JP4093062B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に用いられ、電動モータを用いてドライバーの操舵動作を補助する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車用の電動パワーステアリング装置には、ドライバーが操舵部材に加える操舵トルクを検出するトルク検出機構が上記操舵部材から操向車輪に至る操舵機構の途中に設けられている。この検出機構は、操舵部材に連結されるトーションバーの入力側及び出力側にそれぞれターゲット付きの回転体を設け、ターゲットに対向して配置されたセンサによりトーションバーの捻れ量すなわち、トーションバーの入力側と出力側との相対回転量を検出し、これに基づき操舵トルクを検出するように構成されている。そして、電動パワーステアリング装置では、検出したトルクに従って電動モータへの指令値を決定し、減速機構を介して操舵機構にモータ回転力を伝達させることにより、当該操舵機構に操舵補助力を付与してドライバーの操舵動作を補助する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−116095号公報(第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来装置の操舵機構には、当該操舵機構に摩擦を与える構成要素が多数存在している。具体的には、上記トーションバーの下方に連結されたピニオン軸と、このピニオン軸に接続されるとともに、両端部が左右の上記操向車輪にそれぞれ連結されたラック軸とを有するラックピニオン式伝達機構が操舵機構に含まれており、上記ピニオン軸とラック軸との接続部分などで摩擦が発生する。
【0005】
ところが、従来装置では、上記のような摩擦要素で生じる摩擦に関して適切な指針が定められていなかった。また、その操舵機構には、上記トーションバー等の複数の弾性要素が含まれており、各弾性要素では、その弾性要素に接続された摩擦要素の摩擦の大きさによっては、当該弾性要素でのあそび量が増大することがあった。この結果、操舵機構に含まれた弾性要素のトータルのあそび量もまた増大して、当該操舵機構全体のあそび(メカ的な不感帯)が大きくなることがあった。
【0006】
したがって、本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、操舵機構のメカ的な不感帯が大きくなるのを防止するための操舵機構における弾性係数と摩擦との適切な関係を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操舵部材から操向車輪に至る操舵機構の途中に設けたトルク検出機構により検出したトルクに基づいて、電動モータからの回転力を前記操舵機構に付与し操舵補助を行う電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵機構に含まれた複数の弾性要素に対して、前記操舵部材から操向車輪側への方向でその操舵部材からi番目(iは1以上の整数)の弾性要素の弾性係数をKiとし、そのi番目の弾性要素における許容あそび量をXiとし、さらに前記i番目の弾性要素の前記方向で下流側の弾性要素または操向車輪との間の摩擦をFiとしたときに、前記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiが下記の不等式(1)
ΣFi < Σ(Ki×Xi) ――(1)
を満足していることを特徴とするものである。
【0008】
上記のように構成された電動パワーステアリング装置では、上記(1)式の左辺で規定される弾性要素とその弾性要素の下流側で隣接する弾性要素または操向車輪との間の各部分における摩擦の総和(すなわち、操舵部材に最も近い弾性要素から下流側に存在する全摩擦)を、上記(1)式の右辺で規定される操舵機構全体での許容あそび量を生じる力(トルク)より小さくしている。これにより、ドライバーの操舵動作に伴う操舵トルクやこの操舵トルクに付与された電動モータからの操舵補助トルクが、上記操舵機構全体での許容あそび量を生じるトルクより大きい場合のみ操舵部材から操向車輪側に伝えられることとなり、全ての弾性要素でのあそび量の合計が操舵機構全体での許容あそび量を超えるのを防ぐことができる。これにより、操舵機構のメカ的な不感帯が大きくなるのを防止することができるとともに、上記全摩擦を隣接する弾性要素間及び隣接する弾性要素と操向車輪間の各部分に適切に配分することが可能となる。
【0009】
また、上記電動パワーステアリング装置において、前記複数の各弾性要素において、前記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiが、下記の不等式(2)
Fi < Ki×Xi ――(2)
を満足してもよい。
この場合、複数の弾性要素毎に、その下流側の摩擦Fiが上記(2)式の右辺で規定される許容あそび量を生じるトルクより小さく設定されるので、各弾性要素でのあそび量が対応する許容あそび量を超えるのを確実に防ぐことができ、操舵機構のメカ的な不感帯が大きくなるのをより確実に防止することができる。
【0010】
また、上記電動パワーステアリング装置において、前記操舵機構には、前記摩擦Fiが前記弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも小さい値に設定されている部分と、前記摩擦Fiが前記弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも大きい値に設定されている部分とが含まれていることが好ましい。
この場合、操舵機構全体での上記許容あそび量より小さくなるように、操舵機構に含まれた弾性要素のトータルのあそび量を制限して、操舵機構のメカ的な不感帯が大きくなるのを防ぎつつ、上記全摩擦を隣接する弾性要素間及び隣接する弾性要素と操向車輪間の各部分に配分することができ、電動パワーステアリング装置の設計自由度を大きくすることができる。
【0011】
また、上記電動パワーステアリング装置において、前記トルク検出機構には、一端部側が前記操舵部材側に連結され、他端部側が前記操向車輪側に連結されるトーションバーが設けられていることが好ましい。
この場合、上記操舵機構においてトーションバーからなる弾性要素下流側の摩擦が適切に決定されることとなり、当該トーションバーを用いた操舵トルクの検出精度を高めることが可能となって操舵フィーリング及び操舵動作に対する応答性に優れた装置を構成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電動パワーステアリング装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電動パワーステアリング装置の要部構成を示す模式図である。図において、当該装置は、例えば自動車に搭載され、操舵部材(ステアリングホイール)1に加わるドライバーの操舵動作に応じて、操向車輪10の向きを変える操舵軸2を備えている。この操舵軸2には、上記操舵部材1が上端部に取り付けられる筒状の取付軸21と、この取付軸21に一体回転可能に連結された筒状の入力軸22と、トーションバー23を介在させて入力軸22に同軸的に連結された筒状の出力軸24が設けられており、ラックピニオン式伝達機構9などを介して出力軸24に連結される左右の操向車輪10での転舵動作を行うようになっている。
【0013】
上記取付軸21はステアリングコラム25内に収納された状態で車体側に固定されるものであり、その下端部にはトーションバー23の一端部を内嵌固定した入力軸22の上端部がピン26により連結されている。また、上記トーションバー23の他端部はピン27により出力軸24の下端部に内嵌固定されている。
上記入力軸22及び出力軸24は、車体側に固定され、かつ図の上下に分離可能な上側及び下側ハウジングH1,H2の内部にニードル軸受31及び玉軸受32、33を介してそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0014】
また、上記出力軸24には、ウォーム41及びこれに噛み合うウォームホイール42を有する減速機構4と、上記ウォーム41が出力軸に一体回転可能に取り付けられ、制御ユニット(ECU)5により制御される操舵補助用の電動モータ6とが連結されている。これら減速機構4と電動モータ6とが、操舵部材1から操向車輪10に至る操舵機構Aにモータ回転力による操舵補助力を付与する操舵補助部を構成している。
さらに、出力軸24の下端側には、図示しない自在継手などを介在させて上記伝達機構9のピニオン軸91及びラック軸92が順次連結されており、さらには左右の各操向車輪10がタイロッド11及びボールジョイント12を介してラック軸92の対応する左右端部に連結され、出力軸24に接続されている。また、上記ラック軸92は、サポートヨーク及びラックガイド(図示せず)により摺動支持された状態でラックハウジング93内に収納されている。このラックハウジング93は、左右の各操向車輪10側に設けられたラバーマウント94によって車体に弾性支持されており、当該マウント94を介在させることにより操舵フィーリングを柔軟なものとしたり、路面からのノイズを緩和したりすることが可能となっている。
【0015】
上記操舵機構Aには、その途中の箇所にトルク検出機構Bが組み込まれている。このトルク検出機構Bは、ドライバーの操舵動作に応じて操舵部材1から操舵機構Aに入力される操舵トルク(操舵力)を検出するとともに、その検出した操舵力を基に電動モータ6を駆動させ上記操舵補助力を用いてドライバーの操舵動作をアシストさせる。また、トルク検出機構Bは、操向車輪10側から操舵機構A側に逆入力される外乱、例えば自動車走行に伴う操向車輪10と路面との間での摩擦(操舵抵抗)に起因して操舵機構Aに作用するコーナリングパワー(C.P.)などの力(つまり、操向車輪10側から出力軸24に作用して当該出力軸24を一方向に回転させようとする回転トルク)も検出する。そして、トルク検出機構Bは、検出した外乱を低減するように電動モータ6を駆動させて、当該外乱の補償を行わせるようになっている。なお、外乱には、ドライバーによる操舵動作に対し反作用的に操舵機構Aに働く復元トルクとしてのセルフアライニングトルク(S.A.T)が含まれている。また、このような外乱補償を行わせることにより、操舵部材1を介してドライバーに外乱の影響が伝えられるのを防いで操舵フィーリングが外乱により低下するのを防止することができる。
【0016】
具体的には、上記トルク検出機構Bには、入出力軸22、24間に設けられた上記トーションバー23と、入力軸22に一体回転可能に取り付けられた筒状の回転体71の下端外周に形成されたターゲット71aと、出力軸24に一体回転可能に取り付けられた筒状の回転体72の上端外周に形成されたターゲット72a及び72bとが設けられている。ターゲット71a、72a及び72bは、例えば磁性体製の凹凸を周方向に一定ピッチで歯車状に形成し、回転によりその周辺に周期的な磁性変化をもたらすものであり、ターゲット72a及び72bの一方及び他方はそれぞれ相対角検出及び絶対角検出に用いられている。
さらに、上記トルク検出機構Bには、センサハウジング8の内部で上記ターゲット71a、72a及び72bに対向して配置されるとともに、磁気抵抗効果素子(MR素子)等の磁気的変化を電気信号に変えて出力する複数のセンサが含まれており、これらセンサからの出力信号が上記ECU5の演算部51に逐次出力されるようになっている。そして、演算部51が上記出力信号に基づいて、入出力軸22、24間の相対角(相対回転量)を検出しドライバーの操舵動作などに応じて操舵機構Aに入力したトルクを演算により求め、駆動制御部52が演算部51で求めたトルクに応じて電動モータ6を駆動するための駆動信号を生成して、当該モータ6を駆動させることによって操舵アシストなどを行わせる。
【0017】
また、上記操舵機構Aには、図2も参照して、ドライバーの操舵動作や自動車走行に伴う路面抵抗などに応じて摩擦を生じる構成(摩擦)要素やドライバーの操舵動作に伴う操舵力(入力トルク)Thやトルク検出機構によって検出した操舵トルクTxを基に電動モータ6から付与される操舵補助力Taに応じて弾性変形を生じる構成(弾性)要素が含まれており、当該操舵機構AではP個(Pは2以上の整数)の弾性要素を含んでいる場合にP個の各弾性要素を境に上記操舵力等の伝達経路を操舵部材1から操向車輪10までの間で(P+1)個の部分に区分けする。そして、操舵部材1から操向車輪10側への方向で操舵部材1からi番目(iは1以上P以下の整数)の弾性要素の弾性係数をKiとし、i番目の弾性要素における許容あそび量をXiとし、さらに当該i番目の弾性要素の上記方向で下流側の弾性要素または操向車輪との間の摩擦をFiとしたときに、前記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiが下記の不等式(1)を満足するように、各弾性要素及び各摩擦要素を構成している。
【0018】
【式1】
ΣFi < Σ(Ki×Xi) ――(1)
【0019】
ここで、操舵機構Aにおける上記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiについて、具体的に説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、操舵機構Aに含まれた複数の弾性要素として、上記トーションバー23及びラバーマウント94の2個の弾性要素を例示して説明する。
上記トーションバー23は、2つの弾性要素のうち、操舵部材1に最も近い1番目(i=1)の弾性要素であり、例えばばね鋼を用いて構成した当該トーションバー23の弾性係数K1(入出力軸22、24間の相対角度差1度に対するトルク)の具体値は2.352(Nm/deg)である。
【0020】
また、天然ゴム、合成ゴム等のゴム材により構成され、上記操舵力が伝達される方向で2番目(i=P=2)の弾性要素を構成する上記ラバーマウント94の弾性係数K2は次の手順により求められる。つまり、操舵部材1を1回転させた場合でのラック軸91の図1の左または右方向(軸方向)への変位量(ストロークレシオ)は40(mm/rev)程度あり、操舵部材1の回転角度1度に対するラック軸方向変位量は0.111(mm/deg)(=40(mm/rev)/360(deg))となる。また、ラック軸91の軸方向変位に対する荷重は1400(N/mm)程度であることから、ラバーマウント94の弾性係数K2を操舵部材1の回転角度1度に対するラック軸方向荷重で示すと、155.4(N/deg)(=1400(N/mm)×0.111(mm/deg))となる。さらに、この値を、上記弾性係数K1と同様に、操舵部材1の軸周りのトルクに換算すると、弾性係数K2の具体値は0.99(Nm/deg)(=155.4(N/deg)×40(mm/2π))となる。
【0021】
また、操舵機構Aでは、ドライバーの操舵動作に対する車両挙動の応答性がある程度確保されるように、当該機構A全体での全許容あそび量X(=ΣXi)が大体決められており、その具体的な全許容あそび量Xは操舵部材1の回転角度を基準とした値で1.5〜1.6(deg)程度である。また、トーションバー23及びラバーマウント94の各許容あそび量は、上記全許容あそび量Xを基に適切に振り分けられており、例えば全許容あそび量Xとして1.55(deg)が要求された場合、トーションバー23における許容あそび量X1及びラバーマウント94における許容あそび量X2としてそれぞれ0.05(deg)及び1.50(deg)が選定されている。この結果、上記不等式(1)の右辺項の値は、1.60(Nm)(=2.352(Nm/deg)×0.05(deg)+0.99(Nm/deg)×1.5(deg))となり、トーションバー23とラバーマウント94との間に存在する全ての摩擦要素での摩擦の総和である摩擦F1と、ラバーマウント94と操向車輪10との間に存在する全ての摩擦要素での摩擦の総和である摩擦F2との和の値が上記1.60(Nm)より小さくなるように、これらの各摩擦要素において材質等が選定され構成されている。
【0022】
具体的には、トーションバー23とラバーマウント94との間に存在する摩擦要素には、ウォーム41とウォームホイール42との噛み合い部及びラックピニオン式伝達機構9内部の摺動部が含まれている。この摺動部には、ピニオン軸91とラック軸92との噛み合い部、ラック軸92をピニオン軸91側に押圧するサポートヨークと当該ラック軸92との摺動面、及び各操向車輪10の近傍でラック軸92をガイドするラックガイドと当該ラック軸92との摺動面とが含まれており、これらの部分と上記ウォーム41とウォームホイール42との噛み合い部とで生じるトータルの摩擦トルクF1が、0.7〜0.8(Nm)程度となるようトーションバー23とラバーマウント94との間の摩擦要素が構成されている。
【0023】
また、ラバーマウント94と操向車輪10との間に存在する摩擦要素には、ボールジョイント12、及びタイロッド11とこのタイロッド11と操向車輪10との間に設けられたナックルアーム(図示せず)とを連結するジョイント部材が含まれており、これらの摩擦要素で生じるトータルの摩擦トルクF2が、0.3〜0.4(Nm)程度となるようラバーマウント94と操向車輪10との間の摩擦要素が構成されている。従って、摩擦トルクF1とF2との合計値は上記1.60(Nm)より小さい1.0〜1.2(Nm)程度であり、不等式(1)、(F1+F2)<(K1×X1)+(K2×X2)を満足している。尚、操舵機構Aでは、操舵部材1とトーションバー23との間に存在する上記ニードル軸受31などの摩擦要素の摩擦総和F0は、0.3(Nm)程度あり、ドライバーの操舵動作に応じて操舵部材1から操舵機構Aに入力される操舵トルクの減衰を極力抑えた状態で当該トルクがトーションバー23に確実に伝えられるようになっている。
【0024】
以上のように、本実施形態による電動パワーステアリング装置では、その操舵機構Aに含まれるトーションバー23及びラバーマウント94(弾性要素)と、トーションバー23とラバーマウント94との間の全摩擦要素の摩擦F1及びラバーマウント94と操向車輪10との間の全摩擦要素の摩擦F2とに関して、上記不等式(1)を満足するように、これら弾性要素及び摩擦要素を構成している。これにより、操舵部材1に対してドライバーの操舵動作に伴って入力された操舵トルクやこの操舵トルクに付与された電動モータ6からの操舵補助トルクが、上記操舵機構A全体での許容あそび量を生じるトルクより大きい場合のみ操舵部材1から操向車輪10側に伝えられることとなる。この結果、トーションバー23及びラバーマウント94でのあそび量の合計が操舵機構A全体での許容あそび量を超えるのを防ぐことができ、操舵機構Aのメカ的な不感帯が大きくなるのを防止することができる。さらには、トーションバー23から操向車輪10までの全摩擦を上記摩擦F1と摩擦F2とに適切に配分することが可能となる。しかも、トーションバー23の下流側の全摩擦を適切に決定することができることから、当該トーションバー23を用いた操舵トルクの検出精度を高めることが可能となって操舵フィーリング及び操舵動作に対する応答性に優れた装置を構成することができる。
【0025】
また、本実施形態では、その操舵機構Aには上記摩擦Fiが弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも小さい値に設定されている部分と、摩擦Fiが前記弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも大きい値に設定されている部分とが混在しているが、上記不等式(1)を満足させることにより、当該操舵機構Aのメカ的な不感帯が大きくなるのを防止しつつ、電動パワーステアリング装置の設計自由度を大きくしている。
具体的には、トーションバー23での弾性係数K1と許容あそび量X1との積の値は0.1176(Nm)(=2.352(Nm/deg)×0.05(deg))であり、上記摩擦F1の0.7〜0.8(Nm)に比べて小さい値である。一方、ラバーマウント94での弾性係数K2と許容あそび量X2との積の値は1.485(Nm)(=0.99(Nm/deg)×1.5(deg))であり、上記摩擦F2の0.3〜0.4(Nm)に比べて大きい値である。つまり、トーションバー23とラバーマウント94との間に存在する摩擦要素は、ラバーマウント94と操向車輪10との間に存在する摩擦要素に比べて数も多く、また上記摩擦F2に比べて摩擦F1も大きい値であるが、上記不等式(1)を満足させることにより、当該操舵機構Aのメカ的な不感帯が大きくなるのを防止することができるとともに、上記全摩擦をトーションバー23とラバーマウント94との間及びラバーマウント94と操向車輪10との間の各部分に配分して、電動パワーステアリング装置の設計自由度を大きくしている。
【0026】
尚、上記の説明では、トーションバー23とラバーマウント94との2つの弾性要素を含んだ操舵機構Aを例示して説明したが、本発明は操舵部材1から操向車輪10までの間を弾性要素単位に分けるとともに、操舵部材に最も近い弾性要素から下流側に存在する全ての摩擦要素の摩擦を、各弾性要素の弾性係数Ki及び許容あそび量Xiの積の値を用いて制限するのものであれば、弾性要素の種類や設置数などは上記のものに何等限定されない。
【0027】
また、上記の説明では、許容あそび量Xiと弾性係数Kiとの乗算値の総和により摩擦総和Fiを制限する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の弾性要素毎に、その下流側の摩擦を決定してもよい。具体的には、次の不等式(2)、F(i) < Ki×Xiを満足するように、i番目の弾性要素の弾性係数Ki、同弾性要素における許容あそび量Xi、及びこのi番目の弾性要素と、操舵部材1から操向車輪10側への方向で当該i番目の弾性要素に隣接する弾性要素または操向車輪10との間に存在する全ての摩擦要素での摩擦Fiを決定してもよい。このように弾性要素個別に摩擦Fiを決定した場合では、各弾性要素でのあそび量が対応する許容あそび量を超えるのを確実に防ぐことができ、操舵機構のメカ的な不感帯が大きくなるのをより確実に防止することができる。但し、不等式(1)を用いた場合の方が、上記のように、操舵部材に最も近い弾性要素の下流側に存在する全摩擦を、弾性要素単位に区切った複数の各部分に適宜配分することができ、電動パワーステアリング装置の設計自由度を大きくする点で好ましい。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、上記不感帯が大きくなるのを防いだ操舵機構を構成することができるので、操舵機構の操舵特性を高めてドライバーの操舵動作に対する車両挙動の応答性を向上させることができるとともに、ドライバーが体感する車両操作感に優れた電動パワーステアリング装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電動パワーステアリング装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】上記電動パワーステアリング装置の操舵機構に加わる力(トルク及び摩擦)を模式的に表した図である。
【符号の説明】
1 操舵部材
6 電動モータ
10 操向車輪
12 ボールジョイント(摩擦要素)
23 トーションバー(弾性要素)
31 ニードル軸受(摩擦要素)
41 ウォーム(摩擦要素)
42 ウォームホイール(摩擦要素)
91 ピニオン軸(摩擦要素)
92 ラック軸(摩擦要素)
94 ラバーマウント(弾性要素)
A 操舵機構
B トルク検出機構
Claims (4)
- 操舵部材から操向車輪に至る操舵機構の途中に設けたトルク検出機構により検出したトルクに基づいて、電動モータからの回転力を前記操舵機構に付与し操舵補助を行う電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵機構に含まれた複数の弾性要素に対して、前記操舵部材から操向車輪側への方向でその操舵部材からi番目(iは1以上の整数)の弾性要素の弾性係数をKiとし、そのi番目の弾性要素における許容あそび量をXiとし、さらに前記i番目の弾性要素の前記方向で下流側の弾性要素または操向車輪との間の摩擦をFiとしたときに、
前記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiが下記の不等式(1)
ΣFi < Σ(Ki×Xi) ――(1)
を満足していることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記複数の各弾性要素において、前記弾性係数Ki、許容あそび量Xi、及び摩擦Fiが、下記の不等式(2)
Fi < Ki×Xi ――(2)
を満足していることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵機構には、前記摩擦Fiが前記弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも小さい値に設定されている部分と、前記摩擦Fiが前記弾性係数Kiと許容あそび量Xiとの積の値よりも大きい値に設定されている部分とが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記トルク検出機構には、一端部側が前記操舵部材側に連結され、他端部側が前記操向車輪側に連結されるトーションバーが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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