JP4094251B2 - 光記録媒体、これを用いる光記録方法および光記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体に関するものであって、特に光ビームを照射することにより、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ追記が可能な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
a.(情報記録用)追記型光記録媒体の従来技術
【0003】
(1)シアニン色素を記録材料として用いたもの
特開昭57−82093、特開昭58−56892、特開昭58−112790、特開昭58−114989、特開昭59−85791、特開昭60−83236、特開昭60−89842、特開昭61−25886
【0004】
(2)フタロシアニン色素を記録材料として用いたもの
特開昭61−150243、特開昭61−177287、特開昭61−154888、特開昭61−246091、特開昭62−39286、特開昭63−37991、特開昭63−39888
【0005】
b.追記型コンパクトディスクの従来技術
【0006】
(1)シアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたもの
特開平1−159842、特開平2−42652、特開平2−13656、特開平2−168446
【0007】
(2)フタロシアニン色素(アザアヌレン色素)を記録材料として用いたもの
特開平1−176585、特開平3−215466、特開平4−113886、特開平4−226390、特開平5−1272、特開平5−171052、特開平5−116456、特開平7−268227、特開平7−314897
【0008】
(3)アゾ金属キレート色素を記録材料として用いたもの
特開平4−46186、特開平4−141489、特開平4−361088、特開平5−279580、特開平7−51673、特開平7−161069、特開平7−37272、特開平7−71867、特開平8−231866、特開平8−295811
【0009】
c.大容量追記型コンパクトディスク(DVD−R)の従来技術
【0010】
(1)シアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたもの
PIONEER R&D vol.6 No.2, 1996:DVD−Recordableの開発、DVD−R色素ディスクの基礎開発
ISOM/ODS’96, 1996:High density of recording on Dye material Disc approach for 4.7G
【0011】
(2)ポリメチン色素を記録材料として用いたもの
特開平10−83577、特開平10−119434、特開平10−149583、特開平10−188339、特開平10−278426
【0012】
(3)ポリメチン色素/光安定化材を記録材料として用いたもの
特開平10−109475、特開平10−109476、特開平10−134413、特開平10−166739
【0013】
(4)アゾ金属キレート色素/金属反射層を記録材料として用いたもの
特公平5−67438、特開平7−161069、特開平8−156408、特開平8−231866、特開平8−332772、特開平9−58123、特開平9−175031、特開平9−193545、特開平9−274732、特開平9−277703、特開平10−6644、特開平10−6650、特開平10−6651、特開平10−36693、特開平10−44606、特開平10−58828、特開平10−86519、特開平10−149584、特開平10−157293、特開平10−157300、特開平10−157301、特開平10−157302、特開平10−181199、特開平10−181201、特開平10−181203、特開平10−181206、特開平10−188340、特開平10−188341、特開平10−188358、特開平10−208303、特開平10−214423、特開平10−228671、特開平11−12483
【0014】
(5)テトラアザポルフイリン(ポルフイラジン)色素/金属反射層を記録材料として用いたもの
特開平9−267562、特開平9−309268、特開平10−856
【0015】
(6)その他の色素/金属反射層を記録材料として用いたもの
特開平10−86517、特開平10−93788、特開平10‐226172、特開平10−244752、特開平10−287819、特開平10−297103、特開平10−309871、特開平10‐309872
【0016】
(7)シアニン色素/アゾ金属キレート色素(塩形成色素)/金属反射層を記録材料として用いたもの
特公平7−51682、特開平11−34499、WO98/29257、特開平9−323478、特開平11−195242、特開平11−250505、特開2000−168237、特開2000−190641、特開2000−190642、特開2000−198273
【0017】
(8)ホルマザン(金属キレート)色素/その他の色素を記録材料として用いたもの
特許第2791944号、特開平8−295079、特開平9−95520、特開平9−193546、特開平10−337958
【0018】
(9)ジピロメテン(金属キレート)色素/その他の色素を記録材料として用いたもの
特開平10−162430、特開平10−166732、特開平10−226172、特開平11−42858、特開平11−92682、特開平11−165465、特開平11−208111、特開平11−227332、特開平11−227333、特開平11−255774、特開平11−256057
【0019】
上記でみてきたように、光記録媒体は数多く提案されており、そして現在では、次世代大容量光ディスクとしてDVD−Rの開発が進められている。記録容量の向上の要素技術としては、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読みとりのための半導体レーザの短波長化等の技術開発が必要である。
【0020】
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。
【0021】
DVDドライブの場合、光源として635nm帯と650nm帯のレーザダイオードの2つの波長で規格化されている。一方、再生専用のDVD−ROMドライブは波長約650nmで商品化されている。このような状況下で最も好ましいDVD−Rメディアは、波長630〜690nmで記録、再生が可能なメディアである。波長630〜690nmのレーザーを用いた光ピックアップで記録再生する光記録媒体の記録層の一つとしてスクアリリウム化合物が挙げられるが、該化合物は光記録媒体に用いるには光安定性に乏しい。また、高耐光性を有する色素としてアゾ金属キレート化合物が挙げられるが、この色素を単独で用いた場合、反射率が充分にとれない等の問題を有していた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いる追記型DVDシステムに適用可能な光記録媒体中の記録材料、特にスクアリリウム化合物を用いた場合の耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体、該光記録媒体を使用した光記録方法および光記録装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が検討した結果、スクアリリウム化合物を金属キレート化することにより光安定性を増し、さらに高耐光性を有するアゾ金属キレート化合物を混合することにより更なる高耐光性でかつ高保存安定性を有する光記録媒体の提供が可能になったことを見出すとともに、スクアリリウム化合物を金属キレート化することで、スクアリリウム化合物の吸収係数が向上でき、高信頼性、高反射率、低ジッタである光記録媒体の提供が可能となった。すなわち、本発明により、高信頼性、高反射率を有する光記録媒体の提供が可能となった。
【0024】
本発明の第1は、本発明の基本構成及び材料構成に関し、基板上に少なくとも記録層を設けてなる光記録媒体において、該記録層中にスクアリリウム化合物と金属からなるスクアリリウム金属キレート化合物と、下記一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属からなるアゾ金属キレート化合物とを、それぞれ少なくとも1種含有し、前記スクアリリウム金属キレート化合物が下記一般式( II )で表される化合物であることを特徴とする光記録媒体にある。
【化4】
(式中、Aはそれが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい複素環を形成する残基を表し、Bはそれが結合している二つの炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい芳香環または置換基を有していてもよい複素環を形成する残基を表し、Xは活性水素基を有する置換基を表す。)
【化5】
〔式中、R 1 及びR 2 は同一もしくは異なる置換基であり、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。M 1 は配位能を有している金属原子を表す。Zは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基またはY=CH−(Yは置換基を有していても良い複素環基を表す)を表す。m1は2あるいは3の整数を表す。〕
【0028】
本発明の第2は、スクアリリウム金属キレート化合物の最適構造に関し、一般式(II)中のZが下記一般式(II−II)であることを特徴とする前記第1の光記録媒体にある。
【化6】
〔式中、R3およびR4は同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、あるいはR3とR4は隣接する炭素原子と一緒になって、脂環式炭化水素環または複素環を形成してもよく、R5は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、R6はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、nは0〜4の整数を表し、ここに、nが2〜4の場合、R6は同一または異なってもよく、さらに互いに隣り合う2つのR6が隣接する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい芳香族環を形成してもよい。〕
【0029】
本発明の第3は、スクアリリウム金属キレート化合物の最適金属種の限定に関し、M1がアルミニウムであることを特徴とする前記第1〜2の光記録媒体にある。
【0034】
本発明の第4は、前記第1〜3のいずれかの光記録媒体に600〜720nmの波長で記録することを特徴とする光記録方法に関する。
【0036】
【発明の実施の態様】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本明細書においては、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号を付した化合物についても同様である。また、化合物(I)と金属からなるアゾ金属キレート化合物をアゾ金属キレート化合物(I)という。
【0037】
先ず、化合物(I)の説明から進める。前記一般式(I)での置換基の定義については、上述の通りである。
【0038】
前記一般式(I)でのAの具体例としては、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環等を形成する残基があげられる。これらの含窒素複素環は、置換基を有していても良い。
【0039】
その置換基の具体例としては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い複素環残基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアリールチオ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアリールアミノ基、置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基、置換基を有していても良いアルキルカルボキサミド基、置換基を有していても良いアリールカルボキサミド基、置換基を有していても良いアルキルスルホンアミド基、置換基を有していても良いアルキルカルバモイル基、置換基を有していても良いアリールカルバモイル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアルキルスルファモイル基等があげられる。
【0040】
アルキル基としては炭素数1〜15のものが挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、中でも炭素数1〜8のものが好ましい。
【0041】
更に、これら直鎖状及び分岐状アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、特定の置換基を有していても良い(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていても良い)アリール基、複素環残基等によって置換されていても良い。また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0042】
酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0043】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントラニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基等が挙げられる。更にこれらのアリール基は、アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、特定の置換基を有していても良い(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていても良い)アリール基、複素環残基等によって置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0044】
複素環残基の具体例としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノキサリニル基等が挙げられる。更にこれらの複素環残基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、特定の置換基を有していても良い(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていても良い)アリール基、複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0045】
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の各原子が挙げられる。
【0046】
置換基を有していても良いアルコキシ基は、酸素原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0047】
置換基を有していても良いアリールオキシ基は、酸素原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0048】
置換基を有していても良いアルキルチオ基は、硫黄原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0049】
置換基を有していても良いアリールチオ基は、硫黄原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0050】
置換基を有していても良いアルキルアミノ基は、窒素原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合しピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等の様に環を形成していても良い。
【0051】
置換基を有していても良いアリールアミノ基は、窒素原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0052】
置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基は、酸素原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0053】
置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基は、酸素原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0054】
置換基を有していても良いアルキルカルボキサミド基は、炭素原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0055】
置換基を有していても良いアリールカルボキサミド基は、炭素原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0056】
置換基を有していても良いアルキルスルホンアミド基は、炭素原子に直接置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0057】
置換基を有していても良いアルキルカルバモイル基は、窒素原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合しピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等の様に環を形成していても良い。
【0058】
置換基を有していても良いアリールカルバモイル基は、窒素原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0059】
アルキルスルファモイル基の具体例としては、スルファモイル基の窒素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0060】
アルケニル基の具体例としては、炭素数2〜6の、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、メタクリル基、クロチル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基の置換基としては、前記のアルキル基の置換基と同様なものが挙げられる。
【0061】
Bの具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環等を形成する残基があげられる。これらの芳香環または複素環は置換基を有していても良い。その置換基の具体例としては、先に挙げたAの置換基と同様なものがあげられる。
【0062】
Xの活性水素基を有する置換基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルカルボキサミド基、アリールカルボキサミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、スルファモイル基等があげられる。
【0063】
アルキルカルボキサミド基、アリールカルボキサミド基、アルキルカルバモイル基およびアリールカルバモイル基の具体例としては、前述の具体例を挙げることができる。
【0064】
置換基を有していても良いアルキルスルホンアミド基の具体例としては、硫黄原子に直接に置換基を有していても良いアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0065】
置換基を有していても良いアリールスルホンアミド基の具体例としては、硫黄原子に直接に置換基を有していても良いアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0066】
上記の化合物(I)と一緒になってアゾ金属キレート化合物(I)を形成する金属原子の具体例には、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等が挙げられる。中でも、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、バナジウムが好ましく、さらには、マンガン、コバルト、ニッケル、銅のアゾ金属キレート化合物(I)は、光記録材料として光学特性が優れている。
【0067】
本発明のアゾ金属キレート化合物(I)はアゾ金属キレート化合物の中では光学特性に優れ、スクアリリウム金属キレート化合物と混合することで高反射率の光記録媒体を提供することができる。
【0068】
スクアリリウム金属キレート化合物の中では、化合物(II)が好ましい。
続いて、化合物(II)について説明する。
前記一般式(II)あるいは(II−II)での置換基の定義において、アルキル基およびアルコキシ基におけるアルキル部分としては、直鎖あるいは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜8の環状アルキル基等が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0069】
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0070】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等が挙げられる。
【0071】
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0072】
アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族環または複素環基の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していても良いアミノ基等が挙げられる。ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基としては、前記と同様なものが挙げられる。
【0073】
アルキル基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子およびアルコキシ基としては、前記と同様なものが挙げられる。
【0074】
アミノ基の置換基としては、同一または異なって1〜2個のアルキル基が挙げられ、この場合のアルキル基は前記と同様である。
【0075】
配位能を有している金属原子(M1)としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、イリジウム、バナジウム、チタン等が挙げられ、中でも、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルトが好ましく、さらにはアルミニウムがより好ましい。
【0076】
隣り合う2つのR6が隣接する2つの炭素原子と一緒になって形成する芳香族環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
【0077】
一般式(II)のYにおける複素環基以外の複素環基における複素環、またはR3とR4が隣接する炭素原子と一緒になって形成する複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族あるいは脂肪族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族あるいは脂肪族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
【0078】
一般式(II)のYの複素環基としては、インドリン−2−イリデン、ベンズ〔e〕インドリン−2−イリデン、2−ベンゾチアゾリニリデン、ナフト〔2,1−d〕チアゾール−2(3H)−イリデン、ナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン、1,4−ジヒドロキノリン−4−イリデン、1,2−ジヒドロキノリン−2−イリデン、2−ベンゾセレナゾリニリデン等があげられる。
【0079】
R3とR4が隣接する炭素原子と一緒になって形成する脂環式炭化水素環としては、炭素数3〜8のものが挙げられ、飽和または不飽和のものであってもよく、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロペンテン環、1,3−シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等が挙げられる。
【0080】
ここで、化合物(II)の一般的な製法について説明する。
反応式(1−a)
【化7】
【0081】
反応式(1−b)
【化8】
【0082】
反応式(1−c)
【化9】
【0083】
反応式(1−d)
【化10】
【0084】
上記反応式中、R1、R2、Z、M1およびm1は前記と同義であり、Qは水素原子、カリウム、ナトリウム等を表し、Meはメチルを表す。
【0085】
前記反応式(1−a)において、化合物(V)は、化合物(III)と0.5〜2倍モルの化合物(IV)とを、要すれば塩基存在下、溶媒中、室温〜40℃で30分〜15時間反応させることにより得られる。
塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基またはトリエチルアミン、ナトリウムメトキシド等の有機塩基が用いられる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド等が用いられる。
【0086】
前記反応式(1−b)において、化合物(VI)は、化合物(V)をアルカリ性溶媒中、または酸性溶媒中、室温〜40℃で30分〜15時間処理することにより得られる。
アルカリ性溶媒としては、例えば、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。酸性溶媒としては、例えば、塩酸の50%容量/容量のジメチルスルホキシド水溶液、塩酸の50%容量/容量のジメチルホルムアミド水溶液等が用いられる。
【0087】
前記反応式(1−c)において、化合物(VII)は、化合物(VI)と0.5〜2倍モルのZ−Hとを、要すれば、0.5〜2倍モルの塩基存在下で、溶媒中、80〜120℃で1〜15時間反応させることにより得られる。
溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等の炭素数2〜8のアルコール系溶媒のみ、または該アルコール系溶媒とベンゼン、トルエンもしくはキシレンとの混合溶媒(アルコール50容量/容量%以上)等が用いられる。塩基としては、例えば、キノリン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基または炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等が用いられる。
【0088】
前記反応式(1−d)において、化合物(II)は、化合物(VII)と0.5〜2倍モルのM1 m1+とを、必要に応じて、0.5〜2倍モルの酢酸存在下で、溶媒中、室温〜120℃で1〜15時間反応させることにより得られる。
M1 m1+を与える原料としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシド、塩化アルミニウム、塩化銅、酢酸銅、酢酸ニッケル等が用いられる。
溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が用いられる。
【0089】
本発明の光記録媒体は、記録層中にアゾ金属キレート化合物(I)とスクアリリウム金属キレート化合物とを少なくとも一種類ずつ含有していることを特徴とする。スクアリリウム金属キレート化合物にアゾ金属キレート化合物(I)を添加することにより、スクアリリウム金属キレート化合物の光劣化が一層抑制され、耐光性に優れた光記録媒体が得られる。
【0090】
また本発明の光記録媒体において、スクアリリウム金属キレート化合物とアゾ金属キレート化合物(I)との重量比が90:10〜20:80であるのが好ましく、80:20〜30:70であるのがより好ましい。上記の範囲内であると耐光性、反射率や変調度の点で好ましい。
【0091】
記録層材料に要求される物性として、光学的特性、熱的特性および耐光性が挙げられる。
【0092】
光学的特性として、DVD−R等の記録再生波長である600〜720nm、好ましくは630〜690nmに対して短波長側に大きな吸収帯を有し、かつ記録再生波長が上記吸収帯の長波長端近傍にあることが好ましい。これは、記録再生波長である600〜720nmにおいて、上記記録層材料が大きな屈折率および所定の消衰係数を有することを意味する。
【0093】
具体的には、上記吸収帯の長波長端近傍の記録再生波長±5nmの波長領域において、記録層単層の屈折率nが1.5以上かつ3.0以下でより大きいほうが好ましく、消衰係数kが0.02以上かつ0.3以下の範囲にあることが好ましい。
nが1.5以上の場合には、充分な光学的変化が得られるため、反射率及び記録変調度がより高くなるため好ましく、nが3.0以下の場合には、波長依存性が高くならず、記録再生波長領域の光で再生エラーが起きにくく好ましい。
kが0.02以上の場合には、記録感度が良くなるため好ましく、kが0.3以下の場合には、50%以上の反射率をより得やすく好ましい。
また、クロロホルム溶液状態で測定された最大吸収波長(λmax)は550〜600nmの範囲にあるものが好ましく、さらに、吸光係数が大きいほど屈折率nも大きくとれるため、そのlogε(εはモル吸光係数)は5以上のものが好ましい。
【0094】
熱的特性として、分解温度が特定の温度範囲にあることが好ましい。
具体的には分解温度が350℃以下であるものが好ましく、250〜350℃の範囲にあるものがより好ましい。分解開始温度が350℃以下であると、記録レーザ光のパワーを高くする必要がなく、250℃以上であると記録安定性の点で好ましい。
【0095】
さらに、耐光性として、繰り返し100万回以上の再生安定性と室内放置下で褪色しない堅牢性があることが好ましい。
【0096】
基板は通常、深さ1,000〜2,500Åの案内溝を有している。トラックピッチは、通常、0.7〜1.0μmであるが、高容量化の用途には0.7〜0.8μmが好ましい。溝幅は、半値幅で0.18〜0.40μmが好ましい。0.18μm以上では十分なトラッキングエラー信号強度を得やすく、また、0.40μm以下の場合には、記録したときに記録部が横に広がり難く好ましい。
【0097】
1・光記録媒体の構成
本発明の光記録媒体は、通常の追記型光ディスクである図1の構造(図1を2枚貼合わせたいわゆるエアーサンドイッチ、又は密着貼合わせ構造としてもよい)としても、図2からなるCD−R用メディアの構造としても、図3からなるDVD−R用のメディア構造としてもよい。
【0098】
2・各層の必要特性及び構成材料例
本発明の光記録媒体は、第1基板と第2基板とを記録層を介して接着剤で貼り合わせた構造を基本構造とする。
記録層は有機色素層単層でもよく、反射率を高めるため有機色素層と金属反射層との積層でも良い。記録層と基板間は下引き層あるいは保護層を介して層成してもよく、機能向上のため、それらを積層化した構成でも良い。最も通常に用いられるのは、第1基板/有機色素層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板構造である。
【0099】
《基板》
用いる基板は基板側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザーに対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行なう場合基板は透明である必要はない。基板材料としては例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック又は、ガラス、セラミックあるいは、金属などを用いることができる。なお、ラッキング用の案内溝や、案内ピット、さらにアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていても良い。
【0100】
《記録層》
記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じ、その変化により情報を記録するものであって、この記録層中には本発明の化合物が含有されていることが必要で、記録層の形成に当たって本発明によれば2種以上の組み合わせで用いる。
【0101】
下記表1〜4に本発明で用いるアゾ金属キレート化合物(I)の具体例を示す。表中、Etはエチル、Buはn−ブチル、tBuはtert−ブチルを表す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
下記表5〜7に本発明で用いるスクアリリウム金属キレート化合物(II)の具体例を示す。表中、Etはエチル、nPrはn−プロピル、iPrはイソプロピル、nBuはn−ブチル、tBuはtert−ブチルを表す。ただし表中、II−16は比較例用のスクアリリウム化合物である。
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
【表7】
【0110】
さらに、本発明で用いる上記化合物は光学特性、記録感度、信号特性などの向上の目的で他の有機色素及び金属、金属化合物と混合又は積層化して用いても良い。
【0111】
他の有機色素の例としては、(ポリ)メチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料及び、金属錯体化合物などが挙げられる。他の金属、金属化合物の例としてはIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどが挙げられる。
これらはそれぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることができる。
【0112】
さらに、本発明で用いる上記化合物に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料もしくはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることも出来る。
【0113】
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶剤塗布などの通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には本発明で用いる上記化合物などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディピング及び、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法によって行うことが出来る。
【0114】
この記録層形成で用いられる有機溶剤としては、一般に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
【0115】
記録層の膜厚は100Å〜10μm好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
【0116】
《下引き層》
下引き層は▲1▼接着性の向上、▲2▼水又はガスなどのバリアー、▲3▼記録層の保存安定性の向上、▲4▼反射率の向上、▲5▼溶剤からの基板の保護、▲6▼案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。
【0117】
前記▲1▼の目的に対しては高分子材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物及び、シランカップリング剤などを用いることができる。
前記▲2▼及び▲3▼の目的に対しては上記高分子材料以外に無機化合物、例えば、SiO、MgF2、SiO2、TiO2、ZnO、TiN、SiNなどを用いることができ、さらに金属又は半金属、例えば、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどを用いることができる。
前記▲4▼の目的に対しては金属、例えば、Al、Au、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えば、メチン染料、キサンテン系染料などを用いることができ、前記▲5▼、▲6▼の目的に対しては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
【0118】
下引き層の膜厚としては0.01〜30μm好ましくは、0.05〜10μmが適当である。
【0119】
《金属反射層》
金属反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属等が挙げられ、材料例としてはAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用しても良く、2種の合金としても良い。
膜形成法としては蒸着、スッパタリングなどが挙げられ、膜厚は50〜5000Å好ましくは100〜3000Åが適当である。
【0120】
《保護層、基板面ハードコート層》
保護層及び基板面ハードコート層は▲1▼記録層(反射吸収層)を傷、ホコリ、汚れ等から保護すること、▲2▼記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、▲3▼反射率の向上等を目的として使用される。
これらの目的に対しては、前記下引き層に示した材料を用いることができる。また、無機材料として、SiO、SiO2なども用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂、紫外線硬化樹脂等も用いることができる。
上記材料のうち最も好ましい例としては生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
【0121】
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μm好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0122】
本発明においては、前記下引き層、保護層、及び、基板面ハードコート層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0123】
《保護基板》
保護基板はこの保護基板側からレーザー光を照射する場合、使用レーザー光に対し透明でなくてはならず、単なる保護板として用いる場合、透明性は問わない。使用可能な材料は基板材料と全く同様であり、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック又は、ガラス、セラミックあるいは、金属などを用いることができる。
【0124】
《接着剤、接着層》
2枚の記録媒体を接着できる材料なら何でもよく、生産性を考えると、紫外線硬化型もしくはホットメルト型接着剤が好ましい。
【0125】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を示す。これら実施例および比較例で得られる光記録媒体の評価結果を下表8に示す。なお、実施例および比較例で使用する化合物は表1〜7に記載のものである。
【0126】
(実施例1)
溝深さ1740Å、半値幅0.36μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物例I−1とII−1の混合物(混合比は下表8参照)を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させ、その溶液をスピンナー塗布して厚さ900Åの有機色素層を形成し、次いでスパッタ法により金1300Åの反射層を設け、その上にアクリル系フォトポリマーにて6μmの保護層を設けた。さらに厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板をアクリルフォトポリマーにて接着し光記録媒体とした。
【0127】
(実施例2〜10)
下表8に示すような組み合わせの原料を用いて、実施例1と全く同様に光記録媒体を形成した。
【0128】
(比較例1)
スクアリリウム金属キレート化合物であるII−15のみを用い、実施例1と全く同様に光記録媒体を形成した。
【0129】
(比較例2)
スクアリリウム金属キレート化合物であるII−16のみを用い、実施例1と全く同様に光記録媒体を形成した。
【0130】
【表8】
【0131】
<記録条件>
これらの光記録媒体に発振波長658nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザー光を用い、トラッキングしながら最適化されたマルチパルスストラテジにてEFM信号(線速3.5m/秒)を記録し、発振波長658nmの半導体レーザーの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、再生波形とジッタを測定した。
【0132】
<耐候テスト条件>
耐光試験:4万Lux、Xe光、20時間連続照射
保存試験:60℃、90%RH、600時間放置
【0133】
【表9】
【0134】
【発明の効果】
1)請求項1〜6、10
600〜720nmの波長域のレーザー光で記録、再生が可能で、耐光性、保存安定性に優れた光情報記録媒体が提供できた。特に、スクアリリウム金属キレート化合物を単独で用いたものに比べ、耐光性の優れた光記録媒体の提供が可能となった。
2)請求項7〜9
前記第1の効果に加えて、安定した高反射率かつ高変調度で記録再生出来る光記録媒体が提供できた。
3)請求項11
請求項1〜10の光記録媒体の効果を奏する光記録方法が提供される。
4)請求項12
請求項1〜10の光記録媒体、請求項11の光記録方法の効果を奏する光記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の光記録媒体を適用した通常の追記型光記録媒体の模式的断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の光記録媒体を適用したCD−R用の媒体構成の模式的断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の光記録媒体を適用したDVD−R用の媒体構成の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 ハードコート層
6 金属反射層
7 保護基板
8 接着層
Claims (4)
- 基板上に少なくとも記録層を設けてなる光記録媒体において、該記録層中にスクアリリウム化合物と金属からなるスクアリリウム金属キレート化合物と、下記一般式(I)で示されるアゾ化合物と金属からなるアゾ金属キレート化合物とを、それぞれ少なくとも1種含有し、前記スクアリリウム金属キレート化合物が下記一般式( II )で表される化合物であることを特徴とする光記録媒体。
- 一般式( II )中のZが下記一般式( II − II )であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- M 1 がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2記載の光記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体に600〜720nmの波長で記録することを特徴とする光記録方法。
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