JP4094349B2 - 医療用排出用具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、胸腔及び腹腔に貯留した気体や液体を排出させ、さらに集液を行うための医療用排出用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
正常の胸腔内は常に陰圧(−5〜−20cmH2O)に保たれることで、肺は持続的に膨張しているが、気胸、胸部外傷などにより乱されると、肺が十分膨張できずに換気障害を生じる。一般に体腔、その中でも特に気胸等の胸部の治療に対する医療用具においては、カテーテルを胸腔内に留置し貯留容器に接続して、気体及び胸水等の液体を排出させるが、肺の膨張・回復を図るに際しては、カテーテルに接続する細管が水封止され、且つ上部近傍にエアー排出口を有する容器を用いる方法と、カテーテルにフラッターバルブと言われる逆止弁のキットを接続させ、更に集液するためのバッグ又はボトル状の容器をこのキットに接続する方法が行われている。
【0003】
前者の方法は、水封止の水を容器内に収納しておくため、水の供給及び漏出防止、排液による水位上昇に伴う水封管内の水の上部への移動を防ぐために多くの操作と注意が必要であるとともに、安全のため大きな容器が使用されており、携帯して持ち歩くのには非常に不便であった。
後者の方法は、フラッターバルブである逆止弁のキットとバッグ等の容器を接続して使用するという煩雑さがあり、携帯するにおいても逆止弁のキットとバッグ等がほぼ直列に配置されるため嵩張りが多く、こちらも携帯移動には不向きであった。
【0004】
これらを改善すべく、特に携帯性向上を主目的に本出願人は特開昭61−90669号公報にて貯留容器に逆止弁を内蔵した一体型のキットを開示し、基本的にはカテーテルの留置以降はこの発明品である一体型キットのみを接続すれば手技が完了することとなった。
【0005】
しかしながら、この一体型キットは排液量の貯留を考慮しているため、容器本体よりも上部に逆止弁を配置しており、排液量の少ない気胸患者にとっては必要以上に大きなものとなり、小型化が求められていた。また別の観点において、この一体型キットを含めた従来の用具を使用するにあたって、患者に接続した直後の胸腔内のエアー抜きを速やかに実施したい場合や、カテーテル等に詰まりが発生した場合の解除を目的に、シリンジやアスピレーションキット等の手動排気を行うための新たな用具が必要になる場合があり、余計なコストがかかっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、特に少排液量症例用としてより小型で、必要に際し新たな別の用具を使用せずとも単体で手動排気操作が行える、低コストな医療用排出用具を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
(1)互いに着脱が可能な接続キャップと貯留ボトルとから構成され、
接続キャップは、上部に患者に留置されたカテーテルと接続するためのコネクター、下部に外周を保護カバーで覆われた貯留ボトル側にのみ開口する逆止弁、及び貯留ボトルとの着脱が可能な連結装置が設置されており、
貯留ボトルは、解除レバーを有し且つ着脱装置を有する排出口と、貯留ボトルの外部方向にのみ開口する逆止弁が設置された排気口とを備えた中空容器であり、接続キャップと接続した状態において解除レバーをつまむことにより接続キャップを取り外し可能であることを特徴とする医療用排出用具。
(2)排気口に設置された逆止弁の出口に吸引源へ接続するためのコネクターが設置される(1)記載の医療用排出用具。
(3)接続キャップの逆止弁側に吸引源へ接続するためのコネクターを備えたアダプターが着脱可能である(1)又は2記載の医療用排出用具。
(4)貯留ボトルが弾性体からなる(1)〜(3)いずれか記載の医療用排出用具。
(5)貯留ボトルの断面の短径方向と長径方向との扁平率が20〜60%であるブロー成型品である(1)〜(4)いずれか記載の医療用排出用具。
(6)貯留ボトルの肉厚の均一化をはかるため、偏肉パリソンの厚肉側を貯留ボトルの扁平断面形状の長径方向に配置して成型される(5)記載の医療用排出用具。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図1から図7は本発明の実施例となる医療用排出用具の構造を示す図である。図1は接続キャップと貯留ボトルを接続した状態を示す正面図(a)と側面図(b)、図2は貯留ボトルから接続キャップを取り外した状態を示す図、図3は連結装置と着脱装置が接続状態及び解除するときの状態を示す図、図4は貯留ボトルの斜視図、図5及び図6は他の実施例を示す図、図7は患者へ留置するカテーテルを接続した使用状態を示す図である。
【0009】
図1及び図2の如く本発明の医療用排出用具は、排液の導入部となる接続キャップ(1)と胸水等の排液を貯留するための貯留ボトル(2)とから構成される。
接続キャップ(1)は、貯留ボトル(2)から着脱が可能な連結装置(6)を備えたキャップであり、上部に患者に留置されたカテーテルと接続するためのコネクターA(3)が設置されており、下部には貯留ボトル(2)側に向かってのみ開口する逆止弁A(4)が設置されている。
【0010】
更に逆止弁A(4)には接続キャップ(1)を貯留ボトル(2)から取り外した際に逆止弁A(4)に雑菌が付着することを防止するために、外側に先端側が開口する保護カバー(5)が設置されている。このため逆止弁A(4)は完全に保護カバー(5)に埋没することが重要であり、逆止弁A(4)は保護カバー(5)よりも5mm以上短い方が好ましい。逆止弁A(4)はプラスチックやゴム製等の軟質材質の扁平チューブ状であり、その先端部は内面が密着しており、体内から排出された気体や液体の流れは密着部を押し広げ排出できるが、逆方向からの流れは流入することができない構造となっている。保護カバー(5)は逆止弁A(4)の動きが見えるように透明でかつ逆止弁A(4)を保護するという観点より硬質材料であることが望ましく、プラスチックやガラス等が好ましい。
【0011】
貯留ボトル(2)は排出口(7)と排気口(10)とを有し、必要な場合には側面に排液量を測定するための目盛が付設される。排出口(7)は貯留した排液を排出する出口となるものであるが、貯留ボトル(2)はエアー抜きのルートのない閉鎖系であるため排出口(7)のみで排液と外部空気との置換が行えるように十分な開口面積が確保される大きさであることが好ましい。排出口(7)には接続キャップ(1)との着脱装置(8)が一体成型にて設けられており、着脱装置(8)の機構は限定されないが、例えば図3のように左右の解除レバー(9)をつまむことで内側に撓ませ、接続キャップ(1)の連結装置(6)を押し広げ解除させる機構が実施例の一つである。
【0012】
中空容器である貯留ボトル(2)は携帯性向上を目的に小型形状であるとともに、体表にフィットしやすいよう扁平率20〜60%である扁平な容器であることが望ましく、コスト的に有利なブロー成型にて製造される。ここで貯留ボトル(2)に求められるブロー成型品について詳細に説明すると、後述する貯留ボトル(2)のポンピング(押し潰した後に手を離すと元に戻る)操作に耐え得るよう扁平断面の肉厚は全体に亘って極力均一であるとともに極力ブロー金型の併せ面における、成型時のバリを噛ませないことがポンピングにおける耐久性を保つために重要である。一般にバリを噛ませないようにするためには成型品の横幅に比較して細径のパリソンを用いることとなるが、扁平の成型品においては扁平断面の短径方向が先に金型に設置してしまい、樹脂の伸びを抑制するため長径方向が薄肉な成型品となってしまう。このためパリソンを編肉とし厚肉側を貯留ボトルの扁平形状の長手方向に配置して成型することにより、より肉厚の均一化をはかることができる。
【0013】
貯留ボトル(2)及び排出口(7)、着脱装置(8)の材質は特に限定されるものではないが複数回の応力に耐えられるよう、硬質塩ビ、ABS樹脂等であることが望ましい。
【0014】
また、排気口(10)には貯留ボトル(2)より外側に向かって開口する逆止弁B(11)が設置され、逆止弁B(11)は前述の逆止弁A(4)と同様の構造および材質であることが好ましい。
【0015】
また、図5のように排気口(10)の逆止弁B(11)の先端には、一時的な低圧持続吸引を行う際などの吸引源へのラインへ接続するためのコネクターB(12)を設置したり、図6のように接続キャップ(1)にコネクターB(12)付きのアダプター(13)を貯留ボトル(2)と同様の接続手段により着脱できる構造することも望ましい実施例の一つである。
【0016】
更に本発明品の携帯性を向上させる目的で種々の携帯手段を備えることが望ましい。例えば貯留ボトル(2)の上部又は図7のように接続キャップ(1)に携帯用クリップ(14)を一体もしくは取り外し可能に設置したり、貯留ボトル(2)の背面に粘着テープ等を設置することが考えられ、コストと操作性を鑑み適宜付設することが可能である。
【0017】
次に本発明の医療用排出装置の使用方法を具体的に説明する。挿入部の皮膚を消毒し、局所麻酔後、カテーテル(15)の太さに合わせて皮膚に小切開を加え、患者にカテーテル(15)を留置後、カテーテル(15)の末端にコネクターA(3)を接続することにより設置完了となる。
【0018】
設置時に速やかに胸腔内の排液または排気を実施したい場合には、貯留ボトル(2)をポンピングさせると逆止弁A(4)と逆止弁B(11)が交互に開閉し胸腔内より強制排出を行うことができる。そして貯留ボトル(2)内に胸水等の排液が貯留した場合には適宜、着脱装置(8)の解除レバー(9)をつまむことにより接続キャップ(1)を取り外し、排出口(7)より排液を排出する。このとき接続キャップ(1)に付設した逆止弁A(4)が働いているため外気が胸腔内に侵入することはない。
【0019】
【発明の効果】
本発明による医療用排出用具は特に少排液量症例用としてより小型で、必要に際し新たな別の用具を使用せずとも単体で手動排気操作が行えるため、低コストでかつ簡便な用具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる医療用排出用具の構造を示す(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の一実施例となる医療用排出用具の貯留ボトルから接続キャップを取り外した状態を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施例となる医療用排出用具の連結装置と着脱装置が接続状態及び解除するときの状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施例となる貯留ボトルの斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例である医療用排出用具の正面図である。
【図6】本発明の一実施例である医療用排出用具の接続キャップにコネクター付きアダプターを接続した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施例である医療用排出用具にカテーテルを接続した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 接続キャップ
2 貯留ボトル
3 コネクターA
4 逆止弁A
5 保護カバー
6 連結装置
7 排出口
8 着脱装置
9 解除レバー
10 排気口
11 逆止弁B
12コネクターB
13アダプター
14携帯クリップ
15カテーテル
Claims (6)
- 互いに着脱が可能な接続キャップと貯留ボトルとから構成され、
接続キャップは、上部に患者に留置されたカテーテルと接続するためのコネクター、下部に外周を保護カバーで覆われた貯留ボトル側にのみ開口する逆止弁、及び貯留ボトルとの着脱が可能な連結装置が設置されており、
貯留ボトルは、解除レバーを有し且つ着脱装置を有する排出口と、貯留ボトルの外部方向にのみ開口する逆止弁が設置された排気口とを備えた中空容器であり、接続キャップと接続した状態において解除レバーをつまむことにより接続キャップを取り外し可能であることを特徴とする医療用排出用具。 - 排気口に設置された逆止弁の出口に吸引源へ接続するためのコネクターが設置される請求項1記載の医療用排出用具。
- 接続キャップの逆止弁側に吸引源へ接続するためのコネクターを備えたアダプターが着脱可能である請求項1又は2記載の医療用排出用具。
- 貯留ボトルが弾性体からなる請求項1〜3いずれか記載の医療用排出用具。
- 貯留ボトルの断面の短径方向と長径方向との扁平率が20〜60%であるブロー成型品である請求項1〜4いずれか記載の医療用排出用具。
- 貯留ボトルの肉厚の均一化をはかるため、偏肉パリソンの厚肉側を貯留ボトルの扁平断面形状の長径方向に配置して成型される請求項5記載の医療用排出用具。
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