JP4091170B2 - 集じん装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含じんガスをろ材に通すことにより、含じんガスからダストをろ過分離するようにしたろ過集じん装置の技術分野に属し、特にコンパクトであり、連続運転ができて且つ集じん能力に優れた集じん装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の集じん装置として、バグフィルタとよばれるものが知られている。このバグフィルタは、例えば図6に示すように、上下に延びる筒形のケーシング(イ)の内部を隔壁(ロ)によって一次側空間(ハ)と二次側空間(ニ)とに区画し、この二次側空間(ニ)に、ろ材である織布を袋状に形成してなるろ過体(ホ)を吊り下げ、その開口(ヘ)を上記隔壁(ロ)に形成した取り付け孔に接続して一次側空間(ハ)に臨ませ、ケーシング下部のガス導入口(ト)から一次側空間(ハ)に含じんガスを入れると、この含じんガスがろ過体(ホ)の開口(ヘ)から中に入り、ろ材を通ることでダストが捕集され、これで清浄化されたガスが二次側空間(ニ)に入り、清浄ガス通路(チ)に送られるというものである。このようなバグフィルタの場合、ろ材のろ過機能を維持するために、周期的にろ材からダストを払い落とす必要があり、そのためにこの例では逆洗装置を設けている。すなわち、一時的に清浄ガス通路(チ)を閉じると共に、この清浄ガス通路(チ)から分岐した逆洗ガス通路(リ)からの清浄ガスを二次側空間(ニ)に逆送し、これをろ過体(ホ)に通すことでろ材からダストを払い落とし、ケーシング(イ)の底部に回収するようにしている。この逆洗中にも集じん機能を確保するため、二次側空間(ニ)及びろ過体(ホ)を別途に1組並設し、交互に逆洗するようにしている(図6では左室でダストを捕集し、右室で逆洗している)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のバグフィルタでは、その構造上、ケーシング(イ)が嵩高くなる。しかも、このケーシング(イ)の下部に含じんガスを導入するための配管を接続し、上部に清浄ガスを通す配管を接続すると、配管の取り回しが複雑となり、全体として大きなスペースを要することになる。
【0004】
また、逆洗中など、ダスト層を払い落としているときには集じん能力が低下するので、一定した集じん能力が得られないという問題がある。
【0005】
さらに、集じん能力を高める場合、複数機のバグフィルタを直列又は並列に接続することになるが、いずれにしてもバグフィルタを並べて設置することになり、その設置スペースが非常に大きなものになる。
【0006】
本発明はこのような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、筒形のケーシングの一端から含じんガスを入れ、これを周壁がろ材で形成された筒形のロータの外側から内側へ通し、清浄化してからケーシングの他端から出すようにし、その間にロータを回転させて液体の噴流をロータのろ材に内側から外向きに当てることでろ材からダスト層を払い落とすようにすることにより、前後の工程を繋ぐような設置を可能として設置スペースを小さくし、また連続運転を可能として変動の少ない安定した集じん能力を得、さらに複数機を簡単に直列又は並列に接続することで容易に集じん能力を高めることができる集じん装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の集じん装置は、筒形のケーシングと、このケーシングの内部でケーシングと同じ向きに且つ回転可能に支持され、少なくとも周壁の一部がろ材で形成された筒形のロータとを備え、このロータの一端を閉塞し、他端の周壁をケーシングに気密的に接触させ、ケーシングの一端にケーシングとロータのろ材との間に形成された一次側空間に連通するガス導入口を設け、ケーシングの他端に、ロータ内部に形成された二次側空間に連通するガス排出口を設け、上記二次側空間に、ロータの回転半径方向に液体の噴流を形成するための液体供給機構を設け、ガスを送るブロアがガス排出口に臨んで設けられており、ロータの支軸がロータ内部を貫通しており、この支軸に、液体通路と、この液体通路から分岐して支軸の外周面に開口する噴口とを設けることで液体供給機構を構成すると共に、上記支軸がブロアの駆動軸に連結又は一体化されている。
【0008】
この集じん装置では、ロータを回転させると共に液体供給機構に液体を供給しておき、ガス導入口から含じんガスを入れると、この含じんガスが一次側空間に入り、ロータのろ材を通ることでダストが捕集され、これで清浄化されたガスが二次側空間に入り、ガス排出口から排出される。その間、液体供給機構から液体が供給され、これに遠心力が作用してロータの回転半径方向に噴流が形成され、この噴流がろ材に当たると共に、ロータにも遠心力が作用するので、ろ材からダスト層が払い落とされる。
【0009】
その場合、ガス導入口をろ過分離工程の前工程側に、ガス排出口をろ過分離工程の後工程側に置けば、前後の工程を繋ぐように集じん装置が設置されるので、設置スペースが小さくなる。また含じんガスの清浄化と、ろ材からのダスト層の払い落としが同時に行われるので、逆洗等が不要となって連続運転が可能となり、変動の少ない安定した集じん能力が得られる。さらにロータの支軸が同軸となるように複数機の集じん装置を直列に接続し、ガス導入口及びガス排出口を適宜に接続すれば、複数機の集じん装置を簡単に直列又は並列に接続することができ、容易に集じん能力が高められる。
【0010】
この集じん装置では、ブロアによりガス排出口からガスが強制的に吸引されるので、含じんガスの流量が増し、集じん能力が高められる。しかも、ブロアは含じんガス中ではなく清浄化されたガスの中に設置されるので、炭素等が付着して爆発性を帯びるおそれもない。
【0011】
この集じん装置では、支軸の液体通路に液体を供給すれば、噴口からロータの回転半径方向に液体の噴流が出る。また、ロータの支軸及びブロアの駆動軸のうち一方に駆動装置を連結又は一体化すれば、両方が一挙に回転する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は実施形態に係る集じん装置Fを示す。この集じん装置Fは、例えば廃棄物焼却炉の排気ガスからダストをろ過分離するために用いられる。
【0013】
図1及び図2に示すように、この集じん装置Fは筒形のケーシング1と、このケーシング1の内部でケーシング1と同じ向きに且つ回転可能に支持された筒形のロータ2とを備えている。ロータ2がケーシング1と同じ向きというのは、例えばロータ2及びケーシング1の母線がほぼ同じ向きになるように位置付けることであり、図1及び図2に示すようにロータ2及びケーシング1が共に円筒形のときには中心軸がほぼ一致するように位置付けることが例示される。ケーシング1の両端には端壁3、4が設けられている。上記ロータの両端からは支軸5が出ており、この支軸5が軸受等を介してケーシング1の端壁3、4が回転可能に支持されている。
【0014】
上記ロータ2の少なくとも周壁の一部はろ材6で形成されている。すなわち、周壁の一部又は全部がろ材6で形成されている。ろ材6は例えばセラミック、アスベスト等であり、含じんガスからダストをろ過する機能を発揮する材料で形成されている。特に、含じんガスが高温の排気ガス等であるときには、ろ材6を高い耐熱性を有した材料で形成することが望ましい。
【0015】
上記ロータ2の一端は閉塞され、他端の周壁はケーシング1に気密的に接触している。そして、ケーシング1とロータ2のろ材6との間には一次側空間7が形成され、ロータ2の内部には二次側空間8が形成されている。
【0016】
上記ケーシング1の一端となる端壁3には、上記一次側空間7に連通するガス導入口11が設けられ、ケーシング1の他端となる端壁4には、上記二次側空間8に連通するガス排出口12が設けられている。上記ケーシング1の周壁にはドレンパン9が膨出して形成されており、ロータ2から外方に飛散し、ケーシング周壁に付着して流れ落ちたスラッジを溜めるようにしている。そして、このドレンパン9の排出口には必要に応じてバルブ10が設けられ、このバルブ10を開くことでスラッジをケーシング外に排出して回収できるようにしている。
【0017】
上記二次側空間8には、ロータ2の回転半径方向に液体の噴流を形成するための液体供給機構13が設けられている。ここでいう液体には、水、薬剤を水に溶解した水溶液、有機溶剤等が含まれる。すなわち、図3に示すように、ロータ2の支軸5がロータ内部を貫通しており、この支軸5に、液体通路14と、この液体通路14から分岐して支軸5の外周面に開口する噴口15とを設けることで液体供給機構13を構成している。
【0018】
また、ガスを送るブロア16がガス排出口12に臨んで設けられており、このブロア16を覆うようにケーシング1の他端側が端壁4を超えて延設され、ブロア16のケーシング17を構成している。そして、上記支軸5がブロア16の駆動軸18に連結又は一体化されている。19はケーシング17の周壁に連結されたドレン管、20は必要に応じてドレン管19の排出口に設けられたバルブである。
【0019】
従って、上記実施形態の集じん装置では、ロータ2の支軸5又はブロア16の駆動軸18をモータ等の駆動装置で回転させると共に支軸5の液体通路14に液体を供給することで液体供給機構13に液体を供給しておき、ガス導入口11から含じんガスを入れると、この含じんガスが一次側空間7に入り、ロータ2のろ材6を通ることでダストが捕集され、これで清浄化されたガスが二次側空間8に入り、ガス排出口12から排出される。その間、液体供給機構13の噴口15から液体が供給され、これに遠心力が作用してロータ2の回転半径方向に噴流Wが形成され、この噴流Wがろ材6に当たると共に、ロータ2にも遠心力が作用するので、ろ材6からダスト層が払い落とされる。
【0020】
その場合、ガス導入口11をろ過分離工程の前工程側に、ガス排出口12をろ過分離工程の後工程側に置けば、前後の工程を繋ぐように集じん装置が設置されるので、設置スペースが小さくなる。また含じんガスの清浄化と、ろ材6からのダスト層の払い落としが同時に行われるので、逆洗等が不要となって連続運転が可能となり、変動の少ない安定した集じん能力が得られる。さらに図4及び図5に示すように、ロータ2の支軸5が同軸となるように複数機の集じん装置F・・を直列に接続し、ガス導入口11及びガス排出口12を適宜に接続すれば、複数機の集じん装置F・・を簡単に直列又は並列に接続することができ、容易に集じん能力が高められる。
【0021】
すなわち、図4は上記実施形態の集じん装置Fをそのまま複数機直列に接続し、隣合う集じん装置F、Fのガス導入口11とガス排出口12とを接続したものである。この構成では、ロータ2の支軸5又はブロア16の駆動軸18をモータ等の駆動装置で回転させると共に支軸5の液体通路14に液体を供給することで液体供給機構13に液体を供給しておき、先頭の集じん装置Fのガス導入口11から含じんガスを入れると、この含じんガスが次々と集じん装置F・・で清浄化され、この間で清浄化されたガスが終端の集じん装置Fのガス排出口12から排出される。こうすれば、高濃度の含じんガスであっても充分に清浄化できる。
【0022】
図5は上記実施形態の集じん装置Fをアタッチメント21を介して複数機直列に接続したものである。このアタッチメント21は、隣合う集じん装置F、Fのガス導入口11とガス排出口12とをそれぞれ接続し、これを周面上に開口させる通路22、23を備えている。そして、先頭の集じん装置Fのガス導入口11と各アタッチメント21のガス導入口11に連通する通路22とを連結することで各集じん装置Fのガス導入口11を集合接続すると共に、終端の集じん装置Fのガス排出口12と各アタッチメント21のガス排出口12に連通する通路23とを連結することで各集じん装置Fのガス排出口12を集合接続している。この構成では、ロータ2の支軸5又はブロア16の駆動軸18をモータ等の駆動装置で回転させると共に支軸5の液体通路14に液体を供給することで液体供給機構13に液体を供給しておき、集合したガス導入口11から含じんガスを入れると、この含じんガスが各集じん装置Fで清浄化され、清浄化されたガスが集合したガス排出口12から排出される。こうすれば、大流量の含じんガスであっても充分に清浄化することができる。なお、図4及び図5で示した例では、直列に繋いだ集じん装置F・・を水平に設置して横置きとしたが、鉛直に設置して縦置きとしてもよいし、斜め向きに設置してもよいのは勿論である。
【0023】
また、ブロア16をガス排出口12に臨んで設けたので、ブロア16によりガス排出口12からガスが強制的に吸引されることから、含じんガスの流量が増し、集じん能力が高められる。しかも、ブロア16は含じんガス中ではなく清浄化されたガスの中に設置されるので、炭素等が付着して爆発性を帯びるおそれもない。
【0024】
さらに、ロータ2の支軸5をロータ内部に貫通させ、この支軸5に、液体通路14及び噴口15を設けることで液体供給機構13を構成したので、ロータ内部をすっきりさせることができるし、液体供給機構13への液体を供給が容易となる。また、上記支軸5がブロア16の駆動軸18に連結又は一体化されているので、モータ等の駆動装置との連結構造が簡単になる。
【0025】
また、含じんガスに液体供給機構13から液体の噴流Wが当てられるので、ガスを急速に冷却して清浄ガスの温度を下げることができる。しかも、ガス中の物質が液体に溶けてドレンパン9に溜まるので、これを安全に回収することができる。従って、液体としてカーボン等が溶けやすい溶剤等を用いればカーボンの回収が容易であるし、ダイオキシン等が溶けやすい有機溶剤等を用いればダイオキシン等の回収が容易となり、有害物質の安全回収に好適である。
【0026】
本発明は上記実施形態により限定されるものではない。本発明のケーシング及びロータは筒形であればよい。また、ガス導入口及びガス排出口は、いずれか一方又は両方をケーシングの端壁でなく周壁に設けるようにしてもよい。またロータ2の閉塞端をろ材で形成してもよい。ドレンパン9の位置及び形状は任意であり、設けなくてもよい。上記集じん装置は、例えば廃棄物焼却炉の排気ガスからダストをろ過分離するために用いられるが、含じんガスからダストをろ過分離する用途であれば広く使うことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の集じん装置は、前後の工程を繋ぐように集じん装置を設置でき、設置スペースを小さくすることができる。また含じんガスの清浄化と、ろ材からのダスト層の払い落としを同時に行うことができるので、連続運転が可能となり、変動の少ない安定した集じん能力を得ることができる。さらにロータの支軸が一致するように複数機を直列に接続し、ガス導入口及びガス排出口を適宜に接続すれば、複数機を簡単に直列又は並列に接続することができ、容易に集じん能力を高めることができる。従って、この集じん装置は、例えば廃棄物を処理する焼却炉等に用いてダイオキシン等の有害物質を安全に回収するのに好適である。また、ブロアによりガス排出口からガスが強制的に吸引されるので、含じんガスの流量が増し、集じん能力を高めることができる。しかも、ブロアは含じんガス中ではなく清浄化されたガスの中に設置されるので、炭素等が付着して爆発性を帯びるおそれがなく、安全性に優れている。さらに、集じん装置の駆動系が簡略化され、設置スペースを更に小さくすることができると共に、複数機を直列又は並列に接続するときに駆動系を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の集じん装置を縦断面して示す正面図である。
【図2】 実施形態の集じん装置の正面図である。
【図3】 支軸の一部の拡大断面図である。
【図4】 実施形態の集じん装置をそのまま複数機直列に接続し、隣合う集じん装置のガス導入口とガス排出口とを接続した応用例を示す正面図である。
【図5】 実施形態の集じん装置をアタッチメントを介して複数機直列に接続し、ガス導入口を集合接続すると共に、ガス排出口を集合接続した応用例を示す正面図である。
【図6】 従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
F 集じん装置
1 ケーシング
2 ロータ
5 支軸
6 ろ材
7 一次側空間
8 二次側空間
11 ガス導入口
12 ガス排出口
13 液体供給機構
14 液体通路
15 噴口
16 ブロア
W 噴流
Claims (1)
- 筒形のケーシングと、このケーシングの内部でケーシングと同じ向きに且つ回転可能に支持され、少なくとも周壁の一部がろ材で形成された筒形のロータとを備え、このロータの一端を閉塞し、他端の周壁をケーシングに気密的に接触させ、ケーシングの一端にケーシングとロータのろ材との間に形成された一次側空間に連通するガス導入口を設け、ケーシングの他端に、ロータ内部に形成された二次側空間に連通するガス排出口を設け、上記二次側空間に、ロータの回転半径方向に液体の噴流を形成するための液体供給機構を設け、
ガスを送るブロアがガス排出口に臨んで設けられており、
ロータの支軸がロータ内部を貫通しており、この支軸に、液体通路と、この液体通路から分岐して支軸の外周面に開口する噴口とを設けることで液体供給機構を構成すると共に、上記支軸がブロアの駆動軸に連結又は一体化されている集じん装置。
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