JP4091289B2 - X線コンピュータ断層撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線、磁気又は超音波を使って被検体からデータを収集し、その収集したデータに対して信号処理を実行することにより画像データを発生するX線コンピュータ断層撮影装置(CTスキャナ)、X線診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置等の医用画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリカルスキャンの普及により、3次元画像診断を行うケースが増えている。さらにマルチスライスCTにおいては、薄い撮影スライス厚でヘリカルスキャンを行うことにより、ルーチン処理に使用する厚みのあるスライス画像(当該機器の画像診断で常に使用する通常の画像)と3次元画像診断を行うための薄いスライス画像を1つのヘリカルスキャンデータから得ることが可能である。
【0003】
ただし、ヘリカルスキャンデータから3次元画像診断目的の3次元画像データ(スライス厚が比較的薄く且つスライス枚数の比較的多い一群の画像データ)を生成する信号処理(この信号処理を以下、タスクと称する)は、画像診断のルーチンワークとして定常的に使用されるスライス厚が比較的厚く且つスライス枚数が比較的少ない画像データを生成するタスクに比べて、信号処理時間が長い。
【0004】
従って、3次元画像データを生成するタスクが終了するまで、ルーチン処理の厚みのある画像データを生成するタスクが長時間待たされるという事態が生じる。
【0005】
例えば、図12に示すように、患者aに関するスキャンと、そのスキャンにより収集したデータを処理して画像データを生成する“A−1(比較的処理時間の短いルーチンタスク)”と“A−2(3次元画像データ生成等の比較的処理時間の長いタスク)”という2つのタスクの要求が出された場合、スキャン後に、まず、A−1が実行され、それが終了後にA−2が実行される。A−2の実行中に、次の患者bに関するスキャンとそのスキャンにより収集したデータを使う“B−1(比較的処理時間の短いルーチンタスク)”と“B−2(比較的処理時間の長い3次元画像データ生成等のタスク)”という2つのタスク要求が出された場合、タスクB−1の実行開始は、タスクA−2の終了まで長時間LT1を待たされる。患者cに対するルーチンタスクC−1に関しても同様で、タスクB−2が終了するまで長時間LT2待たされる。
【0006】
また、この待ち時間を避けて即座に必要な画像データの信号処理を開始するために、そのタスク(例えばB−1)の要求を入力してから、前回スキャンのデータを使う3次元画像データのタスク(例えばA−2)の要求を入力するといった要求の入力順序をユーザサイドで調整するという煩雑な作業が必要とされている。
【0007】
また、3次元画像データ(スライス厚が薄く且つ枚数の多い一群の画像データ)に対する画像処理は、高速処理の可能な専用ワークステーションで行うことが多く、再構成終了後に3次元画像データをそのワークステーションへ転送することが一般的である。この画像転送先は、あらかじめプリセットできる撮影条件や信号処理条件とともに指定することができるようにはなっているが、転送先は1カ所しか設定できないため、その1カ所は、必然的に、ルーチン処理で得られた画像データのために使用され、3次元画像データの転送は手動で行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、画像生成のための信号処理順序を任意に設定できる医用画像撮影装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線コンピュータ断層撮影装置は、放射線を使って被検体から投影データを収集する手段と、前記収集した投影データに対して再構成処理を実行することにより画像データを発生する再構成処理手段と、前記再構成処理の実行要求を、再構成処理条件と優先度と共に入力するものであって、同じスキャンオペレーションで収集した投影データに対して前記再構成処理条件が相違する複数の再構成処理の実行要求を入力する入力手段と、前記再構成処理手段による前記複数の再構成処理の実行要求に対応する複数の再構成処理の実行順序を、要求発生順序と優先度とに基づいて決定するタスクマネージャーとを具備する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による医用画像診断装置の実施形態を説明する。なお、医用画像診断装置には、放射線、磁気又は超音波を使って被検体からデータを収集し、その収集したデータに対して信号処理を実行することにより画像データを発生する装置として定義され、具体的には、X線コンピュータ断層撮影装置(CTスキャナと呼称されることもある)、X線診断装置、ガンマカメラ(シンチレーションカメラ、SPECT、PET)、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置等がその範疇に含まれる。ここでは、医用画像診断装置として、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示している。このX線コンピュータ断層撮影装置は、被検体に関する投影データを収集するためのスキャナ1と、その投影データに基づいて画像データを再構成する機能を持った計算機ユニット2とから構成される。計算機ユニット2には、画像データの転送先(送信先)としての外部装置として例えば光磁気ディスク装置3、ワークステーション4,5,6が、WAN、LAN、公衆回線又は専用回線等の電気的通信手段を介して接続されている。
【0012】
スキャナ1は、シングルスキャン、マルチスライススキャン、及び/又はヘリカルスキャン(らせん状スキャン)を実行するために必要且つ一般的な構成要素を備えている。また、スキャナ1は、X線管とX線検出器が1つずつ搭載された普及型であってもよいし、近年開発の進んでいるX線管とX線検出器との組を複数搭載したいわゆる多管球型であってもよい。スキャナ1として典型的なものはいわゆる第3世代と呼ばれるタイプであり、そのタイプであれば、X線管とX線検出器との組を1又は複数搭載した回転リングを有している。回転中に、X線管から連続的又は断続的にX線が曝射され、それに同期してX線検出器で蓄積電荷の読み出しが一定の周期で繰り返される。この動作により出力される信号を、一般的にDAS(data acquisition system) と呼ばれているデータ収集システムで電圧信号に変換し、増幅し、さらにディジタル信号に変換して、そしてそのディジタル信号を前処理部で感度補正等の補正処理を通すことにより、再構成処理の直前段階にあるいわゆる投影データが生成される。この投影データは計算機ユニット2に送られる。
【0013】
計算機ユニット2は、CPU24を中心とし、それにデータ/制御バス23を介してスキャナインタフェース21、外部装置インタフェース22、入力デバイス25、投影データ記憶部26、再構成処理部27、画像データ記憶部28、スキャンエキスパートシステム29、再構成タスク記憶部30、再構成タスクマネージャー31が接続されてなる。
【0014】
管電圧、管電流、X線曝射時間等のスキャン条件の最適化、スライス厚、スライス枚数、マトリクスサイズ等の再構成条件の最適化は、専門的知識を必要とする。その専門的知識をベースとして、経験の浅いまた専門的知識の希薄なものであっても同等の条件設定を可能にするために開発されたシステムが、スキャンエキスパートシステム29である。このスキャンエキスパートシステム29の支援のもとで、操作者は、スキャン要求及び再構成要求(信号処理要求)を、最適化されたスキャン条件、最適化された再構成条件(信号処理条件)とともに、さらに再構成条件に優先度を付けて入力することができる。
【0015】
再構成処理部27は、設定された再構成条件に従って投影データから画像データを生成する再構成処理(信号処理)を実行する計算機部分であり、再構成タスクマネージャー31によるタスク管理のもとで再構成タスクを実行する。再構成タスクとは、再構成処理の要求ごとに対応する再構成処理の単位である。再構成タスクマネージャー31は、要求された再構成タスクの実行順序を、要求の発生順序とそれぞれの優先度とに基づいて決定するもので、特徴的な部分の一つである。以下に、再構成タスクマネージャー31を中心に動作について説明する。
【0016】
図2には、再構成タスクマネージャー31による再構成タスクの待ち行列の更新手順を示している。まず、再構成タスクの要求が、スキャンエキスパートシステム29の支援のもとで入力デバイス25を介して入力される(S1)。図2、図3に、スキャンエキスパートシステム29により提供される再構成タスクの入力画面の一例が示されている。この画面の左欄は、スキャンのスケジュール表を表している。このスキャンスケジュール表には、予定されている、つまり操作者が既に設定済みのスキャノグラム撮影オペレーションやスキャンオペレーションがその予定した実行順に従って縦に配列される。このスキャンスケジュール表に対して、所望するスキャンオペレーションを追加、消去等の操作でスキャンオペレーションの回数や順番を設定する。この例では、スキャノグラム(Scano)の撮影が行われ、次にヘリカルスキャン(Helical)が実行されることを示している。
【0017】
当該入力画面の右欄には、再構成条件の設定シートが表示される。左欄で任意のスキャンオペレーションが選択されたとき、その選択されたスキャンオペレーションで収集した投影データに対する再構成条件が右欄で設定され得る。この設定シートは、初期的には、第1(1st)から第4(4th)までの4種類が提供される。つまり、同じスキャンオペレーションで収集した投影データを使った再構成条件が相違する最大4種類の再構成タスクの設定ができるようになっている。しかし、シートの数は任意に増減され得る。第1、第2の設定シートの項目値には、スキャンエキスパートシステム29によりスキャン条件から専門的推論メカニズムを経て推奨される推奨値が初期的に挿入されている。しかし、それぞれの値は、操作者が任意に変更可能である。
【0018】
エキスパートシステム29は、第1から第4の設定シートに対して、予め優先度を与えている。第1と第2の設定シートに対しては、高い優先度を与え、また、第3と第4の設定シートに対しては、低い優先度を与えている。換言すると、第1又は第2の設定シートを使って設定された再構成タスクに関しては、高優先度を関連付け(属性値として与え)、また第3又は第4の設定シートを使って設定された再構成タスクに関しては、低優先度を関連付けていて、シート内で設定された再構成条件と共にその優先度が設定されるようになっている。
【0019】
各設定シートには、再構成条件を構成する複数の項目が並んでいる。その項目としては、再構成関数の種類、フィルタの使用/不使用(ON/OFF)、スライス厚、隣接スライスの中心線間の距離を意味する再構成間隔、表示FOV(表示視野)のサイズ、その中心位置、そしてそれら設定値とスキャン範囲とから導かれる画像枚数、さらにそのスキャンオペレーションで収集した投影データを使う再構成タスクで再構成される全ての画像の合計枚数等の一般項目と共に、「緊急再構成」、「転送」という設定が付加されている。
【0020】
「緊急再構成」がOFFに設定されているとき、その優先度は、そのシートに固有の優先度に設定される。「緊急再構成」がONに設定されているとき、その優先度は、そのシートに固有の優先度に関わらず、最高優先度(緊急優先度)に設定される。
【0021】
「転送」は、再構成された画像データファイルの送信先を、選択的に指定するために設けられている。この例では、転送先(送信先)の選択肢として、光磁気ディスク装置3、ワークステーション4,5,6が用意される。この転送先をシート毎、つまり再構成タスク毎に指定することが可能である。この転送先に関する情報は、再構成条件、優先度と共に、再構成タスク記憶部30に送られ、記憶される。
【0022】
次に、再構成条件、優先度、転送先の各情報を含む再構成タスク情報が入力されると、再構成タスクマネージャー31は、再構成タスクの待ち行列を更新する。再構成タスクマネージャー31は、緊急の待ち行列、高優先度の待ち行列、そして低優先度の待ち行列の3種類の待ち行列で再構成タスクを管理する。入力された再構成タスクの優先度を判断し(S2)、その優先度が“緊急”のとき、緊急の待ち行列の最後尾にそのタスクを追加する(S3)。
【0023】
このように最後尾に順番にタスクを追加していくことにより、その待ち行列内では、タスク要求が出された順番に配列されている。この配列順番の規則は、高優先度の待ち行列、および低優先度の待ち行列でも同様である。同じ待ち行列内では、その配列に従って、先頭のタスクから順番に実行される。
【0024】
多くの場合、緊急の待ち行列は空いており、従って入力された緊急優先度の再構成タスクは、緊急待ち行列の先頭に配置される。その緊急優先度の再構成タスクの実行が終了したとき(S4)、その先頭の再構成タスクを緊急待ち行列から削除する(S5)。
【0025】
S2において、S1で入力された再構成タスクの優先度が“高”のとき、再構成タスクマネージャー31は、その再構成タスクをスライス単位で複数のサブタスクに展開する(S6)。これは後述するように、あるタスクの実行中にそれよりも高い優先度のタスクが入力されたときに、その実行中であったタスクを中断し、新たに入力された高い優先度のタスクを割り込ませる、というタスク制御が行われるが、そのとき、タスクの中断前の処理済みの部分を保存し、再開時には、それ以後の部分だけを実行するというタスク管理を実現するためである。
【0026】
展開した複数のサブタスクを通常はスライスの配列に従って並べて、高優先度の待ち行列の最後尾に追加する(S7)。高優先度の待ち行列の先頭のサブタスクの実行が終了したとき(S8)、その先頭のサブタスクを高優先度の待ち行列から削除する(S9)。
【0027】
S2において、S1で入力された再構成タスクの優先度が“低”のとき、再構成タスクマネージャー31は、その再構成タスクをスライス単位で複数のサブタスクに展開する(S10)。その展開した複数のサブタスクを通常はスライスの配列に従って並べて、低優先度の待ち行列の最後尾に追加する(S11)。低優先度の待ち行列の先頭のサブタスクの実行が終了したとき(S12)、その先頭のサブタスクを低優先度の待ち行列から削除する(S13)。
【0028】
以上のようにタスクが入力される毎に、またタスク(サブタスク)が終了する毎に、随時更新される待ち行列を参照して、再構成タスクマネージャー31は、再構成処理部27に対するタスク管理を実行する。
【0029】
図5には、そのタスク管理の手順を示している。再構成タスクマネージャー31は、まず、緊急の待ち行列の中の実行可能な再構成タスクの有無、換言すると緊急の待ち行列の中の先頭の再構成タスクが実行可能な状態に有るか否かを判断する(S21)。実行可能な再構成タスクとは、そのタスクに用いる投影データが揃っている、つまりその投影データを収集するためのスキャンオペレーションが終了しているタスクとして定義される。ここで、緊急の待ち行列の中に実行可能な再構成タスクが有った場合、実行中のそれより低い高又は低優先度の再構成タスクの有無を判断し(S22)、無ければ、当該緊急優先度の実行可能な再構成タスクの実行を再構成処理部27に指示する(S24)。また、実行中のそれより低い高又は低優先度の再構成タスクが有った場合、その実行中のそれより低い高又は低優先度の再構成タスクの中断を再構成処理部27に指示し(S23)、その後に、当該緊急優先度の実行可能な再構成タスクの実行を再構成処理部27に指示する(S24)。
【0030】
S21に戻り、ここで緊急の待ち行列の中に実行可能な再構成タスクが無い場合、次に、高優先度の待ち行列の中の先頭の再構成タスクが実行可能か否か判断する(S25)。高優先度の待ち行列の中の先頭の再構成タスクが実行可能であった場合、実行中のそれより低い低優先度の再構成タスクの有無を判断し(S26)、無ければ、当該先頭の高優先度の再構成タスクの実行を再構成処理部27に指示する(S28)。また、実行中のそれより低い低優先度の再構成タスクが有った場合、その実行中のそれより低い低優先度の再構成タスクの中断を再構成処理部27に指示し(S27)、その後に、当該高優先度の実行可能な再構成タスクの実行を再構成処理部27に指示する(S28)。
【0031】
S25に戻り、ここで高優先度の待ち行列の中に実行可能な再構成タスクが無い場合、次に、低優先度の待ち行列の中の先頭の再構成タスクが実行可能か否か判断する(S29)。低優先度の待ち行列の中の先頭の再構成タスクが実行可能であった場合、当該先頭の低優先度の再構成タスクの実行を再構成処理部27に指示する(S30)。
【0032】
以上にようなタスク管理によると、タスク要求が出された順番に関わらず、優先度の高いタスクが先に実行され、また同じ優先度のタスク間では、タスク要求が出された順番で実行される。このように優先度と要求順序とを組み合わせてタスク管理を行うことにより、再構成処理部27に無駄な空き時間を省き、効率的に再構成処理を実行させることができるだけでなく、操作者が再構成タスクの順序を意図的に調整することが可能になる。例えば、ルーチン処理で用いる直ぐ診たい画像データを再構成するタスクは高優先度で設定し、ルーチン処理で用いない例えば再構成処理時間が長くかかる3次元の画像データを再構成するタスクは低優先度で設定することにより、ルーチン処理で用いる直ぐ診たい画像データを再構成するタスクが、ルーチン処理で用いない例えば再構成処理時間が長くかかる3次元の画像データを再構成するタスクの終了を待ってから実行開始されるという従来の不具合を解消して、後者のタスクが実行中であっても、前者のタスクを割り込ませてデータが揃った時点で直ちに実行させることができる。これを実際的なケースで説明する。
図6には、再構成タスクマネージャー31によるタスクの実行手順を時間経過とともに示している。ここでは3人の患者a,b,cが登場し、患者aに対しては1回のスキャンが設定され、それに対して2種類の再構成タスクA−1、A−2が要求される。再構成タスクA−1は高優先度にて画像枚数50枚で設定され、もう一方の再構成タスクA−2は低優先度にて画像枚数200枚で設定される。また、患者bに対しては、1回のスキャンが設定され、それに対して高優先度の再構成タスクB−1が画像枚数50枚で、また低優先度の再構成タスクB−2が画像枚数150枚で設定される。また、患者cに対しては、1回のスキャンが設定され、それに対して画像枚数60枚の高優先度の再構成タスクC−1が設定される。
【0033】
まず、患者aを検査対象として任意のスキャン条件でスキャン要求が出され、それと共にルーチンに対応する再構成条件で再構成タスクA−1が高優先度で、また時間のかかる3次元画像データのための再構成タスクA−2が低優先度で設定される。その後、スキャンが実行され、予定した領域の全ての投影データが収集される。データ収集が完了した時点で、高優先度の再構成タスクA−1が実行可能な状態になり、当該再構成タスクA−1が実行される。
【0034】
再構成タスクA−1が終了したとき、高優先度の待ち行列には待ちタスクが無くなり、従って低優先度の待ち行列の先頭タスク、つまりこの場合には再構成タスクA−2の実行が開始される。
【0035】
なお、再構成タスクA−1の要求と共に転送先が例えば光磁気ディスク装置3に設定されていたとき、再構成タスクA−1が終了した時点で、再構成タスクA−1で再構成された画像データファイルは、CPU24又は再構成タスクマネージャー31の制御により事前に指定された光磁気ディスク装置3に自動的に転送される。
【0036】
ここで、当該低優先度の再構成タスクA−2の実行中に、患者bを検査対象としてスキャン要求が出され、それと共にルーチンに対応する再構成条件で再構成タスクB−1が高優先度で、また時間のかかる3次元画像データのための再構成タスクB−2が低優先度で設定されることを想定する。高優先度の再構成タスクB−1が高優先度の待ち行列に追加され、また低優先度の再構成タスクB−2が低優先度の待ち行列にA−2の後ろに追加される。新たに追加された再構成タスクB−1は、現在実行中のタスクA−2よりも優先度が高いのであるが、再構成タスクB−1は実行可能な状態には至っていない、つまりそのタスクB−1で使用する投影データの収集が完了していないので、再構成タスクA−2の実行は継続される。
【0037】
図7には、患者bのスキャンが終了した時刻t1の時点における待ち行列を示している。この時点では、低優先度の再構成タスクA−2のうち、120枚目までのサブタスクが終了し、121枚目以降200枚までのサブタスクが低優先度の待ち行列に残っている状態にある。当該時刻t1で、高優先度の再構成タスクB−1が実行可能な状態に移行する。従って、低優先度の再構成タスクA−2のうち121枚目以降のサブタスクが中断し、それに代わって、高優先度の再構成タスクB−1の実行が開始される。
【0038】
図8には、患者bに関する高優先度の再構成タスクB−1が終了した時刻t2の時点における待ち行列を示している。この時点では、低優先度の待ち行列にだけタスクが残っている。従って、低優先度の待ち行列の中の先頭のタスク、この場合、中断していた低優先度の再構成タスクA−2の121枚目以降のサブタスクの実行が再開される。そして、この低優先度の再構成タスクA−2の最後の200枚目のサブタスクが終了した時点で、低優先度の待ち行列の先頭に移動した再構成タスクB−2の実行が開始される。
【0039】
なお、再構成タスクA−2の要求と共に転送先が例えば第1ワークステーション4に設定されていたとき、再構成タスクA−2が終了した時点で、再構成タスクA−2で再構成された画像データファイルは、CPU24又は再構成タスクマネージャー31の制御により事前に指定されたこの場合ではA−1の転送先(光磁気ディスク装置3)とは異なる第1ワークステーション4に自動的に転送される。
【0040】
当該低優先度の再構成タスクB−2の実行中に、患者cを検査対象としてスキャン要求が出され、それと共にルーチンに対応する再構成条件で再構成タスクC−1が高優先度で設定される。高優先度の再構成タスクC−1が高優先度の待ち行列に追加される。新たに追加された再構成タスクC−1は、現在実行中のタスクB−2よりも優先度が高いのであるが、再構成タスクC−1は実行可能な状態には至っていない、つまりそのタスクC−1で使用する投影データの収集が完了していないので、再構成タスクB−2の実行は継続される。そして、患者cのスキャンが完了し、高優先度の再構成タスクC−1が実行可能な状態に移行した時点で、現在実行中であった低優先度の再構成タスクB−2のうち100枚目以降のサブタスクが中断し、それに代わって、高優先度の再構成タスクC−1の実行が開始される。この高優先度の再構成タスクC−1が終了した時点で、中断していた低優先度の再構成タスクB−2の100枚目以降のサブタスクの実行が再開される。
【0041】
このように優先度要求順序とを組み合わせて再構成タスクの実行を管理することで、再構成処理部27に無駄な空き時間を省き、効率的に再構成処理を実行させることができるだけでなく、ルーチン処理で用いる直ぐ診たい画像データを再構成するタスクが、ルーチン処理で用いない例えば再構成処理時間が長くかかる3次元の画像データを再構成するタスクの終了を待ってから実行開始されるという従来の不具合を解消して、後者のタスクが実行中であっても、前者のタスクを割り込ませてデータが揃った時点で直ちに実行させることができる。
【0042】
また、画像データファイルの転送先を再構成タスク毎に指定することを可能としたので、操作者は、再構成後に手動でファイル毎に転送先を指定するといった繁雑な作業から解放され得る。つまり、従来では、3次元画像データ(スライス厚が薄く且つ枚数の多い一群の画像データ)に対する画像処理は、高速処理の可能な専用ワークステーションで行うことが多く、再構成終了後に3次元画像データをそのワークステーションへ転送することが一般的であり、この画像転送先は、あらかじめプリセットできる撮影条件や信号処理条件とともに指定することができるようにはなっているが、転送先は1カ所しか設定できないため、その1カ所は、必然的に、ルーチン処理で得られた画像データのために使用され、3次元画像データの転送は手動で行われていた。しかし、本実施形態のように、予めタスク単位で転送先を任意に指定できるので、そのような作業は不要になる。
【0043】
次に、緊急優先度の再構成タスクが突発的に出されたケースを説明する。
図9に、当該ケースにおける再構成タスクマネージャー31によるタスクの実行手順を示している。緊急タスクが要求される以外の前提は、図6のケースと同じである。患者bに関する高優先度の再構成タスクB−1の実行中の時刻t3に、患者aに関する緊急優先度(最高優先度)の再構成タスクA−3が要求されたケースを想定する。このケースでは、図10に示すように、当該緊急優先度の再構成タスクA−3は、緊急の待ち行列に追加され、しかもそのタスクA−3で使用する投影データは既に収集済みであり、要求と同時に、そのタスクA−3は実行可能な状態にある。
【0044】
従って、現在実行中の高優先度の再構成タスクB−1が中断され、それに代わって、緊急優先度の再構成タスクA−3の実行が開始される。そして、緊急優先度の再構成タスクA−3が終了した時点t4の待ち行列(図11)に従って、中断していた高優先度の再構成タスクB−1の実行が再開される。ここでは、再構成タスクB−1の10枚目以降のサブタスクの実行が再開される
このように緊急優先度の設定を可能にすることで、緊急の事態にも柔軟に迅速に対処することができる。
【0045】
(変形例)
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、画像生成のための信号処理順序を簡単に任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による医用画像診断装置の実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1のタスクマネージャーによるタスクの待ち行列の更新手順を示すフローチャート。
【図3】本実施形態において、再構成タスク入力のための第1シートの画面を示す図。
【図4】本実施形態において、再構成タスク入力のための第3シートの画面を示す図。
【図5】図1のタスクマネージャーによるタスクの待ち行列を使ったタスク制御手順を示すフローチャート。
【図6】図1のタスクマネージャーによるタスクの実行手順を示すタイムチャート図。
【図7】図6の時刻t1の時点での待ち行列を示す図。
【図8】図6の時刻t2の時点での待ち行列を示す図。
【図9】図6のタスク実行中に突発的に緊急タスク要求が出された場合の対応を示すタイムチャート図。
【図10】図9の時刻t3の時点での待ち行列を示す図。
【図11】図9の時刻t4の時点での待ち行列を示す図。
【図12】従来のタスクの実行手順を示すタイムチャート図。
【符号の説明】
1…スキャナ、
2…計算機ユニット
3…光磁気ディスク装置、
4…第1ワークステーション、
5…第2ワークステーション、
6…第3ワークステーション、
21…スキャナインタフェース、
22…外部装置インタフェース、
23…データ/制御バス、
24…CPU、
25…入力デバイス、
26…投影データ記憶部、
27…再構成処理部、
28…画像データ記憶部、
29…スキャンエキスパートシステム、
30…再構成タスク記憶部、
31…再構成タスクマネージャー。
Claims (6)
- 放射線を使って被検体から投影データを収集する手段と、
前記収集した投影データに対して再構成処理を実行することにより画像データを発生する再構成処理手段と、
前記再構成処理の実行要求を、再構成処理条件と優先度と共に入力するものであって、同じスキャンオペレーションで収集した投影データに対して前記再構成処理条件が相違する複数の再構成処理の実行要求を入力する入力手段と、
前記再構成処理手段による前記複数の再構成処理の実行要求に対応する複数の再構成処理の実行順序を、要求発生順序と優先度とに基づいて決定するタスクマネージャーとを具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。 - 前記タスクマネージャーは、前記優先度が同じ再構成処理を前記要求発生順序に従って順番に実行させることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
- 前記タスクマネージャーは、前記要求発生順序から独立して、高い優先度の再構成処理を低い優先度の再構成処理よりも優先的に実行させることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
- 前記タスクマネージャーは、高い優先度の再構成処理の完了を待って、低い優先度の再構成処理の実行を開始させることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
- 前記タスクマネージャーは、低い優先度の再構成処理の実行中に、高い優先度の再構成処理が要求されたとき、前記低い優先度の再構成処理を中断し、前記高い優先度の再構成処理を割り込み実行させ、前記高い優先度の再構成処理の完了を待って前記中断された低い優先度の再構成処理を再開させることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
- 前記タスクマネージャーは、前記実行要求された再構成処理を複数の処理部分に展開して管理することを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
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