JP4094250B2 - 光記録媒体、これを用いる光記録方法および光記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ用大容量追記光ディスク(例えば大容量追記型コンパクトディスク、DVD−R)、光記録方法、および光記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
a.(情報記録用)追記型記録媒体(WORM)の従来技術
【0003】
(1)シアニン色素を記録材料として用いたもの
特開昭57−82093,58−56892,58−112790,58−114989,59−85791,60−83236,60−89842,61−25886
【0004】
(2)フタロシアニン色素を記録材料として用いたもの
特開昭61−150243,61−177287,61−154888,61−246091,62−39286,63−37991,63−39888
【0005】
b.追記型コンパクトディスク(CD−R)の従来技術
【0006】
(1)シアニン色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平1−159842,2−42652,2−13656,2−168446
【0007】
(2)フタロシアニン色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平1−176585,3−215466,4−113886,4−226390,5−1272,5−171052,5−116456,5−96860,5−139044
【0008】
(3)アゾ金属キレート色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平4−46186,4−141489,4−361088,5−279580,7−51673,7−161069,7−37272,7−71867,8−231866,8−295811
【0009】
c.大容量追記型コンパクトディスク(DVD−R)の従来技術
【0010】
(1)シアニン色素+金属反射層を記録材料として用いたもの
PIONEER R&D vol.6 No.2, 1996:DVD−Recordableの開発、DVD−R色素ディスクの基礎開発
ISOM/ODS’96, 1996:High density of recording on Dye material Disc approach for 4.7G
特開平10−235999
【0011】
(2)アゾメチン色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平8−198872,8−209012,8−283263,10−273484
【0012】
(3)アゾ金属キレート色素+金属反射層を記録材としたもの
特公平5−67438,特開平7−161069,8−156408,8−231866,8−332772,9−58123,9−175031,9−193545,9−274732,9−277703,10−6644,10−6650,10−6651,10−36693,10−44606,10−58828,10−86519,10−149584,10−157293,10−157300,10−157301,10−157302,10−181199,10−181201,10−181203,10−181206,10−188340,10−188341,10−188358,10−208303,10−214423,10−228671,11−12483
【0013】
(4)スチリル色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平10−151854,10−188338,11−34489,11−99746,11−99747,11−144313,11−165466
【0014】
(5)ホルマザン色素+金属反射層を記録材としたもの
特許第2791944号,特開平8−295079,9−95520,9−193546,10−151862,10−151863,10−152623,10−154350,10−337958
【0015】
(6)その他の色素+金属反射層を記録材としたもの
特開平10−86517,10−93788,10−226172,10−244752,10−287819,10−297103,10−309871,10−309872
【0016】
上記でみてきたとおり、光記録媒体は多くが提案されてきたが、現在では、次世代大容量光ディスクとしてDVD−Rの開発が進められている。記録容量向上の要素技術としては、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読みとりのための半導体レーザの短波長化等の技術開発が必要である。
【0017】
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダ、計測器用に670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。DVDドライブの場合、光源として630〜690nm帯のレーザダイオードの波長で規格化されている。一方、再生専用のDVD−ROMドライブは波長約650nmで商品化されている。
【0018】
波長630〜690nmのレーザーを用いた光ピックアップで記録再生する光記録媒体の記録層の一つとしてスクアリリウム金属キレート化合物があげられるが、この化合物は光劣化が著しく安定性に乏しい。また、高耐光性を示す色素としてホルマザン金属キレート化合物があげられるが、この色素を記録層に用いたメディアは反射率が低いなどの問題があった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いるDVD−Rディスクシステムに適用可能な光記録媒体中の記録材料、特に、スクアリリウム金属キレート化合物を用いた光記録媒体における耐光性、保存安定性に優れた記録材料、該記録材料を用いた光記録方法、および光記録装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決する手段について種々検討した結果、特に、スクアリリウム化合物を金属キレート化することにより、光安定性を増し、吸収係数も向上させることができるので、これらの構造を有する色素とホルマザン金属キレート化合物とを混合したものを主成分として記録層とすることにより、発振波長690nm以下の半導体レーザーを用いる次世代大容量光ディスクシステムに適用可能であり、かつ、耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体が得られることを見いだし本発明に至った。
【0021】
すなわち、本発明の第1は、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、該記録層中に下記一般式( III )
【化5】
[式中、R 1 及びR 2 は同一または相異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。Mは配位能を有している金属原子を表す。mは2あるいは3の整数を表す。Xは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、またはZ 3 =CH−(Z 3 は置換基を有していても良い複素環基を表す)を表す。]で表されるスクアリリウム化合物と金属からなるスクアリリウム金属キレート化合物と、下記一般式(I)
【化6】
[式中、Zは窒素原子を含む置換または無置換の5員環、または6員環の複素環を形成する残基を表す。該含窒素複素環には他の芳香環が縮合していても良い。Aは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい複素環残基、または置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基を表す。Bは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。]および/または下記一般式(II)
【化7】
[式中、Z1、Z2はそれぞれ窒素原子を含む置換または無置換の5員環、または6員環の複素環を形成する残基を表す。該含窒素複素環には他の芳香環が縮合していても良い。A1、A2はそれぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい複素環残基、または置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基を表す。B1、B2はそれぞれ置換基を有していてもよいアルキレン基、または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Wは−CH2−または−SO2−を表す。nは0または1の整数である。]で表されるホルマザン化合物と金属からなるホルマザン金属キレート化合物とを、少なくとも一種類ずつ含有していることを特徴とする光記録媒体にある。
【0027】
本発明の第2は、スクアリリウム金属キレート化合物のより最適構造に関し、一般式(III)中のXが下記一般式(IV)
【化8】
[式中、R3およびR4は同一または相異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、あるいはR3とR4は隣接する炭素原子と一緒になって、脂環式炭化水素環または複素環を形成してもよい。R5は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。R6はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが2〜4の場合、R6は同一または異なってもよく、さらに互いに隣り合う2つのR6が隣接する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい芳香族環を形成してもよい。]である前記第1の光記録媒体にある。
【0028】
本発明の第3は、スクアリリウム金属キレート化合物の最適金属種に関し、その金属Mがアルミニウムである前記第1または第2の光記録媒体にある。
【0033】
本発明の第4は、限定波長を用いた場合の記録方法に関し、前記第1〜3の光記録媒体に600〜720nmの記録波長で記録することを特徴とする光記録方法にある。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は前記のスクアリリウム金属キレート化合物とホルマザン金属キレート化合物との併用に特徴を有するものであり、ここで、光記録媒体中における前記スクアリリウム金属キレート化合物とホルマザン金属キレート化合物の配合割合は、重量比で90:10〜50:50であるのが好ましい。上記の範囲内であると耐光性や反射率の点で好ましい。
【0036】
先ず、ホルマザン金属キレート化合物の説明から進める。
前記一般式(I)および(II)での置換基Z、Z1、Z2は、窒素原子を含む置換または無置換の5員環、または6員環の複素環を形成する残基を表し、A、B、A1、A2、B1、B2はそれぞれ一般式(I)および一般式(II)中に示す位置に結合している置換基を表す。Wは−CH2−または−SO2を表し、n=0のときはB1とB2とが直接結合している。
【0037】
Z、Z1、Z2の具体例としては、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環等を形成する残基が挙げられる。これらの含窒素複素環は、置換基を有していても良いし、他の芳香環が縮合していても良い。
【0038】
前記の置換基の具体例としては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボキサミド基、置換基を有していてもよいアリールカルボキサミド基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
【0039】
A、A1、A2の具体例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基等があげられる。
【0040】
Bの具体例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基等があげられる。
【0041】
B1、B2の具体例は、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基等があげられる。
【0042】
アルキル基の具体例としては炭素数1〜15のものが挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、1−イソプロピルペンチル基、1−イソプロピル−2−メチルブチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−プロピルヘキシル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基、ネオペンチル基、tert−ブチル基、tert−ヘキシル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンチル基)等のシクロアルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数1〜8のものが好ましい。
また、アルキレン基としては、前記アルキル基から水素原子を1つ除いたものが挙げられる。
【0043】
前記アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、特定の置換基を有していてもよい(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていてもよい)アリール基、複素環残基等を以て置換されていてもよい。また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0044】
酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基等が、硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が、窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0045】
アルケニル基の具体例としては、炭素数2〜6の、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、メタクリル基、クロチル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基の置換基としては、前記のアルキル基の置換基と同様のものが挙げられる。
【0046】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントラニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
【0047】
また、アリーレン基としては、前記アリール基から水素原子を1つ除いたものが挙げられる。
【0048】
前記アリール基は、アルキル基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、特定の置換基を有していてもよい(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていてもよい)アリール基、複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0049】
複素環残基の具体例としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノキサリニル基等が挙げられる。
【0050】
前記複素環残基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基、特定の置換基を有していてもよい(例えば、ハロゲン原子もしくはニトロ基により置換されていてもよい)アリール基、置換基を有していてもよい複素環残基等を以て置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
【0051】
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。
【0052】
置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例は、酸素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0053】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基の具体例は、酸素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0054】
置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例は、硫黄原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0055】
置換基を有していてもよいアリールチオ基の具体例は、硫黄原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0056】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基の具体例は、窒素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合し、酸素原子、窒素原子等を含んでピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等の様に環を形成していても良い。
【0057】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基の具体例は、窒素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0058】
置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基の具体例は、カルボニル基の炭素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例をあげることができる。
【0059】
置換基を有していてもよいアリールカルボニル基の具体例は、カルボニル基の炭素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例をあげることができる。
【0060】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例は、O(C=O)の酸素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0061】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基の具体例は、O(C=O)の酸素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0062】
置換基を有していてもよいアルキルカルボキサミド基の具体例は、カルボキサミドの炭素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0063】
置換基を有していてもよいアリールカルボキサミド基の具体例は、カルボキサミドの炭素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0064】
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基の具体例は、カルバモイル基の窒素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。また、アルキル基同士が結合し、酸素原子、窒素原子等を含んでピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等の様に環を形成していても良い。
【0065】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基の具体例は、カルバモイル基の窒素原子に直接置換基を有していてもよいアリール基が結合されているものであればよく、アリール基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0066】
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基の具体例は、スルファモイル基の窒素原子に直接置換基を有していてもよいアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基および置換基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
【0067】
ホルマザン金属キレート化合物における金属原子の具体例としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、またはそれらの酸化物もしくはハロゲン化物等が挙げられ、特にバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウムのホルマザン金属キレート化合物は、光記録材料として光学特性が優れている。ハロゲン化物の中では、塩化物が好ましく使用される。
【0068】
次に、スクアリリウム金属キレート化合物について説明する。
本発明の光記録媒体では、記録再生波長に600〜720nmのレーザー光を用いることが好ましいが、この波長での光学特性から、スクアリリウム金属キレート化合物の中でも特に一般式(III)で表されるものが好ましい。
【0069】
【化9】
[式中、R1及びR2は同一または相異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基等を表す。Mは配位能を有している金属原子を表す。mは2あるいは3の整数を表す。Xは置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基またはZ3=CH−(Z3は置換基を有していても良い複素環基を表す)等を表す。]
【0070】
前記一般式(III)中のXとしては、下記一般式(IV)で表されるものが好ましい。
【0071】
【化10】
[式中、R3およびR4は同一または相異なって、置換基を有していてもよいアルキル基等を表すか、あるいはR3とR4は隣接する炭素原子と一緒になって、脂環式炭化水素環または複素環を形成してもよい。R5は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基等を表す。R6はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ニトロ基、シアノ基、または置換基を有していてもよいアルコキシ基等を表し、nは0〜4の整数を表し、nが2〜4の場合、R6は同一または異なってもよく、さらに互いに隣り合う2つのR6が隣接する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい芳香族環を形成してもよい。]
【0072】
前記式(III)あるいは(IV)での置換基の定義において、アルキル基およびアルコキシ基におけるアルキル部分としては、直鎖あるいは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜8の環状アルキル基等が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0073】
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0074】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等が挙げられる。
【0075】
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0076】
アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、芳香族環または複素環基の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基等が挙げられる。ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基としては、前記と同様なものが挙げられる。
【0077】
アルキル基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子およびアルコキシ基としては、前記と同様なものが挙げられる。
【0078】
アミノ基の置換基としては、同一または異なって1〜2個のアルキル基が挙げられ、この場合のアルキル基は前記と同様である。
【0079】
配位能を有している金属原子としては、例えばアルミニウム、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、イリジウム、バナジウム、チタン等が挙げられ、中でも、銅、アルミニウム、ニッケルが好ましく、特にアルミニウムのスクアリリウム金属キレート化合物は、光記録材料として光学特性が優れている。
【0080】
隣り合う2つのR6が隣接する2つの炭素原子と一緒になって形成する芳香族環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
【0081】
一般式(III)のZ3における複素環基以外の複素環基における複素環、またはR3とR4が隣接する炭素原子と一緒になって形成する複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族あるいは脂肪族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族あるいは脂肪族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
【0082】
一般式(III)のZ3の複素環基としては、インドリン−2−イリデン、ベンズ〔e〕インドリン−2−イリデン、2−ベンゾチアゾリニリデン、ナフト〔2,1−d〕チアゾール−2(3H)−イリデン、ナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン、1,4−ジヒドロキノリン−4−イリデン、1,2−ジヒドロキノリン−2−イリデン、2−ベンゾセレナゾリニリデン等があげられる。
【0083】
R3とR4が隣接する炭素原子と一緒になって形成する脂環式炭化水素環としては、炭素数3〜8のものが挙げられ、飽和または不飽和のものであってもよく、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロペンテン環、1,3−シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等が挙げられる。
【0084】
続いて前記化合物(III)の一般的な製法について説明する。
【化11】
【0085】
【化12】
【0086】
【化13】
【0087】
【化14】
[式中、R1、R2、X、Mおよびmは前記と同義であり、Yは水素、カリウム、ナトリウム等を表し、Meはメチルを表す。]
【0088】
前記反応式(1−a)において、化合物(VII)は、化合物(V)と0.5〜2倍モルの化合物(VI)とを、要すれば塩基存在下、溶媒中、室温〜40℃で30分〜15時間反応させることにより得られる。
塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基またはトリエチルアミン、ナトリウムメトキシド等の有機塩基が用いられる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド等が用いられる。
【0089】
前記反応式(1−b)において、化合物(VIII)は、化合物(VII)をアルカリ性溶媒中、または酸性溶媒中、室温〜40℃で30分〜15時間処理することにより得られる。
アルカリ性溶媒としては、例えば、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。酸性溶媒としては、例えば、塩酸の50%容量/容量のジメチルスルホキシド水溶液、塩酸の50%容量/容量のジメチルホルムアミド水溶液等が用いられる。
【0090】
前記反応式(1−c)において、化合物(IX)は、化合物(VIII)と0.5〜2倍モルのX−Hとを、要すれば、0.5〜2倍モルの塩基存在下で、溶媒中、80〜120℃で1〜15時間反応させることにより得られる。
溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等の炭素数2〜8のアルコール系溶媒のみ、または該アルコール系溶媒とベンゼン、トルエンもしくはキシレンとの混合溶媒(アルコール50容量/容量%以上)等が用いられる。塩基としては、例えば、キノリン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基または炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等が用いられる。
【0091】
前記反応式(1−d)において、化合物(III)は、化合物(IX)と0.5〜2倍モルのMm +とを、必要に応じて、0.5〜2倍モルの酢酸存在下で、溶媒中、室温〜120℃で1〜15時間反応させることにより得られる。
Mm +を与える原料としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシド、塩化アルミニウム、塩化銅、酢酸銅、酢酸ニッケル等が用いられる。
溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が用いられる。
【0092】
記録層材料に要求される物性として、光学的特性、熱的特性および耐光性が挙げられる。
【0093】
光学的特性として、DVD−R等の記録再生波長である600〜720nm、好ましくは630〜690nmに対して短波長側に大きな吸収帯を有し、かつ記録再生波長が上記吸収帯の長波長端近傍にあることが好ましい。これは、記録再生波長である600〜720nmにおいて、上記記録層材料が大きな屈折率および所定の消衰係数を有することを意味する。
具体的には、上記吸収帯の長波長端近傍の記録再生波長±5nmの波長領域において、記録層単層の屈折率nが1.5以上かつ3.0以下でより大きいほうが好ましく、消衰係数kが0.02以上かつ0.3以下の範囲にあることが好ましい。nが1.5以上の場合には、充分な光学的変化が得られるため、反射率及び記録変調度がより高くなるため好ましく、nが3.0以下の場合には、波長依存性が高くならず、記録再生波長領域の光で再生エラーが起きにくく好ましい。また、kが0.02以上の場合には、記録感度が良くなるため好ましく、kが0.3以下の場合には、50%以上の反射率をより得やすく好ましい。
また、クロロホルム溶液状態で測定された最大吸収波長(λmax)は550〜600nmの範囲にあるものが好ましく、さらに、吸光係数が大きいほど屈折率nも大きくとれるため、そのlogε(εはモル吸光係数)は5以上のものが好ましい。
【0094】
熱的特性として、分解温度が特定の温度範囲にあることが好ましい。具体的には分解温度が350℃以下であるものが好ましく、250〜350℃の範囲にあるものがより好ましい。分解開始温度が350℃以下であると、記録レーザ光のパワーを高くする必要がなく、250℃以上であると記録安定性の点で好ましい。
【0095】
さらに、耐光性として、繰り返し100万回以上の再生安定性と室内放置下で褪色しない堅牢性があることが好ましい。
【0096】
基板は通常、深さ1000〜2500Åの案内溝を有している。トラックピッチは、通常、0.7〜1.0μmであるが、高容量化の用途には0.7〜0.8μmが好ましい。溝幅は、半値幅で0.18〜0.40μmが好ましい。0.18μm以上では十分なトラッキングエラー信号強度を得やすく好ましい。また、0.40μm以下の場合には、記録したときに記録部が横に広がりにくく好ましい。
【0097】
次に、本発明の光記録媒体の構成について述べる。
図1は、本発明の光記録媒体に適用し得る層構成例を示す図で、これは追記型光ディスクの例である。基板1の上に、必要に応じて下引き層3を介して、記録層2を設け、更に必要に応じ保護層4が設けられている。また、必要に応じて基板1の下にハードコート層5を設けることができる。
【0098】
図2は、本発明の光記録媒体に適用し得る別のタイプの層構成例を示す図で、これはCD−Rメディアの例である。図1の構成の記録層2の上に金属反射層6が設けられている。
【0099】
図3は、本発明の光記録媒体に適用し得る別のタイプ(DVD−R用)の層構成例を示す図で、この場合、図2の構成の保護層4の上に接着層8と保護基板7が設けられている。
【0100】
即ち、本発明の光記録媒体は、図1及び図2に示した構成の記録層(有機薄膜層)を内側にして、他の基板と空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にすることもできるし、また保護層を介して接着した貼合せ構造にすることもできる。
【0101】
本発明の光記録媒体をDVD−R用として適用する場合、該光記録媒体は、第一の基板と第二の基板(以降第1基板、第2基板と記すことがある)とを記録層を介して接着剤で張り合わせた構造を基本構造とする。記録層は有機色素単層でもよく、反射層を高めるため有機色素層と金属反射層との積層でもよい。記録層と基板間は下引き層あるいは保護層を介して層成してもよく、機能向上のためそれらを積層化した構成でもよい。最も通常に用いられるのは、第1基板/有機色素層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板構造である。
【0102】
(基板)
基板の必要特性としては基板側より記録再生を行う場合のみ使用レーザー光に対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行う場合基板は透明である必要はない。従って、本発明では、基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、例えば一方の基板(第2の基板)のみが透明であれば、他方の基板(第1の基板)の透明、不透明は問わない。
基板材料としては例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等のプラスチック、ガラス、セラミックあるいは金属等を用いることができる。
なお、基板を1層しか用いない場合はその基板表面に、また基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は第1の基板の表面に、トラッキング用の案内溝や案内ピット、さらにアドレス信号等のプレフォーマットが形成されていても良い。
【0103】
(記録層)
記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じ、その変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の特徴とする色素混合物[スクアリリウム金属キレート化合物と前記一般式(I)および/または(II)で表されるホルマザン金属キレート化合物との混合物]が含有されていることが必要である。
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を表1〜3に示し、前記一般式(III)で表されるスクアリリウム金属キレート化合物の具体例を表4〜6に示す。
以下表中の、nPrはn−プロピルを表し、iPrはイソプロピルを表し、nBuはn−ブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0104】
記録層の形成にあたっては前記本発明の特徴とする色素混合物を1種ずつ、又は複数の組合せで用いてもよい。さらに、本発明の特徴とする前記色素混合物の他に、光学特性、記録感度、信号特性等の向上の目的で他の有機色素を混合又は積層化しても良い。
【0105】
このような他の有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、及び金属キレート化合物等が挙げられ、これら色素は単独で用いてもよいし、2種以上の組合せにしてもよい。
【0106】
前記色素混合物中に金属、金属化合物例えば、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cd等を分散混合あるは積層の形態で用いることもできる。
【0107】
さらに、前記色素混合物中に高分子材料例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の材料もしくはシランカップリング剤等を分散混合して用いてもよいし、あるいは特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を一緒に用いることもできる。
【0108】
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶液塗布等の通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には前記色素混合物等を有機溶剤等に溶解してスプレー、ローラーコーティング、ディッピングおよび、スピンコーティング等の慣用のコーティング法によって行われる。
【0109】
用いられる有機溶剤としては一般にメタノール、エタノール、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等が挙げられる。
【0110】
記録層の膜厚は好ましくは100Å〜10μm、より好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
【0111】
(下引き層)
下引き層は(a)接着性の向上、(b)水又はガス等のバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板や記録層の保護、(f)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等の形成等を目的として使用される。
【0112】
(a)の目的に対しては高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子物質、およびシランカップリング剤等を用いることができ、(b)及び(c)の目的に対しては、前記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN等、さらに金属、又は半金属、例えばZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等を用いることができる。また(d)の目的に対しては金属、例えばAl、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料等を用いることができ、(e)及び(f)の目的に対しては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
【0113】
下引き層の膜厚は好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0114】
(金属反射層)
金属反射層の材料としては、単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属等が挙げられ、これの具体例としてはAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn、Cu等が挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Al、Cuが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用しても良く、2種以上の合金としても良い。
金属反射層の膜形成法としては蒸着、スパッタリング等が挙げられ、膜厚は、好ましくは50〜5000Å、より好ましくは100〜3000Åである。
【0115】
(保護層、基板表面ハードコート層)
保護層、又は基板表面ハードコート層は(a)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記下引き層に示した材料を用いることができる。また、無機材料としてSiO、SiO2等も用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂、紫外線硬化樹脂等も用いることができる。前記材料のうち保護層、又は基板表面ハードコート層に最も好ましい例としては生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
【0116】
保護層又は基板表面ハードコート層の膜厚は好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0117】
本発明においては、前記下引き層、保護層、及び基板表面ハードコート層には記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0118】
(保護基板)
保護基板はこの保護基板側からレーザー光を照射する場合、使用レーザー光に対し透明でなくてはならず、単なる保護板として用いる場合、透明性は問わない。使用可能な材料は前記の基板材料と全く同様であり、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等のプラスチック又は、ガラス、セラミックあるいは、金属等を用いることができる。
【0119】
(接着剤、接着層)
2枚の記録媒体を接着できる材料なら何でもよく、生産性を考えると、紫外線硬化型もしくはホットメルト型接着剤が好ましい。
【0120】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例をあげて具体的に説明する。なお、実施例および比較例で使用する化合物は表1〜6に記載したものである。
【0121】
(実施例1)
溝深さ1750Å、半値幅0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物例A−4とB−4の混合物(混合比は表7参照)を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させ、その溶液をスピンナー塗布して厚さ1000Åの有機色素層を形成し、次いでスパッタ法により金1300Åの反射層を設け、その上にアクリル系フォトポリマーにて5μmの保護層を設けた。さらに厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板をアクリルフォトポリマーにて接着し光記録媒体とした。
【0122】
(実施例2〜10)
表7に示すような組み合わせの原料を用いて、実施例1と全く同様に光記録媒体を形成した。
【0123】
(比較例1)
スクアリリウム金属キレート化合物である化合物B−1のみを用い、実施例1と全く同様に光記録媒体を形成した。
【0124】
これらの光記録媒体の評価結果を表7に示す。
<記録条件>
これらの光記録媒体に発振波長658nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザー光を用い、トラッキングしながらEFM信号(線速3.5m/秒)を記録し、発振波長658nmの半導体レーザーの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、再生波形を観察した。
【0125】
<耐候テスト条件>
耐光テスト:4万Lux、Xe光、20時間連続照射
保存テスト:50℃、80%RH、800時間放置
【0126】
(評価結果)
【0127】
【表7】
【0128】
【発明の効果】
1)請求項1、2、3、4、5、6および10
600〜720nmの波長域のレーザー光で記録、再生が可能で、耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体が提供できた。特に、スクアリリウム金属キレート化合物を単独で用いたものに比べ、耐光性の優れた光記録媒体の提供が可能となった。
2)請求項7および8
前記第1の効果に加えて、安定した高反射率かつ高変調度で記録再生出来る光記録媒体が提供できた。
3)請求項9
前記第1の効果に加えて、安定した記録及び再生の出来る光記録媒体が提供できた。
4)請求項11
前記第1〜10の光記録媒体の効果を奏する光記録方法が提供できた。
5)請求項12
前記第1の効果を奏する光記録装置の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の記録媒体に適用し得る追記型光ディスクの層構成例の断面模式図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の記録媒体に適用し得るCD−Rメディアの層構成例の断面模式図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の記録媒体に適用し得るDVD−Rメディアの層構成例の断面模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 ハードコート層
6 反射層
7 保護基板
8 接着層
Claims (4)
- 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、該記録層中に下記一般式( III )
- 一般式(III)中のXが下記一般式(IV)
- Mがアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2記載の光記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光記録媒体に600〜720nmの記録波長で記録することを特徴とする光記録方法。
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