JP4092897B2 - 圧電素子駆動装置及びダイヤフラムポンプ - Google Patents

圧電素子駆動装置及びダイヤフラムポンプ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータとして用いる圧電素子の駆動装置及びそれを用いたダイヤフラムポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に圧電素子1は、図24に示すように正の分極方向と同方向の電圧が圧電素子駆動回路Aによって印加されて駆動される。それは耐電圧値以上の逆方向電圧を印加した場合、圧電素子の分極が崩れてしまうからである。
【0003】
しかし、図25に示すように耐電圧よりも絶対値の小さい逆方向電圧を微小な時間印加した場合には圧電素子1の劣化は発生しない。
【0004】
図26(a)は順方向電圧による圧電素子1の変形Xを、同図(b)は逆方向電圧による圧電素子1の変形Yを夫々示している。
【0005】
また、圧電素子1の電圧−変位の関係(電歪曲線)は図27に示すようにバタフライ型ヒステリシスを示しており、逆方向電圧を利用しない場合はaの範囲の変位を利用でき、逆方向電圧を利用した場合はbの範囲の変位を利用できる。
【0006】
図28は一般的な逆方向電圧を印加して圧電素子1を駆動する回路の基本的な構成を示しており、この回路は直流電源E1によって充電されるコンデンサC10と、直流電源E2によってコンデンサC20とは逆方向に充電されるコンデンサC20と、これらコンデンサC10,C20に圧電素子1を並列接続するためにコンデンサC1と圧電素子1との間に接続したスイッチ素子Sa及びコンデンサC20と圧電素子1との間に接続したスイッチ素子Sbと、圧電素子1の電荷を放電させるために圧電素子1に並列接続されるスイッチ素子Scとで構成される。
【0007】
この回路では、まずスイッチ素子SaをオンしてコンデンサC10を圧電素子1に並列接続して、コンデンサC10によって順方向の電圧を圧電素子1に所定時間印加する。
【0008】
次にスイッチ素子Saをオフするとともに、スイッチ素子Scを所定時間オンすることで、圧電素子1の電荷をスイッチ素子Scを介して放電させる。次にスイッチ素子Scをオフし、スイッチ素子Sbをオンすることで、コンデンサC2を圧電素子1に並列接続し、コンデンサC20によって負方向の電圧を所定時間印加する。このような動作を繰り返すことで、圧電素子1に順方向、負方向の電圧を交互に印加するようになっている。
【0009】
一方圧電素子1に蓄えられた電荷を再利用するものとしては、特公昭和57−132778号に示されるものがある。
【0010】
この従来例の回路は図29に示すように直流電源Eをスイッチ素子Sdを介して圧電素子1に並列に接続して順方向の電圧を一定時間印加した後、スイッチ素子Sdをオフするとともに、スイッチ素子Seをオンして、インダクタLとコンデンサC30との直列共振回路を圧電素子1に並列接続し、コンデンサC30に圧電素子1の電荷を移すのである。この場合コンデンサC30と圧電素子1の電圧が均衡した時に、インダクタLには電磁エネルギ1/2Li2が蓄えられており、そのためこのエネルギーがコンデンサC30に移動することで、コンデンサC30は圧電素子1とコンデンサC30の電圧が均衡する電圧以上に充電され、このコンデンサC30の電圧が最大となった時点でスイッチSeをオフすることで、ほぼ圧電素子1に蓄積された電荷を全てコンデンサC30へ移動させることができるのである。
【0011】
このコンデンサC30の電荷を再利用する場合も、スイッチ素子Seを最適な条件でオン/オフすることで圧電素子1に電圧印加が行えることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の前者の従来例では、圧電素子1に逆方向の電圧を印加するために2つの直流電源E1、E2を必要とするという問題があった。また後者では圧電素子1の電荷を再利用することができるものの、圧電素子1に逆方向の電圧を印加するものではなく、そのため圧電素子に逆方向の電圧を印加するためには同様な回路をもう一組用意する必要があった。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは圧電素子に逆方向電圧の印加も行う圧電素子駆動装置において、単一の直流電源で効率良い駆動が行える圧電素子駆動装置及びそれを用いて吸入量が多く且つ圧縮比を高めることができるダイヤフラムポンプを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の圧電素子駆動装置の発明では、直流電源と該直流電源に並列接続される電源側コンデンサとで構成された直流電源部と、圧電素子と、前記電源側コンデンサの一端と圧電素子の一端との間に挿入された第1のスイッチ素子と、前記電源側コンデンサの他端と圧電素子の他端との間に挿入された第9のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子と前記電源側コンデンサとの接続点と前記圧電素子と前記第9のスイッチ素子との接続点との間に挿入された第10のスイッチ素子と、前記圧電素子に並列接続された電荷回収用コンデンサと、前記圧電素子と電荷回収用コンデンサとの間に挿入された第5のスイッチ素子と、前記圧電素子の両端に両端が接続され内部に容量性蓄電素子及び該容量性蓄電素子の圧電素子側への接続のオンオフ及び接続方向の切り替えとを行うスイッチ手段を有した電圧反転回路と、前記第1,第5,第9,第10のスイッチ素子及び前記スイッチ手段を制御する制御回路とからなり、前記制御回路は、前記第1,第9のスイッチ素子をオン、前記第5,第10のスイッチ素子をオフして前記圧電素子の正の分極方向に対して順方向の電圧を前記直流電源部により前記圧電素子に印加する状態と、この状態で前記圧電素子の電圧が前記直流電源部の電圧に達した後、前記第1,第9のスイッチ素子をオフして前記圧電素子を前記直流電源部より切り離し、かつ前記第5,第10のスイッチ素子をオンして前記電源側コンデンサと前記圧電素子との直列回路を構成するとともに当該直列回路に前記電荷回収用コンデンサを並列接続する状態と、この状態で前記直列回路の電圧と前記電荷回収用コンデンサの電圧とを均衡させた後に、前記第5のスイッチをオフするとともに前記直列回路に容量性蓄電素子を並列接続して前記圧電素子の電荷により前記容量性蓄電素子が充電される状態と、この状態で前記容量性蓄電素子の電圧と前記直列回路の電圧とが均衡した後、前記圧電素子の正の分極方向に対して逆方向となるように前記圧電素子に前記容量性蓄電素子の電圧を印加させる状態と、この状態の後であって、前記第1,第9のスイッチ素子をオンして前記圧電素子の正の分極方向に対して順方向の電圧を前記直流電源部により前記圧電素子に印加する状態の前に、前記第5のスイッチ素子を介して電荷回収用コンデンサを前記圧電素子に並列接続して前記電荷回収用コンデンサの電荷を前記圧電素子に戻す状態とを順次設定することを特徴とする。
【0015】
請求項2の圧電素子駆動装置の発明では、直流電源とこの直流電源に並列接続される電源側コンデンサとで構成された直流電源部と、前記電源側コンデンサの両端に対して第1のスイッチ素子、第9のスイッチ素子を夫々介して両端が接続された圧電素子と、両端が第11のスイッチ素子、前記第9のスイッチ素子を夫々介して前記圧電素子の両端に接続され、且つ前記第9,第11のスイッチ素子のオフ状態で第12のスイッチ素子を介して前記圧電素子に直列接続される電荷回収用コンデンサと、前記圧電素子の両端に両端が接続され内部に容量性蓄電素子及び該容量性蓄電素子の圧電素子側への接続のオンオフ及び接続方向の切り替えを行うスイッチ手段を有した電圧反転回路と、前記第1,第9,第11,第12のスイッチ素子及び前記スイッチ手段を制御する制御回路とからなり、前記制御回路は、前記第1,第9のスイッチ素子をオン、前記第11,第12のスイッチ素子をオフして前記圧電素子に正の分極方向に対して順方向の前記直流電源部の電圧を印加する状態と、この状態の後に、前記第1のスイッチ素子をオフ、第11のスイッチ素子をオンして、前記圧電素子に前記電荷回収用コンデンサを並列接続し、前記圧電素子の電荷で前記電荷回収用コンデンサを充電する状態と、この状態の後に、前記第9,第11のスイッチ素子をオフ、第12のスイッチ素子をオンして前記圧電素子と前記電荷回収用コンデンサとの直列回路を形成するとともに該直列回路を前記電源側コンデンサに並列接続して前記圧電素子を介して前記電荷回収用コンデンサの電荷を前記電源側コンデンサへ戻す状態と、この状態の後に、前記第1のスイッチ素子をオフし、かつ前記スイッチ手段により前記直列回路を前記容量性蓄電素子に接続し、前記電荷回収用コンデンサと前記圧電素子の電荷で前記容量性蓄電素子を充電する状態と、この状態の後に、前記スイッチ手段を制御するとともに前記第9のスイッチ素子をオンして、該第9のスイッチ素子を介して前記圧電素子に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加するように前記容量性蓄電素子を接続する状態とを順次設定することを特徴とする。
【0016】
請求項3の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1又は2の発明において、前記圧電素子に印加する逆方向電圧を前記容量性蓄電素子の容量により設定することを特徴とする。
【0017】
請求項4の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1又は2の発明において、前記電荷回収用コンデンサの静電容量により、前記圧電素子に分極方向に対して逆向きに印加する電圧を設定することを特徴とする。
【0018】
請求項5の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記電源側コンデンサと前記直流電源との間に、前記圧電素子に逆方向電圧を前記容量性蓄電素子によって印加する間、前記直流電源による前記電源側コンデンサの充電を停止させる手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項6の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1乃至5の何れかの発明において、前記電圧反転回路の前記スイッチ手段は、前記容量性蓄電素子の一端に一方端を接続した2つの双方向性スイッチ素子と、前記容量性蓄電素子の他端に一方端を接続し、且つ他方端を上記各双方向性スイッチ素子の他方端に各別に接続した別の2つの双方向性スイッチ素子とで構成され、各双方向スイッチの他方端同士の接続点を電圧反転回路の接続端としたことを特徴とする。
【0020】
請求項7の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1乃至6の何れかの発明において、前記スイッチ素子中単方向の電流が流れるスイッチ素子を単方向性のスイッチ素子によって構成して成ることを特徴とする。
【0021】
請求項8の圧電素子駆動装置の発明では、請求項1乃至7の何れかの発明において、前記直流電源部から前記圧電素子への電圧印加経路に抵抗を挿入していることを特徴とする。
【0022】
請求項9のダイヤフラムポンプの発明では、前記請求項1乃至8の何れかの圧電素子駆動装置の圧電素子の一対の電極面の一方をダイヤフラム表面に固着して圧電素子に交互に印加される正、負の電圧に応じてダイヤフラムが駆動されることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下本発明を基本形態および実施形態により説明する。
【0030】
基本形態1)
図1は本基本形態の構成を示しており、図示するように圧電素子1と、単一の直流電源Eとこの直流電源Eに並列接続されて充電される電源側のコンデンサC1とで構成される直流電源部2と、この直流電源部2のコンデンサC1と圧電素子1との間に挿入されオン時にコンデンサC1の電圧を第1のスイッチ素子S1に印加させるスイッチ素子S1と、圧電素子1に並列に接続され、オン時に圧電素子1の電荷を放電させるスイッチ素子S2と、制御回路3と、電圧反転回路4とで構成される。
【0031】
電圧反転回路4は圧電素子1の両端間に接続される2端子構成の回路からなり、圧電素子1の電荷を移動蓄積し、その蓄積によって発生する電圧を圧電素子1に正の分極方向とは逆方向に印加する容量性蓄電素子たるコンデンサC0と、圧電素子1の両端とコンデンサC0の両端との間に夫々挿入されて同時にオンすることで圧電素子1の電荷をコンデンサC0へ移動させる回路を形成するスイッチ素子S3、S6、圧電素子1とスイッチ素子S6の接続点とコンデンサC0とスイッチ素子S3の接続点との間に挿入されたスイッチ素子S4、圧電素子1とスイッチ素子S3の接続点とコンデンサC0とスイッチ素子S6の接続点との間に挿入されたスイッチ素子S5からなるスイッチ手段とを有し、スイッチ素子S3,S6がオン、スイッチ素子S4、S5がオフされることで圧電素子1にコンデンサC0が並列接続され、圧電素子1の電荷でコンデンサC0が充電され、スイッチ素子S3、S6がオフ、スイッチ素子S4、S5がオンされることでコンデンサC0の充電電圧を、圧電素子1に、正の分極方向とは逆方向となるように圧電素子1に印加するように、コンデンサC0が圧電素子1に並列接続されるようなっている。
【0032】
スイッチ素子S1〜S6は半導体スイッチ素子により構成されるもので、少なくとも後述するように正、負方向の電流が流れるスイッチ素子S2には双方向性のスイッチ素子が用いられる。制御回路3は、これらスイッチ素子S1〜S6のスイッチングを制御するための回路である。
【0033】
而して、動作を開始すると、まず制御回路3は図2(a)に示すようにスイッチ素子S1をオンしてコンデンサC1に圧電素子1を並列接続してコンデンサC1→スイッチ素子S1→圧電素子1→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対する順方向の電圧を印加する。
【0034】
次に圧電素子1の両端電圧が直流電源Eの電圧に達した後、制御回路3は図2(b)に示すようにスイッチ素子S1をオフするとともに電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンする。これによって圧電素子1→スイッチ素子S3→コンデンサC0→スイッチ素子S6→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷を放電させ、コンデンサC0を充電する。この充電は圧電素子1の電圧と、コンデンサC0の電圧が均衡するまで継続する。電圧が均衡した後の所定のタイミングで制御回路3は図2(c)に示すようにスイッチ素子S3、S6をオフするとともに、スイッチ素子S2をオンする。これにより圧電素子1の残留電荷がスイッチ素子S2を介して放電されて圧電素子1の電圧は0Vとなる。
【0035】
この放電が終了した後の所定のタイミングで制御回路3は図2(d)に示すようにスイッチ素子S4,S5をオンする。これによりコンデンサC0→スイッチ素子S4→圧電素子1→スイッチ素子S5→コンデンサC0の経路でコンデンサC0の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向とは逆方向の電圧を印加する。
【0036】
次いで制御回路3は、図2(e)に示すようにスイッチS4、S5をオフするとともに、スイッチ素子S2をオンし、圧電素子1の残留電荷をスイッチ素子S2を介して放電させる。
【0037】
この放電が終了すると再度図2(a)の動作状態に戻り以後上述の動作を繰り返すことで、圧電素子1に正、負の電圧を交互に印加して圧電素子1を駆動する。
【0038】
このようにして本基本形態では圧電素子1に正の分極方向とは逆向きに印加する電圧は、コンデンサC0の容量の大きさで、設定することができる。
【0039】
ところで圧電素子1とコンデンサC1との間に挿入されるスイッチ素子S1は片方向(順方向)の電流のみが通電されるものであるから、図3に示すようにトランジスタによって構成しても良い。
【0040】
また図4に示すようにスイッチ素子S1と圧電素子1との間に抵抗Rを直列挿入することで、圧電素子の変位速度を調節することができ、順方向電圧の印加時における急速な変位を防止することが可能となる。
【0041】
図3、図4の構成は以降に述べる基本形態および実施形態にも適用できる構成である。
【0042】
基本形態2)
上記基本形態1では、コンデンサC0の電圧は圧電素子1に正の分極方向とは逆方向の電圧を印加するために用いているが、本基本形態では、分極方向の電圧印加にも用いる。
【0043】
つまり、本基本形態は図5に示すように、電圧反転回路4の構成は基本形態1の回路と同じであるが、直流電源1によって充電されるコンデンサC1の両端と、圧電素子1の両端との間にスイッチ素子S1、S7を夫々挿入するとともに、圧電素子1と電圧反転回路5のスイッチ素子S3との間にはスイッチ素子S8を挿入し、更にスイッチ素子S8とスイッチ素子3との接続点と、圧電素子1とスイッチ素子S7との接続点にスイッチ素子S9を挿入して構成される。
【0044】
而して、まず制御回路3は、スイッチ素子S1,S9及び電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5を図6(a)に示すようにオンして、コンデンサC1→圧電素子1→スイッチ素子S9→スイッチ素子S5→コンデンサC0→スイッチ素子S4→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加する。このときコンデンサC0は正に充電されるため、圧電素子1は直流電源Eの電圧以上に充電される。
【0045】
そして、直流電源Eの電圧まで圧電素子1,コンデンサC0の直列回路の電圧が上昇する所定時間経過後、制御回路3は図6(b)に示すようにスイッチ素子S1,S9,S4,S5をオフするとともに、スイッチ素子S3,S6,S7,S8をオンし、圧電素子1→スイッチ素子S8→スイッチ素子S3→コンデンサC0→スイッチ素子S6→スイッチ素子S7→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷を放電させることで、コンデンサC0を充電する。
【0046】
そして圧電素子1の電圧がコンデンサC0と均衡する所定時間経過後に、制御回路3は図6(c)に示すようにスイッチ素子S3,S6をオフするとともに、スイッチ素子S4,S5をオンする。これによりコンデンサC0→スイッチ素子S5→スイッチ素子S8→圧電素子1→スイッチ素子S7→スイッチ素子S4→コンデンサC0の経路でコンデンサC0の電荷を放電させ、圧電素子1に正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。
【0047】
そしてコンデンサC0の電圧と圧電素子1の電圧が均衡する所定時間経過度に、制御回路3は図6(a)に示すようにスイッチ素子S7,S8をオフし、スイッチ素子S1、S9をオンする。これによってコンデンサC1→スイッチ素子S1→圧電素子1→スイッチ素子S9→スイッチ素子S5→コンデンサC0→スイッチ素子S4→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させ、圧電素子1に正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。以後上述の動作を繰り返すことになる。
【0048】
基本形態はコンデンサC0の電荷を利用して逆方向電圧を圧電素子1に印加した後、更に順方向電界発生時にも利用するため使用電源電圧の低減が可能となる。また図6(b)と図6(c)、図6(c)と図6(a)の間に、スイッチ素子S8,S9のみをオンする放電過程を設けることで、コンデンサC0の充電電圧が増加し、使用電源電圧の更なる低減が可能となる。
【0049】
基本形態でも少なくとも正負の電流が流れるスイッチ素子には双方向性の半導体スイッチ素子を用いる。
基本形態3)
上記基本形態1では圧電素子1の残留電荷放出のために圧電素子1に並列にスイッチ素子S2を接続していたが、本基本形態では、図7に示すように圧電素子1の残留電荷を効率良く利用するために回収用のコンデンサC2とスイッチ素子S10の直列回路を圧電素子1に並列に接続している点に特徴がある。
【0050】
而して、動作を開始すると、まず制御回路3は図8(a)に示すようにスイッチ素子S1をオンしてコンデンサC1に圧電素子1を並列接続してコンデンサC1→スイッチ素子S1→圧電素子1→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対する順方向の電圧を印加する。
【0051】
次に直流電源Eの電圧に圧電素子1の電圧が上昇した後、制御回路3は図8(b)に示すようにスイッチ素子S1をオフするとともにスイッチ素子S10をオンする。これにより圧電素子1→スイッチ素子S10→コンデンサC2→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷を放電させて、コンデンサC2を充電する。この充電は圧電素子1の電圧とコンデンサC2の電圧とが均衡するまで継続する。均衡する所定時間経過後、後制御回路3は図8(c)に示すようにスイッチ素子S10をオフするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンする。これによって圧電素子1→スイッチ素子S3→コンデンサC0→スイッチ素子S6→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷を放電させ、コンデンサC0に移動させる。この移動は圧電素子1の電圧と、コンデンサC0の電圧が均衡するまで継続する。電圧が均衡した後の所定のタイミングで制御回路3は図8(d)に示すようにスイッチ素子S6をオフするとともにスイッチ素子S4をオンする。これにより圧電素子1→スイッチ素子S3→スイッチ素子S4→圧電素子1の経路で圧電素子1の残留電荷を放電させる。
【0052】
そして圧電素子1の電圧が0Vとなった後、制御回路3は、図8(e)に示すようにスイッチ素子S3をオフするとともに、スイッチ素子S5をオンする。これによりコンデンサC0→スイッチ素子S4→圧電素子1→スイッチ素子S5→コンデンサC0の経路でコンデンサC0の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加する。
【0053】
そしてコンデンサC0の電圧と圧電素子1の電圧が均衡する所定時間経過後、制御回路3は図8(f)に示すようにスイッチ素子5をオフするとともにスイッチ素子S3をオンする。これにより圧電素子1→スイッチ素子S4→スイッチ素子S3→圧電素子1の経路で圧電素子1の残留電荷を放電させて圧電素子1の電圧を0Vとする。
【0054】
この放電が終了した後の所定のタイミングで制御回路3は図8(g)に示すようにスイッチ素子S4をオフするとともにスイッチ素子S6をオンする。これによりコンデンサC0→スイッチ素子S3→圧電素子1→スイッチ素子S6→コンデンサC0の経路でコンデンサC0の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。
【0055】
次いで圧電素子1とコンデンサC0の電圧が均衡する所定時間後、制御回路3は、図8(h)に示すようにスイッチS3、S6をオフするとともに、スイッチ素子S10をオンする。これによってコンデンサC2→スイッチ素子S10→圧電素子1→コンデンサC2の経路でコンデンサC2の電荷を放電させ、圧電素子1に正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。これによって圧電素子1の電圧はコンデンサC2の電圧と均衡するまで上昇する。
【0056】
この電圧が均衡する所定時間後、制御回路2はスイッチ素子S10をオフするとともに、スイッチ素子S1をオンして、図8(a)の動作状態に戻り、以後上述の動作を繰り返す。
【0057】
このようにして本基本形態では圧電素子1の電荷の一部をコンデンサC2で回収して有効利用することで、電力消費を削減することができる。
【0058】
尚本基本形態でも、少なくとも正、負方向の電流が流れるスイッチ素子に双方向性のスイッチング素子を用いる。
【0059】
次に具体例によって圧電素子1の電圧の遷移を詳説する。
【0060】
本具体例は、コンデンサC1の容量を0.4[μF]とし、コンデンサC0の容量を0.22[μF]、コンデンサC2の容量を0.22[μF]とし、圧電素子1にはチタン酸ジルコン酸鉛からなる素子で0.05[μF]の容量を持つものを使用し、スイッチ素子S1〜S6として双方向性のフォトMOSリレーを使用し、直流電源Eとして電池電圧3Vを昇圧した240Vの電源を使用した。
【0061】
図9は動作説明用のタイミングチャートであって、上部に横方向に印している[a]〜[h]区間は図8(a)〜(h)の動作状態に対応する区間を示す。
【0062】
而して図9(a)<図8(a)に対応>に示すように制御回路3の制御の下でスイッチ素子S1がオンされると、圧電素子1の両端電圧は図9(g)に示すように電源電圧240Vと等しい電圧まで上昇する。
【0063】
次に制御回路3の制御の下でスイッチ素子S1がオフされ、スイッチ素子S10が図9(b)に示すようにオンされると<図8(b)に対応>、圧電素子1の電荷がコンデンサC2に移動して圧電素子1とコンデンサC2との電圧が図9(g)(h)に示すように120Vで均衡する。電圧が均衡して所定時間経過すると、制御回路3の制御の下でスイッチ素子S10がオフされ、スイッチ素子S3、S6が図9(c)、(f)に示すようにオンされると<図8(c)に対応>、圧電素子1の電荷がコンデンサC0に移動して、圧電素子1とコンデンサC0との電圧が図9(g)(i)に示すように40Vで均衡する。電圧が均衡して所定時間経過すると、制御回路3の制御の下でスイッチ素子S6がオフされ、スイッチ素子S4が図9(d)に示すようにオンされると<図8(d)に対応>、圧電素子1の残留電荷が放電されて圧電素子1の電圧が図9(g)に示すように0Vとなる。
【0064】
圧電素子1の電圧が0Vとなって所定時間経過すると、制御回路3の制御の下でスイッチ素子S3がオフされ、スイッチ素子S5が図9(e)に示すようにオンされると<図8(e)に対応>、圧電素子1の電荷が、圧電素子1とコンデンサC0との電圧が均衡するまでコンデンサC0に移動する。この場合、圧電素子1の電圧は図9(g)に示すように正極側からみて−30Vとなり、一方コンデンサC0の電圧は図9(i)に示すように上記の放電開始前の正側から見て30Vとなる。
【0065】
そして制御回路3の制御の下で均衡後、スイッチ素子S5がまずオフし、その後スイッチ素子S4がオフし、更にスイッチ素子S3が再び図9(c)に示すようにオンされる<図8(f)に対応>。これによって圧電素子1の残留電荷が放電され、その電圧が0Vになる。この0Vになった後、制御回路3の制御の下で、スイッチ素子S6が再び図9(f)に示すようにオンされる<図8(g)に対応>。これによってコンデンサC0の電荷がコンデンサC0の電圧と圧電素子1の電圧が均衡するまで、圧電素子1に移動する。このときの均衡電圧は図9(g)(i)に示すように20Vである。そしてこの均衡が終了すると、制御回路3の制御の下でスイッチ素子S3、S6がオフされるとともに、スイッチ素子S10が図9(b)に示すように再度オンされる。これによってコンデンサC2の電荷がコンデンサC2と圧電素子1の電圧が均衡するまで移動する。このときの均衡電圧は図9(g)(h)に示すように100Vである。
【0066】
以後上述の動作が制御回路3の制御の下で繰り返される。
【0067】
この具体例では1つの直流電源Eで、圧電素子1の両端に+240Vと−30Vの電圧を発生させることができ、これら電圧を夫々別個の矩形波電源で圧電素子1に供給する場合に比べて47%の電力の削減効果が得られた。
【0068】
基本形態では、圧電素子1に印加する逆方向の電圧は回収用のコンデンサC2の容量によって決定することができるので、電圧決定が容易となる。
【0069】
尚圧電素子1の残留電荷を放出させるために、電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S4を利用しているが、基本形態1と同様に図10に示すように圧電素子1に並列にスイッチ素子S2を接続してこのスイッチ素子S2で放電させるようにしても勿論良い。
【0070】
基本形態4)
基本形態は、圧電素子1からの電荷回収時に、電圧を上昇させて電荷を回収する点に特徴がある。
【0071】
つまり本基本形態では、図11に示すように圧電素子1の両端をスイッチ素子S1、S11を夫々介してコンデンサC1の両端に接続し、更に圧電素子1の両端をスイッチ素子S12、S11を夫々介して昇圧用のコンデンサC3の両端に接続し且つ、スイッチ素子S12とコンデンサC3との接続点と、圧電素子1とスイッチ素子11の接続点との間にスイッチ素子13を接続している回路を図8の回路(図5の回路でも良い)に追加したものである。
【0072】
尚電圧反転回路4の構成は基本形態1乃至3と同じであるのでここでは内部回路を図示しないが、説明では上記基本形態1乃至3の回路を参照する。
【0073】
而してまず制御回路3は図12(a)に示すようにスイッチ素子S1,S11をオンするとともに電圧反転回路4のスイッチ素子S3〜S6をオフする。さて上記オンによってコンデンサC1→スイッチ素子S1→圧電素子1→スイッチ素子11→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させることで、圧電素子1に正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。
【0074】
そして直流電源Eの電圧に圧電素子1の両端電圧が上昇した後、制御回路3は、スイッチ素子S12を図12(b)に示すようにオンして圧電素子1→スイッチ素子S12→コンデンサC3→スイッチ素子S11→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷を、圧電素子1の電圧とコンデンサC3の電圧が均衡するまでコンデンサC3に移動させる。
【0075】
そして均衡する所定時間後制御回路3は図12(c)に示すようにスイッチ素子S11、S12をオフするとともに、スイッチ素子S13及びS10をオンし、コンデンサC3→スイッチ素子13→圧電素子1→スイッチ素子10→コンデンサC2→コンデンサC3の経路により、圧電素子1とコンデンサC3の直列回路の両端電圧と、つまり圧電素子1の電圧とコンデンサC3の電圧とを加算して昇圧した電圧で、コンデンサC2を充電する。これによりコンデンサC2の電圧は基本形態3の場合に比して高い電圧まで充電され、効率良く圧電素子1の電荷を回収できることになる。
【0076】
ついで制御回路3はスイッチ素子S10を図12(d)に示すようにオフし、電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S6をオンさせてコンデンサC0を圧電素子1とコンデンサC3の直列回路に接続し、これら圧電素子1とコンデンサC3の電荷でコンデンサC0を充電する。
【0077】
コンデンサC0の電圧と直列回路の電圧とが均衡する所定時間後に制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S6をオフさせるとともにスイッチ素子S2,S11をオンさせて圧電素子1の残留電荷を放電させ、この放電後に図12(e)に示すように電圧反転回路4のスイッチ素子S4、S5をオンしてコンデンサC0の電圧を、圧電素子1に正の分極方向に対して逆方向となるように印加する。そしてコンデンサC0の電圧と圧電素子1との電圧が均衡した後、電圧反転回路4内のスイッチ素子S4,S5をオフするととともに、再びスイッチ素子S2をオンさせて圧電素子1の残留電荷を放電させる。この放電した後、図12(f)に示すようにスイッチ素子S12をオフするとともに電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンして圧電素子1とコンデンサC3の並列回路に、圧電素子の正の分極方向に対して順方向となるようにコンデンサC0の電圧を印加し、コンデンサC0の電荷を圧電素子1とコンデンサC3に移動させる。そしてコンデンサC0の電圧と圧電素子1とコンデンサC3の直列回路の電圧とが均衡する所定時間後、図12(a)に示す状態に戻す。
【0078】
このように本基本形態では、昇圧用コンデンサC3を設けることで、圧電素子1の電荷をより多く回収することができ、更なる電力消費の削減が図れることになる。
【0079】
ところで本基本形態と同じ回路構成において、図12(b)と図12(c)の過程の間に、図13に示すようにスイッチ素子S1、S13をオンさせ、圧電素子1とコンデンサC3の直列回路を形成し、この直列回路から同電位の電源側のコンデンサC1に一部電荷を還元するようにしても良い。これによって一層の電力消費の削減が図れる。
【0080】
(実施形態
上記基本形態4では昇圧用コンデンサC3を設けているが、本実施形態では電源側のコンデンサC1を昇圧用コンデンサとして利用するもので、図14に示すように基本形態3の図5の回路構成を基本とし、コンデンサC1の両端にスイッチ素子S1,S11を夫々介して圧電素子1の両端を接続するとともに、コンデンサC1とスイッチ素子S1の接続点と、圧電素子1とスイッチ素子S11の接続点との間にスイッチ素子S1を挿入してある。
【0081】
而して動作を開始すると、制御回路3は図15(a)にスイッチ素子S1、S11を共にオンしてコンデンサC1→スイッチ素子→圧電素子1→スイッチ素子S11→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させことで、圧電素子1に正の分極方向の電圧を印加する。直流電源Eの電圧まで圧電素子1の電圧が上昇すると、制御回路3は図15(b)に示すようにスイッチ素子S1、S11を共にオフするとともに、スイッチ素子S10をオンしてコンデンサC1と圧電素子1の直列回路をコンデンサC2に接続する。これによってコンデンサC1の電圧と圧電素子1の電圧との加算で昇圧された電圧がコンデンサC2に印加され、圧電素子1→スイッチ素子S10→コンデンサC2→コンデンサC1→スイッチ素子S15→圧電素子1の経路で圧電素子1の電荷がコンデンサC2に回収されることになる。
【0082】
そしてコンデンサC2の電圧と、コンデンサC1と圧電素子1の直列回路の電圧とが均衡する所定時間後、制御回路3は図15(c)に示すようにスイッチ素子S10をオフするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンする。
【0083】
これにより電圧反転回路4のコンデンサC0に圧電素子1とコンデンサC1の直列回路が接続され、該直列回路の電圧とコンデンサC0の電圧とが均衡するまでコンデンサC0が充電される。電圧が均衡する所定時間後、制御回路3は電圧反転回路4内のスイッチ素子S3,S6をオフするとともに、図15(d)に示すようにスイッチ素子S1、S15をオンする。これにより圧電素子1の残留電荷がスイッチ素子S1、S15を介して放電される。この放電が終了した後、図15(e)に示すように制御回路3は、電圧反転回路4内のスイッチ素子S4,S5をオンすると共にスイッチ素子S11をオンし、コンデンサC0を圧電素子1に、正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加するように接続する。
【0084】
そして圧電素子1の電圧とコンデンサC0の電圧が均衡した後、制御回路3は電圧反転回路4内のスイッチ素子S4,S5をオフするとともに、図15(f)に示すようにスイッチ素子S1、S15をオンする。これによって圧電素子1の残留電荷をスイッチ素子S1,S15を介して放電させる。
【0085】
この放電後制御回路3はスイッチ素子S1,S15をオフ、S10、S11をオンすることで、コンデンサC2を圧電素子1に接続し、コンデンサC2→スイッチ素子S10→圧電素子1→スイッチ素子S11→コンデンサC2の経路でコンデンサC2の電荷を放電させることで、コンデンサC2により圧電素子1に、正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。そして圧電素子1の電圧とコンデンサC2の電圧が均衡した後、図15(a)の状態に戻す。
【0086】
このようにして本実施形態でも圧電素子1からの電荷の回収時に電圧を昇圧するので効率よく電荷を回収でき、電力消費の削減が図れる。
【0087】
(実施形態
実施形態ではコンデンサC1を昇圧用のコンデンサとして用いたが、本実施形態は回収用のコンデンサC2を昇圧用コンデンサとして用いるもので、図16に示すように、基本形態3の図5の回路構成を基本とし、コンデンサC1の両端にスイッチ素子S1,S11を夫々介して圧電素子1の両端を接続するとともに、コンデンサC2の両端を圧電素子1の両端にスイッチ素子S16,S11を夫々介して接続し、圧電素子1とスイッチ素子S11の接続点と、コンデンサC2とスイッチ素子S16の接続点との間にスイッチ素子S17を挿入してある。
【0088】
而して動作を開始すると、制御回路3は図17(a)にスイッチ素子S1、S11を共にオンしてコンデンサC1→圧電素子1→スイッチ素子S11→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を、コンデンサC1の電圧と圧電素子1の電圧とが均衡するまで放電させる。
【0089】
そして均衡する所定時間後、制御回路3は図17(b)に示すようにスイッチ素子S1をオフするとともに、スイッチ素子S16をオンして、圧電素子1→スイッチ素子S16→コンデンサC2→スイッチ素子S11→圧電素子1の経路で、圧電素子1の電荷を圧電素子1の電圧とコンデンサC2の電圧とが均衡するまで放電させる。
【0090】
この均衡する所定時間後、制御回路3は図17(c)に示すようにスイッチ素子S16、S11を共にオフするとともに、スイッチ素子17,S1を共にオンする。これによってコンデンサC1には圧電素子1とコンデンサC2の直列回路が接続され、該直列回路で昇圧された電圧により、同電位のコンデンサC1へ電荷を還元する。
【0091】
そしてコンデンサC1と上記直列回路の電圧が均衡した後、制御回路3は図17(d)に示すようにスイッチ素子S1をオフするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンする。これにより電圧反転回路4のコンデンサC0に圧電素子1とコンデンサC2の直列回路が接続され、該直列回路の電圧と均衡するまでコンデンサC0が充電される。電圧が均衡した後、制御回路3は電圧反転回路4内のスイッチ素子S3,S6をオフするとともに、図17(e)に示すようにスイッチ素子S16、S17をオンする。これにより圧電素子1の残留電荷がスイッチ素子S16、S17を介して放電される。この放電が終了した後、制御回路3はスイッチ素子S16、S17をオフし、更に電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5をオンすると共に図17(f)に示すようにスイッチ素子S11をオンし、コンデンサC0を圧電素子1に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加するように接続する。
【0092】
そして圧電素子1の電圧とコンデンサC0の電圧が均衡した後、制御回路3は電圧反転回路4内のスイッチ素子S4,S5をオフするとともに、図17(g)に示すようにスイッチ素子S16、S17をオンする。これによって圧電素子1の残留電荷がスイッチ素子S16,S17を介して放電される。この放電後スイッチ素子S17をオフ、S11をオンすることで、コンデンサC2を圧電素子1に接続し、コンデンサC2→スイッチ素子S16→圧電素子1→スイッチ素子S11→コンデンサC2の経路でコンデンサC2の電荷を放電させることで、コンデンサC2により圧電素子1に、正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。そして圧電素子1の電圧とコンデンサC2の電圧が均衡した後、図17(a)の状態に戻す。
【0093】
このようにして本実施形態では圧電素子1からの電荷を電源側のコンデンサC1に還元することができ、しかも使用部品点数を図11の場合に比べて少なくて済む。また回収した電荷を利用することで、電力消費の削減が図れる。
【0094】
基本形態
上記基本形態3,4および実施形態1,2では電荷回収用にコンデンサを用いているが、本基本形態では二つの同容量の圧電素子を用いて夫々の圧電素子に正の分極方向とは逆方向の電圧を印加して駆動するようにしたものであって、図18に示すように、夫々の圧電素子1A,1Bにスイッチ素子S20、21を直列に接続するとともに、夫々の直列回路をスイッチ素子S1を介してコンデンサC1に接続し、且つこれら直列回路にスイッチ素子S2を並列に接続して、圧電素子1A,1Bを電荷回収用にも利用するようにしている。尚電圧反転回路4の構成は上述した基本形態1の電圧反転回路4の構成を参照することとし、ここでは図示しない。
【0095】
而して今図19(a)に示すように制御回路3がスイッチ素子S1,S20をオンすると、コンデンサC1→スイッチ素子S1→圧電素子1A→コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷を放電させることで、圧電素子1Aに正の分極方向に対して順方向の電圧を印加する。圧電素子1Aは電荷が充電されて両端電圧が直流電源Eの電圧まで上昇することになる。
【0096】
次に制御回路3は図19(b)に示すようにスイッチ素子S1,S20をオフするとともに、スイッチ素子S21及びスイッチ素子S2をオンする。これにより圧電素子1Aは電荷が放電されずに電圧が維持され、一方圧電素子1Bはスイッチ素子S2を介して残留電荷が放電される。
【0097】
この放電が終了する所定時間後に、制御回路3は図19(c)に示すようにスイッチ素子2をオフするとともに、スイッチ素子S20及びS21をオンして両圧電素子1A、1Bを並列接続する。これにより圧電素子1Aの電荷が両圧電素子1A,1Bの電圧が均衡するまで圧電素子1B側に移動する。この均衡したときの電圧は並列接続される前の圧電素子1Aの両端電圧の1/2となる。
【0098】
次に制御回路3は図19(d)に示すようにスイッチ素子21をオフするとともに電圧反転回路4内のスイッチ素子S3、S6をオンして圧電素子1Aの電荷をコンデンサC0へ移動させる。
【0099】
さて電圧が均衡した後制御回路3は図19(e)に示すように電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S6をオフするとともに、スイッチ素子S2をオンする。これにより圧電素子1Aの残留電荷がスイッチ素子S2を介して放電され、圧素子1の電圧が0Vとなる。
【0100】
放電が終了すると、制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S4、S5をオンすることで、コンデンサC0の電圧を、正の分極方向に対して逆方向となるように圧電素子1Aに印加する(図19(f))。
【0101】
次に制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5をオフするとともに、図19(g)に示すようにスイッチ素子S1及びS21をオン、スイッチ素子S20をオフして、コンデンサC1に圧電素子1Bを並列接続し、コンデンサC1の両端電圧を圧電素子1Bに印加する。
【0102】
これによって圧電素子1Bの電圧はコンデンサC1の電圧、つまり電源電圧まで上昇することになり、この上昇した後、制御回路3は図19(h)に示すようにスイッチ素子S1、S21をオフ、スイッチ素子S2、S20をオンする。このオンによって圧電素子1Aの残留電荷が放電され、圧電素子1Aの電圧が0Vとなる。一方圧電素子1Bは電荷が放電されないため上記の電圧を維持する。
【0103】
次に制御回路3は図19(i)に示すようにスイッチ素子S2をオフするとともに、スイッチ素子S21をオンして、圧電素子1Bに圧電素子1Aを接続する。これにより圧電素子1Bの電荷が圧電素子1Aに移動し、圧電素子1A、1Bの電圧が接続される前の圧電素子1Bの電圧の1/2にて均衡する。
【0104】
この均衡後、制御回路図5は図19(j)に示すようにスイッチ素子S20をオフするとともに電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオンして電圧反転回路4内のコンデンサC0に圧電素子1Bを接続する。この接続によって圧電素子1Bの電荷が、圧電素子1Bの電圧とコンデンサC0の電圧とが均衡するまで移動する。
【0105】
次に制御回路3は図19(k)に示すようにスイッチ素子S2をオンするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S3,S6をオフし、圧電素子1Bの残留電荷を電圧が0Vになるまで放電させる。
【0106】
そしてこの放電が終了する所定時間後、制御回路3は図19(l)に示すようにスイッチ素子S2をオフするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5をオンし、電圧反転回路4内のコンデンサC0の電圧を、正の分極方向に対して逆方向となるように圧電素子1Bに印加させる。そしてこの圧電素子1Bの電圧とコンデンサC0の電圧とが均衡した後、制御回路3はスイッチ素子S3及び電圧反転回路4のスイッチ素子S4、S5をオフするとともにスイッチ素子S20をオンして図19(a)の状態に戻る。
【0107】
以後圧電素子1Aに、正、負の電圧を印加する動作と、圧電素子1Bに正、負の電圧を印加する動作とを交互に繰り返するのである。
【0108】
このように本基本形態では二つの圧電素子1A,1Bを逆位相で効率良く駆動することができる。
【0109】
基本形態
上記基本形態1乃至5および実施形態1,2では、直流電源Eには常時コンデンサC1を接続してコンデンサC1を充電するようにしているが、本基本形態は、図20に示すように例えば基本形態1の構成において、直流電源Eと、コンデンサC1との間にスイッチ素子S0を挿入し、圧電素子1に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加する期間、制御回路3の制御の下で、スイッチ素子S0をオフするようにしている。
【0110】
更に詳説すると、まず制御回路3がスイッチ素子S0をオンしてコンデンサC1を直流電源Eの電圧まで充電する。
【0111】
この充電後制御回路3はスイッチ素子S0をオフするとともにスイッチ素子S1をオンし、コンデンサC1の電荷を圧電素子1に移動させ、両者の電圧が均衡させる。ここでコンデンサC1の静電容量と、圧電素子1の静電容量とを同じ値Cとした場合、均衡する電圧は電源電圧の1/2となる。
【0112】
この均衡後、再度制御回路3はスイッチ素子S0をオンすることで、コンデンサC1及び圧電素子1を直流電源Eに接続して夫々の電圧を直流電源Eの電圧まで上昇させる。つまり圧電素子1には直流電源Eの等しい電圧が印加されることになる。
【0113】
例えば圧電素子1に印加する順方向の目標電圧を400Vとすると、本基本形態では200Vから400Vに段階的に印加電圧を上昇させて目標電圧を得ることになる。
【0114】
つまり圧電素子1に正の分極方向に対して印加する順方向の電圧を400Vとした場合、本基本形態のようにコンデンサC1、圧電素子1を上述のように一旦200Vとした上400Vまで昇圧するのに必要なエネルギは
2×(1/2)×C×(400−200)=120000×C[J]
となる。
【0115】
一方、スイッチ素子S1をオンしたときにコンデンサC1と圧電素子1の電圧を400Vとする場合には、コンデンサC1の電圧は800V必要となるが、その800Vまで直流電源Eで昇圧するのに必要なエネルギは
(1/2)×C×(8002−4002)=240000×C[J]
となる。
【0116】
従って予めコンデンサC1の電圧を高くして、スイッチ素子S1のオン時に圧電素子1の印加目標電圧に均衡させる方法は、本基本形態のように段階的に電圧を高くする場合に比べてエネルギ消費が大きいことが分かる。
【0117】
而して圧電素子1の電圧が目標印加電圧に達すると、制御回路3はスイッチ素子S1をオフするとともに、電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S6をオンして電圧反転回路4内のコンデンサC0に圧電素子1の電荷を、圧電素子1とコンデンサC0の電圧が均衡するまで移動させる。
【0118】
この均衡後制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S3、S6をオフするとともにスイッチ素子S2をオンして圧電素子1の電荷を放電させ、その電圧を0Vとする。この放電が終了した後制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5をオンして、コンデンサC0の電圧を圧電素子1の分極方向に対して逆方向となるように、圧電素子1に印加する。この印加によってコンデンサC0の電荷がコンデンサC0の電圧と圧電素子1の電圧が均衡するまで圧電素子1へ移動する。
【0119】
この逆向き電圧の印加時に制御回路3はスイッチ素子S0をオフして、コンデンサC1の電圧を400Vに保持させておく。さて上記の電圧の均衡後制御回路3は電圧反転回路4のスイッチ素子S4,S5をオフするとともに、スイッチ素子S2をオンし、圧電素子1の電荷を放電させ、その電圧を0Vとする。この放電が終了した後、制御回路3は、スイッチ素子S2をオフするとともにスイッチ素子S1をオンし、既に電源電圧まで充電されているコンデンサC1を圧電素子1を接続する。以後上述の動作を繰り返すことで、分極方向に対して正、負の電圧を圧電素子1に印加することができることになる。
【0120】
尚スイッチ素子S0を設ける構成は、基本形態1の構成以外に基本形態2乃至5および実施形態1,2の構成にも適用できる。
【0121】
基本形態
本実施形態は、上記基本形態1乃至4,6および実施形態1,2の圧電素子駆動装置により駆動させる圧電素子1を用いたダイヤフラムポンプに対応するものである。
【0122】
基本形態のダイヤフラムポンプは、図21に示すように円盤状のダイヤフラム10の中央部表面に円形状の圧電素子1を固着し、図23(a)に示すようにダイヤフラム10の周縁を基板11の周縁に固着することで、基板11との間に空気室12を形成したものである。基板11には吸気弁13,排気弁14を設けてあり、空気室12の内容積の増減によって外部から空気室12内に空気を取り込んだり、逆に空気室12から排気するようになっている。
【0123】
而して圧電素子駆動装置Aによって負方向の電圧が圧電素子1の上、下面の電極間に印加されると、圧電素子1は図22(b)の矢印aで示すように中心から外方向に伸展するように変形し、その結果中央部が基板11から離れる方向にダイヤフラム10は引っ張られ、空気室12の内容積を増加させる。この増加によって空気室12の内部圧力が低くなって吸気弁13を介して外部から空気が矢印bのように空気室12内に吸入される。
【0124】
次に圧電素子駆動回路Aによって順方向の電圧が圧電素子1の上、下面の電極間に印加されると、図22(c)の矢印aで示すように圧電素子1は中心方向に圧縮且つ上下方向に膨張するように変形し、そのためダイヤフラム10は中心方向に圧縮され且つ基板1方向に押し下げられ、空気室12の内容積を減少させる。これにより空気室12内の空気が圧縮されて圧力が高まり、排気弁14を介して矢印cに示すように外部に排気されることになる。
【0125】
このように本基本形態のダイヤフラムポンプは駆動源である圧電素子1に正負の電圧(例えば、図23に示すように順方向の電圧を400V、負方向の電圧を100V)を所定周波数(例えば100Hz)で交互に印加することで、より多くの空気を吸入することができ、また圧縮比も大きくできる。
【0126】
【発明の効果】
請求項1の発明は、圧電素子に、順方向と、逆方向の電圧を交互に印加駆動することが、単一の直流電源部によって実現でき、しかも圧電素子に順方向の電圧を印加した際の圧電素子の電荷を容量性蓄電素子に一旦保管した後再利用して逆方向の印加電圧を得るため、電力消費を削減できるという効果がある。また、電荷回収用コンデンサによって圧電素子の電荷を効率良く回収することができ、その結果電力消費をより削減できるという効果がある。また、昇圧用コンデンサを電源側コンデンサによって兼用させることで、圧電素子から電荷を電荷回収用コンデンサに回収する際に、電荷回収用コンデンサの両端に印加する電圧を昇圧することができ、その結果効率よく電荷を回収することができ、電力消費を一層削減でき、しかも昇圧用コンデンサを別に備える必要がないという効果がある。
【0127】
請求項2の発明は、圧電素子に、順方向と、逆方向の電圧を交互に印加駆動することが、単一の直流電源部によって実現でき、しかも圧電素子に順方向の電圧を印加した際の圧電素子の電荷を容量性蓄電素子に一旦保管した後再利用して逆方向の印加電圧を得るため、電力消費を削減できるという効果がある。また、電荷回収用コンデンサによって圧電素子の電荷を効率良く回収することができ、その結果電力消費をより削減できるという効果がある。また、電荷回収用コンデンサによって圧電素子と電荷回収用コンデンサとの直列回路の電位を電源側コンデンサの電位と同電位にすることができ、その結果電源側コンデンサに圧電素子の電荷を戻すことができ、電力消費を更に削減できるという効果がある。
【0128】
請求項3の発明は、圧電素子に印加する逆方向の電圧の設定が容易に行えるという効果がある。
【0134】
請求項の発明は、圧電素子に印加する逆方向電圧の設定が容易に行えるという効果がある。
【0136】
請求項の発明は、予め電源側コンデンサの電圧を高くする場合に比べて電力消費を抑えて圧電素子を駆動することができるという効果がある。
【0137】
請求項の発明は、容量性蓄電素子に圧電素子の電荷を保管する状態と、この保管した電荷により圧電素子に逆方向電圧を印加する際の制御をスイッチ手段のスイッチ素子のスイッチングによって行えるという効果がある。
【0138】
請求項の圧電素子駆動装置の発明では、使用スイッチ素子のコストを低減することができる。
【0139】
請求項の発明は、抵抗によって圧電素子の変位速度を調整することができ、圧電素子の急速な変位を防止することができる。
【0140】
請求項の発明は、消費電力を抑えつつ、圧電素子の逆方向電圧印加による変形によってダイヤフラムを駆動することで、多くの空気を吸入でき、また圧縮比の大きなダイヤフラムポンプを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本形態1の回路図である。
【図2】 同上の動作説明図である。
【図3】 同上のスイッチ素子S1の具体例を示す回路図である。
【図4】 同上の他の例の回路図である。
【図5】 本発明の基本形態2の回路図である。
【図6】 同上の動作説明図である。
【図7】 本発明の基本形態3の回路図である。
【図8】 同上の動作説明図である。
【図9】 同上の具体例における動作説明用タイミングチャートである。
【図10】 同上の他の例の回路図である。
【図11】 本発明の基本形態4の回路図である。
【図12】 同上の動作説明図である。
【図13】 同上の他の例の動作説明図である。
【図14】 本発明の実施形態の回路図である。
【図15】 同上の動作説明図である。
【図16】 本発明の実施形態の回路図である。
【図17】 同上の動作説明図である。
【図18】 本発明の基本形態の回路図である。
【図19】 同上の動作説明図である。
【図20】 本発明の基本形態の回路図である。
【図21】 本発明の基本形態のダイヤフラムポンプの斜視図である。
【図22】 同上の動作説明図である。
【図23】 同上の圧電素子に印加する電圧波形例図である。
【図24】 圧電素子の電圧印加の説明図である。
【図25】 圧電素子の正負電圧印加の説明図である。
【図26】 圧電素子の正負電圧の印加時の変形方向の説明図である。
【図27】 圧電素子の印加電界と歪みとの関係説明図である。
【図28】 従来の圧電素子駆動回路の回路図である。
【図29】 別の従来の圧電素子駆動回路の回路図である。
【符号の説明】
1 圧電素子
2 直流電源部
3 制御回路
4 電圧反転回路
S1〜S6 スイッチ素子

Claims (9)

  1. 直流電源と該直流電源に並列接続される電源側コンデンサとで構成された直流電源部と、圧電素子と、前記電源側コンデンサの一端と圧電素子の一端との間に挿入された第1のスイッチ素子と、前記電源側コンデンサの他端と圧電素子の他端との間に挿入された第9のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子と前記電源側コンデンサとの接続点と前記圧電素子と前記第9のスイッチ素子との接続点との間に挿入された第10のスイッチ素子と、前記圧電素子に並列接続された電荷回収用コンデンサと、前記圧電素子と電荷回収用コンデンサとの間に挿入された第5のスイッチ素子と、前記圧電素子の両端に両端が接続され内部に容量性蓄電素子及び該容量性蓄電素子の圧電素子側への接続のオンオフ及び接続方向の切り替えとを行うスイッチ手段を有した電圧反転回路と、前記第1,第5,第9,第10のスイッチ素子及び前記スイッチ手段を制御する制御回路とからなり、
    前記制御回路は、
    前記第1,第9のスイッチ素子をオン、前記第5,第10のスイッチ素子をオフして前記圧電素子の正の分極方向に対して順方向の電圧を前記直流電源部により前記圧電素子に印加する状態と、
    この状態で前記圧電素子の電圧が前記直流電源部の電圧に達した後、前記第1,第9のスイッチ素子をオフして前記圧電素子を前記直流電源部より切り離し、かつ前記第5,第10のスイッチ素子をオンして前記電源側コンデンサと前記圧電素子との直列回路を構成するとともに当該直列回路に前記電荷回収用コンデンサを並列接続する状態と、
    この状態で前記直列回路の電圧と前記電荷回収用コンデンサの電圧とを均衡させた後に、前記第5のスイッチをオフするとともに前記直列回路に容量性蓄電素子を並列接続して前記圧電素子の電荷により前記容量性蓄電素子が充電される状態と、
    この状態で前記容量性蓄電素子の電圧と前記直列回路の電圧とが均衡した後、前記圧電素子の正の分極方向に対して逆方向となるように前記圧電素子に前記容量性蓄電素子の電圧を印加させる状態と、
    この状態の後であって、前記第1,第9のスイッチ素子をオンして前記圧電素子の正の分極方向に対して順方向の電圧を前記直流電源部により前記圧電素子に印加する状態の前に、前記第5のスイッチ素子を介して電荷回収用コンデンサを前記圧電素子に並列接続して前記電荷回収用コンデンサの電荷を前記圧電素子に戻す状態とを順次設定することを特徴とする圧電素子駆動装置。
  2. 直流電源とこの直流電源に並列接続される電源側コンデンサとで構成された直流電源部と、前記電源側コンデンサの両端に対して第1のスイッチ素子、第9のスイッチ素子を夫々介して両端が接続された圧電素子と、両端が第11のスイッチ素子、前記第9のスイッチ素子を夫々介して前記圧電素子の両端に接続され、且つ前記第9,第11のスイッチ素子のオフ状態で第12のスイッチ素子を介して前記圧電素子に直列接続される電荷回収用コンデンサと、前記圧電素子の両端に両端が接続され内部に容量性蓄電素子及び該容量性蓄電素子の圧電素子側への接続のオンオフ及び接続方向の切り替えを行うスイッチ手段を有した電圧反転回路と、前記第1,第9,第11,第12のスイッチ素子及び前記スイッチ手段を制御する制御回路とからなり、
    前記制御回路は、
    前記第1,第9のスイッチ素子をオン、前記第11,第12のスイッチ素子をオフして前記圧電素子に正の分極方向に対して順方向の前記直流電源部の電圧を印加する状態と、
    この状態の後に、前記第1のスイッチ素子をオフ、第11のスイッチ素子をオンして、前記圧電素子に前記電荷回収用コンデンサを並列接続し、前記圧電素子の電荷で前記電荷回収用コンデンサを充電する状態と、
    この状態の後に、前記第9,第11のスイッチ素子をオフ、第12のスイッチ素子をオンして前記圧電素子と前記電荷回収用コンデンサとの直列回路を形成するとともに該直列回路を前記電源側コンデンサに並列接続して前記圧電素子を介して前記電荷回収用コンデ ンサの電荷を前記電源側コンデンサへ戻す状態と、
    この状態の後に、前記第1のスイッチ素子をオフし、かつ前記スイッチ手段により前記直列回路を前記容量性蓄電素子に接続し、前記電荷回収用コンデンサと前記圧電素子の電荷で前記容量性蓄電素子を充電する状態と、
    この状態の後に、前記スイッチ手段を制御するとともに前記第9のスイッチ素子をオンして、該第9のスイッチ素子を介して前記圧電素子に正の分極方向に対して逆方向の電圧を印加するように前記容量性蓄電素子を接続する状態とを順次設定することを特徴とする圧電素子駆動装置。
  3. 前記圧電素子に印加する逆方向電圧を前記容量性蓄電素子の容量により設定することを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子駆動装置。
  4. 前記電荷回収用コンデンサの静電容量により、前記圧電素子に分極方向に対して逆向きに印加する電圧を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子駆動装置。
  5. 前記電源側コンデンサと前記直流電源との間に、前記圧電素子に逆方向電圧を前記容量性蓄電素子によって印加する間、前記直流電源による前記電源側コンデンサの充電を停止させる手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか記載の圧電素子駆動装置。
  6. 前記電圧反転回路の前記スイッチ手段は、前記容量性蓄電素子の一端に一方端を接続した2つの双方向性スイッチ素子と、前記容量性蓄電素子の他端に一方端を接続し、且つ他方端を上記各双方向性スイッチ素子の他方端に各別に接続した別の2つの双方向性スイッチ素子とで構成され、各双方向スイッチの他方端同士の接続点を電圧反転回路の接続端としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか記載の圧電素子駆動装置。
  7. 前記スイッチ素子中単方向の電流が流れるスイッチ素子を単方向性のスイッチ素子によって構成して成ることを特徴とする請求項1乃至6の何れか記載の圧電素子駆動装置。
  8. 前記直流電源部から前記圧電素子への電圧印加経路に抵抗を挿入していることを特徴とする請求項1乃至7の何れか記載の圧電素子駆動装置。
  9. 前記請求項1乃至8の何れかの圧電素子駆動装置の圧電素子の一対の電極面の一方をダイヤフラム表面に固着して圧電素子に交互に印加される正、負の電圧に応じてダイヤフラムが駆動されることを特徴とするダイヤフラムポンプ。
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