JP4096473B2 - クレーン装置の駆動制御装置、クレーン装置の駆動制御方法および記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回および起伏動作が可能なブームを備えたクレーン装置の駆動制御装置、駆動制御方法、および駆動制御処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
港湾での荷の積み下ろしには、旋回式クレーンが用いられている。このような旋回式クレーンの操作では、熟練者の技量により吊り荷の振れを抑制し、目標位置への搬送が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したように熟練者であれば、吊り荷の振れを抑制することはできるが、経験の浅い操縦者が操縦した場合には、吊り荷の振れを抑制することが困難である。このため、吊り荷の振れを検出するセンサ等を設け、このセンサからの検出信号に基づいてブームの旋回角や起伏角を制御し、これにより振れを抑制する技術が考えられている。しかしながら、この場合、吊り荷の振れを検出するセンサを設ける必要があり、構成が複雑なる。
【0004】
また、ブームの旋回と起伏とを同時に制御することにより、XY平面上で荷を直線的に搬送、つまり上方からクレーン装置を二次元的にみた場合に荷を直線的に搬送して振れを抑制する方法も研究されているが、現在のところ有効な方法は提案されていない。
【0005】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、操縦者の技能に関わらず、吊り荷の振れを抑制することが可能なクレーン装置の駆動制御装置、駆動制御方法、および駆動制御処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るクレーン装置の駆動制御装置は、ブームと、該ブームに吊り下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する装置であって、前記ひも状部材の長さと、重力加速度と、前記荷物の振れ角とを含んで表された直線変換搬送モデルを用いて、前記荷物の振れ角の加速度が0になるような仮想起伏角加速度を算出し、算出した当該仮想起伏角加速度を用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度及び起伏角加速度を算出し、算出した旋回角加速度及び起伏角加速度に基づいて前記ブームの旋回及び起伏運動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送するようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係るクレーン装置の駆動制御装置は、ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する装置であって、前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送するようにしたことを特徴としている。
【数4】
【0007】
また、本発明に係るクレーン装置の駆動制御方法は、ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する方法であって、前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送することを特徴としている。
【数5】
【0008】
また、本発明に係る記録媒体は、ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する処理であって、前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送させる処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録している。
【数6】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.クレーン装置
まず、図1は本発明の一実施形態に係る駆動制御装置を備えたクレーン装置の構成を示す。同図に示すように、このクレーン装置は、地上などに配置される基体部11を有しており、この基体部11にブーム10が取り付けられている。ここで、ブーム10は、基体部11に取り付けられた端部を支点として起伏動作が可能になされており、起伏駆動モータ13による俯仰ロープ12の巻き上げもしくは繰り出しによってその起伏動作が制御されるようになっている。
【0010】
また、ブーム10の先端部には、図示せぬシーブが設けられており、このシーブに巻き上げロープ14が架け回されている。巻き上げロープ14の端部には、荷物を保持する保持部材15が設けられている。つまり、ブーム10の先端から巻き上げロープ14により保持部材15がつり下げられた状態となっている。また、巻き上げロープ14は、図示せぬ巻き上げモータにより巻き上げもしくは繰り出されるようになっており、これによりブーム10の先端部からのロープ長lを制御することができるようになっている。
【0011】
基体部11は、旋回駆動モータ16により旋回駆動されるようになっている。これにより、ブーム10は旋回動作および起伏動作の両者を行うことができるようになっている。ここで、起伏駆動モータ13および旋回駆動モータ16は、駆動制御装置18により駆動制御され、ブーム10の旋回および起伏動作が制御されるようになっている。駆動制御装置18は操縦者から操作部17を介して入力される操作情報等に基づいて、ブーム10の旋回角加速度や起伏加速度を導出し、ブーム10の駆動を制御する。具体的に例示すると、ブーム10の旋回操縦用の操作子が操作されると、その操作量に応じて旋回角加速度が決定され、起伏操縦用の操作子が操作されると、その操作量に応じて起伏角加速度が決定される。ここまでは、通常の一般的な旋回・起伏クレーン装置と同様であるが、本発明では、駆動制御装置18がブーム10の起伏角および旋回角を示す情報をリアルタイムで取得し、この取得した情報に基づいて後述する直線搬送制御を行うブーム10の旋回・起伏の駆動制御に特徴を有しており、以下、駆動制御装置18による旋回・駆動制御について説明する。なお、ブーム10の起伏角および旋回角は一般的なクレーン装置と同様にモータに設けられたピックアップや機械軸の動き検知して角度を出力するエンコーダ等により取得している。
【0012】
B.旋回・駆動制御
B−1.概略
まず、駆動制御装置18による旋回・駆動制御の概略について参照しながら説明する。まず、図2にクレーン装置で旋回動作時の様子を上方から見た図である。同図に示すように、旋回動作のみを行った場合、ブーム10の先端部、つまり荷物Lが基体部11を中心とした円運動(図中破線で示す)を行うことになる。従って、この円運動の際に生じる遠心力により荷物Lは外周側に振れてしまうことになる。旋回動作をゆっくりと行えば、このような遠心力に起因する振れを抑制することはできるが、この場合、作業時間が大幅に増加してしまう。
【0013】
そこで、本発明では、図3に示すように、旋回動作時に起伏動作を同時に制御することにより、上方からみた場合(つまり、XY平面)に、荷物Lを保持するブーム10の先端部が直線運動(直線Dに沿って運動)するようにし、これにより荷物Lの振れを抑制している。具体的には、図示の場合、旋回時に徐々に起伏角をφを小さくし、基体部11の正面を荷物Lが通過した後、徐々に起伏角φを大きくし、これによりXY平面(クレーン装置が配置される水平面)に対して直線運動するようにしている。すなわち、本発明は、操縦者にクレーン装置が操作されると、リアルタイムで取得したブーム10の起伏角および旋回角のパラメータを用い、後述する直線搬送変換モデルにより起伏・旋回動作を制御し、上述した直線搬送を実現するものである。つまり、駆動制御装置18は、操縦者の操縦によりブーム10が駆動されると、それに応じた旋回角加速度および起伏角加速度を直線搬送変換モデルを用いて算出し、算出した旋回角加速度および起伏角加速度とを用いてブーム10の旋回・起伏を同時に制御することにより、直線搬送を実現するのである。なお、駆動制御装置18による制御手法としては、Fletcher-Reeves法(「システムの最適理論と最適化」(嘉納秀明、コロナ社、1995−10)参照)を用いる。
【0014】
B−2.直線搬送変換モデル
次に、本発明で上述したように角加速度の算出演算に用いられる直線搬送変換モデルについて説明するが、これに先立ち、従来から使用されているモデルを用いた方式について説明し、これと比較しながら本発明に適用される直線搬送変換モデルについて説明する。まず、図4(a)は旋回式クレーンの概要図であり、図4(b)は旋回式クレーンにおける荷物とブーム先端の関係、つまり振れ角を示す図である。図4(a)において、θはブーム10の旋回角、φはブーム10の起伏角、LBはブーム10の長さ、lはロープ長を示している。また、図4(b)において、α、βはブーム10の先端と荷位置とのずれ、つまり振れ角を示し、αはX方向の振れ角、βはY方向の振れ角を示している。従来では、図4(b)に示される荷位置(α、β)に着目したロープ長一定の荷位置モデルを導出しているが、このモデルの状態変数は10であるため、低次元モデルの導出を考え、荷物の振れ角に着目した振れ角モデルを構築している。この場合状態変数は8となるが、依然項数が多く複雑なため、近似を行って近似振れ角モデルを構築するのが一般的である。このように構築した近似振れ角モデルと荷位置モデルの応答を調べたところ近似に対する誤差は顕著に現れないため、従来方式では、次に示すような運動方程式の近似振れ角モデルを用いている。
【数7】
ただし、上記運動方程式における各パラメータは以下の通りである。
【数8】
また、uθおよびuφは、それぞれ旋回角加速度および起伏角加速度を示す。
【0015】
これに対し、本発明では、上記の近似振れ角モデルとは別に、前掲図3に示すような直線搬送を行うために、以下に示すような直線搬送変換モデルを構築した。
【数9】
上記変換式において、Rは仮想ブーム長であり(XZ平面におけるブーム長(図3参照))、クレーン装置による値である。従って、この駆動制御が適用されるクレーン装置の仮想ブーム長Rが予め記憶されており、この記憶された値が用いられる。また、Ψは仮想起伏角を示し(初期仮想起伏角Ψ0からの角度)、θSはXZ平面におけるZ軸に対する(つまり、直線搬送する方向の)振れ角を示し(図3参照)、この振れ角θsの加速度が0となるようにする。
ただし、uΨは仮想起伏角加速度入力であり、演算の際には0以外の適当な数値が当てはめられる。そして、上記の直線搬送変換モデル(1)には、旋回角θ、起伏角φがパラメータとして用いられていないが、以下のようにリアルタイムで取得されるブーム10の旋回角θ、起伏角φを用いれば、仮想起伏角加速度入力uΨから入力逆変換により旋回角加速uθ、起伏角加速度uφを算出することができる。
まず、荷物のスタート位置Ps:(Xs、Ys、Zs)、荷物のゴール位置Pe:(Xe、Ye、Ze)とし、XY平面からみたPs、Peを結ぶ直線上(つまり、搬送ライン)で時間Tによる距離をP(T)として直線搬送を行う場合について考える。
この場合、ある時刻tのときの荷物の位置を(Xc、Yc、Zc)とすると、Xc、Ycは次のように表される。
【数10】
一方、図4(a)に示されるブームの先端位置のXY座標は、次のよう表される。
【数11】
このときの旋回角θ、起伏角φは、上記のブームの先端位置の座標を表す式により、次のように表される。
【数12】
上述したように旋回角θおよび起伏角φをクレーン装置に設けられたエンコーダー等により取得しているので、取得したθ、φから上記式により荷位置の座標情報を取得することができる。このように取得した座標情報を用い、上記直線搬送変換モデル(1)により、旋回角加速度uθ、起伏角加速度uφを逆変換により算出することができる。
【0016】
このように本発明では、クレーン装置から入力されるリアルタイムの旋回角θ、起伏角φを用い、上記直線搬送変換モデル(1)により、XY平面に対して直線搬送を行うための旋回角加速度uθおよび起伏角加速度uφを算出することができるのである。
【0017】
B−3.シュミレーション結果
次に、本出願人は、上述した直線搬送変換モデルによる効果を確認するために、上述した従来方式である近似振れ角モデルと比較するためにシュミレーションを行った。ここで、図5にそのシュミレーションの処理手順を示す。同図に示すように、まず、旋回角速度波形の初期入力設定を行う(ステップS1)。そして、クレーンのブーム先端位置および荷物位置の初期入力設定を行う(ステップS2)。この後、入力された初期設定条件に基づいてシュミレーションが行われるが、まず、シュミレーションが所定回数行われたか否かが判断される(ステップS3)。
【0018】
そして、所定回数シュミレーションが行われていない場合には、所定回数に達するまで以下に示す処理を繰り返す。まず、旋回角速度波形を生成する(ステップS4)。そして、ルンゲクッタ法(Runge-Kutta Method)により旋回角、起伏角、ロープ長、ブーム先端位置、荷位置を生成する(ステップS5)。ここで、ルンゲクッタ法は、複雑な微分方程式を数値計算で解くときに用いられる公知の数値近似解法である。このようにルンゲクッタ法を用いることを考慮し、旋回角やロープ長、起伏角の運動方程式を予め微分の形で表すようにしておく。そして、ルンゲクッタ法により求められたブーム先端位置および荷物位置が保存される(ステップS6)。これを所定回数繰り返すことにより、図6および図7に示すようなシュミレーション結果を得ることができた。
【0019】
まず、従来方式である上記近似振れ角モデルでは、以下のような初期設定を行った。ロープ長l=20[m]、ブーム長LB=30[m]で、初期条件としては、旋回角θ0=0[rad]、起伏角φ0=1/6[rad]、振れ角α0、β0=0[rad]でクレーンおよび荷物を静止しているものとした。終端条件としては、旋回角θtf=0[rad]、起伏角φtf=π/6[rad]、振れ角αtf、βtf=0[rad]でクレーンおよび荷物は静止するようにし、また搬送途中に吊り荷が大きく振れないよう評価関数で与える。
また、直線搬送変換モデルでは、上記近似振れ角モデルの初期条件と終端条件とを結ぶ直線搬送で、ロープ長l=20[m]、仮想ブーム長R=28[m]となり、初期条件は、仮想起伏角Ψ0=π/4[rad]、振れ角θ0=0[rad]で静止しているものとし、終端条件はΨtf=π/2[rad]、振れ角θStf=0[rad]で静止するような評価関数で与え、この評価関数を最小とするように角加速度入力を制御した。
ここで、直線搬送変換モデルの評価関数1は、次の通りである。
【数13】
直線搬送変換モデルの評価関数1に対して、上記(1)式を用いた直線搬送変換モデルによる制御シュミレーション結果を図6に示す。図6(a)から、クレーン先端はXY平面に対して直線を描き、荷物もそれに重なる形で直線を描いていることがわかる。つまり、荷物の振れがほとんどない搬送を行うことができた。なお、図では、破線で示すクレーンのブーム先端のポジションと、実線で示す荷物のポジションとが重なっている。また、図6(d)〜(f)に示すように、荷物の振れ角の収束が早く、振れの少ない搬送が実現できることがわかる。
【0020】
一方、上記(1)式を用いずに(2)式の近似振れ角モデルを直接用いて制御する従来の制御方式についてもシュミレーションを行った。ここで、荷物の振れを少なくするために、次に示す評価関数2を与え、この評価関数を最小化するように角加速度入力を制御した。
【数14】
この評価関数2に対して、上記(2)式を用いた近似振れ角モデルの制御シュミレーション結果を図7に示す。この場合にも、図7(a)に示すように、クレーン先端と荷物とはXY平面に対して直線搬送に近い形となったが、直線搬送変換モデルを用いた場合と比較すると、若干の振れが確認された。また、図7(d)〜(f)に示すように、直線搬送モデルを用いた場合と比較して収束に時間を要するとともに、終端条件を十分に満たしていない。つまり、目的位置に正確に搬送できていないことがわかった。このようなシュミレーション結果から、上記(1)式を用いた直線搬送変換モデルの有効性がわかる。また、(2)式を直接用いた制御する従来方式よりも、演算負荷を少なくすることができ、より迅速な制御が実現できる。
【0021】
このように本実施形態に係る駆動制御装置を備えたクレーン装置によれば、操縦者が任意にブーム10を操作した場合にも、その操作に応じて、上記直線搬送変換モデルを用いて自動的に起伏角加速度および旋回角加速度を算出し、ブーム10の旋回・起伏動作を同時に制御することができる。これにより、上述したシュミレーション結果に示されるように、XY平面に対し直線搬送を実現し、ブーム10の先端に吊られた荷物の振れを抑制することができる。つまり、このクレーン装置では、操縦者は操作部17を用いて荷物を所望の位置に移動させるように操縦すれば、自動的に直線搬送がなされ荷物の振れが抑制される。従って、熟練者でなくても、振れのほとんどない搬送を行うことができる。また、上述した旋回のみで搬送する場合(図2参照)のように円運動ではないため遠心力による振れがなく、搬送速度を大きくすることも可能である。また、このように直線搬送を行って荷物の振れを抑制することにより、荷物の振れ角等を検出するセンサを設け、このセンサの検出結果等に応じてフィードバック制御等をする必要がないので、構成が複雑とならない。
【0022】
C.変形例
なお、上述した直線搬送変換モデルを用いたブームの旋回・起伏駆動制御処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムを可搬型記録媒体に記録しててユーザに提供するようにしてもよい。この場合、ユーザは、クレーン装置の駆動制御装置のコンピュータの記憶装置等に、上記制御プログラムをインストールして上記制御を行えば、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、旋回・起伏動作が可能なクレーン装置において、操縦者の技能に関わらず、吊り荷の振れを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る駆動制御装置を備えたクレーン装置の構成を示す図である。
【図2】 従来の旋回式クレーン装置による荷物搬送の問題点を説明するための図である。
【図3】 前記駆動制御装置によるクレーン装置の駆動制御方法を説明するための図である。
【図4】 旋回式クレーン装置の概要を示す図である。
【図5】 前記駆動制御装置による駆動制御方法の効果を確認するために行ったシュミレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 前記駆動制御装置によるクレーン装置の駆動制御のシュミレーション結果を示す図である。
【図7】 従来の方式によるクレーン駆動制御のシュミレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
10……ブーム、11……基体部、12……俯仰ロープ、13……起伏駆動モータ、14……巻き上げロープ(ひも状部材)、15……保持部材、16……旋回駆動モータ、17……操作部、18……駆動制御装置
Claims (4)
- ブームと、該ブームに吊り下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する装置であって、
前記ひも状部材の長さと、重力加速度と、前記荷物の振れ角とを含んで表された直線変換搬送モデルを用いて、前記荷物の振れ角の加速度が0になるような仮想起伏角加速度を算出し、算出した当該仮想起伏角加速度を用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度及び起伏角加速度を算出し、算出した旋回角加速度及び起伏角加速度に基づいて前記ブームの旋回及び起伏運動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送するようにした
ことを特徴とするクレーン装置の駆動制御装置。 - ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する装置であって、
前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送するようにした
ことを特徴とするクレーン装置の駆動制御装置。
- ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する方法であって、
前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送する
ことを特徴とするクレーン装置の駆動制御方法。
- ブームと、該ブーム先端部につり下げられるひも状部材と、このひも状部材の下端に設けられる荷物保持部とを備え、前記ブームの旋回および起伏動作が可能なクレーン装置において、前記ブームの旋回および起伏を制御する処理であって、
前記ひも状部材の長さl、仮想ブーム長R、荷物の振れ角θsおよび重力加速度gを用いて以下に示す直線搬送変換式(1)により、前記荷物の振れ角θsの加速度が0になるような仮想起伏角加速度uΨを算出し、算出した当該仮想起伏角加速度uΨを用いた入力逆変換によって前記ブームの旋回角加速度uθおよび前記ブームの起伏角加速度uφを算出し、これらの算出値uθ、uφを用い、前記ブームの旋回および起伏駆動を同時に制御することにより、上方からみた場合に前記荷物保持部に保持される荷物を当該荷物の搬送開始位置から目標位置まで直線搬送させる処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
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