JP4090662B2 - 燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法に関し、より具体的には燃料電池を用いて食塩水、すなわち塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液を生成させるための塩水電解槽の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩水の電気分解による次亜塩素酸ナトリウムの生成やアルミニウムの耐食性を改善するための陽極酸化などを実施するための多くの電解設備においては、その電気分解に必要な電力は交流電流を直流電流に変換する整流装置を用いて供給することが多い。最近では、これとは別に、直流電源である燃料電池を用いて電解槽に電力を供給する方法も考えられている。
【0003】
塩水の電気分解においては、下記反応により次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を生成させる。その際、生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度を一定にするために、電解槽の直流電流が一定となるように制御する場合がある。
【化 1】
【0004】
図1は従来における交流電源を用いて塩水を電解する電解設備を模式的に示す図である。図1のとおり、交流電源を用いて電解する電解設備では、交流電流を直流電流に変換する整流装置が必要不可欠であるのに加え、必然的に整流装置に基づくエネルギーロスを伴う。一方、燃料電池の直流電源を用いて電解する場合には、燃料電池自体高効率の発電装置であり、且つ、整流装置を要せず、これによるエネルギーロスがないので、この点でも高効率である。
【0005】
図2は燃料電池を用いて塩水を電解する電解設備を模式的に示した図である。燃料電池にはイオン伝導体すなわち電解質として用いられる物質の種類により固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、固体電解質型等各種あるが、いずれも単電池を積み重ねて構成され、電圧はその積層数により決まり、電流範囲は単電池の面積によって決まる。一例として単電池(1セル)当たり約0.6Vの場合、100セル積層することで60Vの電圧が得られ、単電池の単位面積(cm2)当たり100〜350mAの場合、単電池の面積を1m2(=10,000cm2)とすることで1000〜3500Aの電流が得られる。
【0006】
しかし、実際に、燃料電池で発電された直流電流を電解槽に接続して塩水を電解する場合には、燃料電池の電流量は電解槽の電気抵抗値に左右される。これに伴い、燃料電池の電圧は燃料電池の電流量の変化により変化してしまう。のみならず、燃料電池には運転可能な電流量の範囲があり、その範囲を外れると発電することができない。図3はその電流範囲と電圧の関係を示す図である。図3には、一例として、運転可能な電流範囲200〜1800A、電圧範囲140〜200Vの発電ができる燃料電池の場合を示している。また、電解槽の電気抵抗は主に電極の汚れや発生ガスによる分極作用により変化する。
【0007】
ところで、燃料電池には、上記のように運転可能な電流範囲があり、これを外れると燃料電池として正常に作動しないので、燃料電池については電流量を適正に制御する必要がある。また、燃料電池の電流と電圧とは、負荷側である電解槽の電流によって決まってしまう。また、逆に、電解槽にとっては、燃料電池の電流、電圧によって電解槽の電流が変化しても、生成物である次亜塩素酸ナトリウムを安定した濃度で生成するように制御する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、燃料電池を電源として電解槽に電力を供給し、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるに際して、燃料電池の運転可能な電流範囲を適正に制御するとともに、燃料電池の電流、電圧の変動によって電解槽の電流量が変化しても、生成物である次亜塩素酸ナトリウムを安定した濃度で生成させるように制御する新規且つ有用な燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供することを目的とする。また本発明は、電力損失を従来の変換装置(整流器)での電力損失に対して大幅に抑えることができる燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は(1)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池を電圧調整用電力変換装置を介して電解槽に連結し、電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、該電力変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、引続き該電力変換装置を介して電解槽を定常運転することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0010】
本発明は(2)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池を電圧調整用電力変換装置及びスイッチを配置したバイパス導線を介して電解槽に連結し、電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、バイパス用スイッチをオフにして、該電力変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、該スイッチをオンにして該電力変換装置を止めるようにすることを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0011】
本発明は(3)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして燃料電池を電解槽に接続して起動する際に、起動当初は電解槽の塩水濃度を低くして電流が流れにくくし、その塩水濃度を徐々に高くし、適正な電圧、電流量になるように塩水濃度を合わせるよう制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0012】
本発明は(4)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流が増加したときには電解槽の塩水の濃度を増加させ、電解槽の電流が減少したときには、電解槽の塩水の濃度を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0013】
本発明は(5)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流量が増加したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0014】
本発明は(6)燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流が増加したときには電解槽の塩水の濃度を減少させ、電解槽の電流が減少したときには電解槽の塩水の濃度を増加させるように制御するとともに、電解槽の電流量が増加したときは塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、燃料電池を電源とし、これを電解槽に接続し、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液(水溶液)を生成させるための電解槽の制御方法である。本発明においては、電解槽に対する燃料電池の接続時、すなわち電解槽の起動時における燃料電池の水素(燃料)及び酸素の不足を防止する。また、燃料電池の電流範囲を適正に制御するとともに、燃料電池の電流、電圧の変動によって電解槽の電流量が変化しても、生成物である次亜塩素酸ナトリウムを安定した濃度で生成させるように制御する。
【0016】
まず、本発明(1)においては、燃料電池を電圧調整用電力変換装置を介して電解槽に連結し、電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、該電力変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、引続き該電力変換装置を介して電解槽を定常運転する。本発明(1)の電圧調整用電力変換装置としては好ましくは半導体式電力変換装置を用いる。
【0017】
図5は本発明で使用される半導体式電力変換装置(DC/DCコンバータ)の一例を示す図である。半導体式電力変換装置は、▲1▼電子の移動よるものであるので動作が速く、効率がよい、▲2▼電流の方向が決っており、大電流を流すことができる、▲3▼アークが発生せず、騒音が少ない、▲4▼寿命が半永久的であり、保守がほとんど要らない、▲5▼電流の遮断が容易である、等の諸特性を有するので、本発明を実施する電力変換装置として特に好適に用いられる。
【0018】
半導体式電力変換装置は、起動時の電圧、電流調整機能を有し、定常運転時には、半導体を通電状態として電力損失を2〜4%に抑えることができ、また過電流遮断機能を有する。特に、通常の整流器(変換装置)の電力損失は8%程度であるので、半導体式電力変換装置を定常運転時に使用してもその損失を半分以下に抑えることができる。図6はこの半導体式電力変換装置を用いた本発明(1)の態様例を示す図である。
【0019】
本発明(2)においては、燃料電池を電圧調整用の電力変換装置及びそのバイパス用スイッチを介して塩水電解槽に連結し、塩水電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、バイパス用スイッチをオフにして、変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、該スイッチをオンにして電力変換装置を止めるように制御する。これにより、電解槽に対する燃料電池の接続時において、燃料電池に突然負荷がかかることを防止する。またこれにより、電解槽起動後の定常運転時において、電力変換装置を使用しないので、電力変換装置によるロス(電力損失)をなくして高効率で運転することができる。
【0020】
図7は本発明(2)の態様例を示す図である。図7のとおり燃料電池、電圧調整用の電力変換装置、該変換装置のバイパス導線及びスイッチ、電解槽、塩水供給装置、インバータ、交流機器等により構成される。電力変換装置としては好ましくは前記半導体式電力変換装置が用いられる。電解槽中には陰陽の両電極が配置されている(図7では電極と略記している)。燃料電池としては電解槽で必要とする電力と同等、またはそれ以上の発電容量を有する燃料電池が使用される。
【0021】
燃料電池にインバータを接続しているので、電解槽で必要とする電力以上の発電容量を有する燃料電池を用いる場合、余剰電力をインバータにより交流に変換して各種交流機器もしくは電力系統に供給することができる。この点は、電解槽を使用しない場合(電解槽の運転を休止する場合等)についても同様である。インバータへ流れる電流を増減させて、燃料電池の電流量を適性範囲で変化させると同時に、電解槽の電流量を調節することができる。
【0022】
例えば電解槽の電気抵抗値の減少により電解槽の電流量が増加してしまったときに、インバータへ通す電流量を増大させることにより燃料電池の電圧を低下させる。これにより電解槽の電圧を低下させ、電解槽の電流量を低下させる。余剰電力をインバータにより交流に変換して各種交流機器もしくは電力系統に供給する点については(3)〜(6)の発明についても同様である。
【0023】
燃料電池の接続時、すなわち塩水電解槽に燃料電池を接続して塩水電解槽を起動させる時点において、まずバイパス用スイッチをオフにして、電力変換装置により徐々に塩水電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させる。その後、該スイッチをオンにして電力をバイパス導線により供給し、電力変換装置を止めることにより、接続時における急激な燃料電池出力の変動を防止する。またこれにより、塩水電解槽の起動後の定常運転時においても、電力変換装置によるロスをなくして高効率で運転することができる。
【0024】
本発明(3)においては、燃料電池の接続時、すなわち塩水電解槽に燃料電池を接続して該電解槽を起動させる時点において、電解槽の塩水の濃度を低くして電解槽に電気が流れにくい状態にし、この状態で燃料電池から電解槽に連結した導線に配置されたスイッチをオンにし、その後、電解槽の塩水の濃度を徐々に高くして行き、電解槽で適正な電圧、電流値になるように塩水の濃度を合わせる。こうすることにより、接続時における電流を防止することができる。この場合、電力変換装置が不要であるのでコスト面でも有利であり、また電力変換装置によるロスがないので高効率で運転することができる。図8は本発明(3)の態様を示している。
【0025】
燃料電池は、図3に示すように、適正な電流量の範囲内で運転する必要があるが、燃料電池を電解槽に接続して起動後、電解槽を定常運転しているときも、電流量をこの範囲内に制御する必要がある。また、電解槽側においても、図4に示すように、電解槽の電気抵抗値の変化によって電流量が変化するので、生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度を一定に保つための制御が必要である。
【0026】
このような場合、まず第1の制御方法として、電解槽の塩水の濃度を上げれば生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度が増加し、電解槽の塩水の濃度を下げれば生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度が減少するので、この特性を利用して、電解槽の塩水の濃度を制御する。すなわち、電解槽の電流が増加したときには、電解槽の塩水の濃度を増加させ、電解槽の電流が減少したときには、電解槽の塩水の濃度を減少させる。
【0027】
この制御方法は本発明(4)に相当するものである。すなわち、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結する。そして、スイッチをオンにして起動させた後、電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流が増加したときには電解槽の塩水の濃度を増加させ、電解槽の電流が減少したときには、電解槽の塩水の濃度を減少させるように制御する。
【0028】
電解槽の定常運転時においては、塩水中の食塩の濃度は例えば3〜4.5重量%の範囲、電流量はその濃度に対応して750〜1050Aの範囲であり、これにより次亜塩素酸ナトリウムの濃度1〜1.5重量%の溶液が得られる。上記塩水の濃度はこれらを目安に制御され、この制御は塩水供給装置から導入する塩水の濃度を変えることにより行うことができる。この制御方法は、定常運転時の制御方法であるので、図8の態様とは限らず、図6〜図7の態様でも実施される。
【0029】
第2の制御方法として、電解槽へ供給する塩水の量を変化させて生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度を制御する。この制御方法では電解槽へ供給する塩水の濃度を一定とし、その供給量を制御する。すなわち燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を起動させた後、定常運転するに際し、電解槽の電流量が増加したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御する。
【0030】
この制御方法は本発明(5)に相当するものである。図9はこの制御態様例を示す図である。電解槽の電流は電解槽の電気抵抗値の変化により変化するが、図9中「ある一定塩水濃度でのテーブル」として示すとおり、塩水流量と電流は一定の関係にあるので、この特性を利用する。すなわち、電解槽の電流量が増加したときは、食塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御する。これにより反応原料である塩水当たりの電流量を一定にして、生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度が一定になるように制御する。この制御方法は、定常運転時の制御であるので、図8の態様とは限らず、図6〜図7の態様でも実施される。
【0031】
さらに、電解槽の電流制御に速さが必要な場合には、上記発明(4)と(5)の制御方法を合わせて制御する。この制御方法は本発明(6)に相当するものである。塩水の濃度を増減させる制御と塩水の流量を増減させる制御を合わせて制御するので、生成物である次亜塩素酸ナトリウムの濃度をより速く制御することができる。この制御方法は、定常運転時の制御であるので、図6〜図8のいずれの態様でも実施することができる。
【0032】
本発明に係る燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法により得られた次亜塩素酸ナトリウム溶液(水溶液)は、そのまま、あるいは濃度を調整して浄水用すなわち上水の殺菌処理に使用することができる。この場合、本発明によれば、原塩と水と燃料電池と電解槽を用いるだけで、安全且つ効率よく次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造し、被処理水に注入することができる。また、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、液化塩素のような取扱上の危険性がないので、本発明はこの点でも上水の処理用として非常に有利である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことは勿論である。本実施例では図10に示す装置を用い、変換装置として図5に示す半導体式電力変換装置(DC/DCコンバータ)を用いた。
【0034】
電解槽能力は0.6tーCl2(塩素換算)/日とし、両電極にはチタン電極を用いた。燃料電池として出力230kW(160V)のPAFCを用い、直流+交流の出力を224kWと一定に制御して実施した。PAFC出力230kWのうち120kWをDC/DCコンバータへ導通させ、104kWをインバータへ導通させた。その余の6kWはPAFC内で使われる。DC/DCコンバータでの電力損失は4%以下であるので、電解槽へは115kW以上を供給することができた。この点、従来の変換装置での電力損失は8%であるので、本実施例によれば、その損失を半分以下に抑えることができた。
【0035】
電解槽の操作時においては、DC/DCコンバータのIGBT素子のゲート信号をオンし始め〔図10(b)中、Start〕、これによりPAFCの直流電力の食塩濃度3wt%の塩水を収容した電解槽への送電を開始した。次いで、ゲート信号のオン/オフ周波数を徐々に上げることにより、DC/DCコンバータの出力電圧(Vout)を上昇させた後(電圧上昇に伴い電解電流も増加する)、ゲート信号を常時オンとし〔図10(b)中、Operation〕、これによりPAFCからの直流電流はIGBTを100%通過するので、PAFCと電解槽は直接接続した状態とした。
【0036】
電解槽へ供給する塩水については、食塩濃度を3wt%と一定とし、その供給量を制御して生成される次亜塩素酸ナトリウム濃度を1wt%に保つようにした。その制御は、電動弁(制御弁)により、電解槽の電流量を計測してそれが増加したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるようにして実施した。
【0037】
図11は以上の操作における電流と生成次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度変化の割合を示す図である。図11には上記のような塩水流量の制御をしなかった場合についても示している。図11中、縦軸0の点は次亜塩素酸ナトリウム濃度1wt%(基準値)の点である。図11のとおり、塩水流量を制御しない場合は、電流が750±30A変動すると、生成次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は基準値(1wt%)に対して±4%(基準値に対する割合)も変動するが、塩水流量を制御することにより、基準値(1wt%)に対して−1.6%から+0.4%の範囲内(基準値に対する割合)に抑えることができたことを示している。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池を電源として電解槽に電力を供給し、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるに際して、電解槽に対する燃料電池の接続時における急激な燃料電池出力の変動を防止することができる。また、燃料電池の運転可能な電流範囲を適正に制御するとともに、燃料電池の電流、電圧の変動によって電解槽の電流量が変化しても、生成物である次亜塩素酸ナトリウムを安定した濃度で生成させるように制御することができる。
【0039】
さらに、電圧調整用電力変換装置(DC/DCコンバータ)として半導体式電力変換装置を用いることにより、電力損失を従来の変換装置(整流器)での電力損失に対して、例えば半分以下というように大幅に抑えることができる。この点、本発明の制御方法で制御される電解槽が長期間にわたり作動されることを考慮すると、省エネルギーの観点からしても非常に有効な効果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における交流電源を用いて塩水を電解する電解設備を模式的に示す図。
【図2】燃料電池を用いて塩水を電解する電解設備を模式的に示す図。
【図3】燃料電池の電流範囲と電圧の関係を示す図。
【図4】燃料電池の電流範囲と電圧の関係を示す図。
【図5】本発明で好適に使用される半導体式電力変換装置の概略を示す図。
【図6】本発明の態様例を示す図。
【図7】本発明の態様例を示す図。
【図8】本発明の態様例を示す図。
【図9】本発明の制御態様例を示す図。
【図10】実施例で用いた装置態様を示す図。
【図11】実施例の結果を示す図。
Claims (8)
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池を電圧調整用電力変換装置を介して電解槽に連結し、電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、該電力変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、引続き該電力変換装置を介して電解槽を定常運転することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池を電圧調整用電力変換装置及びスイッチを配置したバイパス導線を介して電解槽に連結し、電解槽に燃料電池を接続して電解槽を起動させる時点において、バイパス用スイッチをオフにして、該電力変換装置により徐々に電解槽の電圧を燃料電池の電圧まで上昇させた後、該スイッチをオンにして該電力変換装置を止めるようにすることを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして燃料電池を電解槽に接続して起動する際に、起動当初は電解槽の塩水濃度を低くして電流が流れにくくし、その塩水濃度を徐々に高くし、適正な電圧、電流量になるように塩水濃度を合わせるよう制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流が増加したときには電解槽の塩水の濃度を増加させ、電解槽の電流が減少したときには、電解槽の塩水の濃度を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流量が増加したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは、塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 燃料電池を電源とし、塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法であって、燃料電池をスイッチを配置した導線を介して電解槽に連結し、スイッチをオンにして電解槽を定常運転するに際し、電解槽の電流が増加したときには電解槽の塩水の濃度を減少させ、電解槽の電流が減少したときには電解槽の塩水の濃度を増加させるように制御するとともに、電解槽の電流量が増加したときは塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を増加させ、電解槽の電流量が減少したときは塩水供給装置から電解槽への塩水の供給量を減少させるように制御することを特徴とする燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 上記燃料電池の余剰電力をインバータにより交流に変換して各種交流機器に供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
- 上記塩水を電解して次亜塩素酸ナトリウム溶液を生成させるための電解槽の制御方法が、次亜塩素酸ナトリウム溶液を浄水用に使用するためのものである請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池を用いた塩水電解槽の制御方法。
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