210のRチャネルスピーカと第5ステレオ音源210のLチャネルスピーカとを兼ねることになり、第5スピーカ410は、第5ステレオ音源210のRチャネルスピーカと第1ステレオ音源210のLチャネルスピーカとを兼ねることになる。
【0032】
受聴者1は、自己から見て左斜め前方の第5スピーカ410からの音源1Lと右斜め前方の第1スピーカ410からの音源1Rとを受聴して第1ステレオ音源210に係るステレオ発音を受聴する。
ここで、第1スピーカ410は、上述したように、音源1Rのほか音源2Lをも出力している。従って、受聴者1の右隣に位置する受聴者2は、この第1スピーカ410からの音源2Lと右斜め前方の第2スピーカ410からの音源2Rとを受聴して第2ステレオ音源210に係るステレオ発音を受聴することになる。
【0033】
同様に、受聴者3は、自己から見て左斜め前方の第2スピーカ410からの音源3Lと第3スピーカ410からの音源3Rとを受聴して第3ステレオ音源210に係るステレオ発音を受聴し、・・・、受聴者5は、自己から見て左斜め前方の第4スピーカ410からの音源5Lと右斜め前方の第5スピーカ410からの音源5Rとを受聴して第5ステレオ音源210に係るステレオ発音を受聴することになる。
【0034】
このように、本実施形態に係るステレオ発音システム100においては、1台のスピーカが異なるステレオ音源のLチャネルスピーカ及びRチャネルスピーカを兼ねることになる。そして、各ミキサは、各ステレオ音源のLチャネル出力とRチャネル出力とがそれぞれとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングする。よって、各受聴者は自己から見て斜め前方に位置する1対のスピーカ(例えば、受聴者1であれば、第1スピーカ及び第5スピーカ)によりステレオ発音を受聴することが可能となる。
【0035】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るステレオ発音システムによれば、スピーカの数を抑えつつも多数の受聴者に対して臨場感あるステレオ音等を提供することが可能となる。
このように、従来よりも少ない数のスピーカによってステレオ音等の提供が可能となったため、結果としてステレオ発音システムの製作等に係るコストを抑えることが可能となり、さらには各スピーカを収容する筐体の小型化、軽量化等を図ることが可能となる。
【0036】
なお、上述した本実施形態では、説明の理解を容易にするために、前述した従来技術の説明等にあわせて5台のステレオ音源210、5台のミキサ310及び5台のスピーカ410によってステレオ発音システムを構築した場合について説明したが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。すなわち、複数の第1〜第nステレオ音源、ミキサ、スピーカによってステレオ発音システムを構築する場合にも同様に適用可能である。
【0037】
具体的には、上記本実施形態と同様、第1〜第nの順序でスピーカを略円形状に配置し、第1ミキサは第1ステレオ音源のRチャネル出力と第2ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第1スピーカに出力する。同様に、第2ミキサは第2ステレオ音源のRチャネル出力と第3ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第2スピーカに出力し、・・・、第nミキサは第nステレオ音源のRチャネル出力と第1ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第nスピーカに出力する。これにより、各受聴者は、自己から見て前方に位置する1対のスピーカによりステレオ発音を受聴することが可能となる。
【0038】
B.変形例
以上この発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまで例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0039】
<変形例1>
上述した本実施形態では、複数のスピーカを略円形状に配置した場合について説明したが、例えば略直線状に配置しても良い。
図3は、変形例1に係るステレオ発音システム10の構成を示す図である。
ステレオ発音システム10は、第1〜第3ステレオ音源21からなるステレオ音源装置20に接続されたミキシング装置30と、スピーカシステム40とを備えている。
ミキシング装置30は、第1ミキサ31及び第2ミキサ31によって構成され、スピーカシステム40は、第1〜第4スピーカ41によって構成されている。
【0040】
第1ミキサ31は、第1ステレオ音源21のLチャネルと第2ステレオ音源21のRチャネルとに接続され、第1ステレオ音源21のLチャネル出力(音源1L)と第2ステレオ音源210のRチャネル出力(音源2R)とをミキシングして第2スピーカ41に出力する。この結果、第2スピーカ41は、第1ステレオ音源21のLチャネルスピーカと第2ステレオ音源21のRチャネルスピーカを兼ねることになる。
【0041】
第2ミキサ31は、第2ステレオ音源21のLチャネルと第3ステレオ音源21のRチャネルとに接続され、第2ステレオ音源21のLチャネル出力(音源2L)と第3ステレオ音源21のRチャネル出力(音源3R)とをミキシングして第3スピーカ41に出力する。この結果、第3スピーカ41は、第2ステレオ音源21のLチャネルスピーカと第3ステレオ音源21のRチャネルスピーカを兼ねることになる。
【0042】
一方、第1ステレオ音源21のRチャネル出力(音源1R)は、ミキシングされることなく直接第1スピーカ21に出力される一方、第3ステレオ音源21のLチャネル出力(音源3L)は、ミキシングされることなく直接第4スピーカ21に出力される。この結果、第1スピーカ41は、第1ステレオ音源21単独のRチャネルスピーカとなり、第4スピーカ41は、第3ステレオ音源21単独のLチャネルスピーカとなる。
【0043】
ここで、図3に示す受聴者1は、自己から見て左斜め前方の第2スピーカ41からの音源1Lと右斜め前方の第1スピーカ41からの音源1Rとを受聴して第1ステレオ音源21に係るステレオ発音を受聴する。
同様に、受聴者1の左隣に位置する受聴者2は、自己から見て左斜め前方の第3スピーカ41からの音源2Lと右斜め前方の第2スピーカ41からの音源2Rとを受聴して第2ステレオ音源21に係るステレオ発音を受聴し、受聴者3は、自己から見て左斜め前方の第4スピーカ41からの音源3Lと右斜め前方の第3スピーカ41からの音源3Rとを受聴して第3ステレオ音源21に係るステレオ発音を受聴する。
【0044】
このように、本変形例に係るステレオ発音システムにおいても、従来と比較してスピーカの数を減らすことが可能となる。すなわち、従来、ステレオ発音を実現するためには、ステレオ音源1つにつき2つのスピーカを必要とするので、再生するステレオ音源の数の2倍の数のスピーカを用意する必要があったが(図11参照)、本変形例においては少なくともステレオ音源の数の2倍よりも少ない数のスピーカで複数のステレオ音源の発音を実現することが可能となる。
【0045】
なお、本変形例においては、3台のステレオ音源21を用いた態様について説明したが、複数(2以上)のステレオ音源31を用いてステレオ発音を実現する全ての態様に適用可能である。なお、これら各種の態様については、上記と同様に説明することができるため、説明を割愛する。
【0046】
<変形例2>
図4は、変形例2に係る楽音発生制御システムを説明するための図である。
楽音発生制御システム500は、音楽教室、学校、家、ホール等において運用されるシステムであり、楽音発生装置600と、該楽音発生装置600による楽音発生等を各ユーザが演出するための複数の操作端末800−N(N≧1;ただし、本変形例においてはN=5を想定)とを備えている。
【0047】
本変形例に係る楽音発生制御システム500においては、上記本実施形態に係るステレオ発音システムが採用されている。以下、かかる楽音発生制御システムの詳細構成について説明する。
【0048】
<楽音発生制御システム500の機能構成>
図5は、ある1つの音楽教室等に構築された楽音発生制御システム500の機能構成を示す図である。なお、以下の説明において、操作端末800−1〜操作端末800−Nを特に区別する必要がない場合には、単に操作端末800という。
【0049】
操作端末800は、操作者の手に把持される、もしくは身体の一部に装着される等といったように操作者に携帯可能な端末である。
動作センサMSは、操作端末800を携帯している操作者の動作に基づく運動を検出して運動情報を生成し、無線通信部80に順次出力するセンサである。なお、動作センサMSには、公知の3次元加速度センサ、3次元速度センサ、2次元加速度センサ、2次元速度センサ、歪み検出器等が利用される。
【0050】
無線通信部80は、楽音発生装置600との間で無線によるデータ通信を行う役割を担っている。無線通信部80は、動作センサMSから操作者の動きに応じた運動情報を受け取ると、該運動情報に操作端末800を識別するための端末識別ID(例えば、操作端末800−1であればT−ID1等)を付加して楽音発生装置600に無線送信する。
【0051】
楽音発生装置600は、各操作端末800から送信される運動情報に基づき楽音発生等を行う略円柱形状の装置である(図6参照)。
図5に戻り、アンテナシステムASは、操作端末800から送信される運動情報を受信する複数のアンテナAT−1〜AT−n等によって構成されている。各アンテナAT−1〜AT−nは、楽音発生装置600の筐体内部に放射状に設けられている。かかる構成を有するアンテナシステムASは、各アンテナAT−1〜AT−nによって検出される受信レベルを比較することによって受信レベルの最も高いアンテナを特定し、特定したアンテナを識別するためのアンテナ識別情報(例えば、アンテナAT1であればA−ID1等)をスピーカ選択部64に送出する。
【0052】
無線通信部61は、操作端末800から送信される運動情報をアンテナシステムASを介して受信し、受信した運動情報を情報解析部62に出力する。
情報解析部62は、無線通信部61から供給される運動情報に対し、後述する所定の解析処理を行い、当該解析結果を演奏パラメータ決定部63に出力する。演奏パラメータ決定部63は、情報解析部62から供給される運動情報の解析結果に応じて楽音の演奏パラメータ、例えば楽音の音量やリバーブ等のパラメータを決定する。
【0053】
ステレオ発音システム100は、上記演奏パラメータ決定部63によって決定された演奏パラメータに基づく楽曲データ(MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データ等)を受け取ると、該楽曲データに基づき楽音信号を生成し、これをステレオ音等として発音する。なお、このステレオ発音システム100は、上記本実施形態に係るステレオ発音システム100と同様、ステレオ音源装置200に接続されたミキシング装置300及びスピーカシステム400等を備えている。
【0054】
スピーカ選択部64は、アンテナシステムASから送られてくるアンテナ識別情報に基づき、スピーカシステム400を構成する複数のスピーカの中からステレオ発音に利用する1対若しくは複数対のスピーカ(以下、スピーカ対という)を選択する。詳述すると、スピーカ選択部64は、まず、アンテナシステムASから送られてくるアンテナ識別情報から操作者の位置方向を特定する。そして、スピーカ選択部64は、このようにして特定した位置方向にステレオ音等を放音させるべく、スピーカシステム400を構成する複数のスピーカの中からステレオ発音に利用するスピーカ対を選択する。
【0055】
以上説明した操作端末800及び楽音発生装置600に係る機能は、操作端末800及び楽音発生装置600に搭載されているソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって実現されるが、以下においては本願発明の理解に必要と思われる部分についてのみ説明し、他の部分については説明を割愛する。
【0056】
以下、動作センサMSとして3次元加速度センサを用いた場合の運動情報解析処理、演奏パラメータ決定処理、楽音発生処理、スピーカ選択処理(これらを総称して楽音発生制御処理という)を図5〜図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、5人の操作者が各自の操作端末800を利用してある楽曲を合奏する場合を想定する(図6参照)。
【0057】
<楽音発生制御処理>
操作者は、まず、楽音発生装置600の図示せぬスイッチ等を操作することにより、合奏を行う楽曲の選択や各自が担当するパートの設定等を行う。パートの設定について一例を挙げて説明すると、例えば操作者1が第1楽器パート(ピアノパート等)を担当し、操作者2が第2楽器パート(フルートパート等)を担当し、・・・、操作者5が第5楽器パート(トランペットパート等)を担当するような設定を行う。かかる設定がなされると、楽音発生装置600のメモリ(図示略)には選択された楽曲に関するパート管理テーブルが登録される。
【0058】
このパート管理テーブルには、各操作者の操作端末を識別するための端末識別ID(例えば、操作者端末800−1であればT−ID1等)と、各操作者が担当する楽器パートを識別するためのパートID(例えば、P−ID1等)とが対応づけて登録される。
【0059】
このような設定がなされた状態において、各操作者が動作センサMSの内蔵された操作端末800を手にもって操作すると、操作方向と操作力に応じた運動情報が該操作端末800から楽音発生装置600に送信される。具体的には、図7に示すように各操作端末800における動作センサMSのx軸検出部SX、y軸検出部SYおよびz軸検出部SZからx(上下)方向の加速度αx(xは、添字)、y(左右)方向の加速度αy(yは、添字)およびz(前後)方向の加速度αz(zは、添字)を表わす信号Mx、My、Mzが出力され、該信号Mx、My、Mzの各々に上記端末識別IDが付加され、この端末識別IDの付加された信号Mx、My、Mzが運動情報として楽音発生装置600に無線送信される。
【0060】
楽音発生装置600のアンテナシステムASは、操作端末800から端末識別IDの付加された運動情報を受信すると、各アンテナAT−1〜AT−nによって検出される受信レベルを比較して受信レベルの最も高いアンテナATを特定し、特定したアンテナATを識別するためのアンテナ識別情報を生成してスピーカ選択部64に出力する一方、上記運動情報を無線通信部61に送る。無線通信部61は、アンテナシステムASを介して受信した運動情報を加速度データαx、αy、αzとして情報解析部62に出力する。
【0061】
スピーカ選択部64は、アンテナシステムASからアンテナ識別情報を受け取ると、このアンテナ識別情報から操作者の位置方向を特定する。そして、スピーカ選択部26は、特定した位置方向にステレオ音等を放音させるべく、スピーカシステム100を構成する複数のスピーカの中からステレオ発音に利用するスピーカ対を選択する。
【0062】
例えば、各操作者が図6に示すような位置に配置されている場合、スピーカ選択部64は、アンテナ識別情報等に基づき各操作者の位置を特定してスピーカ対の選択を行う。具体的には、操作者1が操作する第1楽器パートのステレオ音等については第5スピーカSP5及び第1スピーカSP1から放音されるように第1スピーカSP1と第5スピーカSP5とを選択する。同様に、スピーカ選択部26は、操作者2が操作する第2楽器パートのステレオ音等については第1スピーカSP1及び第2スピーカSP2から放音されるように第1スピーカSP2と第2スピーカSP2とを選択し、・・・操作者5が操作する第5楽器パートのステレオ音等については第4スピーカ及び第5スピーカから放音されるように第4スピーカSP4と第5スピーカSP5とを選択する。スピーカ選択部64は、このようにしてスピーカ対を選択すると、この内容をステレオ発音システム100に通知する。
【0063】
一方、情報解析部62は、無線通信部61から各軸加速度データを受け取ると、かかる各軸加速度データを解析し、下記式(1)で表わされる加速度の絶対値|α|を求める。
|α|=(αx2+αy2+αz21/2 ・・・(1)
【0064】
次に、情報解析部62は、加速度αx、αyと、加速度αzとを比較する。比較の結果、例えば、z方向加速度αzがx、y方向加速度αx、αyより大きいときは、操作端末800を突く「突き動作」であると判別する。
逆に、z方向加速度αzがx、y方向加速度αx、αyより小さいときには、操作端末800により空気を切りさく「切り動作」であると判別する。この場合、さらに、x、y方向加速度αx、αyの値を互いに比較し、例えばx方向加速度αxがy方向加速度αyよりも大きいときには「切り動作」の方向が「たて」(x)であると判断する。
【0065】
一方、x方向加速度αxがy方向加速度αyよりも小さいときには「切り動作」の方向が「よこ」(y) であると判断する(なお、これらはあくまで一例である)。
情報解析部62は、このようにして操作端末800の操作内容を解析すると、解析結果を演奏パラメータ決定部63に通知する。
【0066】
演奏パラメータ決定部63は、情報解析部62による解析処理の判定結果に基づいて楽曲データに対する種々の演奏パラメータを決定する。例えば、加速度絶対値|α|或いは各方向成分αx、αy、αzのうち最大を示す成分の大きさに応じて演奏データの音量を制御する。
【0067】
また、演奏パラメータ決定部63は、該判定結果に基づいて他のパラメータを次のように制御する。例えば、「たて(x方向)切り動作」の周期に応じてリバーブ(残響)の深さを制御する。これとは別に、「たて切り動作」が素早く小さい動作であると判断した場合には、アクセント等のアーティキュレーションを与え、該「たて切り動作」がゆっくり大きい動作であると判断した場合には、ピッチ(音高)を下げる(これらの制御もあくまで一例である)。
【0068】
演奏パラメータ決定部63において演奏パラメータが決定されると、決定した演奏パラメータを反映した楽曲データがステレオ発音システム100に出力される。
ステレオ発音システム100は、演奏パラメータ決定部63から供給される楽曲データに基づきステレオ音源装置200(図5参照)にて楽音信号を生成し、生成した楽音信号をミキシング装置300を介してスピーカシステム400に出力する。前述したように、スピーカ選択部64によってステレオ音等を放音すべきスピーカ対が選択されている。従って、ミキシング装置300においては、各操作者が担当する楽器パートのステレオ音等がスピーカ選択部64によって選択されたスピーカ対を介して放音されるようにミキシング操作が行われる。
【0069】
一例を挙げて説明すると、例えば第1楽器パートのステレオ音が第1ステレオ音源210(図6参照)によって生成され、第2楽器パートのステレオ音が第2ステレオ音源210によって生成され、・・・、第5楽器パートのステレオ音が第5ステレオ音源によって生成される場合、ミキシング装置300は、第1ステレオ音源210のRチャネル出力(音源1R)と第2ステレオ音源210のLチャネル出力(音源2L)とをミキシングして第1スピーカSP1に出力する。
【0070】
また、ミキシング装置300は、第2ステレオ音源210のRチャネル出力(音源2R)と第3ステレオ音源210のLチャネル出力(音源3L)とをミキシングして第2スピーカSP2に出力し、・・・第5ステレオ音源210のRチャネル出力(音源5R)と第1ステレオ音源210の1L出力(音源1L)とをミキシングして第5スピーカSP5に出力する。
【0071】
この結果、操作者1は、自己から見て左斜め前方の第5スピーカSP5からの音源1Lと右斜め前方の第1スピーカSP1からの音源1Rとを受聴して第1楽器パートに係るステレオ発音を受聴する。
同様に、操作者1の右隣に位置する操作者2は、自己から見て左斜め前方の第1スピーカSP1からの音源2Lと右斜め前方の第2スピーカSP2からの音源2Rとを受聴して第2楽器パートに係るステレオ発音を受聴し、・・・操作者4の右隣に位置する操作者5は、自己から見て左斜め前方の第4スピーカSP4と右斜め前方の第5スピーカSP5からの音源5Rとを受聴して第5楽器パートに係るステレオ発音を受聴する。このように、各操作者が担当する楽器パートのステレオ音等は、それぞれ各操作者の前方に位置するスピーカ対から放音される。よって、各操作者は自己が担当する楽器パートのステレオ音等を良好に受聴しながら合奏することができる。
【0072】
以上説明したように、本変形例に係る楽音発生制御システムによれば、操作端末800を携帯した操作者の動きを反映した楽音発生等が行われると共に、操作者の位置方向を検出し、該操作者の位置方向に対向するスピーカ対を利用して当該操作者が担当する楽器パートの楽音を発音させるため、各操作者は操作内容が反映された楽器パートの楽音を良好に受聴しながら、合奏することができる。
ここで、本変形例では演奏端末800により制御された楽音が発生し、該発生した楽音をスピーカから放音する場合について説明したが、スピーカから放音する楽音は、演奏端末800の制御によって発生される楽音に限らず、実際の楽器(キーボード、ギター等)の演奏によって発生される楽音であっても良い。なお、各スピーカから放音する楽音の種類を問わないことは、上述した本実施形態及び各変形例についても同様である。
【0073】
<変形例3>
上述した本実施形態では、複数のステレオ音源、ミキサ、スピーカを用いてステレオ発音システムを構築する場合について説明したが、1台のステレオ音源と複数のスピーカとを用いてステレオ発音システムを構築する場合にも適用可能である。
【0074】
図8は、変形例3に係るステレオ発音システム100’の構成を示す図である。
ステレオ発音システム100’は、1台のステレオ音源SS、6台のスピーカSP等によって構成されている。6台のスピーカSPは、略一定の間隔で略円形状に配置され、そのうち3台のスピーカSPがステレオ音源SSのLチャネルに接続され、残り3台のスピーカSPがステレオ音源SSのRチャネルに接続されている。なお、図8及び以下の説明では、説明の便宜上、ステレオ音源SSのLチャネルに接続されている3台のスピーカSPを適宜スピーカSP−L1〜L3と呼び、ステレオ音源SSのRチャネルに接続されている3台のスピーカSPを適宜スピーカSP−R1〜R3と呼ぶ。
【0075】
同図に示すように、6台のスピーカSPは、それぞれステレオ音源SSに接続されるチャネルがとなりあうスピーカSPとの間で異なるように配置されている。具体的には、スピーカSP−L1の右隣(反時計回り方向)には一定の間隔をおいてスピーカSP−R1が配置され、このスピーカSP−R1の右隣には一定の間隔をおいてスピーカSP−L2が配置され、・・・、スピーカSP−L3の右隣には一定の間隔をおいてスピーカSP−R3が配置されている。
【0076】
6台のスピーカがこのように受聴者の移動路に沿って略一定の間隔で配置されることにより、受聴者は図8に示す地点P1において、自己から見て左斜め前方のスピーカSP−L1からのLチャネル出力と右斜め前方のスピーカSP−R1からのRチャネル出力とを受聴してステレオ音源SSに係るステレオ発音を受聴することが可能となる。
その後、図8に示す地点P2に移動すると、受聴者はこの地点P2において、自己から見て左斜め前方のスピーカSP−R1からのRチャネル出力と右斜め前方のスピーカSP−L2からのLチャネル出力とを受聴してステレオ音源SSに係るステレオ発音を受聴する。
【0077】
同様に、図8に示す地点P3に移動すると、受聴者は自己から見て左斜め前方のスピーカSP−L2からのLチャネルと右斜め前方のスピーカSP−R2からのRチャネル出力とを受聴してステレオ音源SSに係るステレオ発音を受聴し、・・・、図7に示す地点P6に移動すると、受聴者は自己から見て左斜め前方のスピーカSP−R3からのRチャネルと右斜め前方のスピーカSP−L1からのLチャネル出力とを受聴してステレオ音源SSに係るステレオ発音を受聴する。
【0078】
このように、1台のステレオ音源と複数のスピーカを用いてステレオ発音システムを構築した場合にも、本実施形態と同様の効果、すなわち従来と比較して設置すべきスピーカの数を減らすことができるといった効果を得ることができる。すなわち、従来においては、受聴者の受聴方向毎にLチャネルスピーカ及びRチャネルスピーカからなる1対のスピーカを設置する必要があったため、図8とほぼ同様のステレオ発音を実現するためには計12台のスピーカ(Lチャネル用6台、Rチャネル用6台)が必要であったのに対し、本変形例においては5台のスピーカによってステレオ発音を受聴者に提供することができる。
【0079】
なお、本変形例においては、6台のスピーカを用いた場合について説明したが、2n(n≧2)台以上のスピーカを用いた場合にも適用可能である。
また、本変形例においては、複数のスピーカを略円形状に配置した場合について説明したが、上述した変形例1と同様、これらのスピーカを略直線上に配置しても良い。このように複数のスピーカを略直線上に配置した場合には、少なくとも3台以上のスピーカを利用すれば、本変形例と同様の効果を得ることができる。
つまり、3台以上のスピーカを1台のステレオ音源のLチャネル若しくはRチャネルに接続してステレオ発音を実現させる方法であって、前記各スピーカを略一定の間隔で配置する配置過程と、となりあうスピーカの間で前記ステレオ音源に接続されるチャネルが異なるように前記各スピーカを接続する接続過程とを具備する方法によって簡易型ステレオ発音を実現するようにしても良い。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スピーカの数を抑えつつも多数の受聴者に対して臨場感あるステレオ音等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態におけるステレオ発音システムの概念図である。
【図2】 同実施形態に係るステレオ発音システムの構成を示す図である。
【図3】 変形例1に係るステレオ発音システムの構成を示す図である。
【図4】 変形例2に係る楽音発生制御システムを説明するための図である。
【図5】 同変形例に係る楽音発生制御システムの機能構成を示す図である。
【図6】 同変形例に係る楽音発生制御システムの概念図である。
【図7】 同変形例に係る楽音発生制御システムの動作を説明するための図である。
【図8】 変形例3に係るステレオ発音システムの構成を示す図である。
【図9】 従来におけるスピーカシステムを例示する図である。
【図10】 従来におけるスピーカシステムを例示する図である。
【図11】 従来におけるスピーカシステムを例示する図である。
【符号の説明】
100、100’、10・・・ステレオ発音システム、200、20・・・ステレオ音源装置、210、21、SS・・・ステレオ音源、300、30・・・ミキシング装置、310、31・・・ミキサ、400、40・・・スピーカシステム、410、41、SP・・・スピーカ、500・・・楽音発生制御システム、600・・・楽音発生装置、800・・・操作端末、80、61・・・無線通信部、MS・・・動作センサ、AS・・・アンテナシステム、AT・・・アンテナ、62・・・情報解析部、63・・・演奏パラメータ決定部、64・・・スピーカ選択部。

Claims (8)

  1. 複数のステレオ音源とこのステレオ音源の数の2倍よりも少ない数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、
    各スピーカを配置する配置過程と、
    配置したスピーカの少なくとも1台以上のスピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程と
    を備えたことを特徴とする簡易型ステレオ発音実現方法。
  2. 複数のステレオ音源とこのステレオ音源の数の2倍よりも少ない数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、
    各スピーカを配置する配置過程と、
    配置したスピーカの少なくとも2台以上のスピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程とを備え、
    前記ミキシング出力過程にあっては、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングを行うことを特徴とする簡易型ステレオ発音実現方法。
  3. 複数のステレオ音源とこれと同数のスピーカを用いてステレオ発音を実現させる方法であって、
    各スピーカを略円形に配置する配置過程と、
    配置した各スピーカに対し、異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして出力するミキシング出力過程とを備え、
    前記ミキシング出力過程にあっては、各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるようにミキシングを行うことを特徴とする簡易型ステレオ発音実現方法。
  4. 複数のステレオ音源と同数のスピーカと、それぞれ異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして各スピーカへ出力するミキシング装置とを備えたステレオ発音システムであって、
    前記各スピーカは、略円形に配置され、
    前記ミキシング装置は、前記各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるように前記ミキシングを行うことを特徴とするステレオ発音システム。
  5. nが2以上の自然数である第1〜第nステレオ音源、第1〜第nミキシング手段、第1〜第nスピーカを備えたステレオ発音システムであって、
    第1〜第nスピーカは、1〜nの順序で略円形に配置され、
    kを1以上(n−1)以下の自然数とした場合、第kミキシング手段は、第kステレオ音源のRチャネル出力と第(k+1)ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第kスピーカに出力し、
    第nミキシング手段は、第nステレオ音源のRチャネル出力と第1ステレオ音源のLチャネル出力とをミキシングして第nスピーカに出力することを特徴とするステレオ発音システム。
  6. 操作者の操作により生じた当該操作端末の運動を検出して運動情報を生成する生成手段と、前記運動情報を送信する送信手段とを具備する操作者携帯可能な操作端末と、
    前記運動情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記運動情報に基づいてステレオ音を発音するステレオ発音システムとを具備する楽音発生装置とを備えた楽音発生制御システムであって、
    前記ステレオ発音システムは、複数のステレオ音源と、前記ステレオ音源と同数のスピーカと、それぞれ異なるステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とをミキシングして各スピーカへ出力するミキシング装置とを具備し、
    前記各スピーカは、略円形に配置され、
    前記ミキシング装置は、前記各ステレオ音源のRチャネル出力とLチャネル出力とがとなりあうスピーカから出力されるように前記ミキシングを行うことを特徴とする楽音発生制御システム。
  7. 前記配置過程にあっては、前記各スピーカを受聴者の移動路に沿って略一定の間隔で配置することを特徴とする請求項1に記載の簡易型ステレオ発音実現方法。
  8. 2n(n≧2)台以上のスピーカを1台のステレオ音源のLチャネル若しくはRチャネルに接続してステレオ発音を実現させる方法であって、
    前記各スピーカを略一定の間隔で略円形に配置する過程と、
    となりあうスピーカの間で前記ステレオ音源に接続されるチャネルが異なるように前記各スピーカを接続する過程と
    を具備することを特徴とする簡易型ステレオ発音実現方法。
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