JP4090461B2 - 吸収性物品の製造方法 - Google Patents
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また、液透過性の表面材料層に長手方向に連続するまたは長手方向に向かって配列するエンボス圧縮部を形成したものが開示されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2記載の吸収性物品においては、エンボスパターンとして、線状圧縮部が非圧縮部の周囲を連続して囲むリーフ状のパターン模様や小円形エンボス(点エンボス)が設けられている。
特許文献2記載の吸収性物品においては、液透過性の表面材料層にエンボス圧着部を設けているため、表面材料層に皺やヨレが生じ易くなり、また、液止め効果も低い。さらに、エンボス圧着部およびその周辺による液の滞留も起こり易い。また、特許文献2には、表面材料のやわらかい風合いを損なわないように、線状圧縮部の線の幅を1.0mm以下、特に0.5mm以下とすることが好ましい旨が記載されているが、このように細い線とした場合には、表面材料に切れが生じる場合がある。
生理用ナプキン1は、図1〜図3に示すように、液保持性の吸収層A及び液不透過性の防漏層Bを備えた実質的に縦長の吸収性本体Cと、吸収性本体Cの肌当接面側の両側部に配された一対のサイドシート5,5とを有している。サイドシート5は、それぞれ、吸収性本体Cの長手方向に沿って配されており、また、生理用ナプキンの略全長に亘って配されている。
包囲エンボスは、図4(a)に示すように、平面視で閉じた形態の平面領域を形成するエンボスパターンである。本実施形態における非エンボス部71Bは、該エンボス部71Aよりも浅く凹んでいる。エンボス部71Aには、広い幅のエンボス領域71Pと狭い幅のエンボス領域71Qとが不規則に配置されており、エンボス部71Aは、部分的にエンボス幅が変化している。
表面シート2は、吸収体4の上面の全域を被覆しており、吸収体4の側縁から若干延出しているが、裏面シート3とは接触していない。裏面シート3は、吸収体4の下面の全域を被覆し、吸収体4の側縁から外方に延出している。
裏面シート3とサイドシート5とは、図1及び図2に示すように、吸収性本体Cの両側縁及びウイングDの周縁において接合されてサイドシール部Eを形成している。また、表面シート2と裏面シート3とは、図1に示すように、それぞれ吸収体4の前後端から延出し、その延出部分において接合されてエンドシール部Fを形成している。
このように複数のエンボスがクラスター構造状に配置されて、クラスター構造状エンボスを形成することで、サイドシートに大きな皺が入り難く形成されるため防漏性を高めることができ、模様パターンによる工夫された印象を与えることができる。さらに、クラスター構造状エンボスは、包囲エンボスを含んでなることから、肌触りにも優れたものとなる。
サイドシート5には、形態の異なる複数個の包囲エンボスが散在しており、本実施形態においては、前記包囲エンボス71、72の他にも、例えば包囲エンボス73〜77が設けられている。
図4に示すように、包囲エンボス71には、その周縁部分に深く凹んだエンボス部71A(ハッチング部分)が形成されている。エンボス部71Aの内側部分の非エンボス部71Bは、エンボス部71Aが形成されることにより、エンボス部71Aの外側よりも浅く凹んでいる。更に、図4(a)に示すように、エンボス部71Aの内周部分の曲率半径は、肌触り向上やエンボス切れ防止の観点から、外周部分の曲率半径と同じかそれより大きくなされている。本実施形態においては、エンボス部71Aは、素材厚みの20%以下(t1/t0)に圧縮された部位で、非エンボス部71Bは、素材厚みの10〜95%(t2/t0)に圧縮された部位(ただしt2<t1)である。
先ず、所定幅の長尺物であるサイドシート原反を、そのロール状物から連続的に繰り出し、これを連続的に搬送しつつ、ガイドロール及び/又はガイドプレートを用いた公知の折り返し手段(図示せず)によって、一側縁部から所定幅の位置5Dで、幅方向に二つに折り畳む。
そして、その2層部分を有するガイドシール原反50の2層部分に、エンボスロール8とアンビルロール9とを用いた熱エンボス加工により、上述した複数の包囲エンボス71〜77を形成する。
エンボスロール8は、回転軸81の軸方向中央部付近に、周面円筒状の2つの加工ロール82を備え、また、回転軸81における両加圧ロール3それぞれの外側に、ベアラー83を備えている。加工ロール82の周面は、エンボスライン61〜63及び包囲エンボス71〜77に対応する凸部82aが形成された加圧面となっている。アンビルロール9は、表面平滑な円柱状の周面を有しており、その周面が、加圧ロールの加圧面との間で対象物を加熱及び加圧する受け面となっている。ベアラー83も、表面が平滑な円柱状の周面を有している。
(1)線圧が380〜 2,000N/cm、好ましくは800〜1500N/cmである。
線圧が380N/cm未満であると、エンボスロール8の回転軸が、アンビルロール9の回転軸にむけて可動できず、2,000N/cm超であると、成型時にエンボス部の切れが発生し、また、成型時に切れが無いとしても、エンボス部が切れやすい。
エンボス用凸部の幅が0.5mm未満であると、シートに切れが発生しやすくなり、1.5mm以上であると、エンボスの図柄が不明瞭となりやすい。
ここでいう、エンボス用凸部の幅とは、包囲エンボス71を例にして説明すれば、包囲エンボス71における非エンボス部71Bの周囲に存するエンボス部分71Aに対応する凸部(先端部がエンボス部分71Aと同じ形状を有し、加圧によりエンボス部分71Aを形成するための凸部)の、前記エンボス部分71Aの幅W〔法線に直交する方向の長さ,図4(a)参照〕に対応する幅(環状凸部の法線に直交する方向の長さ)を意味する。具体的には、エンボスロール8のエンボス部分71Aを形成するための凸部の前記エンボス部分71Aの幅Wを成形するパターン凸部の幅を測定する。
包囲エンボスが、図4(a)に示すように、エンボス幅の太い部分と細い部分とを有する場合には、エンボスを成形している線の曲率半径が最も低い部分 の幅をエンボス用凸部の幅とする。但し、エンボス用凸部は、環状の凸部の全周に亘って、その幅が0.5〜1.5mm、特に0.5〜1.0mmであることが好ましい。
前記クリアランスが前記厚みの2%未満であると、シートに切れが発生しやすくなり、20%超であると、エンボスの図柄が不明瞭となりやすい。
ここでいう、クリアランスとは、エンボスロール8の回転により、エンボス用の凸部82aの先端部が描く軌跡の円と、アンビルロール9周面との間の距離を意味し、加工ロール82とアンビルロール9との間にサイドシートの原反を介在させない状態で、エンボスロール8の回転軸をアンビルロール9の回転軸に向けて移動させて加工ロール82の加圧面とアンビルロール9の周面とを接触させ、圧力をかけた状態をクリアランス零(ゼロ)とし、そこからエンボスロール8の回転軸をアンビルロール9の回転軸と離していく方向の長さ(移動距離)である。
サイドシート原反の厚みは、以下のようにして測定する。
アクリルプレートをサイドシート原反の上に乗せ、ピーコック製厚み計により測定する。アクリルプレートの大きさは37mm×37mmで、40N/m2の荷重をかけて測定する。
(4)サイドシート原反は、熱可塑性樹脂を含む繊維からなる不織布からなることが好ましい。熱可塑性樹脂の溶融固化により、エンボスの図柄が明瞭性が向上するからである。熱可塑性樹脂を含む繊維は、熱可塑性樹脂を好ましくは50〜100質量%含有し、より好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは100質量%含有する。熱可塑性樹脂を含む繊維としては、サイドバイサイド型、あるいは熱可塑性樹脂を鞘成分とする偏芯又は同心型の芯鞘型複合線繊維等を用いることもできる。熱可塑性樹脂を含む繊維としては、PET繊維、PET/PE(芯/鞘)複合繊維、PP/PE(芯/鞘)複合繊維等を挙げることができ、また、不織布の製造方法としては、エアースルー、エアースルーにヒートエンボス、スパンボンド等が挙げられる。特に好ましい不織布は、PET/PE(芯/鞘)複合繊維エアースルー不織布である。熱可塑性樹脂を含む繊維の不織布中の含有量は、該不織布に、熱可塑性樹脂が100質量%含まれるような量であることが好ましい。
〔試験1〕
PET/PE(芯/鞘)複合繊維製エアースルー不織布(熱可塑性樹脂,融点131℃、坪量20g/m2、厚み0.4mm)を、サイドシート原反として用い、該サイドシート原反に対して、上述した方法と同様にして熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、サイドシート原反を2つ折りして形成した2層部分(坪量40g/m2、厚み0.8mm)を形成し、その2層部分に施した。この熱エンボス加工を、下記条件aの条件にて行い、各条件で得られたエンボスの図柄を目視にて観察して、切れの発生の有無及びエンボスの図柄の明瞭性を評価した。その結果を、表1中の〔試験1〕に示した。
線圧:137kgf/cm(1,343 N/cmに相当)
エンボス用凸部の幅(包囲エンボスのエンボス部の幅と同じ):表1中の〔試験1〕に示す通り。尚、エンボス用凸部の幅は、包囲エンボスの全周に亘って同じ幅とした。
クリアランス:表1中の〔試験1〕に示す通り。
エンボスロール(加圧ロール)の温度:120℃
アンビルロールの温度:100℃
切:切れが発生した。
○:エンボスの図柄が明瞭に認識できた。
△1:エンボスの図柄が若干不明瞭であった。
×1:エンボスの図柄が明瞭に認識できたが、引っ張った際に切れが発生した(引っ張り力は200cN/cm)。
×:エンボスの図柄がかなり不明瞭であった。
尚、○,△1,×については、切れは発生しなかった。
上記試験1において、条件aを条件bに代えた以外は、試験1と同様にしてエンボス加工を行い、各条件で得られたエンボスの図柄の明瞭性及び切れの発生の評価した。その結果を、表1中の〔試験2〕に併せて示した。
線圧:290kgf/cm(2,842 N/cmに相当)
エンボス用凸部の幅(包囲エンボスのエンボス部の幅と同じ):表1の〔試験2〕に示す通り。尚、エンボス用凸部の幅は、包囲エンボスの全周に亘って同じ幅とした。
クリアランス:表1の〔試験2〕に示す通り。
エンボスロール(加圧ロール)の温度:120℃
アンビルロールの温度:100℃
切:切れが発生した。
○:エンボスの図柄が明瞭に認識できた。
△2:エンボスの図柄が濃淡があり、不明瞭であった。
×:エンボスの図柄がかなり不明瞭であった。
尚、○,△2,×については、切れは発生しなかった。
上記試験1において、サイドシール原反の一層部分にエンボス加工を施し、また、エンボス用凸部の幅(包囲エンボスのエンボス部の幅と同じ)及びクリアランスをそれぞれ表1中の〔試験3〕に示す通りにした以外は、試験1と同様にしてエンボス加工を行い、各条件で得られたエンボスの図柄の明瞭性及び切れの発生の評価した。その結果を、表1中の〔試験3〕に併せて示した。
切:切れが発生した。
○:エンボスの図柄が明瞭に認識できた。
△1:エンボスの図柄が若干不明瞭であった。
△2:エンボスの図柄が濃淡があり、不明瞭であった。
×1:エンボスの図柄が明瞭に認識できたが、引っ張った際に切れが発生した(引っ張り力は200cN/cm)。
×:エンボスの図柄がかなり不明瞭であった。
尚、○,△1,△2,×については、切れは発生しなかった。
上記試験3において、条件aを条件bに代え、エンボスロールの加熱温度を170℃に変更し、また、エンボス用凸部の幅(包囲エンボスのエンボス部の幅と同じ)及びクリアランスをそれぞれ表1中の〔試験4〕に示す通りにした以外は、試験3と同様にしてエンボス加工を行い、各条件で得られたエンボスの図柄の明瞭性及び切れの発生の評価した。その結果を、表1中の〔試験4〕に併せて示した。
切:切れが発生した。
△3:エンボス部が白濁しており、不明瞭であった。
尚、△3については、切れは発生しなかった。
また、試験1,2におけるクリアランス40μm及び80μmは、ロール間に挿入するサイドシート原反の厚み(2層部分の厚み0.8mm)の5%及び10%に相当し、試験3におけるクリアランス80μmは、ロール間に挿入するサイドシート原反の厚み(1層部分の厚み0.4mm)の20%に相当する。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイドシート
50 サイドシート原反
71、72、73、74、75、76、77 包囲エンボス
71A エンボス部
71B 非エンボス部
8 エンボスロール
82 加圧ロール部
83 ベアラー
9 アンビルロール
Claims (2)
- 液保持性の吸収層及び液不透過性の防漏層を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の肌当接面側の両側部に配された一対のサイドシートとを有し、前記サイドシートには、非エンボス部を包囲した形状に形成された包囲エンボスが長手方向に非連続的に複数形成されている吸収性物品の製造方法であって、
サイドシート原反に、該原反を折り畳んで2層部分を形成し、エンボスロールとアンビルロールとを用いた熱エンボス加工により、該2層部分に対して、前記包囲エンボスを形成するエンボス工程を具備し、前記熱エンボス加工を、線圧が380〜2,000N/cm、前記包囲エンボスに対応するエンボス用凸部の幅が0.5〜1.5mm、前記両ロール間のクリアランスが、両ロール間に挿入するサイドシート原反の前記2層部分の厚みの2〜20%の条件で行うことを特徴とする、吸収性物品の製造方法。 - 前記サイドシート原反は、熱可塑性樹脂を含む繊維からなる不織布からなる請求項1記載の吸収性物品の製造方法。
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