JP4092243B2 - 光増幅回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトダイオードにより発生する光電流を電圧に変換する光増幅回路に関し、特に耐ノイズ性と高速応答性とを有する光増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
光増幅回路は、FA関連装置に使用されるICカプラやパソコン間通信等に用いられる赤外線通信の受信側回路、光信号をデジタル信号に変換する回路等に広く用いられている。この光電流を電圧変換する回路の一例を図3に示す。図において、1、2はそれぞれはトランジスタで、前段のトランジスタ1のエミッタは接地され、コレクタは抵抗3を介して電源ラインVccに接続され、後段のトランジスタ2は、ベースが前段トランジスタ1のコレクタと抵抗3の接続部に接続され、エミッタが抵抗4を介して接地され、コレクタは電源ラインVccに接続されており、前段トランジスタ1のベースを入力端5とし、後段トランジスタ2のエミッタを出力端6とする反転増幅器7を構成し、さらに入出力端5、6間に帰還抵抗8(抵抗値をRfとする)を接続して、増幅器9を構成している。10はフォトダイオードで、その一端(図示例ではアノード電極)は増幅器9の入力端5に接続されている。11、12は、第1、第2のダイオードで、同一方向に直列接続され、一端側のカソード電極が接地され、他端側のアノード電極が抵抗13を介して電源ラインVccに接続され、ダイオード12と抵抗13の接続部がフォトダイオード10の他端(カソード電極)に接続されている。図中、前後段トランジスタ1、2、はそれぞれNPN型トランジスタである。
【0003】
この回路のフォトダイオード10の両端にはほぼ一定の逆バイアス電圧がかけられており、フォトダイオード10に光入力されない場合には、光電流Ipdは発生せず、帰還抵抗8にはトランジスタ1のベース電流以外には電流が流れず、増幅器9の出力電圧は入力端5とほぼ等しい電圧Voとなる。ただし、電圧Voにはトランジスタ1のベース電流による帰還抵抗8での僅かなオフセット電圧が含まれている。フォトダイオード10に光入力されると、光量に応じて発生した光電流Ipdが帰還抵抗8に流れ、帰還抵抗8の両端に(Ipd×Rf)の電圧を発生し、出力端6の電圧Vaは電圧(Vo−Ipd×Rf)に変化する。この電圧Vaが、増幅器9に接続された図示しない電圧増幅回路で増幅され、図示しない出力トランジスタをオン/オフさせる。
【0004】
この光増幅回路では、PN接合の順方向電圧をVfとすると、フォトダイオード10のカソード電極には第1、第2のダイオード11、12によってダイオード2個分の順方向電圧(2×Vf)がかかり、アノード電極には、トランジスタ1のベース・エミッタ間の順方向電圧Vfがかかるため、フォトダイオード10の両端には逆バイアス状態で電圧Vfが印加される。そのためフォトダイオード10のPN接合部での空乏層が広がりフォトダイオード10の容量Cpdは減少する。この回路の時定数は容量Cpdと帰還抵抗8の抵抗値Rfとの積を反転増幅器7のゲインAvで除した値(Cpd×Rf/Av)で決定されるが、容量Cpdが小さくなれば時定数を低減でき、回路の応答性を高め、高周波動作に有利となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところでこの光増幅回路を発光ダイオードなどの光源と組合せたフォトカプラやフォトインタラプタはセンサとしてFA機器内で多用されている。このFA機器に含まれるモータやソレノイドなど大電流で電力制御される装置は、動作中にノイズを発生する。一方、センサとして用いられるフォトカプラやフォトインタラプタは通常は安定化電源に接続されて安定動作するようにしているが、電源から離れた場所に配置され配線を長く引き回さなければならないような場合、電力制御される装置が発生するノイズが電源ラインに重畳し易く、電源電圧が大きく変動することがある。
【0006】
図3に示す光増幅回路はフォトダイオード10に印加する逆バイアス電圧を、前段トランジスタ1のベース・エミッタ間の順方向電圧と直列接続された2個のダイオード11、12の順方向電圧によって得ているが、ノイズ等により電源電圧Vccが変動した場合、フォトダイオード10の両端の電圧の変動量が異なり、フォトダイオード10の両端の電位差が変動する。この変動電圧によってフォトダイオード10の容量Cpdを充放電する充放電電流を生じ、この充放電電流は光電流Ipdに重畳される。
【0007】
この結果、光入力がないにもかかわらず帰還抵抗8に電流が流れ、FA機器を誤動作させる虞があるという問題があった。
【0008】
このような問題を解消するものとして本出願人は、図4に示す光増幅回路を特許文献2で提案している。図中、図3と同一部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。図において、14は反転増幅器7と同一構成の第2反転増幅器、15は帰還抵抗8と同一の第2の帰還抵抗で、第2反転増幅器14の入出力間に接続され、バイアス設定回路16を構成している。フォトダイオード10は一端(アノード電極)が増幅器9の入力端5に接続され、他端(カソード電極)がバイアス設定回路16の入力端17に接続されている。即ち、内部回路が同一構成の増幅器9、バイアス設定回路16の各入力端5、17間にフォトダイオード10を接続し増幅器9の出力端6から出力電圧Vaを得るようにしている。
【0009】
この回路は、光入力がない場合、フォトダイオード10には光電流Ipdは発生せず、帰還抵抗8にはトランジスタ1のベース電流以外には電流が流れず、増幅器9の出力電圧は入力端5とほぼ等しい電圧Voとなる。ただし、電圧Voにはトランジスタ1のベース電流による帰還抵抗8での僅かなオフセット電圧が含まれている。フォトダイオード10に光入力されると、その光量に応じた光電流Ipdが発生し、この光電流Ipdが増幅器9の入力端5から帰還抵抗8に流れ、帰還抵抗8の両端に電圧(Ipd×Rf)が発生し、出力端6の電圧Vaは電圧(Vo−Ipd×Rf)となる。一方、バイアス設定回路16は帰還抵抗15の両端に帰還抵抗8とは逆向きの電圧降下を生じさせて入力端17から光電流Ipdに相当する電流をフォトダイオード10に供給する。
【0010】
この回路のフォトダイオード10の両端には増幅器9、バイアス設定回路16の初段トランジスタのベース・エミッタ間順方向電圧Vfがかかるため、フォトダイオード10の両端の電位差はほぼゼロで、外部ノイズが重畳するなどの理由により電源電圧Vccが変動してもフォトダイオード10の両端にかかる電圧はほぼ同じように変化し、フォトダイオード10の両端の電位差をほぼゼロに保つことができる。そのためフォトダイオード10内部で充放電電流が発生せず、光入力がなくても出力電圧が発生するということがなくなり、図3回路の問題が解消される。
【0011】
ところが、フォトダイオード10の両端の電圧がほぼ同じで、両端の電位差がほぼゼロであるため、容量Cpdが図3回路より大きくなり、そのため回路の時定数(Cpd×Rf/Av)が大きくなり応答性が低下し高周波動作には不向きであるという問題があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平5−288605号公報 (第2頁、第6図)
【特許文献2】
特願2002−278387号 (第3図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の光増幅回路では、回路の応答特性を優先させると電源変動等の外来ノイズに対する回路の安定性が低下し、逆に外来ノイズに対する回路の安定性を向上させると応答特性が低下するという問題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光増幅回路は上記課題に鑑み提案されたもので、反転増幅器の入出力間に帰還抵抗を接続した、電流入力を電圧出力に変換する増幅器と、前記増幅器と同一構成のバイアス設定回路と、アノード電極が前記増幅器の入力端に接続され、カソード電極が前記バイアス設定回路の入力端に接続されたフォトダイオードと、前記バイアス設定回路の出力端と前記増幅器の入力端とを接続するコンデンサとを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1を参照して説明する。図において、図4と同一部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。図4とは、バイアス設定回路16の出力端18と増幅器9の入力端5とをコンデンサ19で接続する点でのみ異なる。
【0016】
この回路の動作を以下に説明する。フォトダイオード10のアノード電極、カソード電極にはそれぞれ増幅器9およびバイアス設定回路16の初段トランジスタのベース・エミッタ間の順方向電圧がかかっている。この状態でフォトダイオード10に光が照射されると発生した光電流Ipdが帰還抵抗8に流れ電圧降下させるため増幅器9の出力端6の電圧が変化し、光電流・電圧変換が行なわれる。
【0017】
この回路は、光入力がない場合、フォトダイオード10には光電流Ipdは発生せず、帰還抵抗8にはトランジスタ1のベース電流以外には電流が流れず、増幅器9の出力電圧は入力端5とほぼ等しい電圧Voとなる。フォトダイオード10に光入力されると、その光量に応じた光電流Ipdが発生し、この光電流Ipdがフォトダイオード10から増幅器9の入力端5に流れ込む。一方、バイアス設定回路16は、その出力端18から帰還抵抗15(抵抗値をRfとする)を経て入力端17へ光電流Ipdに相当する電流をフォトダイオード10に供給する。よって、バイアス設定回路16の出力端18の電圧は入力端17のそれよりも電圧(Ipd×Rf)だけ高くなり、増幅器9の出力端6の電圧は入力端5のそれよりも同じ電圧(Ipd×Rf)だけ低くなる。
【0018】
また、この回路のフォトダイオード10の両端にはそれぞれ増幅器9、バイアス設定回路16の初段トランジスタのベース・エミッタ間順方向電圧Vfがかかるため、フォトダイオード10の両端の電位差はほぼゼロである。したがって、バイアス設定回路16の出力端18と増幅器9の入力端5とを接続するコンデンサ19(容量をCとする。)の両端にも電圧(Ipd×Rf)が発生し、出力端18から入力端5にコンデンサ19を流れる電流Icは、光電流Ipdの時間変化の割合に応じたものとなる。つまり、
Ic=C×d(Ipd×Rf)/dt
=C×Rf×d(Ipd)/dt
で表わされる電流Icが、光電流Ipd波形の立上がり、立下り時のみにコンデンサ19に流れ、この電流Icがフォトダイオード10の光電流Ipdに重畳されて帰還抵抗8に流れ電圧変換されるため、帰還抵抗8の両端に電圧((Ipd+Ic)×Rf)が発生し、増幅器9の出力端6にはオーバーシュート、アンダーシュートを含む電圧(Vo−(Ipd+Ic)×Rf)が表れる。
【0019】
上記図1の構成の光増幅回路の動作を図2の波形図を用いて説明する。まず、図2(a)に示すようにフォトダイオード10への光入力に応じた光電流Ipdが発生する。フォトダイオード10の寄生容量をCpdとし、反転増幅器7の増幅度をAvすると、この光電流波形の立上がり、立下りは、時定数(Cpd×Rf/Av)で決定される。一方、図2(b)に示すように電流Icは、前述の通り図2(a)の光電流Ipdの微分波形となる。従って、帰還抵抗8に流れる電流(Ipd+Ic)は図2(c)のようになり、この電流が電圧変換されるため、図2(d)に実線で示す電流波形を反転したような出力波形Vaとなる。図2(d)に示す破線は、コンデンサ19がないときの波形である。立上がり、立下り時の傾きは、破線よりも実線の方が急峻で、図2(d)のΔtpHL、ΔtpLHに示すように応答時間は、従来よりも改善されている。図示例は、50%変化点までの応答時間の改善時間を示している。
【0020】
このように従来の光増幅回路にコンデンサ19を好適に選定し追加することで、外来ノイズに対する回路の安定性を向上させるとともに、回路の応答特性を向上させ、高速動作が可能となる。
【0021】
尚、本発明は上記実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、反転増幅器7、14は図示例ではエミッタ接地の前段トランジスタ1とエミッタフォロワの後段トランジスタ2の二段構成であるが、これに限定されず一般に知られている反転増幅器を構成するものであればよい。また、増幅器9の出力端6に波形整形回路を接続し出力トランジスタを駆動する実施例も考えられる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フォトダイオードの両電極を同一回路でバイアスする構成としたので、電源ラインVccに大振幅のノイズが重畳したような場合でもフォトダイオード10の両端の電位差をほぼゼロに保つことができ、また、フォトダイオードのアノード電極側の増幅器入力と同じ電圧変動をするカソード電極側のバイアス設定回路出力とをコンデンサで接続する構成としたので、光入力に応じてフォトダイオードに流れる光電流の変化を強調する電流が光電流に重畳されて電圧変換され出力電圧の立上がり、立下りを急峻にできるため、耐ノイズ性と高速応答性とを両立させた光増幅回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による光増幅回路を示す回路図。
【図2】 図1に示す光増幅回路の動作を説明する波形図。
【図3】 従来の光増幅回路の一例を示す回路図。
【図4】 従来の光増幅回路の他の例を示す回路図。
【符号の説明】
7、14 反転増幅器
8、15 帰還抵抗
9 増幅器
10 フォトダイオード
16 バイアス設定回路
19 コンデンサ

Claims (2)

  1. 反転増幅器の入出力間に帰還抵抗を接続した、電流入力を電圧出力に変換する増幅器と、前記増幅器と同一構成のバイアス設定回路と、アノード電極が前記増幅器の入力端に接続され、カソード電極が前記バイアス設定回路の入力端に接続されたフォトダイオードと、前記バイアス設定回路の出力端と前記増幅器の入力端とを接続するコンデンサとを有することを特徴とする光増幅回路。
  2. 前記フォトダイオードへ光信号が入力されると前記光信号に応じて前記バイアス設定回路の入力端と出力端の間に電位差が生じ、前記電位差の時間変化に応じて前記コンデンサに流れる電流が、前記光信号により前記フォトダイオードで生じる光電流に重畳されて前記増幅器の入力端に入力されることを特徴とする請求項1に記載の光増幅回路。
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