JP4093495B2 - 異種燃料混焼小規模ボイラ - Google Patents
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Description
このものは、コンピュータを用いて、微粉炭と燃料油の流量指令を許容範囲内に収め、混焼運転を円滑に継続できるようにするものである。
ところで、主燃料と異種燃料とを混焼させるものでは、異種燃料は主燃料とは単位量当たりの発熱量が異なり、通常は大幅に低いので、主燃料専焼運転と異種燃料混焼運転とでは燃料供給量が異なり、燃料供給、燃焼空気供給等の制御が異なる。したがって、主燃料専焼ボイラを異種燃料混焼ボイラに変更するには燃料供給や燃焼制御などを大幅に変更する必要がある。
この小規模ボイラは、主燃料タンクT1から主燃料ポンプP1を経てボイラ燃焼室1の燃料ノズル4,5から主燃料が噴射されるものである。ボイラ燃焼室1の頂部に第1ノズル4と第2ノズル5が接近して配置されている。また、主燃料管2に元電磁弁7があり、元電磁弁7の二次側に第1ノズル管4a、第2ノズル管5aが接続されており、これらのノズル管に第1、第2電磁弁9,8がそれぞれ設けられている。
上記第1ノズル4と第2ノズル5のノズルサイズは、例えば最も多く生産されている換算蒸発量(100℃の水を100℃の蒸気に換える)2t/hの小型貫流ボイラでは、例えば、A重油を燃料とし、1.5MPaで加圧する場合、13.5/12であり、この数値は基準圧力、基準粘度による噴射量(ガロン/時間)を示しており、米国におけるノズルメーカのサイズ「NO.」である。
蒸気圧力が高限界に達すると、低負荷指令「Low」になり、電磁弁9が「閉」じられ、第2ノズル5だけから燃料が噴射され、ボイラは低負荷で運転される。
そのため、一方のノズルを異種燃料用にする方法があるが、異種燃料は水を含む場合が多くて単位量当たりの発熱量は通常は大幅に低く、また、燃焼性が悪いため、単独運転される低負荷用ノズル5を主燃料とし、高負荷時追加燃焼用のノズル6を異種燃料用とする必要がある。
このような小規模ボイラの低負荷は定格負荷の50%以下が望ましいとされているため、高負荷時追加燃焼用の燃料熱量は50%を越え、発熱量の低い異種燃料の実噴射体積は主燃料噴射時の2〜3倍に達するため、同一容積のボイラ燃焼室内で良好な燃焼を維持することは困難である。
(イ)主燃料用の2つのノズルと異種燃料用の1つのノズルを近接して配置し、
(ロ)主燃料供給管に元電磁弁を設け、当該元電磁弁の二次側を第1ノズル管と第2ノズル管に分岐し、第1ノズル管に第1電磁弁を介して第1ノズルを接続し、第2ノズル管に第2電磁弁を介して第2ノズルに接続し、
(ハ)異種燃料供給管に元電磁弁を設け、当該元電磁弁の二次側に第3電磁弁を介して第3ノズルを接続し、
(ニ)第2ノズルの主燃料噴射と第3ノズルの異種燃料噴射による運転が低負荷運転であり、
(ホ)第1ノズルと第2ノズルの主燃料噴射と第3ノズルの異種燃料噴射とによる運転が高負荷運転であり、
(ヘ)第3ノズルの異種燃料噴射量が高負荷時の全燃料量の50体積%以下に相当すること。
他方、高負荷運転「High」のときは、第1電磁弁、第2電磁弁、第3電磁弁が開いて、第1、第2ノズル7から主燃料が噴射され、第3のノズルから異種燃料が噴射されて主燃料と異種燃料とが混焼されてボイラが高負荷で運転される。
(ト)上記の第2ノズル管の第2電磁弁の一次側と第3ノズル管の第3電磁弁の一次側とを連結管で接続し、当該連結管に逆止弁と電磁弁を設けてあり、当該逆止弁は第3ノズル管から第2ノズル管への異種燃料の流入を阻止する逆止弁であり、
(チ)主燃料専焼運転モードにおいては、上記連結管の電磁弁を「開」にし、第2ノズル管の第2電磁弁を「閉」とし、
高負荷運転「High」のときは、第1ノズル管の第1電磁弁と第3ノズル管の第3電磁弁が「開」かれ、第1ノズルと第3ノズルとから主燃料が噴射され、
低負荷運転「Low」のときは、第1ノズル管の第1電磁弁を「閉」にし、第3ノズルだけから低負荷に必要な主燃料が噴射され、
(リ)異種燃料の混焼運転モードにおいては、上記連結管の電磁弁を「閉」にし、
高負荷運転「High」のときは、第1ノズル管の第1電磁弁、第2ノズル管の第2電磁弁および第3ノズル管の第3電磁弁が「開」かれ、第1ノズルと第2ノズルから主燃料が噴射され、第3ノズルから異種燃料が噴射され、
低負荷運転「Low」のときは、第1ノズル管の第1電磁弁を「閉」にし、第2ノズルから主燃料が、第3ノズルから異種燃料が噴射され、
(ヌ)これらの主燃料専焼モードおよび異種燃料混焼モードに対応した電磁弁の動きを組み込んだ、運転モード切替スイッチを操作盤に備えていること。
運転モード切替スイッチを異種燃料混焼としたときには、低負荷運転「Low」のとき、第2ノズルから主燃料が、第3ノズルから異種燃料が噴射され、 高負荷運転「High」のときには第1ノズルと第2ノズルとから主燃料が噴射され、また第3ノズルから異種燃料が噴射される。
いずれの運転モードでも、既存ボイラと同様の「High」、「Low」、「Off」の3位置制御運転が可能であり、運転モード切替スイッチにより、主燃料専焼運転と異種燃料混焼運転が簡単に切り替えられることになる。
しかし、エタノールを水と混合したエタノール水(エタノール重量比60%未満)は消防法では危険物から除外されるため、小規模ボイラの燃料として使用することが可能である。
そこで、換算蒸発量2t/hの小型貫流ボイラで、主燃料をA重油、異種燃料をエタノール水(エタノール体積比60%=重量比54.4%)、燃料噴射ノズル4,5,6のサイズをそれぞれ13.5/7/12、主燃料(A重油)のポンプ圧を1.5MPa、異種燃料(エタノール水)のポンプ圧を1.0MPaとしたときには、全投入熱量の約13%(エタノール体積比で約20%/エタノール水体積比で約33%)のエタノール水を混焼することができる。
この発明は、上記小規模ボイラで使用されている2つの噴射弁による3位置制御(「High」、「Low」、「Off」)を基本としているが、このボイラの基本構造をそのままにして、異種燃料混焼を可能にしている。
そして、このものは従来例における第1、第2ノズル4,5の他に第3ノズル6を設け、この3つのノズルを正三角形状に配置している。
燃料が燃焼用空気と燃焼室の上部で混合されて燃焼され、その燃焼ガスが燃焼室の外周に配置された水管の間を通過し、煙突から排出され、その間に水管を流れる水を加熱する(小型貫流ボイラの基本構造については、例えば、特開平9−203501号公報を参照されたい)。
第1ノズル(高負荷時追加の主燃料用)4,第2ノズル(低負荷主燃料用)5には従来技術と同様に主燃料用の第1ノズル管4a、第2ノズル管5aが接続されている。そして、主燃料管2に元電磁弁7が設けられており、第1ノズル管4a、第2ノズル管5aに第1電磁弁9,第2電磁弁8が設けられている。第3ノズル(異種燃料用)6が第3ノズル管6aに接続されており、異種燃料管3に元電磁弁10が設けられており、また、第3ノズル管6aに第3電磁弁11が設けられている。
この実施例を、換算蒸発量2t/hの小型貫流ボイラに適用するときの1例は、第1ノズル4、第2ノズル5、第3ノズル6のノズルサイズが13.5/6.5/25であり、主燃料(A重油)供給系のポンプ圧を1.5MPa、異種燃料(エタノール水)供給系のポンプ圧を1.0MPaとすると、高負荷運転「High」のときのエタノール水の混焼体積割合は全燃料量の50%(エタノールの混焼体積割合は30%)となるが、発煙、振動、COの過大な発生等はなく十分実運用できる。
第2ノズル5、第3ノズル6のノズルサイズの組み合わせを変えることにより、混焼割合を変えることができる。
図3の主燃料専焼の運転モードでは、図1の従来例と同様に主燃料供給系だけが開閉制御される。
高負荷運転「High」のとき、第1ノズル管の第1電磁弁9、第3ノズル管の第3電磁弁11,連結管12の電磁弁14が開かれ、第1ノズル4、第3ノズル6から主燃料が噴射される。
換算蒸発量2t/hの小型貫流ボイラに適用するときは、第1ノズル4,第3ノズル6のノズルサイズを、従来のボイラと同じ13.5/12とし、主燃料(A重油)供給系のポンプ圧を1.5MPa、燃焼用空気のダンパ開度を「高」とすると、従来のボイラと同じ定格出力運転となる。
図2の異種燃料混焼燃料系統と同様に、主燃料系、異種燃料系に分割される。
高負荷運転「High」のとき、第1ノズル管の第1電磁弁9,第2ノズル管の第2電磁弁10,第3ノズル管の第3電磁弁11が開かれ、第1ノズル4、第2ノズル5から主燃料が噴射され、第3ノズルから異種燃料が噴射される。
第1ノズル4,第2ノズル5、第3ノズル6のノズルサイズを13.5/7/12とし、主燃料(A重油)供給系のポンプ圧を1.5MPa、異種燃料(エタノール水)供給系のポンプ圧を1.0MPaとし、燃焼用空気のダンパ開度を「高」とすると、従来のボイラと同じ定格出力運転となり、エタノール水の混焼体積割合は33%(エタノールの混焼体積割合は20%)となる。
2:主燃料管
3:異種燃料管
4,5,6:燃料ノズル
4a:第1ノズル管
5a:第2ノズル管
6a:第3ノズル管
7:元電磁弁
8:第2電磁弁
9:第1電磁弁
10:元電磁弁
11:第3電磁弁
12:連結管
13,15:逆止弁
14:電磁弁
20:保炎板
21:支持ブロック
22:ノズルチップ
23:噴射孔
T1:主燃料タンク
T2:異種燃料タンク
P1:主燃料ポンプ
P2:異種燃料ポンプ
Claims (4)
- 3位置制御によって運転される小規模ボイラであって、
主燃料用の2つのノズルと異種燃料用の1つのノズルが近接して配置され、
主燃料供給管に元電磁弁が設けられており、当該元電磁弁の二次側が第1ノズル管と第2ノズル管とに分岐されており、第1ノズル管に第1電磁弁を介して第1ノズルが接続され、第2ノズル管に第2電磁弁を介して第2ノズルが接続されており、
異種燃料供給管に元電磁弁が設けられ、当該元電磁弁の二次側に第3電磁弁を介して第3ノズルが接続されており、
第2ノズルの主燃料噴射と第3ノズルによる異種燃料噴射とによる運転が低負荷運転であり、
第1ノズルと第2ノズルの主燃料噴射と第3ノズルの異種燃料噴射とによる運転が高負荷運転であり、
第3ノズルの異種燃料の体積噴射量が高負荷時の全燃料量の50%以下に相当する、小規模ボイラ。 - 上記の第2ノズル管の第2電磁弁の一次側と、第3ノズル管の第3電磁弁の一次側とが連結管で接続されており、当該連結管に電磁弁と第3ノズル管から第2ノズル管への異種燃料の混入を阻止する逆止弁とが設けられており、
主燃料専焼モードにおいては、連結管の電磁弁が「開」かれ、
高負荷運転のときは、第1ノズル管の第1電磁弁と第3ノズル管の第3電磁弁とが「開」かれ、第2ノズル管の第2電磁弁が「閉」じられて、第1ノズルと第3ノズルから主燃料が高負荷運転に必要な量噴射され、
低負荷運転のときは、第1ノズル管の第1電磁弁が「閉」じられて、第3ノズルだけから主燃料が低負荷運転に必要な量噴射され、
異種燃料混焼モードにおいては、連結管の電磁弁が「閉」じられ、
高負荷運転のときは、第1ノズル管の第1電磁弁と第2ノズル管の第2電磁弁が「開」かれて、第1ノズルと第2ノズルから主燃料が、さらに第3ノズル管の第3電磁弁が「開」かれて、第3ノズルから異種燃料が、併せて高負荷運転に必要な量噴射され、
低負荷運転のときは、第1ノズル管の第1電磁弁が「閉」じられて、第2ノズルから主燃料が、また、第3ノズルから異種燃料が、併せて低負荷運転に必要な量噴射されるように、電磁弁の動きを組み込んだ運転モード切替スイッチを備えていることを特徴とする請求項1の小規模ボイラ。 - 主燃料がA重油であり異種燃料がエタノール水である請求項2の小規模ボイラ。
- 上記エタノール水の混合比が60体積%である請求項3の小規模ボイラ。
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