JP4091677B2 - 昇降圧dc/dcコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスイッチング電源の構成に係わり、更に詳しくは例えば電池駆動を可能とするノートパソコンなどの携帯機器の電源として広く用いられているスイッチングコンバータ、すなわちバッテリーなどの非安定化DC電圧を安定したDC電圧に変換するDC/DCコンバータの回路構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池駆動を必要とする装置においては、一般に交流電源による使用、すなわちACアダプタによる駆動と、電池による駆動との両方に対応する必要がある。そのような場合のDC/DCコンバータの使用例を図14に示す。
【0003】
図14においてDC/DCコンバータ51の出力電圧を+5Vとし、ACアダプタ52の出力電圧を+16Vとし、電池53の電圧が4〜9Vの範囲で変化するものとすると、入力電圧の変化範囲は出力電圧の値をその中に含み、入力電圧は出力電圧に対して大きくも小さくもなるため、コンバータをいわゆる降圧型、または昇圧型のいずれかで構成することはできず、昇降圧型を用いる必要がある。
【0004】
図15は従来の昇降圧型DC/DCコンバータの回路構成を示す。同図においてコンバータは平滑リアクトル60、平滑コンデンサ61、2つのスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63、2つのダイオード▲1▼64,ダイオード▲2▼65、出力電圧を例えばあらかじめ定められた基準電圧と比較し、その誤差を増幅する誤差増幅器66、例えば三角波電圧を発生する発振器67、誤差増幅器66と発振器67との出力を比較し、例えば発振器の出力より誤差増幅器の出力が大きい時にスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63をオンとする信号を出力する比較器68から構成されている。
【0005】
この昇降圧型DC/DCコンバータでは、2つのスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63を同時にオン、またはオフすることにより、平滑リアクトルL60に蓄えられるエネルギーを調整し、2つのスイッチがオンの間にリアクトルLに蓄えられたエネルギーを平滑コンデンサC61によって平滑し、出力として安定したDC電圧を供給するものである。2つのダイオード▲1▼64,ダイオード▲2▼65は、2つのスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63がオフの期間中において平滑リアクトルL60に蓄えられたエネルギーを、平滑コンデンサC61に転流させるためのものである。
【0006】
図16は、図15における2つのスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63に対するオン・オフ信号の説明図である。図15において誤差増幅器66の出力が発振器67の出力する発振電圧より大きい区間において、比較器68は2つのスイッチに対するオン・オフ信号をオンとし、2つのスイッチ▲1▼62,スイッチ▲2▼63はこの区間においてオンとなる。なお図のtS は発振器の発振周期を示す。
【0007】
図17は図15の昇降圧型コンバータのスイッチオン時とオフ時の動作説明図である。同図(a)は2つのスイッチがオンした場合の動作説明図であり、平滑リアクトルL60に対して入力電圧側から電流が供給され、リアクトルにエネルギーが蓄えられる。この時出力電流は平滑コンデンサ61の放電電流として供給される。
【0008】
図17(b)はスイッチがオフした時の動作説明図である。この時には、平滑リアクトルL60からの電流が平滑コンデンサC61への充電電流となると共に、その一部が出力側に出力電流として供給されることになる。
【0009】
図15において2つのスイッチのオン期間において平滑リアクトルL60を流れる電流の変化分ΔILon とスイッチのオフ期間における電流の変化分ΔILoffとは、それぞれ次式で与えられる。
【0010】
【数1】
【0011】
これらの変化分ΔILon とΔILoffとを等しく置くことにより、コンバータの出力電圧は次の(2)式によって与えられ、またスイッチのオン時間は(3)式によって与えられる。
【0012】
Vout =Vin・ton/(tS −ton) (2)
ton=Vout ・tS /(Vin+Vout ) (3)
図18は図15における平滑リアクトルL60を流れる電流の説明図である。同図において電流の変化を直線的とすると、スイッチのオン期間における電流は次の(4)式によって与えられ、またスイッチのオフ期間における電流は(5)式によって与えられる。
【0013】
ILon =Vin・t/L+Icont (4)
ILoff=−Vout ・t/L+B (5)
コンバータの出力電流Iout は図18の斜線部の平均値と等しくなる。すなわち図15の平滑コンデンサC61からスイッチのオン期間において流れる放電電流が出力電流Iout となり、またスイッチのオフ期間における図18の斜線部から出力電流Iout を引いた部分がコンデンサCへの充電電流となる。この充電により補充された電流がスイッチのオン期間における出力電流に相当することになる。従って出力電流Iout は次の(6)式によって与えられる。
【0014】
Iout =1/2×(ILpeak +Icont)(tS −ton)/tS (6)
(4)式よりリアクトルL60を流れる電流のピーク値ILpeak は次の(7)式によって与えられ、この(7)式を(6)式に代入することにより、出力電流は(8)式によって与えられる。
【0015】
ILpeak =Vin・ton/L+Icont (7)
Iout =1/2×(Vin・ton/L+2Icont)(tS −ton)/tS (8)
(8)式よりL60を流れる電流の最小値Icontは次の(9)式によって与えられ、また電流の変化分、すなわちリップルΔIL は(10)式によって与えられる。
【0016】
Icont=Iout ・tS /(tS −ton)−Vin・ton/2L (9)
ΔIL =Vin・ton/L (10)
次に比較のために従来の降圧型DC/DCコンバータの回路構成とその動作について説明する。図19は従来の構成例の説明図である。同図においてコンバータは平滑リアクトルL70、平滑コンデンサC71、スイッチ72、ダイオード73、誤差増幅器74、発振器75、比較器76から構成されている。
【0017】
図20は図19におけるスイッチ72のオン期間、およびオフ期間における動作の説明図である。同図(a)はスイッチのオン期間の動作説明図であり、この期間では入力電圧によって平滑インダクタンスL70を介して、負荷電流と平滑コンデンサC71への充電電流が供給される。
【0018】
図20(b)はスイッチのオフ期間の動作説明図あり、この期間においては入力電圧側からの電圧に代わって、平滑リアクトルL70を流れる電流が出力側に供給されることになる。
【0019】
昇降圧型コンバータの場合と同様に、スイッチのオン期間における電流の変化分ΔILon と、オフ期間における電流の変化分ΔILoffはそれぞれ次のように与えられる。
【0020】
【数2】
【0021】
これらの変化分を等しく置くことにより、コンバータの出力電圧は次の(12)式、スイッチのオン時間は(13)式によって与えられる。
Vout =Vin・ton/tS (12)
ton=Vout ・tS /Vin (13)
昇降圧型コンバータの場合と同様の計算を行うことにより、リアクトルLを流れる電流のピーク値、最小値、およびリップル値は次のように与えられる。
【0022】
ILpeak ′=(Vin−Vout )ton/L+Icont′ (14)
Icont′=Iout −(Vin−Vout )ton/2L (15)
ΔIL ′ =(Vin−Vout )ton/L (16)
なお(15)式の電流最小値については次の文献に示されている。
【0023】
長谷川彰:スイッチングレギュレータ設計ノウハウ(第7版),
P.20,(1−22)式,CQ出版社
最後に昇圧型コンバータの従来例について簡単に説明する。図21は昇圧型コンバータの構成例、図22はスイッチのオン期間とオフ期間における昇圧型コンバータの動作説明図である。この昇圧型コンバータにおいて、スイッチのオン期間における電流の変化分と、オフ期間における電流の変化分は(17)式によって与えられ、これらを等しく置くことによりコンバータの出力電圧は(18)式、スイッチのオン時間は(19)式によって与えられる。
【0024】
【数3】
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
図14においてDC/DCコンバータ51への入力電圧が出力電圧より小さくなるのは、電池53が消耗してその電圧が5V以下となった時だけである。そのような場合以外はDC/DCコンバータとしては降圧型を使用すればよいことになる。そこで図15の昇降圧型を用いた場合と、図19の降圧型を用いた場合について、平滑リアクトルを流れる電流について比較して見る。ここで条件として次のような場合を仮定する。
【0026】
Vin=16V Vout =5V Iout =3A
tS =5μS L=33μH
昇降圧型については(7)、(10)式を、また降圧型については(14)、(16)式を用いることによって、リアクトルLを流れる電流のピーク値とリップル値はそれぞれ次のような値となる。
【0027】
昇降圧型:ILpeak =4.23A ΔIL =0.58A
降圧型 :ILpeak ′=3.26A ΔIL ′=0.26A
この計算結果によれば、昇降圧型では降圧型に比較してリアクトルLを流れる電流のピーク値は約1.3 倍、リップル値は約2倍となる。このため昇降圧型コンバータを使用した場合には、降圧型に比較して平滑リアクトルや平滑コンデンサでの損失が大きくなり、効率が悪くなってしまうという問題点があった。一般に昇圧型コンバータにおける平滑リアクトルを流れるピーク電流の値は昇降圧型の場合と同じであり、また図14で説明したように昇降圧型コンバータとはいっても、降圧動作をすべき期間が昇圧動作をすべき期間に比べてずっと長く、昇圧動作は電池53が消耗したギリギリの所でわずかに使用されるだけであることを考えると、従来の昇降圧型において降圧型コンバータに比較して効率が悪くなるというのは大きな問題点である。
【0028】
本発明は、昇降圧DC/DCコンバータにおいて、入力電圧が出力電圧より大きい場合に従来の降圧型と同等の制御を行うことによって、平滑リアクトルや平滑コンデンサにおける損失を最小限におさえ、効率のよいDC/DCコンバータを提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成ブロック図である。同図は安定化されていない入力電圧、例えば電池の端子電圧の変化範囲が、安定化されて出力されるべき電圧の値をその内部に含むために、昇圧と降圧の両方の動作を必要とする昇降圧DC/DCコンバータの原理構成ブロック図である。
【0030】
図1において昇降圧DC/DCコンバータ1の内部に、動作切換制御手段2が備えられる。この動作切換制御手段2は、コンバータへの入力電圧がコンバータの出力電圧より大きい時にはコンバータが降圧型の動作、すなわち降圧動作を行い、入力電圧より出力電圧が大きい時には昇圧型の動作、すなわち昇圧動作を行うように、昇降圧DC/DCコンバータ1の動作切り換えを制御するものである。
【0031】
昇降圧DC/DCコンバータにおいては、電圧入力端子と平滑リアクトルとの間に第1のスイッチ、電圧出力端子に近い平滑リアクトルの接続端子とアースとの間に第2のスイッチが備えられる。これらのスイッチは、図15の従来例ではそれぞれスイッチ▲1▼62とスイッチ▲2▼63とに相当する。
【0032】
そして動作切換制御手段2は、降圧動作においては第2のスイッチが常時オフとなるように、また昇圧動作においては第1のスイッチが常時オンとなるように制御を実行する。これによって降圧動作においてはスイッチ▲1▼62がオン、またはオフとなることによって、図20で説明した降圧型コンバータと同様の動作が実行され、また昇圧動作においてはスイッチ▲2▼63がオン、またはオフとなることにより図22で説明した昇圧型コンバータの動作が実現されることになる。
【0033】
本発明においては入力電圧と出力電圧を直接比較する代わりに、入力電圧に対応する設定電圧と出力電圧を比較したり、入力電圧と出力電圧に対応する設定電圧とを比較したり、入力電圧にオフセットを持たせた電圧と出力電圧とを比較したり、入力電圧と出力電圧にオフセットを持たせた電圧とを比較して、昇圧動作と降圧動作とを切り換えることも可能である。
【0034】
本発明においては、更に昇降圧DC/DCコンバータにおいて出力電圧と基準電圧との間の誤差とある発振器の発振電圧との差を比較する誤差比較手段と、誤差比較手段の出力としてのパルス波のデューティが0%に達した時点でコンバータに降圧動作を、またデューティが100%に達した時点で昇圧動作を開始させるように、コンバータの動作を制御する制御手段を備えるように構成することも可能である。
【0035】
以上のように本発明によれば、降圧動作を行うべき時には、従来の降圧型コンバータと同程度に平滑リアクトルを流れる電流やそのリップル値を抑えることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図2は本発明の昇降圧DC/DCコンバータの基本構成例である。同図を図15の従来方式と比較すると、図15におけると同様の構成要素、すなわち平滑リアクトルL4、平滑コンデンサC5、2つのスイッチ▲1▼6,スイッチ▲2▼7、2つのダイオード▲1▼8,スイッチ▲2▼9、誤差増幅器10、発振器11、比較器12に加えて、新たにスイッチ制御部13、オアゲート14、アンドゲート15が備えられている。
【0037】
図2においてスイッチ制御部13は、入力電圧が出力電圧より大きい時には“L”、逆の時には“H”を出力する。従って入力電圧の方が大きい時、すなわち降圧動作を行うべき時にはアンドゲート15の出力は“L”となり、スイッチ▲2▼7は常時オフとなる。そしてこの場合には比較器12の出力によってオアゲート14を介したスイッチ▲1▼6のオン/オフ制御が行われ、図20の動作が実現される。
【0038】
これに対して入力電圧より出力電圧が大きい時には、スイッチ制御部13の出力は“H”となり、スイッチ▲1▼6はオアゲート14を介した制御によって常時オンとなり、スイッチ▲2▼7はアンドゲート15を介して比較器12の出力によってオン/オフ制御されることになる。これによって図22で説明した昇圧型としての動作が実現される。誤差増幅器10、発振器11、比較器12の動作は図15におけると類似しているが、その詳細については次の図3で説明する。
【0039】
なお、ここでは入力電圧が出力電圧より大きい時にはスイッチ▲2▼7を常時オフとし、また入力電圧より出力電圧が大きい時にはスイッチ▲1▼6を常時オンとする制御を説明したが、実際のコンバータにおいてはどちらか一方の制御を行うだけでもよい。
【0040】
図3は本発明の昇降圧DC/DCコンバータの第1の実施例を示す。同図においては、図2のスイッチ制御部13がスイッチ制御比較器17によって構成されている。このスイッチ制御比較器17は、図2で説明したように入力電圧と出力電圧を比較し、入力電圧が出力電圧より大きい時には“L”、逆の時には“H”を出力するものである。
【0041】
図3において誤差増幅器10は、図15における誤差増幅器66に対する説明と同様に、ある基準電圧16と出力電圧とを比較し、その間の誤差を増幅するものである。発振器11は、図15における発振器67と同様に、例えば三角波を出力するものである。比較器12は誤差増幅器10の出力と発振器11の出力を比較し、誤差増幅器10の出力が発振器11の出力より大きい時、すなわち図16と同様に誤差増幅器の出力が発振器出力より大きい区間において、2つのスイッチをオンさせるためのオン・オフ信号を“H”とする。すなわち出力電圧が小さく誤差が大きい時には、誤差増幅器の出力は発振器の出力より大きくなり、スイッチのオン時間tonは長くなる。
【0042】
図4は図3の第1の実施例におけるコンパレータの動作状態を決定する2つの比較器の出力論理の説明図である。同図において、スイッチ▲1▼6のオン/オフ制御は2つのコンパレータの出力の論理和として実行され、スイッチ▲2▼7のオン/オフ制御は2つのコンパレータの出力の論理積によって行われる。この結果コンバータはスイッチ制御比較器17、すなわちCMP▲2▼の出力が“L”の時には降圧動作、“H”の時には昇圧動作となる。
【0043】
図5は昇降圧DC/DCコンバータの第2の実施例の構成を示す。同図を図3の第1の実施例と比較すると、スイッチ制御比較器17の+入力端子にある設定電圧Vset 18が接続され、一入力端子にコンバータの出力電圧が接続されている点のみが異なっている。このためスイッチ制御比較器17は設定電圧が出力電圧より大きい時に“H”を、逆の時に“L”を出力する。これによって出力電圧が設定電圧より大きい時には降圧動作となり、逆の時には昇圧動作となる。
【0044】
但しこの実施例では電源投入時、すなわち出力電圧が0から立ち上がる場合には入力電圧より出力電圧が大きいことが必須条件として要求される。すなわち投入時には動作開始モードとして昇圧動作が行われ、入力電圧が出力電圧より大きい場合には出力電圧がオーバシュートしてしまうためである。
【0045】
図5においては、スイッチ制御比較器17としてのCMP▲2▼の+端子にある設定電圧を接続したが、逆に−端子側に設定電圧を接続することも可能である。このような場合には正、または負の任意の電圧を設定電圧として与える必要があるが、このための方法として例えばシャントレギュレータを用いる方法がある。図6はこのようなシャントレギュレータを用いる方法による任意の電圧の設定法の説明図である。同図においてシャントレギュレータTL431によって次式に示すような制御が行われる。
【0046】
Vset ・R2 /(R1 +R2 )=Vref
そのため設定電圧Vset の値は次式となり、任意に設定することが可能となる。
【0047】
Vset =Vref (R1 +R2 )/R2
図7は昇降圧DC/DCコンバータの第3の実施例の構成を示す。同図においても、図3の第1の実施例と比較して、スイッチ制御比較器17の入力端子の接続法が異なっている。すなわちスイッチ制御比較器17としてのCMP▲2▼の+入力端子には入力電圧がオフセット電圧19を介して接続され、−入力端子には出力電圧が接続されている。これによってCMP▲2▼は入力電圧とオフセット電圧との差が出力電圧より大きい時に“L”、逆の時に“H”を出力する。
【0048】
この第3の実施例を、図3の第1の実施例と比較して、その動作を説明する。図3においては電源投入時に出力電圧が0から立ち上がるために、一般に入力電圧の方が出力電圧より大きくなり、コンバータは降圧動作となっている。時間の経過につれて入力電圧は徐々に上昇し、出力電圧の基準電圧に近づくが、平滑リアクトルL4やダイオード▲2▼9による電圧降下のために、完全に入力電圧と出力電圧が一致する状態にはならない。このためCMP▲2▼17の出力は“L”状態のままとなってしまう。
【0049】
図8はこのような状態の説明図である。同図において点線は図3のようにオフセット電圧を設定しない場合を示し、CMP▲2▼17の出力は“L”のままとなる。これに対して、図7のように平滑リアクトルやダイオードの電圧降下以上のオフセット電圧を持たせることにより、入力電圧とオフセット電圧との差より出力電圧が大きくなった時点で、CMP▲2▼17の出力は“L”から“H”に変化し、コンバータは昇圧動作に移行する。
【0050】
図9は昇圧型DC/DCコンバータの第4の実施例の構成を示す。同図においては、図3の第1の実施例におけるスイッチ制御比較器17に代わって、比較器12の出力とオアゲート14およびアンドゲート15との間に、パルス幅検出器20が備えられている点が異なっている。このパルス幅検出器20は比較器12、すなわちCMP▲1▼の出力信号のオンデューティに着目し、このオンデューティが0%になった時点と、100%になった時点を検出して、コンバータの降圧/昇圧動作を制御するものである。
【0051】
図10は図9における比較器の出力のオンデューティとコンバータの昇圧/降圧動作の関係の説明図である。ここでオンデューティとは、比較器CMP▲1▼12の出力のオン時間と発振器11の発振周期の比率である。
【0052】
図10においてまず(1)の期間の最初、すなわち電源投入時には比較器12の出力のオンデューティは100%となっている。これは電源投入時にはオンデューティを100%として急速に出力電圧を立ち上げるためである。後述するように、比較器12の出力のオンデューティが100%である時にはパルス幅検出器20の出力は“H”となっており、従ってコンバータは昇圧動作を行う。そして(1)の期間の最後において、オンデューティは急速に減少し、一旦0%になる。この時パルス幅検出器20の出力は“L”となり、コンバータは降圧動作に移行する。
【0053】
(2)の期間ではコンバータは降圧動作を行っており、オンデューティは出力電圧と入力電圧との比に等しく、一定となる。
(3)の期間では、入力電圧の減少につれてオンデューティは徐々に大きくなり、入力電圧と出力電圧が等しくなった時点で100%となる。ここで降圧動作が終了し、(4)以降の昇圧動作に移行する。
【0054】
(4)ではオンデューティは0%から徐々に大きくなり、出力電圧は一定値に近づく。(5)の期間では、オンデューティは入力電圧と出力電圧との比を1から差し引いた値で、一定となる。
【0055】
(6)の期間では入力電圧の増加につれてオンデューティは徐々に小さくなり、入力電圧と出力電圧が一致した時点で0%になる。そして(7)の期間においては、(1)の期間と同様に、オンデューティは100%から徐々に小さくなる。
【0056】
図10において、昇圧動作から降圧動作に移行するのは(1)から(2)への間、および(6)から(7)への間であり、昇圧動作から降圧動作に移行する条件は、オンデューティが徐々に小さくなり、最後に0%になることである。また降圧動作から昇圧動作に移行するのは(3)と(4)の間であり、オンデューティが徐々に大きくなり、最後に100%になることがその条件である。従ってオンデューティが0%になったことを検出して降圧動作に切り換え、100%になったことを検出して昇圧動作に切り換えるという動作がパルス幅検出器20に要求されることになる。
【0057】
図11は図9のパルス幅検出器20の構成例を示す。同図において、パルス幅検出器20は比較器12の出力するパルスの消滅を検出するパルス消滅検出部21、インバータ22、2つのアンドゲート23,24、およびフリップフロップ25から構成されている。
【0058】
図12は図11のパルス幅検出器の動作真理値表である。同図においてパルス消滅検出部は、オンデューティが0%、または100%となった時に“H”を出力し、その他の期間においては“L”を出力する。オンデューティが0%になった場合には、パルス消滅検出部21の出力は“H”、比較器12の出力は“L”であり、この時フリップフロップ25はアンドゲート24を介してリセットされ、パルス幅検出器の出力は“L”となる。オンデューティが0%から上昇している期間においては、パルス消滅検出部21の出力は“L”であり、2つのアンドゲート23,24の出力はいずれも“L”となるため、パルス幅検出器の出力は“L”に保たれる。
【0059】
オンデューティが100%に達すると、パルス消滅検出部21および比較器12の出力は共に“H”となり、フリップフロップ25はアンドゲート23を介してセットされ、その出力は“H”となる。オンデューティが100%から減少している期間においては、パルス消滅検出部21の出力は“L”となり、フリップフロップ25はアンドゲート24によってリセットされることなく、その出力は“H”のままに保たれる。
【0060】
図13は図11のパルス消滅検出部21の構成例を示す。同図において、パルス消滅検出部は例えば1つのIC、NEC製μPD74HC123Aによって構成されている。その動作は、図13(b)に示されているように、B端子に入力されるパルスの立ち上がりが検出された時点で、出力 外1 (以下Qバーと表
【0061】
【外1】
【0062】
す)がある一定期間(Cにより設定される)“L”を出力する状態となる。従ってオンデューティが0%か100%となり、パルスが全くなくなった状態で出力Qバーは“H”となる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、例えば入力電圧と出力電圧を比較して制御を行うことにより、入力電圧が出力電圧より大きい時には昇降圧DC/DCコンバータを降圧動作状態とすることによって、平滑リアクトルを流れるピーク電流やリップル電流を抑えることができ、効率のよいDC/DCコンバータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するブロック図である。
【図2】本発明の昇降圧DC/DCコンバータの基本構成を示すブロック図である。
【図3】昇降圧DC/DCコンバータの第1の実施例を示す図である。
【図4】第1の実施例における2つの比較器の出力論理によるコンバータの動作状態を説明する図である。
【図5】昇降圧DC/DCコンバータの第2の実施例を示す図である。
【図6】シャントレギュレータを用いる任意の電圧の設定法の説明図である。
【図7】昇降圧DC/DCコンバータの第3の実施例を示す図である。
【図8】第3の実施例における電源投入時の動作を説明する図である。
【図9】昇降圧DC/DCコンバータの第4の実施例を示す図である。
【図10】図9における比較器の出力のオンデューティとコンバータの動作の関係を説明する図である。
【図11】パルス幅検出器の構成例を示す図である。
【図12】図11のパルス幅検出器の動作真理値表を示す図である。
【図13】図11のパルス消滅検出部の構成例を示す図である。
【図14】DC/DCコンバータの使用例を示す図である。
【図15】従来の昇降圧DC/DCコンバータの構成例を示す図である。
【図16】図15における2つのスイッチに対するオン・オフ信号の説明図である。
【図17】図15の昇降圧コンバータのスイッチオン時とオフ時の動作を説明する図である。
【図18】図15における平滑リアクトルを流れる電流の説明図である。
【図19】従来の降圧型DC/DCコンバータの構成例を示す図である。
【図20】図19の降圧型コンバータの動作の説明図である。
【図21】従来の昇圧型コンバータの構成例を示す図である。
【図22】図21の昇圧型コンバータの動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 DC/DCコンバータ
2 動作切換制御手段
4 平滑リアクトルL
5 平滑コンデンサC
6 スイッチ▲1▼
7 スイッチ▲2▼
8 ダイオード▲1▼
9 ダイオード▲2▼
10 誤差増幅器
11 発振器
12 比較器
13 スイッチ制御部
14 オアゲート
15 アンドゲート
16 基準電圧
17 スイッチ制御比較器
19 オフセット電圧
20 パルス幅検出器
21 パルス消滅検出部
22 インバータ
23,24 アンドゲート
25 フリップフロップ
Claims (2)
- 非安定化入力電圧の変化範囲が安定化出力電圧の値を含み、昇圧と降圧の両動作を必要とするDC/DCコンバータにおいて、
入力電圧から所定のオフセット電圧を減じた差よりも出力電圧が小さい時には降圧型コンバータの動作としての降圧動作を行うように、また、該入力電圧から該所定のオフセット電圧を減じた差よりも該出力電圧が大きい時には昇圧型コンバータの動作としての昇圧動作を行うように、該DC/DCコンバータの動作切換を制御する動作切換制御手段を備えたことを特徴とする昇降圧DC/DCコンバータ。 - 請求項1記載の昇降圧DC/DCコンバータと、
前記入力電圧を供給する電池と、
を備えたことを特徴とする電池駆動機器。
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-
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