JP4093056B2 - 衛生シート、衛生シートに固定されるチューブ連結コネクター部材ならびにそれらの組物 - Google Patents
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【発明が属する技術分野】
心臓手術や肝臓手術をはじめ患者側と外部機械側をチューブで接続して実施される治療において、術野側と機械側と衛生的に遮断するために使用する衛生シート、衛生シートに固定されるチューブ連結コネクター部材ならびにそれらの組物に関する。
【0002】
心臓手術の際、患者と人工心肺装置等の外部機械がチューブを介して患者に接続される。患者および手術者がいる術野側は常に高度に清潔に保たれなくてはならない。それに対して、体外血液循環を行うための装置、例えば血液ポンプ、心筋保護液冷却等の機械、あるいは装置は、患者から距離が離れていることもあり、それら機械、あるいは装置の清潔度は、高い清潔度、あるいは無菌性が要求される術野側と区別して、機械側領域と呼ばれる。そして、前記術野側と機械側の境界を明確にするため、あるいは衛生的に遮断するために、術野側と機械側の間に衛生シートが設けられる場合がある。衛生シートが設けられる場合、術野側の患者と機械側の外部機械を接続するチューブは、例えば衛生シートを避けて同シートの下方を迂回させる方法が取られるが、これによりチューブが長くなり、例えばプライミング量の増加につながる。
【0003】
術野側と機械側の間を遮断する衛生シートとして、開口部を有し、かつ該開口部にチューブを貫通させ、その周縁を固着した衛生シートが考案された(例えば、特許文献1参照)。この衛生シートを使用すると、チューブを短くすることができ、外部機械類を極力患者の近くに配設することが可能となった。
【0004】
【従来技術】
【特許文献1】
特開2001―321390
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のチューブを貫通させる開口部を有する衛生シートにチューブを貫通させて使用する場合、衛生シートに加工する際あらかじめ要求される径の穴を開け、チューブをシートに融着あるいは接着剤を用いて固定させる必要があるが、このような作業は接着剤を使用する必要があり、また、特に複数本のチューブを融着させるには煩雑な作業となる。
チューブを固定するための抜け止めリングを使用する方法も考えられるが、衛生シートへのチューブの固定が不十分な場合が生じ易く、チューブの固定が不十分な場合、チューブが移動し、場合によっては機械側のチューブ部分が術野側に移動し、術野側の清潔度が損なわれる惧がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は術野側と機械側を遮断する衛生シートの一部に切り込み部、あるいは開口部が設けられ、該切り込み部あるいは開口部に、術野側のチューブと機械側のチューブを連結するチューブ接続部を有して前記両チューブ間の液流の移動が可能な少なくとも1個以上のチューブ連結コネクターが固定された衛生シートであって、前記チューブ連結コネクターが該コネクターに形成された衛生シート挟持部、あるいは該コネクターに形成された衛生シートの固定部と挟持リングによって衛生シートに固定されたことを特徴とする衛生シート、該衛生シートに固定されるチューブ連結コネクター部材ならびにそれらの組物を提供することにより、前記技術的な課題を解決することができた。
【0007】
本発明の衛生シートは、衛生シート本体の一部に、一個あるいは複数個のチューブ連結コネクターが固定されるが、複数個のチューブ連結コネクターを固定する場合、該連結コネクター部の口径は全て同一でもよいが、異なる口径のチューブを固定することが可能となるように複数種類の口径で構成されたものが好ましい。また、前記チューブ連結コネクター部のチューブ連結部はその開口側先端部を蓋部材によって被覆し、使用時に前記蓋部材を取り外し、チューブが連結される構造であっても良い。
【0008】
【実施の態様】
以下、本発明を実施の態様に基づいて、さらに具体的に説明する。
実施態様1
図2に基づいて、本実施態様を説明する。
本実施態様のチューブ連結コネクター4は、チューブ連結部2と衛生シートの固定部5を有して構成され、前記固定部5に衛生シートがなんらかの保持手段、例えば図5に示すような挟持リング3によって挟持保持される。
本実施態様のチューブ連結部2は、チューブが挟持されていない内腔面11とチューブ内腔面12で形成される流路面が均一になるようにチューブ連結部が形成されており、術野側と機械側間の流体の流通を円滑に行うことができる。
また、図3に示すようにチューブ1Zおよび1Kが挟持されているチューブ連結コネクターの内腔面には凹凸部7を形成させることにより、チューブをより強固に挟持することが可能となる。
【0009】
実施態様2
図3に基づいて、チューブ連結コネクター4が、衛生シート挟持部6により、衛生シートBに固定された態様の一つを説明する。
本実施態様の衛生シートBは、チューブ連結部2にチューブ1Zおよび1K、また、衛生シートBの挟持部6に衛生シートBが挟持されて構成される。
本実施態様のチューブ連結コネクター4も、該コネクター4の内腔面とチューブ内腔面で形成される流路面が均一になるようにチューブ連結部が形成されている。また、本実施態様においては、チューブ連結部2のチューブ嵌合面は、チューブ1Zおよび1Kをより強固に保持するために、凹凸部7が形成されている。
【0010】
実施態様3
本実施態様の衛生シートBは、図4に示すように、実施態様3の衛生シートにおいて、チューブ連結コネクター部2の外面部にタケノコ状の突起部8が形成されたチューブ連結部2がチューブ1Kおよび1Z内に挿入してチューブ1Kおよび1Zが保持され、かつ、チューブ連結コネクター4の衛生シート挟持部6に衛生シートBが挟持されて構成されたものである。
【0011】
実施態様4
本実施態様の衛生シートBは、図5に示すように、チューブ1Kおよび1Zがチューブ連結コネクター4のチューブ保持部2に保持され、かつ、チューブ連結コネクター4の衛生シート固定部5に衛生シートBが挟持リング3によって固定されたものであり、この固定状態は前記挟持リング3を外すことにより、容易に解消することができる。
前記挟持リング3は、複数の切り込み部、好ましくは図6に示すように円心に向かって複数の切り込み部10および13を有することにより、該挟持リング3を前記固定部に挿入し易く、しかも一旦挿入したら抜去し難くする効果を奏することができる。ただし、前記複数の切り込み部の切り込み方向は、必ずしも円心に向かう方向には限られない。
前記衛生シートBの固定状態は、図5に示すように、チューブ連結コネクター4の外周面に設けた突起部9(固定保持部材)によってさらに強固に保持することができる。
【0012】
実施態様5
本発明で使用するチューブ連結コネクターの別の態様の一例を示すものである。
本実施態様のチューブ連結コネクターは、図7に示すように前記実施態様5のチューブ連結コネクター4の外周面に設けた突起部9の形状を、間隔部を設けて形成された複数の旋回状突起部14Aと14Bとしたものである。
【0013】
実施態様6
図8に示すように、チューブ連結コネクター4は、前記チューブ連結コネクターの衛生シート固定部5と図6に示すような挟持リング3によって衛生シートBに固定される。前記挟持リング3はその内周面に、チューブ連結コネクター外周面に設けた旋回状突起部14Aと14Bの離間部を通過通過可能で、かつ、該通過後には固定保持部材方向への直線移動では前記挟持リング3が抜去困難であるが、固定保持部材方向に回転移動させることによっては前記挟持リング3が容易に抜去することができる間隔部17を設けて旋回状突起部15Aおよび15Bが形成されており(図8および9)、前記のように旋回状突起部14Aと14Bとともにネジ機構と同様の機能を奏することができる。
【0014】
したがって、前記チューブ連結コネクター4のチューブ接続部を、衛生シートBの開口部あるいは切り込み部に挿入した後、前記挟持リング3を前記チューブ接続部の先端側から挿入して、前記チューブ連結コネクター4の固定部5側に向かって回転させながら前記旋回状突起部14Aと14Bの間隔部16を通過させることによって、前記チューブ連結コネクター4の固定部5と前記挟持リング3によって前記チューブ連結コネクター4を衛生シートに固定させることができる。このように前記旋回状突起部14Aと14Bおよび旋回状突起部15Aおよび15Bを設けることにより、前記挟持リングと前記チューブ連結コネクター4のチューブ接続部2にネジ機能と同様の機能を奏させることにより、強固にチューブ連結コネクター4を衛生シートBに固定させることができ、さらにこの固定状態は前記旋回状突起部14Aと14Bが存在することによってより強固となる。また、図10に示すように、衛生シートBと挟持リング3の間に固定ワッシャ18をかませることにより、挟持リング3を回転させながら挿入した時、衛生シートのねじれの発生を防止できる効果を奏することができる。
【0015】
実施態様7
チューブ連結コネクターを衛生シートBに固定させた別の態様の一例を示す。本実施態様の衛生シートBは、チューブ連結コネクター4が、該チューブ連結コネクター4の外周面に設けたネジ機構によって、固定ワッシャ19の固定ワッシャ突起部20と衛生シート固定部5間に挟持することによって衛生シートBに固定されて構成されたものである(図11)。
【0016】
実施態様8
図1は、チューブ連結コネクターを衛生シートBに固定させ、前記チューブ連結コネクターに機械側からのチューブと衛生側からのチューブを接続した状態を示す図である。
衛生シートBとしては、術野側から機械側、あるいは機械側から術野側を透視可能な程度の透明性を少なくとも有するもの、あるいはブロッキング現象を生じないものが好ましく、また、該衛生シートは、衛生シートの機能を向上させる薬剤、例えば抗菌剤等を含有したものであっても良い。
【0017】
本発明の衛生シートはチューブ連結コネクターが、あらかじめ衛生シートにあらかじめ固定されたものとして提供されてもよいが、前記衛生シート固定部を有するチューブ連結コネクターと該連結コネクターとともに衛生シートを挟持する前記挟持リング、さらには固定ワッシャをさらに有して構成されるチューブ連結コネクター部材と切り込みまたは開口を形成した衛生シート構成される衛生シート用組み物として提供され、施術現場でチューブ連結コネクターが固定された衛生シートとしてもよい。
【0018】
【効果】
本発明は、術野側からのチューブと機械側からのチューブを連結可能で、かつ衛生シートの任意の位置に簡便に固定可能なチューブ連結コネクターを固定される衛生シートを提供することにより、術野側と機械側を衛生的に遮断した状態で、連結術野側からのチューブと機械側からのチューブの連結作業を簡単に、かつ簡単に行うことができる。特にチューブ連結コネクターに衛生シート挟持部、あるいはチューブ連結コネクターに衛生シート固定部を形成し、該固定部と挟持リングを用いてチューブ連結コネクターに衛生シートを固定させることにより、さらに簡単、確実にチューブ連結コネクターに衛生シートを固定させることができた。
さらに、チューブ連結コネクターの外周面に形成した前記固定保持部材と前記挟持リングの内周面にネジ固定機構に類似した機能を奏する旋回状突起部を形成、あるいはチューブ連結コネクターの外周面にネジ固定機構を形成し、このネジ固定機構により、ワッシャと衛生シート固定部間に衛生シートを挟持することにより、さらに前記チューブ連結コネクターを衛生シートに固定する効果を高めることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衛生シートのコネクターユニットに術野側および機械側チューブの連結状態を示した図である。
【図2】実施態様1における、チューブ連結コネクターのチューブ連結状態を示した説明図である。
【図3】実施態様2のチューブ連結コネクターと衛生シートの固定(挟持)状態を示した説明図である。
【図4】実施態様3のとチューブ連結コネクターと衛生シートの固定(挟持)状態を示した説明図である。
【図5】実施態様4のチューブ連結コネクターと衛生シートの固定状態を示した説明図である。
【図6】チューブ連結コネクターを衛生シートに固定するために使用する円盤状挟持リングの平面図である。
【図7】外周面に旋回状突起部を形成したチューブ連結コネクターを示した説明図である。
【図8】図5に示す旋回状突起部、挟持リングおよび衛生シート固定部によりチューブ連結コネクターを衛生シートに固定した固定状態を示した説明図である。
【図9】挟持リングの開口部を示した説明図である。
【図10】図8において、挟持リングおよび衛生シート固定部間にワッシャを介在させたチューブ連結コネクターを衛生シートに固定した固定状態を示した説明図である。
【図11】衛生シート固定部、ワッシャおよびチューブ連結コネクター外周面に形成されたネジ機構によってチューブ連結コネクターを衛生シートに固定した固定状態を示した説明図である。
【符号の説明】
A 術野側(清潔エリア)
B 衛生シート
C 機械側
1Z 術野側チューブ
1K 機械側チューブ
2 チューブ連結部
3 挟持リング
4 チューブ連結コネクター
5 衛生シート固定部
6 衛生シート挟持部
7 凹凸部
8 タケノコ状突起部
9 固定保持部材
10 挟持リング切り込み部
11 チューブ連結コネクターの内腔面(チューブ挟持面)
12 チューブ内腔面
13 挟持リング切り込み部
14A 螺旋状突起部
14B 螺旋状突起部
15A 螺旋状突起部
15B 螺旋状突起部
17 15Aと15Bの離間部
18 固定ワッシャ
19 固定ワッシャ
20 固定ワッシャ突起部
21 ネジ嵌合部
22 固定ナット
Claims (8)
- 術野側と機械側を遮断する衛生シートの一部に設けられた開口部に術野側のチューブと機械側のチューブを連結するチューブ連結コネクター部材が固定された衛生シートであって、前記チューブ連結コネクター部材はチューブ連結部と該チューブ連結部に垂直方向に立設して形成され、かつ衛生シートの開口部あるいは切込み部の開口縁部あるい切込み縁部を立設方向に挟持可能な挟持部(以下、衛生シート挟持部という)とで構成され、かつ前記衛生シート挟持部が前記衛生シートの開口部縁部あるいは切込み縁部を挟持して前記チューブ連結コネクターを衛生シートに固定したことを特徴とする衛生シート。
- 術野側と機械側を遮断する衛生シートの一部に設けられた開口部が設けられ、該開口部に術野側のチューブと機械側のチューブを連結するチューブ連結コネクター部材が固定された衛生シートであって、前記チューブ連結コネクター部材はチューブ連結部、該チューブ連結部に垂直方向に立設して形成された衛生シートの開口部あるいは切込み部の開口縁部あるい切込み縁部を固定する固定部(以下、衛生シート固定部という)、および該衛生シート固定部に対向して存在し前記衛生シート固定部とともに衛生シートの開口部縁部あるい切込み縁部を挟持した挟持リングで構成されたことを特徴とする衛生シート。
- 挟持リングを固定する突起部がチューブ連結部の外周面上に形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の衛生シート。
- 突起部がチューブ連結部の外周面上に間隔部を設けて形成された複数の旋回状の突起部であることを特徴とする請求項3に記載の衛生シート。
- 挟持リングが円心に向かって複数の切り込み部を有するものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の衛生シート。
- 挟持リングはその内周面に、前記チューブ連結部の外周面に設けた複数の旋回状突起部の離間部を通過させることが可能な旋回状突起部を有し、該通過後には衛生シート固定部とともにチューブ連結コネクター部材を衛生シートに固定可能なものであり、かつ前記挟持リングの旋回状突起部は前記チューブ連結部の外周面に設けた複数の旋回状突起部とともにネジ機構と同様の機能を奏するものであることを特徴とする請求項4または5に記載の衛生シート。
- 衛生シートと挟持リングの間に固定ワッシャを存在させたことを特徴とする請求項6に記載の衛生シート。
- 固定ワッシャが衛生シート側に前記ネジ機構によって該衛生シートを固定する突起部を有することを特徴とする請求項7に記載の衛生シート。
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