JP4092684B2 - マスフローコントローラの校正方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマスフローコントローラの校正方法および装置に関わり、例えば半導体製造プロセスで使用される処理ガスの質量流量制御用に好適なマスフローコントローラの校正方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体製造においては、半導体ウエハに対し成膜やエッチングのプロセスが繰り返して行われる。これらのプロセスで用いられる処理用のガス流体(以下ガスと称する。)の供給手段には、ガス流量を精密に制御できる高度な供給精度と、プロセスの要求に応じ迅速にかつ時間遅れなくガスを供給できる高い応答性が要求される。それらの要求を満足させることが可能な流体制御装置として質量流量制御装置、いわゆるマスフローコントローラ(以下特に明記しない限りMFCと称する。)が従来より用いられてきた。
【0003】
従来のMFCの概略構成図を図8に示す。MFC1は、例えばステンレス鋼などで形成された流体通路4に介設されるガスの流量を検出するセンサ部11、流量制御弁12及びこれらを制御する制御回路部13とを備えている。
センサ部11は、全ガス量の一部が流れるセンサ管111と、残りの大部分が流れるバイパス5と、そのセンサ管111に一対の電熱線114が巻回されてなるセンサ112と、センサ112の出力を制御するセンサ制御回路113からなる。センサ部11は、流体通路4のガスの流れによる熱移動に伴って発生する電熱線114の電気抵抗の変化を、電熱線114が組み込まれたセンサ制御回路113のブリッジ回路により検出し、ガス流量を流量信号、例えば0〜5Vの電圧として出力するものである。
流量制御弁12は、弁体としてのダイアフラム121と、ダイアフラム121を操作するアクチュエーター122と、アクチュエーター122を駆動するバルブ電圧を印加するバルブ駆動部123を備えている。アクチュエーター122は、例えば積層型圧電素子などで形成されており、バルブ駆動部123より印加されるバルブ電圧により駆動され、ダイアフラム121を操作するものである。
【0004】
MFC1はアナログ−デジタル制御のMFCであり、制御回路部13はデジタル回路系DEとアナログ回路系ANからなる。
デジタル回路系DEは、例えばマイクロコンピュータからなるデジタル演算回路131を中心とした回路系であり、アナログ回路系ANの応答性に関する制御と外部装置との信号の入出力を主として行うものである。外部装置、例えば半導体製造装置から入力される設定ガス流量に対応する設定信号は、アナログ−デジタル変換器(以下A/D変換器と称する。)133を介してデジタル演算回路131へ入力される。その設定信号には、後述するようにセンサ部11の検出特性に応じた補正が加えられる。補正されたその設定信号は、デジタル−アナログ変換器(以下D/A変換器と称する。)135を介して比較部137へ出力され、後述するようにセンサ部11の流量信号と比較する信号とされる。また、デジタル演算回路131は、後述する制御定数切替部138へ制御定数の切替を指示する信号を出力し、A/D変換器132を介して入力されるセンサ部11の流量信号を補正し、その補正された流量信号をD/A変換器134を介して外部装置へ出力するものである。外部装置とデジタル演算回路131で行われる設定信号および流量信号の受け渡しは、インターフェース136を用いてデジタル信号により行うことも可能である。
【0005】
アナログ回路系ANは、前記流量信号をフィードバック信号として流量制御弁12の弁解度を制御するものである。すなわち、アナログ回路系ANは、センサ部11の流量信号をA/D変換器132を介してデジタル演算回路131へ出力すると共に、その流量信号を比較部137へも出力するセンサ制御回路113と、前記デジタル演算回路131で補正された設定信号、流量信号および後述する制御定数に基づいてバルブ電圧の印加量を制御する駆動信号を設定し、その駆動信号をバルブ駆動部123へ出力する比較部137と、前記バルブ駆動部123と、比較部137と連結する、制御定数が格納された制御定数切替部138とを備えている。
上記の構成により、流量制御弁12の弁開度は、センサ制御回路113、比較部137とバルブ駆動部123によりクローズドループで制御されることとなる。すなわち、センサ制御回路113は、センサ112で検出されたガス流量を流量信号として出力する。比較部137は、フィードバック信号である流量信号、目標値である設定信号および後述する制御定数に基づいて駆動信号を設定すると共にバルブ駆動部123へ出力する。バルブ駆動部123は、その駆動信号によりバルブ電圧を印加してアクチュエータ122を操作し、もって流量制御弁12の弁開度が制御されることとなる。
【0006】
高度な供給精度を有するMFC1とするためには、流量信号とガス流量との関係、つまり検出特性のゼロ点シフトと直線性が流量制御の誤差を抑制する上で重要となる。すなわち、図5において破線で示すように、MFC1の検出特性は原点を通る直線(理想特性)となることが望ましい。しかしながら、一般的にその検出特性は、図5において実線で示されるようにゼロ点が原点からずれた曲線状となる。また、その検出特性は、個々のセンサ部11やMFC1によっても異なる。
理想特性に対するMFC1の検出特性のズレを補正するため、ゼロ点補正と直線補正がデジタル演算回路131で行われる。実際にはセンサ部11から出力される流量信号に対し都度補正を加えると制御に時間遅れが発生するため、デジタル演算回路131に入力された設定信号に対し上記の補正が行われることとなる。そのゼロ点補正量と直線補正量を得るためMFC1の初期校正が必要となる。
【0007】
高い応答性を有するMFC1とするためには、弁開度を制御する駆動信号の出力パターンの制御が時間遅れを抑制する上で重要となる。
図7に、MFC1の制御特性を示す。図7(a)に示すように、例えばガスの設定流量が規格の流量の最大量と5%の量、つまり100%流量と5%流量となるよう、駆動信号が同一の出力パターンで流量制御弁12の弁開度を制御する。その場合、図7(b)に示すように、100%流量に比べ5%流量の場合には、弁開が指示されてからガスが流れ始めるまでの立上り開始の時間が遅れ、流れ始めから設定流量に達するまでの立上り時間も長くなるため、ガス流量が設定流量に到達するまでに時間遅れが発生する。これは、図4において実線で示されるように、駆動信号とガス流量との関係つまり流量特性が直線とならず、指数関数的な曲線状となるためである。よって、駆動信号の出力パターンは設定流量により最適化される必要がある。
駆動信号の出力パターンの最適化のためには、例えば比例、微分、積分定数などの制御定数により出力パターンを制御できるPID制御が用いられる。上述したように比較部137は、設定信号と流量信号とを比較して駆動信号の大きさを設定する。その際、駆動信号の出力パターンが最適化されるよう設定流量に応じた制御定数が駆動信号へ算入される。その制御定数を得るためMFC1の初期校正が必要となる。
また、MFC1の検出特性や流量特性は、そのセンサ112やダイアフラム121の劣化や流体通路内壁への反応物付着などにより経時的に変化するため、初期のみならずその後の使用中においても定期的な校正作業が必要とされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来、MFC1の校正は、MFC1単体に、または流体通路4に介設されたMFC1に例えば重量式の流量計を接続し、実際に使用されるガスあるいは校正用ガスを流し、流量を測定し、その測定値に基づいてMFC1の検出特性と流量特性を確認し、上述した補正量や制御定数を回路制御部13に入力するという作業を人手で行っていた。そのため校正には時間がかかり、流体通路4にMFC1を介設した状態で校正する場合には半導体製造ラインのクリーン度をその作業により低下させるという問題があった。
【0009】
従来のMFCの校正方法の一例が特開平7−263350号公報に開示されている。この校正方法は、ガスが流れる流体通路にMFCとMFCの下流側に流量計を介設し、流量計の検出値に基づいて校正器によりMFCの校正を行うものであり、前記のような人手の校正作業による半導体製造ラインのクリーン度の低下を防止することができるものである。しかしながら、特開平7−263350号公報の段落16には、「…測定流量xが規定誤差範囲外であれば、校正器5によりMFC1のガス流量を自動的または半自動的に校正する。…」と記載されているのみであり、MFC1の検出特性の校正方法については具体的に言及がなく、MFC1が高度な供給精度を有するよう、効率的に校正することができないという問題がある。また、高い応答性を有するMFC1とするためには、上述のようにMFC1の流量特性に基づいて制御定数を求める必要がある。しかし、特開平7−263350号公報に記載の校正器はガス流量を校正するものであり、制御定数を設定することはできず、MFC1が高い応答性を有するよう、効率的に校正することができないという問題がある。
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、MFCが高い供給精度と応答性を有するよう、効率的に校正できるMFCの校正方法及び装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決した本発明のマスフローコントローラの校正方法は、ガス流体を流す流体通路に介設され、駆動信号により弁開度が制御される流量制御弁と該ガス流体の流量を流量信号として出力するセンサ部を備えたマスフローコントローラの校正方法であって、該ガス流体の流量を流量信号として出力する検出特性が既知の流量計の流量信号に基づいて所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたガス流量と駆動信号の関係よりマスフローコントローラの流量特性を得る工程と、前記マスフローコントローラの流量特性を得る工程で得られたマスフローコントローラの流量特性に基づいてガス流量ごとの駆動信号の出力パターンを制御する制御定数を算出する工程と、前記マスフローコントローラの流量特性を得る工程の後に、前記流量計と前記マスフローコントローラのセンサ部で前記流量制御弁の弁開度ごとの所定のガス流量を測定し、得られた流量計とマスフローコントローラの検出特性に基づいて、マスフローコントローラの検出特性の補正量を算出する工程とを有することを特徴としている。なお、前記制御定数は、弁開指示から設定流量に達するまでの間の駆動信号に対する制御定数であることが望ましい。
【0011】
また本発明のマスフローコントローラの校正装置は、ガス流体を流す流体通路に介設され、駆動信号により弁開度が制御される流量制御弁と該ガス流体の流量を流量信号として出力するセンサ部を備えたマスフローコントローラの校正装置であって、該ガス流体の流量を流量信号として出力する検出特性が既知の流量計と、その流量計の流量信号に基づき前記マスフローコントローラを制御する校正器を有し、該校正器は、前記流量計の流量信号に基づき所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたガス流量と駆動信号との関係により前記マスフローコントローラの流量特性を算出する第1の演算回路と、得られたマスフローコントローラの流量特性に基づいてガス流量ごとの駆動信号の出力パターンを制御する制御定数を算出する第2の演算回路を備えたバルブ校正部と、前記第1の演算回路の動作の後に、前記流量計とマスフローコントローラのセンサ部で前記流量制御弁の弁開度ごとの所定のガス流量を測定し、前記マスフローコントローラの検出特性を得る第3の演算回路と、得られた流量計とマスフローコントローラの検出特性に基づいてマスフローコントローラの検出特性の補正量を算出する第4の演算回路を備えたセンサ校正部とを有することを特徴としている。なお、前記制御定数は、弁開指示から設定流量に達するまでの間の駆動信号に対する制御定数であることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の一例を図1〜図6に基づいて説明する。図1は、本発明のMFCの校正装置の一実施態様を示したものである。図2はMFCの流量特性の校正方法、図3はMFCの検出特性の校正方法のフローを示したものである。図4は、MFCの流量特性の校正方法を説明するための、駆動信号とガス流量の関係を示したものである。図5は、MFCの検出特性の校正方法を説明するための、ガス流量と流量信号の関係を示したものである。図6は、制御定数の算出方法を説明するための、流量特性の傾き量と比例定数の関係を示したものである。
なお下記の本実施態様の説明では、上述したアナログ−デジタル制御のMFCの校正について述べているが、本発明のMFCの校正方法及びその装置はそれに限ることなく、例えばデジタル制御のMFCや外部にデジタル制御回路を有するアナログ制御のMFCに適用することも可能である。
【0013】
図1に示すように、本実施態様のMFCの校正装置は、ガスが流れる流体通路4に介設されたMFC9と、MFC9の下流に介設された流量計2と、MFC9および流量計2を制御する校正器3からなる。図1において左側である上流側には図示しないガス発生手段とその下流側に開閉弁が配設されている。また、図1において右側である下流側には図示しない半導体製造プロセス、例えば成膜装置やエッチング装置が配設されている。なお図1において、図8と同一構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
MFC9は、前記した従来のMFC1に本発明に係る校正要素ならびに校正機能を追加したものであり、センサ部11、流量制御弁12及びそれらを制御する制御回路部93からなる。その制御回路部93はデジタル回路系DEとアナログ回路系NAからなり、デジタル回路系DEは、デジタル演算回路931と回路切替部939を備えている。
デジタル演算回路931は、前記した従来のMFC1のデジタル演算回路131の動作に加え、A/D変換器133を介して校正器3より入力される駆動信号をD/A変換器135を介してバルブ駆動部123へ出力し、A/D変換器132を介してセンサ部11より入力される流量信号をD/A変換器134を介して校正器3へ出力し、後述する回路切替部939へ回路を切替える信号を出力するものである。
回路切替部939は、流量信号の影響なくバルブ駆動部123へ駆動信号を直接出力するために設けられるものである。つまり、回路切替部939は、例えばD/A変換器135と比較部137を結ぶ回路中に設けられ、校正の際にはデジタル演算回路931の信号により回路が切替えられ、比較部137を介することなくバルブ駆動部123へ駆動信号を出力するものである。
【0015】
流量計2は、基本的には前記した従来のMFC1より流量制御弁12を除いたものであり、センサ部21と制御回路部23を有している。センサ部21の構造は、前記MFC1のセンサ部11と同様であり、センサ管211と、バイパス6と、センサ管211に一対の電熱線214が巻回されてなるセンサ212と、センサ212の出力を制御するセンサ制御回路213からなる。制御回路部23は、A/D変換器232を介して入力されたセンサ部22の流量信号を後述するように補正し、校正器3へD/A変換器234を介して出力する例えばマイクロコンピュータからなるデジタル演算回路231と、インターフェース236を有している。
【0016】
流量計2は、例えば重量式流量計などの原器により精密に校正されたものである。すなわち、その原器により流量計2のセンサ部22の検出特性を測定すると、図5において実線で示されるような曲線状の検出特性を得ることができる。その検出特性のゼロ点補正を行うため、そのゼロ点を矢印Aで示すように原点へ移動させ、その移動量をゼロ点補正量とする。次に、一点鎖線で示されるゼロ点補正後の検出特性と破線で示される理想特性とのずれを矢印Bで示すような変位量として求め、その変位量をシフト補正量とする。
A/D変換器232を介してデジタル回路231へ入力されたセンサ部21の流量信号は、上記ゼロ点補正量とシフト補正量により補正され、D/A変換器234を介して校正器3へ出力されることとなる。なお、デジタル回路231で補正された流量信号は、インターフェース236を用いてデジタル信号として出力することも可能である。
なお、本実施態様における流量計2は、熱的効果を利用してガス流量を測定するものであるが、例えば電磁気的効果を利用したものや、電磁波を利用したものなど種々の流量計2を使用することができる。
【0017】
例えばマイクロコンピュータからなる校正器3は、流量計2の流量信号に基づいてMFC9の流量特性と検出特性を校正するものである。校正器3は、流量計2の流量信号に基づいて所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたガス流量と駆動信号の関係よりMFC9の流量特性を算出し、そのMFC9の流量特性に基づいて制御定数を算出するバルブ校正部31と、流量計2とMFC9で所定のガス流量を測定し、それぞれの流量信号とガス流量の関係より流量計2とMFC9の検出特性を算出し、その流量計2とMFC9の検出特性に基づいてMFC9の検出特性の補正量を算出するセンサ校正部32を有している。
【0018】
以上で述べたような本実施態様のMFC9の校正装置による、MFC9の校正方法について以下説明する。
本実施態様のMFC9の校正方法は、
1)流量計の流量信号に基づいて所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたマスフローコントローラの流量特性に基づいて駆動信号の出力パターンを制御する制御定数を算出する工程と、
2)流量計とマスフローコントローラのセンサ部で所定のガス流量を測定し、得られた流量計とマスフローコントローラの検出特性に基づいて、マスフローコントローラの検出特性の補正量を算出する工程と
を有している。
【0019】
最初に、上記の1)項の制御定数を算出する工程について説明する。この工程は、校正器3のバルブ校正部31により行われるものであり、図2に示すように、MFC9の上流側に配置された開閉弁を開き(A)、流量制御弁12のバルブ駆動部123へ100%流量となると想定される駆動信号を与え(B)、流体通路4を流れるガスの流量を流量計2で測定し(C)、そのガス流量と所定の100%流量とを比較し(D)、その差が基準値から外れていれば、所定の100%流量となるよう駆動信号の大きさを調整する(E)。同様な操作を100%流量から0%流量まで例えば10%流量ごとに複数回繰り返すことにより(F)、図4において実線で示すような規格のガス流量範囲におけるガス流量と駆動信号の関係、つまり流量制御弁12の流量特性を得ることができる。
次に、その流量制御弁12の流量特性に基づいて制御定数が算出される(G)。本実施態様では、下記で詳細に説明するように、図4において実線で示されるその流量特性の所定の流量に対する接線の傾き量を求め、その傾き量により制御定数を算出するものである。
【0020】
制御定数、ここでは比例定数の算出方法について図4,6に基づき説明する。図6は、前記MFC9の流量特性の接線の傾き量と比例定数の関係を示したものであり、比例定数は100%流量時の比例定数を1として相対的に表示されている。図4において、50%流量時のその接線の傾き量を算出する。次に図6に示されるような流量特性の接線の傾き量と比例定数の関係に、その50%流量時の傾き量を算入し比例定数を算出する。なお、図6で示したような流量特性の接線の傾き量と制御定数の関係は、第2の演算回路に数式または数表として格納されており、例えば流量特性を微分して求められた傾き量がその数式または数表に代入され、制御定数が求められる。算出された制御定数は、MFC9の制御定数切替部138へ転送され、格納されることとなる。
【0021】
次に、上記2)項の補正量を算出する工程について説明する。この工程は、校正器3のセンサ校正部31により行われるものであり、図3に示すように、開閉弁を閉じて(A)、ガスを流さない状態で流量計2とMFC9で測定し(B,C)。開閉弁を開き(D)、所定のガス流量が10%流量となるような流量制御弁12の弁開度とし(E)、そのガス流量を流量計2とMFC9で測定し(F,G)、そのサイクルを10%流量〜100%流量まで10%流量ごとに複数回繰り返すことにより(H)、図5において実線で示される曲線状のMFC9の検出特性と、破線で示される原点を通る直線状の流量計2の検出特性を得ることができる。
次に、それぞれの検出特性に基づいてMFC9の検出特性の補正量が下記のように算出される(I)。
【0022】
図5に示すように、実線で示されるMFC9の検出特性のゼロ点補正を行うため、そのゼロ点を矢印Aで示すように原点へ移動させ、その移動量をゼロ点補正量とする。次に、一点鎖線で示されるゼロ点補正したMFC9の検出特性と破線で示される流量計2の検出特性とのずれを矢印Bで示すような変位量として求め、その変位量をシフト補正量とする。設定されたゼロ点補正量とシフト補正量は、MFC9のデジタル演算回路931に転送され、格納されることとなる。
【0023】
なお上述の説明では、MFC9の流量特性と検出特性の校正はそれぞれ単独に実施しているが、同時に実施することも可能である。また上述の説明では、初期校正について述べているが、その後の使用中の校正についても同様な方法で実施することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
上記で説明したように、本発明のMFCの校正方法及びその装置においては、MFC9の検出特性の補正量とMFC9の流量特性に基づく制御定数の算出を、MFC9と流量計2を制御する校正器3により自動的に行うことが可能であり、高度な供給精度と高い応答性を有するMFC9となるよう、極めて効率的に校正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマスフローコントローラの校正装置の一実施態様を示す図である。
【図2】マスフローコントローラの流量特性を補正するフローを示す図である。
【図3】マスフローコントローラの検出特性を補正するフローを示す図である。
【図4】ガス流量とマスフローコントローラの駆動信号の関係を示す図である。
【図5】ガス流量とマスフローコントローラの流量信号の関係を示す図である。
【図6】マスフローコントローラの流量特性から求めた接線の傾きの大きさと比例定数の関係を示す図である。
【図7】マスフローコントローラの制御特性を示す図である。
【図8】従来のマスフローコントローラの概略構成図である。
【符号の説明】
1、9:マスフローコントローラ、11:センサ部、12:流量制御弁、13、93:制御回路部
2:流量計、21:センサ部、23:制御回路部
3:校正器、31:バルブ校正部、32:センサ校正部
4:流体通路
5:バイパス
Claims (4)
- ガス流体を流す流体通路に介設され、駆動信号により弁開度が制御される流量制御弁と該ガス流体の流量を流量信号として出力するセンサ部を備えたマスフローコントローラの校正方法であって、
該ガス流体の流量を流量信号として出力する検出特性が既知の流量計の流量信号に基づいて所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたガス流量と駆動信号の関係よりマスフローコントローラの流量特性を得る工程と、前記マスフローコントローラの流量特性を得る工程で得られたマスフローコントローラの流量特性に基づいてガス流量ごとの駆動信号の出力パターンを制御する制御定数を算出する工程と、
前記マスフローコントローラの流量特性を得る工程の後に、前記流量計と前記マスフローコントローラのセンサ部で前記流量制御弁の弁開度ごとの所定のガス流量を測定し、得られた流量計とマスフローコントローラの検出特性に基づいて、マスフローコントローラの検出特性の補正量を算出する工程と、
を有することを特徴とするマスフローコントローラの校正方法。 - 前記制御定数は、弁開指示から設定流量に達するまでの間の駆動信号に対する制御定数である請求項1に記載のマスフローコントローラの校正方法。
- ガス流体を流す流体通路に介設され、駆動信号により弁開度が制御される流量制御弁と該ガス流体の流量を流量信号として出力するセンサ部を備えたマスフローコントローラの校正装置であって、
該ガス流体の流量を流量信号として出力する検出特性が既知の流量計と、その流量計の流量信号に基づきマスフローコントローラを制御する校正器を有し、
該校正器は、
前記流量計の流量信号に基づき所定のガス流量となるように駆動信号を調整し、得られたガス流量と駆動信号の関係よりマスフローコントローラの流量特性を算出する第1の演算回路と、そのマスフローコントローラの流量特性に基づいてガス流量ごとの駆動信号の出力パターンを制御する制御定数を算出する第2の演算回路を有するバルブ校正部と、
前記第1の演算回路の動作の後に、前記流量計とマスフローコントローラのセンサ部で前記流量制御弁の弁開度ごとの所定のガス流量を測定し、それぞれの流量信号とガス流量の関係により流量計とマスフローコントローラの検出特性を算出し、その流量計とマスフローコントローラの検出特性に基づいてマスフローコントローラの検出特性の補正量を算出するセンサ校正部と
を有することを特徴としたマスフローコントローラの校正装置。 - 前記制御定数は、弁開指示から設定流量に達するまでの間の駆動信号に対する制御定数である請求項3に記載のマスフローコントローラの校正装置。
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