JP4093684B2 - 埋設型浄化構造体及び浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水の浄化に関し、より詳細には、地中に存在する汚染源から重金属等の汚染物質の拡散を防止しつつ重金属等の汚染物質の浄化が可能で、恒久的な汚染物質対策を提供することができ、さらには地上に浄化処理設備を設けずに、汚染源から生じた土壌や地下水の汚染を浄化することが可能な埋設型浄化用構造体及び浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国では、環境問題への意識の高まりに伴い、社会的に土壌・地下水の汚染に対して積極的に対策を施し、浄化することが求められつつある。地下環境においては、物質の移動が地上の場合に比して比較的少ないため一度汚染物質によって地下水等が汚染されると地上に比べて汚染物質が蓄積しやすいという傾向がある。このため、数十年前に埋設された汚染物質が現在において汚染を生じさせる汚染源となる場合も生じているのが現状である。このような場合、従来では汚染源を隔離するため、地中に汚染物質を封じ込めることが可能な地下連続壁を形成することが行われている。
【0003】
また、同様に地下に浸透した汚染物質の浄化は、産業廃棄物処分場や一般廃棄物処分場においても必要とされる場合がある。産業廃棄物処分場や、一般廃棄物処分場といった廃棄物処分場では、地盤に形成された凹所に沿って形成された遮水構造体内の廃棄物投棄部分に廃棄物が投棄される。この投棄された廃棄物が雨水に晒されると、廃棄物から重金属等が遊離して汚水が発生する。このような汚水は、通常遮水構造を形成する遮水シート等によって周辺環境へと漏れ出さないようにされている。しかしながら、遮水シート等が何らかの理由で破損してしまうとこのような汚水は周辺環境に漏れ出し、汚染してしまうことになる。このような状況に備えて、上述したと同様に汚水により発生した汚染源を隔離するため、遮水構造体とは別途構築される地下連続壁が必要な場合も生じる。
【0004】
また、特に汚水が発生する場合でなくとも例えば離島に建設されるような、地下水となって海に流れ出す雨水を蓄積して生活用水として用いるための地下ダムにおいても、このような地下連続壁が用いられている。このように地下連続壁は、地下水を遮断するために多用されており、特に上述したように土壌・地下水の重金属を含むような汚染を封じ込めるための対策技術の一つである地下連続壁を用いる方法では、地下連続壁を止水壁とし、地盤の不透水層と共に汚染源を取り囲む構造体を形成することで汚染の拡散を防止している。
【0005】
従来の地下連続壁を用いた重金属汚染対策では、地下連続壁は、汚染の拡散を防止するためのみに用いられていて汚染自体の浄化は行わないため、恒久的な汚染対策技術とはいえず、汚染源は残されたままとなる。このため、地下連続壁により汚染の拡散を防いだ後に浄化を実施する場合、別途、浄化技術が必要とされる。
【0006】
このような汚染源の浄化技術として、従来では例えば、汚染土壌を掘削して除去する掘削除去方法や、加熱によって地中の汚染物質を一部揮発させ、除去するとともに安定化する熱処理方法、汚染土壌を界面活性剤等の溶媒によって洗浄し、土粒子の大きさや物理的性状の違いにより清浄土と汚染濃縮土とを分別する洗浄・分級法等が提案されている。
【0007】
上述した掘削除去方法では、掘り出した汚染土壌を現場外に搬出し産業廃棄物として処分する工程を要すること、運搬時には汚染土壌の飛散を防止する処置が必要となること、近年、受け入れ先となる最終処分場が不足傾向にあるため、大量の汚染土壌の処分が困難になりつつあること、といった問題点を有している。
【0008】
また、熱処理方法では、現場内に処理プラントを設置することは可能であるものの、一般的には現場外の処理プラントで処理することが多く、汚染土を掘削して搬出する工程を要するため、コストが高く、処理に時間がかかるという問題点がある。
【0009】
さらに、上述した洗浄・分級法では、上述した熱処理方法と同様に現場内に処理プラントを設置することも可能であるが、一般的には現場外の処理プラントで処理されることが多いため、汚染土を掘削し、搬出する工程が必要とされる。一方では、浄化費用が熱処理に比べて安価であるという利点を有している。しかしながら、洗浄・分級法の適用性は土質や汚染物質によって左右され、常に安定した浄化を行うことができるとは限られず、必ずしも充分といえるものではない。また、上述の浄化方法を汚染源の存在する場所で実施するためには、通常では、汚染源に隣接して処理プラントを設置するための敷地が必要とされること、大規模な設備を要すること、周辺住民への環境汚染の拡大を防止する必要があること、等の理由により一般的に実施が困難である。このため、地中の重金属といった汚染物質を容易かつ効率的に恒久的に除去することが必要とされている。
【0010】
また、特に投棄された汚染源から排出される汚染物質ばかりではなく、天然に含有される重金属といった物質を地中に構築した地下連続壁により除去することができれば、雨水のより有効な利用を提供することが可能となるため、同様に地中の重金属といった物質を容易かつ効率的に恒久的に除去することが望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、従来技術の上述した問題点に鑑み、地下水の浄化を可能とし、汚染源からの汚染物質の拡散を防止しつつ汚染物質の浄化が可能で、恒久的な汚染物質対策を提供することができ、重金属については他の浄化処理技術の導入を必要とせず、さらには地上に浄化処理設備を設けず、汚染源から生じた土壌・地下水汚染を浄化する等、地下水から重金属を除去することが可能な埋設型浄化用構造体及び浄化方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上述の目的は、本発明の埋設型浄化構造体及び浄化方法を提供することによって解決される。
【0013】
すなわち、本発明の請求項1の発明では、地表から不透水層にまで延ばされた壁状構造体と、地下水の流れ方向上流側に配設され地表から不透水層にまで延び該壁状構造体に隣接する着脱可能の電極とを備える埋設型浄化構造体が提供される。
【0014】
本発明の請求項2の発明では、上記壁状構造体は、少なくとも重金属元素を含む汚染領域を取り囲んで形成される地下連続止水壁とされており、上記電極は、上記汚染領域に面して上記地下連続止水壁の一部に設けられていることを特徴とする埋設型浄化構造体が提供される。
【0015】
本発明の請求項3の発明では、上記埋設型浄化構造体は、上記電極の地下水の流れ方向上流側に地下水透過スクリーンを備えていることを特徴とする埋設型浄化構造体が提供される。
【0016】
本発明の請求項4の発明では、地表から不透水層にまで延ばされ地下水を透過する透過性地下連続壁と、上記透過性地下連続壁に形成され地下水の流れ方向を横切る向きに上記不透水層にまで延ばされたスロットと、該スロットに着脱可能に挿入される電極とを備える埋設型浄化構造体が提供される。
【0017】
本発明の請求項5の発明では、上記電極は、電気泳動及び電気浸透用電極とされていることを特徴とする埋設型浄化構造体が提供される。
【0018】
本発明の請求項6の発明では、上記地下水は、少なくとも重金属元素を含有することを特徴とする埋設型浄化構造体が提供される。
【0019】
本発明の請求項7の発明では、少なくとも重金属元素を含む地下水を、地表から不透水層にまで延び地下連続壁に隣接する着脱可能の電極に接触させ、上記電極に電圧を印加し、上記重金属元素を含むコロイドを電気泳動させ、上記重金属元素から得られるイオンを電気浸透させて上記地下水から上記重金属元素を除去することを特徴とする浄化方法が提供される。
【発明の実施の形態】
本発明は、地下水の浄化に関して広く用いることができるが、以下本発明を重金属の除去を行うことを例にとり詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施例の埋設型浄化構造体が地中に設置されたところを示した断面図である。図1に示した埋設型浄化構造体は、地表1から不透水層2にまで延ばされた本発明で用いられる壁状構造体としての地下連続止水壁3と、この地下連続止水壁3に隣接する電極4とを備えている。地下水5は、重金属元素を汚染物質として含有しており、矢線Aで示した方向へと流れ、電極4は、地下水5の流れ方向上流側に配置されているのが示されている。本発明で言う重金属とは、例えば化学大辞典、第32刷、第4巻、620頁、共立出版社発行に記載されているように比重4以上の金属及びそれらの元素を言い、具体的には水銀、鉛、カドミウム、クロム、スズ、銅等を挙げることができる。また、重金属から得られるイオンとしては、上述した重金属のいかなる価数のイオン、他の化合物と錯体やキレートを形成して形成されたイオンを挙げることができる。本発明の第1の実施例の埋設型浄化構造体では、地下連続止水壁3は、不透水層2にまで延長されており、不透水層2に一端が侵入しているのが示されている。また、電極4は、地下水5の流れ方向上流側において不透水層2へと端部が不透水層2に接して止められているのが示されている。しかしながら、この電極4は、地下連続止水壁3と同様に必要に応じて不透水層2にまで延長させることが可能である。また、地下連続止水壁3の一端及び地下水透過スクリーン7の一端を地表1から突出させることもできる。
【0020】
図1中では、上述した汚染された地下水5の地下水位は、Bで示されており、地下連続止水壁3を境として下流側には流れていないのが示されている。
【0021】
本発明で用いられる地下連続止水壁3は、止水機能が充分備わっているものであれば、従来知られているいかなる工法により構築されるものでも良く、例えば、地下連続鉄筋コンクリート壁工法、ソイルモルタル壁工法、泥水固化壁工法、鋼管矢板工法、鋼矢板工法、柱列杭工法、プレキャスト鉄筋コンクリート壁を埋設する方法等により構築することができる。以下、上述した工法のうち、地下連続止水壁3を地下連続鉄筋コンクリート壁工法により施工するものとして説明する。
【0022】
図1に示した本発明の第1の実施例の埋設型浄化構造体における電極4は、地下連続止水壁3の上流側に地下連続止水壁3に隣接して形成された電極4のための収容部6に着脱可能に収容されている。図2には、図1に示した埋設型浄化構造体の図1の切断線C−Cに沿った断面の一部を示す。図2に示すように、この収容部6は、電極4の交換の際に地下水5を含んだ土壌が収容部6に漏れ出してこないようにするため、重金属元素を含んだ地下水5に隣接して設けられた地下水透過スクリーン7と、連続地下止水壁3から連なって両側に形成された側壁8と、地下水透過スクリーン7と対向する側に設けられた連続地下止水壁3とにより画成されている。図2では、電極4は、このようにして画成される収容部6に収容されているのが示されている。このように電極4を収容部6に収容することにより、電極4の劣化等の程度に応じて電極4を交換できるようにされている。
【0023】
収容部6の一部を形成する地下水透過スクリーン7は、電極4の交換時に土壌が収容部6へと崩れ出すのを防止していることに加え、重金属元素を含む地下水が電極4に導入できるように、透水性の部材から構成されている。このような透水性の部材としては、例えばメッシュやスロットが形成された金網状又はプレート状の金属部材や、イオン交換樹脂、多孔質のセラミックスプレート、多孔質樹脂プレート、メッシュやスロットが形成された樹脂複合材等のプラスチックを含む部材を用いることができる。このように透水性の部材を地下水5側に用いることにより、土壌の崩れを防止しつつ重金属元素を含む地下水5を電極4へと供給することができるようにされている。図2においては、このような地下連続止水壁3は、地下水脈の流れ方向を横断して地下連続壁3が延長されているのが示されており、また、隣接する地下水透過スクリーン9が延長されているのが示されている。この地下連続止水壁3は、また、地下水透過性スクリーン7と、側壁8により挟まれた地下連続止水壁3部分から構成される構造体とをセグメントとして形成し、必要とされる長さにわたって地下水脈の流れを横断するように複数隣接配置させることもできる。
【0024】
図3は、本発明で用いる電極4の正面図を示す。本発明で用いる電極4は、取り外し自在なカートリッジとして構成されており、必要に応じて交換できるようにされている。電極4は、電気的に絶縁されたフレーム部材10に複数の電極部材11が対向配置されて形成されている。これらの電極部材11も必要に応じて個々に取り外し自在なカートリッジとして構成されている。図3に示した電極4は、電源12により電位差が与えられている。重金属元素のうち、電極部材11の低電位とされる側に陽イオンが電気浸透により移動し、正電荷を持つコロイドが電気泳動により移動する。一方、高電位とされる側に陰イオンが電気浸透により移動し、負電荷を持つコロイドが電気泳動により移動するように構成されている。上述した電極部材11の材料としては、耐腐食性の金属、表面にセラミックコーティングされた金属、黒鉛等種々のものを用いることができる。また、適宜テフロン等の絶縁体を電極部材11にコーティングして用いることも可能である。このような電極4を形成するフレーム部材10は、地下連続止水壁3の長さにわたって形成することもできるし、上述したように地下連続止水壁3を複数のセグメントとして構成して、地下水脈に沿って連続できるようにされていても良い。
【0025】
図3に示す電極部材11の間には、必要に応じて保水性材料13が充填又は配置されており、地下水透過スクリーン7を通して導入された重金属元素を含む地下水5を電極部材11間に保持すると共に、電極4の交換時に電極と共に重金属成分を保持しつつ収容部6から取り出せるようにされている。本発明において使用される保水性材料13としては、種々のものを用いることができるが、電極部材11又はその付近に集められた重金属元素を電極4の交換後に処理することを考慮すれば、多孔質セラミックス、汚染されていない土壌を高分子物質等で崩れないように成形したもの等の他、容易に焼却可能という処理性の点では吸水性の高分子材料も用いることができる。
【0026】
このような高吸水性の材料としては、例えば吸水性ポリマーのゲルを挙げることができ、具体的にはデンプンにアクリル酸カリウムやアクリル酸ナトリウムをグラフトさせたもの、ポリアクリルアミドゲル、N−アクリルアミド架橋体、セルロース−アクリロニトリルグラフト共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋体、ヒアルロン酸系多糖類誘導体、ポリビニルアルコール架橋体、ポリビニルアルコール吸水ゲル、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体等を挙げることができる。電極部材11に加えられる電圧又は電流は、後述するように電気泳動又は重金属イオンの析出を行わせることができるように適宜設定することが可能である。
【0027】
図4には、本発明の第2の実施例の埋設型浄化構造体を示す。本発明の第2の実施例の埋設型浄化構造体は、図4(a)に示されるように、重金属を含む汚染領域14を取り囲むようにして4方向に地下連続止水壁3a,3b,3c,3dが形成されており、内部には、長期間にわたって重金属が溶解して形成された汚染された地下水5が蓄積されているのが示されている。これら4方向の地下連続止水壁のうち少なくとも汚染された地下水5の下流側の地下連続止水壁3aには、本発明による浄化を行うための電極4が設けられて浄化壁とされているのが示されている。図4(a)に示すように、地下連続止水壁3a,3b,3c,3dを形成することにより、重金属により汚染された汚染領域14を周囲から隔離することが可能となると共に、本発明の埋設型浄化構造体により重金属を連続して浄化することが可能となる。図4(b)は、本発明の第2の実施例の埋設型浄化装置の側面図である。地下連続止水壁3a,3c及び電極4並びに地下水透過スクリーン7は、図1で説明したように構成されているのが示されている。
【0028】
図5は、本発明の第3の実施例の埋設型浄化構造体を示す。図5に示す本発明の第3の実施例の埋設型浄化構造体は、図1で示した本発明の第1の実施例の埋設型浄化構造体と同様の構成とされているが、地下連続止水壁3ではなくそのかわりに透過性地下連続壁15が用いられている。図5では、上流側の汚染された地下水5の地下水位が実線Bで示され、下流側の浄化された地下水16の地下水位が実線Dで示されている。図5に示した埋設型浄化構造体では、汚染された地下水5は、図中矢線Aで示された方向へと流れ、その途中に配置された埋設型浄化構造体により重金属元素が除去されて、浄化された後に下流側にさらに流されて浄化が行われるようにされている。
【0029】
図5に示した本発明の第3の実施例の浄化構造体は、地表1から不透水層2にまで延ばされ地下水を透過する透過性地下連続壁15から形成され、この透過性地下連続壁15内部には、地下水5,16の流れ方向を横切る向きに不透水層2にまで延ばされたスロット17と、このスロット17に挿入可能に取り付けられる電極4とが設けられている。図1で説明したように、透過性地下連続壁15の一端は、不透水層2まで延ばされており、また、その間に挿入される電極4は、不透水層2に隣接する部分で止められているのが示されている。
【0030】
図6は、本発明の第3の実施例に用いられる透過性地下連続壁15と、電極4と、の配置を図5の切断線E−Eに沿って断面とし、その一部を示した断面図である。上述した透過性地下連続壁15は、空間18内に透水性の材料を収容させて形成することができる。このようにして形成された透過性地下連続壁15の間のスロット17に電気的な絶縁を保ちながら図3で説明したと同様の電極4が着脱可能に収容されるように構成されている。この透過性地下連続壁15を形成する材料は、多孔質の材料であればいかなるものでも用いることができ、例えば上述した地下水透過スクリーン7と同様な材料で形成することができる。その強度については土圧に対して耐えることができるように適宜設定することができ、また、図示しない鉄筋や鋼材といった補強手段を適宜用いることが可能である。
【0031】
図6では、電極4は、取扱性を考慮して透過性地下連続壁15に対応できるように複数のセグメントとすることができる。また、透過性地下連続壁15を図6に示した構造体をセグメントとして複数隣接配置させることで、必要な長さを確保することもできる。この透過性地下連続壁15の透水性を制御することにより、本発明の第3の実施例の埋設型浄化構造体内部における汚染された地下水5の滞留時間を制御することができるようにされている。この汚染された地下水5の滞留時間は、適宜浄化の程度を考慮して設定することが可能である。
【0032】
以下図7を用いて本発明の浄化方法について説明する。図7は、本発明に用いる電極4の電極部材11の間を拡大して示した図である。図7に示される電極部材11の形状は、プレート状、棒状等必要に応じて異なった形状とすることが可能であり、必要に応じて種々のコーティングを施すことができる。地下水を媒体として移動し、重金属元素から得られるイオン及び重金属元素を含むコロイド粒子のうち、正電荷を持つ荷電体はM+で示されており、負電荷を持つ荷電体はM−で示されている。本発明では、これらのM+及びM−を電気泳動法または電気浸透法を用いて汚染された地下水5から除去するものである。図7では、矢線Fと矢線Gで電気泳動又は電気浸透による荷電体の移動方向を示している。本発明に用いる電気泳動法又は電気浸透法では、汚染された地下水5に含まれるM+を、高電位側(+)となる電極部材19側から低電位側(−)となる電極部材20側へと移動させて電極部材20側に濃縮し、M−を、低電位側(−)となる電極部材20側から高電位側(+)となる電極部材19側へと移動させて電極部材19側に濃縮する。この濃縮されたM+及びM−を含有する保水性材料13ごと電極4を交換することにより、汚染された地下水5から重金属元素を除去することが可能となる。
【0033】
図7を用いてさらに本発明の方法を説明すると、汚染された地下水5は、地下水透過スクリーン7や透過性地下連続壁15を通して、保水性材料13へとM+及びM−ごと吸収される。この時電極部材19と20の間には、電位差が生じるように電源21から電圧が印加されており、保水性材料13を通してM+及びM−が電気泳動又は電気浸透されることになる。
【0034】
本発明の浄化方法では、電気泳動又は電気浸透を適宜行って充分な量のM+及びM−を汚染された地下水5から除去すると、新しい電極4へと交換され、次の浄化処理が行われるようにされる。これを繰り返すことにより、汚染された地下水5から重金属がM+,M−として特に現場で除去できることになる。重金属元素を含んだ保水性材料13を、その後焼却等することにより除去し、重金属元素を含む灰を回収することにより重金属の除去が行われる。
【0035】
本発明の浄化方法では、汚染された土壌・地下水のpHを調節することによって地下水に溶出せず土壌に包含されていた不溶性の重金属化合物または重金属単体を溶出させて、本法の汚染除去効率を向上させることができる。また、常温で水に溶解するフェノール等の有機化合物は、電気浸透による地下水の移動に伴って電極部材へと移動させ、濃縮させることができる。さらに、電極部材11の間に電流を流すことも可能になるので、流される電流によって生じた熱を汚染された地下水5に含まれる場合があるトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有害な揮発性有機化合物を気化させることも可能となる。このようにすることで通常土壌ガス吸引法等では数ヶ月から数年を要するトリクロロエチレンや、テトラクロロエチレン等の揮発性有害物質の除去を、汚染された地下水5の浄化を行いつつ同時に効率よく行うことが可能となる。この場合には、電極4に対応する地表面に吸引設備を設けておき、活性炭塔といったフィルターを通して排気することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、電極が着脱自在なカートリッジとされているため、電極の交換やメンテナンスが容易であり、特に汚染領域の存在する場所で土壌・地下水を浄化でき、地上に大規模な処理プラントを設置する必要がないのでそのための敷地が不要であり、周辺環境を汚染するおそれが無く汚染物質を濃縮して取り出すことが可能で、産業廃棄物の量を低減できると共に、それに伴う運搬費用や処分費用が削減でき恒久的な汚染対策が可能な埋設型浄化構造体及び浄化方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の埋設型浄化構造体を示した図。
【図2】本発明の地下連続止水壁及び電極を示した断面図。
【図3】本発明の電極の平面図。
【図4】本発明の第2の実施例の埋設型浄化構造体を示した図。
【図5】本発明の第3の実施例の埋設型浄化構造体を示した図。
【図6】本発明の第3の実施例の透過性地下連続壁の断面図。
【図7】本発明の浄化方法を示した図。
【符号の説明】
1…地表
2…不透水層
3…地下連続止水壁
4…電極装置
5…汚染された地下水
6…収容部
7…地下水透過スクリーン
8…側壁
9…地下水透過スクリーンの隣接セグメント
10…フレーム部材
11…電極部材
12…電源
13…保水性材料
14…汚染領域
15…透過性地下連続壁
16…浄化された地下水
17…スロット
18…空間
19,20…電極部材
21…電源
Claims (7)
- 地表から不透水層にまで延ばされた壁状構造体と、
地下水の流れ方向上流側に配設され地表から不透水層にまで延び該壁状構造体に隣接する着脱可能の電極装置とを備え、
前記電極装置は、電圧が印加される少なくとも一対の電極部材と、前記一対の電極部材間に備えられ地下水を保持する保水性材料とを含む、埋設型浄化構造体。 - 前記壁状構造体は、少なくとも重金属元素を含む汚染領域を取り囲んで形成される地下連続止水壁とされており、前記電極装置は、前記汚染領域に面して前記地下連続止水壁の一部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の埋設型浄化構造体。
- 前記埋設型浄化構造体は、前記電極装置の地下水の流れ方向上流側に地下水透過スクリーンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の埋設型浄化構造体。
- 地表から不透水層にまで延ばされ地下水を透過する透過性地下連続壁と、
前記透過性地下連続壁に形成され地下水の流れ方向を横切る向きに前記不透水層にまで延ばされたスロットと、
該スロットに着脱可能に挿入される電極装置とを備え、
前記電極装置は、電圧が印加される少なくとも一対の電極部材と、前記一対の電極部材間に備えられ地下水を保持する保水性材料とを含む、埋設型浄化構造体。 - 前記電極装置は、電気泳動及び電気浸透用電極装置とされていることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の埋設型浄化構造体。
- 前記地下水は、少なくとも重金属元素を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の埋設型浄化構造体。
- 少なくとも重金属元素を含む地下水を、地表から不透水層にまで延び地下連続壁に隣接する着脱可能の電極装置であって、電圧が印加される少なくとも一対の電極部材と、前記一対の電極部材間に備えられる保水性材料とを含む電極装置に接触させ、前記一対の電極部材間に電圧を印加し、前記重金属元素を含むコロイドを電気泳動させ、前記重金属元素から得られるイオンを電気浸透させ、濃縮された前記重金属元素を前記保水性材料に保持する前記電極装置を取り外して前記地下水から前記重金属元素を除去することを特徴とする浄化方法。
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