JP4094077B2 - リサイクル情報の処理方法および設計支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品のリサイクル情報の処理方法及び、リサイクル可否によって部品を識別表示する設計支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境保全のため、製品のリサイクルが強く求められており、設計に際しては各部品のリサイクル可否を十分に考慮する必要がある。リサイクルを考慮した設計方法として、例えば、特開平7−16837号公報に記載の製品設計方法がある。この方法では、種々の材質をあらかじめリサイクルを含む製品の再資源化に対する適性という視点で評価し、これを用いて高評価の材質の部品によって製品を構成するようにしている。
【0003】
また、設計した製品の環境負荷を予測する方法として、製品の分解作業のしやすさを評価する分解性評価法、製品の製造から処分にいたる総合環境負荷を評価するライフサイクルアセスメント(以下、LCAと略称)がある。分解性評価法は「山際:製品の設計から破棄まで;自動車技術,Vol.49,No.11,1995」に、LCAは特開平7−311760号公報にそれぞれ記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
リサイクルを考慮した従来の設計方法は、特開平7−16837号のように、設計初期に再資源化に適した材質を選ぶための方法である。しかし、実際の設計では再資源化に対する適性以外に強度等を考慮しなければならない。このため、再資源化に対する適性という視点のみで材質を選ぶことはできない。また、上記の分解性評価法やLCAは、製品の分解作業のしやすさや、環境負荷を評価する方法であって、各部品のリサイクル可否を判定するものではない。
【0005】
リサイクル可能な材質の部品であっても、他の材質の部品と分解できなければリサイクルはできない。そこで、設計の後期において設計した製品のリサイクル可否を部品単位に評価する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の状況に鑑み、製品の設計段階で部品単位にリサイクル可否の判定を行なうリサイクル情報の処理方法及び、その判定結果を設計者に分かりやすく表示する設計支援装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、再利用可能な材質や分解に関する知識データを予め登録しておき、対象製品の各部品の形状を表す形状データと、各部品に関する材質や結合関係を含むリサイクル属性データを入力し、前記知識データを参照して前記リサイクル属性データから部品毎のリサイクル可否を判定し、判定結果に応じて前記対象製品の形状をリサイクル可否の識別可能に表示することにより達成される。
【0008】
前記リサイクルの可否は、部品毎にその材質の再利用可否を調べ、材質が再利用可能な部品に対しては他の部品との結合関係が分解可能であるか調べ、分解可能であれば当該部品のリサイクルは可能と判定し、分解不可能であれば当該部品と分解不可の結合関係にある全ての部品の材質が当該部品と同一であるか調べ、同一な場合に当該部品のリサイクルは可能と判定することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的は、計算機装置を備え、各部品の形状データを入力し、その形状を表示して対象製品の設計を支援する設計支援装置において、再利用可能な材質や分解に関する知識データを予め登録しておくリサイクルデータベースと、対象製品の各部品の前記形状データやリサイクル属性データを入力する入力部と、前記知識データを参照しながら、前記リサイクル属性データに基づいて前記部品毎にリサイクルの可否を判定するリサイクル可否判定部と、リサイクル可否の判定結果に応じて、リサイクル可能な部品と不可能な部品を区別するリサイクル識別データを作成するリサイクル表示データ作成部と、前記形状データと前記リサイクル識別データから対象製品の形状を表示する表示部と、前記形状データ、前記リサイクル属性データ、前記リサイクル識別データを記憶するメモリを設けたことにより達成される。
【0010】
前記リサイクル表示データ作成部は、前記リサイクル可能な部品と不可能な部品を表示色、シェーディングまたは線種あるいはそれらの組み合わせによって区別するリサイクル識別データを作成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、各部品の材質や結合関係などのリサイクル属性データから部品毎のリサイクル可否が判定できるので、その判定結果を表示色やシェーディングに反映することで、対象製品の設計図である形状表示において各部品のリサイクル可否が一目で分かるように表示できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって詳細に説明する。図1は、一実施例による設計支援装置の構成図である。本設計支援装置は計算機装置で実現される。
【0013】
入力部101はキーボード、マウス等の操作装置とディスプレイ等の表示装置からなり、各部品の形状を表す形状データとリサイクルに関する属性データを入力する。リサイクル属性データには、部品の材質や部品間の結合関係等が含まれる。結合関係データはねじ、嵌め合い、接着等、部品間の固定方法を示す。
【0014】
メモリ部102は、入力部101から入力した形状データとリサイクル属性データを記憶する。リサイクルDB104は、リサイクルの知識データを記憶する。知識データは、リサイクル属性データとリサイクル可否要因の対応関係を示す。例えば、材質と再材料化可否の対応、結合関係と分解可否の対応などを表す。
【0015】
リサイクル可否判定部103は知識データを参照しながら、各部品のリサイクル属性データを評価し、部品毎のリサイクル可否を判定する。表示対応DB106は、リサイクル可否とリサイクル識別データとの対応を示す表示対応データを記憶する。リサイクル識別データは、各部品をリサイクル可否によって区別して表示するもので、表示色の違い、シェーディングするしない、ハイライトするしない、線種の違い等による。
【0016】
リサイクル表示データ作成部105は、リサイクル可否判定部103の判定結果と表示対応DB106に記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成してメモリ部102に記憶する。表示部107は、ディスプレイ等の表示装置からなり、メモリ部102に記憶した形状データとリサイクル識別データから形状の表示を行なう。
【0017】
なお、リサイクル可否判定部103の機能、リサイクル表示データ作成部105の機能及び入力部101や表示部107の一部機能は中央処理装置(CPU)によって実現される。また、入力部101、表示部107を構成する装置はその一部を兼用することもできる。
【0018】
図2は、一実施形態によるリサイクル情報処理方法の概略フロー図である。入力ステップS1001は、製品の各部品の形状を表す形状データとリサイクル属性データを入力する。メモリステップS1002は、入力された形状データとリサイクル属性データを記憶する。リサイクル可否判定ステップS1003は、記憶したリサイクル属性データから各部品のリサイクル可否を判定する。リサイクル表示データ作成ステップS1004は、各部品のリサイクル判定結果からリサイクル識別データを作成する。形状表示ステップS1005は、上記形状データと上記リサイクル識別データから、リサイクル可否情報を反映した形状の表示を行なう。
【0019】
図3に、形状データのフォーマットを示す。部品1、部品2などの部品名301毎に、部品の幾何情報302を記憶している。幾何情報302とは、形状を構成する線や面の情報で、例えば直線の始点と終点の座標値で表現する。
【0020】
図4に、リサイクル属性データのフォーマットを示す。同図(a)は、リサイクル属性の一種である「材質データ」で、種別401に設定される。そして、部品名402毎に材質403を記憶している。例えば、部品1の材質はセラミックス、部品2の材質は銅、部品3の材質はアルミである。
【0021】
同図(b)は、リサイクル属性の一種である「結合関係データ」で、種別401に設定される。そして、結合関係に有る部品名の組404と、その結合関係405を記憶している。例えば、部品1と部品5がねじ結合、部品2と部品3が嵌め込み、部品3と部品4および部品3と部品5が接着である。以下では、リサイクル属性データとして「材質」と「結合関係」をもつを例で説明する。
【0022】
図5に、リサイクル可否判定の処理フロー図を示す。リサイクル可否判定部105は、メモリ部102に記憶したリサイクル属性データとリサイクルDB104に記憶した知識データから各部品のリサイクル可否を判定する。
【0023】
まず、部品毎にその材質データから再材料化可否を判定する(S2001)。再材料化不可ならば、「リサイクル不可」と判定する(S2004)。再材料化可能ならば、結合関係データから分解可否を判定する(S2002)。分解可能ならば「リサイクル可能」と判定する(S2005)。一方、分解不可ならば、分解不可の結合関係にある全ての相手部品の材質データをチエックし、全ての部品が判定対象の部品と同じ材質ならば「リサイクル可能」と判定する(S2003)。もし、一つでも違う部品があれば「リサイクル不可」と判定する。
【0024】
図6に、リサイクルDBに記憶された知識データの一例を示す。同図(a)は材質と再材料化可否の対応を示し、材質601毎に可/否データ602が記憶されている。同図(b)は部品の結合関係と分解可否の対応を示し、結合関係603毎に可/否データ604が記憶されている。
【0025】
ちなみに、図2、図3の部品データを例にとると、部品1は材質がセラミクスなので、S101でリサイクル不可と判定する。部品2は材質が銅なので、再材料化可能と判定され、結合関係は部品3との嵌め込みのみなのでS102でリサイクル可能と判定する。部品3は材質がアルミなので再材料化可能であるが、部品4及び部品5と接着され、分解不可のためリサイクル不可と判定される。
【0026】
リサイクル表示データ作成部105は、リサイクル可否判定部103の判定結果と表示対応DB106に記憶した表示対応データから、リサイクル識別データを作成する。
【0027】
図7に、色分けによるリサイクル識別データの例を示す。同図(a)は、表示対応DB106に記憶されているリサイクル可否と表示色の対応を示す表示対応データの例である。リサイクル判定結果(可/否)701に対し、表示色702が設定されている。ここでは、リサイクル可能が赤、リサイクル不可が白である。同図(b)は、各部品のリサイクル可否判定結果703に基づいて、対応される表示色704の例である。リサイクル可能な部品2には赤、リサイクル不可能な部品1、3には白の表示色が設定される。
【0028】
本実施形態によれば、製品の部品毎に、その材質と他部品との結合関係からリサイクル可否を判定して識別表示するので、設計の段階で各部品のリサイクルのしやすさや、製品に占めるリサイクル実現の程度を簡単に把握できるので、製品の再資源化を促進する設計支援が可能になる。
【0029】
なお、リサイクル可否の識別には、上記の色別のほかにも、シェーディングの付加や線幅/線種の変更などが用いられる。たとえば、リサイクル不可の部品をシェーディングして表示するとともに、不可要因が分解不可能な場合は当該部品間の結合部を特殊な線種で表示するようにしてもよい。さらに、リサイクル実現の程度として、製品中に占めるリサイクル可能部品の体積率などを算出して表示するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、製品中の各部品のリサイクルの可否を、部品の材質や結合関係などの属性データから判定できるので、資源の再利用に寄与するリサイクル情報の提供が可能になる。
【0031】
本発明によれば、設計段階で各部品のリサイクルの可否を簡単に把握することができるので、リサイクルしやすい製品設計を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による設計支援装置の構成図。
【図2】本発明の一実施形態によるリサイクル情報処理方法を示すフローチャート。
【図3】製品の形状データの例を示すテーブル。
【図4】リサイクル属性データである材質データ及び結合関係データの例を示すテーブル。
【図5】リサイクル可否判定の処理方法を示すフローチャート。
【図6】リサイクルDBに格納されている知識データの例を示すテーブル。
【図7】リサイクル可/否と表示対応データ及び、それに基づくリサイクル識別データの例を示すテーブル。
【符号の説明】
101…入力部、102…メモリ部、103…リサイクル可否判定部、104…リサイクルDB、105…リサイクル表示データ作成部、106…表示対応DB、107…表示部。
Claims (4)
- 計算機装置を備え、各部品の形状データを入力し、その形状を表示して対象製品の設計を支援する設計支援装置におけるリサイクル情報の処理方法であって、
前記設計支援装置は、再利用可能な材質や分解に関する知識データと、リサイクル可否判定結果に対して表示色の違い等による識別法を設定した表示対応データと、を予め登録したデータベースと、入力部、リサイクル可否判定部、リサイクル表示データ作成部、及び表示部をさらに備え、
前記入力部を介して対象製品の各部品の形状を表す形状データと、各部品に関する材質や結合関係を含むリサイクル属性データの入力を受け付け、
前記リサイクル可否判定部が、前記知識データと前記リサイクル属性データを参照して、設計した対象製品の構成部品毎に材質と他部品との結合関係からリサイクル可否を判定し、
前記リサイクル表示データ作成部が、前記判定の結果と前記表示対応データとに基づいて、各部品の表示方法を示すリサイクル識別データを作成し、
前記表示部が、前記各部品の形状を表す形状データと前記リサイクル識別データに応じて、前記対象製品の設計図である形状表示において各部品のリサイクル可否を識別可能に表示することを特徴とするリサイクル情報の処理方法。 - 請求項1において、前記リサイクル可否判定部によるリサイクル可否の判定は、前記知識データを参照して部品毎にその材質の再利用可否を調べ、材質が再利用可能な部品に対しては他の部品との結合関係が分解可能であるか調べ、分解可能であれば当該部品のリサイクルは可能と判定し、分解不可能であれば当該部品と分解不可の結合関係にある全ての部品の材質が当該部品と同一であるか調べ、同一な場合に当該部品のリサイクル可能と判定することを特徴とするリサイクル情報の処理方法。
- 計算機装置を備え、各部品の形状データを入力し、その形状を表示して対象製品の設計を支援する設計支援装置において、
再利用可能な材質や分解に関する知識データと、リサイクル可否判定結果に対して表示色の違い等による識別法を設定した表示対応データと、を予め登録したデータベースと、対象製品の各部品の形状データやリサイクル属性データを入力する入力部と、リサイクル可否判定部、リサイクル表示データ作成部、及び表示部をさらに備え、
前記リサイクル可否判定部が、前記知識データと前記リサイクル属性データを参照して、設計した対象製品の構成部品毎に材質と他部品との結合関係からリサイクル可否を判定し、
前記リサイクル表示データ作成部が、前記判定の結果と前記表示対応データとに基づいて、各部品の表示方法を示すリサイクル識別データを作成し、
前記表示部が、前記各部品の形状を表す形状データと前記リサイクル識別データに応じて、前記対象製品の設計図である形状表示において各部品のリサイクル可否を識別可能に表示することを特徴とする設計支援装置。 - 請求項3において、前記リサイクル表示データ作成部は、前記リサイクル可能な部品と不可能な部品を表示色、シェーディングまたは線種あるいはそれらの組み合せによって区別するリサイクル識別データを作成することを特徴とする設計支援装置。
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