JP4095015B2 - 成形用金型 - Google Patents

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本発明は成形用金型に関し、とくに、樹脂含有材料(たとえば、黒鉛高配合樹脂材料などの難流動性材料)を射出あるいは射出プレスにて成形する成形用金型に関する。
特開平4−249124号公報は、樹脂成形用金型を開示しており、溶融樹脂をランナーを経由してキャビティに供給し成形する成形用金型を開示している。
黒鉛を高配合させた熱可塑性樹脂材料を射出あるいは射出プレスして燃料電池カーボンセパレータを製作する場合、黒鉛高配合溶融樹脂は非常に粘度が高く、固化速度が非常に速いため、射出または射出プレスの成形用金型のゲート形状としては圧損が少ない大径のダイレクトゲートが最適である。ここで、「ダイレクトゲート」とは、スプル(下流に向かって拡がる円錐形の流路部分)のみでランナーがないゲート、すなわち、スプルが、直接、金型キャビティに開口しているゲートをいう。また、「射出」とは、金型が完全に閉じた状態で材料を射出する場合をいい、「射出プレス」とは、金型を途中まで閉じた状態で材料を射出し、ついで金型を閉位置まで移動して材料をプレスする場合をいう。
しかし、黒鉛高配合溶融樹脂は固化速度が非常に速いため、ダイレクトゲートの直下部では樹脂含有材料の未流動部分が生じて(図13の工程(ニ))熱を金型に奪われて充填初期に固化してしまい、充填完了後には未流動部分と流動部分との間の境目ができ、製品離型時、固化形状部分が金型にはりついてしまう。そのため、毎回この固化した形状部分を金型から取る工程、作業が必要となる。これはダイレクトゲートの径が大きくなればなるほど顕著である。
特開平4−249124号公報
本発明が解決しようとする問題点は、黒鉛含有樹脂など、高い熱伝導率を有する樹脂含有材料を射出あるいは射出プレスにて成形する成形用金型における、ダイレクトゲートの直下部での、樹脂含有材料の未流動部分の固化、金型へのはりつきの問題である。
本発明の目的は、黒鉛含有樹脂など、高い熱伝導率を有する樹脂含有材料の未流動部分の、ダイレクトゲートの直下部での、固化、金型へのはりつきを抑制できる成形用金型を提供することにある。
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) ダイレクトゲートを備えた、樹脂含有材料を成形する成形用金型であって、前記ダイレクトゲートの直下部が平面である金型に、該ダイレクトゲートに向かって突出する金型に対して固定された突形状部を設け、ダイレクトゲート内の流路断面の一部を前記突形状部で塞ぐ成形用金型。
) 前記突形状部は錐体形状を有する(1)記載の成形用金型。
) 前記突形状部は先端に平面部を有する(1)記載の成形用金型。
) 前記成形用金型が燃料電池のカーボンセパレータの成形用金型である(1)〜()の何れかに記載の成形用金型。
上記(1)の成形用金型によれば、ダイレクトゲートの直下部に、ダイレクトゲート直下部の樹脂含有材料の流路断面積をダイレクトゲート直下部が平面である場合に比べて小さくする突形状部を設けたので、樹脂含有材料射出時に、突形状部によって流路断面積が小さくなった部分で、樹脂含有材料の流れが速くなり、ダイレクトゲート直下部近傍に未流動部分ができにくく、樹脂含有材料の固化、金型へのはりつきが抑制される。
上記()の成形用金型によれば、ダイレクトゲート直下部に、ダイレクトゲートに向かって突出する突形状部を設けたので、突形状部が無い場合には未流動部分が生じていた部位が突形状部で占められ、ダイレクトゲート直下部近傍に未流動部分ができにくく、樹脂含有材料の固化、金型へのはりつきが防止される。
上記()の成形用金型によれば、突形状部が錐体形状を有するので、樹脂含有材料のキャビティへの流入が円滑となり、突形状部が無しの場合や、先端が平面の突形状部の場合に比べて、樹脂含有材料のキャビティへの充填時間が短くなる。
上記()の成形用金型(突形状部が先端に平面部を有する場合)によれば、樹脂含有材料のキャビティへの流入抵抗と、樹脂含有材料のキャビティへの充填時間が、突形状部が無しの場合とほとんど同じであり、突形状部が先端に平面部を有していても、充填時間増加はほとんど無視できる。
上記()の成形用金型によれば、本発明の成形用金型を燃料電池のカーボンセパレータの成形用金型として用いることにより、ダイレクトゲート直下部に未流動部分の固化、金型へのはりつき残存物を形成することなく、短時間(たとえば、0.30〜0.34秒)でキャビティに黒鉛高配合溶融樹脂を射出、充填して、厚さが薄い(2〜3mm程度)、複雑なガス流路を有するカーボンセパレータを製作することができる。
以下に、本発明の成形用金型を図1〜図13を参照して説明する。ただし、図1〜図4は本発明の何れの実施例にも適用可能な基本例を示し、図5〜図7は本発明の実施例1を示し、図8は本発明の実施例2を示し、図9〜図11は本発明の実施例3を示し、図12は本発明の実施例4を示す。図13は従来のダイレクトゲートを有する成形用金型において、ダイレクトゲート直下部に射出材料の未流動部ができる理由を説明する図である。
まず、基本例を説明する。図1〜図4に示すように、本発明の成形用金型10は、ダイレクトゲート14を備えた、樹脂含有材料成形用の成形用金型である。成形用金型10は、射出、または射出プレスの、成形用金型10である。成形用金型10は、固定型11と可動型12を有し、型閉状態で固定型11と可動型12とで囲まれた空間として製品成形用キャビティ13が形成される。ダイレクトゲート14は、通常、固定型11側に設けられる。成形用金型10のダイレクトゲート直下部15に、ダイレクトゲート直下部が平面である場合(突形状部16を設けていない場合)に比べてダイレクトゲート直下部15からダイレクトゲート14内部分にかけての樹脂含有材料の流路の断面積を小さくする突形状部16が設けられている。
成形用金型10は、ダイレクトゲート14を備えた、樹脂含有材料成形用の成形用金型であって、金型10のダイレクトゲート直下部15に、ダイレクトゲート14に向かって突出する突形状部16が設けられている。
突形状部16は、突形状部16を設けなければ生じるであろう射出材料の未流動部17(図13の工程(ニ)に示す)の空間を埋めるように、金型10のダイレクトゲート直下部15に形成されることが望ましい。
突形状部16は、図3に示すように、先端が尖った錐体形状(円錐でも角錐でもよい)を有していてもよいし、あるいは断面先端が弧状となっていてもよい。また、突形状部16は、図2に示すように、先端にダイレクトゲート14の中心線に直交する平面部18を有していてもよい。また、突形状部16は、突形状の側面の根本部にR状のフィレット19を有していてもよい。
また、突形状部16は、図3に示すように、先端がダイレクトゲート14内に進入していてもよいし、あるいは図2に示すように、先端がダイレクトゲート14に丁度進入する位置あるいはその手前で止まっていてもよい。
成形用金型10は、燃料電池のカーボンセパレータの成形用金型であってもよい。燃料電池のカーボンセパレータでは、複数枚(たとえば、2枚)のカーボンセパレータ20を同時に成形する場合には、図4に示すように、複数枚のカーボンセパレータ20の間の部分にダイレクトゲート14を設けた金型10を用いる。
カーボンセパレータの場合は、樹脂含有材料21は黒鉛高配合樹脂で、たとえば、人造黒鉛が70%以上、残りが樹脂(液晶ポリマー)の、したがって樹脂だけの場合に比べて高い熱伝導率を有する材料を用いる。材料は加熱して樹脂が溶融している状態で、ダイレクトゲート14を通してキャビティ13内に注入する。
カーボンセパレータ20は、一面に燃料ガス(水素)または酸化剤ガス(エア)の反応ガス流路が形成され、反対側の面に冷媒流路が形成され、薄い(厚さ1〜3mm程度、ただし1mmは1mm以外の値であってもよい)、高流れ抵抗の板に成形される。
基本例の作用については、本発明の成形用金型10を用いて、射出成形または射出プレス成形が行われる。
まず、射出の場合は、型閉じし、射出プレス成形の場合は途中位置まで型閉じし、ダイレクトゲート14を通して樹脂含有材料21をキャビティ13に充填する。射出プレスの場合は、充填完了前後可動型を移動させて樹脂含有材料21をプレスする。樹脂含有材料21が硬化後、型を開いて製品(カーボンセパレータ)20を型から取り出す。
従来のように、突形状部16が無い場合は、黒鉛高配合樹脂含有材料21は、図13の工程(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の順で、キャビティ13へと流れるが、図13の工程(ニ)に示すように未流動部17が充填中に固化し、充填後に、固化した部分を毎回取り除かなければならなくなる。未流動部17が充填中に固化するのは、黒鉛高配合樹脂含有材料21の熱伝導率が高く、未流動部17の熱が金型10に熱伝導するからである。樹脂のみの場合は未流動部17の樹脂充填中の固化は起こりにくい。黒鉛の熱伝導率は100kcal/m/hr/℃で、樹脂の熱伝導率は0.2〜0.5kcal/m/hr/℃であり、黒鉛を高配合することにより、樹脂含有材料21の熱伝導率が樹脂のみの場合に比べて飛躍的に高くなる。
基本例の効果はつぎの通りである。
まず、成形用金型10のダイレクトゲート直下部15に、ダイレクトゲート直下部の樹脂含有材料の流路断面積をダイレクトゲート直下部が平面である場合に比べて小さくする突形状部16を設けたので、樹脂含有材料射出時に、突形状部16によって流路断面積が小さくなった部分で、樹脂含有材料21の流れが速くなり、ダイレクトゲート直下部15近傍に未流動部17ができにくく、樹脂含有材料の固化、金型10へのはりつきが抑制される。
また、成形用金型10のダイレクトゲート直下部15に、ダイレクトゲート14に向って突出する突形状部16を設けたので、樹脂の通路の、突形状部16が無い場合には未流動部17が生じていた部位が、突形状部16で占められ、ダイレクトゲート直下部15近傍に未流動部17ができにくく、樹脂含有材料21の固化、金型10へのはりつきが防止される。
その結果、毎回固化部を金型10から除去する作業、手間がなくなる。
つぎに、本発明の各実施例を説明する。実施例1〜4において、突形状部16の形状を種々に変化させて試験を行い、製品離型後の型内の残存物(未流動部の固化したもの)の有無、充填時間の変化を調べた。実施例1が先端に平面部18がある突形状部16の場合であり、実施例2が実施例1の変形例であり、実施例3が先端が尖った円錐状の突形状部16の場合であり、実施例4が実施例3の変形例である。
〔実施例1〕
図5〜図7に示すように、材料として、人造黒鉛75%の可塑性樹脂と液晶ポリマー25%を混合し二軸押出機にて混練した樹脂含有材料21を使用し、板厚2mmの燃料電池用セパレータ20を製造した。射出機には、宇部興産機械製350t横型電動射出成形機を使用した。金型10の可動型12に、固定型のダイレクトゲート直下部15に突形状部16を形成して、射出プレス成形を行った。キャビティ厚さがaの場合、突形状部16の形状を、図7に示すように、円柱状で、高さが2a、直径が3a、先端に平面部18を有する形状とし、ダイレクトゲートスプルの最大径部の径を10aとした。
試験結果は、充填時間が0.34秒で、製品離型後、型内に残存物(未流動部の固化したもの)は無かった。ただし、突形状部16無しの場合は、充填時間が0.33秒で、製品離型後、型内に残存物が存在した。
この結果から、ダイレクトゲート直下部15に円柱状突形状部16を設けることが、型内に残存物(未流動部の固化したもの)を形成させない方法、手段として有効であり、先端に平面部18がある突形状部16であっても、突形状部16無しの場合に比べて、充填時間がほとんど増加しないことがわかった。
〔実施例2〕
図8に示すように、材料として、人造黒鉛75%の可塑性樹脂と液晶ポリマー25%を混合し二軸押出機にて混練した樹脂含有材料21を使用し、板厚2mmの燃料電池用セパレータ20を製造した。射出機には、宇部興産機械製350t横型電動射出成形機を使用した。金型10の可動型12に、固定型のダイレクトゲート直下部15に突形状部16を形成して、射出プレス成形を行った。キャビティ厚さがaの場合、突形状部16の形状を、図8に示すように、円柱状で、高さが2a、直径が3a、先端に平面部18を有し、円柱の根本に半径1.5aの弧状のフィレットを設けた形状とし、ダイレクトゲートスプルの最大径部の径を10aとした。
試験結果は、充填時間が0.33秒で、製品離型後、型内に残存物(未流動部の固化したもの)は無かった。ただし、突形状部16無しの場合は、充填時間が0.33秒で、製品離型後、型内に残存物が存在した。
この結果から、ダイレクトゲート直下部15に根本にフィレットを有する円柱状突形状部16を設けることが、型内に残存物(未流動部の固化したもの)を形成させない方法、手段として有効であり、先端に平面部18がある突形状部16であっても、根本にフィレットを設けることで、突形状部16無しの場合に比べて、充填時間が増加しないことがわかった。
〔実施例3〕
図9〜図11に示すように、材料として、人造黒鉛75%の可塑性樹脂と液晶ポリマー25%を混合し二軸押出機にて混練した樹脂含有材料21を使用し、板厚2mmの燃料電池用セパレータ20を製造した。射出機には、宇部興産機械製350t横型電動射出成形機を使用した。金型10の可動型12に、固定型のダイレクトゲート直下部15に突形状部16を形成して、射出プレス成形を行った。キャビティ厚さがaの場合、突形状部16の形状を、図11に示すように、高さが1.5a、直径が6.5aの円錐形状とし、ダイレクトゲートスプルの最大径部の径を10aとした。
試験結果は、充填時間が0.30秒で、製品離型後、型内に残存物(未流動部の固化したもの)は無かった。ただし、突形状部16無しの場合は、充填時間が0.33秒で、製品離型後、型内に残存物が存在した。
この結果から、ダイレクトゲート直下部15に突形状部16を設けることが、型内に残存物(未流動部の固化したもの)を形成させない方法、手段として有効であり、先端が尖った錐体形状の突形状部16とすることにより、突形状部16無しの場合に比べて、充填時間を短縮させることができることがわかった。
〔実施例4〕
図12に示すように、材料として、人造黒鉛75%の可塑性樹脂と液晶ポリマー25%を混合し二軸押出機にて混練した樹脂含有材料21を使用し、板厚2mmの燃料電池用セパレータ20を製造した。射出機には、宇部興産機械製350t横型電動射出成形機を使用した。金型10の可動型12に、固定型のダイレクトゲート直下部15に突形状部16を形成して、射出プレス成形を行った。キャビティ厚さがaの場合、突形状部16の形状を、図12に示すように、高さが1.5a、断面の半径が4.25aの、円形状とし、ダイレクトゲートスプルの最大径部の径を10aとした。
試験結果は、充填時間が0.30秒で、製品離型後、型内に残存物(未流動部の固化したもの)は無かった。ただし、突形状部16無しの場合は、充填時間が0.33秒で、製品離型後、型内に残存物が存在した。
この結果から、ダイレクトゲート直下部15に突形状部16を設けることが、型内に残存物(未流動部の固化したもの)を形成させない方法、手段として有効であり、断面が円形状の突形状部16とすることにより、突形状部16無しの場合に比べて、充填時間を短縮させることができることがわかった。
本発明の成形用金型のダイレクトゲートとその近傍の材料注入流路の断面図である。 ダイレクトゲート直下部に、先端に平面部をもつ円柱状の突形状部を設けた場合の、図1の一部分の拡大図である。 ダイレクトゲート直下部に、円錐状の突形状部を設けた場合の、図1の一部分の拡大図である。 本発明の成形用金型が燃料電池セパレータ成形用金型である場合の金型の平面図である。 本発明の実施例1の燃料電池セパレータ成形用金型の可動型の断面図である。 図5の金型の平面図である。 図5の金型のダイレクトゲート直下部近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例2の燃料電池セパレータ成形用金型のダイレクトゲート直下部近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例3の燃料電池セパレータ成形用金型の可動型の断面図である。 図9の金型の平面図である。 図9の金型のダイレクトゲート直下部近傍の拡大断面図である。 本発明の実施例4の燃料電池セパレータ成形用金型のダイレクトゲート直下部近傍の拡大断面図である。 ダイレクトゲートを通してキャビティに黒鉛高配合樹脂材料を射出充填する場合のダイレクトゲートの樹脂の流れ状態を工程順(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)で示した断面図である。
符号の説明
10 成形用金型
11 固定型
12 可動型
13 キャビティ
14 ダイレクトゲート
15 (金型の)ダイレクトゲート直下部
16 突形状部
17 未流動部
18 平面部
19 フィレット
20 燃料電池用カーボンセパレータ
21 樹脂含有材料

Claims (4)

  1. ダイレクトゲートを備えた、樹脂含有材料を成形する成形用金型であって、前記ダイレクトゲートの直下部が平面である金型に、該ダイレクトゲートに向かって突出する金型に対して固定された突形状部を設け、ダイレクトゲート内の流路断面の一部を前記突形状部で塞ぐ成形用金型。
  2. 前記突形状部は錐体形状を有する請求項1記載の成形用金型。
  3. 前記突形状部は先端に平面部を有する請求項1記載の成形用金型。
  4. 前記成形用金型が燃料電池のカーボンセパレータの成形用金型である請求項1〜の何れか一項記載の成形用金型。
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