JP4093781B2 - 超音波ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動発生手段による超音波振動にて共振する共振体の作用面を対象物に押圧して超音波エネルギーを対象物に付与する超音波ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、互いに接合すべき対象物を重ね合わせて支持台上に設置し、超音波ヘッドにて上部の対象物を押圧した状態で対象物の接合面とほぼ平行な超音波振動を負荷することによって、対象物の接合面に超音波エネルギーを付与して拡散溶融接合する超音波接合装置が知られている。
【0003】
このように接合面にほぼ平行する超音波振動を対象物に印加するようにした超音波接合装置としては、一般的に超音波振動発生手段の出力端に共振体の一端を結合し、共振体の他端部に接合面と平行な作用面を設け、その作用面にて対象物を押圧するように移動手段にて共振体と支持台を遠近方向に相対移動させるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、接合面における接合面積が広い場合や、複数の接合点で接合する場合にはその合計面積が広い場合には、接合を確保するために押圧荷重を大きくする必要があるとともに、作用部材の作用面と対象物の接合面の平行度を極めて高く保たないと接合面の全体を確実に接合することができないという問題があるが、大きな押圧荷重を負荷すると共振体に曲げモーメントが作用し、共振体の撓みによって作用面が傾斜し、精度の高い平行度を得ることはできず、特に複数の接合点が広い接合面に分散して配設されている場合には平行度の確保が極めて困難で、信頼性の高い接合が確保することができないという問題がある。
【0005】
また、接合面積が広い場合に、作用面の傾斜を生じない範囲の押圧荷重を負荷しつつ超音波振動を付与すると、その超音波振動によって付与できる接合エネルギーが不足し、十分に信頼性の高い接合状態を得るのが困難な場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、接合面における接合面積が広い場合にも確実に高い信頼性をもって超音波接合することができる超音波ヘッドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波ヘッドは、超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、加熱手段は、共振体の両側に対向する部分に配設したヒータにて構成し、ヒータの熱を共振体に輻射させて加熱するようにしたものであり、共振体の作用面が傾斜しない程度の荷重を負荷しつつ共振体の一端から超音波振動を印加すると作用面から接合面に超音波振動エネルギーが付与されかつその作用面が加熱手段にて加熱されるので、大きな超音波振動エネルギーと熱エネルギーを同時に付与できるので、接合面における接合面積が広い場合にも接合面の全面を確実に高い信頼性をもって接合することができ特に、加熱手段が共振体と離間して配設されるので、超音波振動系に影響を与えずに所望の熱エネルギーを付与することができ、共振体の共振モードに悪影響を与えることなく、作用面近傍を効果的に加熱でき
【0009】
上記ヒータを、共振体の両側に対向する部分に埋設したカートリッジヒータにて構成すると、ヒータが安価で低コストにて構成でき、またヒータを、共振体の両側に対向する面に配設したセラミックヒータにて構成すると、所要箇所の全面を効率的に均一加熱することができる。
【0010】
また、超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、加熱手段を、共振体の両側に対向する部分に共振体に向けて熱風を吹き出すように配設された熱風吹き出し手段にて構成すると、熱風を共振体に吹き付けて熱伝達するので急速均一加熱することができる。
【0011】
さらに、以上の加熱手段に加えて、共振体の側面と支持ブラケットの共振体に対向する面の少なくとも一方に伝熱用フィンを設けると、さらに伝熱効率が高くなり、熱効率良く急速均一加熱することができる。
【0014】
また、超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、超音波振動発生手段の外周と共振体とを連結する連結軸の外周を取り囲むように、冷却部又は保温部を設けると、上記加熱手段の加熱によって共振体が加熱され、その熱が超音波振動発生手段に伝達されて動作特性が低下したり、破損したりするのを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の超音波ヘッドの一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
図1において、1は超音波ヘッドで、接合ヘッド本体2に上下摺動自在に配設され、ボイスコイルモータやシリンダ等の上下駆動手段(図示せず)にて昇降駆動されるスプライン軸3の下端部に固定手段4及び平行度調整機構5を介して取付けられている。平行度調整機構5は、上部板5aと下部板5bを中央の連結軸5cを介して連結するとともに上部板5aを貫通させて螺合した3本の調整ねじ5dの下端を下部板5bの上面に当接させ、調整ねじ5dのねじ込み調整によって下部板5bの傾きを調整できるように構成されている。
【0018】
超音波ヘッド1は、超音波振動発生手段6と共振体7と支持ブラケット8にて構成され、支持ブラケット8の上端面8aが平行度調整機構5の下面に取付けられている。共振体7は、全体形状が略ブロック状で、その一端の基端面9に超音波振動発生手段6が結合され、他端一側部に作用面10が設けられている。そして、共振体7は作用面10を水平にした状態で斜め上方に傾斜した姿勢で配設され、共振体7の共振モードの節の位置に設けられた取付部7aを支持ブラケット8に固定されている。この共振体7は、好適には超音波振動発生手段6にて基端面9に超音波振動を入力すると、作用面10でその面と略平行な振動となるような形状に構成するのが好適であるが、振動方向は必ずしも作用面と平行でなくても、5〜35°程度の傾斜した角度方向に超音波振動させるように構成してもよい。
【0019】
支持ブラケット8は、上端部の中央にスプライン軸3と同芯の位置決め穴8bが形成され、下部には共振体7が挿入配置される溝14とその両側の一対の対向板部15が形成されている。対向板部15の共振体7の先端部両側に対向する下部に加熱手段としてのカートリッジヒータ16が埋設され、対向板部15の下部を加熱し、その輻射熱にて共振体7の作用面10の近傍を加熱するように構成されている。
【0020】
また、図1に示すように、超音波振動発生手段6の外周と共振体7とを連結する連結軸11の外周を取り囲むように、冷却部若しくは保温部としての冷却チャンバ12が配設され、その流入口12aから冷却エアを導入し、流出口12bから排出することで、連結軸11や超音波振動発生手段6を冷却し、共振体7の加熱により伝わってくる熱を放熱させて超音波振動発生手段6の温度上昇を防止するように構成されている。また、連結軸11に温度監視手段としての熱電対13を埋め込み配置し、その温度を監視できるように構成されている。
【0021】
以上の構成において、図3に示すように、支持台31上に互いに接合すべき一方の対象物32を載置固定し、他方の対象物33をその上に配置し、または他方の対象物33を超音波ヘッド1の共振体7に設けた吸着手段(図示せず)にて保持した状態で、スプライン軸3を下降移動させて超音波ヘッド1を支持台31に向けて下降させ、共振体7の下端の作用面10と支持台31の上面との間で対象物32、33を挟圧し、さらにスプライン軸3を介して支持ブラケット8に所定の押圧荷重を作用させる。その状態で、超音波振動発生手段6にて共振体7の基端面9に超音波振動を入力し、さらにカートリッジヒータ16を作動させて加熱する。
【0022】
すると、接合面と平行な共振体7の作用面10が超音波振動するとともに、支持ブラケット8から共振体7に押圧荷重が負荷され、さらにカートリッジヒータ16にて対向板部15の下端部が加熱され、その輻射熱で共振体7の下端部の作用面10の近傍が加熱され、その熱が破線矢印で示すように、対象物33に伝熱されて対象物33が加熱され、対象物32、33の接合面に熱エネルギーが供給される。
【0023】
かくして、作用面10と互いに接合すべき対象物32、33の接合面の平行度を保持しつつ押圧荷重を作用させた状態で超音波振動を印加して超音波エネルギーを付与でき、かつそれと同時に熱エネルギーを付与できるので、接合面における接合面積が広い場合にも接合面の全面を確実に高い信頼性をもって接合することができる。また、対象物32、33間に予め封止材を配置しておくことにより、接合と同時にその封止材を硬化することができ、封止材の充填・硬化工程などを別途に設ける必要がなく、コスト低下を図ることができる。
【0024】
また、加熱手段を対向板部15に配設したカートリッジヒータ16にて構成し、ヒータ16の熱を共振体7に輻射させて加熱するようにしているので、超音波振動系に影響を与えずに所望の熱エネルギーを付与することができるとともに、カートリッジヒータ16を用いているので、ヒータが安価で低コストにて構成することができる。
【0025】
また、超音波振動発生手段6が冷却チャンバ12にて冷却され、カートリッジヒータ16によって共振体7が加熱され、その熱が超音波振動発生手段6に伝達されて動作特性が低下したり、破損したりするのを防止することができる。さらに、超音波振動発生手段6と共振体7の間の連結軸11に埋め込んだ熱電対13などの温度監視部を設けているので、知らずに超音波振動発生手段6に高熱が伝わって性能低下が生じるような事態を未然に検出して対策を講じることができるため、接合不良が大量発生するのを防止することができる。
【0026】
なお、図1〜図3に示した例では、支持ブラケット8の対向板部15にカートリッジヒータ16を埋設した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば図4(a)に示す第1の変形例のように、支持ブラケット8の本体部に対して少なくとも一方の対向板部15を着脱可能に装着し、この対向板部15にカートリッジヒータ16を埋設してもよい。また、図4(b)に示すように、共振体7と対向板部15の対向面の少なくとも一方に伝熱用フィン17を配設すると、対向板部15から共振体7への輻射による伝熱効率を高めることができる。
【0027】
また、図5(a)に示す第2の変形例のように、カートリッジヒータ16に代えて、面状のセラミックヒータ18を対向板部15の共振体7との対向面に配設しても良く、そうすると所要箇所の全面を効率的に均一加熱することができ、さらに図5(b)に示すように、共振体7とセラミックヒータ18の対向面の少なくとも一方に伝熱用フィン17を配設すると、セラミックヒータ18から共振体7への輻射による伝熱効率を高めることができる。
【0028】
また、図6(a)に示す第3の変形例のように、カートリッジヒータ16やセラミックヒータ18に代えて、熱風吹き出し手段19を対向板部15の共振体7との対向面に配設しても良く、そうすると熱風が共振体7に接触して伝熱されるので、急速に均一加熱することができ、さらに図6(b)に示すように、共振体7の両側面に伝熱用フィン17を配設すると、吹き出した熱風との熱交換率が向上して共振体7への伝熱効率を高めることができる。
【0029】
また、上記各例のように共振体7の両側の対向板部15に加熱手段を配設して間接加熱するものに限らず、図7に示す第4の変形例のように、共振体7に熱媒通路20を形成し、矢印で示すように熱媒供給手段21にてこの熱媒通路20に熱風などの熱媒を供給することで、共振体7を直接加熱するようにすることもでき、そうすると所要箇所の全面をさらに効率的に急速均一加熱することができる。熱媒供給手段21は、作用面10に近い部分に主として配設するのが好適である。
【0030】
また、図8に示す第5の変形例のように、共振体7の作用面10近傍に向けてレーザ光などの熱線を照射する熱線照射手段22(白抜き矢印で示す)を配設しても良く、そうすると共振体7の作用面10近傍を非接触にてかつ効率的に急速加熱することができる。さらに、熱線照射手段22に代えて、共振体7の作用面近傍に向けて電磁波を放射する手段を設けるとともに共振体7を強磁性にて構成し、共振体7の作用面10の近傍を電磁誘導加熱するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の超音波ヘッドによれば、超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、加熱手段は、共振体の両側に対向する部分に配設したヒータにて構成し、ヒータの熱を共振体に輻射させて加熱するようにしているので、共振体の作用面が傾斜しない程度の荷重を負荷しつつ共振体の一端から超音波振動を印加すると作用面から接合面に超音波振動エネルギーが付与されかつその作用面が加熱手段にて加熱され、したがって大きな超音波振動エネルギーと熱エネルギーを同時に付与できるので、接合面における接合面積が広い場合にも接合面の全面を確実に高い信頼性をもって接合することができ特に、加熱手段が共振体と離間して配設されるので、超音波振動系に影響を与えずに所望の熱エネルギーを付与することができ、共振体の共振モードに悪影響を与えることなく、作用面近傍を効果的に加熱できる。また、加熱により接合面間に予め配置された封止材の硬化も同時に行うことができ、製造工程の削減によってコスト低下を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波ヘッドの一実施形態の正面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】同実施形態における接合時の作用説明図である。
【図4】同実施形態における加熱手段の第1の変形例を示し、(a)は斜視図、(b)は改良例の側面図である。
【図5】同実施形態における加熱手段の第2の変形例を示し、(a)は斜視図、(b)は改良例の側面図である。
【図6】同実施形態における加熱手段の第3の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は改良例の側面図である。
【図7】同実施形態における加熱手段の第4の変形例を示す共振体の正面図である。
【図8】同実施形態における加熱手段の第5の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 超音波ヘッド
6 超音波振動発生手段
7 共振体
8 支持ブラケット
9 基端面
10 作用面
12 冷却チャンバ(冷却部)
13 熱電対(温度監視部)
15 対向板部
16 カートリッジヒータ(加熱手段)
17 伝熱用フィン
18 セラミックヒータ
19 熱風吹き出し手段
20 熱媒通路
21 熱媒供給手段
22 熱線照射手段

Claims (6)

  1. 超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、加熱手段は、共振体の両側に対向する部分に配設したヒータにて構成し、ヒータの熱を共振体に輻射させて加熱するようにしたことを特徴とする超音波ヘッド。
  2. ヒータは、共振体の両側に対向する部分に埋設したカートリッジヒータからなることを特徴とする請求項1記載の超音波ヘッド。
  3. ヒータは、共振体の両側に対向する面に配設したセラミックヒータからなることを特徴とする請求項1記載の超音波ヘッド。
  4. 超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、加熱手段は、共振体の両側に対向する部分に共振体に向けて熱風を吹き出すように配設された熱風吹き出し手段にて構成したことを特徴とする請求項1記載の超音波ヘッド。
  5. 共振体の側面と共振体に対向する面の少なくとも一方に、伝熱用フィンを設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の超音波ヘッド。
  6. 超音波振動発生手段と、一端面が超音波振動発生手段と結合され、他端面が作用面となる共振体と、共振体の作用面近傍に熱を付与する加熱手段とを備え、超音波振動発生手段の外周と共振体とを連結する連結軸の外周を取り囲むように、冷却部又は保温部を設けたことを特徴とする超音波ヘッド。
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