(実施例)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の画像処理装置を適用可能なMFP(Multi Function Peripheral)のブロック図を図1に示す。本実施の形態で説明するMFPは、FAX、プリンタ、複写機の機能を兼ねており、カラー画像データの処理が行えるものとする。
まず、図1に示すブロック図を用いて、本実施の形態におけるMFPの全体構成を説明する。CPU101はスキャナ部やプリンタ部等の画像入出力装置、画像処理部や通信機能部等といったMFPの機能全体を制御する。さらにCPU101は後述するパケットデータの生成処理も行う。ROM102はMFPの動作プログラム等が格納されている。RAM103はMFPが動作するためのワークエリアとして利用され、後述のタイル化された画像データが格納される。画像処理部104はパケットデータに対して色空間変換、解像度変換、2値化、回転等様々な画像処理を行うための複数のIP(Image Process)機能部を備えている。操作部105はユーザーに対してMFPの状態や設定情報を表示し、ユーザーの操作命令をCPU101に転送する。
スキャナ部106は画像を読み取り画像データを発生する画像読み取り装置である。スキャナ部106は、原稿からの反射光を集光するレンズ、光を入力して電気信号に変換するCCDセンサ、アナログ信号処理部、アナログ・デジタル変換部等(図示せず)を備える。スキャナ部106は、発生した画像データをスキャナI/F(インターフェイス)部107へ出力する。スキャナI/F部107はスキャナ部106から入力された画像データに対して、空間フィルタ処理や入力色空間変換等様々なスキャナ画像処理を行う。また、ページ単位で得た画像データを複数のタイル画像データに分割し、画像処理部104に出力する。
プリンタI/F部108は画像処理部104から出力された画像データに対して、像域(オブジェクト)処理、スムージング等のプリンタ画像処理を行う。また、複数のタイル画像データをページ画像データに合成してプリンタ部109に出力することもできる。プリンタ部109はスキャナI/F部108から出力された画像データに基づいて印刷媒体に画像形成を行う。プリンタ部109は、例えばレーザビームプリンタやLEDプリンタ等のプリンタ装置であり、レーザビームプリンタの場合は、半導体レーザを備えた露光制御部、画像形成部、転写紙の搬送制御部等(図示せず)により構成される。これら、スキャナ部106、スキャナI/F部107、プリンタI/F部108、プリンタ部109への動作指示は、CPU101により画像処理部104を介して行うことができる。
FAX機能部110は操作部105での設定情報に基づき通信回線を介して画像データを送受信し、所定のファックス処理を行う。ネットワーク部111は、LAN等を介してPCや他のMFPといったネットワーク上の様々な機器を接続する。
次に画像処理部104の詳細について、図2に示すブロック図を用いて説明する。クロスバ・スイッチ201は画像処理部104内の各IP機能部やスキャナI/F部107やプリンタI/F部108を相互に接続し、画像データの自由な転送を実現する。IP(画像処理)機能部202〜205は画像データに対してそれぞれ異なる画像処理を行う。本実施の形態における画像処理部は、以下に示す4つのIP機能部を有するものとする。
色空間変換機能部202は、入力された画像データに対し、RGB色空間を第2の色空間であるCMYK色空間に変換するような色変換を行う。解像度変換機能部203は、入力された画像データに対し、解像度変換を行う。本実施の形態において、スキャナ部106で読み取られた画像データの解像度は600×600dpiであるとする。この画像データを目的に応じて例えば100×200dpiといった解像度に変換する。2値化機能部204は、入力された画像データに対し、文字或いは写真といった画像データの種類に応じて、単純2値化や誤差拡散法などから適した方法により2値化を行う。回転機能部205は、入力された画像データに対し、例えば90°、180°、270°といった角度に回転を行う。本実施の形態ではこの4つのIP機能部で説明したが、他のIP機能で構成してもよい。
次に本実施の形態で用いられるパケットデータとその生成法について説明する。図3に本実施の形態におけるパケットデータの形式を示す。パケットデータ300はヘッダー301とタイル画像データ302で構成される。ここで、タイル画像データとは、縦方向と横方向に対して所定の画素の大きさを有する矩形領域からなる画像データのことである。タイル画像データ302は予めRAM103に格納されている。ヘッダー301には、タイル画像データ302に関する画像処理を行う場合のIP機能部の処理順番、及びそれぞれのIP機能部での処理内容等の画像処理情報が記載されている。
次に、パケットデータ300の生成の手順について、例としてスキャナ部106により読み取られたページ単位の画像データをRAM103に格納する場合で、図4に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。
まず、ユーザーが操作部105で画像読み取り処理に関する設定を行う(S401)。設定終了後、ユーザーは読み取り開始命令を出し、これを受けたCPU101は、スキャナ部106に原稿の読み取りを開始させる(S402)。スキャナ部106で生成されたページ単位の画像データはスキャナI/F部107に入力され、スキャナI/F部107は、CPU101の指示に基づきページ画像データをタイル単位で分割しにタイル画像データを生成する(S403)。
ここで、ステップS403の生成処理を詳細に説明する。図5に示すように、ラスター画像データとしてスキャナ部106から入力された1ページの原稿500が、複数の矩形領域(Tile)に分割される。各矩形領域は縦32画素、横32画素の大きさを有しており、各領域毎にタイル画像データが生成される。ここで、A4サイズの原稿をスキャナ部106により600×600dpiの解像度で読み取ったとし、32×32画素のタイルで分割したとすると、A4サイズの原稿から34320個のタイル画像データが生成される。また、タイル画像生成においては、読み取り解像度や画像処理の都合に応じて、CPU101がスキャナI/F部107に対して設定を行うことで、タイル画像を扱い易い形状や画素数にすることができる。
生成されたタイル画像データは、画像処理部104に入力され、クロスバ・スイッチ201を介してRAM103へ転送される。そして、各タイル画像データは、識別情報等といっしょにRAM103上の所定の場所に一時的に格納される(S404)。このとき、タイル画像データの管理テーブルをRAM103内に生成し、格納されているアドレスや識別情報等は一括して管理するようにしてもよい。CPU101は操作部105で設定された画像処理に関する命令、或いはネットワーク111を介して接続された機器で設定された情報に基づいてヘッダーを生成する(S405)。CPU101は、各ヘッダー対応するタイル化された画像データをRAM103から読み出す。そして、読み出したタイル画像データにヘッダーを付加することで、画像処理部104に送出するパケットデータを生成し、処理が終了する(S406)。
以上、スキャナ部106により画像データを入力した場合でパケットデータの生成を説明したが、画像データの入力先はこれに限ったものではなく、ネットワーク部111やFAX機能部110等から画像データを入力してもよい。本実施の形態のMFPにおいて、ネットワーク部111及びFAX機能部110は、外部装置等から転送された画像データを入力し、入力した画像データをRAM103に格納することができる。この画像データをタイル画像データとしてRAM103に格納する場合、CPU101が、入力した画像データに対して分割処理を行ってもよいし、ネットワーク部111及びFAX機能部110が、画像データを入力する際に分割処理を行い生成したタイル画像データをRAM103に転送するようにしてもよい。
また、本実施の形態のMFPは、HDD(ハードディスクドライブ)等記憶装置(図示せず)、及びHDDとMFPのシステムバスを接続しHDDへのアクセスと画像データの転送を制御するディスクコントローラ(図示せず)を備えることもできる。この場合も同様に、CPU101が、ディスクコントローラから転送された画像データに対して分割処理を行ってもよいし、ディスクコントローラにおいて画像データの分割処理を行い生成したタイル画像データをRAM103に転送するようにしてもよい。このように外部装置やHDD等から画像データが入力され一旦RAM103にタイル画像データが格納されている場合、パケットデータを生成処理は、ステップS405以降の処理を行うことになる。
次にIP機能部202〜205の内部構成について説明する。本実施の形態におけるIP機能部は同一の内部構成を持つ。ここで例として回転機能部205の内部構成を図6に示すブロック図を用いて説明する。
入力I/F(インターフェイス)部601はクロスバ・スイッチ201と接続し、入力されたパケットデータをヘッダーとタイル画像データとに分割する。そして、ヘッダーはヘッダー解析部602に送りタイル画像データは回転処理部603に送る。ヘッダー解析部602は入力I/F部601から入力されたヘッダーから画像処理情報を抜き出し解析する。ヘッダー解析部602は、画像処理情報の先頭にある情報を回転処理部603の処理内容と判断し、その画像処理内容を回転処理部603に設定する。後述するように、画像処理内容としてヘッダーに記載されているのは回転処理部603が処理動作可能な動作モードのうち、どの動作モードを実行するかを識別するためのモード番号である。また、回転処理部603においてモード番号は回転角度に対応している。そしてヘッダー解析部602は解析後のヘッダー部をヘッダー生成部604に転送する。
回転処理部603はヘッダー解析部602により設定された画像処理内容に従って、入力I/F部601から受け取った画像データ対して画像処理を行うIP機能である。回転処理部603では、例えば設定された処理内容(モード)により、0°、90°、180°、270°の回転変換を画像データに対して行い、変換後の画像データをデータ選択部605に送る。
ヘッダー生成部604はヘッダー解析部602から入力されたヘッダーから、次の画像処理部に入力されるパケットデータのヘッダーを作り直す。ヘッダー生成部604は生成したヘッダーをデータ選択部605に送る。データ選択部605はヘッダー生成部605からのヘッダーと、画像処理機能603から出力された画像データとを選択的に出力する。データ選択部605から出力される画像データはパケットデータの形となっている。出力I/F部606はクロスバ・スイッチ201と接続し、クロスバ・スイッチ201にパケットデータを出力する。
色空間変換機能部202、解像度変換機能部203、2値化機能部204についての内部構成も、IP機能である回転処理部603が、それぞれ、色空間変換処理部、解像度変換処理部、2値化処理部に置き換わるのみで同様に説明できる。
次に、本実施の形態において、例として図7のフローチャートに示す順番と処理内容(モード)で画像データに対して画像処理を行う場合の画像処理部104の動作を説明する。またこの動作に伴うパケットデータのヘッダーの状態変化を図8、10−12を用いて説明する。
図7に示すように、予めRAM103に格納されている画像データ(S701)を解像度変換機能部203のモード2(S702)→2値化機能部204のモード0(S703)→回転機能部205のモード1(S704)の順に処理して、再びRAM103に書き戻す動作(S705)を行うものとする。
まず、各IP機能部での動作に入る前に、CPU101は予めRAM103に格納されているタイル画像データからパケットデータを生成する。生成されたパケットデータのヘッダー800の詳細を図8に示す。ヘッダー800は、図7に示す画像処理動作のために、どのIP機能部を用いるかを表すIDと、そのIP機能部でどの様な内容の画像処理動作を行うべきかを表す画像処理のモードを一組としたものが、ヘッダーの先頭から順番に記載される。本実施の形態では、IDとモードのみを示しているが、必要に応じてデータ長等他の情報をヘッダーに加えてもよい。
従って、図7に示す動作を行う場合、第1ヘッダー部801には、最初に処理を行うIP機能部である解像度変換機能部203のID(IP203)及び、解像度変換機能部203において行われる画像処理のモード(mode2)を記載する。第2ヘッダー部802には、その次に処理を行う2値化機能部204のID(IP204)及び画像処理のモード(mode0)を記載する。第3ヘッダー部803には、回転機能部205のID(IP205)及びモード(mode1)を記載する。第4ヘッダー部804には、RAM103に書き戻すためRAM103を示すID(RAM103)と動作なしを表す情報(NC)を記載する。
CPU101は、このようにヘッダーに画像処理の順番、及び動作モードが示す画像処理内容等の画像処理情報が記載されたパケットデータを、最初に画像処理するべきIP機能である解像度変換機能部203にクロスバ・スイッチ201を介して転送する。
解像度変換機能部203の内部構成をブロック図9に示す。図6の回転処理部205と比較しても明らかなように、各IP機能部について異なる要素は実際に画像処理を行う解像度変換処理部903のみである。
パケットデータを受け取った解像度変換機能部203は、入力I/F部901でパケットデータをヘッダーとタイル画像データに分割し、ヘッダーをヘッダー解析部902に、タイル画像データを解像度変換処理部903に転送する。ヘッダー解析部902ではヘッダーを解析し、第1ヘッダー部801に記載されている動作モード(mode2)を読み取り、解像度変換処理部903が行うべき動作モードを“2”に設定する。
解像度変換処理部903は、入力I/F部901から受け取ったタイル画像データに対して、動作モード2の画像処理を行う。例えば、入力したタイル画像データの解像度が600×600dpiであり、動作モード番号“2”が100×400dpiへの解像度変換であれば、画像を縮小する変換を行うことになる。
ヘッダー生成部904は、受け取ったヘッダー情報から自らのID及び動作モードを消去して、次に処理すべきIP機能部の情報が記載されていた第2ヘッダー部802がヘッダーの先頭になるようにヘッダー情報内のデータを左にシフトする。新しく生成されたヘッダーを図10に示す。次のIP機能部にある2値化機能部についての情報が第1ヘッダー部1001となり、最後部の第4ヘッダー部1002は情報なしの(NC)を付加している。そして、データ選択部905は、新たに作り直したヘッダーと画像処理後の画像データを選択的に出力することにより、パケットデータを生成し、生成されたパケットデータは、出力I/F906に送られ、2値化機能部204に対して送出される。
ここで、ヘッダー生成部904の内部構成について図11に示すブロック図を用いて詳細に説明する。
図11において、1100は、ヘッダー解析部902よりヘッダー生成部904へ、ヘッダー情報を入力するためのバスである。1101は、入力したヘッダー情報の中の第1ヘッダー部のデータを格納するための第1のメモリである。同様に、1102は第2ヘッダー部のデータを格納するための第2のメモリ、1103は第3ヘッダー部のデータを格納するための第3のメモリ、1104は第4ヘッダー部のデータを格納するための第4のメモリである。
1105は、第2のメモリ1102に格納されたデータを第1のメモリ1101へ転送するためのバスである。同様に、1106は、第3のメモリ1103に格納されたデータを第2のメモリ1102に転送するためのバス、1107は、第4のメモリ1104に格納されたデータを第3のメモリ1103に転送するためのバスである。
1108は、“情報なし”(NC)を表すためのデータを生成するNC生成部である。1109は、第1のメモリ1101、第2のメモリ1102、第3のメモリ1103に格納されたデータ、及びNC生成部1108で生成されたデータから、再びヘッダー情報を生成するためのヘッダー情報再生成部である。
1110、1111、1112、及び1113は、それぞれ、第1のメモリ1101、第2のメモリ1102、第3のメモリ1103、及びNC生成部1108のデータをヘッダー情報再生成部1109へ転送するためのバスである。1114は、ヘッダー情報再生成部1109からデータ選択部905へ、ヘッダー情報を出力するためのバスである。
1115は、ヘッダー生成部904全体を制御する制御部である。制御部1115は、上述した第1〜4のメモリ、NC生成部1108、ヘッダー情報再生成部1109、そして各バスを、図示しない信号線を用いて制御する。
次に、ヘッダー生成部904によるヘッダー生成処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図12のフローチャートに示す生成処理は、制御部1115によって制御されている。
まず、ヘッダー解析部902からバス1100を介して入力したヘッダー情報を、各メモリに格納する。ここで、図8に示すヘッダー情報800が入力されたとすると、第1のメモリ1101には第1ヘッダー部801、第2のメモリ1102には第2ヘッダー部802、第3のメモリ1103には第3ヘッダー部、第4のメモリ1104には第4ヘッダー部804が格納される(ステップS1201)。
次に、各メモリに格納された各ヘッダー部のデータを、1つ前のヘッダー部が格納されたメモリに転送し格納する。つまり、第2のメモリ1102の第2ヘッダー部802が第1のメモリ1101に格納され、第3のメモリ1103の第3ヘッダー部803が第2のメモリ1102に格納され、第4のメモリ1104の第4ヘッダー部804が第3のメモリ1103に格納される(ステップS1202)。
そして、ヘッダー情報再生成部1109は、第1〜第3のメモリから転送されたデータ、及びNC生成部で生成されたNCデータに基づき、再びヘッダー情報を生成する。生成においては、第1のメモリ1101から転送されたデータ、第2のメモリ1102から転送されたデータ、第3のメモリ1103にから転送されたデータの順で、ヘッダーの先頭から構成されるようにする。そして最後尾にNCデータを付加する。これにより、図10に示すヘッダー情報1000が生成される(ステップS1203)。
ヘッダー情報再生成部1109において生成されたヘッダー情報1000をデータ選択部905へ転送することにより、一連のヘッダー生成処理が終了する(ステップS1204)。
以上のヘッダー生成処理におけるステップS1202では、各メモリのデータは、1つ前のヘッダー部が格納されているメモリへと転送されている。このとき、第1のメモリ1101に格納されていた第1ヘッダー部801は、どこにも転送されていない。つまり、第1のメモリ1101に第2ヘッダー部が格納されることにより、第1ヘッダー部801はヘッダー情報から削除される。
また、ステップS1203において、ヘッダー情報再生成部1109は、ヘッダーの先頭から、第1のメモリ1101、第2のメモリ1102、第3のメモリ1103、NC生成部1110の順で構成されるようにヘッダー情報を生成する。また、上述したように、ステップS1202において、第1ヘッダー部の削除をともなうメモリ間での各ヘッダー部のデータの移動を行っている。したがって、ヘッダー情報再生成部1109では、ヘッダー情報800と比較すると、各ヘッダー部が先頭方向にシフトされたヘッダー情報1000の形で、再び、ヘッダー情報が生成されている。
このヘッダー生成部の構成は解像度変換機能部203のみが持つものではなく、IP機能部202〜205が共通に有するものである。
解像度変換機能部203から出力されたパケットデータは、以後、上述した動作を各IP機能部で繰り返す。2値化機能部204は動作モード0の画像処理を行い、出力データのヘッダーは図13に示す状態となる。さらに、回転機能部205は動作モード1の画像処理を行い、ヘッダー情報部は図14の状態になる。そして、最後に回転機能部205から出力されるパケットデータにおいて、第1ヘッダー部1201はIDがRAM103となっているので、RAM103に書き戻されて一連の作業が終了となる。
本実施の形態において、パケットデータのヘッダーはIP機能部での画像処理を行った後、第1ヘッダー部が消去され順次前にヘッダー部がそれぞれ1つ前のヘッダー部にシフトしていく。この様にシフトさせることで、ヘッダー解析部ではパケットデータの先頭情報だけを解析すればよい。従って、タイル画像データに対して画像処理を行う回転処理部603や解像度変換処理部903といった構成要素以外の部分についてIP機能部の共通設計が可能となる。
次に、ユーザーがMFPの有する1つの装置機能を用いる操作命令を出し、操作命令に応じてその装置機能関する画像処理を画像データに対して行った場合のMFPの動作について説明する。ここでは、RAM103に格納された原稿画像をFAX送信する時の動作を例に、図15に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ユーザーがMFPの操作部105でFAX送信の設定を行う(S1501)。操作部に備えられた図示しないタッチパネル上には、RAM103内に格納されている原稿の識別情報が表示されている。ユーザーは、表示された識別情報から送信する原稿を選択することができる。また、原稿画像はタイル化された状態で予めRAM103に格納されているものとする。
送信する原稿を選択した後、原稿を送信する際の「解像度」、「原稿の種類」を選択する。本実施の形態におけるFAX機能の設定項目を図16に示す。「解像度」設定項目については、「標準」、「ファイン」、「スーパーファイン」の3つの選択モードであり、それぞれの具体的な解像度は100×100dpi、100×200dpi、100×400dpiである。また「原稿の種類」設定項目については、「文字」、「写真」の2つであり、具体的な処理は、「文字」では単純2値化、「写真」では誤差拡散処理をそれぞれ行う。図16に示すテーブルは、予めROM102に記憶されている。
ここで、「解像度」について「ファイン」を選択し、「原稿の種類」については「文字」を選択する。FAX送信に係る全ての設定を終了したあと、ユーザーは図示しないスタートボタンを押下することにより送信命令を出す(S1502)。
CPU101は、操作部105における設定及び送信命令を受けて、ROM102に予め記憶されている図16に示したテーブルから対応する設定値を読み出す。そして、CPU101は、画像処理に用いるIP機能部の識別情報と画像処理モードとを画像処理を行う順番に記載したヘッダーを生成する。さらに送信原稿に対応するタイル画像データをRAM103から読み出し、読み出したタイル画像データに、生成したヘッダー付加することによりパケットデータを生成する(S1503)。
生成されたパケットデータの形状を図17に示す。図16に示すように「解像度」に関する「ファインモード」は、解像度変換機能部203におけるmode1の処理に対応し、「原稿の種類」に関する「文字」は、2値化機能部204におけるmode0の処理に対応する。また、FAX送信を行う場合、画像処理を行った後、一旦、RAM103に格納されることになるので、処理順序は解像度変換機能部203→2値化機能部204→RAM103となる。生成されたパケットデータはクロスバ・スイッチ201に入力され、クロスバ・スイッチはパケットデータを最初のIP機能部である解像度変換機能部203に転送する。
解像度変換処理部203は転送されたパケットデータを入力し、入力I/F部901がパケットデータをヘッダーとタイル画像データに分割し、ヘッダーをヘッダー解析部902へ、タイル画像データを解像度変換処理部903へそれぞれ転送する。ヘッダー解析部902は、ヘッダーの先頭にある図17の第1ヘッダー部を解析し、mode1の処理を行うように、解像度変換処理部903に指示を出す。解像度変換処理部903は、入力したタイル画像データに対して「ファインモード」(100×200dpi)に対応するmode1で解像度変換を行う(S1504)。変換処理されたタイル画像データは、データ選択部905により書き換えられたヘッダーとともに図18に示すパケットデータが生成され、出力I/F部906により次のIP機能部である2値化機能部204に送信される。
同様に、2値化機能部204では、図18に示すヘッダーの先頭にある第1ヘッダー部の情報に基づき、「文字」(単純2値化)に対応したmode0の処理が行われ、図19に示す新しいパケットデータが生成される(S1505)。
生成されたパケットデータはクロスバ・スイッチ201を介して、画像処理部104から出力され、タイル画像データとしてRAM103に一時的に格納される(S1506)。
一旦RAM103に格納されたタイル画像データはFAX送信可能な原稿の形態でFAX部110に転送される。FAX部110では、転送された画像データに対してMMR等の符号化を行い、モデムで変調された後通信回線を介して相手先に送信し、一連の処理が終了する(S1307)。
本実施の形態ではFAX送信での動作のみで説明したが、例えば電子ソート、PDLプリント、カラー複写等の動作を行った場合でも、パケットデータによる画像処理は同様の構成と手順で説明できる。
次に、本実施の形態における平行複合動作の例として、FAX送信と電子ソート機能を用いた複写動作を平行して行う場合を説明する。
ここで、電子ソート機能について簡単に説明する。原稿を複数部数複写する場合、MFPのプリンタ部は、自身が備える複数のビンへ1部ずつ割り振って排紙することにより原稿の混在を防ぐことが従来から行われている。これに対し、近年、1つのビンに対して1部毎に出力用紙の排紙方向を変えて出力するようにするデジタル複写機が提案されている。このデジタル複写機は、装置内部において、入力した画像データに対して回転処理を行うことにより画像の方向を変更し、プリンタ部では、画像の方向が変更された画像データに基づき画像形成を行うことで、出力用紙の排紙方向を変えている。本実施の形態におけるMFPは、画像処理部104に回転機能部205を備えている。したがって、本実施の形態のMFPは、CPU101がスキャナ部106及びプリンタ部109の動作を制御する一方で、回転機能部205を用いた画像処理を行うことにより、この電子ソート機能を実行ことが可能である。
本実施の形態のMFPにより、電子ソートを行った場合の画像データの流れを説明する。まず、スキャナ部106による原稿の読み取りは、図4のフローチャートにおけるステップS402からステップS404の動作と同様に行われ、タイル画像データは、一旦RAM103に格納される。ここで、原稿のページ数が多く、全てのタイル画像データをRAM103に格納することが困難な場合は、必要に応じて図示しないHDDに格納するようにしてもよい。
CPU101は、RAM103に一旦格納されたタイル画像データに、90°回転の処理情報及び再度RAM103へ戻ってくるように処理順序情報を記載したヘッダーを付加してパケットデータを生成する。そして、生成したパケットデータは画像処理部104へ転送され、回転機能部205においてで90°回転されたパケットデータは、再びRAM103にタイル画像データとして格納される。
CPU101は、RAM103に格納されたタイル画像データをプリンタI/F部108に転送し、プリンタI/F部108は、タイル画像データをページ単位の画像データに再構成する。生成したページ単位の画像データはプリンタ部109に送られ、プリンタ部109は、転送された画像データに基づき出力用紙に画像形成を行い、画像形成された出力用紙は排紙トレイに出力される。以上の処理を指定された部数の画像出力が終了するまで繰り返すことになるが、その際に、部数単位で回転角度を変更することにより電子ソートが実現される。
以上、本実施の形態によるMFPの電子ソートを行う場合の動作を説明した。この電子ソート機能を用いた複写動作を行っている一方で、操作者が、前述の図15に示したFAX動作を指示したとする。すると、CPU101は指示に応じてFAX動作を開始し、MFPは、FAX動作と電子ソート機能を用いた複写動作を同時に行う平行複合動作の状態になる。このとき、画像処理部104においては、FAX動作のために解像度変換機能部203、2値化機能部204が用いられ、複写動作(電子ソート)のために回転機能部205が用いられている状態になっている。したがって、画像処理部104には、FAX動作において処理を行う画像データと、複写動作において処理を行う画像データとが混在している。
しかし、これまで説明してきたように、多数の画像処理を同時に行う場合でも、CPU101はパケットデータを生成し最初のIP機能部にパケットデータを転送するのみの処理を行えばよく、各IP機能に関しての状態管理や画像データに関するタイミング制御などを行う必要がない。したがって、CPU101に大きな負荷を与えることなく同時並行動作を行うことができる。
さらに、タイル単位での処理を行うことにより、各動作のための画像処理部やメモリをページ単位で確保する必要がなくなり、効率的な画像処理を行うことができる。
ここで、FAX機能と電子ソート機能についての複合同時動作について説明したが、複合動作としては、例えばFAX動作とPDLプリントや、電子ソートとPDLプリントといったものでも同様に説明できる。
また、平行複合動作としては2つに限るものではなく、例えば、FAX動作と電子ソートとPDLプリントといった3機能の平行複合動作でもよい。
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、画像処理順序情報や処理内容情報等を記載したヘッダーをタイル画像データに付加してパケットデータを生成し、生成したパケットデータを各IP機能部の間で転送するようにした。さらに、各IP機能部内においては、パケットデータを入力し、ヘッダーに記載された処理内容情報に基づきタイル画像データの画像処理を行い、処理後のタイル画像データに、画像処理順序情報や処理内容情報を書き換えたヘッダーを付加したパケットデータを生成し出力するようにした。
これにより、CPUが行う一連の画像処理動作における各IP機能部の管理を容易にし、システム全体の制御における画像処理部の管理の負荷を軽減することができるという効果が得られる。
また、本実施の形態によれば、電子ソート機能を用いた複写動作とFAX送信動作を平行して実行する際に、複写動作のためのタイル画像データを用いて複写動作に対応したパケットデータを生成し、FAX動作のためのタイル画像データを用いてFAX動作に対応したパケットデータを生成し、複写動作のためのパケットデータと、FAX送信動作のためのパケットデータとを画像処理部に混在させるようにした。そして、画像処理部において、あるIP機能部では複写動作のためのパケットデータの処理を行い、その一方で、他のIP機能部においてはFAX動作のためのパケットデータの処理を行うようにした。
これにより、平行複合動作を行う状態にあっても、CPUはそれぞれの動作に対応したパケットデータを生成しさえすればよく、CPUに大きな負荷を与えることなく効率的に画像処理を行うことができるという効果が得られる。また、タイル画像データ単位での処理が可能となるので、メモリや画像処理部をページ単位で確保しておく必要がなくなり、効率的な画像処理を行うことができるという効果が得られる。
さらに、本実施の形態でのパケットデータのヘッダーにおける画像処理情報は画像処理を行う順番に従ってヘッダーの先頭から順に記載されている。そして、IP機能部では画像処理を行った後、第1ヘッダー部が消去され順次前にヘッダー部がそれぞれ1つ前のヘッダー部にシフトさせることにより、各IP部におけるヘッダー解析部ではパケットデータの先頭情報だけを解析すればよくなり、各IP機能部での構成の共通設計が可能になるという効果が得られる。
以上説明してきたように、画像データの個数やその管理情報等が大きい状態においても、CPUに大きな負荷を与えることなく画像処理の管理を容易に行うことができるという効果がある。
また、複数の装置機能動作を実行している状態においても、CPUに大きな負荷を与えることなく複数の装置機能動作に関する画像処理を平行して行うことができるという効果がある。
また、画像処理にパケットデータを用いる場合において、入力したデータの先頭情報を解析するだけで要求された処理を特定できるので、入出力インターフェイス部分を他の画像処理装置と共通にすることができるという効果がある。