JP4096182B2 - 両面記録装置における被記録媒体案内装置、両面記録装置 - Google Patents
両面記録装置における被記録媒体案内装置、両面記録装置Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面記録装置に関する。更に本発明は、インク等の液体をそのヘッドから吐出して被噴射媒体に噴射を実行するインクジェット式記録装置などの液体噴射装置に関するものである。
【0002】
ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
従来の両面記録装置では、被記録媒体の搬送経路の上下にそれぞれ記録ヘッドを配置し、被記録媒体の搬送途中に2つの記録ヘッドによりそれぞれ被記録媒体のおもて面とうら面とに記録を行っていた。このような両面記録装置は、例えば特許文献1に開示されている。
しかし、2つの記録ヘッドを備える記録装置は高額になりがちであるため、単一の記録ヘッドにより被記録媒体の両面に記録を行う記録装置の開発が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−154245号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、単一の記録ヘッドで被記録媒体の両面に記録を行う場合には、被記録媒体の第1面に記録後に、複雑な搬送経路を経て被記録媒体を反転させ、再び記録ヘッドへ案内しなければならない。特に第1面に記録後の被記録媒体は、記録の前後でローラにより押圧させるため、上下いずれかにカールすることが多い。
【0007】
そこで本発明の目的は、両面記録装置の搬送工程において被記録媒体がカールしていても被記録媒体を確実に後の工程へ搬送することができる両面記録装置における被記録媒体案内装置、両面記録装置、被噴射媒体案内装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様に係る両面記録装置における被記録媒体案内装置は、記録部及び記録部より被記録媒体搬送方向下流側に排出ローラを備え、被記録媒体の第1面に前記記録部にて記録後に被記録媒体を反転して被記録媒体の第2面への記録のために再び被記録媒体を前記記録部に案内する被記録媒体反転経路を含む両面記録装置であって、前記被記録媒体反転経路は、被記録媒体への記録時における被記録媒体の進行方向を規定する第1経路と、前記第1経路における被記録媒体の後端が先端となるように被記録媒体の進行方向を逆方向に案内する第2経路と、前記被記録媒体を第1経路から第2経路に案内するための経路変更機構とを備え、前記経路変更機構は、前記排出ローラによる被記録媒体排出ラインに対して前記第1面側に設けられ、下端部に迎え従動ローラを備え、第1面に記録後の被記録媒体を前記経路変更機構に受入可能な第1位置と、前記被記録媒体排出ラインを前記迎え従動ローラが横切るように回動した後の第2位置との間で回動可能な回動部材と、前記被記録媒体排出ラインを挟んで前記迎え従動ローラと対向する位置に設けられる迎え駆動ローラと、前記迎え従動ローラよりも前記被記録媒体排出ラインの下流側に設けられ、正逆両方向に回転可能な反転ローラとを備え、前記回動部材が、前記迎え従動ローラよりも上流側近傍に第1被記録媒体受入面を有し、該第1被記録媒体受入面が前記被記録媒体排出ラインに対して角度α(0<α<90°)で上流側に向かって開くように傾いて形成されていることを特徴とするものである。ここで、当該角度αは、好ましくは15°〜75°、更に30°〜60°が望ましい。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、記録部にて記録され、先端が上側にカールした被記録媒体は、その先端が第1被記録媒体受入面に当接した状態で迎え従動ローラまで案内される。そして回動部材が回動することで迎え従動ローラが迎え駆動ローラに当接し、被記録媒体は迎え従動ローラと迎え駆動ローラの間に引き込まれることで反転ローラ方向へ搬送される。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る両面記録装置における被記録媒体案内装置は、上記第1の態様において、前記経路変更機構は、前記被記録媒体排出ラインに対して前記第1面と反対側に設けられる案内カバー部材を更に備え、前記案内カバー部材は前記被記録媒体が前記反転ローラへ搬送される過程で、被記録媒体が前記迎え駆動ローラに接触することを防止するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本態様によれば、被記録媒体が反転ローラへ搬送される過程で、案内カバー部材の存在により被記録媒体が迎え駆動ローラに接触することが防止される。従って被記録媒体を反転ローラへ搬送するときに迎え駆動ローラの回転を止めるなどの制御が不要となる。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係る両面記録装置における被記録媒体案内装置は、上記第2の態様において、前記案内カバー部材は、被記録媒体が前記迎え駆動ローラに接触することを防止する第1位置と、被記録媒体を第2経路へ案内する第2位置との間で回動可能であり、前記案内カバー部材は、前記第2位置にあるときにのみ前記迎え駆動ローラの一部が突出する開口部を有することを特徴とするものである。
【0013】
本態様によれば、案内カバー部材が第1位置にあるときには、被記録媒体が迎え駆動ローラに接触することを防止し、案内カバー部材が第2位置にあるときには、被記録媒体が第2経路を通過できる通路が形成されるとともに、迎え従動ローラが迎え駆動ローラに当接することで被記録媒体を第2経路に案内することができる。
【0014】
また、本発明の第4の態様に係る両面記録装置における被記録媒体案内装置は、上記第3の態様において、前記案内カバー部材の前記迎え従動ローラと対向する面には、被記録媒体を前記迎え駆動ローラ側から支持しつつ前記反転ローラに案内する第2被記録媒体受入面が形成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、案内カバー部材が第1位置にあるときに被記録媒体が下方にカールした状態で進入してきても、第2被記録媒体受入面が被記録媒体の下面側を支持して、被記録媒体を迎え従動ローラと迎え駆動ローラとの間に導くことができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様に係る両面記録装置における被記録媒体案内装置は、上記第4の態様において、前記被記録媒体がカールすることなく前記被記録媒体排出ラインに沿って進行するときに、前記被記録媒体は前記第2被記録媒体受入面には案内されるが第1被記録媒体受入面には接触しない位置に、前記第1被記録媒体受入面及び第2被記録媒体受入面が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
本態様によれば、被記録媒体の下方への撓みを考慮して被記録媒体は第2被記録媒体受入面には常に支持され案内される。一方、第1被記録媒体受入面は被記録媒体の先端が上方にカールしているときだけ案内面として機能するようにし、被記録媒体の搬送方向での障害を極力減らすようにした。
【0017】
また、本発明の第6の態様に係る両面記録装置は、上記第1〜第5の態様のいずれかの被記録媒体案内装置を備えることを特徴とするものである。本態様によれば、搬送工程において被記録媒体の先端がカールしても確実に被記録媒体を後工程へ搬送することができるから、ジャム等の故障が少ない両面記録装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の両面液体噴射装置における被噴射媒体案内装置は、液体噴射部及び液体噴射部より被噴射媒体搬送方向下流側に排出ローラを備え、被噴射媒体の第1面に前記液体噴射部にて噴射後に被噴射媒体を反転して被噴射媒体の第2面への噴射のために再び被噴射媒体を前記液体噴射部に案内する被噴射媒体反転経路を含む両面液体噴射装置であって、前記被噴射媒体反転経路は、被噴射媒体への噴射時における被噴射媒体の進行方向を規定する第1経路と、前記第1経路における被噴射媒体の後端が先端となるように被噴射媒体の進行方向を逆方向に案内する第2経路と、前記被噴射媒体を第1経路から第2経路に案内するための経路変更機構とを備え、前記経路変更機構は、前記排出ローラによる被噴射媒体排出ラインに対して前記第1面側に設けられ、下端部に迎え従動ローラを備え、第1面に噴射後の被噴射媒体を前記経路変更機構に受入可能な第1位置と、前記被噴射媒体排出ラインを前記迎え従動ローラが横切るように回動した後の第2位置との間で回動可能な回動部材と、前記被噴射媒体排出ラインを挟んで前記迎え従動ローラと対向する位置に設けられる迎え駆動ローラと、前記迎え従動ローラよりも前記被噴射媒体排出ラインの下流側に設けられ、正逆両方向に回転可能な反転ローラとを備え、前記回動部材が、前記迎え従動ローラよりも上流側近傍に第1被噴射媒体受入面を有し、該第1被噴射媒体受入面が前記被噴射媒体排出ラインに対して角度α(0<α<90°)で上流側に向かって開くように傾いて形成されていることを特徴とするものである。ここで、当該角度αは、好ましくは15°〜75°、更に30°〜60°が望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る被記録媒体案内装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は両面液体噴射装置の一例であるインクジェット式両面記録装置において、被噴射媒体である被記録媒体の案内装置を適用した両面記録装置の主要部を示す側断面図であり、図2は回動部材及び案内カバー部材周辺の作動状態を示す拡大図であり、図3は排出駆動ローラが正回転しているときの様子を示す輪列の側面図であり、図4は第3ギア、第14ギア周辺の構造を示す斜視図であり、図5は排出駆動ローラが反転しているときの様子を示す輪列の側面図である。尚、インクジェット式両面記録装置では、被噴射媒体または記録媒体として用紙Pを使用している。
【0020】
図1において符号1は両面液体噴射装置の一例である両面記録装置の主要部を示し、この主要部1には、液体噴射部に相当する記録部3と、その下流側に反転部5とが設けられている。尚図示しないが、主要部1の下方には給送部が設けられており、給送部から用紙給送経路7を経て記録部3に両面記録用の単票紙を供給可能となっている。尚、図1における上方がこの両面記録装置の使用時における上方となる。
【0021】
記録部3には送りローラ9、キャリッジ11及び排出ローラ13が設けられている。送りローラ9は送り駆動ローラ15と送り従動ローラ17とから構成されており、送り駆動ローラ15は後述する駆動機構により正逆両方向に回転可能であり、後述する記録ヘッドへの精密な用紙送り動作を行うことができる。送り従動ローラ17は、捻りコイルバネ19によって先端側が送り駆動ローラ15側へ付勢されるローラ付勢部材21の先端に設けられており、常時一定の付勢圧で送り駆動ローラ15に付勢されている。
【0022】
キャリッジ11には噴射部または記録部に相当する記録ヘッド23が搭載されており、キャリッジ11が給送方向と直交する方向(主走査方向)へ往復運動することにより、記録ヘッド23は主走査方向で記録のための走査が可能である。
【0023】
記録ヘッド23と対向する位置にはプラテン25が設けられており、該プラテン25は、記録ヘッド23によって用紙に印刷を行う際に、用紙を下側から支持する作用を担う。記録ヘッド23とプラテン25との距離、即ちペーパーギャップは、記録ヘッド23を支持するキャリッジ11を用紙の搬送経路と垂直な方向に移動させることにより、用紙の厚さに応じて適宜調節できるようになっている。ペーパーギャップが適正に調整されている状態では、用紙はプラテン25上を滑らかに通過しながら、高品質の印刷が行なわれるようになっている。
【0024】
記録ヘッド23で印刷された用紙は、排出ローラ13により順次排出される。排出ローラ13は、排出駆動ローラ27と排出ギザローラ29とから構成されており、用紙が排出駆動ローラ27の回転駆動により引き出されて上方へ排出される機構となっている。排出駆動ローラ27は、送り駆動ローラ15同様、後述する駆動機構により正逆両方向に回転可能である。
【0025】
次に反転部5の構成について説明する。給送部から用紙給送経路7を経て記録部3に供給された用紙は、記録ヘッド23でその第1面に記録後、被噴射媒体反転経路または被記録媒体反転経路に相当する用紙反転経路における地点31、33、35、37を経て反転し、前後端部が反対になった状態で再び記録ヘッド23に至り、今度は第1面と反対側の第2面に記録され、その後、排出される。本発明では第1面に記録されるときの用紙の移動方向が継続している間の経路、即ち地点37から記録ヘッド23を介して地点33までを用紙反転経路の第1経路38とし、第1面に記録されるときの用紙の移動方向が反対方向に切り替わった後の経路、即ち地点33、地点35及び地点37によって規定される経路を用紙反転経路の第2経路40とする。
【0026】
このような用紙反転機能を有する反転部5は、その最上部付近に設けられる反転駆動ローラ39と、反転駆動ローラ39のすぐ下方に位置する迎え駆動ローラ41と、迎え駆動ローラ41の下方に位置する中間駆動ローラ43と、用紙給送経路7が用紙反転経路と合流する地点37のすぐ手前の第2経路40内に設けられる直前駆動ローラ45とを備えている。また反転駆動ローラ39と対向する位置には反転従動ローラ47が設けられ、中間駆動ローラ43と対向する位置には中間従動ローラ49が設けられ、更に直前駆動ローラ45と対向する位置には直前従動ローラ51が設けられている。尚、反転駆動ローラ39と反転従動ローラ47との組み合わせにより反転ローラが構成されている。
【0027】
反転駆動ローラ39は、後述する駆動機構により正逆両方向に回転可能であり、一方、迎え駆動ローラ41、中間駆動ローラ43及び直前駆動ローラ45は、図1において反時計回り方向、即ち用紙を第2経路40へ送り出す方向にのみ回転可能である。また直前駆動ローラ45と対向する位置には、直前従動ローラ51と重なるようにして用紙案内従動ローラ46が設けられている。用紙案内従動ローラ46は、用紙反転経路の第2経路40後半の上面側を規定しており、用紙Pがこの用紙案内従動ローラ46に沿って送りローラ9まで案内されると共に、用紙案内従動ローラ46の有する曲率に沿って用紙Pが強制的に湾曲させられることにより、用紙搬送途中で湾曲した用紙のデカール作用を発揮する。
【0028】
送り駆動ローラ15の手前には被記録媒体検知装置に相当する用紙検知装置65が設けられている。後述するように、用紙検知装置65は用紙反転後の用紙先端を検知して駆動モータを逆回転から正回転へ戻すためのセンサとして機能する。
【0029】
また反転従動ローラ47に隣接する位置には、図示しない回動支点を中心に矢印55で示す方向に回動可能な回動部材57が設けられており、その下端付近には、回動部材57が迎え駆動ローラ41側へ回動したときに迎え駆動ローラ41に押圧接触可能な迎え従動ローラ59が設けられている。尚、迎え従動ローラ59が迎え駆動ローラ41から最も離れる回動部材57の位置、即ち回動部材57が図2(a)に示す状態のときを回動部材の第1位置とし、迎え従動ローラ59が迎え駆動ローラ41に接触する回動部材57の位置、即ち回動部材57が図2(c)に示す状態のときを回動部材の第2位置とする。回動部材57の第1位置は、第1面に記録後の被記録媒体を後述する経路変更機構に受入可能な位置であり、回動部材57の第2位置は、後述する用紙排出ライン64を迎え従動ローラ59が横切るように回動した後の位置である。
【0030】
更に反転駆動ローラ39付近を回動支点として下方へ延びるように案内カバー部材61が設けられている。案内カバー部材61は、回動部材57が迎え駆動ローラ41側へ回動するときに同様に迎え駆動ローラ41側へ回動するように構成され、回動時には案内カバー部材61に形成された開口部63から迎え駆動ローラ41の一部が突出して、迎え従動ローラ59と圧接する。案内カバー部材61が回動部材57側へ回動している状態を案内カバー部材61の第1位置とし、案内カバー部材61が迎え駆動ローラ41側へ回動している状態を案内カバー部材61の第2位置とする。尚、反転駆動ローラ39、迎え駆動ローラ41、迎え従動ローラ59、反転従動ローラ47、回動部材57及び案内カバー部材61は経路変更機構を構成する。
【0031】
案内カバー部材61は、その第1位置において、常時反時計回りに回転する迎え駆動ローラ41に、第1面に記録後の用紙Pが接触しないようにカバーとしての本来的機能を有する他、後述するように第1面に記録後の用紙Pを案内する案内面を提供するという機能をも有する。
【0032】
図2(a)は、用紙Pの第1面に記録後に、用紙の反転のために用紙Pの先端が矢印113(図1参照)で示す方向に送り出されるときの回動部材57及び案内カバー部材61周辺を示す拡大図である。回動部材57に設けられる迎え従動ローラ59の下側には、迎え駆動ローラ41に面する側に、第1被記録媒体受入面及び第1被噴射媒体受入面に相当する第1用紙受入面58が形成されている。
【0033】
第1用紙受入面58は、排出ローラ13によって排出される用紙Pの下面側が支持される排出案内面60の延長線、即ち排出される用紙Pがカールしていない場合に通過する経路(以下、この経路を用紙排出ライン64という。用紙排出ラインは、被記録媒体排出ライン及び被噴射媒体排出ラインに相当する)に対して角度α(0<α<90°)で下側が上方に開くように傾いて形成されている。第1用紙受入面58は、上側にカールせずに用紙排出ラインに沿って進行する用紙は接触しないが、上側にカールした用紙の先端は接触する位置に形成されていることが好ましい。従って用紙Pの先端が図2(a)中一点鎖線で示す如く上方にカールしている場合には、カールした先端が第1用紙受入面58に当接し、その後第1用紙受入面58に沿って進行し、迎え従動ローラ59へ案内される。
【0034】
一方図2(a)に示す如く、案内カバー部材61には、迎え従動ローラ59に面している側に、第2被記録媒体受入面に相当する第2用紙受入面62が形成されている。第2用紙受入面62は、用紙排出ライン64より下側に位置し、該ラインと平行な線に対して角度β(0≦β<45°)で下側が下方へ開くように傾いて形成されている。第2用紙受入面62は、用紙排出ライン64と平行であっても構わない。第2用紙受入面62が案内カバー部材61に形成されていることにより、案内カバー部材61が第1位置にあるとき、用紙Pの先端が図2中二点鎖線で示す如く下方にカールしている場合でも、カールした先端を第2用紙受入面62に沿って進行させ、反転駆動ローラ39へ案内することができる。第2用紙受入面62は、用紙が下側にカールせずに用紙排出ライン64に沿って進行している場合、及び用紙が下側にカールした状態で進行している場合のいずれにおいても、用紙Pに接触してこれを反転ローラへ案内することができる。
【0035】
次に上記各ローラの駆動機構について図3及び図4を参照しながら説明する。図3中、符号67は排出駆動ローラ27の回転軸を示し、この回転軸67には第1駆動ギア69が固定されている。第1駆動ギア69には更に駆動ギア71が歯合している。第1駆動ギア69の回転軸67は、図示しない駆動モータの出力軸に接続されている。以下説明する輪列は、全てこの駆動モータを回転駆動源とし、上述した全てのローラもこの駆動モータの駆動力により回転駆動する。駆動モータの正回転と逆回転とは制御装置70により制御される。
【0036】
送り駆動ローラ15は、図3に図示されていないが、送り駆動ローラ15には第1ギア69及びこれと常時歯合する複数の輪列(第1駆動伝達系)を介して、直接、回転駆動力が伝達されるようになっている。反転駆動ローラ39の回転軸74には第4ギア79が設けられ、前記駆動ギア71の回転駆動力は、それらの間に配置された第2ギア75及び回転軸76の周囲で自由回転する第3ギア77を介して第4ギア79へ伝達される。このような構成により駆動モータが正回転または逆回転するのに伴い、排出駆動ローラ27、送り駆動ローラ15及び反転駆動ローラ39が正回転または逆回転をする。尚、駆動ギア71、第2ギア75、第3ギア77及び第4ギア79により構成される輪列を第3駆動伝達系とする。
【0037】
一方駆動ギア71には太陽ギア81が歯合しており、太陽ギア81と同じ回転軸には2方向へ延びる第1アーム部82と第2アーム部84とから成る回動アーム83が回動可能に設けられている。第1アーム部82と第2アーム部84の各端部には、各々第1遊星ギア85と第2遊星ギア87とが太陽ギア81に歯合した状態で設けられている。
【0038】
太陽ギア81の近傍には第1接続ギア89と第2接続ギア91とが互いに歯合した状態で配置され、図3において太陽ギア81が時計回り方向に回転したときには、回動アーム83の時計回り方向への回転により第1遊星ギア85が第1接続ギア89に歯合し、太陽ギア81が反時計回り方向に回転したときには、回動アーム83の反時計回り方向への回転により第2遊星ギア87が第2接続ギア91に歯合するようになっている。尚、太陽ギア81、回動アーム83、第1遊星ギア85、第2遊星ギア87、第1接続ギア89及び第2接続ギア91は遊星ギア機構を構成する。
【0039】
第2接続ギア91は、第5ギア95、第6ギア97、第7ギア99、第8ギア101及び第9ギア103から成る輪列を介して、直前駆動ギア45の回転軸93に設けられる第10ギア105に接続されている。第6ギア97は、中間駆動ローラ43の回転軸98に設けられている。尚、上記遊星ギア機構、第5ギア95、第6ギア97、中間駆動ローラの回転軸98、第7ギア99、第8ギア101、第9ギア103及び第10ギア105は第2駆動伝達系を構成する。
【0040】
第1アーム部82と第2アーム部84との角度的位置関係は、駆動モータが正回転から逆回転へ変換する時に、第1遊星ギア85が第1接続ギア89に歯合する状態から第2遊星ギア87が第2接続ギア91に歯合する状態の間に、送り駆動ローラ15の逆回転により用紙のスキュ状態が解消されるのに十分な時間が与えられるように決定されている。尚、第1遊星ギア85が第1接続ギア89に歯合する状態から第2遊星ギア87が第2接続ギア91に歯合する状態に変化する時間を遊転期間とする。
【0041】
第1接続ギア89には、第12ギア107及び第13ギア109を介して、第14ギア111が歯合している。第14ギア111は、図4に示す如く第3ギア77の背後に配置されており、第3ギア77が自由回転する回転軸76に固定されている。上記迎え駆動ローラ41はこの回転軸76に固定されているため、第1接続ギア89の回転駆動により迎え駆動ローラ41が回転する。
【0042】
このような駆動伝達機構により、駆動モータが正回転するときには、送り駆動ローラ15、排出駆動ローラ27、反転駆動ローラ39、迎え駆動ローラ41、中間駆動ローラ43及び直前駆動ローラ45がそれぞれ正回転し、また駆動モータが逆回転するときには、送り駆動ローラ15、排出駆動ローラ27、反転駆動ローラ39はそれぞれ逆回転し、迎え駆動ローラ41,中間駆動ローラ43及び直前駆動ローラ45はそれぞれ正回転するようになる。尚、本発明において各種ローラが「正回転」するとは、用紙が用紙反転経路に沿って前方に送り出される方向に回転することをいい、各種ローラが「逆回転」するとは、その逆方向に用紙が搬送されるように回転することをいう。また駆動モータが「正回転」するとは、送り駆動ローラ15が正回転するように回転駆動している状態をいい、駆動モータが「逆回転」するとは送り駆動ローラ15が逆回転するように回転駆動している状態をいう。
【0043】
以下、本実施の形態に係る本願発明の作用について説明する。図6は反転する前の用紙の先端が送り駆動ローラに位置するときの側断面図であり、図7は用紙を反転させるため、用紙の先端が最も高い位置まで送られたときの様子を示す側断面図であり、図8は用紙を反転するために回動部材が回動した様子を示す側断面図であり、図9は反転した用紙の先端が用紙検知装置に位置するときの側断面図である。
【0044】
まず給送部から用紙給送経路7を介して用紙が第1経路38に供給されると、駆動モータが正回転することにより、駆動ギア71及び第1駆動ギア69が図3に示す矢印の方向に回転し、排出駆動ローラ27が正回転する。また第1駆動ギア69に常時歯合する図示しない輪列を介して送り駆動ローラ15が正回転し、第2ギア75、第3ギア77及び第4ギア79を介して反転駆動ローラ39も正回転する。
【0045】
一方駆動ギア71が矢印の方向に回転することで、太陽ギア81が図3の時計回り方向に回転し、これに伴い回動アーム83が時計回り方向に回動する結果、第1遊星ギア85が第1接続ギア89に歯合する。第1接続ギア89の回転駆動力は、第2接続ギア91、第5ギア95及び第6ギア97を介して中間駆動ローラ43を正回転させ、更に第7ギア99、第8ギア101、第9ギア103及び第10ギア105を介して直前駆動ローラ45を矢印で示す方向に正回転させる。同時に第1接続ギア89の回転駆動力は、第12ギア107、第13ギア109及び第14ギア111を介して迎え駆動ローラ41を正回転させる。
【0046】
図6に示す如く、用紙Pの先端が送りローラ9まで来ると、用紙Pは送り駆動ローラ15による記録ヘッドへの精密な用紙送り動作を受けながら進行し、記録ヘッド23により用紙Pの第1面に記録がなされる。用紙Pの先端が排出ローラ13に至ると用紙Pは地点31、33の方へ排出される。
【0047】
排出案内面60(図2参照)に下面が支持された用紙Pは、図2(a)に示す如く用紙排出ライン64に沿って矢印113(図1参照)の方向へ進行する。このとき図2(a)中一点鎖線で示す如く用紙Pの先端が上側にカールしている場合には、用紙の先端が第1位置にある回動部材57の第1用紙受入面58の途中に当接することで、用紙の先端が第1用紙受入面58に沿って進行し、迎え従動ローラ59に至る。
【0048】
また図2(a)中二点鎖線で示す如く用紙Pの先端が下側にカールしている場合には、用紙Pの先端は第1位置にある案内カバー部材61上の第2用紙受入面62に当接し、そのまま第2用紙受入面62に案内されて反転駆動ローラ39の手前まで進行する。用紙Pの先端がカールしていない場合には、用紙排出ライン64に沿って進行する過程で、用紙Pの自重による下方への撓みによって先端が第2用紙受入面62に当接し、そのまま第2用紙受入面62に案内されて反転駆動ローラ39の手前まで進行する。また案内カバー部材61が第1位置にあることで、常時反時計回りに回転する迎え駆動ローラ41に用紙Pが接触することを防止できる。
【0049】
図2(a)に示す状態で用紙Pの先端が反転駆動ローラ39を通過すると、図2(b)に示す如く回動部材57がその第2位置側へ回動し始め、ほぼ同時に案内カバー部材61も第2位置へ回動する。その後用紙Pは、反転駆動ローラ39及び反転従動ローラ47の間に挟持された状態で矢印113(図7参照)の方向へ搬送され続け、図7に示す如く、用紙Pの後端が地点33で示す位置付近まで所定ステップ数だけ送り出される。
【0050】
用紙Pの後端が地点33で示す位置付近まで送り出されると、回動部材57が図2(c)に示す如くその第2位置まで回動して、用紙Pの後端が迎え従動ローラ59と、開口部63から突出した迎え駆動ローラ41との間に挟まれるようになる。
【0051】
回動部材57の回動動作と同時に、駆動モータが逆回転し、以下の駆動伝達により各ローラが正回転または逆回転駆動するようになる。即ち、図5に示す如く駆動モータの逆回転により駆動ギア71が逆回転するため、駆動ギア71と常時歯合している輪列は全てが逆方向に回転し、従って排出駆動ローラ27、送り駆動ローラ15及び反転駆動ローラ39が逆回転するようになる。また駆動ギア71が逆回転したとき、太陽ギア81が図5の反時計回り方向に回転し、これに伴い回動アーム83が反時計回り方向に回転する結果、第2遊星ギア87が第2接続ギア91に歯合する。この結果、第1接続ギア89及び第2接続ギア91の回転方向は駆動モータが正回転しているときと同方向になり、従って上記同様に中間駆動ローラ43、直前駆動ローラ45及び迎え駆動ローラ41をそれぞれ正回転させる。
【0052】
このような各ローラの駆動により、図7に示すように最も高い位置まで搬送された用紙Pは、図8においてそれぞれ反時計回りに回転する反転駆動ローラ39及び迎え駆動ローラ41により用紙反転経路の第2経路40に案内され、途中、中間駆動ローラ43により、地点37方向への駆動力が付与される。その後、図9に示す如く、直前駆動ローラ45により、反転した用紙Pは送り駆動ローラ15の方へ搬送される。
【0053】
尚、第1経路38から第2経路40に移行するとき、用紙の進行方向が反対方向になるので、第1経路38を通過しているときの用紙の先端及び後端が、それぞれ第2経路40を通る用紙Pの後端及び先端となる。また、第1経路38を通過しているときの用紙Pの上面(印刷面)、即ち第1面は、第2経路40を経て記録ヘッド23に至るときには下面となり、第1経路38を通過しているときの用紙Pの下面、即ち第2面は、第2経路40を経て記録ヘッド23に至るときには上面(印刷面)となる。
【0054】
第2経路40を経た用紙Pの先端が用紙検知装置65により検知されると、今まで逆回転していた駆動モータが正回転に切り替わり、送り駆動ローラ15は正回転するようになる。用紙Pの先端が送り駆動ローラ15と送り従動ローラ17との間に至り、ほぼ3mm程度用紙の先端をニップするまで搬送された時点で、再度駆動モータが逆回転に転じる。
【0055】
この時、第1遊星ギア85が第1接続ギア89に歯合する状態(図3参照)から第2遊星ギア87が第2接続ギア91に歯合する状態(図5参照)へ変化するまで、遊転期間を生じる。この遊転期間中は、直前駆動ローラ45には駆動が伝達されないため、直前駆動ローラ45と直前従動ローラ51との間に反転した用紙がニップされたまま固定される。
【0056】
一方、駆動モータが逆転に転じたときから直ちに、第1駆動伝達系を介して送り駆動ローラ15に駆動力が伝達されるため、送り駆動ローラ15は逆回転する。従って遊転期間内には、反転した用紙Pの後方側が固定された状態で先端側が後方へ送り出されるようになるため、用紙には上方への撓みを生じ、用紙Pがスキュ状態で搬送されていたとしても、用紙Pの先端は送り駆動ローラ15と送り従動ローラ17との間で真っ直ぐに整合し、スキュ状態が解消されるようになる。
【0057】
このような一連の動作が完了した頃、駆動モータは再び正回転に転じ、正回転する送り駆動ローラ15による記録ヘッドへの精密な用紙送り動作により、記録ヘッド23による用紙Pの第2面への記録がなされる。その後、記録が完了した用紙は排出ローラ13の作用により排出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した両面記録装置の主要部を示す側断面図。
【図2】 回動部材及び案内カバー部材周辺の作動状態を示す拡大図。
【図3】 排出駆動ローラが正回転しているときの様子を示す輪列の側面図。
【図4】 第3ギア、第14ギア周辺の構造を示す斜視図。
【図5】 排出駆動ローラが反転しているときの様子を示す輪列の側面図。
【図6】 反転する前の用紙の先端が送り駆動ローラに位置するときの側断面図。
【図7】 用紙の先端が最も高い位置まで送られたときの様子を示す側断面図。
【図8】 用紙を反転するために回動部材が回動した様子を示す側断面図。
【図9】 反転した用紙の先端が用紙検知装置に位置するときの側断面図。
【符号の説明】
1 主要部、3 記録部、5 反転部、7 用紙給送経路、
9 送りローラ、11 キャリッジ、13 排出ローラ、
15 送り駆動ローラ、17 送り従動ローラ、19 捻りコイルバネ
21 ローラ付勢部材、23 記録ヘッド、25 プラテン、
27 排出駆動ローラ、29 排出ギザローラ、
31、33、35、37 用紙反転経路上の地点、38 第1経路、
39 反転駆動ローラ、40 第2経路、41 迎え駆動ローラ
43 中間駆動ローラ、45 直前駆動ローラ、46 用紙案内従動ローラ、
47 反転従動ローラ、49 中間従動ローラ、51 直前従動ローラ、
55 矢印、57 回動部材、58 第1用紙受入面、59 迎え従動ローラ、
60 排出案内面、61 案内カバー部材、62 第2用紙受入面、
63 開口部、64 用紙排出ライン 65 用紙検知装置、
67 排出駆動ローラの回転軸、69 第1駆動ギア、70 制御装置、
71 駆動ギア、73 駆動ギアの回転軸、74 反転駆動ローラの回転軸、75 第2ギア、76 回転軸、77 第3ギア、79 第4ギア、
81 太陽ギア、82 第1アーム部、83 回動アーム、
84 第2アーム部、85 第1遊星ギア、87 第2遊星ギア、
89 第1接続ギア、91 第2接続ギア、93 直前駆動ギアの回転軸、
95 第5ギア、97 第6ギア、98 中間駆動ローラの回転軸、
99 第7ギア、101 第8ギア、103 第9ギア、105 第10ギア、
107 第12ギア、109 第13ギア、111 第14ギア、113 矢印、115 用紙の撓み、P 用紙
Claims (2)
- 記録部及び記録部より被記録媒体搬送方向下流側に排出ローラを備え、被記録媒体の第1面に前記記録部にて記録後に被記録媒体を反転して被記録媒体の第2面への記録のために再び被記録媒体を前記記録部に案内する被記録媒体反転経路を含む両面記録装置であって、
前記被記録媒体反転経路は、被記録媒体への記録時における被記録媒体の進行方向を規定する第1経路と、前記第1経路における被記録媒体の後端が先端となるように被記録媒体の進行方向を逆方向に案内する第2経路と、前記被記録媒体を第1経路から第2経路に案内するための経路変更機構とを備え、
前記経路変更機構は、
前記排出ローラによる被記録媒体排出ラインに対して前記第1面側に設けられ、下端部に迎え従動ローラを備え、第1面に記録後の被記録媒体を前記経路変更機構に受入可能な第1位置と、前記被記録媒体排出ラインを前記迎え従動ローラが横切るように回動した後の第2位置との間で回動可能な回動部材と、
前記被記録媒体排出ラインを挟んで前記迎え従動ローラと対向する位置に設けられる迎え駆動ローラと、
前記迎え従動ローラよりも前記被記録媒体排出ラインの下流側に設けられ、正逆両方向に回転可能な反転ローラとを備え、
前記回動部材が、前記迎え従動ローラよりも上流側近傍に第1被記録媒体受入面を有し、該第1被記録媒体受入面が前記被記録媒体排出ラインに対して角度α(0<α<90°)で上流側に向かって開くように傾いて形成されており、
前記経路変更機構は、前記被記録媒体排出ラインに対して前記第1面と反対側に設けられる案内カバー部材を更に備え、前記案内カバー部材は前記被記録媒体が前記反転ローラへ搬送される過程で、被記録媒体が前記迎え駆動ローラに接触することを防止するように構成され、
前記案内カバー部材は、被記録媒体が前記迎え駆動ローラに接触することを防止する第1位置と、被記録媒体を第2経路へ案内する第2位置との間で回動可能であり、前記案内カバー部材は、前記第2位置にあるときにのみ前記迎え駆動ローラの一部が突出する開口部を有し、
前記案内カバー部材の前記迎え従動ローラと対向する面には、被記録媒体を前記迎え駆動ローラ側から支持しつつ前記反転ローラに案内する第2被記録媒体受入面が形成されており、
前記被記録媒体がカールすることなく前記被記録媒体排出ラインに沿って進行するときに、前記被記録媒体は前記第2被記録媒体受入面には案内されるが第1被記録媒体受入面には接触しない位置に、前記第1被記録媒体受入面及び第2被記録媒体受入面が形成されていることを特徴とする両面記録装置における被記録媒体案内装置。 - 請求項1に記載の被記録媒体案内装置を備えることを特徴とする両面記録装置。
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