JP4089812B2 - 樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも金属板の容器内面側に保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムがラミネートされた樹脂被覆金属板を使用して、缶体や缶蓋や金属製キャップのような容器用部材を製造するための方法に関し、特に、熱可塑性樹脂フィルムが熱硬化型接着剤を介してラミネートされ且つ非晶質化されている樹脂被覆金属板により、ブランクを打ち抜いてカップ状の中間成形品に成形してから、更に適宜の成形加工を施すことで容器用部材を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、胴部に継ぎ目のない各種(2ピース缶やボトル型缶等)のシームレス缶においては、耐腐食性を与えるための保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも金属板の缶内面側にラミネートした樹脂被覆金属板を製缶用材料として使用し、この樹脂被覆金属板から多数のブランクを打ち抜いてカップ状に絞り加工してから、更に、カップ状の中間成形品に対して、絞りしごき加工や深絞り加工(絞り・再絞り加工)等の適宜の成形加工を施すことで、最終的な形状の缶体(缶容器の本体部材)にするということが従来から一般的に行われている。
【0003】
また、製缶用の樹脂被覆金属板について、熱可塑性樹脂フィルムと金属板との密着性を優れたものとし、レトルト殺菌にも耐えられるように、イソシアネート系,エポキシ系,フェノール系等の熱硬化型接着剤を介して熱可塑性樹脂フィルムを金属板に接着するということが従来から行われており、また、樹脂被覆金属板から缶体を一体成形するときの熱可塑性樹脂フィルムの耐加工性を優れたものとするために、ラミネートされた後の熱可塑性樹脂フィルムを、融点(結晶溶融温度)以上に加熱してから急冷することで予め非晶質化(アモルファス化)しておくということも従来から行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、熱可塑性樹脂フィルムが熱硬化型接着剤を介してラミネートされ、且つ、熱可塑性樹脂フィルムが予め非晶質化される樹脂被覆金属板について、その製造ラインを高速化(ラミネート速度を高速化)した場合に、ラミネートされたフィルムの端部に縮み瘤が形成されることがあり、そのようなフィルム端部に縮み瘤のある樹脂被覆金属板から、多数のブランクを打ち抜いてカップ状に絞り加工するときに、縮み瘤の位置にブランキング(ブランク打ち抜き)パンチの切断刃(プレスカッター)が入ると、ブランクを打ち抜く際や、カップ状に絞り加工する際に、フィルムヘヤー(糸状の樹脂)が発生することがある。
【0005】
そのようにフィルムヘヤーが発生する理由については、明確ではないが、種々の研究の結果から、ブランクを打ち抜く際には、ダイとシワ押えで挟み込むために、縮み瘤が押し潰されてブランキング予定部分よりも外方にはみ出し、そこにパンチの切断刃が入り込むことで、押し潰されてはみ出した縮み瘤の一部が切断されてフィルムヘヤーが発生し、また、それに続いてカップ状に絞り加工する際には、未だブランクに残存する盛り上がった縮み瘤が、絞り加工用のシワ押え工具に挟まれてしごき取られることで、フィルムヘヤーが発生するものと推測される。
【0006】
そのようにブランクを打ち抜いてカップ状に絞り加工する際にフィルムヘヤーが発生すると、成形品や成形工具等にフィルムヘヤーが付着して成形上や品質上のトラブルが発生し易くなり、また、フィルムヘヤーの除去作業に多くの時間が費やされてしまう。そのような問題を解消するためには、フィルム端部の縮み瘤を避けた部分からブランクを打ち抜くようにすれば良いが、そうすると、樹脂被覆金属板の端縁部で成形に利用されない金属板のスクラップ幅が大きくなってしまうことから、製品の歩留まりが悪くなるという問題が起きる。
【0007】
なお、フィルム端部に縮み瘤については、ラミネート後の熱可塑性樹脂フィルムを融点以上に加熱してから急冷して非晶質化する(結晶化度を0〜60%の範囲、好ましくは0〜40%の範囲とする)工程に起因するものであって、非晶質化工程で熱可塑性樹脂フィルムを融点以上(Tm〜Tm+30℃)に加熱した際に、図4(B)に示すように、溶融したフィルム3の端部が金属板2の幅方向で縮み、その縮んだ部分が数ミリ幅で盛り上がった状態のまま冷却されて縮み瘤3bが形成される。本出願人による種々の研究から、ラミネート速度(フィルムや金属板の進行速度)を150m/分以上に速くすると、フィルム端部での縮み量(縮み瘤)が大きくなる傾向のあることが判っている。
【0008】
すなわち、ラミネート速度が速いと、ラミネートする際の金属板へのフィルムの押し付けがフィルム端部で弱いものとなり、フィルム端部が浮き気味となって白化する(フィルムと接着剤層が剥離する)ことがあって、熱可塑性樹脂フィルムを非晶質化する際に、接着剤層から剥離したフィルム端部が大きく縮んで縮み瘤ができる。また、同じ製造ラインで熱可塑性樹脂フィルムのラミネートと非晶質化を連続して行った場合には、ラミネート速度が速いと、接着剤層が未だ充分に硬化することなく軟らかい状態で、非晶質化のための加熱によりフィルムが溶融させられるため、接着剤層がフィルムを充分に拘束できず、そのためにフィルムの端部が大きく縮んで縮み瘤ができる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、熱可塑性樹脂フィルムが熱硬化型接着剤を介してラミネートされ且つ非晶質化された樹脂被覆金属板を使用して容器用部材を製造する場合に、樹脂被覆金属板のフィルム端部に縮み瘤が発生するのを防ぐことで、樹脂被覆金属板全体から歩留り良くブランクを打ち抜いても、ブランク打ち抜き時とそれに続く絞り加工時にフィルムヘヤーが発生しないようにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、少なくとも金属板の容器内面側に、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを、フィルム幅よりも僅かに狭い幅の熱硬化型接着剤層を介して、接着剤層のないフィルム端部では熱可塑性樹脂フィルムを直接的に熱接着させるように、金属板に対してラミネートした後、これを熱可塑性樹脂フィルムの融点以上に加熱してから急冷して、熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度が0〜60%の範囲となるように非晶質化することで製造された樹脂被覆金属板を使用して、この樹脂被覆金属板の熱可塑性樹脂フィルム直接接着部分であるフィルム端部の直貼り部分を含む全体から、多数のブランクを打ち抜いてカップ状に絞り加工した後、カップ状の中間成形品を完成品にするまでの工程のうちのトリミング工程で、フィルム端部の直貼り部分の全部又は一部をトリミングして除去することを特徴とするものである。
【0011】
上記のような樹脂被覆金属板による容器部品の製造方法によれば、樹脂被覆金属板の製造工程で非晶質化のために熱可塑性樹脂フィルムを融点以上に加熱した際に、フィルム端部の直貼り部分ではフィルムが金属板に良く付着して縮まないことから、この部分で縮み瘤ができることはなく、その結果、フィルム端部の直貼り部分を含む樹脂被覆金属板全体から多数のブランクを歩留り良く打ち抜いても、ブランクの打ち抜き時や、それに続く絞り加工時に、縮み瘤に起因するフィルムヘヤーが発生することはない。そして、カップ状の中間成形品に残存するフィルム端部の直貼り部分の全部又は一部を、その後のトリミング工程で除去することにより、製造された容器部品にフィルム端部の直貼り部分が現れることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法について、樹脂被覆金属板から口頸部と肩部と胴部が一体的に成形されるボトル型缶による一実施形態により図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1は、樹脂被覆金属板からボトル型缶を製造する工程を概略的に示し、図2は、本発明の製造方法の各段階での樹脂被覆金属板のフィルム端部付近の状態をそれぞれ断面構造で示し、図3は、樹脂被覆金属板の端部付近でのブランクの採取状態を示し、図4は、従来の方法により製造した樹脂被覆金属板について、フィルム端部付近での(A)ラミネート後と(B)非晶質化(アモルファス化)後のそれぞれの状態を断面構造で示すものである。
【0013】
本発明の一実施形態に係るボトル型缶の製造方法について、樹脂被覆金属板からボトル型缶を製造する工程の一例について概略的に説明すると、予め樹脂被覆金属板の両面に適宜の潤滑剤を塗布してから、図1に示すように、先ず、カップ成形工程で、樹脂被覆金属板を円板状のブランクに打ち抜くと共に、絞り加工を施すことでカップ状の中間成形品に成形した後、更に、缶胴成形工程で、再絞り加工(ストレッチ加工を含む)としごき加工とを組み合わせて施すことにより、胴部が薄肉化された有底円筒状の缶体(口頸部や肩部を成形する前の中間成形品)を製造する。
【0014】
次いで、この有底円筒状の缶体に対して、トップドーム成形工程で、その底部側に複数回の絞り加工と再成形加工を施すことにより、小径の口頸部(未開口)とドーム状の肩部を成形してボトル型缶の基本形状としてから、更に、口頸部の未開口の端部に2回の口絞り成形を施した後、潤滑剤除去工程で、少なくとも缶の外面から塗布されていた潤滑剤を除去してから、トリミング工程で、胴部の開口端側をトリミングして缶体の高さを一定に切り揃える。
【0015】
次いで、印刷・塗装工程で、円筒状の胴部に対して所望のデザイン(文字や装飾模様等)を印刷した上からトップコートを塗布した後、乾燥工程で印刷インキ層やトップコート層を充分に乾燥させると共に、保護被膜としてラミネートされた熱可塑性樹脂層を非晶質化しておく。この熱可塑性樹脂層の非晶質化については、材料となる樹脂被覆金属板の熱可塑性樹脂層を最初から非晶質化しておいても、その後の成形(カップ成形、缶胴成形、トップドーム成形)において熱可塑性樹脂層が引き伸ばされることで結晶化しているのに対し、過酷なネジ・カール成形工程に入る前に、再度非晶質化して熱可塑性樹脂層と金属板との密着力を向上させておくためのものである。
【0016】
なお、印刷・塗装工程については、円筒状の胴部に対して印刷済みの樹脂フィルムを貼着するようなフィルム貼着工程に変更しても良い。また、熱可塑性樹脂層の再度の非晶質化については、前の潤滑剤除去工程において缶体を高温に加熱して潤滑剤を揮発させる際に同時に非晶質化しておいても良く、あるいは、ネジ・カール成形工程に先だって別途の非晶質化装置により非晶質化しても良い。
【0017】
次いで、胴部に所望のデザイン(文字や装飾模様等)が施されて保護被膜の熱可塑性樹脂層が非晶質化されている缶体について、ネジ・カール成形工程で、未開口の口頸部の先端部を切断して口頸部を開口させてから、口頸部の上端開口縁に沿って環状に外巻きのカール部に成形し、その下方の円筒状の周壁にネジを成形し、ネジの下方に環状のビード部を形成した後、ネック・フランジ成形工程で、口頸部とは反対側となる胴部の開口端部付近に対してネック・フランジ加工を施すことで、胴部の開口端部側にネック部とフランジ部を形成する。
【0018】
そして、図示していないが、底蓋巻締工程において、ネック部の下端開口縁に形成されたフランジ部に対して、二重巻き締め法により別体の底蓋を一体的に固着することで、キャップを装着する前のボトル型缶が製造される。
【0019】
上記のようなボトル型缶の製造で使用される樹脂被覆金属板について以下に説明すると、本実施形態の方法で使用される樹脂被覆金属板については、図2(B)に示すように、金属板2の片方の面(缶内面側)に、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルム3が、フィルム幅よりも僅かに狭い幅の熱硬化型接着剤層4を介して、接着剤層がないフィルム端部(直貼り部分3a)では金属板と直接的に熱接着するように、金属板2に対してラミネートされている。なお、樹脂被覆金属板1の反対側の面(缶外面側)には、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルム5が全面的に熱接着で金属板に直接的にラミネートされている。
【0020】
樹脂被覆金属板の基材となる金属板については、特に限定されるものではなく、アルミニウム板やアルミニウム合金板、或いは、ニッケルメッキ鋼板,錫メッキ鋼板,極薄錫メッキ鋼板,電解クロム酸処理鋼板,亜鉛メッキ鋼板等の表面処理鋼板のような従来から知られた製缶用金属板のうちから適宜に選択されるものであって、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂との密着性に富むような表面処理を施しておくことが好ましい。
【0021】
具体的には、絞りしごき加工等が施されるシームレス缶用の金属板として、厚さが0.24〜0.38mmのアルミニウム合金板については、片面の付着量として1〜40mg/m2 のクロムを付着させたリン酸クロメート処理、もしくは4〜17mg/m2 のジルコニウムを付着させたリン酸ジルコニウム処理等の化成処理を両面に施したもの、或いは、厚さが0.15〜0.25mmのニッケルメッキ鋼板については、片面の付着量として20〜2000mg/m2 のニッケルメッキ層の上に、C量として1〜100mg/m2 の有機樹脂を主体とする化成処理被膜層を両面に施したものが挙げられる。
【0022】
金属板に保護被膜としてラミネートされる熱可塑性樹脂フィルムについては、特に限定されるものではなく、ポリエステルフィルム,ポリオレフィンフィルムポリプロピレンフィルム,ナイロンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムのうちから耐熱性に優れたものを適宜に選択して使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体,エチレンテレフタレート/アジペート共重合体,ブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体やこれらの樹脂の2種類以上を混合した樹脂等からなるポリエステル樹脂,ポリプロピレン樹脂等からなる二軸延伸フィルムが好ましい。
【0023】
熱可塑性樹脂フィルムと金属板の間の接着剤層として使用される熱硬化型接着剤についても、特に限定されるものではなく、イソシアネート系,エポキシ系,フェノール系等の熱硬化型接着剤のうちから適宜に選択されるものであって、この接着剤については、熱可塑性樹脂フィルムの側に塗布して接着剤層を形成しても良いし、金属板の側に塗布して接着剤層を形成しても良い。また、接着剤には、必要に応じて平均粒径が0.1〜0.5μmの白色顔料(酸化チタン)を添加するようにしても良い。
【0024】
上記のような金属板と熱可塑性樹脂フィルムと熱硬化型接着剤とによる樹脂被覆金属板の製造について、本実施形態の方法で使用する樹脂被覆金属板の場合について説明すると、先ず、帯状の熱可塑性樹脂フィルムの片面側に対して、その幅方向両端に適当な幅で接着剤層を設けないように熱硬化型接着剤を塗布して乾燥させることで、フィルム幅よりも僅かに狭い幅の接着剤層を形成しておく。
【0025】
そのように片面側に熱硬化型の接着剤層が形成された帯状の熱可塑性樹脂フィルムを、帯状の金属板の幅に合わせてスリットしてから、該フィルムと加熱された状態の帯状の金属板とを、何れも高速(200m/分)で同方向に進行させながら、金属板の片方の面(缶内面側)に対し、加熱された押圧ロールにより熱可塑性樹脂フィルムの接着剤層側を押し付けて、熱可塑性樹脂フィルムを接着剤層を介して金属板に接着させると共に、接着剤層のないフィルムの幅方向両端では0.3〜7.0mmの幅で熱可塑性樹脂フィルムを直接的に金属板に熱接着させることにより、金属板に対して熱可塑性樹脂フィルムを連続的にラミネートする。なお、本実施形態では、金属板の他方の面(缶外面側)に対して、加熱した押圧ロールにより熱可塑性樹脂フィルムを直接的に金属板に熱接着させている。
【0026】
そして、そのように帯状の熱可塑性樹脂フィルムを帯状の金属板に対して連続的にラミネートした後、連続して同じ製造ラインで、或いは、一旦コイル状に巻き取ってから別の製造ラインでコイルを巻き戻して、この樹脂被覆金属板の温度を熱可塑性樹脂フィルムの融点以上(Tm〜Tm+30℃)に加熱してから急冷することで、熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度が0〜60%の範囲(好ましくは0〜40%の範囲)となるように非晶質化(アモルファス化)する。
【0027】
なお、結晶化度の測定手順については以下の通りである。
(1)非晶質化したラミネート材を、7wt%濃度の塩酸に漬けてフィルムを金属板から剥がす。
(2)剥がれたフィルムを純水でよく洗う。
(3)常温で乾燥した後、5mgを採取して熱分析(DSC 1stラン)に供する。
(4)熱分析(DSC 1stラン)は、10℃/分の昇温速度で測定し、70℃付近の発熱ピークを測定する。この測定値をAとする。
(5)当該サンプル(上記(4)でDSC 1stランしたフィルム)を融点以上に加熱した後、水没急冷をして常温で乾燥する。
(6)その後、上記(4)と同一条件で熱分析(DSC 2ndラン)を実施し、70℃付近の発熱ピークを測定する。この測定値をBとする。
(7)そして、各測定値A,Bから結晶化度を下記のように計算する。
結晶化度=(B−A)/B×100(%)
【0028】
上記のように製造された帯状の樹脂被覆金属板については、熱可塑性樹脂フィルムの非晶質化に続いて、そのまま連続的にボトル型缶の製造ラインに供給するようにしても良いし、或いは、一旦コイル状に巻き取ったり、或いは、適当な大きさのシート状に切断してから、改めてボトル型缶の製造ラインにコイル状やシート状として供給するようにしても良い。
【0029】
何れにしても、上記のように製造される樹脂被覆金属板では、ラミネート速度(フィルムや金属板の進行速度)を200m/分まで速くしても、非晶質化の工程でラミネート後の熱可塑性樹脂フィルムを融点以上(Tm〜Tm+30℃)に加熱した際に、図2(A)に示すような、接着剤層4がないフィルム端部の直貼り部分3aで、溶融したフィルム3が金属板2に良く付着して縮まないことから、図2(B)に示すように、非晶質化(アモルファス化)の後でも、フィルム端部の直貼り部分3aに縮み瘤ができることはない。
【0030】
すなわち、同じ製造ラインで熱可塑性樹脂フィルムのラミネートと非晶質化を連続して行うような際に、ラミネート速度を速くすることで、非晶質化の工程では接着剤層が未だ充分に硬化することなく、接着剤層がフィルムを充分に拘束できない状態となっていても、非晶質化の工程でフィルムが溶融したときに、フィルム端部が金属板に良く付着することから、フィルム端部が大きく縮んで縮み瘤ができるようなことはない。
【0031】
また、ラミネートと非晶質化を連続して行うような場合に限らず、フィルム端部を金属板に直接的に熱接着させていることで、フィルム端部を熱硬化型接着剤を介して金属板に接着させる場合と比べて、ラミネート速度を速くしたときにフィルム端部が浮き気味となることは少なく、且つ、非晶質化の工程でフィルムが溶融したときにフィルム端部が金属板に良く付着することから、フィルム端部が大きく縮んで縮み瘤ができるようなことはない。
【0032】
なお、直貼り部分3aの幅については、小さすぎると非晶質化の工程で縮みに対する拘束効果が低くなるので、0.3mm以上の幅にする必要があり、また、必要以上に大きくすると、直貼り部分3aを全部トリミングして除去する場合に、製品の歩留まりが低下するので、7.0mm以下の幅にするのが望ましい。そのような意味から、帯状金属板の幅に合わせてスリットされたフィルムの両端の接着剤層のない部分の幅(即ち、ラミネート後に直貼り部となる部分の幅3a)が0.3〜7.0mmの幅となるように、帯状フィルムの幅方向のバラツキやラミネート時のフィルムの蛇行等を考慮して、帯状の熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅に対する接着剤の塗布幅を適宜に設定しておくことが望ましい。
【0033】
上記のように製造されることでフィルム端部に縮み瘤がない状態の樹脂被覆金属板を使用してボトル型缶の缶体(缶容器の本体部材)を製造する本実施形態の方法の場合、図3に示すように、フィルム端部の直貼り部分3aを含む樹脂被覆金属板1の全体から歩留り良く多数のブランクを打ち抜いても、図2(C)に示すようなブランクを打ち抜く際や、それに続いてカップ状に絞り加工する際に、フィルム端部に縮み瘤がないことから、当然のことながらフィルム端部の縮み瘤に起因するフィルムヘヤーが発生するようなことはない。
【0034】
なお、そのようにフィルム端部の直貼り部分を含む樹脂被覆金属板全体から多数のブランクを歩留り良く打ち抜いた場合には、図3に示すように、樹脂被覆金属板の端部付近に位置するブランクの縁部の一部分に直貼り部分3aが残存することとなり、そのようなブランクから絞り加工により製造されるカップ状の中間成形品には、その開口端部の一部分に直貼り部分が残存することとなるが、本実施形態の方法によれば、ボトル型缶の製造工程のうちのトリミング工程で、缶体の開口端部をトリミング加工する際に、図2(D)に示すように、開口端部に残存する直貼り部分3aを除去していることから、最終的に製造された製品にフィルム端部の直貼り部分が残存することはない。
【0035】
以上、本発明の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法について、ボトル型缶による一実施形態により説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂フィルムと金属板の間に設けられる接着剤層については、予め熱可塑性樹脂フィルムの側に形成する場合に限らず、予め金属板の側に形成しておいても良く、さらに、金属板の他方の面については、実施形態に示すような熱可塑性樹脂フィルムの直接的にラミネートする場合に限らず、接着剤層を介して熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしたり、他の有機樹脂を保護被膜として塗布したり、保護被膜を設けない場合をも含めた適宜の構造として実施することが可能である。
【0036】
また、熱可塑性樹脂フィルムを直接的に金属板に接着させたフィルム端部の直貼り部分をトリミング工程で除去する際に、上記の実施形態では直貼り部分を全部除去しているが、スクラップスケルトンのブリッジ幅(製品の成形に利用されない金属板のスクラップ幅)をできる限り小さくした方が製品の歩留まりが良くなることから、必要以上に直貼り部分を除去する必要はなく、例えば、ボトル型缶で底蓋の巻締めにより巻締部の内部に巻き込まれてしまう箇所のような、熱可塑性樹脂フィルムと金属板との密着性に直接関係しないような箇所であれば、耐食性に直接影響しないため、直貼り部分を全部除去することなく、必要な部分のみを除去して、残りの直貼り部分は残すようにしても差し支えはない。
【0037】
さらに、対象となる容器用部材については、口頸部と肩部と胴部を一体成形したタイプのボトル型缶に限らず、胴部と底部を一体的に成形した缶体の上端開口部に対して、口頸部や肩部を有する別体の缶蓋を巻締め固着するようなボトル型缶や、胴部と底部を一体的に成形した缶体の上端開口側に複数段のネックイン加工を施すことで口頸部と肩部を成形するようなボトル型缶等、その他の異なるタイプのボトル型缶の缶体(本体部材)であっても良く、また、ボトル型缶に限らず、従来から一般的な2ピース缶の缶体であっても良い。さらにまた、缶体(缶容器の本体部材)に限らず、パネル部とカウンターシンク部を有する缶蓋(缶容器の端板部材)や、天板部とスカート部を有する金属製のキャップ等、その他の容器用部材に対して適用が可能なものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法によれば、容器用部材の材料となる樹脂被覆金属板を、少なくとも金属板の容器内面側で熱可塑性樹脂フィルムを熱硬化型接着剤を介してラミネートし且つ非晶質化するように高速で製造しても、フィルムの端部を直貼りしていることで、接着剤を介してラミネートされるフィルムの端部に縮み瘤ができるのを防止することができて、その結果、フィルム端部の直貼り部分を含む樹脂被覆金属板全体から多数のブランクを歩留り良く打ち抜いても、ブランクの打ち抜き時や絞り加工時に、縮み瘤に起因するフィルムヘヤーが発生することはない。しかも、容器用部材を製造する工程のうちのトリミング工程で、中間成形品に残存するフィルム端部の直貼り部分の全部又は一部を除去しているため、製造された製品にフィルム端部の直貼り部分が現れるようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一実施形態に係るボトル型缶の製造方法について、樹脂被覆金属板から缶体を製造する工程を概略的に示す説明図。
【図2】本発明の方法の各段階における樹脂被覆金属板のフィルム端部付近のそれぞれの状態を示す断面図。
【図3】樹脂被覆金属板の端部付近でのブランクの採取状態を示す平面図。
【図4】従来の方法により製造した樹脂被覆金属板について、フィルム端部付近での(A)ラミネート後と(B)非晶質化(アモルファス化)後のそれぞれの状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 樹脂被覆金属板
2 金属板
3 熱可塑性樹脂フィルム(缶内面側)
3a 直貼り部分(接着剤層のないフィルム端部)
3b 縮み瘤
4 接着剤層
5 熱可塑性樹脂フィルム(缶外面側)

Claims (4)

  1. 少なくとも金属板の容器内面側に、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを、フィルム幅よりも僅かに狭い幅の熱硬化型接着剤層を介して、接着剤層のないフィルム端部では熱可塑性樹脂フィルムを直接的に熱接着させるように、金属板に対してラミネートした後、これを熱可塑性樹脂フィルムの融点以上に加熱してから急冷して、熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度が0〜60%の範囲となるように非晶質化することで製造された樹脂被覆金属板を使用して、この樹脂被覆金属板の熱可塑性樹脂フィルム直接接着部分であるフィルム端部の直貼り部分を含む全体から、多数のブランクを打ち抜いてカップ状に絞り加工した後、カップ状の中間成形品を完成品にするまでの工程のうちのトリミング工程で、フィルム端部の直貼り部分の全部又は一部をトリミングして除去することを特徴とする樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法。
  2. 樹脂被覆金属板におけるフィルム端部の直貼り部分の幅が0.3〜7.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法。
  3. 容器用部材が、胴部と底部が一体成形された2ピース缶用の缶体であって、カップ状の中間成形品から胴部が薄肉化された有底円筒状の缶体を成形してから、缶体の開口端部をトリミング加工する際に、開口端部に残存する直貼り部分の全部又は一部を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法。
  4. 容器用部材が、口頸部と肩部と胴部が一体成形されたボトル型缶用の缶本体であって、カップ状の中間成形品から胴部が薄肉化された有底円筒状の缶体を成形し、この缶体の缶底側を口頸部と肩部に成形してから、缶体の口頸部とは反対側の開口端部をトリミング加工する際に、開口端部に残存する直貼り部分の全部又は一部を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法。
JP2002139521A 2002-05-15 2002-05-15 樹脂被覆金属板による容器用部材の製造方法 Expired - Fee Related JP4089812B2 (ja)

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