JP4093552B2 - 保水力に優れたポリビニルアルコール系眼用レンズ及びその製造方法 - Google Patents

保水力に優れたポリビニルアルコール系眼用レンズ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼用レンズ及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、保水力に優れるよう改良されたポリビニルアルコール系眼内レンズ及びコンタクトレンズ等の眼用レンズ並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコール(以下において、PVAと称することがある。)は、生体適合性に優れる高含水性ゲルになるため、コンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズとして、その利用が期待されている。
【0003】
一般に、PVAはポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステルを加水分解して得られるが、そのPVAを架橋することは容易なことではなかった。
【0004】
そこで、新たに架橋されたPVAとして、特開平9−40719号公報には酢酸ビニルとトリアリルイソシアヌレートからなる共重合体を、特開平9−40720号公報には酢酸ビニルとジアリリデンペンタエリスリットからなる共重合体を、冷却下でレンズ状に加工した後に加水分解するPVA製眼用レンズが提案された。
【0005】
更に、特開平9−43547号公報には、特開平9−40720号公報の改良として、酢酸ビニルと架橋剤との混合物をプレポリマー化して用いることを特徴としたPVA製眼用レンズが開示されている。
【0006】
こうした技術により得られるPVA製眼用レンズは高含水性であり、形状安定性や機械的強度に優れているが、PVA素材自体は他の含水性材料に比べて大気中で乾燥しやすいため、眼への長時間装用時に乾燥感を生じることが多く、眼用レンズへのPVA素材の利用は必ずしも満足のいくものではなかった。
【0007】
そこで、前記PVA製眼用レンズの保水力を向上させる方法として、特開平11−153776号公報では、酢酸ビニルとトリアリルイソシアヌレートに加え、新たにN−ビニルピロリドンを共重合成分として用いることを特徴としたPVA系眼用レンズを提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ポリビニルアルコールは、親水性官能基である水酸基を分子内に有する非イオン性ポリマーとして知られている。この架橋体は事実上、非イオン性である水酸基の親水性によってもたらされる吸水力しか持たないので、吸水性がやや弱いという欠点があった。このことは、眼用レンズとして用いた場合、レンズ表面が乾燥することで、装用者に対し装用時の自覚症状の不快感をもたらすばかりか、涙液中の各種イオン成分の透過性や、酸素・炭酸ガスなどの気体の透過性を損なうことにもなりかねない。
【0009】
また、特開平11−153776号公報の方法では、親水性モノマーであるN−ビニルピロリドンという第三成分の存在により、眼用レンズ素材の親水性及び含水率は従来のPVA製眼用レンズに比べて向上するが、眼用レンズが保持する水分のうち、特に眼用レンズ表面の水分、つまりレンズ表面の濡れ性を維持し、または積極的に高める効果は十分とはいえなかった。
【0010】
そこで、形状安定性や機械的強度に優れ、かつ、装用上十分なレンズ表面の濡れ性及び保水性、かつ、高含水性を保持するPVA系眼用レンズが強く望まれていた。
【0011】
本発明の目的は、レンズ形状安定性に優れるため取扱いやすく、かつ、装用上十分なレンズ表面の濡れ性及びレンズ内部の保水性を有する高含水性のPVA系眼用レンズ及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリビニルアルコール系眼用レンズは、ビニルエステル70〜99.5重量%、アクリル酸エステル0.1〜30重量%、トリアリルイソシアヌレート0.05〜10重量%からなる共重合体を加水分解して得られる、共重合体分子内にイオン性のカルボキシル基及びその塩を有することを特徴とする。
【0013】
また、ポリビニルアルコール系眼用レンズの製造方法は、ビニルエステル70〜99.5重量%、アクリル酸エステル0.1〜30重量%、架橋成分としてのトリアリルイソシアヌレート0.05〜10重量%を混合し、次いで該混合物をレンズ用成形型に充填し、紫外線を照射してレンズ状に共重合を行い、次いで該レンズ状共重合体を加水分解することにより、共重合体分子内にイオン性のカルボキシル基及びその塩を形成させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、ビニルエステルとトリアリルイソシアヌレートとの共重合体を鹸化して得られる従来型PVA製眼用レンズが有する耐熱性、耐汚染性、高強度等の特徴を生かしつつ、保水力をより向上させるべく鋭意検討した結果、アクリル酸エステルを共重合成分として用いることが有効であるという知見に基づく。すなわち、アクリル酸エステルを所望の割合で共重合させることで、ビニルエステル共重合体からPVAへの鹸化と同時に、アクリル酸エステルのエステル基をイオン性のカルボキシル基及びその塩に加水分解することで、含水ゲルの親水性を向上できる。また、これは鹸化並びに加水分解後の含水状態での形状安定性の向上と、含水率の維持である水分の保持性の向上へとつながる利点となる。
【0015】
また、前記レンズ状共重合体を重合するにあたり、モノマー粘度を予め20〜200センチポイズにプレポリマー化して用いれば、特に強度に優れた良好なレンズ状共重合体を得ることもできる。これは、成形時の内部及び表面での硬化が均一に進行することと、また、重合収縮が抑制されるためと考えられる。特に、この手法は、体積(容積)の大きいレンズ共重合体、例えば眼内レンズ等の場合には有効である。
【0016】
本発明の主成分となるビニルエステルの炭化水素基は、C1〜C8のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはアリール基を挙げることができる。
【0017】
炭化水素基がC8を超えるアルキル基の場合、ビニルエステルの加水分解が困難になりやすく、鹸化率80%以上のPVAを得ることが困難となる傾向があるため好ましくない。
【0018】
具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、アルケニル基としてビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキサジエニル基等、シクロアルキル基としてシクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アリール基としてフェニル基等が挙げられる。
【0019】
ビニルエステルとしては、炭化水素基がメチル基である酢酸ビニルが特に好ましいが、重合速度、モノマー粘度、加水分解速度等を調整するために、C1〜C8のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基等を有するビニルエステルを2種以上混合して用いることもできる。
【0020】
具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、ソルビン酸ビニル等のビニルエステルから選ばれる少なくとも1種を70〜99.5重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0021】
アクリル酸エステルとしては、具体的に、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル等を挙げることができる。これら炭化水素基がC1〜C8のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基等であるアクリル酸エステルを混合して用いることもできる。酢酸ビニルの構造異性体であるアクリル酸メチルは、特に、保水性向上に有効であり、その上重合反応性が酢酸ビニルと似ており、かつ加水分解が容易であるため、酢酸ビニルとともに用いることが好ましい。
【0022】
また、炭化水素基がC1〜C8のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基等であるアクリル酸エステルを混合して用いることにより、保水性を向上できるだけでなく、重合速度、モノマー粘度、加水分解速度等並びに成形された眼用レンズの力学的強度等の諸物性を調整することができる。
【0023】
本発明は、原料モノマーのビニルエステルが酢酸ビニルの場合、ポリ酢酸ビニルユニットの鹸化つまり加水分解によって、ポリ酢酸ビニルユニットの酢酸基を水酸基にすると同時に、アクリル酸エステルユニットのエステル基をカルボキシル基及びその塩として用いるところに特徴がある。これは、図1に示す赤外スペクトルの1,178cm-1と1,750cm-1の部分にカルボキシル基の生成を示す吸収帯が生じていることで確認できる。また、このスペクトル解析のみならず、イオン性の官能基が導入されたレンズ特有の膨潤挙動、つまり、レンズ浸漬液の塩濃度によるサイズ変化からもその分子構造上の違いか明らかである。このイオン性のカルボキシル基及びその塩は含水状態の眼用レンズの形状安定性向上と含水性に関与するが、特に保水力向上への効果が大きい。すなわち、アクリル酸エステルを用いない場合には、含水状態を長時間維持することは難しく、短時間で乾燥することによる眼用レンズの形状変化を抑えることはできなかった。しかしながら、アクリル酸エステルを共重合させることで、加水分解後に生じるイオン性のカルボキシル基及びその塩の分子構造による含水保持特性を取り入れることとなり、眼用レンズが保持している水分の消失を抑制することができるため、これにより大気中での形状の変形を抑制することができる。
【0024】
アクリル酸エステルを0.1〜30重量%の範囲で使用する理由は、アクリル酸エステルの発揮する効果にある。アクリル酸エステルは加水分解時にイオン性のカルボキシル基及びその塩を生じ、そのために含水状態での電気的反発が大きく、膨潤率が大きくなる。従って、30重量%を超えて使用すると鹸化並びに加水分解後のPVA系眼用レンズの膨潤率が大きく、それに伴い強度の低下が起こるばかりか、涙液中に存在する電荷を帯びたタンパク質成分の吸着を促進させるために実用上好ましくない。また、0.1重量%未満で用いた場合には、本発明の特徴であるアクリル酸エステルの導入による保水力向上効果が得られにくくなる。従って、本発明では1種以上のアクリル酸エステルを0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜16重量%で用いる。
【0025】
架橋成分としてのトリアリルイソシアヌレートは、0.05重量%未満では鹸化並びに加水分解後のゲルとしての架橋が不十分となり、含水状態においてレンズ形状を保つことが困難になり易い。また、10重量%を超えると、架橋密度が大きくなり過ぎ、含水状態において柔軟な眼用レンズにならないばかりか、レンズ自体の含水率が低下し易い。従って、本発明では、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.06〜5重量%で用いる。
【0026】
本発明で用いる成形型は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂等のプラスチックやガラス、あるいはそれらと金属との組み合わせ等からなり、光学的精密度の高いものを使用する。更に、酢酸ビニル並びにアクリル酸メチル等の炭化水素基の炭素数が少ないビニルエステル並びにアクリル酸エステルの場合、気化しやすいために成形型組み合わせ時の気密度に十分注意を払う必要がある。
【0027】
重合方法は、紫外線照射によるラジカル重合が好ましい。成形型を用いた熱重合による方法では、AIBN等の重合開始剤がラジカルを発生する温度下では、酢酸ビニル並びにアクリル酸メチル等のビニルエステル並びにアクリル酸エステルの気化が進行し、また、成形型の気密度が高い場合においては、成形型の内圧が高くなりすぎた場合、破裂等を生じることがあるからである。この点、紫外線による重合では従来の熱重合方法に較べ、加熱を要しない場合が多く、また、比較的に重合熱の制御が容易である。
【0028】
本発明においては、基本的には、紫外線開始剤を用いない系、つまり、無触媒下においても紫外線重合が可能であるが、ビニルエステルとアクリル酸エステルの組み合わせによっては成形型における紫外線による重合反応をコントロールすることも重要である。すなわち、使用モノマー量の少ない成形型による重合では、ビニルエステルとアクリル酸エステルの重合反応速度と、架橋剤であるトリアリルイソシアヌレートの重合反応速度を厳密に調節することが要求される。これについては、重合開始剤の種類、量並びに紫外線の照射量を調節することにより達成できる。すなわち、両者による重合反応条件としては、重合開始剤が1,000〜20,000ppmであれば、紫外線の照射エネルギーとしては、積算光量として2,000〜40,000mJ/cm2の範囲内で行うことが望ましい。また、無触媒下における照射条件としては6,000〜70,000mJ/cm2の範囲内で行うことが好ましい。
【0029】
重合した生成物は、通常紫外線による重合では、軟化点を大きく超える温度の上昇は起こり難く、ビニルエステル共重合体の剥離は容易であるが、成形型ごとそのビニルエステル共重合体の軟化点以下の温度に冷却して成形型から取り出すことも推奨される。
【0030】
紫外線重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、ベンジルジメチルケタール等を挙げることができる。
【0031】
成形型内で重合したレンズ形状の共重合体は、鹸化並びに加水分解を行うことで目的とするPVA系眼用レンズとなる。
【0032】
鹸化並びに加水分解は、低級アルコールでレンズ状共重合体を膨潤させつつ、アルカリ性の水溶液に該レンズ状成形体を浸漬して反応させる。具体的には、得られたレンズ状成形体を予め低級アルコールで膨潤してから、低級アルコールと蒸留水を5:5〜8:2の割合で混合した水溶液に水酸化ナトリウムを1.0モル〜5.0モル濃度となるように調整した混合溶液に浸漬し加温下で鹸化並びに加水分解を行うことが好ましい。低級アルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール等を用いる。鹸化並びに加水分解は40℃程度ならば、常圧で1時間程度を要する。この際、鹸化並びに加水分解を十分に行わないと、本発明の特徴である高含水性を示さないばかりか、重合物の透明度も低下し眼用レンズとしての使用が困難となる傾向があるので、鹸化並びに加水分解の割合は該ビニルエステル及び該アクリル酸エステルの80%以上であることが好ましい。ビニルエステルの鹸化の割合、つまり鹸化度の測定は、JISのPVA試験方法に準拠し、水酸化ナトリウムによる試料中の残存酢酸基を定量することにより評価した。また、アクリル酸エステルの加水分解の割合については、赤外スペクトルのカルボキシル基ピークの生成量により評価した。
【0033】
このように本発明によれば、イオン性のカルボキシル基及びその塩を分子内に導入したことで、装用上十分な保水力及び親水性並びに品質に優れたPVA系含水ゲル製眼用レンズを提供できる。
【0034】
以下の実施例に、ビニルエステルとして酢酸ビニル、またアクリル酸エステルとしてアクリル酸メチルを示したが、これはともに鹸化並びに加水分解が容易なモノマーであり、かつ共重合性が良いことを基準に選んだものであり、本発明の内容が特にこれに限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
実施例1
酢酸ビニル19.6g(96.6重量%)にアクリル酸メチル0.4g(1.9重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を5,000ppm添加し、十分に撹拌した。その後に、該混合液をポリプロピレン製の成形型に充填して紫外線照射装置内で、高圧水銀灯により紫外線照射エネルギー22.9mJ/cm2 で15分間照射(積算光量としては21,310mJ/cm2 )してレンズ状成形体を得た。更に、メタノールと蒸留水を8:2の割合で混合した水溶液に、水酸化ナトリウム1.5モル濃度となるように添加して該レンズ状成形体を浸漬し、常圧、40℃で1時間以上加水分解を行った。その後、レンズ状成形体を取り出し多量の蒸留水でよく洗浄し、生理食塩水に置換してPVA系眼用レンズを得た。
【0036】
該レンズ成形体は、赤外スペクトル並びに残存酢酸基の定量によりビニルエステルからビニルアルコールへの鹸化が約80%以上進行していることを確認した。また、アクリル酸エステルの加水分解については、分子内にカルボキシル基の形成及びその塩の形成を示す赤外吸収ピークの増加により約80%以上進行していることを確認した。このレンズは、光線透過率が95%以上の透明性を有し含水率が74%でありレンズ表面の荒れが見られず、完成後の膨潤状態のレンズは柔軟かつ形状安定性に優れ取り扱いやすく品質の優れたものであった。また、このレンズを大気中に取り出した時、及びそれをそのまま大気中に放置させた際のレンズ形状変化が極端に少なく、このレンズの水分保持能力、つまり保水力に優れたものであることがわかる。
【0037】
実施例2
酢酸ビニル19.6g(98.0重量%)、アクリル酸メチル0.1g(0.5重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤IRGACURE184を5,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。
【0038】
実施例3
酢酸ビニル15.9g(79.5重量%)、アクリル酸メチル3.2g(16.0重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.9g(4.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤IRGACURE184を15,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。
【0039】
実施例4
酢酸ビニル16.3g(80.3重量%)、プロピオン酸ビニル2.7g(13.3重量%)、アクリル酸メチル1.0g(4.9重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤IRGACURE184を5,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。
【0040】
実施例5
酢酸ビニル19.6g(98.0重量%)、アクリル酸メチル0.1g(0.5重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、2−2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05重量%を添加し、容器内を窒素置換した後、撹拌しながら50℃に昇温することによりプレポリマー化を行った。粘度が50〜70センチポイズになった時点で重合禁止剤のハイドロキノンを400ppmになるように添加し、更に−10℃に冷却して重合を停止させた。このモノマー混合液100重量%に、紫外線開始剤IRGACURE184を5,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。
【0041】
実施例6
酢酸ビニル19.6g(96.6重量%)にアクリル酸メチル0.4g(1.9重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液を十分に撹拌した。その後に、該混合液をポリプロピレン製の成形型に充填して紫外線照射装置内で、高圧水銀灯により紫外線照射エネルギー45.3mJ/cm2 で15分間照射(積算光量としては51,220mJ/cm2 )してレンズ状成形体を得た以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。
【0042】
比較例1
酢酸ビニル20.0g(98.5重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤IRGACURE184を5,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。該レンズ状成形体は、赤外分光光度計によりビニルエステルからビニルアルコールへの鹸化が約80%以上進行していることを確認した。このレンズは、光線透過率が95%以上の透明性を有し含水率が74%であり、保水力に劣るため乾燥が早く、形状安定性及び濡れ性に劣っていた。
【0043】
比較例2
酢酸ビニル18.3g(90.1重量%)、N−ビニルピロリドン1.7g(8.4重量%)、トリアリルイソシアヌレート0.3g(1.5重量%)の混合液に、紫外線開始剤IRGACURE184を5,000ppm添加した以外は、実施例1と同様の方法でPVA系眼用レンズを得た。該レンズ状成形体は、赤外分光光度計によりビニルエステルからビニルアルコールへの鹸化が約80%以上進行していることを確認した。このレンズは、光線透過率が95%以上の透明性を有し含水率が72%であり保水性及び形状安定性は良好であったが、表面の濡れ性に劣っていた。
【0044】
<評価方法>
コンタクトレンズの基本物性である含水率及び光線透過率に加え、保水力評価方法として形状安定性試験及び濡れ性試験を実施した。その試験方法を以下に示した。
【0045】
(イ)含水率
以下の式に基づいて含水率(重量%)を算出した。
【0046】
含水率(重量%)={(W−W0 )/W}×100
ただし、Wは、平衡状態でのレンズの重量(g)、W0 は乾燥状態でのレンズの重量(g)を示す。
【0047】
(ロ)(可視)光線透過率
石英板で挟んだレンズの380nmから780nmまでの透過率を10nmごとに分光光度計により測定し、その値の平均値を(可視)光線透過率とした。
【0048】
(ハ)形状安定性試験
生理食塩水にて完全に含水させた状態から、室温25℃、湿度50%にて静置させ、10分後の含水率の変化量によりレンズ表面の乾燥状態を判定した。判断基準として、10%以内の変化量を◎、20%以内の変化量を○、30%以内の変化量を△、それ以上の変化については×とした。この変化量が大きいと、レンズ表面の乾燥が速いため、形状安定性が低下することを示す。
【0049】
(ニ)濡れ性試験
生理食塩水にて完全に含水させた状態から、室温25℃、湿度50%にて容器からレンズをピンセットにて1枚垂直に引き上げた状態で、目視にてレンズ表面の水分が完全に消失するまでの時間を測定することにより、レンズ表面の濡れ性を判定した。判断基準として、10秒以内で消失した場合を×、10〜30秒以内で消失した場合を△、30〜60秒以内で消失した場合を○、それ以上の時間、レンズ表面の水分が保たれていた場合については◎とした。
【0050】
(ホ)レンズ装用時の乾燥感評価
実施例、比較例で作製したコンタクトレンズを実際に被験者10名ずつに終日装用してもらい、その間に感じられた自覚症状のうち、乾燥感がどの程度現れたのかアンケートをとった。
【0051】
【表1】
Figure 0004093552
【0052】
【発明の効果】
本発明は、イオン性のカルボキシル基及びその塩を分子内に導入したことにより、レンズ表面の水分の保持が達成でき、その結果、形状安定性及び装用感に優れた高含水性PVA系眼用レンズ及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1並びに比較例1で作製されたPVA(系)眼用レンズの赤外スペクトル。

Claims (2)

  1. ビニルエステル70〜99.5重量%、アクリル酸エステル0.1〜30重量%、トリアリルイソシアヌレート0.05〜10重量%からなる共重合体を加水分解して得られる、共重合体分子内にイオン性のカルボキシル基及びその塩を有することを特徴とするポリビニルアルコール系眼用レンズ。
  2. ビニルエステル70〜99.5重量%、アクリル酸エステル0.1〜30重量%、架橋成分としてのトリアリルイソシアヌレート0.05〜10重量%を混合し、
    次いで該混合物をレンズ用成形型に充填し、紫外線を照射してレンズ状に共重合を行い、
    次いで該レンズ状共重合体を加水分解することにより、共重合体分子内にイオン性のカルボキシル基及びその塩を形成させる
    ことを特徴とするポリビニルアルコール系眼用レンズの製造方法。
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JP5766603B2 (ja) * 2009-07-08 2015-08-19 株式会社メニコン 眼用レンズ

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