JP4094929B2 - プレス機の駆動部位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス機の駆動部位置検出装置に係り、特に、上記プレス機のラムの移動量を検出自在なリニアエンコーダを備えた支持部材に、この支持部材の振動を抑制する振動抑制手段を設けてなる駆動部位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、プレス機PR3に設けられた従来のプレス機の駆動部位置検出装置100の概略構成を示す側面図である。図5は、図4におけるV矢視を示す図である。
【0003】
なお、図4および図5に示すZ方向は、たとえば、鉛直方向であり、X方向は上記Z方向に垂直な水平方向であって、たとえば、オペレータの左右方向に相当する方向であり、Y方向は、上記Z方向および上記X方向に垂直な方向であって、たとえば、オペレータの前後方向に相当する方向である。
【0004】
プレス機(たとえば、プレスブレーキ)PR3は、「コ」字状に形成されたフレーム3と、このフレーム3の一端部側3Aで、上記フレーム3に一体的に固定されたテーブル5と、上記フレーム3の他端部側3Bで、上記フレーム3に対して直線的に移動自在に設けられたラム7とを備える。
【0005】
上記ラム7は、図示しないアクチュエータによって、上記テーブル5に対して、接近しまたは離反する方向(矢印AR41の方向;Z方向)に移動自在である。また、上記テーブル5にはダイ5Aが一体的に設けられ、上記ラム7にはパンチ7Aが一体的に設けられている。
【0006】
図4に示すように、上記ラム7が上記テーブル5から離反した状態で、ダイ5Aとパンチ7Aとの間に、たとえば板状材のワークを挿入し、続いて、ラム7をテーブル5に接近させて、ダイ5Aとパンチ7Aとで上記ワークを挟み上記ワークを押圧し、上記ワークにたとえば折り曲げ加工を施す。また、折り曲げ加工等されたワークの形状を矯正する。
【0007】
ここで、上記折り曲げ加工等を正確に行うために、テーブル5とラム7との間の相対的な位置関係、すなわち、ダイ5Aとパンチ7Aとの間の距離を正確に検出(測定)しなければならない場合がある。
【0008】
ところで、ダイ5Aとパンチ7Aの間に挿入された上記ワークを折り曲げているときに、パンチ7Aやダイ5Aが上記ワークから受ける反力によって、上記フレーム3の一端部側3Aと他端部側3Bとの間の距離が増加するように、フレーム3が弾性変形する。すなわち、「コ」字状のフレーム3の口部が開いた状態になる場合がある。
【0009】
したがって、たとえば、フレーム3の他端部側3Bにリニアエンコーダ9のエンコーダ本体9Aを固定し、ラム7にリニアエンコーダ9のヘッド9Bを固定して、上記テーブル5と上記ラム7との間の相対的な位置関係を正確に検出しようと試みても、上記反力による上記フレーム3の弾性変形によって、上記フレーム3の一端部側3Aと他端部側3Bとの間の距離が変化するので、上記他端部側3Bに対する上記ラム7の相対的な位置関係は正確に検出できるが、テーブル5に対するラム7の相対的な位置関係を正確に検出することは困難である。
【0010】
ここで、リニアエンコーダ9は、エンコーダ本体9Aと、このエンコーダ本体9Aに係合し上記本体9Aの長手方向に対して直線的に移動自在なヘッド9Bとを備え、上記エンコーダ本体9Aと上記ヘッド9Bとの間の上記長手方向における相対的な位置関係を検出可能なものである。
【0011】
なお、リニアエンコーダ9は、上記検出した値に応じた信号を出力し、この出力された信号は、たとえば、プレス機PR3に設けられた、LCD(Liquid Crystal Display)で構成された表示装置等によって、距離を表す数値としてオペレータに示され、また、ラム7を駆動する上記アクチュエータの駆動装置にフィードバックされ、ラム7をクローズドループで位置決め制御するために使用される。
【0012】
上記ワークを折り曲げているときの上記反力によって、上記フレーム3が変形しても、テーブル5とラム7との間の距離を正確に測定できるようにするために、プレス機PR3では、上記テーブル5と上記ラム7との間の相対的な位置関係を検出自在なプレス機の駆動部位置検出装置100を備えている。
【0013】
ここで、プレス機PR3の駆動部位置検出装置100は、リニアエンコーダ9と支持部材11とを備え、上記支持部材11は、「コ」字状に形成された板状の支持部材であって、上記支持部材11の一端部側11Aは、上記テーブル5側に取り付けられている。
【0014】
すなわち、上記支持部材11は、上記一端部側11Aにおいて、テーブル5と上記支持部材11との間に設けられている軸受け部材5Bを介して、上記テーブル5と係合し、ラム7の上記移動方向(矢印AR41の方向)にほぼ垂直な軸(たとえば図5に示すX方向に延伸した軸)AX41を回転中心にして、フレーム3やテーブル5に対して、矢印AR42の方向に僅かに回動自在になっている。
【0015】
また、上記支持部材11は、フレーム3の一側面3C(ラム7の移動方向に平行な平面状の側面;たとえば、Y方向およびZ方向に延伸した平面状の側面)から僅かに離反した位置で、剛性の低い連結部材を介して、すなわち、上記一側面3Cとは直角の方向(図5のX方向)に長く延びた適数の細い連結部材13を介して、上記フレーム3に取り付けられている。
【0016】
また、図4のZ方向およびY方向に延伸している上記支持部材11の平面状部、すなわち上記支持部材11が備える、上記一側面3C側の平面状部11A、および上記平面状部11Aとは反対側に位置する平面状部11Bは、フレーム3の上記一側面3Cとほぼ平行に設けられている。さらに、上記支持部材11の剛性を高めるために、折り曲げ加工等によって上記支持部材11にリブ11Eが形成されている場合もある。
【0017】
なお、連結部材13は、図5に示すように、たとえば、全長にわたって雄ネジが形成されているスタッドボルトであり、上記連結部材13の基端部は、上記フレーム3の一側面3Cにあけられている雌ネジ孔に螺合し、さらに上記連結部材13に螺合したロックナット13Aによって、上記フレーム3に一体的に固定され、上記連結部材13の先端部側は、上記支持部材11にあけられている貫通孔を通過し、また、上記連結部材13に螺合している各ロックナット13B、13Cとが、上記支持部材11を挟み込むことにより、上記連結部材13の先端部側は、上記支持部材11に一体的に固定されている。
【0018】
リニアエンコーダ9は、上述のようにエンコーダ本体9Aと、ヘッド9Bとを備え、エンコーダ本体9Aは、この長手方向がラム7の移動方向とほぼ一致するように、支持部材11の他端部側11Bで、支持部材11に固定されて備えられ、上記エンコーダ本体9Aに係合している上記ヘッド9Bは、ラム7に一体的に設けられている。なお、上記ヘッド9Bが支持部材11の他端部側11Bに固定され、上記エンコーダ本体9Aが、上記ラム7に固定されている場合もある。
【0019】
ラム7が矢印AR41の方向に移動することによって、ラム7に設けられた上記ヘッド9Bが直線的かつ上記エンコーダ本体9Aに対して相対的に移動し、上記ラム7の移動量や、上記ラム7の上記テーブル5に対する相対的な位置を検出することができるようになっている。
【0020】
さらに、上記ワークを折り曲げるときの上記反力によって、フレーム3が弾性変形し、フレーム3の一端部側3Aと他端部側3Bとの間の距離が増加し、「コ」字状のフレーム3が口開きの状態になっても、「コ」字状の支持部材11の端部側11Aと他端部側11Bとの間の距離は増加しにくい。
【0021】
すなわち、各平面状部11A、11Bが、図4に示すZ方向およびY方向に延伸しているので、上記Z方向および上記Y方向の剛性が板状の支持部材11では大きく、また、X方向(上記各平面状部11A、11Bとは直交する方向)に細長く延びているので、上記支持部材11を上記フレーム3に取り付けている連結部材13は、上記Z方向および上記Y方向の剛性が小さく、したがって、上記反力による上記フレーム3の変形による影響を上記支持部材11は受けて変形しにくい。
【0022】
そして、ワーク折り曲げをするときの反力によって上記フレーム3が変形し、口開きの状態になっても、上記支持部材11はほとんど変形せず、口開き状態にはならない。つまり上記支持部材11の一端部側11Aと他端部側11Bとの間の距離はほとんど変化しない。
【0023】
また、支持部材11は、軸受け部材5Bを介して、テーブル5やフレーム3に対して回動自在に設けられているので、ワークを折り曲げるときの反力によってフレーム3が変形し、ラム7が移動する方向が、図4に示す矢印AR41の方向(フレーム3が変形していない状態におけるラム7の移動方向)に対して斜めに僅かに傾いても、この僅かな傾きに応じて、支持部材11も回動して傾くので、上記僅かに傾いたラム7の移動方向と、エンコーダ本体9Aの長手方向とがほぼ一致する。
【0024】
したがって、プレス機の駆動部位置検出装置100によれば、フレーム3がワークを加工するときの反力で弾性変形しても、テーブル5に対するラム7の相対的な位置関係を正確に検知することができる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のプレス機の駆動部位置検出装置100では、プレス機PR3のラム7がゆっくりと移動している場合には、支持部材11が変形することなくしかも、フレーム3に対して上述のように僅かに回動するので、テーブル5に対するラム7の相対的な位置関係を正確に検知することができる。
【0026】
しかし、ラム7が速く移動しまた急停止すると、すなわち、ラム3が移動し、停止するときの加速度が大きいと、この加速度によってフレーム3に僅かな振動が発生し、この発生した振動によって、支持部材11が振動して、テーブル5に対するラム7の相対的な位置関係を正確に検知することができない場合があるという問題がある。
【0027】
なお、上記支持部材11の上記振動は、上記支持部材11の厚さが薄く厚み方向の剛性が少ないこと、および支持部材11をフレーム3に連結している連結部材13の数が少ないこと等によって発生する。
【0028】
また、ラム7の加速度が大きいと、ワークを折り曲げるときの反力によってフレーム3が変形しても、連結部材13の上記フレーム3の上記変形方向における剛性が小さいので、上記フレーム3の上記変形量を上記連結部材13が吸収してしまい、支持部材11が、上記フレーム3の上記変形に追従して回動せず、テーブル5に対するラム7の相対的な位置関係を正確に検知することができない場合があるという問題がある。
【0029】
なお、上記各問題は、ラム7が、テーブル5に近づく方向に速く移動する場合、およびラム7がテーブル5から離反する方向に速く移動する場合、また、ラム7が、移動方向を短い時間間隔で切り替えて、すなわち、ラム7が高い周波数で移動方向を切り替えて移動する場合にも発生する。
【0030】
また、上記問題を防止するために、支持部材11を、フレーム3に堅固に固定することが考えられるが、このように堅固に固定すると、フレーム3の変形に応じて、支持部材11も変形し、テーブル5に対するラム7の相対的な位置を正確に読み取ることができなくなる。
【0031】
なお、ラム7が速く移動や停止する場合、テーブル5に対する上記ラム7の相対的な位置を正確に読み取ることができないと、たとえば、リニアエンコーダ9の検出値に基づいて、アクチュエータによって駆動されるラム7の位置をフィードバック制御する場合のループゲインを上げることができない。
【0032】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フレームに対して移動自在に支持されたラムと、上記フレームに一体的に固定されたテーブルとの間の相対的な位置関係を、リニアエンコーダを用いて検出自在なプレス機の駆動部位置検出装置において、上記ラムが大きい加速度で移動もしくは停止し、また、上記大きい加速度での移動もしくは停止とワークを加工するときの反力とによって上記フレームが変形しても、上記テーブルと上記ラムとの間の相対的な位置を正確に読み取ることができるプレス機の駆動部位置検出装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、フレームに対して移動自在に支持されたラムと、上記フレームに一体的に固定されたテーブルとの間の相対的な位置関係を、リニアエンコーダを用いて検出自在なプレス機の駆動部位置検出装置において、一端部側が上記テーブル側に取り付けられ、他端部側が上記ラムに近接し、上記他端部側に上記リニアエンコーダを備えた支持部材と、上記支持部材の所望の位置に設けられ、上記支持部材の振動を抑制する振動抑制手段とを有し、上記支持部材は、上記テーブルに対して僅かに回動自在になっており、上記振動抑制手段は、上記支持部材を上記回動方向のうちの一方向に引っ張って付勢している付勢手段と、この付勢手段の付勢力に対抗して上記一方向とは逆の方向に上記支持部材を引っ張って、上記支持部材が上記一方向に回動することを規制している回動規制手段とを備えて構成されており、上記付勢手段と上記回動規制手段とよって上記支持部材に引っ張り応力が発生するように構成されているプレス機の駆動部位置検出装置である。
【0034】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプレス機の駆動部位置検出装置において、上記回動規制手段は、一端部側が上記支持部材に一体的に設けられ、他端部側が上記フレームに一体的に設けられた細長い連結部材を備え、この連結部材は、上記付勢手段による上記付勢力に対して、長手方向の断面に引っ張り応力が発生するように、上記フレームと上記支持部材との間に長く設けられた構成であるプレス機の駆動部位置検出装置である。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係るプレス機の駆動部位置検出装置1を備えたプレス機PR1の概略構成を示す側面図である。
【0036】
図2は、図1におけるII矢視図であり、図3は、図1におけるIIIA−IIIB矢視図である。
【0037】
なお、図1、図2、図3に示すX方向、Y方向、Z方向は、図4、図5に示すX方向、Y方向、Z方向と同方向である。
【0038】
プレス機PR1は、駆動部位置検出装置1を除いて、プレス機PR3とほぼ同様に構成されている。
【0039】
また、プレス機の駆動部位置検出装置1は、上記支持部材11の所望の位置に設けられ、上記支持部材11の振動を抑制する振動抑制手段15を備えた点が、従来の駆動部位置検出装置100とは異なり、その他の点は従来の駆動部位置検出装置100とほぼ同様に構成されている。
【0040】
プレス機の駆動部位置検出装置1の振動抑制手段15は、上記支持部材11を上記回動方向のうちの一方向(図1の矢印AR12の方向)に引っ張って付勢している付勢手段17と、この付勢手段17の付勢力に対抗して上記矢印AR12の方向とは逆の方向に支持部材11を引っ張って、上記支持部材11が上記矢印AR12の方向に回動することを規制している回動規制手段19とを備える。
【0041】
上記付勢手段17は、バネ定数の大きい弾性部材の例である皿バネ21を用いて、上記支持部材11の他端部側11Bが上記ラム7から離反する上記一方向に、上記支持部材11を引っ張り付勢する手段である。そして、上記付勢手段17は、支持部材11の回動中心軸AX11から水平方向に離反した位置であって、上記回動中心軸AX11とは反対側の上記支持部材11の端部側(図1で示す支持部材11の左下側)に設けられ、支持部材11の上記左下側で、支持部材11を図1のZ下方向に引っ張っている。
【0042】
また、上記付勢手段17は、棒状部23Bとこの棒状部23Bの一端部側に設けられ、上記棒状部23Bの外径よりも大きな外径で構成されたフランジ部23Aとを備えた棒状の連結部材23を備え、この連結部材23の上記棒状部23Bの他端部側には雄ネジ部が設けられている。
【0043】
そして、上記棒状部23Bの上記雄ネジ部が、上記支持部材11の上記左下側で上記支持部材11に一体的に固定された保持部材25に螺合し、さらに、ロックナット23Cが、上記連結部材23を上記保持部材25にロックして固定し、上記連結部材23が、上記保持部材25を介して、上記支持部材11の上記左下側で上記支持部材11に一体的に固定されている。
【0044】
なお、上記固定されている状態では、連結部材23の棒状部23Bは、回動中心軸AX11を回転中心とした支持部材11の回動方向(たとえばZ方向)に長く伸びている。
【0045】
また、連結部材23に対応した位置には、ガイド部材27が、フレーム3の側面3Cに一体的に設けられており、このガイド部材27には、上記連結部材23の上記棒状部23Bの外径よりも僅かに大きい内径の貫通孔が設けられ、この貫通孔を、上記棒状部23BがZ方向に移動自在に貫通している。
【0046】
そして、上記フランジ部23Aと上記ガイド部材27との間の上記棒状部23Bの外周には、適数の皿バネ21が圧縮された状態で設けられている。なお上記各皿バネ21のほぼ中心に設けられている貫通孔の内径は、上記連結部材23の上記棒状部23Bの外径よりも僅かに大きく構成され、上記皿バネ21の上記貫通孔に上記連結部材23の上記棒状部23Bが貫通している。また、上記連結部材23の上記フランジ部23Aの外径は、上記皿バネ21の外径よりも大きく構成されている。
【0047】
回動規制手段19は、一端部側が上記支持部材11に一体的に設けられ、他端部側が上記フレーム3に一体的に設けられた細長い連結部材29を備え、この連結部材29は、上記付勢手段17による上記付勢力に対して、長手方向の断面に引っ張り応力が発生するように、上記フレーム3と上記支持部材11との間に長く設けられた構成である。
【0048】
すなわち、回動規制手段19は、両端部または全長にわたって雄ネジが形成されている連結部材29を備え、この連結部材29の一端部側は、支持部材11に一体的に設けられた保持部材33に設けられた貫通孔を貫通し、上記連結部材29に螺合している各ロックナット29A、29Bが保持部材33を挟み込むことによって、支持部材11に一体的に固定され、上記連結部材29の他端部側は、リニアエンコーダ9の近傍で、フレーム3の側面3Cに一体的に設けられた保持部材31に螺合し、ロックナット29Cで固定しロックされて、フレーム3に一体的に固定されている。
【0049】
なお、上記保持部材33に固定された上記連結部材29の上記一端部側は、水平方向(図1のY方向)で、リニアエンコーダ9が設けられている位置とは反対側に位置する支持部材11の端部側(図1で示す支持部材11の左上側)に設けられており、したがって、連結部材29は、水平方向に長く延伸している。
【0050】
これによって、上記連結部材29内部には、付勢手段17に対抗した引っ張り応力が発生しており、また、図1に示す支持部材11の左下端部側と左上端部側との間では、上記支持部材11内に引っ張り応力が生じている。
【0051】
なお、連結部材29が長く設けられている方向は、回動中心軸AX11を中心とした支持11の回動方向とは交差しており、連結部材29が長く設けられている方向と回動中心軸AX11を中心した支持部材11の回動方向とは一致していないが、両方向が一致していなくても、上記支持部材11内には引っ張り応力が生じる。
【0052】
また、たとえば、保持部材31を図1に示す位置よりもさらに上側に設け、保持部材33を図1に示す位置よりもさらに下側に設けて、連結部材29の長手方向と支持部材11の回動方向とを一致させてもよい。
【0053】
また、上記支持部材11の回転中心である回動中心軸AX11は、上記ラム7に設けられるパンチ7Aと上記テーブル5に設けられるダイ5Aとの接触部を通過する、上記ラム7の移動方向(Z方向)の延長上に設けられているが、必ずしも、このように設ける必要はなく、上記回動中心軸AX11が、テーブル5の近傍に設けられていればよい。
【0054】
プレス機の駆動部位置検出装置1は、一端部側11Aがテーブル5側に取り付けられ、他端部11Bがラム7に近接し、上記他端部側11Bにリニアエンコーダ9を備えた支持部材11と、上記支持部材9の所望の位置に設けられ、上記支持部材11の振動を抑制する振動抑制手段15とを有し、上記振動抑制手段15によって、リニアエンコーダ9を備えた支持部材11の剛性を上げている。
【0055】
したがって、プレス機の駆動部位置検出装置1によれば、上記ラム7が大きい加速度で矢印AR11の方向に移動しもしくは停止し、また上記大きい加速度での上記ラム7の移動もしくは停止やワークを加工するときの反力とによって上記フレーム3が僅かに振動しまた変形しても、支持部材11が振動しにくくなり、また変形しにくくなり、さらに、フレーム3の上記変形に追従して回動中心軸AX11を中心に支持部材11が回動しやすいので、上記テーブル5と上記ラム7との間の相対的な位置を正確に読み取ることができる。
【0056】
換言すれば、回動中心軸AX11を中心とした支持部材11の回動方向のバネ定数は、連結部材13に加えて付勢手段17と回動規制手段19とを備えた振動抑制手段15で支持部材11を支えていることによって、連結部材13のみで支持部材11を支えている従来の駆動部位置検出装置100よりも大きくなっており、したがって、支持部材11の上記回動方向の固有振動数は高くなっている。また、付勢手段17と回動規制手段19とによって、支持部材11が上記回動方向に付勢されていることにより、支持部材11の上記回動方向の振動の振幅は、従来の駆動部位置検出装置100よりも小さくなっている。
【0057】
したがって、回動中心軸AX11を中心とした支持部材11の回動方向における振動数が高くなると共に、振幅が小さくなり、支持部材11が上記回動方向において振動しにくくなる。
【0058】
また、付勢手段17と回動規制手段19とによって、保持部材25と保持部材33との間で上記支持部材11に生じている引っ張り応力により、支持部材11の厚み方向における上記支持部材11の固有振動数は変化しないが振幅が小さくなり、上記支持部材11が、この支持部材11の厚さ方向において振動しにくくなる。
【0059】
さらに、ワークを加工しているときの反力によって、フレーム3が弾性変形しても、支持部材11の代わりに細長い連結部材29が変形するので、支持部材11は上記フレーム3の弾性変形の影響を受けて変形しにくく、また、回動中心軸AX11を回転中心にして上記支持部材11は容易に回動する。
【0060】
上述のように支持部材11が振動しにくくなっていることにより、支持部材11に設けられているリニアエンコーダ9の振動が抑制され、上記テーブル5と上記ラム7との間の相対的な位置を正確に読み取ることができる。
【0061】
また、支持部材11の振動が抑制されるので、リニアエンコーダ9を用いたフィードバック制御によってラム7の移動位置決めをする際のゲインを上げることができ、このゲインの上昇によって、ラム7の移動、停止の加速度を大きくすることができ、プレス機PR1の動作が速くなり、ワークを加工する際の所要時間が短縮される。
【0062】
また、支持部材11は上記フレーム3の弾性変形の影響を受けて変形しにくく、上記フレーム3の弾性変形にしたがって、上記支持部材11が容易に回動するので、上記テーブル5と上記ラム7との間の相対的な位置を正確に読み取ることができる。
【0063】
なお、振動抑制手段15の付勢手段17と回動規制手段19とを、図1に示す位置以外の位置に設けてもよい。ただし、支持部材11の内部に引っ張り応力が発生する位置に、付勢手段17と回動規制手段19とを設けることが望ましい。また、プレス機の駆動部位置検出装置1において、回動抑制手段19を削除してもよい。
【0064】
また、プレス機の駆動部位置検出装置1において、支持部材11の剛性を高めるために、プレス機の駆動部位置検出装置100のようにリブ部11Eを設けてもよい。
【0065】
なお、プレス機の駆動部位置検出装置1において、エンコーダ本体9Aを取り付ける箇所において、支持部材11を厚い板状材で形成すれば、上記エンコーダ本体9Aを取り付けるための剛性と平面とを確保しやすくなる。
【0066】
また、プレス機の駆動部位置検出装置1において、付勢手段17を皿バネ21の代わりに板バネ等のバネを用いて構成してもよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、フレームに対して移動自在に支持されたラムと、上記フレームに一体的の固定されたテーブルとの間の相対的な位置関係を、リニアエンコーダを用いて検出自在なプレス機の駆動部位置検出装置において、上記ラムが大きい加速度で移動もしくは停止し、また、上記大きい加速度での移動もしくは停止とワークを加工するときの反力とによって上記フレームが変形しても、上記テーブルと上記ラムとの間の相対的な位置を正確に読み取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るプレス機の駆動部位置検出装置を備えたプレス機の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図1におけるIIIA−IIIB矢視図である。
【図4】従来のプレス機の駆動部位置検出装置の概略構成を示す側面図である。
【図5】図4におけるV矢視を示す図である。
【符号の説明】
1 プレス機の駆動部位置検出装置
3 フレーム
5 テーブル
7 ラム
9 リニアエンコーダ
11 支持部材
13 連結部材
15 振動抑制手段
Claims (2)
- フレームに対して移動自在に支持されたラムと、上記フレームに一体的に固定されたテーブルとの間の相対的な位置関係を、リニアエンコーダを用いて検出自在なプレス機の駆動部位置検出装置において、
一端部側が上記テーブル側に取り付けられ、他端部側が上記ラムに近接し、上記他端部側に上記リニアエンコーダを備えた支持部材と;
上記支持部材の所望の位置に設けられ、上記支持部材の振動を抑制する振動抑制手段と;
を有し、上記支持部材は、上記テーブルに対して僅かに回動自在になっており、上記振動抑制手段は、上記支持部材を上記回動方向のうちの一方向に引っ張って付勢している付勢手段と、この付勢手段の付勢力に対抗して上記一方向とは逆の方向に上記支持部材を引っ張って、上記支持部材が上記一方向に回動することを規制している回動規制手段とを備えて構成されており、上記付勢手段と上記回動規制手段とよって上記支持部材に引っ張り応力が発生するように構成されていることを特徴とするプレス機の駆動部位置検出装置。 - 請求項1に記載のプレス機の駆動部位置検出装置において、
上記回動規制手段は、一端部側が上記支持部材に一体的に設けられ、他端部側が上記フレームに一体的に設けられた細長い連結部材を備え、この連結部材は、上記付勢手段による上記付勢力に対して、長手方向の断面に引っ張り応力が発生するように、上記フレームと上記支持部材との間に長く設けられた構成であることを特徴とするプレス機の駆動部位置検出装置。
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